■当該文書は日本生協連の生協役員賠償責任保険制度(会社役員賠償責任保険)の Q&A になります。補償の内容については日本生協連の生協役員賠償責任保険制度(会社役員賠償責任保険)パンフレットをご参照ください。
日本生協連の生協役員賠償責任保険制度
(会社役員賠償責任保険)
Q&A
2021 年度版
目 次
【役員の責任に関する事項】 頁
Q1. 役員はどのような場合にその個人的責任を追及されるのですか。・・・・・・・・・・・・・・P.4 Q2.役員の生協に対する「善管注意義務」や「▇▇義務」とはどのようなものですか。・・・・・・P.4 Q3.善管注意義務違反があったか否かはどのように判断されるのですか。・・・・・・・・・・・・P.5 Q4.役員が第三者に対して個人的責任を負う要件はどのようなものですか。・・・・・・・・・・・P.5 Q5.役員の責任の時効は何年ですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.6 Q6.代表訴訟とはどのようなものですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.6 Q7.代表訴訟を起こされた場合、役員は生協の顧問弁護士に依頼したり、あるいは生協か弁護士
費用の支払いを受けることはできますか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.6
【生協役員賠償責任保険の補償内容に関する事項】
Q8.生協役員賠償責任保険では、どのような場合に保険金が支払われるのですか。訴えられた場合
には、すべて保険金支払の対象になるのですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.8 Q9.保険金を支払わない場合の「犯罪行為」とは、どのような行為をいうのですか。・・・・・・・P.9 Q10.裁判の結果、善管注意義務違反があったと認められた場合、法令違反として保険金が支払わ
れない場合になるのですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.9 Q11.一部の役員に「犯罪行為」や「法令違反を認識しながら行った行為」があった場合、すべての
役員について保険金が支払われないのですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.9 Q12.普通保険約款で、他の役員、生協からなされた損害賠償請求に対して保険金を支払わない場合
としているのはどのような趣旨からですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.10 Q13.どのような趣旨で生協が大株主からの損害賠償請求に対して保険金を支払わないこととし
ているのですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.11 Q14-1.保険期間と「行為日」や「損害賠償請求日」との関係について説明してください。・・・P.11 Q14-2.先行行為補償特約を付帯した場合の保険期間と「行為日」や「損害賠償請求日」との
関係について説明してください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.12 Q15.生協役員賠償責任保険では裁判外での和解金などは保険金支払の対象とならないのですか。 P.14 Q16.保険会社による示談交渉サービスがありますか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.14 Q17.生協と役員の両方に賠償請求をされた場合、生協役員賠償責任保険で生協の責任部分も補償
されますか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.15 Q18.生協が合併した場合、生協役員賠償責任保険の適用はどうなりますか。・・・・・・・・・・P.15 Q19.現在、他の損害保険会社の役員賠償責任保険に加入していますが、生協役員賠償責任保険に
切り替えた場合、初年度契約の取扱いはどうなりますか。・・・・・・・・・・・・・・・・P.17 Q20.「雇用慣行賠償責任補償特約」では、どのような場合に保険金が支払われますか。・・・・・P.17
【生協役員賠償責任保険の被保険者に関する事項】
Q21.役員の相続人も生協役員賠償責任保険の被保険者となりますか 。・・・・・・・・・・・・P.17 Q22.どのような「子会社」の役員が被保険者に含まれるのですか。 ・・・・・・・・・・・・・P.17 Q23. 対象となる子会社の役員は、生協からの出向役員に限られますか。 ・・・・・・・・・・・P.18 Q24.保険期間の途中で役員の改選がありました。被保険者はどのようになりますか。・・・・・・P.18
【生協役員賠償責任保険の契約方式・保険料に関する事項】
Q25.生協役員賠償責任保険は役員の個人契約はできないのですか。・・・・・・・・・・・・・・P.18 Q26.生協役員賠償責任保険の保険料は、税務上どのように取扱われますか。・・・・・・・・・・P.19 Q27.生協役員賠償責任保険の保険料はどのように算出されるのですか。・・・・・・・・・・・・P.21
【生協法・会社法に関する事項】
Q28.2008 年施行の生協法(会社法準用)における代表訴訟制度の改正のポイントはどのようなものですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.21
Q29.役員の生協に対する責任の軽減とはどのようなものですか。・・・・・ ・・・・・・・・・P.22 Q30.代表訴訟における役員側への補助参加とはどのようなものですか。・・・・・・・・・・・・P.22
【医療福祉生協用】
Q31.生協役員賠償責任保険と医師賠償責任保険の違いはどのようなものですか。・・・・・・・・P.23
【2021 年 3 月改正生協法に関する事項】
Q32.生協が役員賠償責任保険の保険料を全額負担する場合、生協として行う事項を教えてくださ
い。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.23 Q33.理事会の決議は毎年必ず行わないといけないでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・P.23 Q34.理事会で決議する具体的な内容はどのようなものでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・P.23 Q35.事業報告書へ記載する内容はどのようなものでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・P.24 Q36.補償契約とはどのような契約ですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.24 Q37.補償契約と役員賠償責任保険の関係性について教えてください。・・・・・・・・・・・・・・P.24 Q38.役員が変更になりました。役員賠償責任保険の被保険者が変わることで改めて理事会の
決議は必要になりますか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.25 Q39.被保険者に子会社の役員も含まれています。役員賠償責任保険契約の内容の決定において
親会社が保険契約する場合でも子会社にて株主総会の決議が必要ですか。・・・・・・・・・・P.25
<用語> 生協:会員生協・会員事業連合・大学生協連・医療福祉生協・日本生協連の加入者を意味します。組合員:会員生協が加入者→組合員;会員事業連合が加入者→会員生協;大学生協連および日本生協連が加入者→会員生協・会員事業連合を意味します。
【役員の責任に関する事項】
Q1.役員はどのような場合にその個人的責任を追及されるのですか。
A1.
役員の行為や意思決定・判断によって生協に何らかの損害が生じた場合、善管注意義務違反・▇▇義務違反等を理由として「役員の生協に対する賠償責任」が追及される可能性があります。第三者(組合員、競業者、職員等)に損害を生じさせた場合も、その者から責任を追及されるおそれがあります。
行為を行った役員だけでなく、理事会の決議に賛成したり、議事録に異議をとどめなかった役員も同様の責任を負うとされています。また、理事会の決議事項以外でも理事会の構成員として、他の役員の行為を監視すべき義務を怠ったとして責任を追及されることもあります。具体的には、▇▇融資の焦げつき、投資の失敗、新規事業の行き詰まり、金融支援を行った子会社の倒産、不▇▇な取引による競業者の損害、不当解雇・雇用差別など、様々なケースで訴えを起こされる危険が潜んでいるといえます。ただし、あくまでも「訴えられる可能性がある」ということであって、実際に訴えられるかどうか、また、仮に訴えられたとしても、善管注意義務違反などによる法律上の賠償責任が役員に存在するか否かについては別問題であることはいうまでもありません。-(Q3.参照)
Q2.役員の生協に対する「善管注意義務」や「▇▇義務」とはどのようなものですか。
A2.
役員は生協と委任関係にあり、その職務の遂行にあたって善良な管理者の注意を尽くすべき義務(善管注意義務)を負っています(生協法 29 条の 2、民法 644 条)。また、役員は、法令・定款の定めや総会の決議を遵守し、生協のために▇▇にその職務を遂行すべき義務(▇▇義務)が課せられています(生協法 30 条の 3)。役員がこれらの義務に反して生協に損害を与えた場合には、役員個人が生協に対して賠償責任を負うことになります(生協法 31 条の
3、民法 415 条)。
なお、▇▇義務は、善管注意義務を具体的かつ注意的に定めたものであり、善管注意義務とは別個の高度な義務を規定したものではないとするのが、判例ならびに多数説となっています。
Q3.善管注意義務違反があったか否かはどのように判断されるのですか。
A3.
役員には経営上の必要性から、一般人とは異なった発想と実行力がなくては、厳しい競争を乗り越えることができず、多少の危険がともなう経営判断も必要であると考えられています。また、取引社会には、その社会独自の慣習・慣行があり、それを無視することもできません。しかしながら、経営者には一般人とは異なって経済に対する理解力・洞察力が必要であるとされ、いかに誠実であっても経営者としての能力に欠けたために生協に損害を与えた場合は善管注意義務違反を問われることになります。
個人の判断力を超えた不測の場合や、総会で決定された内容にしたがって誠実に行為を行ったが、結果として赤字が生じた場合は、一般に善管注意義務違反とはなりません。
善管注意義務は抽象的な概念であり、義務違反であるか否かの具体的な判断は、個々の事例ごとにあらゆる諸状況を勘案して個別に判断する以外にはありません。
(注) ビジネス・ジャッジメント・ルールについて
役員責任に関する判例が蓄積されている米国では、「善意でなされた高度な経営上の判断については、裁判所がその当否判断をすることは適当ではない。むしろ、役員がその判断を導くにいたった経緯が適切であったと認められれば、結果的に失敗したとしてもそれは経営上必然的にともなう危険であり、役員個人が責任を負うことはない。」とする「ビジネス・ジャッジメント・ルール(経営判断の原則)」とよばれる法理があります。この法理が適用されるためには、次のような要件をいずれも満たしていることが前提となります。
① 問題になった事項について当該役員の個人的利益がからんでいないこと
② 合理的で注意深い者ならば行ったであろう決定であること
③ 適切な判断を下せるほどに十分な情報を得ていたこと
④ 当該決定が真に会社の最善の利益であると信じて善意で行った行動であること
わが国においては、このような明確な法理は存在しませんが、わが国の判例の中にはこうした考え方を採用したものもあり、役員の責任の概念を考える上で参考になると思われます。
Q4.役員が第三者に対して個人的責任を負う要件はどのようなものですか。
A4.
役員がその職務の遂行により第三者に損害を与え、職務を行うにつき悪意または重大な過失がある場合には、個人的責任も追及されます(生協法 31 条の 4)。
わが国においては、過去、中小企業の倒産や資力不足のために、会社債権者等が役員個人の財産から債権回収を図ろうとする責任追及の訴訟事例はありますが、大企業の役員が個人的責任を追及された訴訟事例はあまりありません。そのため、大企業の役員が第三者に対し
て個人的責任を負う場合の明確な要件は確立されていません。
なお、過去の訴訟事例では、次のようなケースで個人的責任が追及されています。
① 決済見込みのない取引(放漫な資金調達、融通手形の振出、代金支払見込みのない請負工事の発注など)
② 放漫経営(赤字経営の継続、経営判断の失敗など)
③ 会社財産の横領・公私混同(保険金を支払わない場合の「違法に私的な利益を得たこと」に該当)
④ 死傷事故(保険金を支払わない場合の「身体障害」に該当)など
Q5.役員の責任の時効は何年ですか。
A5.
生協または第三者に対する役員の損害賠償責任にかかる時効については、「損害賠償請求権者が権利を行使できることを知ったときから 5 年間、または権利を行使できるときから 10
年間で時効が成立する。」とする民法 166 条第 1 項が適用されるとするのが有力説です。 また、代表訴訟では、時効の起算日は「役員の行為」や「組合員が損害の発生を知った」時
点ではなく、「生協が損害の発生を知った」時点となります。
Q6.代表訴訟とはどのようなものですか。
A6.
代表訴訟とは、役員の行為などにより生協に損害を与えたにもかかわらず、生協が役員の責任追及をしない場合、組合員が生協に代わって役員の経営責任を追及する制度です(生協法 31 条の 8→会社法 847 条準用)。
6 か月以上引き続き組合員である者が訴訟を提起することができ、組合員は生協に役員に対する訴えを起こすよう請求し、60 日以内に生協が訴訟を提起しない場合は、組合員が生協に代わって役員に訴訟を提起することができます。
組合員側が勝訴すれば、被告である役員は個人で賠償金を支払わなければなりません。賠償金を受け取るのは生協であり訴えた組合員ではありません。
Q7.代表訴訟を起こされた場合、役員は生協の顧問弁護士に依頼したり、あるいは生協から弁護士費用の支払いを受けることはできますか。
A7.
代表訴訟は、役員に対し、役員の生協に対する賠償責任の履行を求めるものですから、役員と生協とは利害が対立する関係にあります。顧問弁護士は、あくまで生協の法律事務を処理するために生協と顧問契約を締結しているのであり、生協と利害が対立する立場にある役員の弁護人となることは認められません。同様に、役員が自ら依頼した弁護士に対する費用の支払いを生協に求めることもできません。
したがって、代表訴訟で訴えられた役員は、個人的に弁護士を依頼し、その費用を自ら負担することになります。
弁護士費用や調査費用等については、役員が敗訴した場合はもちろん、勝訴した場合でも、原則として役員が負担しなければなりません。
さらに、弁護士費用(弁護士報酬)は着手金と報酬金からなり、防御に成功して役員が勝訴した場合には、着手金に加えて報酬金を支払うことになります。
(注 1)訴えられた役員に過失がなく、勝訴した場合には生協に対して弁護士費用・調査費用を請求できるとする説もあります。
(注 2)弁護士報酬については、日本弁護士会の報酬等基準規程で標準額が規定されていましたが、平成 15 年 7 月の弁護士法改正により、平成 16 年 3 月 31 日をもって廃止されました。
なお、標準額の廃止に伴い、弁護士がそれぞれ自由に報酬を決められるようになりました。
(注 3)役員が勝訴した場合の訴訟費用(証人の旅費・日当・宿泊費、準備書面等の提出費用等)は原告(組合員)の負担とされますが、自己の負担した弁護士報酬等の支払いを求めるためには、原告(組合員)の訴訟が不法行為であったとの損害賠償請求を別途起こす必要があります。しかし、この請求は必ずしも認められるとは限りません。
以上を簡単にまとめると次の表のようになります。
[必要費用と負担者]
時期 | 負担者 | 訴訟費用 | 弁護士費用・調査費用 |
訴訟提起時 | 原告 | 印紙代 13,000 円、郵券代 | 自己負担 |
被告 | なし | 自己負担 | |
原告勝訴時 | 原告 | 被告に請求が可能 | 相当額を生協に請求(生協が応じない場合は訴訟を提起します。) |
被告 | 印紙代も含めて全額負担 | 自己負担 | |
役員勝訴時 | 原告 | 印紙代も含めて全額負担 | 自己負担。原告の不当訴訟の場合は役員側の費用も負担(別途役員が訴訟提起) |
被告 | 原告に請求が可能 | 自己負担。不当訴訟の場合は別途訴訟により原告から回収 ※役員に過失がない場合には生協に請求できるとの説もあります。 |
【生協役員賠償責任保険の補償内容に関する事項】
Q8.生協役員賠償責任保険では、どのような場合に保険金が支払われるのですか。訴えられた場合には、すべて保険金支払の対象になるのですか。
A8.
生協役員賠償責任保険は、役員が生協や第三者に損害を与えたとして損害賠償請求を受けた場合に、結果的な賠償責任の有無とは係わりなく保険の対象となり、保険金が支払われます。(ただし、保険上の「保険金を支払わない場合」に該当する場合には、保険金はお支払いできません。)
したがって、役員に法律上の賠償責任ありと認められたとき(役員敗訴)は、損害賠償金と弁護士費用等の争訟費用をお支払いし、一方、結果的に役員に責任なしと認められたとき
(役員勝訴)には、争訟費用をお支払いすることになります。
犯罪行為など公序良俗に反する行為によって役員が賠償責任を負った場合、こうした役員を保険で救済することが許されないのは当然であり、保険金はお支払いできません。
したがって、生協役員賠償責任保険の補償の対象は、「役員が誠実に業務を遂行したにもかかわらず、経営判断ミスなどによって生協や第三者に損害を与えたとして訴えられた場合」ということができます。-(Q3.Q9.参照)
たとえ役員が誠実に業務を遂行していても、生協に何らかの損害が生じたとして「いやがらせ」的、「いいがかり」的な請求や事実無根の請求が起こされる可能性を否定することはできません。このような場合、結果的に賠償責任なしとして役員が勝訴するにしても、役員は弁護士費用等の負担を強いられることになります。-(Q7.参照)
生協役員賠償責任保険は、このような争訟費用を補償することにより、「防御費用保険」的な効果を果たすことになります。
損害賠償請求
該当する
なし(役員勝訴)
該当しない
あり(役員敗訴)
争訟費用
損害賠償金・争訟費用
保険金を支払わない場合 法律上の賠償責任 保険金の支払い
支払われない
Q9.保険金を支払わない場合の「犯罪行為」とは、どのような行為をいうのですか。
A9.
「犯罪行為」とは、刑法上の犯罪(背任罪、詐欺罪、横領罪、贈賄罪等)の他、会社法上の犯罪(特別背任罪、会社財産危殆罪等)、独占禁止法、金融商品取引法、税法、外国為替管理法など、あらゆる法律の刑を科せられるべき違法行為をいいます。
必ずしも起訴や刑罰の確定を要件とするものではなく、行為そのものが犯罪と同一視すべき行為なども保険金はお支払いできません。
なお、単なる手続規定違反による過料(行政罰)は、ここでいう犯罪行為に該当しません。
「犯罪行為」に該当しない場合でも、「法令に違反することを認識しながら(認識していたと判断できる合理的理由がある場合を含みます。)行った行為」に起因する損害賠償請求は保険金をお支払いできません。
(注)法令とは、法律、政令、省令、規則、条例などをいい、通達は含みません。
Q10.裁判の結果、善管注意義務違反があったと認められた場合、法令違反として保険金が支払われない場合になるのですか。
A10.
保険金を支払わない場合として規定されているのは「法令に違反することを認識しながら行った行為」であり、法令違反についての「認識性」が問題となります。
確かに、善管注意義務違反も法令違反であり、そのために役員の責任が追及されるわけですが、もともと善管注意義務や▇▇義務というのは抽象的な概念であり、「認識ある善管注意義務違反」ということは一般には考えられません。
したがって、善管注意義務違反(=法令違反)ありというだけで保険金を支払わない場合にはなりません。なお、仮に「善管注意義務に違反することを認識していた」というような場合があるとすれば、それはすなわち「自己または第三者のために、あるいは生協に損害を与える目的でその任務に背く行為」であるということができ、このような場合には「犯罪行為」
(背任)や「違法な私的利益の取得」などに該当し、保険金はお支払いできません。
Q11.一部の役員に「犯罪行為」や「法令違反を認識しながら行った行為」があった場合、すべての役員について保険金が支払われないのですか。
A11.
「犯罪行為」や「法令違反を認識しながら行った行為」等、普通保険約款第3条の保険金を支払わない場合は、個々の役員ごとにその適用が判断されることになります。
したがって、「実際にその行為を行った役員」を監視すべき義務を怠ったとして「他の役員」が訴えられた場合には、実際に行為を行っていない「他の役員」については保険金をお支払いします。
なお、その行為が理事会の決議に基づいてなされた場合には、その決議に賛成したり、あるいは議事録に異議をとどめていない理事も全員が行為者として連帯責任を負うことになりますので(生協法 31 条の 3 第 2 項)、これらの役員全員に対しては保険金をお支払いできません。
Q12.普通保険約款で他の役員、生協からなされた損害賠償請求に対して保険金を支払わない場合としているのはどのような趣旨からですか。
A12.
当保険の普通保険約款第4条⑨では、「他の被保険者(役員)または記名法人(生協)もしくはその子会社からなされた損害賠償請求ならびに株主代表訴訟であるか否かを問わず、被保険者(役員) または記名法人(生協)もしくはその子会社が関与して、記名法人(生協)もしくはその子会社の議決権を有する者および記名法人もしくはその子会社に対して役員等の責任を追求する訴えを請求することができる者によってなされた損害賠償請求」に対しては保険金をお支払いできません。
これは、生協が何らかの経営上の損失を出した場合、経営判断の誤りを理由として役員に対して損害賠償請求(生協が働きかけて組合員に代表訴訟を起こさせた場合も含みます。)を行い、生協役員賠償責任保険の保険金で生協の損失を補てんするような行為を排除する趣旨です。
代表訴訟制度による組合員からの請求に基づいて、監事が理事に対して訴えを起こした場合も保険金はお支払いできません。また、初年度契約の保険期間の開始日以降に退任した役員が訴えた場合も保険金はお支払いできません。(「退任役員訴訟に関する争訟費用補償特約」を付帯することにより初年度契約の保険期間の開始日以降に退任した役員からの訴えについて争訟費用を補償することができます。また、「退任役員訴訟に関する賠償責任補償特約」を付帯することにより、初年度契約の保険期間の開始日以降に退任した役員からの訴えについて損害賠償金を補償することができます。)
なお、「役員の生協に対する責任」について生協役員賠償責任保険の対象となるのは、実質的に、「生協や役員が全く関与しない代表訴訟によって責任を追及された場合」に限られることになります。
ただし、当制度では、「会社訴訟一部補償特約」が自動付帯されているため、保険金をお 支払いできる場合があります。適用される場合には、会社法の規定に基づいて組合員から生協に対して役員の責任を追及する訴えの提起の請求がなされたことにより、生協が役員に対して提起した訴訟等は補償の対象となります。
また「記名法人(生協)もしくはその子会社の議決権を有する者」とは株主代表訴訟を提 起できる株主等を意図しています。組合員は株主のように株式(有価証券)を所有していませんが、生協役員に代表訴訟を提起できる者は組合員です。そのため「記名法人(生協)もしくはその子会社の議決権を有する者」には代表訴訟を提起できる組合員を含みます。
Q13.どのような趣旨で生協が大株主からの損害賠償請求に対して保険金を支払わないこととしているのですか。
A13.
大株主はその企業に対する利害関係が強く、当該企業の経営に問題が生じた場合、一般の株主と比べて訴訟を起こす可能性が強いと考えられることから、保険の引受上の理由により保険金はお支払いできません。生協においては、通常、議決権総数の10%以上を保有する方は存在しませんので、本条項は、子会社の役員を被保険者に含めて契約した場合であって、子会社の議決権総数のうち10%以上を所有する株主(大株主)からなされた損害賠償請求に適用されることになります。
Q14-1.保険期間と「行為日」や「損害賠償請求日」との関係について説明してください。
A14-1.
生協役員賠償責任は「クレームズメイドベース(損害賠償請求ベース)」となっており、損害賠償請求が保険期間中になされることを保険金支払の要件としています。
なお、保険金を支払わない場合の規定に該当する場合は、保険金支払の対象外となります。
(例)▲行為日、 ●損害発生日、○損害賠償請求日
保険
加入▇
▇年度契約
の保険期間
継続契約
の保険期間
事例Ⅰ. ▲――――――●―――○(補償できません。)事例Ⅱ. ▲―――●―――○(初年度契約で補償)
事例Ⅲ. ▲―――●――――――――○(継続契約で補償)
事例Ⅰ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日より前であるため、補償できません。
事例Ⅱ.の損害賠償請求は、「行為」および「損害賠償請求」が保険期間内にあり、初年度契約により補償されます。
事例Ⅲ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日以降であり、「損害賠償請求」が継続契約の保険期間内にあるため、継続契約により補償されます。
ただし、保険金を支払わない場合の規定により次の場合は補償できません。
①「損害賠償請求」が、初年度契約の保険期間の開始日より前に生協に対して提起されていた訴訟と同一または関連する事実である場合は、その「損害賠償請求」は補償できません。
②「損害賠償請求」が、保険契約の開始日において、役員が損害賠償請求を受けるおそれがある状況を知っていた場合で、その状況の原因となる行為に起因する一連の損害賠償請求である場合は、この保険契約では補償できません。
この保険契約の前年度契約において、この請求の最初の損害賠償請求を受けていた時は、前年度契約により補償されます。
③「損害賠償請求」が、保険契約の開始日より前になされていた役員に対する損害賠償請求の中で申し立てられていた行為に起因する一連の損害賠償請求である場合は、この保険契約では補償できません。
この保険契約の前年度契約において、この請求の最初の損害賠償請求を受けていた時は、前年度契約により補償されます。
(注)一連の損害賠償請求は、最初の損害賠償請求がなされた時にすべてがなされたとみなし、最初の損害賠償請求がなされた時の保険契約で補償します。
Q14-2.先行行為補償特約を付帯した場合の保険期間と「行為日」や「損害賠償請求日」との関係について説明してください。
A14-2.
生協役員賠償責任保険は「クレームズメイドベース(損害賠償請求ベース)」となっており、先行行為補償特約付帯契約についても損害賠償請求が保険期間中になされることを保険金支払の要件としています。
なお、保険金を支払わない場合の規定に該当する場合は、保険金支払の対象外となります。
(1) 初年度契約から先行行為補償特約を付帯した場合
▲行為日、 ●損害発生日、○損害賠償請求日
初年度契約の保険期間の
開始日の 10 年前の応当日
初年度契約
の保険期間
継続契約
の保険期間
事例Ⅰ.▲―――――――――――――――●―――○(補償できません。)事例Ⅱ. ▲――――――――――●―――○(初年度契約で補償)
事例Ⅲ. ▲――――●―――――――――○(継続契約で補償)
事例Ⅰ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日の 10 年前の応当日より前であるため、補償できません。
事例Ⅱ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日の 10 年前の応当日以降で「損害賠償請求」が保険期間内にあるので初年度契約により補償されます。
事例Ⅲ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日の 10 年前の応当日以降であり「損害賠償請求」が継続契約の保険期間内にあるため、継続契約によ
り補償されます。
(2) 今年度の継続契約から先行行為補償特約を付帯した場合
▲行為日、 ●損害発生日、○損害賠償請求日
初年度契約の保険期間の
開始日の 10 年前の応当日
初年度契約
の保険期間
継続契約
の保険期間
(先行行為補償特約付帯契約)
事例Ⅳ. ▲――――――――――●―――○(補償できません。)
事例Ⅴ. ▲――――●―――――――○(継続契約で補償)
事例Ⅳ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日の 10 年前の応当日以降であっても、「損害賠償請求」が先行行為補償特約を付帯した継続契約の保険期間外にあるので補償できません。
事例Ⅴ.の損害賠償請求は、「行為」が初年度契約の保険期間の開始日の 10 年前の応当日以降で「損害賠償請求」が先行行為補償特約を付帯した継続契約の保険期間内にあるので継続契約により補償されます。
ただし、(1)および(2)で補償される場合であっても保険金を支払わない場合の規定により次の場合は補償できません。
①「損害賠償請求」が、初年度契約の保険期間の開始日より前に生協に対して提起されていた訴訟と同一または関連する事実である場合は、その「損害賠償請求」は補償できません。
②「損害賠償請求」が、保険契約の開始日において、役員が損害賠償請求を受けるおそれがある状況を知っていた場合で、その状況の原因となる行為に起因する一連の損害賠償請求である場合は、この保険契約では補償できません。
③「損害賠償請求」が、保険契約の開始日より前になされていた役員に対する損害賠償請求の中で申し立てられていた行為に起因する一連の損害賠償請求である場合は、この保険契約では補償できません。
(注1)一連の損害賠償請求は、最初の損害賠償請求がなされた時にすべてがなされたとみなし、最初の損害賠償請求がなされた時の保険契約で補償します。
(注2)本特約を付帯した場合であっても被保険者の範囲は拡大されないため、初年度契約の保険期間の開始日より前に退任した役員は補償対象外となります。
Q15.生協役員賠償責任保険では、裁判外での和解金などは保険金支払の対象とならないのですか。
A15.
裁判での判決や裁判上の和解に限られるものではなく、裁判外での和解であっても法律上の根拠のある損害賠償責任であれば保険金支払の対象となります。しかしながら、役員責任に関する判例が蓄積されていないわが国においては、事実上、裁判外で役員の法律上の賠償責任を決することは困難な場合がほとんどであると考えられます。
役員に刑事責任や明確な法律違反があれば、法律上の賠償責任の有無の判断が比較的容易である場合も想定されます。しかし、このような場合の賠償責任には「犯罪行為」や「法令違反を認識しながら行った行為」など保険上の保険金を支払わない場合に該当するケースが多いといえます。
また、相手方との和解や賠償額の決定にあたっては、事前に当会社の同意を得ることが必要であり、この同意がない場合には保険金はお支払いできません。
役員には損害の防止義務が課せられており、なれあい的な解決は認められるものではありません。
なお、組合員の代表訴訟によることなく、役員が生協との示談により生協に対して和解金を支払ったような場合、これは手続きの形式の如何を問わず、生協からの損害賠償請求に応じて損害賠償金を支払ったものといえ、「生協からなされた損害賠償請求」として保険金はお支払いできません。-(Q12.参照)
したがって、生協役員賠償責任保険で補償される「役員の生協に対する責任」は、実質的に組合員から代表訴訟が起こされた場合に限られることになります。
(注)代表訴訟にいう「訴えの提起」とは、「訴訟を起こすこと」を意味しています。
Q16.保険会社による示談交渉サ-ビスがありますか。
A16.
生協役員賠償責任保険では、示談交渉や弁護士の手配、訴訟対応等のサービスは行いません。
生協役員賠償訴訟では、役員の行為自体の賠償責任の有無が争われ、また、必ずしも役員全員の利害が一致しないことが多いという訴訟の実態もあります。したがって、保険会社に全面的に解決を委ねるよりは、役員自らが弁護士を選任し、積極的に防御を行う方が有効であると考えられます。
Q17.生協と役員の両方に賠償請求をされた場合、生協役員賠償責任保険で生協の責任部分も補償されますか。
A17.
生協の責任部分は生協役員賠償責任保険では補償されません。生協役員賠償責任保険の被保険者はあくまでも役員であり、生協は被保険者ではありません。
役員が職務の遂行により第三者に損害を与えた場合、生協が不法行為責任・債務不履行責任等による賠償責任を負うと同時に、役員個人もその職務に悪意・重過失があったとして賠償責任を負う場合があります。この場合には、役員の責任部分のみが生協役員賠償責任保険で補償されます。-(Q4.参照)
(注)普通保険約款第 25 条(4)には「保険契約者、被保険者および当会社は、会社および被保険者各々が負担すべき金額の▇▇にして妥当な配分を決定するために協力するものとします。」と規定されており、生協および役員の負担額を▇▇に決定し、役員の負担部分のみに対して保険金を支払うこととしています。
Q18.生協が合併した場合、生協役員賠償責任保険の適用はどうなりますか。
A18.
生協が合併した場合、そのままでは合併日以降に行われた行為について、保険金支払の対象とはなりません。
生協の合併形態に合わせ、次の「新設合併の場合」と「吸収合併の場合」に分けて、それぞれの手続きを行うことになります。
1.新設合併の場合
<A生協、B生協とも生協役員賠償責任保険に加入しているとき>
B生協
C生協
A生協
合併日
(合併生協)
合併によって新たな生協が設立された場合、合併前の生協(A生協およびB生協)の保険契約は、保険契約者である生協が消滅するため、合併日をもって解約することになります。
新たに設立された生協(C生協)が引き続き生協役員賠償責任保険に加入する場合、合併日をもって新たに保険契約を締結することになります。
ただし、A生協またはB生協の役員は、合併日以降に、A生協の時の行為やB生協の時の行為にもとづき損害賠償請求を受けた場合、各々の保険契約が解約されていることから、保険の適用を受けられなくなります。
このような弊害を排除するため、「合併に関する特約」を付帯することにより、A生協またはB生協の役員が、各々の保険契約の「初年度契約の保険期間の開始日」以降の行為
について、合併日以降に損害賠償請求を受けた場合でも、C生協の保険契約の適用を受けることができるようにします。
※ 「合併に関する特約」の付帯は、合併日前に生協役員賠償責任保険に加入していた生
協に限られます。将来にわたる合併の有無は保険料見積り時にご提出の、「生協役員賠償責任保険(生協役員賠責)保険料算出質問書」で確認をさせていただきます。
※ 「先行行為補償特約」が自動付帯されているため、既に合併された旧生協(既に存在
しない)の役員が、旧生協当時の保険契約の「初年度契約の保険期間の開始日」の 10年前の応当日以降に行った行為も補償されます。「先行行為補償特約」につきましては、前記Q14-2をご参照ください。
2.吸収合併の場合
<D生協、E生協とも生協役員賠償責任保険に加入しているとき>
E生協
D’生協
D生協
合併日
(合併生協)
合併前のE生協の保険契約は合併日をもって解約します。
D生協は合併による経営内容を反映した追加保険料をお支払いいただくことにより、D生協の保険契約を存続させます。(普通保険約款第 6 条の規定により、当会社の承認がない場合(追加保険料の支払いがない場合を含みます。)、合併後の後に行われた行為は補償できません。)
ただし、E生協の役員は、合併日以降に、E生協の時の行為にもとづき損害賠償請求を受けた場合、保険契約が解約されていることから、保険の適用を受けられなくなります。このような弊害を排除するため、「合併に関する特約」を付帯することにより、E生協の保険契約の「初年度契約の保険期間の開始日」以降の行為について、合併日以降に損害賠償請求を受けた場合でも、D’生協の保険契約の適用を受けることができるようにします。なお、E生協の役員が、引き続きD’生協の役員となった場合には、D’生協の役員と しての行為にもとづく損害賠償請求については、D’生協の保険契約の適用を受けること
ができることはいうまでもありません。
※「合併に関する特約」の付帯は、合併日前に生協役員賠償責任保険に加入していた場合に限られます。なお、合併日前にいずれか一方の生協のみが生協役員賠償責任保険に加入していた場合には、加入していた生協についてのみ「合併に関する特約」の取扱いができます。
(注)合併により消滅した生協(以下「消滅生協」といいます。)の役員は、合併日より後に消滅生協役員時の業務の遂行に起因して損害賠償請求を受けることがあります。たとえば、合併生協の組合員は、消滅生協役員に対し消滅生協に与えた損害を合併生協(合併生協は合併前の権利義務を包括継承します。)に賠償するよう請求する代表訴訟を起こすことができます。
Q19.現在、他の損害保険会社の役員賠償責任保険に加入していますが、生協役員賠償責任保険に切り替えた場合、初年度契約の取扱いはどうなりますか。
A19.
「初年度契約」の保険期間の開始日より前に退任された役員は補償の対象となりませんが、現在他損保で加入があり、本制度に切替いただく場合は、他損保での「初年度契約」が本制度の「初年度契約」となります。よって、他損保での初年度契約以降に退任された役員の方であれば、補償の対象となります。
Q20.「雇用慣行賠償責任補償特約」では、どのような場合に保険金が支払われますか。
A20.
役員が役員の業務として行った不当解雇等、配置・昇進等の差別、セクシャルハラスメントなどの各種ハラスメント、不当な雇用慣行等により損害賠償請求を受けた場合に保険金をお支払いします。
たとえば、「セクシャルハラスメントにより退職せざるをえなくなったとして損害賠償請求を受けた」「パワーハラスメントにより精神的に追い詰められてうつ病になったとして損害賠償請求を受けた」などが想定されます。
【生協役員賠償責任保険の被保険者に関する事項】
Q21.役員の相続人も生協役員賠償責任保険の被保険者となりますか。
A21.
死亡した役員の相続人に対して、役員の生前の行為を原因として損害賠償請求が起こされる場合もあるため、生協役員賠償責任保険では相続人も被保険者とみなします。
(注)民法 896 条は「被相続人の死亡により相続が開始することによって、被相続人の一身専属の権利義務を除く一切の権利義務が相続人に法律上当然に帰属する。」旨を規定していますので、単純承認(全面的・無条件に権利義務を承継する)の場合は、相続人は被相続人に代わって賠償責任を負担しなければなりません。なお、相続の「放棄」または「限定承認」をすることによって賠償責任の負担をなくす、または軽減することもできます。
Q22.どのような「子会社」の役員が被保険者に含まれるのですか。
A22.
この保険で対象となる「子会社」とは、生協がその総株主の総議決権の過半数を有している法人または経営(財務および事業の方針の決定)を支配している法人をいいます。直接所有または支配している場合のほか、「関連会社」などで、子会社を通じて間接的に所有また
は経営を支配している場合も対象となります。
(例)
(A社)
51%所有
(B社)
30%所有
21%所有
協
生
関連会社
子会社
A社,B社とも対象となります。
(注)保険期間の中途で、上記の子会社の要件に該当しなくなった間に行われた行為に起因する損害賠償請求は補償できません。
Q23.対象となる子会社の役員は、生協からの出向役員に限られますか。
A23.
生協から出向・派遺している役員であると、子会社の専任の役員であるとを問わず、当該子会社のすべての役員が被保険者となります。
なお、生協からの出向・派遣役員については、生協においては役員ではなく使用人(職員)であっても、子会社において役員であれば当然対象となり、子会社の役員としての責任が保険で補償されます。
Q24.保険期間の途中で、役員改選がありました。被保険者はどのようになりますか。
A24.
新たに選任された役員も自動的に被保険者となります。当該保険期間であれば、保険料の追徴もありません。
【生協役員賠償責任保険の契約方式・保険料に関する事項】
Q25.生協役員賠償責任保険は役員の個人契約はできないのですか。
A25.
生協が保険契約者となり、その役員全員を被保険者とする構成となっていますので、役員が個人的に生協役員賠償責任保険を契約することはできません。
Q26.生協役員賠償責任保険の保険料は、税務上どのように取扱われますか。
A26.
「生協役員賠償責任保険は、役員が生協に損害を与えた場合に備えた保険であり、加害者
(役員)のために被害者である生協が保険料を支払うのはおかしい」等として、保険料の全額を生協が負担することは会社法上問題ありとする見解があります。そのため、代表訴訟において役員が敗訴した場合(賠償責任を負担した場合)の損害は基本契約では保険金をお支払いできませんので、「株主代表訴訟補償特約」を付帯することにより補償することとします。
これにより、保険料を基本契約と特約に明確に区分し、特約の保険料を役員が負担できるようにしました。特約保険料は、保険料総額の 10%となり、この特約保険料を役員全員で負担することになります。
2021 年 3 月 1 日施行の改正会社法により株主総会の決議により、当該特約保険料を含めた D&O保険料の会社全額負担が可能となることが法制化され、改正会社法と同時施行される
「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」にも同様の規定がおかれ、生協においては理事会の決議により、D&O保険料の法人全額負担が可能となります。なお、従来どおり、特約保険料を役員で負担することも可能です。
賠償請求の形態 | 代表訴訟以外の賠償請求 | 代 表 訴 訟 | ||
勝訴・敗訴の別 | 賠償責任なし (役員勝訴) | 賠償責任あり (役員敗訴) | 賠償責任なし (役員勝訴) | 賠償責任あり (役員敗訴) |
保険金の種類 | 争訟費用 | 損害賠償金争訟費用 | 争訟費用 | 損害賠償金争訟費用 |
約款の構成 | 基 ▇ ▇ 約(普通保険約款) | 株主代表訴訟補償特約 | ||
(参考) 保険料の負担者 | 生 協 | 役 員 | ||
なお、保険料の見積りに際しては、基本契約と特約に区分して保険料を提示します。生協役員賠償責任保険の構成
(※)理事会の決議により、保険料の負担者を生協とすることが可能です。
保険料の税務上の取扱いについては、以下の趣旨で国税庁当局の確認を得ています。
(1)支払保険料の税務処理
① 基本契約の保険料
基本契約に係る保険料を生協が負担した場合、役員個人に対する給与課税を行う必要はなく、生協は当該保険料を経費として損金処理します。
〔代表訴訟以外の賠償請求および代表訴訟で役員が勝訴した場合を補償する保険契約の保険料を生協が負担することは、役員に対する経済的利益の供与にはあたらないということです。〕
② 株主代表訴訟補償特約の保険料
この特約の保険料については、法律上の問題を考慮すると役員の個人負担または役員報酬から天引きする必要があります。
これを生協負担とした場合には、役員に対する経済的利益の供与があったものとして給与課税の対象となります。
この場合、生協は当該保険料を給与(役員報酬)として損金処理します。
ただし、理事会によりこの特約保険料を含め、全額生協負担することが決議された場合は給与課税の対象となりません。
(2)特約保険料を役員で負担する場合
(2-1)保険料負担の配分方法
① 特約保険料の役員間の配分について
理事の報酬の総額および監事の報酬の総額は定款または総会・総代会等の決議により定めることになっていますが、通常その配分は理事会および監事の協議に委ねられています。
したがって、特約保険料の役員間の配分は、理事会および監事の協議により、次のいずれかの方法等の合理的な基準により配分を行った場合には、課税上許容されます。
ア.役員の人数で均等に分担する方法
〔無報酬あるいは僅少な役員報酬しか得ていない者への配分割合を縮小もしくは配分しない方法を含みます。〕
イ.役員報酬に比例して分担する方法
ウ.法律上の区分〔代表理事・理事・監事〕別に分担する方法
(2-2)保険料の税務処理上の留意点
① 役員間の配分割合
役員間の配分にあたり、著しく恣意的な配分を行った場合は、税務処理が否認されます。たとえば、僅少な役員報酬しか得ていない者への配分割合を著しく高くした場合などです。
② 役員報酬からの天引き方法
役員報酬は定額定時に支払われるものであり、一時的に定額以上の報酬が支払われた場合は、定額を越える部分は役員賞与として取扱われます。[法人税基本通達 9-2-13]そのため、特約保険料の個人負担相当額を一時に役員報酬に上乗せする方法をとった場合、役員賞与とみなされ損金不算入となります。なお、次のような方法をとった上、毎月の役員報酬に均等に上乗せすることは税務上否定されるものではないと解されます。
ア.生協が保険契約締結前の役員報酬の中から一時に天引きする。イ.保険契約を分割払とし、毎月の役員報酬の中から天引きする。
③ 保険料負担の免除
記名子会社の役員で、その記名子会社が 100%子会社等、代表訴訟リスクがない役員の場合は、特約保険料の負担はありません。
④ 退任役員の保険料負担
退任役員からは特約保険料を徴収する必要はありません。
(在籍中にリスクに対応する保険料は、すでに負担済であるとの考えです。)
⑤ 執行役員の保険料負担
「執行役員」には代表訴訟リスクはないため、特約保険料を「執行役員」個人が負担する必要はありません。
Q27.生協役員賠償責任保険の保険料はどのように算出されるのですか。
A27.
生協役員賠償責任保険の保険料は、資産規模、業歴、財務内容、合併の有無、その他の諸状況を勘案し、契約条件(期間中支払限度額、免責金額(自己負担額)、縮小支払割合)にもとづき個別に決定されるため、「保険料算出必要書類」(保険料算出質問書、直近年度 1 年の事業報告書(財務諸表等))を提出いただき算出します。
なお、保険料は保険契約の継続手続き(1年単位)の都度、算出します。保険契約の継続手続きの前に「保険料算出必要書類」を提出いただきます。
* 日本生協連を保険契約者とし、スケールメリットをいかした保険料となっています。
【生協法・会社法に関する事項】
Q28.2008 年施行の生協法(会社法準用)における代表訴訟制度の改正のポイントはどのようなものですか。
A28.
2008 年施行の改正生協法(会社法準用)の内、代表訴訟制度に関する改正のポイントは以下のとおりです。
項 目 | 改 正 前 | 改 正 後 |
役員の生協に対する責任軽減の限度 | なし | 代表理事 :報酬などの 6 年分理 事 :報酬などの 4 年分 監 事 :報酬などの 2 年分 |
役員の生協に対する責任軽減の方法 | なし | 総会・総代会の特別決議による方法 |
監事の考慮期間 | なし | 生協役員の責任を追及する訴えの提起の請求があった日から 60日以内 |
役員を補助するために生協が行う訴訟への参加 | 監事の同意で、生協が役員を補助するために組合員代表訴訟に参加の申出をすることができる。 | 監事の同意で、生協が役員を補助するために代表訴訟に参加する ことができる。 |
不提訴理由の説明 | なし | 考慮期間(60日)内に代表訴訟を提起しない場合は、提訴請求をした者に対し、訴えを提起しない理由を書面等により通知しなければならない。 |
Q29.役員の生協に対する責任の軽減とはどのようなものですか。
A29.
役員が法令、定款に違反した行為によって生協に損害を与え、賠償責任を負担した場合について、生協に対する役員の責任を一定の額を限度に軽減することができる規定をいい、生協法 31 条の 3 第 4 項に規定されています。ただし、故意、重大な過失がある行為、生協法施
行(2008 年 4 月 1 日)前の行為は、責任軽減の対象になりません。
役員の責任を軽減するには、各監事の同意を得た上で、総会・総代会に責任軽減の提案を行い、特別決議(3 分の 2 以上の賛成を得る)により決議されなければなりません。
役員の責任を軽減する限度は、下表のとおり報酬などの 2~6 年分ですから、軽減の決議を受けた場合でも少なくとも報酬などの 2~6 年分の責任は負うことになります。
代表理事
理 事
監 事
:報酬などの 6 年分
:報酬などの 4 年分
:報酬などの 2 年分
Q30.代表訴訟における役員側への補助参加とはどのようなものですか。
A30.
「補助参加」は、民事訴訟法第 42 条に規定されている制度です。
生協法 31 条の 8 で準用する会社法第 849 条(訴訟参加)に「株主又は株式会社は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及等の訴えに係る訴訟に参加することができる。ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。」と規定されています。ただし、生協が被告役員を補助するため、代表訴訟に参加する場合は、会社法 849 条第 3 項の規定により監事の同意を得る必要があります。
【医療福祉生協用】
Q31.生協役員賠償責任保険と医師賠償責任保険の違いはどのようなものですか。
A31.
生協役員賠償責任保険は、これまでの記載のとおり「生協の役員としてその業務で行った行為」により、生協や第三者より提訴された場合に、その訴訟費用や法律上の損害賠償金(判決金額、和解金など)をお支払いするものです。
また、医師賠償責任保険は、「医療行為を行ったことによる医療上の過失」や「医療施設の使用・管理上の不備や給食等の欠陥」が原因で、患者の身体に障害を与えてしまった場合、または、財物の損害、人格権侵害等により患者やその遺族(親族)に対する、法律上の損害賠償金(治療費、休業損失、慰謝料など)およびその訴訟費用をお支払いするものとなっています。
【2021 年 3 月 1 日の改正生協法に関する事項】
Q32.生協が役員賠償責任保険の保険料を全額負担する場合、生協として行う事項を教えてください。
A32.
保険料負担者の決定を含めて理事会の決議が必要になります。
Q33.理事会の決議は毎年必ず行わないといけないでしょうか。
A33.
役員賠償責任保険の更新において、契約内容の変更の有無に関わらず、「更新」も「締結」に含まれるという解釈から、契約条件に変更がない場合も理事会の決議は必要となります。
Q34.理事会で決議する具体的な内容はどのようなものでしょうか。
A34.
明確には定められておりませんが、役員賠償責任保険における内容とは以下のような主たる事項と考えます。
保険者、被保険者の範囲、保険事故の内容、保険料総額、支払限度額、主な免責事由、免責金額、特約など。
また、代表訴訟特約部分の保険料を生協が負担とする場合は、保険契約の内容の一部としてその旨も決議項目としてください。
Q35.事業報告書への記載する内容はどのようなものでしょうか。
A35.
2021 年以降に締結した役員賠償責任保険契約について、以下の項目の記載が必要になります。
① 役員賠償責任保険の被保険者の範囲
② 保険契約の概要
Q36.補償契約とはどのような契約ですか。
A36.
補償契約とは役員が業務上の賠償責任を負った際に、これまで役員の個人負担であった損害賠償金や争訟費用を、法人が役員に対して補償する、法人と役員間の契約をいいます。ただし、補償契約を締結している場合であっても次に掲げる費用は対象外となります。
●責任の追及に係る請求を受けたこと等に対処するための支出費用のうち通常要する費用の額を超える部分
●代表訴訟や生協訴訟の損害賠償金(争訟費用は、代表訴訟や生協訴訟も対象となります。)
●役員が職務を行うについて、悪意または重過失があった場合
2021 年 3 月施行日後に補償契約の内容を決定する(変更する)場合、理事会の決議が必要です。
今回、会社法で規定が新設されたことを受けて、生協法でも規定が新設されましたが(新法第 31 条の 6)、生協で契約を結んでいる事例は少ないと思われます。
Q37.補償契約と役員賠償責任保険の関係性について教えてください。
A37.
役員賠償責任保険について 2021 年 4 月以降保険始期日とする契約には会社補償特約が付帯されています。会社補償特約では役員が被る損害について、記名法人が、法律、契約または定款等に基づいて適法に役員に対して損害の補償を行うことにより記名法人が被る損害に対して保険金をお支払いします。すなわち、役員が業務上の賠償責任を負った際に、これまで役員の個人負担であった損害賠償金や争訟費用を法人が補償契約(新法第 31 条の 6 に基づく補償契約、Q36 参照)に基づき補償した場合、保険金の支払先が被保険者である役員個人ではなく、費用を負担した記名法人になります。ただし、補償契約により、法人が補償した場合であっても、保険金支払対象となる損害は役員賠償責任保険で対象となる損害に限られ、補償契約において法人が補償したすべての損害が対象となるわけではありません。
補償契約を法人と役員間で締結されておらず、役員が業務上の賠償責任を負ったことによる損害賠償金を役員個人が負担した場合には、会社補償特約によることなく、役員個人に対して保険金が支払われます。
Q38.役員が変更になりました。役員賠償責任保険の被保険者が変わることで、改めて理事会の決議は必要になりますか。
A38.
役員賠償責任保険では被保険者を「記名法人の役員」としており、役員個人を特定していません。したがって、役員賠償責任保険の内容の変更とはとらえないことから、改めて役員賠償責任保険契約の内容に関する理事会の決議は不要となります。
Q39.被保険者に子会社の役員も含まれています。役員賠償責任保険契約の内容の決定において親会社が保険契約する場合でも子会社にて株主総会の決議が必要ですか。
A39.
親会社の役員賠償責任保険において被保険者に子会社役員が含まれている場合には、当該保険契約は親会社が保険会社との間で締結する保険契約であり、子会社にとっての役員賠償責任保険でないことから、子会社において株主総会の決議は不要となります。
■当該文書は日本生協連の生協役員賠償責任保険制度(会社役員賠償責任保険)の Q&A になります。補償の内容については日本生協連の生協役員賠償責任保険制度(会社役員賠償責任保険)パンフレットをご参照ください。
(お問い合わせ先)
●取扱幹事代理店 株式会社アイアンドアイサービス
〒151-0051 ▇▇▇▇▇区千駄ヶ谷 4-1-13 コープ共済プラザ Tel.▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇ / Fax.▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇
●引受幹事保険会社 共栄火災海上保険株式会社
団体組織開発部 営業課
〒105-8604 ▇▇▇港区新橋 1-18-6
Tel. ▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇ / Fax. ▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇
承認番号:B21-0337-20220524
