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工事請負契約書約款第 25 条6項(インフレスライド条項)の適用について
1 工事請負契約書約款第 25 条6項の適用
工事請負契約書約款第 25 条6項(以下、「インフレスライド条項」という。)を適用することとする。
2 インフレスライド条項の要旨
「予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、契約金額が著しく不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各項の規定にかかわらず、契約金額の変更を請求することができる。」と規定されている。
3 インフレスライド条項適用の背景
(1)「令和4年3月から適用する公共工事設計労務単価」(以下、「xxx単価」という。)及び「令和4年3月から適用する設計業務委託等技術者単価」(以下「新技術者単価」という。)について国は、最近の技能労働者の不足等に伴う労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映するとともに、社会保険への加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を反映し、xxxでは「令和3年3月から適用する公共工事設計労務単価」(以下、「旧労務単価」という。)と比して約 1.9%上昇した。
さらに、国では、令和4年3月以降に契約を行う工事又は設計等委託のうち、旧労務単価又は「令和3年3月から適用する設計業務委託等技術者単価」
(以下「旧技術者単価」という。)を用いて予定価格を積算した案件について、工事の受注者又は設計等委託の受注者が、xxx単価又は新技術者単価に基づく契約に変更するための協議を発注者に請求することができるよう、特例措置を定め、各自治体においても、これを参考に適切な運用に努めるよう要請している。このことについて、xxxにおいても、国と同様の取扱いを実施することとしている。
(2)本区においても労務単価の上昇を考慮して、令和4年3月 28 日付け3総経発 第 11926 号区長決定『「令和4年3月から適用する公共工事設計労務単価」及び「令和4年3月から適用する設計業務委託等技術者単価」の運用に係る特例措置について』において、令和4年3月1日以降に契約を締結する工事又は設計等委託のうち、旧労務単価又は旧技術者単価を用いて予定単価を積算している工事又は設計等委託を対象に、xxx単価又は新技術者単価に基づく契約に変更するための協議を請求することができることとした。
(3)令和4年2月 28 日以前の契約については(2)の決定に該当していないが、本条項の賃金水準又は物価水準の変動により契約金額が不適当となった場合という趣旨を考慮し、適用することとする。ただし、令和4年2月 28日以前に契約を締結した設計等委託については本措置の適用外とする。
(4)xxxにおいても、特例措置に伴い本条項の適用について決定している。
4 適用範囲
次の全てに該当する場合に適用対象とする。
(1)令和4年3月 1 日が工期内にあること。
(2)残工期が2月以上あること。
インフレスライド条項の取扱いについて
1 適用対象工事
2(3)の残工期が原則として2月以上ある工事を対象とする。
工期内に賃金水準の変更(公共工事設計労務単価の改定)がなされた時以後に受発注者間で適用対象工事であることを確認の上、スライド請求することができる。
2 定義
(1)請求日
インフレスライド条項の規定により、受注者が契約金額の変更の請求を書面により提出した日とする。
(2)基準日
インフレスライド条項の規定によるスライド額算出の基準とする日をいい、出来高を算定する基準となる日、賃金水準及び物価水準の変動後単価の基準となる日。請求日と同じ日とすることを基本とし、請求日から起算して
14 日以内で発注者と受注者とが協議して定める日とする。
(3)残工期
基準日以降の工期までの工事期間とする。ただし、基準日までに契約変更を行っていない場合でも先行指示等により工期延長が明らかな場合には、その工期延長期間を考慮する。
(4)出来形数量
基準日における既済部分に係る設計数量
(5)スライド額
5により算出した契約変更の対象となる額
3 請求方法
(1)変更請求
受注者がインフレスライド条項の規定により、契約金額の変更を請求する場合、対象工事が1で示す条件に全て該当することを確認の上、書面(様式
1-1)により工事主管課に提出するものとする。合わせてスライド条項を適用するかを判断するため、概算スライド額計算書(様式1-2)を添付する。スライド請求は、直近の賃金水準の変更から次の賃金水準の変更がなされるまでに行うこととする。
(2)協議開始日及び基準日の通知(様式2)
工事主管課は、スライド額協議開始日及び基準日を定め、請求日の翌日から起算して7日以内に、受注者に通知する。
4 出来形数量の確認
(1)スライド額の基礎となる残工事量を算出するため、工事主管課は、請求日から 14 日以内に、基準日時点における出来形数量の確認を行う。
受注者は、出来形数量の確認に当たり、必要な資料を提出する。
(2)出来形数量の確認は、工事設計内訳書等に対応して行う。
(3)出来形数量の基本的な扱い
ア 現場搬入材料について、監督員が搬入を確認したものは出来形数量として取り扱う。
イ 工事設計内訳書等で一式計上した仮設工事等について、出来形数量の対象とする場合、その数量は発注者の積算に係る数量とする。
ウ 各工事におけるア及びイの詳細については、工事主管課へ確認する。
(4)受注者の責めに帰すべき事由により工事が遅延していると認められる部分は、出来形数量に含めるものとする。
5 スライド額の算出
(1)スライド額は、次式により算出するものとする。 S=[P2-P1-(P1×1/100)]
この式において、S、P1及びP2は、それぞれ次の額を表するものとする。 S :スライド額
P1:変動前残工事金額(契約金額から基準日における既済部分に相応する契約金額を控除した額)
P1=α×Z1 P2:変動後残工事金額(変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した
(P1)に相当する額) P2=α×Z2
α :落札率(当初契約金額/予定価格)(有効数字は積算基準による) Z1:発注者の積算金額から基準日における既済部分に相応する積算金額を
控除した額
Z2:変動後の賃金又は物価等を基礎として算出した(Z1)に相当する額
(2)P1及びZ1の算出に用いる単価は、起工時における積算単価とする。
(3)P2及びZ2は、基準日の物価指数等(積算に使用する単価の変動率)により定めることとし、残工事に係る全ての単価を基準日時点のものに入れ替えて算出する。ただし、受発注者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は、別途の物価指数を用いることができる。
なお、消費税及び地方消費税の税率の改正による増額分は除く。
(4)P2及びZ2を算出する際に用いる単価については、基準日時点の積算単価とする。
(5)(4)によることが著しく不適当であると認められる場合には、受発注者の協議によることとする。
(6)発注者から協議書(様式3)により受注者にスライド額(案)を提示し、異議のない場合は、スライド額協議開始日の翌日から起算して 14 日以内に承諾書(様式4)を提出する。
なお、スライド額協議開始日から 14 日以内に協議が整わない場合には、発注者がスライド額を決定し、通知する(様式5)。
6 契約変更の時期
原則として、xx区工事施行規程に基づきスライド額の決定後、速やかに行う。ただし、工期末の精算変更時に行うこともできることとする。
(参考)工事請負契約書約款抜粋
第25 条(賃金又は物価の変動に基づく契約金額の変更)
6 予期することのできない特別の事情により、工期内に日本国内において急激なインフレーション又はデフレーションを生じ、契約金額が著しく不適当となったときは、発注者又は受注者は、前各項の規定にかかわらず、契約金額の変更を請求することができる。
7 前2項の場合において、契約金額の変更額については、発注者と受注者とが協議して定める。ただし、協議が整わない場合にあっては、発注者が定め、受注者に通知する。