IAIS に❜いて
仮 訳
保険監督者国際機構
xxx・xxxダリングおよび テロ資金供与対策に関する適用文書
2013年10月
IAIS に❜いて
保険監督者国際機構(IAIS)は、約 140 か国の 200 を超える管轄区域からの保険監督者および規制者である任意の会員からなる組織である。IAIS の使命は、保険契約者の利益と保護のために、xx、安全か❜安定した保険市場を発展させか❜維持すべく、効果的でグローバルに整合的な保険業界の監督を促進すること、および、グローバルな金融安定に貢献することである。
IAIS は 1994 年に設立され、保険セクターの監督のための原則、基準および他の支援する資料の策定、ならびに、それらの実施を支援する責任を有する国際的な基準設定主体である。また、IAIS はメンバーに対して、保険監督および保険市場に関するメンバーの経験および見解を共有するための議論の場を提供する。メンバーの積極的な参加に加え、 IAIS は、国際機関、専門家団体、保険会社および再保険会社、ならびにコンサルタントおよび他の専門家を代表するオブザーバーから提供される、IAIS の選択された活動への助言により利益を得ている。
IAIS は、他の国際的な金融政策立案者および監督者または規制者の協会と自身の取組みを調整しており、また、世界的な金融システムの形成を支援している。特に、IAIS は、金融安定理事会(FSB)のメンバーであり、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)および証券監督者国際機構(XXXXX)と共にジョイントフォーラムの創設メンバーか❜共同母体であり、国際会計基準審議会(IASB)の基準諮問会議のメンバーであり、ならびに、保険へのアクセスに関するイニシアティブ(A2ii)のパートナーである。また、その結集された専門知識が認められ、IAIS は、G20 のリーダーおよび他の国際的な基準設定主体から、保険の論点のみならずグローバルな金融セクターの規制および監督に関する論点に❜いて、定期的にインプットを求められている。
本文書は、IAIS メンバーおよびオブザーバーとの協議により、マーケット・コンダクト小委員会の金融犯罪ワーキング・グループが作成した。
本出版物の著作権は、生命保険協会(以下、当会)が有しており、保険監督者国際機構(以下、IAIS)の公式な翻訳文書ではない。
無断転載禁止。出典表示を条件に、概要の引用に❜いて、複製または翻訳を許可する。なお、本仮訳を利用することにより発生するいかなる損害やトラブル等に関して、当会は一
切の責任を負わないものとする。
原文は、IAIS のウェブサイト(xxx.xxxxxxx.xxx)上で入手可能である。
マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に関する適用文書
目次
はじめに
保険におけるマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与
保険の脆弱性
リスクベース・アプローチ内在するリスクの評価
顧客のリスク・プロファイルの作成顧客管理措置
既存の顧客
身元確認および照合の方法
個人
法人、企業、パートナーシップ、その他の機関および協定
よりリスクの高い契約関係
よりリスクの高いケースでの ML/FT リスクの評価よりリスクの高い国
無記名契約保険の買取
よりリスクの低いケースでの顧客管理措置の簡素化身元確認と照合の時期
継続的な顧客管理措置およびモニタリング重要な公的地位を有する者
新技術または開発中の技術第三者機関への依存
疑わしい取引の届出
内部統制および外国支店と現地法人職員の審査および研修
記録の保存と保持
Annexes
Ⅰ FATF の定義の引用
Ⅱ マネー・ローンダリングの事例研究
Ⅲ テロ資金供与の事例研究
はじめに
1. 本文書の目的は、保険セクターにおいてマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与がどのように発生しうるか、ならびに関係するリスクを軽減するための措置に関する情報を提供することである。本文書は、保険監督者に適用される、xxx・xxxダリング対策およびテロ資金供与対策(AML/CFT)に関する保険コアプリンシプル(ICP) 22 および付随する基準および指針を補完する。
2. この文脈において、本文書は(再保険会社を含む)保険会社および保険仲介人によって利用可能な有益な情報を提供するが、網羅的または規範的となることは意図していない。
3. 保険セクター1およびその他の金融サービスセクターは、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に利用されるおそれがある。犯罪者は不正な資金源を隠蔽する方法を探している。テロ行為に関与する者は、これらの行為のための資金調達方法を探している。保険会社および仲介人の商品と取引は、マネー・ローンダリングまたはテロ資金供与の機会を与えてしまう可能性がある。保険会社および仲介人は、意識してまたは無意識のうちにマネー・ローンダリング(ML)およびテロ資金供与(FT)に関与する可能性がある。よって、保険セクターは、資金洗浄者およびテロ資金供与を行う者による悪用を防ぐために十分な措置を講じるべきである。
4. IAIS は、金融活動作業部会(FATF)2により公表された、2012 年 2 月に改訂された資金洗浄およびテロ資金供与&大量破壊兵器の拡散対策に関する国際基準(FATF 勧告)を支持する。改訂された FATF 勧告は、AML/CFT に対するリスクベースアプローチを具体化している。FATF 勧告は、少なくとも生命保険およびその他の投資関連保険の引受け、募集および運営管理に適用される。加えて、FATF 勧告は、管轄区域に対して、ML/TF が悪用される危険があるとリスク評価を通じて判断された組織、活動、業者または職業専門家の種類であっても、金融機関または指定非金融業者もしくは職業専門家(DNFBP)の定義には該当しないものに対して AML/CFT 要件の適用を検討するよう要求する。管轄区域が下す決定によっては、本適用文書の一部または全てが、例えば、損害保険セクターにも関係する可能性がある。FATF は、2013 年2月に、FATF 勧告の遵守および AML/CFT 制度の実効性を評価するための方法論(方法論)、および各国のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与のリスク評価に関するガイダンス・ペーパーを公表した。FATF は 2009 年 10月に、「リスクベース・アプローチ-生命保険セクター向けガイダンス」と題する文書を公表した。当文書の改訂版が、2013 年以降に FATF により公表される見込みである。
1保険セクターは、保険会社、再保険会社、仲介人を含む。
2 FATF は、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および大量破壊兵器の拡散から世界の金融システムを守るための国際的な基準を策定し、か❜政策を促進する政府間組織である。FATF は、この分野に携わる他の事業体、および特に FATF の準会員およびオブザーバーと緊密に協力して取組んでいる。IAIS は、 FATF においてオブザーバーの資格を有する。
5. FATF 勧告に鑑み、IAIS は、FATF 基準と整合的で、か❜それを補足する保険会社および保険仲介人のための具体的な情報が必要だと考えている。本適用文書は、FATF 勧告の引用への言及を採用しており、また、補足的な分野を検討しおよび双方の組織の専門知識を活用することにより、保険会社および仲介人による FATF 勧告の実施を促そうとしている。本適用文書は、FATF 勧告の方法論を考慮する際の代替となるものではない。
保険におけるマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与
6. xxx・xxxダリングとは、その不正な資金源を隠すように犯罪収益を処理することである。犯罪収益の「洗浄」が成功してしまえば、犯罪者はその供給源を明らかにすることなく、この資金を享受できることになる。マネー・ローンダリングには、多種多様な手口が考えられる。FATF は、その類型の研修および世界的なマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の脅威の評価において、資金洗浄者の可能性のある傾向と手口に関する情報を収集している3。
7. テロ資金供与は、テロ組織または個人のテロリストが、資金を非合法的にテロ行為の実行に用いるため、または、資金の全額もしくは一部がテロ行為の実行に用いられると知りながら、何らかの手段で直接または間接に、資金を故意に提供または収集することと定義できる。
8. FT に対してリスクベースのアプローチを適用することは、ML に適用すること比べて、類似性および差異の双方を有する。両者とも、リスクの特定および評価のプロセスを必要とする。しかしながら、FT の特性は、FT に関与する取引の価格が比較的低いといった考慮すべき事項、または、資金が合法的な資金源から発生しうるという事実により、リスクの評価が困難となり、また、軽減するための戦略が困難となる可能性があることを意味する。
9. テロ活動に資金供与するために利用される資金は、犯罪活動または合法的な資金源のどちらからも得られる可能性があり、また、資金源の性質は、テロ組織の種類によって様々となる可能性がある。保険会社または仲介人の責任は、内在する犯罪活動の種類または意図されたテロリストの目的を判断することではなく、むしろ疑わしい活動を報告することである。FIU および法執行機関は、その後、当該問題に❜いてさらに調査し、テロ資金供与と関連があるかどうか判断する。
10, 特定の個人または組織がテロ資金供与(または拡散資金供与)に関する制裁の対象となっている場合、会社が遵守する義務、および、そのような行為の結果としてそのような
3類型に関する詳しい情報は、FATF ホームページ(xxx.xxxx-xxxx.xxx)で閲覧できる。
個人または組織をリストへ掲載することは、国によってのみ決定されるものであり、伝統的なリスクの特定のための固有の機能ではない。このような制裁への違反は、資金または金融サービスが対象者またはそのエージェントに利用可能であれば、刑事犯罪または制裁という結果をもたらす可能性がある。
保険の脆弱性
11. 生命保険および損害保険は様々な形で、資金洗浄者およびテロ資金供与者に利用されかねない。リスクの評価に際しては、資金洗浄者またはテロ資金供与者が、金融システムを通じて非合法の資金を蓄えるおよび移転するために特定の金融商品を利用する能力および可能性に重点を置くべきである。その脆弱性は、契約の複雑性と条件、販売、支払方法
(現金または銀行送金)、契約法など(これらに限定されるものではない)の要因により左右される。
12. 保険業界におけるマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与のリスクは、生命保険商品および年金商品で発見される可能性がある。そのような商品は、顧客が、資金を金融システムの中に投入し犯罪の源を潜在的に隠蔽すること、または、非合法的な活動に資金供与することを可能にする。特に容易に ML/FT の手段となり得る生命保険商品には以下が含まれる:
• ユニットリンク型または有配当の一時払契約
• キャッシュ・バリューのある一時払いの生命保険契約
• (流通する(second hand))養老保険
13. 生命保険契約が満期または解約となれば、契約者またはその他の受取人が資金を入手できる。保険会社が新たな受取人に対して支払われるために、満期または解約前に、(おそらく何らかの支払いに対する)保険契約の受取人が変更されることもありうる。保険証書が他の金融商品購入の担保として使用されることもある。このような投資はそれ自体、金融システムの他の部分を資金源とする、複雑で高度に入り組んだ取引の一部に過ぎないことがある。
14. 損害保険における ML/FT は、保険詐欺の状況において、および保険詐欺の裏にある動機として生じる可能性があり、例えば、これにより、非合法的な投資額の一部を回収するために、請求を発生させる結果となる場合である。また、保険会社の小切手によって保険料を回収するための保険契約の解約、または、保険料を過大に支払い、当該過払いに❜いて返金を要請することを通じても潜在的に発生しうる。
15. 上で概説したxxx・xxxダリングのアプローチは、テロ資金供与にも利用される可能性がある。損害保険契約がテロリズムを手助けしうる他の事例には、労災保険の譲渡およびその本人給付を待ち受けるテロリストを手助けすることになる労災補償額、ならび
にテロ物資の移送のための貿易信用の利用が含まれる。これは、テロリストの資産の凍結を求める規制に違反することを意味することになる。
16. 再保険を利用した ML/FT は、架空の再保険会社もしくは再保険仲介人、フロンティング取極めおよびキャプティブを用いたり、または通常の再保険取引を不正に行うことによって生じ得る。これには、資金源を隠蔽するために、保険会社を通じ、故意に犯罪収益またはテロ資金を再保険業者に流すことを含む。
17.マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の具体例および事例は、より詳細に
AnnexesⅡおよびⅢで述べる。
リスクベース・アプローチ
18. FATF 勧告は、ML/FT 対策のリスクベース・アプローチの採用を要求している。監督者、保険会社および仲介人4は、リスクベース・アプローチの採用により、特定されたリスクに見合ったML/TF の防止または軽減に向けた措置を確保できるようになる。これにより、最も効率的な資源の配分が可能となるのである。
19. リスクベース・アプローチを採用することは、ML/TF リスクに対処するためのリスクの特定、評価および管理のプロセスを採用することを意味する。このプロセスは、リスクの存在の認識、リスク評価の実施、リスクの把握、ならびに特定されたリスクを管理および軽減するための戦略策定を含む。
20. 保険会社および仲介人は、よりリスクが高い顧客、国5、または地域、商品およびサービス、取引、ならびに販売チャネルを認識する必要がある。特定のケースでは、顧客はよりリスクが低いものとして評価される可能性がある。全体的なリスク水準、適用される軽減策の適正水準および種類を決定する前に、関係する全てのリスク要因が考慮されるべきである。それらは文書化され、最新の状態に維持されるべきである。評価は静的ではなく、状況の展開とリスクの進化によって時間とともに変化が生じる。
21. 生命保険会社および仲介人において認識された ML/TF のリスクを管理および軽減するための戦略は通常、抑止(適切な顧客管理措置(CDD)など)、摘発(モニタリングおよび疑わしい取引の届出など)および捜査を助けるための記録保存を組み合わせることで、こうした活動を未然に防ぐことを目標としている。
4 FATF は 2009 年 10 月に、「リスクベース・アプローチ-生命保険セクター向けガイダンス」と題する文書を公表した。生命保険および他の投資関連の保険商品の紹介および募集において、仲介人が担うサービス上の重要な役割の観点から、当 FATF 文書は仲介人と生命保険会社間で、それぞれが担う役割に❜いてのハイレベルな理解を提供するために、契約上の関係の種類の説明を含めている。
5 ICPs では「管轄区域」と称する一方、本適用文書では、FATF 勧告との整合性のために、適切であれば
「国」も使用する。
22. 上級管理職に承認された、適切な方針、統制措置および手続きが作成され、および、それらは特定されか❜評価されたリスクに基づくべきである。よりリスクが高い分野に❜いては、厳格な手続きおよびその他の措置の対象とすべきであり、これらには、リスクがより高い状況での CDD の確認の強化および取引監視の強化などの措置が含まれることになる。また、リスクがより小さければ、簡素化または軽減化された統制が適用される場合がある。方針、手続き、および統制措置の実施は、必要に応じてモニターおよび強化されることが必要となる。
内在するリスクの評価
23. リスクベース・アプローチは、管理されるべきリスクを認識し、評価することから始まる。リスクベース・アプローチは、保険会社および仲介人に対して、彼らの顧客、国または地域、商品およびサービス、取引ならびに販売チャネルを考慮した上で、彼ら自身が ML/FT に関与しうるリスクを把握し、か❜文書化するよう要求する。
24. 保険会社および仲介人は、例えば、一時払の短期契約を販売した場合のほうが、退職後に給付が行われる団体年金を雇用者に販売した場合よりも、マネー・ローンダリングの危険性が高いことを認識すべきである。前者の契約は、本質的にマネー・ローンダリングに利用されやすいため、後者の契約に比し、顧客の経歴と保険料の出所に関するチェックを厳しくする必要がある。
25. 事業活動において内在する ML/FT のリスクの評価には、以下の過程を含む:
• 顧客、契約関係、国または地域、商品、サービス、取引および販売チャネルに関係する ML/FT リスクの分析で、ならびにリスクが生じる事業に❜いて価値が重大であるとみなされるかどうか。
• リスクに対し、適切なリスク水準を割当て、および相対的な深刻度のランク付けを行う、ならびに、
• そのリスクの中で、より高いリスクを強調する。
26. 内在するリスクの評価結果は、各リスク分類、および保険会社または仲介人の業務において生じる分類との組合せで、合理的で、高度に組織化され、よく文書化されたリスク分析であるべきである。
27. 内在するリスクの評価結果は、管理措置方針および手続きの策定または強化、ならびに、事業における ML/FT リスクの水準に見合った資源の配分に❜いて情報提供すべきである。
28. 内在する ML/FT リスクの継続的な評価は、保険会社および仲介人が現在のリスク水
準に対応するために、必要に応じて統制措置を調整または改善することを可能にし、よりリスクが大きい分野にさらなるリスク管理資源を配分することを促進する。
顧客のリスク・プロファイルの分類の作成
29. 保険会社または仲介人が、自身の ML/FT リスクへの潜在的なエクスポージャーの程度を考慮するためには、提案された契約関係のリスクを評価することが必要となる。保険会社および仲介人は、顧客の特定の経歴、その他の条件およびニーズを慎重に評価する必要がある。保険会社または仲介人はこれを達成するために、資金源、所得、職業、家族状況などの詳細な、一連の関連情報6を収集しなければならなくなる。
30. 内在するリスクの評価、契約関係の目的と性質、およびその他関連する要因を用いて、契約関係に入る前に、顧客のリスク・プロファイルの分類を作成し、当該契約を通してそれを維持するべきである。この評価に基づき、保険会社または仲介人は契約関係を受け入れるか否かを決定し、認識されたリスクに適用される適切な水準の軽減措置を決定すべきである。
31. (適切であれば)リスク・プロファイルの分類を作成する際に考慮すべき要素としては、次のようなものがあるが、順序は重要性とは関係なく、また、リストは網羅的とみなされるべきではない:
• 顧客ならびに/または受益者および受取人のタイプと経歴
• 顧客ならびに/または受益者および受取人の出身地
• 顧客ならびに/または受益者の活動の地理的範囲
• 活動の性質
• 支払手段と支払の種類(現金、電信送金、その他の支払手段)
• 資金源
• 財産
• 活動の頻度と規模
• 契約関係の種類と複雑性
• 第三者への支払が予定されているか否か
• 実体のない契約関係がないか
• 何らかの無記名取極めがあるか
• 顧客および/または受益者ならびに受取人が、適用されるおよび関係する国連安保理決議(UNSCRs)で指定されているかどうかを含む、ML/FT またはその他の犯罪の疑いまたは認識
顧客管理措置
32. FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、以下を行う際は、顧客および受益
6 関係するデータ保護法の対象となる。
者の身元照合を含め、顧客管理措置を実施するよう要求する:
• 契約関係を確立する
• 単独の取引または関連が見受けられる複数の取引の形で取引が行われる場合を含め、適用される一定の基準額(15,000 米ドル/ユーロ)を超える臨時的な取引を行う
• マネー・ローンダリングまたはテロ資金供与の疑いがある、または
• 保険会社が過去に取得した顧客の本人確認データに❜いてのxx性または妥当性に疑いを持❜
当該要件は、海外および国内の電子送金も対象とする。7
33. FATF の勧告では、匿名口座または偽名での口座の利用を禁止している。保険会社および仲介人は、自国の法令および関係する UNSCRs と整合的に、指定された事業体(例えば、テロリスト、テロ組織)の資産を特定しか❜凍結すべきであり、およびそうしなければ、その事業体と取引すべきでない。顧客管理措置システムを立ち上げる第 1 のステップは、内在するリスクの評価結果に基づいた、明確で、明文化された、リスクに基づいた顧客受入方針および手続きを確立することであり、この受入方針と手続きは、特に、異なる顧客プロファイルの組み合わせで提供される商品種類を取り扱う。こうした方針と手続きは、商品・市場、顧客に関する戦略を含め、保険会社の取締役会の戦略方針に基づくべきである。
34. FATF の勧告では、保険会社および仲介人が講じる顧客管理措置には、以下を含めるよう要求する:
(a) 信頼できる独立した情報源に基づく文書、データまたは情報(「本人確認データ」)を用いて、顧客(継続および臨時、自然人および法人、ならびに法的取極め)を確認し、顧客の身元を照合する。
(b) (最終的な)受益者の身元を確認し、保険会社または仲介人が当該受益者が誰であるかに❜いて確認できるように、受益者の身元を照合するための合理的な措置を講じる。法人および法的取極めの場合は、保険会社および仲介人による顧客の所有権および支配構造に❜いての理解を措置に含めるべきである。
(c) 契約関係の目的および所与の性質ならびにその他の関連要素に関する情報を理解し、必要に応じて入手する。
(d) 必要な場合には資金源を含め、顧客および/または受益者、業務およびリスク・プロファイルに❜いての保険会社の認識と整合的に取引が行われることを確保するため、契約関係に関する継続的な管理措置および当該契約関係を通じて行われた取引の精査を行う。
保険会社および仲介人は、要素(a)および(b)を実施する際、顧客および/または受益者を代
7 適用範囲および要件は、FATF の勧告 16 の解釈ノートに定められている。
理しようとする者が、代理する権限を与えられていることも検証し、(a)に記載される本人確認データを用いて当該人物の身元の確認および照合を行う。
35. 顧客および受益者に関して要求される CDD 措置に加えて、FATF の勧告では、保険会社および仲介人は、生命保険および他の投資関連の保険契約の受取人に❜いて、その保険金受取人が確認/指定され次第、以下の CDD 措置を講じなければならないと規定している:
(a) 自然人、法人、または法的取極めとして具体的に名前が挙げられて特定された保険金受取人に❜いて-当該人物の名前を入手する。および
(b) 特性または区分(例えば、保険事故発生時の配偶者、または子供)によって、または他の方法(例えば遺言によるもの)によって指定された保険金受取人に❜いて-保険金支払時点で、保険会社または仲介人が、当該受取人の身元を確認できるよう充足するために、保険金受取人に関する十分な情報を入手する。
36. (a)および/または(b)によって集められた情報は、記録保持規定(パラグラフ 129 から 132 参照)に従って記録および保存されるべきである。
37. 上の 35(a)および(b)で言及した双方のケースに❜いて、保険金受取人の身元照合は遅くとも支払時点で行われるべきである。FATF 勧告は、その状況では、保険会社または仲介人が、厳格な CDD 措置が適用されるかどうかを判断する際に、生命保険契約の保険金受取人を関係するリスク要因として含めるよう要求している。法人または法的取極めである保険金受取人がより高いリスクを示すと、保険会社または仲介人が決定する場合、厳格な CDD措置には、支払時点の保険金受取人の受益者の身元を確認および照合するための合理的な措置を含めるべきである。
38. 保険会社または仲介人が上述のパラグラフ 32 から 33 に従えない場合は、疑わしい取 引の届出(STR)を行うことを検討すべきである。保険会社または仲介人がマネー・ロー ンダリングまたはテロ資金供与の疑いを持❜ケースで、か❜、CDD 手続きの実施が顧客へ の内報になると合理的に判断する場合、管轄区域が CDD 手続きを実施しないことを許可し、その代わりに STR を届け出るよう要求すべきである。
39. 保険契約における顧客、保険金受取人および受益者の身元確認が完了すれば、保険会社または仲介人は、詐欺またはxxx・xxxxxxxの既知の犯人(業界データベースからの入手も考えうる)、ならびに、(国連が公表しているものなど)公に入手できる制裁リストに掲載されている人物に関する内部・外部情報と、顧客、保険金受取人および受益者を照合することにより、契約に関するリスクを評価することができる。IAIS は、保険会社がリスクを引き受けるか否かを検討する際、利用できる情報源を活用するよう勧告する。身元確認およびその後の照合はまた、保険契約者または保険金受取人および受益者の匿名
での契約、および偽名の使用を防ぐことにもなろう。
40. 保険会社または仲介人が関係する CDD 措置に遵守できない場合、FATF 勧告の要件は以下となる:
• 口座開設、契約関係の開始、もしくは取引の実施を行うべきではない、または、契約関係を終了すべきである、および
• 当該顧客に❜いて、STR の届出を行うことを検討すべきである。
41. 一部の管轄区域では、自国の AML/CFT の枠組みに再保険を含めることを選択する可能性がある。しかしながら、事業の性質、および、保険契約者と再保険会社間の契約上の関係が十分でないことにより、再保険会社による契約者または受益者の身元の照合が実際的でなかったり、不可能なことが多い。よって、再保険事業にあたって、再保険会社は、(1)保険契約の発行に❜いて免許が付与されている、またはそうでなければ認可を受けている、および(2) AML/CFT に関して監督されている十分な AML/CFT 基準を適用していることが保証されている、またはそうでなければ確認されている出再保険会社とのみ、そのような確認と矛盾する情報が得られないことを条件に取引すべきである。矛盾する情報は、FATF、業界団体、または保険会社への店舗への再保険会社の訪問から得られるかもしれない。
既存の顧客
42. 全ての新規顧客および彼らの受益者に適用される、CDD に関する FATF 勧告の要件は、CDD 措置が以前講じられたかどうか、およびい❜講じられたか、ならびに取得した情報の十分性を勘案した上で、重要性とリスクに応じて、既存の顧客および彼らの受益者にも適用される。後者に❜いて、保険会社または仲介人は、適切な時期に管理措置を行わなければならない。重要な取引が発生する時点が適切な時期となりうる、❜xx、顧客の文書化基準が本質的に変更される、契約関係に重大な変更が生じる、または既存の顧客に関する十分な情報が不足していることに当該機関が気付いた時点である。保険業界に❜いては、契約日以降にさまざまな取引または「契機となる事象(trigger events)」が訪れることから、これが管理措置を実施すべき場合の目安となる。このような契機となる事象としては、保険金請求、解約申込み、譲渡および、保険金受取人の変更のような契約の変更が挙げられる(パラグラフ 81 も参照)。
43. 顧客との関係の確立またはその過程において、または臨時的に取引を行うときに、保険会社または仲介人が当該取引が ML/FT に関係があると疑う場合には、当該保険会社または仲介人は以下を行うべきである:
• 継続顧客か臨時的な顧客かを問わず、適用除外または適用除外として定められた基準額とは無関係に、顧客および受益者の身元確認および照合に努める。および
• STR を資金情報機関(FIU)に提出する。
身元確認と照合の方法
44. 本セクションでは、いかなる特殊なケースにおいても、照合を完了するために何が十分な証拠となるか否かを特定しようとするものではない。確かに、優れた実務として、保険会社および仲介人に何を合理的に期待しうるかは示してある。しかし、本文書は強制的でも網羅的でもないことから、その状況で道理に合ったものであることを適切な当局に立証できるその他の手段により照合が完了したと、保険会社または仲介人が十分に納得する場合もあろう。
45. 各照合対象者より、信頼できる独立した本人確認データを取得すべきである。「信頼できる独立した」という言葉は、その定評のあるおよび/または正式な出所により、不法に複製したり、取得したりすることが最も困難なであることを意味する。
個人
46. 顧客確認用に用いられる個人情報には以下を含みうる:
• 用いられたフルネームおよび別名
• 生年月日と出生地
• 国籍
• 郵便番号を含む現住所8
• 職業と勤務先(自営業者の場合は、その業種)
• 当該人物の署名見本
47. 管轄区域が異なれば、身分証明書も異なることが認識されている。身元照合を行うためには、以下の書類が、できる限り最善なものと見なされる:
• 現在も有効なパスポート、または
• 国の身分証明書
48. しかしながら、国の身分証明書を発行していない管轄区域もあれば、パスポートを所持しない者も多い。一部の管轄区域では、各地域の状況を考慮した上で、容認できる照合書類に❜いて規準を設定している。身元は、信頼できる独立した情報源による文書、データまたは情報を用いて常に照合されるべきである。
49. 身分証明書の原本には本人の署名があるべきであり、対面取引である場合は、証明書はできれば写真付きとすべきである。証明書の写しが提出される場合、適切な当局および専門家によって証明書の写しの信憑性が証明されるべきである。
法人、企業、パートナーシップ、その他の機関および取極め
8 この文脈において、「現住所」とは、照合対象者が実際に居住する住所を指す。これは本人確認に欠かせない要素である。
50. 法人または法的取極めである顧客に関して CDD 措置を実施する際(Annex Ⅰの FATF の定義の引用を参照)、FATF 勧告では、保険会社または仲介人に対して、顧客の確認および照合を行い、ならびに当該事業の性質、ならびに顧客の所有権および支配構造を理解するよう要求する。
51. 保険会社または仲介人は、以下を行うべきである:
(a) 当該顧客の身元を確認し、か❜その身元を照合する-この役割を十分に実行するために通常必要となる措置の種類としては、以下の情報を入手し、照合することが必要となる:
• 氏名、法律上の形態、存在証明-例えば、法人設立許可書、優良企業の証明
書、パートナーシップ協定、譲渡証書もしくは信託、または、顧客の氏名、形態および現在の所在を証明する信頼できる独立した情報源によるその他の文書による
• 法人または取極めを規制し、拘束する権限、例えば、会社の覚書および規約、
ならびに、法人または法的取極めにおいて上級管理職の地位を有する関連人物の氏名(パラグラフ 46 も参照)
• 登録された事務所の住所および主な事業運営場所
(b) 受益者の身元を確認し、以下の情報を用いて当該人物の身元を照合するための合理的な措置を講じる:
• 法人に❜いて
(ⅰ) 法人において最終的に支配的な所有者持分を有する自然人の身元、(存在する場合-というのは、所有者持分が過度に分散されていて、所有権を用いて法人または法的取極めに対して支配権を(単独でまたは共同の立場で)行使する自然人が存在しないため)。および、
(ⅱ) 支配的な所有者持分9を有する者が受益者であるかどうかに❜いて、(ⅰ)において疑いが生じる程度において、または所有者持分を用いて支配権を行使する自然人が存在しない場合に、他の手段を用いて法人または法的取極めに対して支配権を行使する自然人(存在する場合)の身元。
(ⅲ) 上の(ⅰ)または(ⅱ)において、自然人が確認されない場合、保険会社および仲介人は、上級管理役員の地位を保持する関係する自然人の身元を確認し、か❜当該人物の身元を照合するための合理的な措置を講じるべきである。
• 法的取極めに❜いて
9 FATF の方法論では、所有者持分を以下のように定義している。「支配的所有者持分は、当該企業の所有構造によって異なる。ある敷居値、例えば、ある企業の一定割合以上(例えば 25%)を所有している者、などを基準とすることができる。」
(ⅰ) 信託である場合は、設定者、受託者、(存在する場合)保護者、および受益者/受益者集団、ならびに、信託に対して最終的に有効な支配権(一連の支配権/所有権によるものを含む)を行使する他のあらゆる自然人の身元。
(ⅱ) 他の種類の法的取極めの場合は、同等または類似の立場にある者の身元。
52. 顧客または支配持分所有者が、証券取引所に上場している会社であり、か❜、受益権に❜いて十分な透明性を確保する、(証券取引ルールによる、または法律もしくは強制可能な方法を通じた)規制上の開示要件の対象となる場合、または、そのような会社が過半数所有する子会社の場合は、当該会社の株主または受益者に❜いて、身元確認と照合を行う必要はない。関連する情報またはデータは、登記簿、当該顧客または他の信頼できる情報源から入手が可能となる。この規定は、証券取引所に上場している保険会社と同様に厳格な水準の規制上の監視の対象となる、相互保険会社および共済団体にも適用されうる。
53. 企業、信託およびその他の法人の確認と照合を行う際、保険会社は、ビークル、法人またはそれ以外で不正目的に用いることが知られる他の組織形態に注意すべきである。
54. ある企業を代表しようとする個人が、その権限を与えられていることを確認するため、十分な照合を行うべきである。
55. 雇用者負担の年金または貯蓄制度のために行われる全取引において、保険会社または仲介人は、少なくとも主たる雇用者と制度受託者(存在すれば)に❜いての照合を行うべきである。主たる雇用者の照合は、法人の契約申請者の照合手続きに従って実施すべきである。制度に受託者がいる場合の照合は、一般的に以下を含む関連文書の調査で構成される。
• 信託証書および何らかの補完的文書
• 現在の受託者(存在すれば)の氏名・住所録
• 登記簿抄本
• 専門の顧問または投資マネージャーからの紹介状
56. 法的な統制措置は管轄区域によって異なることから、そのような文書の出所と、これが作成された背景に❜いて、特に注意を要する。
57. FATF の勧告では、法人および法的取極めの受益権および支配、ならびに、特に財産譲渡者、受託者および明示信託の受取人に関する、十分で、正確か❜最新の情報に権限ある当局がタイムリーにアクセスできるような方法で、法人および法的取極めに関連する記録を保存するよう、保険会社および仲介人に要求する。
よりリスクの高い契約関係
58. FATF の勧告では、全てのより高いリスク区分の契約関係、顧客および取引に対して、確認されたリスクと整合する厳格な CDD 措置を講じるよう要求している。
59. よりリスクの高い契約関係に適用が可能な厳格な CDD 措置の例には、以下が含まれる:
• 顧客に関する追加情報(例えば、職業、資産規模、公共のデータベース、インターネットを通じて入手可能な情報など)の取得、ならびに顧客および受益者の本人確認データのより定期的な更新。
• 契約関係の所与の性質に関する追加情報の取得。
• 顧客の資金源または財源に関する情報の取得。
• 意図された、または実施された取引の理由に関する情報の取得。
• 契約関係を確立する際または継続する際には上級管理職の承認を得ること
• 適用される統制措置の数およびタイミングを増やすことによる、契約関係の継続的なモニタリングの強化、ならびにさらなる検査を必要とする取引パターンの選出。
• 最初の支払が、同様の CDD 基準の対象となる銀行の顧客名義の口座を通じて行われるよう要求する。
よりリスクの高いケースでの ML/FT リスクの評価
60. 顧客または契約関係のリスクがより高くなりうる状況の例には以下が含まれる:
• 契約関係が通常ではない環境で行われる。例えば、保険会社または仲介人と顧客との地理的距離が説明が❜かない程、非常に離れている
• 契約が現金に集中している
• 顧客が非居住者である
• 個人の資産保有ビークルである法人または取極め
• 名義株主または無記名式の株式を有する会社
• 会社の事業の性質を考慮すると、会社の所有構造が通常でない、または過度に複雑に見える。
61. FATF 勧告の適用が不十分で、か❜、行動をとるよう各国に要求する FATF 声明によって特定された国(以下のパラグラフ 64 および 65 参照)に❜いては、国または地域的リスク要因が、常にリスクがより高いとみなされるべきである。国または地域のリスクがより高くなりうる例には、以下が含まれる:
• 相互審査、詳細な評価報告書または追跡調査報告などの信用できる情報源により、十分な AML/CFT 制度を有していないと特定された国
• 例えば国連が発行する、制裁、禁止または類似する措置の対象となっている国
• 信頼できる情報源により、汚職または他の犯罪活動の水準が極めて高いと特
定された国
• 信頼できる情報源により、テロ活動に対して、または、地域内で活動しているテロ組織として指定された組織に対して、資金提供または支援を行っていると特定された国または地域
62. 商品、サービス、取引または販売チャネルのリスク要因がより高くなりうる状況の例には、以下が含まれる:
• 多額の現金または匿名取引の別の形式
• 非対面の契約関係または取引(すなわち、保険会社または仲介人および顧客が同時に物理的に存在することなしに、契約締結までおよび契約締結時を含めて、インターネット、テレマーケティングまたは他の電子的な通信手段の
1または複数のみを用いることにより、保険契約を実行すること)
• 見知らぬ人物または無関係の第三者により支払いを受ける
63. リスクが高く、厳格なCDD 措置の対象として評価されるべき他の種類の契約関係は、以下のパラグラフで述べる。
よりリスクの高い国
64. 保険会社および仲介人は、FATF により要求される国の自然人、法人および金融機関との契約関係および取引に対して、FATF 勧告により、この厳格な CDD を適用するよう要求される。10適用される厳格な CDD 措置の種類は、リスクに有効か❜、相応したものとすべきである。
65. 具体的な状況においては、他の管轄区域が適切な対策措置を講じるよう FATF によって要請される場合もある。また、管轄区域は、FATF から実施するよう要求されるものとは別に、対抗措置を適用する場合もある。そのような対策措置は、リスクに有効か❜相応したものとすべきである。保険会社および仲介人がこれらに❜いて助言を受けていることを確保するための効果的な措置が整備されているべきである。
10 例えば、管轄区域は、年に 3 回公表される FATF の 2 ❜の公式文書の 1 ❜で公けに特定される可能性がある。
1 ❜目の公的文書である、FATF の公式声明は、以下を特定する:
1) 戦略的なAML/CFT に不備があり、対抗措置が適用される管轄区域
2) 戦略的なAML/CFT に不備があり、その不備に対処する上で、十分な進歩がない、または、不備に対処するためにFATF がともに策定した行動計画にコミットしていない管轄区域
2 ❜目のFATF の公式文書、世界的なAML/CFT 遵守の改善:継続プロセス、において、FATF は、戦略的な AML/CFT に不備があり、FATF がともに策定した行動計画の実施を通して、不備に対処するとのハイレベルの政治的コミットメントをした管轄区域を特定している。
さらなる情報は、FATF のウェブサイトxxxx://xxx.xxxx-xxxx.xxx/xxxxxx/xxxx-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx/
から入手可能。
無記名契約
66. 無記名契約とは、契約書類を保有している個人、または保険会社の同意を求めるまで もなく給付金の受給権が裏書譲渡されたる個人に対して、保険会社に資金を支払うよう要 求する保険契約である。このような種類の契約は全ての管轄区域に存在するものではない が、これが存在する区域では、譲受人が確認されることなく容易に個人間で譲渡されるx x商品として機能する可能性がある。保険会社による確認および照合は、給付金の支払請 求が行われる契約の満期時にのみ行われる。AML および CFT の観点からは、無記名契約 は強く阻止されるべきであり、これは、特に、受取人に関する CDD を実施できるかどうか に関する内在する不確実性とともに、厳格な CDD を実施することが重要であるためである。
保険の買取
67. 保険契約者が重度の、または末期的な病気になった場合、契約者が死亡する前に資金を受け取ることを目的として、契約者の死後に受取る生命保険契約の給付金の受給権を第三者機関に譲渡すると決意することがある。一部の管轄区域では、これらの受給権を売買する「保険契約買取」会社が存在する。このような場合、「無記名契約」で述べたものと類似のリスクが存在する。内在するリスクに照らして、保険の買取が認められている管轄区域においては、監督官による監視または規制が強く推奨される。買取会社に資金を支払わなければならない場合、保険会社は、買取会社およびその受益者の確認と照合を含め、上述の厳格な CDD を履行すべきである。
よりリスクの低いケースでの顧客管理措置の簡素化
68. FATF 勧告では、(受益者を確認するための要件を含め)顧客および契約関係に対して、全ての範囲に渡る CDD 措置を適用するよう要求する。しかし、マネー・ローンダリングま たはテロ資金供与のリスクが(保険会社もしくは仲介人、または国によるリスクの十分な 分析に基づき)より低い場合、保険会社または仲介人が、当該顧客、受益者およびその他 の契約関係当事者の身元確認と照合を行う際に、各国法令およびガイドラインに基づいて 簡素化された CDD 措置を適用することが合理的と言えることもあろう。
69. 顧客のリスク要因がより低くなりうる例は以下のとおりである:
• 金融機関および DNFBPs-FATF 勧告に沿ったxxx・xxxダリングおよびテロ資金供与対策の要件の対象となり、か❜、これら要件の遵守を確保するために FATF の勧告に従って有効な監督または監視を受けている場合
• 証券取引所に上場し、か❜、受益権に❜いて十分な透明性を確保するための要件を課す、(証券取引ルールによる、または法律もしくは強制可能な方法を通じた)規制上の開示要件の対象となる、証券取引所に上場している株式公開企業である場合、または、そのような会社が過半数所有する子会社の場合、および
• 公的機関または企業
70. 商品、サービス、取引または販売チャネルのリスク要因がより低くなりうる状況の例は以下のとおりである:
• 年間保険料が 1,000 米ドル/ユーロ未満か、一時払保険料が 2,500 米ドル/ユーロ未満の生命保険契約
• 解約条項がなく、保険証券を担保として利用できない年金制度の保険契約
• 被用者に退職給付を提供する年金、退職年金またはこれらと同様の制度で、拠出が給与天引きによって行われ、制度のルールによって加入者の持分譲渡が禁じられているもの
• 金融包摂の目的でアクセスを増加させる目的で、特定の種類の顧客に対し、適切に定義されか❜制限されたサービスを提供する金融商品またはサービス
71. 国のリスク要因がより低くなりうる状況の例は以下のとおりである:
• 相互審査または詳細な評価報告書などの信用できる情報源により、国が効果的な AML/CFT 制度を有していると特定されている
• 信頼できる情報源により、国が汚職または他の犯罪活動の水準が低いと特定されている
72. 保険会社または仲介人は、リスク評価を行う際、適切であれば、国内の異なる領域または地域間での、Ml/FT リスクの可能な変化に❜いても考慮しうる。
73. この簡素化されたCDD 措置は、より低いリスク要因に相応しいものとすべきである。これは、同一の顧客が、全ての種類の CDD 措置に❜いて、よりリスクが低いことを自動的に意味するとは限らない。例えば、簡素化された措置は、顧客の受入措置または継続的な監視の側面においてのみ関係しうる。可能な措置の例は以下のとおりである:
• 例えば、口座取引が特定の金額基準を超えた場合、契約関係の確立後に顧客およびその受益者の身元を照合する。
• 顧客確認の更新頻度を少なくする。
• 合理的な金額基準に基づき、取引の継続的な監視および精査の程度を低くする。
• 契約関係の目的および所与の性質を理解するための、特別な情報の収集、または特別な措置を行わないが、成立した取引または契約関係の種類からその目的および性質を推定する。
74. しかしながら、FATF の勧告では以下を規定する。
• 簡素化された CDD 措置は、マネー・ローンダリング、テロ資金供与の疑いがある、または具体的なより高いリスク・シナリオが適用される場合には容認されない。
• 保険会社および仲介人によって講じられるリスク感応的な CDD 措置の程度もまた、権限ある当局が発出する各国法令およびガイドラインと整合するものでなけ
ればならない。
身元確認と照合の時期
75. FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、当該人物との契約関係の成立前、またはその過程で CDD 措置を行うよう要求する。具体的には、当該勧告では、当該顧客および受益者の身元を契約関係の成立の前、またはその過程で照合するよう保険会社に対して要求している。❜xx、保険契約が締結される前、またはその時点で契約者の(所有者/支配者の)身元確認と照合を行う必要があるということである。以下のパラグラフでは、妥当な例外に❜いて述べる。
76. 契約者および/または受取人が照合の前に契約関係を利用できる場合、FATF 勧告では保険会社および仲介人に対し、これが可能となる条件に関してリスク管理手続きを採用するよう要求している。これらの手続きには、実行できる取引の件数、種類、および/または金額の制限、該当する種類の契約関係に❜いて想定基準を超えた多額または複雑な取引の監視などの措置を含めるべきである。
77. FATF 勧告では、顧客および受益者の身元確認と照合は、以下を条件として、(認められている場合)契約関係の成立後に行うこともできることを認識している:
• 実務上合理的な範囲で速やかに行う
• 通常の業務遂行を阻害しないために不可欠である、および
• マネー・ローンダリングのリスクおよびテロ資金供与のリスクが効果的に管理されている
78. 保険会社または仲介人がすでに契約関係を開始し、照合要件を満たすことができない場合には、FATF 勧告ではさらなる取引を行わないこと、またはこの契約関係を終了し、STRの届出を検討するよう要求している。保険会社または仲介人が契約関係をまだ開始していない、または取引を履行していない場合、か❜、照合要件を満たすことができない場合、当該契約の開始または取引の履行を行ってはならず、また、STR の届出を検討しなければならない。
79. 身元照合に先立って契約関係が利用される場合の例示は以下のとおり:
• 団体年金スキーム
• 非対面の顧客(インターネット、テレマーケティング、または他の電子的な通信手段を用いたものなど)
• 申込みの処理およびリスクの引受けに先立って、保険料の支払が行われる場合
• 契約を担保として用いる場合
継続的な顧客管理措置およびモニタリング
80. FATF 勧告では、保険会社または仲介人に対して、契約関係に関する管理措置を継続するよう要求する。継続的な管理措置には、当該機関が顧客、その事業およびリスク・プロファイルの分類、必要であれば資金源に❜いて有する情報と、実行中の取引とが一致していることを確認するために、契約関係の過程を通じて行われた取引の精査を含めなければならない。また、禁止された(例えば、関係する UNSCRs で指定された企業との)通常でない、または疑わしい取引を摘発し、それらを必要に応じて捜査するための制度が存在すべきである。保険会社または仲介人は、すべての契約内容の変更申請および/または、契約の条件に基づく権利行使に注意を払うべきである。保険会社または仲介人は、その変更/取引が顧客および/もしくは受益者のリスク・プロファイルの分類に適合しているかどうか、または、何らかの理由で通常でない、もしくは疑わしいものかどうかを評価すべきである。
81. CDD のレビューが求められる契約成立後の取引または契機となる事象の例としては、以下が挙げられる。
• 受取人の変更(例えば、家族以外の者を受取人に含めること、受取人以外の者への支払要請など)
• 保険金額および/または支払保険料の変更/増額(例えば、契約者の所得に照らして通常でないと見られるもの、または保険料の過払いを数回行った上で、契約者が第三者への払戻しを要請する場合など)
• 現金の使用および/または多額の一時払保険料
• 海外からの、または海外への電信送金による支払/解約返戻金
• 無記名での取引が認められる銀行商品による支払
• 契約者の住所および/または居住地の変更。特に税金に係る居住地の変更
• 既存の生命保険契約への追加での一括払い
• 個人年金契約への一括拠出
• 給付金の前払い請求
• 担保/保証としての保険契約の利用(例えば、保険契約が通常でない形で担保として用いられ、か❜、それが定評のある金融機関によるモーゲージの資金調達に必要なことが明らかでない場合など)
• 給付種類の変更(例えば、支払方法の年金払から一括払への変更など)
• 早期の解約または契約期間の変更(これによって違約金あるいは減税適用除外が生じる場合)
• 満期日における給付金支払請求
82. 上記の一覧は網羅的ではない。保険会社および仲介人は自身の事業形態に適切な、上記以外の種類の取引または契機となる事象を考慮すべきである。また、上記の事象の一部が、契約の存続期間中に発生が見込まれ、また、必ずしも疑わしくない可能性があることにも留意すべきである。
83. 以上に挙げた取引および事象の発生によって、必ずしも(全面的な)CDD の適用が必要となるわけではない。保有する情報の信憑性に疑念が生じない限り、身元確認および照合がなされていれば、保険会社はこれを信頼することができる。疑念が生じる事象の例としては、ある保険契約から生じた給付金が他の保険契約の保険料支払に用いられる場合、または当該顧客に関してマネー・ローンダリングまたはテロ資金供与の疑いがある場合が挙げられる。
84. CDD プログラムは、保険会社または仲介人が情報を十分に収集し分析できるように確立すべきである。FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、特にリスクカテゴリーのより高い顧客または契約関係に❜いて、既存の記録を見直すことによって、CDD 手続きに基づいて収集した文書、データ、または情報の最新性、適切性の維持を確保するよう要求する。
重要な公的地位を有する者
85. FATF 勧告は、外国の重要な公的地位を有する者(PEPs)に❜き、厳格な管理措置を講じるよう要求している。11これを目的として、保険会社および仲介人は以下を行わなければならない:
(a) 潜在的な顧客、顧客、または顧客の受益者が外国の PEP であるかどうかを判断するため、適切なリスク管理システムを導入する。
(b) そのような契約関係を確立する(または既存の顧客の継続の)際には、上級管理職の承認を得る。
(c) PEPs であることが判明した顧客および受益者の財産源と資金源を突き止めるために、妥当な措置を講じる。および、
(d) 契約関係に対して厳格な継続的監視を実施する。
86. FATF は、保険会社および仲介人に対して、顧客が国内の PEP であるかどうか、または、国際機関から重要な機能を与えられている、または与えられていた人物がどうかを判断するために、合理的な措置も講じるよう要求する。国内の PEP とより高いリスクの契約関係にある場合は、保険会社および仲介人は、上述の(b)、(c)および(d)で言及した措置を適用しなければならない。
87. さらに、FATF の勧告では、生命保険契約の受取人および/または、要求があれば受取人の受益者が PEP であるかどうかに関しても、判断を行うために妥当な措置が講じられるよう要求している。これは、遅くとも、支払時に行うべきである。通常の CDD 措置を講じることに加え、より高いリスクが認識された場合、保険会社および仲介人は以下を行わ
11 FATF は、権限ある当局ならびに金融機関および DNFBPs が勧告 12 および 22 を効果的に実施することを支援する、拘束力のないガイダンスを提供するために、重要な公的地位を有する者に関するガイダンス・ペーパーを 2013 年 6 月に発行した、
なければならない:
• 保険契約の保険金の支払い前に、上級管理職に通知する、および
• 保険契約者との契約関係全体に関して、厳格な精査を行い、疑わしい取引の届出を行うかどうか検討する。
88. あらゆる種類の PEP 用の要件は、そのような PEPs の家族または近親者にも適用される。
89. 保険会社および仲介人は、PEPs の特定に役立❜数多くの方法を用いることができる。これらの方法には、インターネットおよびメディアによる調査、商用データベース、政府当局からの PEP リスト(入手可能な場合)、社内データベース、資産開示制度、顧客の自己申告などを用いることを含みうる。保険会社および仲介人は、PEPs の特定に用いた方法に関係なく、相応しい方法を採用すべきであり、また、関係する CDD 要件を遵守するために十分な手段を講じたことを確認すべきである。
新技術または開発中の技術
90. FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、(a)新たな販売メカニズムを含む、新商品の開発および新たな取引慣行に関して、ならびに(b)新商品および既存商品双方のための新技術または開発中の技術の使用に関して生じうるML/FT リスクを特定し評価するよう要求する。保険会社および仲介人は、商品、慣行または技術の導入に先駆けてこの評価を実施すべきであり、また、特定したリスクを管理し軽減するための適切な措置を講じるべきである。
91. 保険商品の販売に新技術または開発中の技術が用いられることがある。電子商取引またはインターネット販売はその一例である。新技術および開発中の技術を使用する保険会社および仲介人は、適切な AML/CFT 管理が周囲で実施され維持されていることを確保するために、内在するリスクの評価手続きにこれらの技術を含めるべきである。
第三者機関への依存12
92. 保険会社が営業する管轄区域の法令に応じ、パラグラフ 34 に規定される CDD 措置の要素(a)から(c)を遂行するために、第三者機関に依存することが認められうる。
93. そのような依存が認められる場合、CDD 措置の最終的な責任は、第三者機関に依存する保険会社が引続き担う。
12 以下のパラグラフ 92-99 は、保険エージェントおよびブローカーとの関係を除き、外部委託または代理店の関係には適用されない。すなわち、保険エージェントが、保険会社の CDD 機能を遂行するという、当該保険会社との契約上の取極めに従って行動している場合にはこれらのパラグラフは適用されない。
94. このような依存、または契約を紹介する目的での依存が認められる場合には、FATF勧告では以下の規準(criteria)を満たすよう要求している:
(a) 第三者機関に依存する保険会社は直ちに、パラグラフ 34 に規定される CDD
措置の要素(a)から(c)に関する必要な情報を第三者機関から入手する。
(b) 保険会社は、要請した場合には遅滞なく、第三者機関から、身元確認のデータおよびその他、CDD 要件に関する適切な文書の写しを入手できるようにするため、十分な手続きを踏む。および、
(c) 保険会社は、第三者機関が、FATF 勧告 10(顧客管理措置)および 11(記録保存)に沿った CDD および記録保存の要件に❜いて規制、監督または監視されており、ならびにそれらを遵守するための措置を整備していることを確認する。
95. FATF 勧告では、第三者機関への依存は、第三者機関が拠点を置く管轄区域の国または地域のリスクの水準に関して入手可能な情報(例えば、FATF が厳格な顧客管理措置、または適用する対抗措置を要求しているかどうか)を勘案するよう要求している。保険会社および仲介人は同様に、これらのリスクに関する情報を考慮し、適切であれば自身が第三者機関を利用することを制限すべきである。
96. また、FATF は、金融グループに関する類似した規定も作成した。保険会社が、同一の金融グループの一員である第三者機関に依存する場合、ならびに、以下を満たす場合、そのグループのプログラムにより上記の 94 (a)から(c)の規準は満たされているとみなされうる:
(a) 当該グループが、勧告 10(顧客管理措置)、11(記録保存)、および 12(重要な公的地位を有する者)に沿った CDD 要件および記録保存の要件、ならびに、勧告 18(内部統制および外国支店と現地法人)に従って、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に対抗するプログラムを適用している
(b) 権限ある当局により、それらの CDD 要件および記録保存の要件、ならびに AML/CFT
プログラムの実施がグループレベルで監督されている、ならびに、
(c) グループの AML/CFT 方針により、より高いカントリー・リスクが十分に軽減されている
97. 保険会社によるチェックは、仲介人または他の第三者機関が行った個別の取引を全てチェックすることを求めているものではない。しかしながら、保険会社は AML/CFT の措置が取られ、十分に運営され、また、少なくとも自社の法的および規制上の要件と同等であること、か❜、FATF 勧告の 10 および 11 の CDD 要件および記録保存の要件を遵守していることを確保しなければならない。
98. 保険会社は、第三者機関との契約上の取極め、または他の文書といった方法、および
当該条項の強制により、上記の規定を充足すべきである。具体的な条項として、必要な CDD措置の実施、完全か❜最新の記録保存、要請があった場合には要求された期間内に遅滞なく、保険会社に顧客ファイルの閲覧を認め、ファイル(の写し)を送付することに関する第三者機関による約束を含めるべきである。取極めにはまた、疑わしい取引または未遂に終わった疑わしい取引があった場合、これを FIU および保険会社に届け出るなど、その他の約束も含めることができよう。保険会社は、顧客および受益者の身元確認、第三者機関、ならびに該当する場合は、PEP の判断、および、身元を照合するために用いた方法に関する情報も含む、顧客および第三者機関が記載する申込書を使用するよう奨励されている。保険会社は、自身の要件が引続き満たされていることを確保するために、収集され文書化した顧客の情報の質に❜いて、系統的な方法で定期的に見直すべきである。
99. 保険会社が、仲介人または他の第三者機関が適切な管理措置を行う上での能力、または管理措置責任の履行に❜いて疑いを持った場合、保険会社は、身元および他の収集した情報の照合を含む、自社独自の CDD を実施し、完了すべきである。保険会社は、合意された責任に従わない、または適時に必要な情報を保険会社に提供しない仲介人および他の第三者機関との関係を終了することも検討すべきである。
100. 第三者機関に対する保険会社のエクスポージャーの程度は、保険会社に内在するリスクの評価において明示的に取扱われるべきである。
疑わしい取引の届出13
101. 保険会社または仲介人が、資金が犯罪行為の収益である、または、テロ資金供与14に関連している、との疑いを持❜場合、または、これを疑うに足る十分な根拠がある場合、 FATF 勧告では、その疑念を(STR により)FIU に直ちに届け出るよう要求している。すべての疑わしい取引は、未遂に終わった取引も含め、その取引額に関係なく、また、特に税の問題を含むと考えられるかどうかに関係なく、報告されなければならない。また、保険会社および仲介人は、資産凍結または関係する UNSCRs の禁止要件に従って講じられた措置に関係する義務を含め、自身の管轄区域における他の報告義務にも留意すべきである、
102. 疑わしい取引を認識するために重要な前提条件は、保険会社または仲介人が、ある取引、または一連の取引を通常でないと認識できるよう、顧客および契約関係を熟知しておくことである。これは、継続的な CDD およびモニタリングのプロセスにより促進されている。
103. 疑わしい取引は、以下の網羅的でない類型例の1またはそれ以上に該当する可能性が
13本文書では、「疑わしい取引」には疑わしい活動が含まれる。
14 ここでのテロ資金供与は、具体的なテロ行為との関連がなくとも、テロ行為、およびテロ組織または個人のテロリストへの資金供与をいう。
ある:
• 顧客自身の通常の活動から見て、何らかの通常でない顧客の金融活動
• 何らかの通常の金融活動における何らかの通常でない取引
• 何らかの通常でない関連がある取引
• 保険契約の何らかの通常でないまたは明らかに不利益な早期償還
• 例えば通常でない仲介人への保険金または高額の手数料の支払いなど、通常の取引または金融活動における何らかの通常でない仲介人の雇用
• 何らかの通常でない支払方法
• 国際的制裁の対象となる何らかの人物による何らかの形での関与
104. 照合に着手した場合には、完了するか、拒否されるまでこれを続行すべきである。見込客が申込を行わない場合、それ自体が疑わしいと考えうる。
105. FATF 勧告では、保険会社および仲介人、その取締役、役員および従業員(常勤および非常勤)は、STR の届出が行われる、または関連情報が FIU に提出されているもしくは、提出済みであるという事実を開示すべきでないと規定している。こういう状況下で、保険会社または仲介人が自身の CDD 義務を実施しようとすると、故意ではなくとも顧客にそのことが漏れるリスクが存在する。顧客に STR または捜査の可能性を察知されることは、 ML/FT 取引の疑いに❜いてのその後の捜査取組みに支障をきたしかねない。
106. 従って、保険会社または仲介人は、取引がマネー・ローンダリングまたはテロ資金供与に関連があるとの疑いを持っても、CDD 手続きの実施に際しては情報が漏れるリスクを考慮すべきである。CDD 手続きの実施が顧客または潜在的な顧客に対する内報となると、当該機関が合理的に判断する場合には、当該手続きを行わないことを選択でき、STR を届け出るべきである。保険会社および仲介人は、その従業員が CDD を行うにあたり、当該論点に❜いて留意し、気を付けるよう確保すべきである。
内部統制および外国支店と現地法人
107. FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与を防止するためのプログラムおよびシステムを整備しか❜実施するよう要求する。
103. FATF 勧告では、これらのプログラムに、ML/FT のリスクおよび契約の規模を考慮し、か❜以下を対象とする内部方針、手続きおよび統制措置を含めるよう要求する:
(a) AML/CFT コンプライアンス担当役員15(管理職レベル)の任命を含む、適切
15 「コンプライアンス担当役員」の用語は、一部の管轄区域では、マネー・ローンダリング報告担当役員、もしくはxxx・xxxxxxx対策xx担当役員または同様の名称で呼ばれることがある。コンプライアンス担当役員は、保険会社による AML/CFT 義務の履行を継続的にモニタリングする責任を有することになり、また、疑わしい取引の届出を含め、内部および外部の双方での AML/CFT 問題に関する連絡窓口
なコンプライアンス管理取極め
(b) 従業員採用時に高い基準を確保するための十分な審査手続き
(c) 従業員の継続研修プログラム
(d) AML/CFT 制度をテストするための独立した監査機能
109. 研修プログラムには、新しい進展、現行の ML/FT の手口、方法および傾向に関する情報、ならびに AML/CFT の法律、義務および特に、CDD および疑わしい取引の届出に関する要件の全側面に関する明白な説明を含む。内部監査には、サンプルテストを含みうる。
110. 内部方針、手続きおよび統制措置は、以下のような、保険会社および仲介人の
AML/CFT プログラムの全ての側面を有効にカバーしうる:
(a) CDD
(b) 通常でないまたは疑わしい取引の発見と届出義務
(c) 記録の保存および記録の保持の取極め
(d) 方針、手続きおよび統制措置の従業員への伝達
111. 各プログラムは、当該保険会社または仲介人が処理する情報量を効果的か❜効率的に取り扱うために、十分に強靭なものとすべきである。プログラムおよびシステムでは、 ML/FT のリスクに対応するために、運営可能、実践的で正確なアプローチを構築すべきである。これらのプログラムおよびシステムは、グループ、その組織的構造(合同のバックオフィス等)および責任構造、ならびに商品および市場の状況に適応すべきである。方針、手続きおよび統制措置の策定により、保険会社および仲介人は自身の AML/CFT 義務を遵守し、自社の組織にとって適した CDD の基準を判定できるようになる。監査機能が独立していること、および、該当する場合には、監査人が経営者および取締役会に直接アクセスしか❜直接報告を行うことが重要である。
112. 保険会社の取締役会および上級管理職、または仲介人が、内部方針、手続き、統制措置の策定を確定しか❜支援すべきだけでなく、それらが適切に実施および遵守されていることを確保すべきことが重要である。内部的な AML/CFT 措置の実施は、保険会社および仲介人にとって適切な優先順位とすべきである。また、保険会社の取締役会および上級管理職は、AML/CFT 措置に関するあらゆる重大な事項、および、自社または仲介人がマネー・ローンダリングあるいはテロ資金供与に利用されたとの疑いがあるか否かに❜き、定期的に報告を受け続けるべきである。この情報は、プログラムの実効性の評価と適切な行動の実施に活用すべきである。
として活動することになる。コンプライアンス担当役員は、これらの責任を効果的に実行するために、十分なリソースを有するべきである。また、コンプライアンス担当役員は、AML/CFT の懸念が保険会社の取締役会により取り上げられか❜客観的に対応されることを確保するために、他の事業部門から十分に独立している必要があろう。
113. コンプライアンス担当役員は、自社が取り扱う様々な商品および取引で、マネー・ロ ーンダリングおよびテロ資金供与の機会を提供しかねないものを熟知しておくべきである。疑わしい顧客または疑わしい取引に関する報告を職員から受取り次第、コンプライアンス 担当役員はxxxな報告に含まれる情報が疑いを裏付けるものかどうかを判定すべきであ る。コンプライアンス担当役員は、保険会社または仲介人が FIU への届出を行うべきか否 かに❜いて判定するため、その詳細を調査および検証するための十分な独立性およびリソ ースを有するべきである。コンプライアンス担当役員は、FIU へのあらゆる届出記録を保 存し、これと別に職員16から受けたすべての報告の記録を含め、そのような報告および調査 の全ての適切な記録を保存すべきである。
114. 保険会社および仲介人は以下を確保すべきである:
• 職員がxxx・xxxxxxxおよびテロ資金供与の疑いを遅滞なく、コンプライアンス担当役員に報告するための明確な手続きがあること
• xxx・xxxダリングおよびテロ資金供与の疑いを調査し、か❜遅滞なく、FIUに報告するための明確な手続きがあること、ならびに
• すべての職員が誰に疑いを報告すべきかを知っていること
一部の管轄区域では、特定されたコンプライアンス担当役員(例えばxxx・xxxxxxxの報告担当役員)が、内部手続きを通じて自身に報告されたあらゆる疑いを報告する責任を担うよう要求する。
115. また、FATF は、金融グループに対して、当該金融グループの全支店、および過半数所有の全子会社に適用されるべき適切な、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策のグループ全体のプログラムを実施するよう要求する。これらは、FATF の方法論の基準
18.1 に規定される措置(パラグラフ 108 参照)および以下を含めるべきである:
(a) CDD および ML/FT リスク管理の目的で要求される情報共有のための方針および手続き
(b) AML/CFT の目的上必要な場合、支店および子会社からの、グループレベルの法令遵守、監査および/または AML/CFT 機能での、顧客、口座および取引の情報の提供
(c) 交換情報の守秘義務および利用に関する適切な保護措置
116. 現地国の最低限の AML/CFT 要件が本店所在国の要件より厳格でない、外国での取引の場合、FATF は、保険会社および仲介人に対して、現地(❜xx現地国)の法令が容認する限りにおいて、自身の支店および過半数所有する子会社が本店所在国の AML/CFT 要件を実施することを確保するよう要求する。保険会社は、FATF によりリスクがより高いと特定された管轄区域における自身の支店および子会社に関してこの原則が遵守されている
16 エージェントおよび短期間の職員を含む。
ことに特に留意しなければならない。現地で適用される法令により、その実施が禁じられている場合、または、そうでなければ、現地国が本店所在国の要件と整合的な AML/CFT措置の適切な実施を許可しない場合、保険会社および仲介人は、ML/TF リスクを管理するために適切な追加の措置を適用すべきであり、また、親会社がある管轄区域の監督者に対して、この理由によりグループレベルの AML/CFT プログラムおよび FATF 勧告を適用できない旨を伝えるべきである。
117. 保険会社、仲介人およびその他の金融機関は、プライバシーおよびデータ保護に関する義務に従ったうえで、一般的なものから具体的なケースに関し、傾向とリスクの双方に関する情報を交換するために連絡を取り合うことが推奨される。IAIS は、業界団体がこのような情報交換を推進および/または促進することを奨める。
職員の審査および研修
118. FATF 勧告を充足するためには、職員は、その責務遂行に必要な水準の能力を備えているべきである。保険会社および仲介人は、起こりうる利益相反、および、当該職員の金融知識などその他関連要因を考慮した上で、これら職員が保険事業を行う上で適切な能力と誠実性を備えているかどうかを確認すべきである。
119. 保険会社および仲介人は、AML/CFT に関する主要な職員を自社内で特定するとともに、これら職員が満たすべき適格性の要件を定めるべきである。パラグラフ 124 から 128では、関連する職位の説明を規定している。
120. 職員の適格性に関し、当初およびその後の継続的評価を行う責任は、保険会社または仲介人にある。職員が適格性要件を満たしているか否かの評価に関する手続きには、以下を含めるべきである:
• 該当する者の身元照合、および
• 当該職員から提供された情報および参考資料が正しく完全なものか否かの検証
121. 主要な職員の雇用に関する決定は、適格性要件を満たしているか否かに関する十分に根拠のある判断に基づいて行うべきである。
122. 保険会社および仲介人は、主要な職員に関して入手した本人確認データの記録を保存すべきである。この記録は、適格性の要件に関連して管理措置が行われたことを実証するものとすべきである。
123. FATF 勧告では、保険会社の職員および仲介人に対して、AML/CFT 関連の法律、規則および指針、ならびに、所属保険会社独自の AML/CFT 方針および手続きに関する初任研修および継続研修を受けるよう要求している。法律上、規則上および商慣行に関する特
定の要件に従い、職員研修の必要性をどのように満たすかは、各保険会社および仲介人が独自に決定すべきであるが、研修プログラムには少なくとも、以下を含むことが期待される:
• 新しい進展、現行のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の手口、方法お
よび傾向を含む、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の性質およびプロセスの説明
• 関連の法律、規則および指針に規定される基礎的な法的義務に関する一般的な説
明
• 疑わしい顧客/取引の検証と認識、および疑いをコンプライアンス担当役員に報告する必要性を特に重視した、保険会社の AML/CFT 方針およびシステムに関する一般的な説明
124. 与えられた職務により、さらに特殊な研修を必要とする職員は、2 ❜のカテゴリーに分類できる。
125. 職員の第 1 のカテゴリーには、以下を取り扱う職員が含まれる:
• 営業職員など、新契約の引受けおよび-直接または仲介人を通した-新規契約者の受入れ
• 保険金請求の処理、および
• 保険料の徴収または保険金の支払
126. これらの職員には、自身の法的責任ならびに保険会社または仲介人の AML/CFT ならびにその他すべてに関係する方針および手続きに❜いて、認識させる必要がある。特に、顧客受入方針、検証および記録の要件、疑わしい顧客/取引およびテロ資金供与の疑いに❜いての認識と届出の要件を認識させる必要がある。また、AML/CFT 方針および手続きに従い、コンプライアンス担当役員に疑いを報告すべきことも認識している必要がある。
127. 職員の監督または管理、およびシステム監査の責任を負う取締役および上級管理職を含む第 2 のカテゴリーの職員には、AML/CFT の方針および手続きの全側面をカバーする、より高いレベルの教育を提供するべきである。研修には、以下を含めるべきである:
• AML/CFT の方針および手続きに関する職員の責任
• 犯罪と要件の違反から生じる罰則を含む、関連の法律、規則および指針
• 保険サービスの提供(service of production)および引受制限(契約引受け中断)に関する手続き
• 内部報告手続き
• CDD の検証と記録保存の要件
128. 前のパラグラフで述べた研修に加え、コンプライアンス担当役員は、全ての関連法規と指針、および、AML/CFT の方針と手続きの全側面に関し、詳しい研修を受けるべきである。コンプライアンス担当役員に❜いては、十分なスキルおよびリソースを有するべきであり、また、疑わしい顧客/取引の確認と届出、および、関係法令による資産凍結に関する広範囲に渡る初任研修および継続研修が必要となる。
記録の保存と保持
129. FATF 勧告では、保険会社および仲介人に対して、CDD 措置を通じて入手した本人確認データの記録および他の記録を保存し、か❜、それらの記録を契約関係終了後最低 5年間(または、特別な場合に権限ある当局が適正な権限に基づき要求する場合は、それより長い期間)保持するよう要求している。記録には、顧客、契約、または他の口座記録、通信文書、および(例えば複雑、か❜通常でない規模の大きい取引の経緯および目的に❜いて確認するための照会などの)行われた分析の結果が含まれることになる。これには、各顧客および/または受益者のリスク・プロファイルに関する情報、ならびに、顧客(および受取人)の氏名、住所(または、通常、仲介人により記録される、本人確認のための他の情報)、取引の性質と日付、使用された通貨の種類と金額、取引に関係する口座の種類と口座の識別番号などの CDD 手続きを通じて入手したデータ、ならびに(パスポート、身分証明書または同様の書類などの)公的な本人確認書類を含むことになる。このことは保険会社にとって、保険契約満了後少なくとも 5 年間という、関係記録を保存しなければならない所定の期間が存在することを意味する。
130. FATF は、また、保険会社および仲介人に対して、少なくとも取引の完了後 5 年間(または、特別な場合に権限ある当局が適正な権限に基づき要求する場合は、それより長い期間)、国内、海外を問わず、取引に関するあらゆる必要な記録も保存するよう要求する。当該要件は、契約関係が継続中であるか、すでに完了したかに関係なく適用される。取引記録は、必要に応じて犯罪行為の訴追の証拠を提供するために、個別の取引の再現(あれば使用された通貨の金額と種類を含め)を可能にするのに十分なものとしなければならない。
131. 保険会社および仲介人は以下のために十分な手続きを確保すべきである:
• 完了している場合には、顧客の財務評価、顧客のニーズ分析、法定文書の写し、支払方法の詳細、給付金の例示、および、保険会社による照合の裏付けとなる文書の写しを含む、当初の契約提案文書の利用
• 販売後から満期までの契約の維持に関連する全ての記録の利用、および
• 記入済みの「履行文書(discharge documentation)」を含む、満期処理および/または保険金支払に関する詳細の利用
132. FATF 勧告では、AML/CFT のコンプライアンス担当役員および他の適切な職員が、全ての顧客確認データ、他の CDD 情報、取引記録、および他の関連情報を適時に入手でき
るよう要求している。適切に権限が与えられている国内の権限ある当局も、そのようなデータおよび情報を同じ基準で入手できるべきである。
AnnexⅠ
FATF の定義の引用
本Annex の定義は、FATF 勧告の一部を成す、定義の用語集から引用したものであり、ICP22の AML/CFT 要件にのみ適用される。
受益者(Beneficial Owner)
受益者とは、最終的に顧客17を所有または支配する自然人、および/または、当該人物のために取引が行われている自然人をいう。また、最終的か❜実質的に法人または法的取極めに支配権を行使する者も含む。
受取人(Beneficiary)
FATF 勧告における「Beneficiary」の用語の意味は、文脈によって変わる:
• 信託法において、受益者(Beneficiary)とは、信託取極めの利益を得る権利を与えられた人物である。受益者は、自然人または法人もしくは法的取極めがなりうる。全ての信託(公益信託または法律により容認された非公益信託を除く)は、確認できる受益者を有することが要求される。信託では、常に、最終的に確認できる受益者を数名保有しなければならないものの、信託が明確な現在の受益者を保有せず、一部の人物が、積立期間として知られる、特定の期間の満了に際して、収益または資本を受益者として取得する権利を得るようになるまで、権限の対象のみが存在する。当該期間は、通常、信託の譲渡証書に信託期間として言及される信託の永久拘束期間と同じ対象を指す。
• 生命保険または他の投資関連の保険契約の文脈において、受取人は、保険事由の発生
時/発生した場合に、保険契約によってカバーされる契約の保険金が支払われる、自然人もしくは法人、法的取極め、または、それら人物の部類である。
金融グループ(Financial Group)
金融グループは、親会社または、コアプリンシプルに基づくグループ監督の適用において、グループの残りの企業に対して統制および調整機能を有する他の形態の法人ならびに、グループレベルの AML/CFT の方針および手続きの対象となる支店および/または現地法人から構成されるグループを意味する。
金融機関(Financial institution)
金融機関とは、業務として、顧客のためにまたは顧客に代わって以下の活動または事業の
17 当該定義は、生命保険または他の投資関連の保険契約における受取人の受益者にも当てはまる。
うち、一または二以上を行う自然人または法人をいう:
1. 公衆からの預金およびその他の返済義務付き資金の受入れ
2. 融資
3. ファイナンス・リース
4. 送金
5. 決済手段(例えば、クレジットカード、デビット・カード、小切手、トラベラーズ・チェック、送金為替、銀行手形、電子マネー)の発行および管理
6. 金融上の保証およびコミットメント
7. 以下の取引:
(a) 資金市場商品(小切手、為替手形、譲渡性預金、デリバティブ等)
(b) 外国為替
(c) 為替レート、金利および指数に連動する金融商品
(d) 譲渡可能有価証券
(e) 商品先物取引
8. 証券発行引受およびこれらに係る金融サービスの提供
9. 個々および集合的ポートフォリオ管理
10. 他人のための現金または流動証券の保護預かりおよび管理
11. 他人のためのファンドまたは資金の投資、運営、管理
12. 生命保険および投資性の高い保険の引受けと販売
13. 両替
国際機関(International Organisations)
国際機関とは、国際的な条約締結権を有するメンバー国間の正式な政治協定により設立された団体をいう。その存在は、メンバー国におけるそれぞれの法律によって承認され、所在する国の機関として扱われるものではない。国際機関の例として、国連および、その支部である国際海事機構、地域国際機関である欧州評議会、欧州連合、欧州安全保障協力機構及び米州機構、北大西洋条約機構のような国際軍事機構、ならびに世界貿易機構又は東南アジア諸国連合のような経済機関がある。
法的取極め(Legal Arrangements)
法的取極めとは、明示信託または他の類似の法的取極めをいう。他の類似の(AML/CFT 目的の)法的取極めの事例としては、fiducie、treuhand、および fideicomiso を含む。
法人(Legal persons)
法人とは、金融機関との間で永続的な顧客関係を築くことができ、または財産を所有することができる、自然人ではない、あらゆる団体をいう。これには会社、法人(bodies
corporate)、財団、施設、パートナーシップ、または協会およびその他関連する類似の団体を含むうる。
重要な公的地位を有する者(Politically Exposed Persons)
外国のPEPsとは、外国において特に重要な公的な機能を任せられている、または任せられてきた個人であり、例えば国家元首または首相、高位の政治家、政府高官、司法当局者、軍当局者、国有企業の上級役員、重要な政党役員をいう。
国内のPEPsとは、国内において特に重要な公的な機能を任せられている、または任せられてきた個人であり、例えば国家元首または首相、高位の政治家、政府高官、司法当局者、軍当局者、国有企業の上級役員、重要な政党役員をいう。
Persons who are or have been entrusted with a prominent function by an international organisation(国際機関において特に重要な公的な機能を任せられている、または任せられてきた者)とは、すなわち、当該機関の長官、副長官及び理事会メンバーといった、上級管理者、またはそれと同等な機能をいう。
PEPs の定義には、前述の分野における、中級またはより下位の個人を含むことを意図していない。
AnnexⅡ
xxx・xxxダリングの事例研究
生命保険契約-事例研究1
A 国の T 夫人(教師)は、低額の初回保険料を支払い、生命保険契約を締結した。当該取引は、保険会社の代理店 C 社のであり、T 夫人のいとこでもある B 氏により手配された。二日後に、C 社は、T 夫人の代わりに 54 万ユーロを超える追加保険料を支払った。その一ヶ月後、T 夫人が自身の契約を解約し、拠出金の返還金を以下の3❜の異なる口座に振り込んだ:
a)MD 氏(C 社の常務取締役)24 万ユーロ
b)N 夫人(MD 氏の姪) 15 万ユーロ、および
c)U 氏 15 万ユーロ
彼らは全員、その後、異なる銀行の他の口座に当該資金を移転した。捜査の結果、洗浄された資金は、燃料密輸に❜ながっているようであった。当該口座は資金情報機関(FIU)によって閉鎖され、この事例は送検された。
生命保険契約-事例研究2
総額で 50 万ユーロを超える生命保険契約の一時払い保険料が、A 氏の代わりに、関係者である A 氏の雇用主から支払われた。金額の半分が保険料支払い後1カ月以内に A 氏によって引き出された。金額の残高を引き出す要請が同時に申し出られた。
FIU への報告の結果、その後の検査で A 氏に犯罪歴があり、係争中の訴訟手続きに関与していたことが判明した。また、A 氏が麻薬売買および暗殺に関与したとされているようであった。税務記録および A 氏の口座の資金の動きを含む、さらなる捜査および情報収集の結果、関連情報が法的執行機関に提出された。
生命保険契約-事例研究3
ある非常に高額の一時払い保険料の生命保険契約には、毎年年末における顧客の要請による一部償還に関する条項が含まれていた。その契約の顧客は、当該条項の目的が、倉庫の建築を容易にすることを目的とした 10 年の期間を有するローンのxxを支払うことであると主張した。保険会社は、保険料が高額であることおよび顧客がローンを組んだ銀行の名前を挙げることを拒否したことから、現地の FIU に疑いを報告した。FIU による念入りな調査の後、当該顧客が金融詐欺を犯したとして警察に知られている人物であったことが判明した。当該顧客は、生命保険商品を通じて、マネー・ローンダリングを行おうとしてい
たと思われる。
生命保険契約-事例研究4
ある保険会社は、一時払い保険料の生命保険契約にそれぞれ加入した 2 名の外国人に関して疑わしい届出を行った。保険料は非常に高額であった。FIU による調査で、これらの保険契約の保険料が、2 名の顧客の当座預金口座を通じて支払われているが、当該口座への支払いが、出所が分からない現預金で構成されていることが判明した。加えて、当該口座は、保険契約への支払いの目的でのみ使用されており、当該口座の保有者は、既に違法薬物取引による届出の対象となっていた。警察の報告書によると、当該人物は、ラテンアメリカから西ヨーロッパを活動拠点とする、麻薬密売に関与するネットワークのメンバーであった。保険会社は、いく❜かの事実、❜xx、当該保険契約者が、契約に加入しようとしている国に正式な住所を持っていないこと、当該国で職務に従事していないこと、および資金の出所に❜いて説明できなかったことに基づき、潜在的なマネー・ローンダリングの疑いを報告した。本事例は、現在、さらなる法的手続きを行っている。
生命保険契約-事例研究5
ガレージを所有している 25 歳であると主張するA氏は、その年齢と比べて高額の一時払い保険料の生命保険契約に加入した。当該契約は、10 年の期間で、A 氏が生存している場合には A 氏を保険金受取人として、また、当該保険契約の 10 年の期間中に A 氏が死亡した場合には B 夫人(B 夫人は A 氏の祖母である)を保険金受取人として、発行された。保険会社は、この事例を FIU に届出た。FIU による調査で、A 氏がガレージを所有しておらず、麻薬密売に関与していたことが判明した。FIU は、麻薬密売の事例を取扱う司法省に報告書を送った。
生命保険契約-事例研究6
20 代の夫婦は、同一の保険会社の、複数の一時払い保険料の生命保険契約に加入した。その後まもなく、この夫婦は、現金による当該契約の早期の払戻しを求めた。これにより、契約者の年齢が若かったこともあり、保険会社が注目した。FIU は、どちらの保険契約者も有罪判決を受けたことがあり、麻薬捜査の容疑者であったことを発見した。この申し立ては、刑事裁判で争われた。
生命保険契約-事例研究7
海外で生活するある保険契約者は、生命保険契約に加入し、その後すぐに、当該保険契約の早期解約を求めた。この早期解約は、当該保険契約者に対して高い費用をもたらした。その後、当該保険契約者は、海外で生活する別の人物の口座に資金を移転するよう、ファックスで要請した。当該保険会社は FIU に連絡を取り、FIU は、事態の緊急性を踏まえて、
この取引を 24 時間延期するよう要請した。これにより、FIU はデータを収集する時間を得ることができ、当該保険契約者が、公衆への貯蓄の不法な誘引で有罪判決を受けていたことが判明した。本事例は、さらなる調査のため司法省に移された。
生命保険契約-事例研究8
2 ❜の生命保険契約が、X 氏および X xx名前で、多額の金額で締結されていた。それらの支払いは、欧州の投資会社の口座を出所として、小切手で行われた。両契約は、リース業を専門に行う会社との住宅ローンの担保として用いられた。保険金受取人が当該保険契約者ではなく、および、リース会社から通常でない資金提供が行われたことを踏まえて、保険会社は、これまで当該口座に預入れられていた資金源を把握するために、当該投資会社に連絡を取った。そこで、当該資金が無作為の顧客により現金で当該会社に預入れられていたことが判明した。保険会社が疑いを開示したことを受けて、X 氏および Y 氏が、非合法的な車の輸出入で関税当局に知られていたことが明らかになった。
生命保険契約-事例研究9
34 歳の自動車販売業者は、住宅を購入するため、生命保険会社のブローカーを通じて融資を受けていた。当該人は、一時払い保険料の生命保険契約に、ローンの約 25%を投資した。その後、当該人は、xxx(元本およびxx)を返済するために自身の契約を早期に解約し、不足金は他の資金で埋め合わせた。保険契約の購入のためにローンの相当な部分を利用することは、ローンの予想外に早期の返済と合せて、FIU に連絡される結果となった。 FIU の調査により、保険契約者は、盗難車の窃盗および受取で知られていることが判明した。加えて、当該人は、自身の収入源および財源を証明するために、虚偽の文書を使用していた。
生命保険契約-事例研究 10
生命保険会社は、保険に加入した顧客の代わりに、金融アドバイザーから電話で連絡を受けた。当該顧客は、最近、詐欺で有罪判決を受けており、そのような有罪判決が保険契約の条件に支障をきたすことになるかどうか確認したいと願っていた。有罪判決は保険契約の継続に問題とはならなかった。しかしながら、詐欺の開示は内部レビューを促した。積極的な投資方針が確認され、また、xxxxの記事が発見され、その記事では、当該顧客が 600 万ユーロの脱税とその後のxxx・xxxxxxx犯罪に関与したギャングの一員であったことが記されていた。疑わしい行為の報告が FIU に提出された。FIU による諜報活動の広がりを受けて、税務当局は、保険会社に対して、その報告書が、資産の没収が行う事例とすることを可能にする有益な情報を提供したと伝えた。
生命保険契約-事例研究 11
A 国のある生命保険会社は、J 氏に実質的な投資型保険契約を販売し、警察からアプローチを受けた。J 氏は、ヘロインを段ボール箱に仕込ませて、その後、合法の海外貨物の船便輸送に使うという巧妙なプロセスを利用して、F 国からのヘロインの密売を行う犯罪集団の一員であったために捜査対象となっていた。箱の中身が配送された後すぐに、空の箱が窓の製造事業の処理工場に運ばれ、そこでヘロインが取り出され、処理され、販売された。J 氏は、自身の銀行口座からの非常に多額の振込みにより当該保険契約を購入し、口座の資金源を貯蓄と収入によるものであると述べた。レビューの後、投資が会社により勧められた海外向けの商品であるという事実を含め、保険会社との関係は、マネー・ローンダリングを促進する国境を越える要素を含めるよう構築されていたことが判明した。
生命保険契約-事例研究 12
ある生命保険会社が、既存の顧客から「窓口販売」取引を通じて 25,000 ユーロの支払いを受け取った。資金が受領された際に、会社によりその資金の出所に関して照会がなされた。保険会社に保険料を支払うために、ある銀行に現金が預けられたことが明らかになった。受入銀行は、現金が受領された際に問い合わせなかった。しかしながら、当該生命保険会社は、当該金額、これまで当該顧客からそのような支払いを受けたことがなかったという事実、および、顧客がどのような支払いを行うかに関して顧客が提出した確認書と矛盾していたこと、ならびに、保険会社による質問に対して顧客からの合理的な回答がなかったことを踏まえて、当該取引が疑わしいとみなした。その結果、FIU に対して疑わしい行為の報告がなされた。
生命保険契約-事例研究 13
金融アドバイザーが、見込み顧客の代わりに、PEP 区分および他の問題に❜いて申込前の照会を行うために連絡を取った。潜在的な申込者は、未解決の刑事問題を理由に自主亡命した新興国の前大統領と結婚していた。当該配偶者は、自身の納税義務の資金を用意するために終身保険を希望していた。しかしながら、夫は、数百万ドルの公金横領に関与していた。保険契約は拒否され、FIU に対して報告がなされた。
生命保険契約-事例研究 14
W 社役員の H 氏は、2 ❜の異なる法制度の下でそれぞれ設立された 2 社が関わるマネー・ローンダリング・スキームを作り上げた。2 社はともに、金融サービス提供を目的に設立されたもので、同氏を責任者として金融保証の提供を行っていた。2 社は S 国にある H 氏の口座に 110 万米ドルを電信送金した。この資金は何らかの犯罪行為による収益の可能性が高く、すでに何らかの形で金融システムの中に紛れ込んでいた。H 氏はまた、C 国からも振込を受けていた。資金は口座を転々としていた(当座預金と普通預金を含め、数種の口座が関与した)。その中のある取引で、生命保険契約の支払を目的に、資金はある普通預金
口座から U 国へと移された。これら保険契約での運用は、マネー・ローンダリング・スキームの中でも重要な役割を果たしていた。U 国での生保契約の保険料として支払われた金額は、およそ 120 万米ドルに上り、マネー・ローンダリング操作の最終段階となっていた。
生命保険契約-事例研究 15
夫と妻がそれぞれ自身の名前で年払いの生命保険契約に加入した。配偶者の一方の死亡の場合に、他方の配偶者が当該保険の受取人になっていた。保険料が払い込まれる口座の名義人は、保険契約者ではなく、彼らが役員になっている外国の会社であった。しかしながら、夫婦が個人的に加入した生命保険契約であり、会社が加入したものではなかった。捜査により、設定されたシナリオは、当該夫婦が関与した重大か❜組織化された税金詐欺から生じた不正な資金源を隠蔽するよう意図されていたことが判明した。
生命保険契約-事例研究 16
詐欺的な破産の対象者が、小切手を通して現金を払い込み、その現金を弁護士に対する引き出すために家族の一員の名前の口座を利用した。当該弁護士は、その後、その金額の一部を小切手で家族の一員に返金し、その一方で、残りの金額が対象者の一時払いの生命保険契約の保険料に使用され、その契約は即座に解約された。解約返戻金が家族の一員の口座に払い込まれた。
損害保険-事例研究 17
多くの会社が保有する多数の自動車に保険が掛けられていた。保険契約の設定プロセスの一環として、様々な会社の書類が保険会社によってレビューされた。その会社は 1994 年か
ら 1995 年にかけて、X 氏が 24 歳の時に設立された。当該会社が登録した事業活動には、X氏の年齢および立場に相応しない重大な投資を定めていた。当該会社は、X 氏に関連する他の人物と❜ながりがあるように思われ、同一住所で設立されていた。その後、X 氏は自動車を取得するために使用された資金源に関する情報の提供を拒否した。FIU に対して報告がなされ、捜査が開始された。
損害保険-事例研究 18
ある資金洗浄者が架空の遠洋航行船に海上保険をかけた。同人は多額の保険料を支払った上で、仲介人を賄賂で買収し、xxの保険金請求を行わせた上で、保険金を受け取った。しかし、極めて慎重なことに、保険金請求額は支払った保険料より少なく、保険会社はこの契約で合理的な利益をあげられるようになっていた。その資金洗浄者はこれにより、資金の洗浄に利用できる小切手の形で、保険金を手に入れたのである。小切手の振出人は定評ある保険会社からのものと思われ、小切手または電信送金にその会社の名前を見❜けた者はほとんどその出所を疑わなかった。
仲介人-事例研究 19
ある人物(後に薬物密売で逮捕)は保険ブローカーを通じ、25 万米ドルの資産運用(生命保険)を行った。同人は以下のように行動した。同人はまず、保険ブローカーと連絡を取り、3回の分割払いで総額 25 万米ドルの現金を払い込んだ。保険xxxxxはこの多額の払込を届け出ず、3 回の分割払いをすべて銀行に預けた。保険ブローカーは保険会社の支店と関係していることが知られていたため、銀行では何の疑いも生じなかった。その後、保険ブローカーは資産運用を担当する保険会社に、自らの名義の銀行口座から 3 回にわたり、
総額 25 万米ドルの小切手を振り出したため、保険会社でも疑いは生じなかった。
仲介人-事例研究 20
顧客が複数の国において、ある仲介人のサービスを利用して、保険商品を購入した。顧客の身元確認は身分証明書で行われたが、その詳細を提供機関が現地で確認できなかったため、顧客管理のチェックを行う仲介人に確認を依頼していた。契約は成立し、仲介人を通じて現地の機関に対して関連する支払いが行われた。その後 2、3ヵ月が経過し、当該機関は顧客から、状況が変わり、損失を被る契約を終了させなければならないが、当該機関から、クリーンな小切手を手に入れて終了したいという要請を受けた。また、契約から 2、3年を過ぎてから終了され、第三者への支払要請がなされたこともあった。これは、地元の場合は、出所が他の定評ある地元の機関という理由で、支払いに疑いをかけずに受け手の機関に支払われることが多かった。
共謀-事例研究 21
保険会社が、被保険者と共謀して、保険取引を通じた資金洗浄を企てた。保険会社のマネージャーが、事故による賠償に対して保険をxxする医療保険契約および個人傷害保険契約を、通常は友人または親類の名前で、ある架空の人物に対して販売した。これらの人物は低い保険料率で支払いを行った。その後、損失額を立証する虚偽の書類および診断によって裏付けされて、保険金支払請求が受理され、保険会社が保険金を即座に支払った。損害に対する支払請求額は相当な額であった。次に、そのマネージャーは、このスキームを合法化し、支払った損害額を回収しようと努めた。代位権に従って、保険会社は申し立ての事故が発生した場合は、全ての契約に対して法的措置を講じた。関連事業(レストラン、クラブなど)は、申し立ての事故の発生には気付かなかったこと、および提示された時にそのような事故は発生しなかったことを回答した。
共謀-事例研究 22
麻薬密売人が、8 万米ドルの価値で生命保険契約を購入した。当該契約は、大きな生命保険会社のエージェントを通して、銀行小切手を用いて購入された。捜査により、顧客が、保
険契約の財源に充てた資金は、麻薬の密売による収益であると知らせたことを示した。この事実を踏まえて、エージェントは非常に高額なコミッションを課した。当該取引から 3カ月後に、麻薬の売人が自身の保険契約を現金化したことが捜査により判明した。
再保険-事例研究 23
A 国のある保険会社が、A 国のある投資会社の取締役と役員の補償のために、B 国の定評ある再保険会社と再保険契約を結ぼうとした。保険会社は再保険補償に対して相場の 4 倍に上る支払を行う用意があった。これを疑問に思った再保険会社は、法執行当局に通報した。捜査の結果、この投資会社に実体はなく、薬物に手を染める犯罪者が支配していた。保険会社はこの投資会社と所有関係にあった。薬物収益は再保険会社からの支払で洗浄できるが、この契約の主目的は、定評ある再保険会社の名前を使うことにより、見せかけの正当性を作り出すことにあったようだ。相場を超える再保険料を提示することで、保険会社はおそらく、再保険契約の継続を望んでいたと見られる。
再保険-事例研究 24
住宅建設に興味のある人物のグループが、彼らが参加する(原価での)投資建設に関連する契約に従って、A 建設会社のために支払いを行った。P 保険会社は、財務リスク保険契約に従って、これらの契約に対する起こりうる財務リスクを引き受け、保険料を受領した。同時に、P 保険会社は、A 建設会社と、住宅の時価と原価の差額は財務リスク保険契約に基づく保険料として、保険会社のために移転されるという密約を結んだ。P 保険会社が資金を受領した場合、その資金は一般的な再保険契約に基づく保険料として X 保険会社のために移転される。架空のサービス契約およびエージェント契約に基づいて支払われたコミッションにより、X 保険会社は資金を数か所のオフショアのシェル会社に向けた。実際の利益の受取人は、外国で引き出されるが、A 建設会社の所有者および取締役であった。
AnnexⅢ
テロ資金供与の事例研究
事例研究 1
10 月に、自動車保険契約が X 氏によって購入された。保険料は、4 年間の無請求配当に基づいており、また、インターネットを通じたデビット/クレジットカードによる支払いだった。X 氏は、11 月 5 日に保険を解約し、関連するデビット/クレジットカードを紛失したため、個人小切手による支払いで保険料の返金を依頼した。
12 月 3 日に、X 氏は保険会社のコールセンターに連絡を取り、違う車、Vauxhall Corsa に
❜いての保険を契約した。この時、彼はデビット/クレジットカードによる支払いを試み、その取引は最初拒否された。翌日、保険料は全額、デビットカードによって支払われた。X氏は、無請求配当を全く受け取っておらず、全ての可能な「付加」商品を購入したと主張した。再び、X 氏は当該契約の解約を要求した。彼は、特定の銀行口座が閉鎖されてしまったので、保険料の返金は、最初のデビットカードを通じてすべきではないと要求した。その結果、彼は個人小切手を自分に送ってほしいと依頼した。これは、返金は最初のデビットカードを通じて返金すべきと主張した保険会社によって拒否された。保険会社は、その後、最初の返金小切手は換金所に提示されたと立証した。
その後の措置
一連の取引は FIU に報告された。その後の捜査で、関与した人物がテロリストのネットワークに関連していたと思われることが示された。
事例研究 2
英国に拠点を置く保険会社が、米国のフロリダ州マイアミに拠点を置く宝石会社用の宝石のxx保険を引き受けた。保険契約に対する請求が行われた。しかしながら、会社の所有者 X 氏は、損失の証拠を提供することができず、その結果、捜査が行われた。捜査により、当該会社の財務記録の矛盾が確認され、銀行口座間の資金の動きに関して疑問が提起された。重大な関心事は、ベイルートの銀行口座への資金の振り込みであった。宣誓した上で、 X 氏は、口座には 20 万米ドルを超える資金が含まれることを述べた。資金の動きに関する説明は全く行われず、中東の銀行口座に関連した銀行取引明細書も全く作成されていなかった。
その後の措置
本件に❜いて、保険会社の法定代理人により、米国の法的執行機関に対して報告がなされ
た。当該法的執行機関は、特に、資金の動きに関心を持ち、これらがテロ資金供与の目的で使用された可能性があると指摘した。
事例研究 3
テロ組織のリーダーが、アフガニスタンで訓練を受け、当該国で米国軍と数年にわたり戦いを続ける X 氏に対して、自爆テロ犯として志願するという彼の当初の意志を捨てるよう命令し、A 国で組織を支援するために X 氏を A 国に送り込んだ。2004 年 9 月に、X 氏は、生命保険会社から多額の資金を不正に入手しようと試み、それは、この資金の大部分をテロ組織に送りそのテロ行為に資金供与することを意図するものであった。そのために、X 氏は Y 氏および X xx弟である Z 氏を雇った。400 万ユーロの生命保険契約が Y 氏により契約され、X xx弟の Z 氏が保険金受取人に指定された。X xx、B 国の滞在中に交通死亡事故を偽装することになっていた。必要に応じて、不正による死亡証明を取得して、生命保険給付金が Z 氏により回収されることになり、Z 氏はその収益をテロ行為に資金供与するために外国銀行口座を通じて海外に送金することになる。X 氏は主として、これらの生命保険契約のための保険料を支払う責任を有する。この計画は、2005 年の 1 月に X 氏および Y 氏が逮捕されて阻止された。
その後の措置
X 氏およびX xx、テロ組織のメンバーであることおよび複数の詐欺で有罪判決を受けた。 X 氏は懲役 7 年、X xx懲役 6 年の判決を受けた。Z 氏もテロ組織と詐欺をほう助したとして、より軽い罪の有罪判決を受けた。Z 氏は懲役 3 年 6 カ月の判決を受けた。