1 請負契約〔contract for work〕とは
Q リース契約において、契約期間中にリース物件に滅失・毀損が生じた場合、そ
の修繕は誰が行うのか。
物件に修繕可能な毀損が生じた場合、ユーザーの費用で修繕をすることとなる。
これに対し、物件が滅失した場合、または修繕不能な毀損が生じた場合は、ユーザーがリース会社に規定の損害金を支払い、契約は終了する。
いずれの場合にも、滅失・毀損の責任が誰にあるかは問われない。もし責任が第三者にあるならば、ユーザーはリース会社に損害金を支払った上で第三者の不法行為責任を追及することになる。
なお、現実には修繕費用や規定損害金は、損害保険でカバーされるのが通常であり、保険会社からリース会社に支払われる保険金でリース会社の損害はてん補される。したがって、現実には、保険でカバーされない事故に限ってユーザーからリース会社に金銭が支払われることになる。また、損害が第三者の行為による場合、またはユーザーの故意・重過失によって発生した場合は、保険会社はリース会社に支払った保険金相当額をその第三者やユーザーに請求する。
✌ 理解力UP
《ユーザーとサプライヤーとの関係》
ユーザーとリース会社間にはリース契約があり、リース会社とサプライヤー間には売買契約がある。これに対して、ユーザーとサプライヤーとの間には、通常の売買契約の場合と同様に、物件の選定・価格・納期・納入条件等の契約条件についての取決めがなされるにもかかわらず、通常は何らの正式な契約も締結されない。
実際に、ユーザーとサプライヤーとの間で交わされる契約は、せいぜい物件の保守契約ぐらいであり、これさえも必ず締結されるというわけではない。
A
(5)リース契約にかかわる問題
リース契約では、ユーザーとサプライヤーとの間に、物件の保守契約を除き原則として直接の契約関係がない。したがって、当該物件が引き渡されなかったり、瑕疵があった場合、ユーザーは誰にその責任を問うことができるのかが問題となる。そこで、ユーザーは、サプライヤーとの間で別途責任を追及する旨の契約を締結することが一般的である。この場合、リース契約には、ユーザーはリース会社に対して責任を追及しないと定められていることが多い。
また、ユーザーからリース料が支払われない場合に備えて、あらかじめ前払いリース料という名目で数ヶ月分のリース料相当額を担保として受け取っておくことや、ユーザーの経営の悪化の際には通知義務を課すこともある。
☞ 学習のまとめ
《リース取引の流れ》
リース契約が終了する
リース会社は事務処理を行い保険契約を結ぶ
リース物件を使用収益する(ユーザー)
物件代金(リース会社)・リース料(ユーザー)を支払う
借受証を交付しリース期間が開始する
リース物件を納入する(サプライヤーが直接ユーザーに納入)
売買契約を結ぶ(リース会社とサプライヤー)
リース契約を結ぶ(ユーザーとリース会社)
リース会社が審査する
リース契約を申し込む(ユーザー)
リース会社を選ぶ(ユーザー)
リース物件を決める(ユーザー)
Ⅱ 請負を基礎とする契約
1 請負契約〔contract for work〕とは
今日、請負契約に該当する契約は、書籍等の印刷、機械等の保守・修理、運送など数多くあるが、最も典型的な請負契約は建物等の建築請負契約である。以下では、建築請負契約を中心に請負契約について説明する。