Contract
工事請負契約における設計変更ガイドライン
x x 市
令和6年1月改訂
目次
1.策定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.設計変更が不可能なケース・・・・・・・・・・3
3.設計変更が可能なケース・・・・・・・・・・・4
4.設計変更が可能なケースの具体例・・・・・・・5
◆設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
◆設計図書の表示が明確でない場合の手続き
◆設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
◆工事中止の場合の手続き
5.設計変更に関する監督職員の権限及び役割・・・10
6.設計変更に関する現場代理人の権限及び役割・・14
7.設計変更手続きフロー・・・・・・・・・・・・16
8.「設計図書の照査」の範囲 ・・・・・・・・・・18
9.「設計図書の照査」の範囲をこえるもの ・・・・19
10.仮設の変更に関する取扱い・・・・・・・・・・20
11.現場説明書(条件明示)について・・・・・・・21
1 策定の背景
◆土木工事・営繕工事の特徴
土木工事は、個別に設計された様々な目的物を、個々に異なる現場条件、環境の下でxxしなければならない。また、不可視部分等については、事前調査では発見できなかったことが起こりうる可能性が想定される。また建築物は、不特定多数の利用者や施設管理者等の様々な要望を総合的に勘案し設計された一品受注生産である目的物を、多種多様な自然・社会・環境条件の下において生産するという特殊性を有しており、工事の進捗と共に、当初発注時に予見できない施工条件や環境の変化などが起こり得る。このような現場条件や環境の変化などに柔軟に対応するためには、設計内容の前提条件を明示するとともに、自然的または人為的な条件による変更事項をあらかじめ想定し、条件明示することにより円滑な設計変更に備えることが重要である。
◆設計変更の現状
契約図書に明示されている内容と実際の現場条件が一致しない場合には、契約書の関連条項(以下「契約事項」という。)に基づき、設計図書に明示した内容を変更し、併せて工期や請負代金額の変更が必要となるケースがある。
しかし現状は、条件明示の内容不足により本来設計変更の対象になるべき事項を対象外としたり、口頭のみで協議したために、設計変更の段階で意見が食い違い、変更に反映されなかったりといった事例があるほか、現場条件が当初の想定に対して大きく乖離していたにもかかわらず「任意仮設」であるがために変更しない等、発注者と受注者との間でトラブルとなる事例が見受けられる。
◆発注者・受注者の留意事項
[発注者]
発注者は、受注者が工事の目的に沿った適切な施工ができるよう、次の事項に留意しなければならない。
① 設計図書の作成にあたっては、特記仕様書及び現場説明書(条件明示)により設計内容の前提条件や、設計変更の対象となるべき事項について確実かつ明確に示すよう徹底する。
② 設計変更のルールについて理解しておく。
③ 設計変更を行う必要が生じた場合など、必要な指示、協議等を書面で行う。
④ 受注者から設計図書についての確認があった場合は、受注者の立会いの上、直ちに調査を行う。
⑤ 設計変更の契約金額や工期は、受注者と協議のうえ決定する。
[受注者]
受注者は、工事の目的を達することができるよう、発注者の意図、設計図書、現場条件などを確認し、次の事項に留意しなければならない。
① 工事着手前に設計図書を照査して、着手時点における疑義を明らかにし、書面により各項目について必要な「協議」を実施する。
② 施工中においても疑義が生じた場合は、その都度発注者と書面により「協議」を行い、確実に発注者の指示を書面で受けてから工事を進める。
◆策定の理由
適切な設計変更の実施には、発注者と受注者が相互に正しい設計変更のルールについて理解しておく必要がある。そこで、各種関係機関からの通達等を踏まえ、設計変更における課題と留意点を「工事請負契約における設計変更ガイドライン」として取りまとめた。
2 設計変更が不可能なケース
下記のような場合においては、原則として設計変更を行うことができない。ただし、契約事項第28条(臨機の措置)の緊急やむを得ない事情があるときは、この限りではない。
⮚ 発注者が「承諾」して施工した場合
⮚ 発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合(「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合も同様)
⮚ 契約事項・xx市土木工事共通仕様書に定められている所定の手続き(契約事項第 20
条~第 26 条、第 32 条、xx市土木工事共通仕様書1-1-1-3、1-1-1-16
~18)を経ていない場合
契約事項 第 20 条 条件変更等
第 21 条 設計図書の変更第 22 条 工事の中止
第 23 条 受注者の請求による工期の延長 第 24 条 発注者の請求による工期の短縮等第 25 条 工期の変更方法等
第 26 条 請負代金額の変更方法等
第 32 条 請負代金額の変更に代える設計図書の変更
xx市土木工事共通仕様書
1-1-1-3 設計図書の照査等
1-1-1-16 工事の一時中止
1-1-1-17 設計図書の変更
1-1-1-18 工期変更
⮚ 正式な書面によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
3 設計変更が可能なケース
下記のような場合においては、設計変更が可能である。
⮚ 仮設(指定・任意とも)において、条件明示の有無に係わらず当初発注時点で予期しえ なかった土質条件や地下水位等が現地で確認された場合(ただし、所定の手続きが必要)
⮚ 当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず、工事着手できない場合
⮚ 「協議」等の所定の手続きを行い、発注者から「指示」又は「通知」があったもの。
⮚ 受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
※上記は全て書面(工事打合せ簿)で手続きを行ったもののみが有効である。また、書面は全て発行年月日を記載し、署名または押印したものとする。
変更指示・設計変更にあたっては、下記事項に留意する。
⮚ 当初設計の考え方や設計条件を再確認して、設計変更「協議」(工事打合せ簿による確認)を行う。
⮚ 当該事業(工事)での変更の必要性を明確にする。
※規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)を明確にする。
⮚ 設計変更に伴う変更請負額をその都度把握しておく。
⮚ 設計変更は、その変更が生じた都度、総括監督員(総括監督員を置かない場合はxx監督員)がその変更内容を掌握し、当該変更の内容が予算の範囲内であることを確認したうえ、「工事打合せ簿」により監督職員を通じて行うものとする。ただし、変更内容が極めて軽微なものは、監督職員ができるものとする。
⮚ 設計変更に伴う契約変更手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。ただし、軽微な変更設計に伴うものは、工期の末(国庫債務負担行為に基づく工事にあっては、各会計年度の末及び工期の末)に行うことをもって足りるものとする。
⮚ 軽微な変更設計に伴うものとは、次に揚げるもの以外のものをいう。
① 構造、工法、位置、断面等の変更で重要なもの
② 「工事打合せ簿」による変更見込額の合計額が当該契約額の 30%又は 1 千万円をこえるもの。
⮚ 工期は変更契約時に、発注者と受注者が協議して定める。
⮚ 設計変更「協議」において意見が相違する案件が発生した場合は、合意形成を図る。
4 設計変更が可能なケースの具体例
◆設計図書に誤謬又は脱漏がある場合の手続き
(契約事項第 20 条第 1 項第 2 号)
⮚ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
⮚ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合
⮚ 条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導員についての条件明示がない場合
【受注者】
「契約事項第 20 条(条件変更等)第 1 項第 2 号」に基づき、その旨を直ちに監督職員に通知
【発注者】
発注者は「同条第 4 項、第 5 項」に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は、「第 25 条、第 26 条」に基づき「協議」により工期及び請負代金額を定める。
◆設計図書の表示が明確でない場合の手続き
(契約事項第 20 条第 1 項第 3 号)
⮚ 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
⮚ 水替工実施の記載はあるが、作業時もしくは常時排水などの運転条件等の明示がない場合
【受注者】
「契約事項第 20 条(条件変更等)第 1 項第 3 号」に基づき、条件明示が不明確な旨を直ちに監督職員に通知
【発注者】
発注者は「同条第 4 項、第 5 項」に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
(当初積算の考え方に基づく条件明示)
受注者及び発注者は、「第 25 条、第 26 条」に基づき「協議」により工期及び請負代金額を定める。
◆設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合の手続き
(契約事項第 20 条第 1 項第 4 号)
⮚ 設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
⮚ 設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
⮚ 設計図書に明示された交通誘導員の人数等が規制図と一致しない場合
⮚ 前号の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
【受注者】
「契約事項第 20 条(条件変更等)第 1 項第 4 号」に基づき、設計図書の条件明示
(当初設計の考え)と現地条件が一致しないことを直ちに監督職員に通知
【発注者】
調査の結果、その事実が確認された場合は、「同条第 4 項・第 5 項」に基づき、必要に応じて設計図書の訂正・変更
受注者及び発注者は、「第 25 条、第 26 条」に基づき「協議」により工期及び請負代金額を定める。
◆工事中止の場合の手続き
(契約事項第 22 条)
〔受注者の責に帰すことができないものにより工事目的物等に損害を生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる場合の手続き〕
⮚ 設計図書に工事着手時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
⮚ 警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
⮚ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
⮚ 受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
⮚ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合
⮚ 予見できない事態が発生した(地中埋設物の発見等)場合
地元調整や予期しない現場条件等のため、受注者が工事をすることができない。
「契約事項第 22 条(工事の中止)第 1 項」により発注者は工事の全部又は一部の施工を一時中止させなければならない。
【発注者】
一時中止の指示(契約上一時中止をかけることは発注者の義務)
【受注者】
xx市土木工事共通仕様書 1-1-1-16 第 4 項に基づき基本計画書を作成し、発注者の承諾を得る。
【発注者】
現場管理上、最低限必要な施設・人数等を確認し、基本計画書を承諾
【受注者】
不承諾の場合は、基本計画書を修正し、再度承諾を得る。
【受注者】
基本計画書に基づいた施工の実施
【発注者】
承諾した基本計画書に基づき、施工監督及び設計変更を実施
5 設計変更に関する監督職員の権限及び役割
契約事項
(監督職員)第 11 条
2 監督職員はこの契約事項の他の条項に定めるもの及びこの契約事項に基づく発注者の権限とされる事項のうち発注者が必要と認めて監督職員に委任したもののほか、設計図書に定めるところにより、次に掲げる権限を有する。
一 この契約の履行についての受注者又は受注者の現場代理人に対する指示、承諾又は協議
二 設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付又は受注者が作成した詳細図等の承諾
三 設計図書に基づく工程の管理、立会い、工事の施工状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査(確認を含む。)
第4項は同契約事項第1条第5項の特則を規定したものではなく、設計図書において権限が定められる監督職員の指示又は承諾について、緊急の場合を除き、書面によることを定めたものであること。この場合の書面は別に定めるものを除き、独立した文書の
ほか、工事打合せ簿等に記載する等の方法をとること。
4 第2項の規定に基づく監督職員の指示又は承諾は、原則として書面により行わなければならない。
(条件変更等)第 20 条
2 監督職員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら前項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後 14 日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第1項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
一 第1項第1号から第3号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるものは発注者が行う。
二 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うものは発注者が行う。
三 第1項第4号又は第5号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないものは発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
〔xx市建設工事等に関する各種様式集 工事打合せ簿〕
発注者と受注者の間のやりとりは工事打合せ簿により行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(設計図書の変更)
第 21 条 発注者は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を受注者に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
xx市土木工事共通仕様書
1-1-1-2 用語の定義
14.指示
指示とは、契約図書の定めに基づき、監督職員が受注者に対し、工事の施工上必要な事項について書面により示し、実施させることをいう。
15.承諾
承諾とは、契約図書で明示した事項について、発注者若しくは監督職員または受注者が書面により同意することをいう。
16.協議
協議とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者または監督職員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。
24.書面
書面とは、工事打合せ簿等の工事帳票をいい、情報共有システムを用いて作成され、指示、承諾、協議、提出、報告、通知が行われたものを有効とする。ただし、情報共有システムを用いない場合は、発行年月日を記載し、記名(署名または押印を含む)したものを有効とする。なお緊急を要する場合は、ファクシミリまたは電子メールにより伝達できるものとするが、後日有効な書面と差し替えるものとする。
1-1-1-6 監督職員
1.監督職員の権限
当該工事における監督職員の権限は、契約事項第 11 条第2項に規定した事項である。
2.監督職員の権限の行使
監督職員がその権限を行使する時は、書面により行うものとする。ただし、緊急を要する場合は監督職員が、受注者に対し口頭による指示等を行えるものとする。口頭による指示等が行われた場合には、後日書面により監督職員と受注者の両者が指示内容等を確認するものとする。
xx市契約規則
(監督職員の一般的職務)
第 60 条 市長又はその委任を受けた者から監督を命ぜられた職員又は施行令第 167 条の
15 第 4 項の規定に基づき監督の委託を受けた者(以下「監督職員」という。)は、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて監督を行わなければならない。
2 監督職員は、監督をしたときは、その内容、指示した事項その他必要な事項を記録しておかなければならない。
3 監督職員は、必要があるときは、契約の履行について、立会い、工程の管理、履行途中における試験、検査等の方法により監督をし、契約の相手方に必要な指示をしなければな
らない。
4 監督職員は、監督の実施に当たっては、契約の相手方の業務を不当に妨げることのないようにするとともに、監督において特に知ることができたその者の業務上の秘密に属する事項は、これを他に漏らしてはならない。
5 監督職員は、監督に当たってはその任を命じた者と緊密に連絡するとともに、その要求に基づき、又は随時に、監督の実施状況について報告をしなければならない。
工事打合せ簿の処理について
1.受注者とのやりとりは、全て「工事打合せ簿」により行う。
2.案件の変更契約の可否及び変更内容については必ず記入する。
3.受注者より「協議」があった場合も2と同様とする。
4.受注者とのやりとりにおいて、意見の相違する案件が発生した場合は、相互の合意形成を図るものとする。
5.工事打合せ簿は、内容を問わず全て監督職員の決裁を得る。
6 設計変更に関する現場代理人の権限及び役割
契約事項
(現場代理人及びxx技術者等)第 12 条
2 現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、第 14 条第1項の請求の受理、同条第
「現場代理人」とは、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項を処理する者として工事現場に置か
れる契約者の代理人であり、工事現場に常駐することとされている。
3項の決定及び通知並びにこの契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができる。
(条件変更等)
第 20 条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督職員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書及び金額を記載しない内訳書並びにこれらに対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
〔xx市建設工事等に関する各種様式集 工事打合せ簿〕
発注者と受注者の間のやりとりは工事打合せ簿により行う。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
xx市土木工事共通仕様書
1-1-1-3 設計図書の照査等
1.図面原図の貸与
受注者からの要求があり、監督職員が必要と認めた場合、受注者に図面の原図若しくは電子データを貸与することができる。ただし、共通仕様書等、市販・公開されているものについては、受注者が備えなければならない。
2.設計図書の照査
受注者は、施工前及び施工途中において、自らの負担により契約事項第 20 条第1項第1
号から第5号に係る設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督職員にその事実が確認できる資料を提出し、確認を求めなければならない。なお、確認できる資料とは、現地地形図、設計図との対比図、取合い図、施工図等を含むものとする。また、受注者は、監督職員から更に詳細な説明または資料の追加の要求があった場合は従わなければならない。ただし、設計図書の照査範囲を超える資料の作成については、契約事項第 21条によるものとし、監督職員からの指示によるものとする。
3.契約図書等の使用制限
受注者は、契約の目的のために必要とする以外は、契約図書、及びその他の図書を監督職員の承諾なくして第三者に使用させ、または伝達してはならない。
工事打合せ簿の処理について
1.監督職員とのやりとりは、全て「工事打合せ簿」により行う。
2.工事着手前に、契約事項第 20 条第1項各号について確認し、監督職員に工事打合せ簿で「報告」又は「協議」する。
3.案件の変更契約の可否及び変更内容については必ず監督職員に確認する。
4.監督職員からの「通知」「指示」等に疑義がある場合は、施工開始前に再検討の申し入れを、工事打合せ簿により監督職員に行う。
5.工事打合せ簿は、監督職員の決裁を得たものを全て保管しておくこと。
7 設計変更手続きフロー
1. 図面、仕様書、現場説明書及び土木工事にあっては金額を記載しない内訳書並びにこれらに対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)
2. 設計図書に誤謬又は脱漏があること
3. 設計図書の表示が明確でないこと
4. 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
5. 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと
発注者
受注者
【第 20 条第 2 項】
上記に該当する事実を発見
【第 20 条第 1 項】
上記に該当する事実を発見
【第 20 条第 3 項】
受注者より意見を聴き取る
意見
【第 20 条第 4 項第 3 号】
発注者において工事目的物の変更を伴わないと判断した場合は協議
【第 20 条第 2 項】発注者:調査の実施受注者:立会い
【第 20 条第 4 項】
必要があると認められるときは設計図書の訂正又は変更を行う
受理
【第 20 条第 3 項】
原則 14 日以内に調査結果を打合せ簿で通知(とるべき措置の指示含む)
決裁
【第 20 条第 3 項】
調査結果のとりまとめ
【第 20 条第 1 項】
打合せ簿により内容を通知し、確認を請求
【第20 条第4 項第1 号】設計図書の訂正 | 【第 20 条第 4 項第 2、 3 号】設計図書の変更 | |||
| ||||
変更内容・変更根拠の明確化、変更図面、変更数量計算書等の変更設計図書の作成 | ||||
【第 20 条第 5 項】 必要があると認められるときは工期若しくは請負代金を変更 | ||||
【第 25 条、第 26 条】 工期の変更、請負代金額の変更を協議 |
変更契約
8 「設計図書の照査」の範囲
◆「設計図書の照査」についてはxx市土木工事共通仕様書1-1-1-3に定められたとおりである。なお、工事着手に先立ち受発注者が合同で現地を確認し、設計条件や設計方針などの共有を図るなど工事施工の円滑化と品質の確保に努めること。
◆受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲としては、以下のとおりである。
1 設計図書の内容について整合がとられているかどうかの確認。
⚫ 数量計算書と設計書の内容の整合確認。
⚫ 構造計算書の入力値や計算値と図面の整合確認。
⚫ 設計図面・数量計算書に記載ミス、計算ミスが無いかどうか。
2 設計図書記載内容の現場の状態・施工条件と、実際の工事現場の状態・施工条件が一致しているか等の確認。
⚫ 設計図面のとおり構造物を作ることが出来るかどうか。
⚫ 縦横断図の地盤線と現地地盤の確認及びその軽微な修正等。
⚫ 当初横断図の推定岩盤線と現地岩盤線の確認及びその軽微な修正等。
⚫ 埋設物、支障物件等の現地確認。
3 舗装修繕工事及び特記仕様書に明示されているものの縦横断設計(当初の設計図書において縦横断図が示されておらず、xx県土木工事共通仕様書第 10 編「10-14-4-3 路面切削工」「10-14-4-4 舗装打換え工」「10-14-4-5 切削オーバーレイ工」「10-14-4-6 オーバーレイ工」「10-14-4-7 路上再生工」等に該当するもの及び特記仕様書に明示されているものについて縦横断設計を行うものは設計照査の範囲である。)
9 「設計図書の照査」の範囲をこえるもの
◆受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲をこえる行為としては、以下のものなどが想定され、このような場合は「別途業務にて実施した設計図書で指示する」等、発注者がその費用を負担する。
【新たに設計図の作成が必要なもの】
⚫ 現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。(災害復旧等の工事で、標準断面発注し、工事において測量から設計まで行う場合等)
⚫ 現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。または、土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
【構造計算等が伴うもの】
⚫ 構造物の応力計算を伴う照査。
⚫ 構造物の位置や計画高さ、載荷高さ、延長等が変更となり、構造計算の再計算が必要となるもの。(設計業務の瑕疵について確認が必要)
⚫ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。(設計業務の瑕疵について確認が必要)
⚫ 基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⚫ 土留め等の構造計算において現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
【設計根拠の検討まで必要なもの】
⚫ 「設計要領」、「各種示方書」等で示す設計計算・考え方との照合。
⚫ 設計根拠まで遡る見直し及び必要とする工費の算出。
⚫ 設計のため地質調査が必要な場合。(品質管理のための調査は含まない)
10 仮設の変更に関する取扱い
◆指定仮設と任意仮設
公共工事の仮設は、契約事項の原則からすれば、受注者の責任において施工する「任意仮設」が基本であると考えられている。しかし、公共工事においては、工事中における公衆災害の防止及び施工に伴う重大な労働災害の防止についても特に留意する必要がある。
このため、工事の発注にあたって、発注者が特に必要と判断したものは、契約条件として仮設工の規模・構造等について予め発注者が指定し「指定仮設」とする場合がある。
【指定仮設】
○工事目的物を施工するにあたり、設計図書に施工方法等を指定したものである。(設計変更の対象となる。)
○下記事例やこれに類する工事を対象とする。
⚫ 河川堤防と同等の機能を有する仮締切の場合
⚫ 仮設構造物を一般交通に供用する場合
⚫ 特許工法または特殊工法を採用する場合
⚫ 関係官公署等との協議により制約条件のある場合
⚫ その他、第三者に特に配慮する必要がある場合
なお、上記のような指定仮設とする場合は、事前に現地調査を十分に行い、仮設工の計画・設計の可否を技術的に検討審査するとともに、経験豊富な専門家等の助言も活用して指定仮設の内容を十分検討し、関係法令、関係技術基準・指針等に沿った施工の安全性の確保に十分配慮した適切な内容とすること。
【任意仮設】
○工事目的物を施工するにあたり、受注者が自らの責任で行うもので、仮設、施工方法等の選択は受注者に委ねられる。(原則、設計変更の対象としない。)
※ただし、任意であっても、設計図書に示された施工条件と実際の現場条件が一致しない場合は変更できる。〔契約事項第 20 条第1項第 4 号〕
○発注者(監督職員)は任意の趣旨を踏まえ、施工計画書が提出された際には、仮設計画の妥当性について確認することが重要である。
11 現場説明書(条件明示)について
◆現場説明書とは、工事の入札に参加するものに対して発注者が当該工事の契約条件(施工条件)等や図面及び仕様書に表示し難い見積条件を示した書面をいう。
【留意事項】
○現場説明書は、制約を受ける当該工事に関する施工条件を明示することによって工事の円滑な執行に資することを目的としており、当初契約においてやむを得ず施工方法について仮指定せざるを得ないもの、又は変更が予想されるもの、あるいは制約される工事工程や特殊な工法等について相手方(受注者)が十分な見積りができるよう条件明示するものとする。
○明示項目として以下のようなものが上げられる。
工程、用地、公害、安全対策、工事用道路、仮設備、建設副産物、工事支障物件、薬液注入、その他など。
○明示されない施工条件、明示事項が不明確な施工条件についても、契約事項の関連する条項に基づき、発注者と受注者とが協議できるものである。
【明示項目及び明示事項】
明示項目 | 明 示 事 項 |
工程関係 | 1.他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期 2.施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法 3.当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期 4.関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲 5.余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期 6.工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間 7.設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数 |
用地関係 | 1.工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理 の見込み時期 |
2.工事用地等の使用終了後における復旧内容 3.工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等 4.施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、 時期、期間、使用条件、復旧方法等 | |
公害関係 | 1.工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容 2.水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間 3.濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容 (処理施設、処理条件等) 4.工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲等 |
安全対策関係 | 1.交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間 2.鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容 3.落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容 4.交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容 5.有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合 は、その内容 |
工事用道路関係 | 1.一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等 (2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容 2.仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去) (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容 |
仮設備関係 | 1.仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引 き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等 |
2.仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法 3.仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容 | |
建設副産物関係 | 1.建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件 2.建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容 3.建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処 理場所等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件 |
工事支障物関係 | 1.地上、地下等への占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等 2.地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工 事内容及び期間等 |
薬液注入関係 | 1.薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等 2.周辺環境への調査が必要な場合は、その内容 |
その他 | 1.工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等 2.工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等 3.支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引き渡し場所、引き渡し期間等 4.関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容 5.架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件 6.工事用電力等を指定する場合は、その内容 7.新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容 8.部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期 9.給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等 |