清水銀行(頭取 岩山 靖宏)は、お客様の SDG s の達成をご支援するため、各種サステナブルファイナンスの提供に努めており、その一環としてこのたび、きしょう産業株式会社(代表取締役 佐藤 昌久)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約を締結いたしました。
きしょう産業株式会社との
「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
清水銀行(頭取 xx xx)は、お客様の SDG s の達成をご支援するため、各種サステナブルファイナンスの提供に努めており、その一環としてこのたび、きしょう産業株式会社(代表取締役 xx xx)と「しみずポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約を締結いたしました。
本件の取組みにあたっては、関連会社の株式会社xx地域経済研究センター(代表取締役 xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所(代表取締役社長 xx xx)がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。
xx銀行では、2021 年 12 月に「環境方針」「責任ある投融資方針」からなる「xx銀行サステナビリティ方針」を策定し、持続可能な社会の実現や社会的課題の解決に向けた取り組みを加速させてまいりました。今後も社会・環境問題の解決に資する取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
1.契約概要 2.借入人概要
x 約 日 : 令和 4 年 7 月 29 日(金) 企 業 名 : きしょう産業株式会社
融資金額 : 50 百万円 所 在 地 : xxxxxxxx 000 xxx 0
資金使途 : 運転資金 事業内容 : 産業廃棄物収集運搬業
3.借入人の主な取組み(詳細は「ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書」をご参照ください)
(1)特定されたインパクト
ポジティブなインパクトの成果が期待できる事項 | ・廃棄物収集運搬の増加 ・女性・高齢者の継続雇用及び業務に必要な資格取得奨励 ・ペーパースラッジの再利用 |
ネガティブなインパクトの低減が必要となる事項 | ・廃棄物処理企業としての情報開示 |
(2)測定する KPI
環境面 | ・製紙会社から排出されるペーパースラッジの運搬量の増加及び運搬先数の増加 ・一般廃棄物(富士市委託のゴミ含む)の種類別運搬量の計測 ・従業員の女性比率の向上 ・高齢者(65 歳以上)の雇用継続率向上 ・産業廃棄物の再利用のPRとホームページの更新 ・環境マネジメントマニュアルの制定と年度ごとの見直し |
|
経済面 | ・ペーパースラッジ等を再利用する企業の運搬先を開拓 ・木質ペレット運搬事業への参入 |
|
以 上
<ニュースリリースに関するお問い合せ> xx銀行 支店営業部 xx 054-366-9990
株式会社xx地域経済研究センター The Shimizu Regional Economy Reserch Center,INC
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022年7月26日
株式会社 xx地域経済研究センター
目 次
1.評価の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.PIFの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.企業の事業概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
4.包括的分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
5.インパクトの特定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
6.KPI の決定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
7.マネジメント体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
8.モニタリンング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
株式会社xx地域経済研究センターは、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融計画
(UNEP FI)が公表している「ポジティブ・インパクト・ファイナンス金融原則」に則り、きしょう産業株式会社(以下、きしょう産業という)の包括的なインパクト分析を行いました。
株式会社xx銀行は、本評価書で特定されたポジティブ・インパクトの拡大とネガティブ・インパクトの低減に向けた取組みを支援するため、きしょう産業に対してポジティブ・インパクト・ファイナンス
(以下、PIF)を実行します。
1.評価の概要
(企業の事業概要)
きしょう産業は製紙会社より排出される製紙汚泥(以下、ペーパースラッジという)を収集運搬する廃棄物運送業である。ペーパースラッジの運搬のみで、売上高の 80%を占める。同社の強みは、富士製紙協同組合加盟の製紙会社 33 社の内、15 社から委託契約(シェア 45%)を得ていることである。また、環境マネジメントマニュアルによる環境保全や産業廃棄物の汚染、飛散等の防止を全社的に 取り組んでいる。
今後の廃棄物収集運搬業は、地方自治体の廃棄物規制と認可取得の中で一層厳格な環境保全活動と廃棄物の再利用活動への積極的な取組みを求められている。こうした中、きしょう産業は、地元火力発電所の石炭燃料を木質ペレットに転換することに賛同し、その運搬事業に新たに参入するなどCO2の削減に向け地域社会に貢献する活動を開始している。
(包括的分析)
業種的インパクトに状況において、非有害廃棄物収集運搬業のポジティブ・インパクトは「入手可能性-水」「健康・衛生」「雇用」「移動手段」「文化・伝統」「質-水」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「廃棄物」「包括的で健全な経済」が標準値として発現する。
ネガティブ・インパクトは、「雇用」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」が標準値として発現する。
(インパクト分析)
インパクトレーダーによる標準値に対して、個社別要因を加除しインパクトを特定した結果、ポジティブ・インパクトは、「教育」「雇用」「エネルギー」「資源効率・安全性」「廃棄物」「包括的で健全な経済」「経済収束」とした。
ネガティブ・インパクトとしては、「健康・衛生」「雇用」「質-水」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」を特定した。
(KPIの設定)
特定したポジティブ・インパクトにおいて、環境面では地球に優しい環境づくりに役立つ企業をテーマとして、製紙会社から排出されるペーパースラッジ及び一般廃棄物の運搬量の計測を行うことで ペーパースラッジの再利用量及び運搬先数の増加を図り、地域社会環境に配慮した取組みを行う。 社会面では、多様な人材雇用と人材育成の強化をテーマとして、女性や高齢者を積極的に継続雇用し、業務に必要な資格取得を奨励し、業務スキル向上や苦情・法令順守に対応できる人材育成に取り組む。経済面では、地域経済社会への貢献をテーマとして、産業廃棄物(主としてペーパースラッジ・焼却灰)を再利用する企業の運搬先の開拓、木質ペレット運搬事業への参入を実施する。
特定したネガティブ・インパクトにおいて、環境面では地球環境の保全をテーマに、産業廃棄物収集運搬業として資源の再利用を PR するため、HPを全面的に更新する。また、社内で運用している環境マネジメントマニュアルを年度ごとに見直しを図る。
2.PIFの概要
契約日および返済期限 | 2022 年 7 月 28 日~2032 年 7 月 28 日 |
金額 | 50,000,000 円 |
資金使途 | 設備資金(運搬車両購入資金) |
モニタリング期間 | 10 年間 |
3.企業の事業概要
企業名 | きしょう産業株式会社 |
所在地 | 本社 xxxxxxxx 000 xxの 1 |
海外拠点の有無 | 無 |
従業員 | 32 名(男 27 名、女 5 名) |
職種別人数 | 役員 5 名、運転手 22 名、事務員 2 名、作業員 3 名 |
売上高 | 351,475 千円 (令和 3 年度) |
資本金 | 10 百万円 |
業種 | 産業廃棄物収集運搬業 |
事業の内容 (22 年度売上構成比) | 産業廃棄物収集運搬 90.0%一般廃棄物収集運搬 4.0% その他 6.0% |
取得許可 | 産業廃棄物収集運搬業許可(静岡県、神奈川県、xx県、愛知県)特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 一般廃棄物収集許可(富士市、富士宮市) |
主要仕入先 | UDトラックス㈱、静岡xx自動車㈱富士営業所 |
主要販売先 | 富士製紙協同組合、イデサンコー㈱、xx製紙工業㈱他 |
沿革 | 1980 年(昭和 55 年)4 月 きしょう産業株式会社として創立 1980 年(昭和 55 年)4 月 産業廃棄物収集運搬業許可 1998 年(平成 10 年)3 月 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 1998 年(平成 10 年)4 月 一般廃棄物収集運搬業許可 2001 年(平成 13 年)8 月 神奈川県産業廃棄物収集運搬業許可 2002 年(平成 14 年)5 月 静岡県産業廃棄物収集運搬業許可 2003 年(平成 15 年)9 月 ISO14001 認証取得 2011 年(平成 23 年)6 月 事業所を現住所のxxに移転 2020 年(令和 2 年)10 月 xx県産業廃棄物収集運搬業許可 2020 年(令和 2 年)10 月 愛知県産業廃棄物収集運搬業許可 |
経営方針 | 当社は廃棄物の収集・運搬・再利用の活動に当って地球環境との調和を目指し資源の有効活用が容易に出来るように収集し、運搬中の飛散及び流出防止に 十分注意を払い、汚染の防止と環境保全を目指して、環境マネジメントシス テムを維持管理する。 1.産業廃棄物の収集・運搬及び再利用活動において、技術の向上、設備管理を通じ省エネルギー・省資源に取り組む。 2.環境関連の法律・規則・協定などを遵守し、さらに自主管理を行い、地球環境との調和及び汚染の防止に努める。 3.この方針に従い、達成すべき環境目的・目標を定め、継続的改善に努める。 4.xxと見直し この環境方針を全従業員に対して周知し、環境保全の意識を高め、環境マネジメントシステムへ参画することを目指している。 |
【事業特性】
(1)全国の産業廃棄物排出量
①産業廃棄物の業種別排出量(令和 2 年度実績値)
産業廃棄物の排出量は令和 2 年度が合計 392,147 千トンで、業種別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業からの排出量が最も多く、次いで建設業、農業・林業、パルプ・紙・紙加工品製造業、鉄鋼業の順に多く、この 5 業種で全体の 8 割以上を占めている。
a. 産業廃棄物の業種別排出量(令和 2 年度実績値)
単位:千トン/年
出所:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等報告書」
b. 産業廃棄物の種類別排出量(令和 2 年度実績値)
単位:千トン/年
出所:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等報告書」
(2)富士市のペーパースラッジ(PS)の処理・処分状況(平成 29 年度)
対象事業所:50 社 57 工場
833,589
P S 960,457
(100%)
(単位:トン/年)
126,868
焼却量
(86.8%)
再利用量
(13.2%)
ペ | ホ | 土 | 製 | セ | 建 | ボ | ||||||
ッ | ー | 壌 | 紙 | メ | 材 | イ | ||||||
ト | ミ | 改 | 原 | ン | ラ | |||||||
ト | ン | 良 | 料 | ト | ー | |||||||
イ | グ | 剤 | 原 | 原 | ||||||||
レ | 剤 | 他 | 料 | 料 | ||||||||
用 | ||||||||||||
品 |
PS 1,980 63,306 3,609 3,528 228 578 53,639
焼却灰
138,445
(100%)
(単位:トン/年)
埋立量
2,329
(1.7%)
再利用量
136,116
(98.3%)
焼却灰
製 土 建 道 セ 自 水x x 築 路 メ 動 分の 改 用 用 ン 車 調酸 良 ボ 路 ト 用 整化 剤 ー 床 原 内 剤防 ド 材 料 装
止 資
剤 材
道 セ 自 水
路 メ 動 分
用 ン 車 x
x ト 用 整
床 原 内 剤
材 料 装資材
21,127 43,387 6,873 29,318 33,559 86 0 38 40 140 1,548
出所:富士市HP「富士市の地場産業の概要」より
平成 29 年度の富士市のPS発生量は、計 960,457 トンで、内PS再利用量は 13.2%の 126,868 トンと
なっている。又、焼却灰の発生量は、計 138,445 トンで、内焼却灰再利用量は 98.3%の 136,116 トンである。(なお、PSは水分を含んだ廃棄物、焼却灰はPSを中間処理施設で焼却したものをいう)
【具体的な事業活動】
(1)廃棄物の定義
廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物に区分されるが、産業廃棄物とは下記の 20 種類をいう。
①燃え殻 ②汚泥 ③廃油 ④廃酸 ⑤廃アルカリ ⑥廃プラスチック類 ⑦ゴムくず ⑧金属くず ⑨ガラスくず⑩コンクリートくず ⑪陶磁器くず ⑫鉱さい ⑬がれき ⑭紙くず ⑮木くず ⑯繊維くず
➃動植物性残さ ⑱動物系固定不要物 ⑲動物の糞尿 ⑳同死体
また、一般廃棄物は、事務系一般破棄物(以下事務系)と家庭廃棄物に区分される。事務系は 事業活動出生じる廃棄物の中で産業廃棄物に指定されていないものをいう。例えば、コンビニやスーパー、飲食店の廃棄物はこれにあたる。家庭廃棄物は一般家庭で生じる廃棄物をいう。
(2)産業廃棄物の一般的なフロー
A
排出事業者
収集運搬委託
B
運搬事業者
廃棄物
E
製品
ユーザー
C
中間処理事業者
再利用
(直接契約)
収集運搬及び処分委託(直接契約)
残さ(直接契約)
D
中間処理
事業者
一般的な廃棄物処理のフローは、A 社排出事業者が B 社運搬事業者と収集運搬委託の直接契約を締結する。
B 社はその委託により廃棄物を C 社中間処理事業者に運搬する。
C 社は廃棄物を再利用と廃棄に分離して、再利用物はE社製品ユーザーに運搬し、残さは直接契約で更に D 社中間処理事業者に処理を委託する。
一方、A 社は B 社に委託せず、C 社と収集運搬と処分委託を直接契約する場合もある。きしょう産業は、前者のケースで、収集運搬を主業とする企業である。
(3)きしょう産業の主力事業
きしょう産業(以下同社)の主力事業は富士市製紙メーカーが排出するペーパースラッジ・焼却灰の収集運搬業務であり、同社の売上高の 90%を占める。残り 10%は富士市からの受託業務である一般廃棄物(家庭ごみ)の収集運搬及び木質ペレットの運搬(新規予定)である。
なお、同社産業廃棄物・一般廃棄物等の収集運搬の業務フローは次ページの通りである。
【収集運搬業務フロー】
産業廃棄物
ペーパースラッジ
中間処理施設
リサイクル商品化施設利用業者
7トン車(ペーパースラッジ)13 台 25トン車(焼却灰)3 台
ジェットパック車 1 台
一般廃棄物
富士市環境クリーンセンター冨士市環境保全公社
富士市委託業務 | 富士市指定処理施設 | |
一般廃棄物パッカー車 4 台
木質ペレット
鈴川エネルギーセンター
木質 ペレット車 2 台
【収集運搬業務の概要】
廃棄物の種類 | 売上比率 22 年度予想 ベース | 収集場所 | 運搬先 |
産業廃棄物 ペーパースラッジ・焼却灰 | 83% | 富士製紙協同組合加盟 33 社 (内以下 15 社 あいうえお順) イズミコーポレーション、イデサンコー、イデワコー製紙、紺屋製紙、新橋製紙、xx製紙、xx製紙工業、xx丸王製紙、特殊東海エコロジー、富士共和製紙、丸井製紙、丸富製紙、xx製紙、 xx製紙、勇和産業 | 富士製紙協同組合三興開発 xx製紙工業 |
一般廃棄物xxxxx | 00% | 富士市一般廃棄物協同組合 | 富士市環境保全公社 富士市環境クリーンセンター |
木質ペレット (新規事業) | 6% | 田子の浦埠頭株式会社 | xxエネルギーセンター |
【 同社の廃棄物収集運搬実績】 (単位:トン、端数切捨て)
年度 | 合 計 | 産業廃棄物 | 内ペーパースラッジ | 一般廃棄物他 |
2019 | 170,951 | 170,473 | ( 129,724 ) 76.1% | 478 |
2020 | 161,951 | 161,614 | ( 134,658 ) 83.1% | 437 |
2021 | 165,761 | 165,015 | (137,387) 83.3% | 449 |
【同社の廃棄物種類別売上高】 (単位:千円、四捨五入)
年 度 | 合 計 | 産業廃棄物全体 | 一般廃棄物・ゴミ | |||
産業廃棄物 小計 | 内ペーパー スラッジ | 一般廃棄物 小計 | 内一般廃棄物 | 内xxxxx | ||
0000 | 343,755 | 308,072 | 155,442 | 35,683 | 21,841 | 13,842 |
2020 | 356,520 | 315,659 | 140,672 | 40,861 | 23,211 | 17,650 |
2021 | 351,475 | 309,557 | 149,374 | 41,918 | 23,084 | 18,834 |
【同社の木質ペレット収集運搬計画】非公表
【現状の設備及び車両】
車両種類 | 使用目的 | 台数 | |
① | ダンプ | ペーパースラッジ運搬用 | 13 |
② | ダンプ | 製紙焼却灰(加水)運搬用 | 3 |
③ | ジェットパック | 製紙焼却灰(乾燥)運搬用 | 1 |
④ | フォークリフト | ①~③の搬出用 | 11 |
⑤ | パッカー車 | 一般産業廃棄物運搬用 | 4 |
⑥ | アームロール | 建設現場用 | 4 |
⑦ | ユニック | 建設現場用 | 1 |
⑧ | ダンプトレーラー | 木質ペレット運搬用 | 2 |
合 計 | 39 |
4.包括的分析
(1)業種別インパクトの状況
①非有害産業廃棄物収集運搬業
非有害廃棄物収集運搬業におけるインパクトレーダーの標準値として、ポジティブなインパクト
は「水(入手可能性)」「健康・衛生」「雇用」「文化・伝統」「水(質)」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「廃棄物」「包括的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトは
「雇用」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」が発現した。
3811 非有害廃棄物収集業 | 標準値 | |
ポジティブ | ネガティブ | |
水(入手可能性) | ||
食糧 | ||
住居 | ||
健康・衛生 | ||
教育 | ||
雇用 | ||
エネルギー | ||
移動手段 | ||
情報 | ||
文化・伝統 | ||
人格と人の安全保障 | ||
xx | ||
強固な制度・平和・安定 | ||
水(質) | ||
大気 | ||
土壌 | ||
生物多様性と■生態系サービス | ||
資源効率・■安全性 | ||
気候 | ||
廃棄物 | ||
包括的で健全な経済 | ||
経済収束 |
②道路貨物運送業
道路貨物運送業におけるインパクトレーダーの標準値として、ポジティブなインパクトは「雇用」
「移動手段」「包括的で健全な経済」が発現し、ネガティブなインパクトは「健康・衛生」「雇用」
「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」が発現した。
(2)きしょう産業の現状
①同社の強みと競合状況
・同社は全国 3,945 社/全国ランク 880 位、県内同業者数 131 社/県内ランク 25 位と、比較的上位に位置している。
また、産業廃棄物の内、ペーパースラッジの収集運搬が 80%以上を占めており、立地環境も製紙工場が多い富士市にあることから、保有車両もペーパースラッジ運搬用ダンプが多く、競合他社に参入されにくい環境にある。
・40 年以上の実績と富士製紙協同組合および地元製紙会社との親密な関係から、地元からの信頼は厚い。
・主力運搬廃棄物であるペーパースラッジは、6 ページに記載のとおり、用途の多様化により一定の再使用量があり、地元業界や取引先の要望・ニーズに十分応えていく経営力を具備している。
②社会貢献、地域交流
・同社の産業廃棄物の収集・運搬・再利用事業は地域資源の積極的利用の一助となっており、地元業界にとっても不可欠な存在にある。設立以来、非有害廃棄物のみの取扱いを堅持し、製紙汚泥流出や不法投棄を発生させないことにより、地域の河川等の水質改善に貢献している。
・また、代表者のxxxxxは地域ロータリークラブでの植林活動や寄付活動に積極的に関与している。
③従業員育成、資格取得体制の充実
・同社は、2003 年 6 月に環境マネジメントマニュアル(ISO14001)を作成し、産業廃棄物・一般廃棄物の収集・運搬の業務を実施するにあたり、同社の環境に関する基本方針を定めている。
・具体的には、地球温暖化防止をはじめ地球に優しい環境づくりに役立つ企業として、資源・エネルギーの節約と地球環境保全に取組み、地球環境と調和した持続可能で豊かな社会の形成に従業員xxと
なって貢献している。
・同社は、これを経営方針(品質方針)として掲げ、全従業員に周知徹底し、環境保全の意識を高め、継続的な改善に努めるとしている。
・環境マネジメントマニュアルは、2016 年 5 月に改訂し、第 13 版が運用されていたが、2018 年 8 月、同社内でシステムが定着されたため、現在は EMS(環境マネジメントシステム)委員会を随時開催 することにより、環境目的及び目標の見直しとともにマニュアルの改訂を図る予定である。
・また、従業員の資格取得体制は、免許においては、危険物取扱責任者乙類 4 種(1 名)、フォークリフト
(27 名)、ユニック免許(2 名)、牽引免許(3 名)、運転適性検査などの取得等を奨励している。
(かっこ内は現在の資格保有者人数)
・講習においては、危険物取扱責任者、通行管理者、整備管理者、安全運転管理者等の受講させている。
5.インパクトの特定
(1)インパクト特定分析
本ファイナンスでは、きしょう産業の事業について、国際標準産業分類における「非有害廃棄物収集運搬業」、「道路貨物運送業」として分析を行った。
インパクト領域 | UNEP FI 標準値 | 個社分析修正値 | インパクトの詳細具体的取組内容 | KPI設定対象 | 関連するSDGsターゲット | |
入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質(一連の固有の特徴がニーズを満たす程度) | ||||||
入手可能性ー水 | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ||||||
食糧 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
住居 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
健康・衛生 | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ○ | ○ | 運行日報、車両点検、手袋長靴等の配慮が安全かつ衛生的 | 8.8 | ||
教育 | ポジティブ | ○ | 業務に必要な資格取得の奨励 | 4.4 | ||
ネガティブ | ||||||
雇用 | ポジティブ | ○ | ○ | 女性や高齢者の積極的な継続雇用 | ○ | 8.5 |
ネガティブ | ○ | ○ | 休職・復職規則制定による雇用維持 | 8.5 | ||
エネルギー | ポジティブ | ○ | 木質パレット運搬事業への参入 | ○ | 11.6、12.4 | |
ネガティブ | ||||||
移動手段 (モビリティ) | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ||||||
情報 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
文化・伝統 | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ||||||
人格と人の安全保障 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
xx | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ||||||
質(物理的・化学的構成・性質)と有効利用 | ||||||
質ー水 | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ○ | 収集運搬廃棄物の飛散・流出による河川等汚染の防止 | 6.3、11.6、12.4 | |||
大気 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ○ | |||||
土壌 | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ○ | ○ | 収集運搬廃棄物の飛散・流出による土壌汚染の防止 | 11.6、12.4 | ||
生物多様性と生態系サービス | ポジティブ | ○ | ||||
ネガティブ | ○ | |||||
資源効率・安全性 | ポジティブ | ○ | ○ | ペーパースラッジの再利用のPR | ○ | 9.4、12.5 |
ネガティブ | ○ | ○ | ペーパースラッジの再利用による持続可能な革新的市場の創出 | ○ | 8.4、9.4 | |
気候 | ポジティブ | |||||
ネガティブ | ○ | ○ | 廃棄物の再利用促進や廃棄物の焼却量低下による環境負荷低減 | 11.6 | ||
廃棄物 | ポジティブ | ○ | ○ | ペーパースラッジの再利用のPR | ○ | 9.4、12.5 |
ネガティブ | ○ | ○ | 一般廃棄物の再利用増加による廃棄物の削減 | ○ | 12.4、12.5 | |
環境の制約内で人間のニーズを満たす手段としての人と社会の経済的価値創造 | ||||||
包括的で健全な経済 | ポジティブ | ○ | ○ | 女性や高齢者の積極的な継続雇用 | ○ | 8.5 |
ネガティブ | ||||||
経済収束 | ポジティブ | ○ | ペーパースラッジの再利用による持続可能な革新的市場の創出 | 8.4 | ||
ネガティブ | ||||||
その前提のもとでの UNEP FI のインパクト分析ツールを用いて個社分析による修正値を求めた結果、
「教育」、「雇用」、「エネルギー」、「資源効率・安全性」「廃棄物」「包括的で健全な経済」「経済収束」において、ポジティブ・インパクトが分析された。
また、ネガティブ・インパクトとして「健康・衛生」、「雇用」、「質-水」、「大気」、「土壌」、「資源効率・安全性」、「廃棄物」が分析された。
標準値からの追加削除項目は下記の通りとなった。
・追加項目:ポジティブ・インパクトでは、「教育」、「エネルギー」、「経済収束」ネガティブ・インパクトでは、「質-水」
「教育」は業務に必要な資格取得を従来から奨励しているため、「エネルギー」は木質パレット運搬事業により間接的にではあるが、CO2 削減に貢献するため、また「水―質」は常時施行されている廃棄物の飛 散対策等のリスク低下を図っているため、さらに「経済収束」はペーパースラッジの再利用による新たな持続可能な革新的な市場を創出するため、追加した。
・削除項目:ポジティブ・インパクトでは、「入手可能性-水」、「健康・衛生」、「文化・伝統」、「質-水」
「土壌」、「生物多様性と生態系サービス」ネガティブ・インパクトでは、「移動手段」
「水-入手可能性・質」、「土壌」については汚染の低減に関係するものの入手性、質ともにプラスの活動 は特段していない。「健康・衛生」については、積極的な活動は特段していないこと、「文化・伝統」については、業種性から関係しないことから、「移動手段」ついても移動とアクセスすることがない収集運搬業であることから、特定しない。
(3)インパクトレーダーとの関連性
UNEP FIのインパクトレーダー(環境、社会、経済の全てを包括する 22 のインパクトカテゴリー)による、きしょう産業固有のインパクト領域は下記の表の通りである。 (※網掛けが該当領域)
入手可能性、アクセス可能性、 手ごろさ、品質 | 質(物理的・化学的構成・性質) の有効利用 | 人と社会のための経済的価値 創造 |
水 | 水 | 包括的で健全な経済 |
食料 | 大気 | 経済収束 |
住居 | 土壌 | |
健康・衛生 | 生物多様性と生態系サービス | |
教育 | 資源効率・安全性 | |
雇用 | 気候 | |
. エネルギー | 廃棄物 | |
移動手段 | ||
情報 | ||
文化・伝統 | ||
人格と人の安全保障 | ||
xx | ||
強固な制度・平和・安定 |
きしょう産業の廃棄物収集運搬事業において、従業員に安全な業務遂行のために必要な資格取得を奨励する活動は「教育」に、女性や高齢者の積極的な雇用継続の活動は、多様性ある職場づくりとしての「雇用」や
「包括的な健全な経済」に関するポジティブ・インパクトと想定できる。
また、石炭火力発電所の燃料を石炭から木質ペレットに転換するための運搬事業の新規立ち上げは「エネルギー」に、ペーパースラッジの再利用・活用を助長するための収集運搬事業は、「資源効率・安全性」、「廃棄物」、「経済収束」に関するポジティブなインパクトと想定できる。
一方で、飛散対策や収集運搬車両の日常点検等の活動は、従業員や近隣住民に対するリスクを低減させるため、「健康・衛生」や「質-水」、「土壌」に、従業員の休職・復職規則の制定による雇用維持は「雇用」に、ペーパースラッジの再利用・活用による廃棄物の削減活動は「資源効率・安全性」、「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトを低減させている。また、木質ペレット運搬事業は「気候」に関して CO2 削減に貢献する活動となり、ネガティブ・インパクトの低減となっている。
(4)インパクトに与える影響
環境面・社会面・経済面に応じてインパクトに与える活動をテーマごとに整理すると下記の通りとなる。
①ポジティブ・インパクトが期待できる活動
インパクト領域 | テーマ | ポジティブ・インパクトの活動内容 |
<環境面> 資源効率・安全性廃棄物 | 地球に優しい環境づくりに役立つ企業 | ・廃棄物の収集・運搬・再利用の業務において関連する技術の向上、設備管理等を通じて地域の環境保全に努める。 ・富士製紙協同組合加盟の製紙会社から排出されるペーパースラッジを収集運搬し地域資源として再利用する。 ・石炭火力発電所の石炭燃料を木質ペレットに転換する CO2 削減に繋がる取組みに賛同し、木質ペレットの運搬を実施する新事業を立ち上げる。 |
<社会面>教育 雇用 | 多様な人材雇用人材育成の強化 | ・女性や高齢者を積極的に継続雇用するとともに、業務に必要となる資格取得を奨励し、業務スキルの向上や苦情・法令遵守に対応できる人材育成に取り組む。 |
<経済面> 包括的で健全な経済 経済収束 | 地域経済社会への貢献 | ・主要事業の産業廃棄物の収集、運搬、再利用そのものが循環型経済への取組みとなっている。 ・女性や高齢者の積極的な継続雇用 ・ペーパースラッジの再利用による持続可能な革新的市場の創出 |
②ネガティブ・インパクトを低減する活動
インパクト領域 | テーマ | ネガティブ・インパクトの活動内容 |
<環境面>質-水 土壌 資源効率・安全性気候 廃棄物 | 廃棄物収集業 としての情報開示 | ・廃棄物の飛散防止、流出防止の徹底による汚染の防止 ・木質ペレット運搬事業によるCO2削減への貢献 ・廃棄物の再利用促進や焼却量低下による環境負荷低減 |
<社会面>健康・衛生雇用 | 安全性の確保 | ・廃棄物の飛散対策や収集運搬車両の「日常点検表」「運行日報」の記録による安全かつ衛生的な運搬に努める。 |
6.KPI の設定(SDGsとの関連性)
きしょう産業は、本ファイナンス期間において以下のとおりKPIを設定する。
・ポジティブ・インパクトにおいては、
環境面では、富士市内製紙会社の排出するペーパースラッジを少しでも多く再利用可能とするため、契約先運搬量を計測することや、一般廃棄物(富士市委託のゴミ含む)の種類別運搬量の増加及び運搬先数の増加を図ることで、地域資源の有効活用への貢献を促進する。
社会面では、女性の活用と特殊性のある業務スキル・ノウハウを伝授するため、従業員の女性比率、高齢者継続雇用の比率を拡大する。また、そのための就業規則を見直すこととする。
経済面では、石炭火力発電所への石炭燃料を木質ペレットに転換することによるCO2削減に繋がる取組みに賛同し、新たに木質ペレットの運搬事業に参入する。
・ネガティブ・インパクトにおいては、
環境面では、以前取得していた環境マネジメントマニュアルの仕組みを活用し、社内における従業員の環境保全の取組み意識を高め、環境保護への取組みや活動内容についてHPに公表する。
(1)ポジティブ・インパクトが期待できる活動
<環境面>
テーマ | 地球に優しい環境づくりに役立つ企業 |
インパクトレーダー | 資源効率・安全性、廃棄物 |
取組内容 | 廃棄物収集運搬の増加 |
SDGsとの関連性 | 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実施し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の 大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用に より、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
KPI | ・製紙会社から排出されるペーパースラッジの運搬量の増加及び運搬先数の増加(現在 15 社→20 社) ・一般廃棄物(富士市委託のゴミ含む)の種類別運搬量の計測 |
テーマ | 労働環境の整備 |
インパクトレーダー | 教育、雇用 |
取組内容 | 女性・高齢者の継続雇用及び業務に必要な資格取得奨励 |
SDGsとの関連性 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一価値の労働について同一の賃金を達成する。 |
KPI | ・従業員の女性比率 15%以上を目指す。(現状 12.9%→15%) ・高齢者(65 歳以上)の雇用継続率向上を図る。(現状 22%→25%) |
<経済面> | |
テーマ | 地域経済社会への貢献 |
インパクトレーダー | 経済収束 |
取組内容 | ペーパースラッジの再利用 |
SDGsとの関連性 | 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 か年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する 。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実施し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の 大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 |
KPI | ・ペーパースラッジ等を再利用する企業の運搬先を年 1 社開拓する。 ・木質ペレット運搬事業に参入する。 |
(2)ネガティブ・インパクトを低減する活動
<環境面>
テーマ | 地域環境の保全 |
インパクトレーダー | 水、土壌、気候、資源効率・安全性、廃棄物 |
取組内容 | 廃棄物処理企業としての情報開示 |
SDGsとの関連性 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、当期廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業 改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当 たりの環境上の悪影響を軽減する 。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実施し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の 大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
KPI | ・産業廃棄物の再利用をPRするため、HPを 2022 年度中に更新する。 ・環境マネジメントマニュアルを制定し、年度ごとに見直しする。 |
7.マネジメント体制
きしょう産業では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、組織横断的なプロジェクトチームを結成。xxxx社長(以下xx社長)が陣頭指揮を執り、各部門が連携を図りながら、日々の業務、社内制度や諸活動を棚卸しすることで、自社の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性について検討を重ね、SDGs の精神や経済・社会・環境に関する目標・KPI を設定した。本ポジティブ・インパクト・ファイナンス実行後においても、xx社長が最高責任者となり、社長訓示や既存のミーティングでの挨拶等、様々な場面・形で従業員に対しての周知・浸透を図り、EMS 管理責任者であるxxxxxの推進のもとに KPI の達成を目指していく。(EMS とは Envionment Management System の略)
一方、KPI 達成のためには、自社内の経営資源だけでは困難なケースも想定される。取引先や地域など対外的にも、自社の経営理念やビジョンを HP などに公表することで、自社の強みや企業風土の理解を促進し、今まで以上に多くの関係者と連携を図り、KPI の実現を通じて、持続可能な企業として SDGs の理念の具現化
を図っていく考えである。
責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
管理担当者 | EMS 管理責任者 xx xx |
担当者 | 事務担当 xx xxx |
8.モニタリング
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した KPI の達成及び進捗状況については、xx銀行と 清水地域経済研究センター、及びきしょう産業の担当者が定期的に会合の場を設け、共有する。会合は少なくとも年に1回実施するほか、日頃の情報交換や営業活動の場等を通じて実施する。
xx銀行は、KPI 達成に必要な資金およびその他ノウハウの提供、あるいはxx銀行やxx地域経済研究
センターの持つネットワークから外部資源とマッチングすることで、KPI 達成をサポートする。
9.総合評価
本件は、UNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。きしょう産業は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低下に努めることを確認した。また、xx銀行は年 1 回、その成果を確認する。
以 x
x評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、xx地域経済研究センターが、xx銀行から委託を受けて実施したもので、xx地域経済研究センターがxx銀行に対して提出するものです。
2.xx地域経済研究センターは、依頼者であるxx銀行およびxx銀行がポジティブ・インパクト・ファイアナンスを実施するきしょう産業から供与された情報と、xx地域経済研究センターが独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に準拠しながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・
ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
<評価書作成者および本件問合わせ先>株式会社xx地域経済研究センター
xx xx
〒424-0941
静岡市xx区富士見町2番1号
℡:000-000-0000 fax:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 7 月 29 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: きしょう産業株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社xx銀行 |
評価者:株式会社xx地域経済研究センター |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、xx銀行がきしょう産業株式会社(「きしょう産業」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社xx地域経済研究センターによる分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。 PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じ て促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のこと
をいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。xx銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、xx地域経済研究センターと共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、xx銀行及びxx地域経済研究センターにそれを提示している。なお、xx銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。 JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則
との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
xx銀行及びxx地域経済研究センターは、本ファイナンスを通じ、きしょう産業の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、きしょう産業がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、xx銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) xx銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:xx銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、xx銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、xx銀行からの委託を受けて、xx地域経済研究センターが分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めた PIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全てxx地域経済研究センターが作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、xx地域経済研究センターが、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要 素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるきしょう産業から貸付人であ るxx銀行及び評価者であるxx地域経済研究センターに対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所 サステナブル・ファイナンス評価部長 xx xx | |
担当xxアナリスト xx xx | 担当アナリスト xx xx |
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000