本サービスによる契約締結のフローは、概略、以下のとおりである。なお、以下では、設例として、契約当事者(となろうとする者)を「♙」及び「B」とし、♙ もB も( 電⼦署名付与⾏為にスマートフォンを使⽤する以外は)パーソナルコンピューター(以下「PC」という。)を使⽤して契約を締結し、♙が既に本サービスにアカウント登録し た利⽤者であり、Bが本サービスにアカウント登録していない利⽤者である場⾯を想定する。1
裁判所 御中
クラウドサインによる
電⼦契約の締結等に関する説明書
(マイナンバーカード署名を利⽤する場合)
弁護⼠ドットコム株式会社(以下「当社」という。)は、当社サービスである電⼦契約プラットフォーム「クラウドサイン」による電⼦契約のうち、マイナンバーカード署名を利⽤するオプションを⽤いるもの(以下「本サービス」という。)による電⼦契約の締結の仕組み等や、なぜ本サービスを利⽤することによって契約成⽴の事実とその後に契約書データが改ざんされていないことを確認することができるのかなどについて、以下のとおり説明する。
なお、本書⾯による情報は、末尾記載の注意事項・免責条項を条件に、当社から提供するものである。
弁護⼠ドットコム株式会社 クラウドサイン事業本部 初版
2023 年 7⽉26⽇
⽬次
第1 本サービスの特徴....................................................................... - 2
-
1 本サービスによる電⼦契約締結のフローの概要 ...................................................
2 当社の署名鍵による電⼦署名の付与 ....................................................................
3 認定タイムスタンプの取得..................................................................................
4 当社による合意締結証明書の発⾏ .......................................................................
5 本サービスにおける本⼈確認の⽅法 ..........................................................................
第3 電⼦署名及び署名検証の基本概念............................................... - 9
-
1 総論 ...................................................................................................................
2 電⼦署名とは何か ...............................................................................................
3 電⼦署名の仕組み ...............................................................................................
4 電⼦証明書の有効期間 ........................................................................................
5 ⻑期署名.............................................................................................................
第4 本サービスにおける契約の成⽴の真正及び不改ざんの確認......... - 16
-
1 なぜ契約の成⽴の真正をいえるのか ....................................................................
2 なぜ契約書PDFファイルが改ざんされていないといえるのか .............................
3 本サービスにおける電⼦署名の検証⽅法...................................................................
第5 補⾜説明(電⼦署名法との関係ほか) ...................................... - 18
-
1 電⼦署名法とは何か............................................................................................
2 本サービスによる電⼦契約に電⼦署名法3条の推定効は及ぶか .............................
第6 参考資料................................................................................. - 21
-
-
本サービスにアカウントを登録する⽅法...................................................................
-
図表集......................................................................................................................
本サービスには、①契約当事者による⼀連の契約締結作業が全てネットワーク上で完結するため、容易かつ迅速に契約を締結できるという特徴に加えて、②契約書データに対して契約当事者がそのマイナンバーカードに含まれる署名⽤電⼦証明書の署名鍵による電⼦署名を付与すること(本書⾯において「マイナンバーカード署名」という。)により、契約成⽴の事実とその後に契約書データが改ざんされていな いことを確認することができるという特徴がある。
本書⾯では、以下の「第2」において上記①の特徴を説明し、「第4」において上記②の特徴を説明する。また、「第3」においては上記②の特徴の理解の前提となる
「電⼦署名及び署名検証の基本概念」を説明し、また、「第5」ではいわゆる電⼦署名法との関係等について説明することとする。
第2 本サービスによる電⼦契約の締結の仕組み等
1 本サービスによる電⼦契約締結のフローの概要
本サービスによる契約締結のフローは、概略、以下のとおりである。なお、以下では、設例として、契約当事者(となろうとする者)を「♙」及び「B」とし、♙ もB も(電⼦署名付与⾏為にスマートフォンを使⽤する以外は)パーソナルコンピューター(以下「PC」という。)を使⽤して契約を締結し、♙が既に本サービスにアカウント登録した利⽤者であり、Bが本サービスにアカウント登録していない利⽤者である場⾯を想定する。1
① 本サービスの利⽤に先⽴って、♙とBは、それぞれ、必要に応じ相⼿⽅当事者の本⼈確認
(⾝元確認・当⼈認証)を⾏った上で、双⽅が契約締結に⽤いる電⼦メールアドレスを確認し、また、適宜の⽅法によって、これから契約しようとする契約の内容について合意する。
② ♙は、合意された契約内容を記載した契約書(合意書、覚書、発注書など、そのタイトルを問わない。)のPDFファイル(以下「契約書 PDF ファイル」という。)を作成す る。
③ ♙は、PC を⽤いて本サービスのウェブサイトにアクセスし、本サービスにログインして、本サービスの初期画⾯(以下「ダッシュボード」という。)上の「新しい書類の送信」ボタンをクリックした上で、「書類の準備」画⾯で、所定の操作をすることにより、契約書 PDFファイルを本サービスのために当社が使⽤するサーバーコンピューター(以下「当社サーバー」という。)にアップロードする(図表6参照)。なお ♙ は、ダッシュボードから移動できる「管理画⾯」の「セキュリティ」のページにて、スマートフォンアプリを⽤いた 2 要素認証設定を⾏い、セキュリティを強化することができる。(図表
7参照)。そして、画⾯上の「次へ」ボタンをクリックすると、「送付先の設定」画⾯に
進む。
④ ♙は、「送付先の設定」画⾯で、「宛先を追加」をクリックした上で、契約の相⼿⽅であるBの⽒名や電⼦メールアドレス等を本サービスの指⽰に従って記⼊する。この段階 で、♙は宛先情報の右にある三点リーダーのボタンをクリックして「アクセスコー ド」を選択することにより、アクセスコードを設定することもできる(任意)2 (図表8参照)。そして、♙は、♙⾃⾝についてマイナンバーカード署名を⾏うこととす
1 当然ながら、♙及びBの双⽅が本サービスにアカウント登録した利⽤者である場合にも、本サービスの利⽤は可能である。なお、♙が本サービスにアカウントを登録する⽅法は、別紙1記載のとおりである。
2 「アクセスコード」は、送信者が設定した任意の英数字の組み合わせであり、このアクセスコードを⼊⼒することにより受信者が契約書PDFファイルを開くことができるようになる機能である。送信者から受信者へのアクセスコードの通知は、別途の任意の⽅法(⼝頭伝達や電話による伝達、電⼦メール等による伝達など)によって⾏うことになる。
るために、送信者情報の右にある三点リーダーのボタンをクリックして、「署名オプション」をクリックし、「マイナンバーカード署名」を選択する(図表9参照)。また、♙は、宛先であるBに対してマイナンバーカード署名を⾏うよう求めるために、宛先情報の右にある三点リーダーのボタンをクリックして、「署名オプション」をクリックし、「マイナンバーカード署名」を選択する。これにより、「送信先の設定」画⾯上には、送信者情報と宛先情報の双⽅に「署名オプション:マイナンバーカード署名」と表⽰される。そして、画⾯上の「次へ」ボタンをクリックすると、「⼊⼒項⽬の設定」画⾯に進む。
⑤ ♙は、「⼊⼒項⽬の設定」画⾯で、画⾯に表⽰されている契約書 PDF ファイル上に「フリーテキスト」「チェックボックス」「押印欄」などの⼊⼒項⽬(以下「⼊⼒項⽬」という。)を設定することができる(任意)。⼊⼒項⽬を設定した場合、当該⼊⼒項⽬に⼊
⼒する対象者を選択する必要があり、本設例では、「♙」か「B」を選択することにな る。⼊⼒する対象者が「♙」である場合(⼊⼒項⽬を設定した♙⾃⾝である場合)、♙はこの段階で必要な事項を⼊⼒する。(図表10参照)そして、画⾯上の「次へ」ボタンをクリックすると、「送信内容の確認」画⾯に進む。
⑥ ♙は、「送信内容の確認」画⾯で、送信者情報と宛先情報が正しいことを確認した上で、画⾯上の「次へ」ボタンをクリックする。すると、画⾯上にダイアログボックスが表⽰され、♙ は、以下の⼀連のマイナンバーカード署名の付与⾏為を⾏う。
・♙は PC 画⾯上のダイアログボックス(契約書PDFファイルの内容と、署名⽤証明書の利⽤に対する同意を求めるもの)を確認して、「2項⽬に同意して次へ」ボタンをクリックする(図表11−1参照)。
・♙は PC 画⾯上のダイアログボックス(マイナンバーカード署名を⾏うために必要となるもの、すなわち、スマートフォン、マイナンバーカード、当社所定のスマートフォンアプリ(以下、単に「スマホアプリ」という。)などの準備を求めるもの)を確認して、「次へ」ボタンをクリックする(図表11−2参照)。
・すると、PC 画⾯上のダイアログボックス内にQRコードが表⽰され、「以下の QRコードをアプリで読み取ってください。」と表⽰されるので、♙はスマートフォンを⽤いてスマホアプリを起動させて、スマホアプリのQRコード読み取り画⾯の指⽰に従って上記QRコードを読み取る(図表11−3参照)。3
・QRコードの読み取りに成功すると、スマホアプリ画⾯上に「QRコードの読み
3 このQR コードには、アクセスキーの情報が含まれる。アクセスキーは、数字、英⼩⽂字、英⼤⽂字を⽤いた 64 桁の組み合わせ乱数であり、電⼦署名をする対象の契約書 PDF ファイル、電⼦署名をする主体(ここでは ♙)、電⼦署名をするタイミングを⼀意に特定する機能を有する。アクセスキーの有効時間は発⾏後 10 分間であり、当該有効時間を経過すると無効となり、それ以降は電⼦署名を⾏うことはできなくなる。
取りに成功しました。」と表⽰されるので、スマホアプリ画⾯上の「次へ」ボ
タンをクリックする(図表11−4参照)。
・すると、スマホアプリ上に、「マイナンバーカード署名の流れ」を説明する画⾯が表⽰される(図表11−5参照)。♙ は、その説明のとおりに、「公的個⼈認証サービス署名⽤パスワード」を⼊⼒し、また、スマートフォンにマイナンバーカードをかざす(スマートフォンの NFC 機能を⽤いてマイナンバーカードに搭載された電⼦証明書を読み出す⾏為を意味する)ことにより、電⼦署名⾏為を⾏う(なお、パスワードを⼊⼒する⾏為と、スマートフォンにマイナンバーカードをかざす⾏為の前後関係は、使⽤するスマートフォンの OS の種類によって異なる。)(図表11−6参照)。
・以上の⼿続を終えると、スマホアプリ上に「マイナンバーカード署名が完了しました。クラウドサインに戻り、書類の送信結果を確認してください。」と表⽰
される(図表11−7参照)。
そして、PC 画⾯上のダイアログボックスに「マイナンバーカード署名が完了し、書類の確認が完了しました。」と表⽰されるので、「OK」ボタンをクリックすると、♙ による契約締結⾏為は終了する(図表11−8参照)。なお、♙ による送信⾏為が完了していることは、本サービスのダッシュボード上で「先⽅確認中」を選択することによっても確認することができる(図表11−9参照)。
⑦ ♙による上記の処理により、本サービスからBの電⼦メールアドレスに宛てて、「♙様から「タイトル」の確認依頼が届いています」と題する電⼦メールが送付される。 4(図表12参照)なお、この電⼦メールには、「送信者がマイナンバーカード署名をリクエストしています。」という記載が含まれている。
⑧ Bは、上記電⼦メール中に表⽰される「書類を確認する」ボタンをクリックする
(HTMLメールの場合。テキストメールとして表⽰される場合には、上記電⼦メール中に表⽰されるURLにウェブブラウザ上でアクセスするか、URLがハイパーリンク表⽰となっている場合には当該記載部分をクリックする。)ことにより、本サービスのウェブサイトにアクセスすることができる。なお、Bは、本サービスにアカウント登録していなくても、上記の操作により本サービスを利⽤することができるが、本サービスのウェブサイトにアクセスした段階で、本サービスの利⽤規約に同意することを求められる。Bが本サービスのウェブサイト上で、「利⽤規約に同意して書類を開く」ボタンをクリックすると、「書類内容の確認」画⾯に進み、契約書PDFファイル
4 この「タイトル」部分には、♙が③の段階で契約書PDFファイルを当社サーバーにアップロードした際に指定したタイトルが表⽰される。⑫の「タイトル」部分や後記3の「タイトル」部分も同様である。
が表⽰される(なお、♙が「アクセスコード」を設定している場合には、アクセスコードを⼊⼒した上で、「利⽤規約に同意して書類を開く」ボタンをクリックする必要がある。)。またB は、♙ から求められた場合など2要素認証設定を必要とする場合には、♙ と同様の⼿続きにより本サービスのアカウント登録を⾏った上で、管理画⾯のセキュリティ設定から、スマートフォンアプリを⽤いた 2 要素認証設定を⾏い、セキュリティを強化することができる。
⑨ Bは、「書類内容の確認」画⾯で、契約書PDFファイルの内容を確認し、(♙が契約書PDFファイル上に「フリーテキスト」「チェックボックス」「押印欄」などの⼊
⼒項⽬を設定しており、⼊⼒する対象者が「B」である場合には)適宜それらの⼊⼒項
⽬に応じた⼊⼒を⾏う。(図表13及び図表14参照)
⑩ Bは、本サービスのウェブサイト上で、契約書PDFファイルの内容に問題がないと判断した場合には「書類の内容に同意」ボタンをクリックする。すると、画⾯上にダイアログボックスが表⽰され、B は、⑥の四⾓囲み内と同様の⼿順により、マイナンバーカード署名の付与⾏為を⾏う。そして、PC 画⾯上のダイアログボックスに「マイナンバーカード署名が完了し、書類の確認が完了しました。」と表⽰されるので、「OK」ボタンをクリックすると、B による契約締結⾏為は終了する。
⑪ 以上の⼀連の過程の最終段階において、契約書 PDF ファイルには、(後述する)当社の署名鍵による電⼦署名とタイムスタンプが付与され、当社サーバーに当該契約書 PDFファイルが保管される。5
2 当社の署名鍵による電⼦署名の付与
当社は、以上の契約締結フローの B による契約締結⾏為終了後の段階において、♙ と B による契約締結を証するとともに、後述する⻑期署名のための準備⾏為として、契約当事者双⽅による電⼦署名を含む契約書 PDF ファイルに対して、当社の署名鍵 による電⼦署名を付与する。
5 なお、当該契約書PDFファイルの1⾴⽬の左下端には、当社が付した「書類ID」が表⽰される(図表17参
照)。この「書類ID」は、契約書PDFファイルが当社サーバーにアップロードされた段階で、当社が当該契約書P DFファイルに対して付与したユニークなIDであり、⼀定のアルゴリズムによってランダムに構成される⽂字列である。
3 認定タイムスタンプの取得
本サービスでは、当社は、当社の署名鍵による上記の電⼦署名を認定タイムスタン
5
プ を埋め込んだ電⼦署名として⾏い、また、契約書PDFファイルに署名検証に
必要な情報( 失効情報など)を付加した上で、これに対して認定タイムスタンプ
(⽂書タイムスタンプ)を取得する。6このように認定タイムスタンプ(⽂書タイムスタンプ)を取得して契約書PDFファイルに付加することにより、契約書PDFファイルが「いつ存在していた情報か」及び「改ざんされていない真正な情報か」を確認することができる。
4 当社による合意締結証明書の発⾏
また、当社は、♙とBが「タイトル」と題する契約書PDFファイルのとおり契約を締結したことに関し、♙とBの同意⽇時を証明する書⾯である「合意締結証明書」を発⾏し、本サービスにアカウント登録した利⽤者である♙は本サービスのウェブサイトから当該「合意締結証明書」をダウンロードすることができる。「合意締結証明書」に記載された♙及びBのそれぞれの同意⽇時は、♙やBの使⽤するパソコン(やスマートフォン)の時刻情報ではなく、当社サーバーの時刻情報等に基づいて表⽰される正確なものである。
5 本サービスにおける本⼈確認の⽅法
本⼈確認は主に「⾝元確認」と「当⼈認証」から成る。前者は申告された⽒名・住所等の属性情報が正しいことを⾝分証明書等により確かめること、後者は利⽤者が申告済みの当⼈であることを認証要素(知識認証・所有物認証・⽣体認証のいずれかまたは複数)により確かめることである。本サービスの場合、契約当事者がマイナンバーカードを⽤いて電⼦署名をするところ、マイナンバーカードは本⼈の申請に基づき市区町村⻑が厳格な本⼈確認を⾏った上で交付することから
(電⼦署名等に係る地⽅公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律 3 条参照)、確実性の⾼い⾝元確認がなされているといえる。また、当⼈認証は、耐
6 「認定タイムスタンプ」とは、認定タイムスタンプ局によって付与されたタイムスタンプをいう。ここで、「認定タイムスタンプ局」とは、時刻認証業務の認定に関する規程に基づき総務⼤⾂が認定したタイムスタンプ局(時刻認証業務認定事業者)をいう。また、「タイムスタンプ」とは、これを付与する対象となる電磁的記録のハッシュ値(メッセージダイジェストともいう。第3・3⑵イ参照)に時刻情報を追加したデータをいう。当社は、アマノ株式会社
(xxxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/)の提供する「アマノタイムスタンプサービス 3161」を利⽤している。ここで付与され るタイムスタンプを含む電⼦署名は、P♙dES-T と呼ばれるものである。P♙dES は、⻑期署名(第3・5参照)の標準規格の1つであり、PDF ファイルに⻑期署名を組み込んだ規格である(PDF ファイルだけで⻑期署名の検証が可能であるという特徴がある。)。
タンパ性7が確保されたICチップが搭載されているマイナンバーカードを⽤いる ことにより、ICチップに格納された署名⽤電⼦証明書の秘密鍵とマイナンバー カードを保有する当⼈しか知り得ないPIN8を使って付与された電⼦署名を検証 するため、⾮常に信⽤度の⾼い当⼈認証がなされているといえる。これに加えて、当事者においてさらに慎重を期す場合には、本サービスにアカウント登録した利
⽤者においては、スマートフォンアプリ(Google ♙uthenticator)で発⾏されたワンタイム・パスワードを⽤いた 2 要素認証を利⽤することができる。9 また、本サービスにアカウント登録していない利⽤者の場合であっても、パスワード認証
(前記1④のアクセスxxxによる認証)を利⽤することで、当⼈認証を慎重に
⾏うことができる。
7 耐タンパ性とは、内部情報を不正に読み取られる・改ざんされることに対する耐性のこと。IC カードなど耐タンパ性が⾼い媒体は不正アクセスに対する強度が⾼いといえる。
8 PINとは、半⾓6⽂字から16⽂字の英数字が混在した、署名⽤電⼦証明書⽤暗証番号をいう。
9 2要素認証を利⽤した場合、署名パネル(後記第4・3参照)及び合意締結証明書にその旨の記載がなされる。そのため、事後的に、本サービスの利⽤に際して2要素認証を利⽤した事実を、署名パネル及び合意締結証明書の記載から確認することができる。また、本サービスには、2要素認証を実装した ID プロバイダとの連携機能があり、そのような ID プロバイダのサービスを利⽤することによって2要素認証を⾏うこともできる(この場合、署名パネルには ID プロバイダ認証を経たことが、そして合意締結証明書には利⽤した ID プロバイダを特定するための情報が、それぞれ記載されることになる)。
1 総論
上記第2・2のとおり、本サービスでは、契約書PDFファイルに対して、契約当事者双
⽅によるマイナンバーカードに含まれる署名⽤電⼦証明書の署名鍵による電⼦署名と、当社の署名鍵による電⼦署名が付与されるところ、これにより、後記第4のとおり、契約成
⽴の事実とその後に契約書データが改ざんされていないことを確認することができる。以上を理解するためには、電⼦署名の仕組みと電⼦署名の検証(電⼦署名が署名者本⼈により付与され、改ざんされていないことを確認すること)の基本概念を知る必要がある。以下では、その概要を説明する。
2 電⼦署名とは何か
電⼦署名とは、電磁的記録(電⼦⽂書)に付与される、電⼦的なデータであり、紙
⽂書における印影やサイン(署名)に相当する役割をはたすものである。10
3 電⼦署名の仕組み
電⼦署名を実現する仕組みとしては、公開鍵暗号⽅式の応⽤によるデジタル署名が有
⼒である。現在実⽤に供されている電⼦署名は、ほとんどがこのデジタル署名である。
⑴ 公開鍵暗号⽅式
ア 公開鍵暗号⽅式の意義等
そもそも、暗号とは、情報を伝達する際に、送信者と受信者の間で取り決めた⼀定の⼿順(これを「鍵」という。)によって元の情報(これを「平⽂」という。)を変換し、第三者には解読できないようにする⼿法をいう。この暗号の
⼿法には、古くから使われている共通鍵暗号⽅式と、1970年代半ばから
⽤いられるようになった公開鍵暗号⽅式がある。
暗号化に⽤いる鍵と復号化に⽤いる鍵が同⼀である(これを「共通鍵」という。)暗号⽅式を、共通鍵暗号⽅式という。例えば、最も古い暗号の⼀つである単純換字暗号の「シーザー暗号」は、「平⽂の⽂字を3字ずらす」という⼿順
(鍵)が⽤いられており、平⽂が「Rubicon」であったとすると、暗号化された⽂は「Uxelfrq」となる。送信者はこの暗号化された⽂を受信者に伝達し、受信者は同じ鍵(共通鍵)を逆の⼿順で使うことにより平⽂
10 なお、第5・1⑵で説明するとおり、電⼦署名法における「電⼦署名」は、「電磁的記録(中略)に記録することができる情報について⾏われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。(後略)」と定義されてお り、電磁的記録(電⼦⽂書)に付与される「電⼦的なデータ」ではなく、⼀定の要件を満たす電⼦的なデータを「付与する⾏為(=措置)」を「電⼦署名」と定義している点に注意が必要である。
のメッセージを⼊⼿することになる。
これに対して、暗号化に⽤いる鍵(以下「暗号化鍵」という。)と復号化に
⽤いる鍵(以下「復号化鍵」という。)に別個の鍵を⽤いることで、暗号化
鍵を公開できるようにした暗号⽅式を、公開鍵暗号⽅式という。公開鍵暗号
⽅式では、暗号化鍵は何らかの⽅法によって公開され、⼀⽅で、復号化鍵は秘密のままに保持することになる。そして、暗号化鍵で暗号化した情報は、対応する復号化鍵でのみ復号化できることが数学的に証明されている。そのため、受信者が予め暗号化鍵を何らかの⽅法により公開しておいて、送信者はこの暗号化鍵を⽤いて平⽂を暗号化して受信者に伝達し、受信者は⾃らの復号化鍵を⽤いて復号化して平⽂のメッセージを⼊⼿することができる。
公開鍵暗号⽅式には様々な⽅式があるが、例えばRS♙暗号は、桁数が⼤きい合成数の素因数分解の困難性を安全性の根拠としている。⼗分に⼤きな素数pとqがある場合に、それらの積(p×q)を計算することは容易である
(この答をnとする)。これに対して、2つの⼤きな素数の積であるような
⾃然数nを素因数分解してpとqを導き出すことはとても困難である。例えば、p=3373、q=6203として、p×q(n)=20922719を計算することは容易であるが、20922719を素因数分解して337
3と6203を導き出すことは困難である(実際には、もっと⼤きな素数の組み合わせが⽤いられることになる。⼗分に⼤きな桁数の素数を⽤いれば、現存するどのようなコンピューターを⽤いたとしても、素因数分解を⾏うことは現実的には不可能とされる。)。そして、暗号化鍵としてnを⽤い、復号化鍵としてpとqを⽤いるような仕組みをうまく構築することにより、暗号化鍵(n)が分かっていれば暗号化はできるが復号化はできないことになり
(復号化には、復号化鍵であるpとqを知る必要がある。)、復号化鍵を持っている受信者のみが暗号⽂を復号化して平⽂のメッセージを⼊⼿することができることになる。
イ 共通鍵暗号⽅式と公開鍵暗号⽅式の⽐較
共通鍵暗号⽅式には、(公開鍵暗号⽅式と⽐較して)暗号化・復号化の処理 を⾼速に⾏うことができるという⻑所があるが、送信者がどのように受信者に 対して鍵を伝達するかという困難な問題があり(「鍵配送問題」ともいわれる。鍵が漏洩した場合には、当該鍵を⼊⼿した者であれば誰でも復号化できてしま うことになる。)、また、多数の当事者間でそれぞれの情報伝達を暗号化した い場合には多数の鍵が必要となるという問題があった。
共通鍵暗号⽅式のこのような問題を解決する⽬的で考え出された⽅式が、上記の公開鍵暗号⽅式である。
公開鍵暗号⽅式の場合、受信者の暗号化鍵は予め公開されているため、鍵配送問題は⽣じないことになるし、また、暗号化鍵で暗号化された暗号⽂はその暗号化鍵では復号化できない(復号化鍵でないと復号化できない)ことから、鍵の数は1セット(暗号化鍵と復号化鍵の1つの組み合わせ)で⾜りるため、鍵の数が多数になるという問題も解決されることになる。もっとも、公開鍵暗号⽅式の場合、暗号化・復号化の処理に時間を要し、経済的には優れない⽅式といえる。
共通鍵暗号⽅式と公開鍵暗号⽅式には、以上のようなメリット・デメリットがあるため、⽬的等によって使い分けがなされ、また、併⽤されることもある。
公開鍵暗号⽅式を実際に利⽤する場合には、平⽂を暗号化する際には共通鍵暗号⽅式により共通鍵を⽤いて暗号化し、その暗号化に⽤いた共通鍵の配送にのみ公開鍵暗号⽅式を使うことも多い。
⑵ デジタル署名
ア デジタル署名の意義等
電⼦署名のうち、公開鍵暗号⽅式を応⽤したものを、デジタル署名という(「デジタル署名」は、署名と同じように本⼈確認の機能を有することからその名称において「署名」という⽤語が使われているが、実際にはあくまで「電⼦的なデータ」である。)。
イ デジタル署名の付与と検証の⼿順
デジタル署名の付与とその検証は、通常、以下のような⼿順をとる。
① 送信者は、送信したい電磁的記録(メッセージ)をハッシュ関数 11 により圧縮して「ハッシュ値」という⼀定の⻑さのデータ(これを「メッセージダイジェスト」ともいう。)を作成する。これは、元のメッセージをそのまま暗号化するとデータ量が膨⼤になるため、圧縮するものである。ハッシュ関数によって作成されたハッシュ値は、元のメッセージに固有の値であり、同じメッセージからは同じハッシュ値が作られる(元のメッセージを少しでも改変すると、異なるハッシュ値が作られることになる。異なる元のメッセージから同⼀のハッシュ値が作られる確率は無視しうる程度に⼗分に低いものである。)。そして、ハッシュ値からは元のメッセージを復元することができないことは、ハッシュ関数の理論から数学的に証明されている。
② 送信者は、作成したメッセージダイジェストを、送信者の暗号化鍵で暗号化する
(この送信者の暗号化鍵で暗号化されたメッセージダイジェストを、以下「暗号化メッセージダイジェスト」という。この暗号化メッセージダイジェストこそ が「デジタル署名」である。)。そして、送信者は、元のメッセージと暗号化メッセージダイジェスト(デジタル署名)を受信者に送信する。 12
③ 受信者は、暗号化メッセージダイジェストを、公開されている送信者の復号化鍵で復号化する(以下「復号済みメッセージダイジェスト」という。)。また、受信者は、送信者から送付されてきた元のメッセージについて、送信者が⽤いたものと同じハッシュ関数を⽤いて、メッセージダイジェストを作成する(以下「受信者作成メッセージダイジェスト」という。)。受信者が、上記の復号済みメッセージダイジェストと受信者作成メッセージダイジェストを⽐較して、両者が⼀致した場合には、Ⓐ暗号化メッセージダイジェストが送信者の暗号化鍵によって暗号化されたものであることと、Ⓑ送信者が暗号化メッセージダイジェストを作成した時点以降において元のメッセージが変更・改ざんされていないことを確認することができる。上記Ⓐは、送信者の復号化鍵で復号化でき
11 ハッシュ関数(要約関数)とは、あるデータが与えられた場合に、そのデータを代表する数値を得る操作、または、そのような数値を得るための関数のことをいう。ハッシュ関数から得られた数値のことを要約値やハッシュ値などという。
12 実際には、元のメッセージも暗号化して送信することも多いと思われるが、それはデジタル署名とは別の問題である。
たということは、送信者の暗号化鍵で暗号化されたことを意味することから、そのように⾔える。また、上記Ⓑは、もし暗号化メッセージダイジェストを作成した後に、元のメッセージが変更・改ざんされていた場合には、受信者作成メッセージダイジェストが(ハッシュ関数の性質上)復号済みメッセージダイジェストとは異なるハッシュ値となるために、そのように⾔える。
④ なお、以上の⼿順は、送信者のみが送信者の暗号化鍵を使⽤できるという事実と、送信者の復号化鍵とされている鍵が、真に送信者の復号化鍵であるという事実を前提としている。これらの事実を受信者が確認できるように、送信者は、認証局から電⼦証明書の発⾏を受けて(その発⾏⼿続において、認証局は送信者の暗号化鍵を送信者が保有している事実を確認する。また、電⼦証明書には、送信者の復号化鍵のデータが含まれる。)、その電⼦証明書を受信者に(元のメッセージや暗号化メッセージダイジェスト(デジタル署名)と同時に)送付する。
ウ デジタル署名の機能以上の⼿順からも読み取れるように、デジタル署名には、以下のような機能が認められる。
① 署名者特定機能(デジタル署名が添付された元のメッセージを作成し、送付した主体(送信者)が、確かに送信者⾃⾝であることを確認することができる機能)なお、この機能は、認証局において、暗号化鍵の保有者の本⼈確認を確実に⾏っている限りにおいて認められるものである。
② 改ざん防⽌機能(デジタル署名が添付された元のメッセージが変更ないし改ざんされているか否かを確認することができる機能)受信者において、受信者作成メッセージダイジェストと復号済みメッセージダイジェストを⽐較することにより、元のメッセージに変更ないし改ざんが加えられているか否かを確認することができる。
4 電⼦証明書の有効期間
なお、電⼦証明書には有効期間が設けられており(通常は、1年間から3年間程度
である。また、マイナンバーカードに含まれる電⼦証明書の場合には、発⾏の⽇後の
5 回⽬に到来する誕⽣⽇まで、などとされる。正確には、電⼦署名等に係る地⽅公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律 5 条・同法施⾏令 13 条参照。)、認定認証事業者の場合でも、法律上、電⼦証明書の有効期間は5年を超えないものであることが求められている(電⼦署名及び認証業務に関する法律6条1項
3号、電⼦署名及び認証業務に関する法律施⾏規則6条4号)。13
また、電⼦証明書は、有効期間内であっても、利⽤者からの請求等により失効することがある(電⼦署名及び認証業務に関する法律施⾏規則6条10号、電⼦署名等に係る地⽅公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律 15 条)。
電⼦証明書の有効期間内にデジタル署名(電⼦署名)が⾏われた場合に、当該電⼦署名は有効であることになり、当該事実は認定タイムスタンプなどにより⽴証することになる。14
5 ⻑期署名
電⼦証明書の有効期間内に、電⼦署名とタイムスタンプ付きの電⼦⽂書に対して検証に必要な情報(失効情報など)を付加したものに対して、更に新たなタイムスタンプ(保管タイムスタンプ)を施すことにより、当初の電⼦証明書の有効期間後に署名検証を可能にする技術が⻑期署名である。
13 電⼦証明書の有効期間は、後記第4の「3 本サービスにおける電⼦署名の検証⽅法」に記載 のあるとおり、本サービスのウェブサイト内の「署名情報」欄を確認することにより、知ることができる。
14 ただし、電⼦証明書の有効期間が経過してしまうと、署名検証ができなくなってしまうため、 以下の「⻑期署名」が必要となる。
本サービスは、ISO32000に定められた標準規格である「P♙dES(PD F ♙dvanced Electronic Signatures)」に準拠した⻑期署名フォーマットを採⽤しており、当初の電⼦署名の検証可能期間は認定タイムスタンプの有効期間である10年間となり、さらに繰り返し認定タイムスタンプを付与することにより検証可能期間を延⻑することが可能となっている。
1 なぜ契約の成⽴の真正をいえるのか
本サービスにおいては、契約書データ(契約書 PDF ファイル)に対して、契約当事者双⽅によるマイナンバーカードに含まれる署名⽤電⼦証明書の署名鍵による電⼦署名と、当社の署名鍵による電⼦署名が付与されることにより、契約成⽴の事実(契約の成
⽴の真正)を確認することができる。
すなわち、前記第2・2で説明したとおり、♙による契約締結⾏為の段階と、Bによる契約締結⾏為の段階において、♙ とB それぞれの署名鍵による電⼦署名が付与されていることから、契約当事者(♙⼜はB)は、当該電⼦署名付与の理由となった契約締結⾏為について、「⾃らはそのような契約締結の意思表⽰をしていない」として契約締結を否認することができないのである(個々の電⼦署名を検証すること(後記3参照)によって、当該⾏為(⼊⼒や同意)をした⼈物の使⽤するマイナンバーカードに紐づいた署名⽤電⼦証明書の識別名(サブジェクト CN)及び署名⽤電⼦証明書内に格納された
⽒名、当該⾏為の⾏われた⽇時を確認することができるためである。)
また、契約締結の⼀連の過程の最終段階において、♙ と B による契約締結を証し、⻑期署名を付与する準備⾏為として、当社が当社の署名鍵による電⼦署名を付与することにより、当社がいわば「⽴会⼈」のようにして契約の成⽴の真正を確認しているといえる。
2 なぜ契約書PDFファイルが改ざんされていないといえるのか
また、本サービスにおいては、契約書データ(契約書 PDF ファイル)に対して、契約当事者双⽅によるマイナンバーカードに含まれる署名⽤電⼦証明書の署名鍵による電
⼦署名と、当社の署名鍵による電⼦署名が付与されることにより、契約成⽴の後に契約書データが改ざんされていないことを確認することができる。
これは、契約書PDFファイルに対して上記の各電⼦署名が付与されることから、仮に契約書PDFファイルを事後的に改ざんすると、電⼦署名(暗号化メッセージダイジェスト)と契約書PDFファイルから作成された受信者作成メッセージダイジェストが相違することになり、当該改ざんの事実が判明してしまうためである。
なお、紙の契約書の場合には、契約書本⽂の改ざんを事後的に⾏うことも(そのような技術を有する者であれば)技術的に可能であるのに対し、本サービスの場合には、電⼦署名の改ざん防⽌機能ゆえに、契約書PDFファイルの改ざんを事後的に⾏うことは技術的に不可能であるため(改ざんを⾏うと、電⼦署名の検証作業によって、改ざんの事実が明らかになってしまうためである。)、紙の契約書と⽐較しても改ざん防⽌の観点において本サービスに優位性があるといえる。
3 本サービスにおける電⼦署名の検証⽅法
本サービスにおいて、契約書PDFファイルに対して契約当事者双⽅による電⼦署名と、当社による電⼦署名が付与された事実とその電⼦署名の内容等の確認は、本サービスのウェブサイトにて⾏うことができる。
すなわち、当該確認をしようとする者は、本サービスのウェブサイトにアクセスし、本サービスにログインして、ダッシュボード上で「締結済み」(書類管理者のアカウントの場合には、「管理書類」の中の「締結済み」)を選択し、確認の対象となる契約書 PDF ファイルをクリックして「書類概要」画⾯を表⽰させた上で、当該画⾯中の
「署名情報あり」のボタンをクリックすることで、署名検証を⾏うことができる(当
該クリックにより、⾃動的に署名検証が⾏われる)(図表16−1参照)。
署名検証が終わると、「署名の検証結果」とともに「署名情報」が画⾯上に表⽰される(図表16−2参照)。
まず、「署名の検証結果」として、署名すべてが問題ない場合には「この書類は署名されており、すべての署名が有効です。」と表⽰され、書類が改ざんされているか無効な署名がある場合には「無効な署名があります。」と表⽰され、検証⾃体ができなかった場合は「検証が必要な署名があります。」と表⽰される。なお、当該表⽰の下には、いつの時点での検証結果であるかを⽰す、最終確認⽇時も表⽰される。(図表16−3参照)
そして、「署名の検証結果」の下に、「署名情報」として当該契約書PDFファイルに含まれる電⼦署名(及びタイムスタンプ)の⼀覧が表⽰される。当該⼀覧に含まれる、個々の電⼦署名(及びタイムスタンプ)をクリックすることにより、当該電⼦署名等の詳細(「署名検証結果の詳細」および「証明書の詳細」)を確認することができる。「署名検証結果の詳細」の表⽰部分に「署名の正当性 正当」「証明書の有効性 有効」「証明書の正当性 正当」と表⽰されていれば、当該電⼦署名の有効性を確認することができたことになる。
1 電⼦署名法とは何か
(1) 電⼦署名法の内容
電⼦署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電⼦署名 法」ともいう。)は、平成13年4⽉1⽇に施⾏された。電⼦署名法により、本⼈による⼀定の要件を満たす電⼦署名が⾏われた電磁的記録は、真正に成⽴したもの(本
⼈の意思に基づき作成されたもの)と推定される。また、電⼦署名法の施⾏により、認証業務(電⼦署名が本⼈のものであること等を証明する業務)のうち⼀定の基準
(本⼈確認⽅法等)を満たすものは国の認定を受けることができる制度が導⼊された。
(2) 電⼦署名法による電⼦署名の定義
電⼦署名法2条1項は、同法にいう「電⼦署名」を以下のように定義している。
この法律において「電⼦署名」とは、電磁的記録(電⼦的⽅式、磁気的⽅式その
他⼈の知覚によっては認識することができない⽅式で作られる記録であって、電
⼦計算機による情報処理の⽤に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について⾏われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
⼀ 当該情報が当該措置を⾏った者の作成に係るものであることを⽰すためのものであること。
⼆ 当該情報について改変が⾏われていないかどうかを確認することができるものであること。
同項1号の要件ゆえに、電⼦署名法にいう「電⼦署名」に当たるというためには、当該情報(電磁的記録の情報)が当該措置(電⼦署名を付与する措置)を⾏った者の成に係るものであることを⽰すという「⽬的」が必要であるということになる。
したがって、改ざん防⽌機能を働かせることを⽬的として、他⼈が作成した電磁的記録の情報に電⼦署名を付する措置を⾏ったとしても、それは電⼦署名法2条1項の要件を満たすものではなく、同法にいう「電⼦署名」には該当しないことになる。
また、電⼦署名法3条は、電磁的記録の真正な成⽴の推定について、以下のように
規定している。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本⼈による電⼦署名(これを⾏うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本⼈だけが⾏うことができることとなるものに限る。)が⾏われているときは、真正に成⽴したものと推定する。
このように、電⼦署名法は、同法にいう電⼦署名のうち、「本⼈による電⼦署名(これを⾏うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本⼈だけが⾏うことができることとなるものに限る。)」と⾔えるもの(換⾔すれば、署名者特定機能があるもの。すなわち、当該電⼦署名から、その電⼦署名を⾏った者が誰であるかを特定できるもの。)に限って、電磁的記録の真正な成⽴の推定という法律上の効果を与えている。
電⼦署名法3条の電⼦署名に該当するものの⼀例として、既述したデジタル署名が挙げられる。もっとも、電⼦署名法3条は(技術的中⽴性を確保する観点から)具体的な⽅式を指定しておらず、同条の定める要件に該当するものであれば、同条の電⼦署名に該当することになり、同条の法律上の効果が与えられることになる。
また、電⼦署名法3条は、電⼦署名が認証機関に登録されているものであることも要求していない。電⼦署名法2条1項及び3条の求める⽬的及び機能があると認められる場合には、本⼈による電⼦署名があれば、同法3条の法律上の効果が与えられることになる。
以上のとおり、電⼦署名には、①広義の電⼦署名、②(広義の電⼦署名のうち)電
⼦署名法2条1項の定める「電⼦署名」に該当する電⼦署名(以下「2条電⼦署名」ともいう。)、③(2条電⼦署名のうち)電⼦署名法3条の要件を満たす署名者特定機能があり電磁的記録の真正な成⽴の推定が及ぶ電⼦署名(以下「3条電⼦署名」ともいう。)があることになる。
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(3) 電⼦署名法3条の推定規定の効果(⼆段の推定との関係)
前記のとおり、電⼦署名法3条により、3条電⼦署名が付された電磁的記録は真正に成⽴したものと推定される(以下「電⼦署名法3条の推定効」ともいう。)。
この電⼦署名法3条の推定効は、いわゆる⼆段の推定 15 における⼆段⽬の推定(⺠
事訴訟法228条4項による推定)と同様の効果を有することになる。
ここで、電⼦署名法3条による推定が⾏われるためには、3条電⼦署名を当該電磁的記録の作成者本⼈が⾏ったことが⽴証されなければならない点に注意が必要である。
この点は、⺠事訴訟法228条4項による推定がなされるために本⼈またはその代理⼈の意思に基づく押印がなされたことが⽴証されなければならないことと同様であるが、私⽂書については⼆段の推定における⼀段⽬の推定(判例に基づく事実上の推定)が及ぶことにより私⽂書の作成名義⼈の印影が当該名義⼈の印章によって顕出されたものであることを印鑑登録証明書などによって⽴証できればよいことに対して、電磁的記録の場合にはこの⼀段⽬の推定と同様の事実上の推定が認められるか否かについて現時点では判例などが存在しない点に留意する必要がある。また、
⼆段の推定⾃体、必ずしも絶対的なものではなく、その各段階の推定が反証によって覆される可能性があるなどという点に留意する必要がある。
15 私⽂書の作成名義⼈の印影が当該名義⼈の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、当該印影は本⼈の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され(最判昭和39年5⽉12⽇⺠集18巻4号597⾴)、その推定がなされる結果、当該私⽂書は⺠事訴訟法228条4項により真正に成⽴したものと推定されることを、実務上
「⼆段の推定」ということがある。
2 本サービスによる電⼦契約に電⼦署名法3条の推定効は及ぶか
本サービスによる電⼦契約に付与される電⼦署名のうち、契約当事者双⽅によるマイナンバーカードに含まれる署名⽤電⼦証明書の署名鍵による電⼦署名は、上記 1で⽰した各要件を満たしており、当然に2条電⼦署名に該当し、また、3条電⼦署名にも該当するといえる。
そして、当社の署名鍵による電⼦署名については、電⼦署名法3条の推定効が及ばないと解する場合であっても、契約当事者ではない第三者的⽴場にある当社がいわば「⽴会⼈」のようにして、当社の署名鍵による電⼦署名をすることにより、当該契約⾃体に利害関係のない(それゆえに虚偽を述べる利益のない)⽴会⼈の契約締結現場の⽬撃証⾔がある場合と同様に、当該電⼦署名の付与された契約書PDFファイルが契約の成⽴を裏付ける⼗分な証拠となりうることから、重要な意味を有するといえる。16
なお、現時点では、本サービスを利⽤した電⼦契約を含め、電⼦署名の付された電
⼦契約について、電⼦署名法 3 条の推定効が及ぶか否かについて明⽰的に争われた判 例・裁判例は⾒当たらない。なお、本サービスを利⽤したものではないと思われるが、電⼦署名の付された電⼦契約につき、契約の⼀⽅当事者名下の電⼦署名が本⼈の意思 に基づくものであるか否かが争われた事案において、契約締結後の当該⼀⽅当事者の
⾏動を踏まえて、契約の有効な成⽴が認められた裁判例が存在しており(東京地判令和元年 7⽉10⽇・D1-Law 判例 ID29057497)、既に裁判上の証拠として電⼦署名の付された電⼦契約が⽤いられている事例が存在することが分かる。
16 なお、当社は、電⼦署名の改ざん防⽌機能ゆえに、(万が⼀)当該契約に利害関係があると仮定しても、事実と異 なる説明をすることもできないことになる。上記の「⽴会⼈の契約締結現場の⽬撃証⾔」の例に沿っていえば、当該⽴会⼈が契約締結現場における⼀連の経緯をビデオカメラで録画しているようなものである。
・ ⾼野真⼈・藤原☑髙編著『電⼦署名と認証制度―e-business のための実務運⽤上の指針と問題点
―』(第⼀法規出版、2001)
・ タイムビジネス協議会調査研究ワーキンググループ「電⼦署名検証ガイドライン V1.0.0」※脚注追加
(https://www.dekyo.or.jp/tbf/data/seika/densiguideline.pdf)17
・ 総務省「電⼦署名・認証・タイムスタンプその役割と活⽤」
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/ninshou-law/pdf/090611_1.pdf)
・ 独⽴⾏政法⼈情報処理推進機構のウェブサイトのうち「2.3 セキュアハッシュ関数」
(https://www.ipa.go.jp/security/pki/023.html)及び「2.4 デジタル署名」
(https://www.ipa.go.jp/security/pki/024.html)
・ 司法研修所編『⺠事訴訟における事実認定』(⼀般社団法⼈法曹会、2007)
以 上
17 タイムビジネス協議会の「電⼦署名検証ガイドライン」は、NPO 法⼈⽇本ネットワークセキュリティ協会電⼦署名
【注意事項・免責条項】
・ 本書⾯の記載内容のうち電⼦署名に係る説明部分は、当該電⼦署名の有効期間内においてのみ妥当するものであることに留意されたい。電⼦署名の有効期間は、本書⾯第4・3記載の電⼦署名の検証⽅法によって確認することができる。
・ 当社は、本書⾯の作成にあたり、正確な情報を記載するよう⼗分に注意を払っている。しかし、当社は、本書⾯に記載された情報、資料等の正確性及び信頼性について、明⽰的、黙⽰的にか かわらず、いかなる保証もしないものとする。
・ 本書⾯上に記載された情報に依拠した結果により損失が発⽣した場合でも、当社は⼀切の責任を負わないものとする。
・ 本書⾯の記載内容は予告なく変更されることがある。
以 上
本サービスにアカウントを登録する⽅法
本サービスにアカウントを登録する⽅法は、以下のとおりである。
① 本サービスにアカウント登録することを希望する利⽤者は、まず、本サービスのウェブサイトのトップページ(https://www.cloudsign.jp/)にアクセスする(図表1参照)。
② 利⽤者は、当該ウェブページに表⽰された「新規登録(無料)」ボタンをクリックする。すると、利⽤者は、当該ウェブページ上の「メールアドレス」と「パスワード」の⼊⼒欄にそれぞれを⼊⼒するよう求められるので、⾃分が利⽤しているメールアドレスと任意のパスワードを⼊⼒し(ただし、パスワードには、安全性の観点から、⼀定の条件がある)、再度「新規登録(無料)」ボタンをクリックする(図表2参照)。
③ 本サービスのシステムから、利⽤者が先ほど⼊⼒したメールアドレス宛に本登録⽤電
⼦メールが届くので、利⽤者は、当該電⼦メールに記載されている「登録を完了する」
ボタンをクリックする(図表3参照)。
④ すると、ウェブブラウザ上に本サービスの「アカウント登録確認」と題するウェブページが開かれて、「アカウント登録を完了させる前に、利⽤規約をご確認ください。」18、「パスワードを⼊⼒すると登録は完了です。」、「アカウント登録を完了させることにより、利⽤規約に同意したものとみなされます。」という表⽰が現れるので、利⽤者は、利⽤規約を確認した上で、当該ウェブページの「パスワー ド」の⼊⼒欄に(②で⼊⼒した)パスワードを⼊⼒し、その下に配置されている
「登録」ボタンをクリックする(図表4参照)。
⑤ ウェブブラウザ上に「ユーザー登録が完了しました。」という表⽰とともに、「⽒名」と「会社名」の⼊⼒欄が表⽰されるので、それらを⼊⼒し(ただし、会社名の
⼊⼒は任意である)、その下に配置されている「保存」ボタンをクリックする(図表5参照)。
以 上
18 この⼀⽂の「利⽤規約」の⽂字部分のみ⾊が変わっており、その⽂字部分をクリックすると、利⽤規約の内容が表⽰される。
図表集
図表1:別紙1の①
図表2:別紙1の②
図表3:別紙1の③
図表4:別紙1の④
図表5:別紙1の⑤
図表6:本⽂の第2・1③
図表7−1:本⽂の第2・1③
(管理画⾯のセキュリティ設定)
図表7−2:本⽂の第2・1③
(スマートフォンアプリを⽤いた 2 要素認証設定)
図表8−1:本⽂の第2・1④
図表8−2:本⽂の第2・1④
図表9:本⽂の第2・1④
図表10:本⽂の第2・1⑤
図表11−1:本⽂の第2・1⑥
図表11−2:本⽂の第2・1⑥
図表11−3:本⽂の第2・1⑥
図表11−4:本⽂の第2・1⑥
図表11-5-2:本文の第2・1⑥
(iOS の場合)
図表11−5−1:本⽂の第2・1⑥
(♙ndroid OS の場合)
図表11−6−1:本⽂の第2・1⑥
(iOS の場合)
図表11−6−2:本⽂の第2・1⑥
(♙ndroid OS の場合)
図表11-7:本文の第2・1⑥
図表11−8:本⽂の第2・1⑥
図表11−9:本⽂の第2・1⑥
図表12:本⽂の第2・1⑦
図表13:本⽂の第2・1⑨
図表14:本⽂の第2・1⑨
図表15:本⽂第2(脚注5)
図表16−1:本⽂の第4・3
図表16−2:本⽂の第4・3
図表16−3:本⽂の第4・3