https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/leaflet_kijun. html
Ⅰ
【労働法とは】
自営業などの一部を除き、多くの人は生活上の必要のために他人に雇われて働くこととなります。他方、労働者と使用者の力関係は、雇われて働く労働者よりも、事業のために人を雇う使用者の方が強い傾向にあります。
そこで、労働者の健康や安全を守り、また、人間らしい生活を保障するために必要なルールとして、労働法は発展してきました。
労働法といっても、労働法という名前の法律があるわけではありません。労働基準法(労基法)や労働契約法(労xx)をはじめ、最低賃金法(最賃法)、労働安全衛生法(安衛法)、労働者災害補償保険法(労災法)、雇用保険法(雇保法)、労働組合法(労組法)、男女雇用機会均等法(均等法)、労働者派遣法(派遣法)、育児・介護休業法(育介法)、職業安定法(職安法)など、労働に関する法律をひとまとめに労働法と呼んでいます。
1 募集活動に当たって注意すべきこと
使用者がいかなる人材を採用し、どのように配置し育てるのかは、使用者にとっても労働者にとっても重要です。採用にあたって、どのような雇用形態で採用し、どのような労働条件で、どのように仕事をしてもらうか、適切な採用・人材育成プランを立て、ミスマッチを防ぎ、xxな採用を行いましょう。
求人活動は、使用者がポスター、チラシ、インターネット等で直接募集するほか、国の機関である公共職業安定所(ハローワーク)が行う無料職業紹介、学校等が行う無料職業紹介、民間職業紹介業者が行う有料職業紹介などがありますが、いずれの場合についても職業安定法その他の法律を守らなければなりません。
【労働条件の明示】
使用者(求人者)は、労働者の募集に当たり、求職者に対して、書面(又は電子ファイル)によって次の労働条件を明示しなければなりません(職安法5条の3、職安則4条の2)。
①労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
②労働契約の期間に関する事項
③試みの使用期間に関する事項
④就業の場所に関する事項
⑤始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日に関する事項
Ⅰ 労働契約
⑥賃金(臨時に支払われる賃金、賞与等を除く)の額に関する事項
⑦健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険の適用に関する事項
使用者は、これら明示する事項が虚偽、又は誇大な内容にならないようにしなければなりません。
もし、当初明示した労働条件と労働契約の締結に際し示す労働条件とが異なる場合(当初の明示の範囲内で労働条件を特定する場合、当初の明示の労働条件を削除する場合、当初明示していない労働条件を新たに提示する場合を含む)には、改めて書面交付の方法で労働条件を求職者に明示しなければなりません。さらに、面接等の過程で労働条件に変更があった場合、求人者等は速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要です。
なお、労働条件の明示は、採用の際にも使用者に求められます(労基法 15 条)。
【求職者の個人情報の取扱い】
使用者は、労働者の募集に当たり、求職者が提供する個人情報について、業務の目的の範囲内で収集、保管、使用しなければなりません(職安法5条の4)。
特に、使用者は、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる事項、思想・信条及び労働組合への加入状況に関する情報を収集してはならず、xxな選考を行わなければなりません。
【募集・採用時の年齢制限禁止】
使用者は、労働者の募集・採用に当たり、原則として年齢を不問としなければなりません(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)9条)。ただし、定年年齢を上限とする場合、労基法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合(深夜業、危険有害業務等)、新卒採用の場合(無期雇用に限る)、技能・ノウハウの継承の観点から特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定する場合(無期雇用に限る)、芸術・芸能のxxxは、例外も認められています。
この年齢制限の禁止は、ハローワークに求人申込みを行うときだけでなく、民間の職業紹介事業者や新聞広告、事業主が自ら募集・採用を行う際にも適用されます。
なお、求人票は年齢不問としながらも、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定したりする行為は同法の趣旨に反します。
【募集・採用時の男女差別禁止】
使用者は、労働者の募集・採用に当たり、性別で差別してはならず、男女ともに
均等な機会を提供しなければなりません(男女雇用機会均等法(均等法)5条)。例えば、パート・有期雇用労働者の募集を「女性のみ」としたり、求人票に「男性歓迎」「、女性向きの仕事」などと記載したりすることはできません(平 18.10.11 厚労告 614 号)。
【障害者雇用率】
使用者は、その雇用する全従業員のうち、一定割合(障害者雇用率)の障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)を雇用することが義務付けられています(障害者雇用促進法 43 条)。この障害者雇用率が適用されるのは、民間では 45.5 人以上の従業員を雇用する事業主です。障害者雇用率は、民間では 2.2%、国・地方公共団体等では 2.5%です(将来、さらに、0.1% 引き上げられることになっています)。障害者雇用率が適用される事業主は毎年6月1日現在の障害者雇用状況をハローワークに届け出なければなりません。
常用労働者 100 人を超える事業主であって、雇用率未達成の事業主は、調整金等の費用に充てるために障害者雇用納付金(不足1人あたり月額5万円)の徴収が行われ(同法 53 条)、雇用率を達成している事業主には障害者雇用調整金(超過雇用人数1人に付き月額2万7千円)が支給されます(障害者雇用促進法 50 条)。
【障害者に対する差別の禁止と合理的配慮】
事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならず(障害者雇用促進法 34 条)、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはなりません(同法 35条)。事業主が守るべき事項は、「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平 27.3.25 厚労告 116 号)に定められています。
事業主は労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでありません(同法 36 条の2)。具体的な留意事項は、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平 27.3.25 厚労告 117 号)において示されています。
Ⅰ 労働契約
2 労働契約の締結と原則
【労働契約の締結方法】
使用者が労働者を採用する(雇用する)ということは、法的には使用者と労働者との間で労働契約が締結されるということです。労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意することにより成立します(労xx6条)。この労働契約は、書面(労働契約書等)がなくとも口頭でも成立します。
ただし、契約締結後のトラブル防止のため、労基法 15 条は労働条件の書面交付を使用者に義務付けていますし、労xxにおいても労働者と使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書面により確認するものとしています(労xx4条2項)。労基法 15 条に違反した場合には、30 万円以下の罰金の規定もあります。パートタイム労働法は、これに加えて、短時間労働者(パートタイム労働者、以下「パート労働者」とします。)について書面で明示すべき事項(昇給、賞与、退職金の有無、相談窓口)を追加しています。 2020 年4月1日よりパートタイム労働法はパートタイム・有期雇用労働法になり、有期雇用労働者にも上記4項目の明示が義務付けられます。
【採用の自由】
「採用の自由」とは、使用者が誰と労働契約を締結するかについて原則的に自由に決めることができるというものです。ただし、この採用の自由も、前述の男女雇用機会均等法、職業安定法、障害者雇用安定法、労働施策総合推進法に抵触してはなりません。
【労働契約の原則】
①合意原則
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものです(労xx3条1項)。契約締結はもちろん、労働条件の変更等についても両当事者の合意が必要であって、一方的な変更はできません。
②均衡考慮の原則
労働契約は、労働者及び使用者が就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとするのが、均衡考慮の原則です(労xx3条2項)。これは、就業の実態が同様である場合はもちろん、仮にある程度の差異があるとしても、双方の労働条件が均衡のとれたものであるとする原則です。均衡考慮の原則を踏まえ
ると、社会的に著しい格差がある場合には、不法行為(民法 709 条)や公序良俗違反(民法 90 条)となる場合があります。
③仕事と生活の調和の原則
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとされています(労xx3条3項)。これは、いわゆるライフ・ワーク・バランスの考えを労働契約の原則として取り入れたものです。
④xxxx・権利濫用の禁止
労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、xxに従い誠実に権利を行使し、及び義務を履行しなければなりません(労xx3条4項)。また、労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはなりません(労xx3条5項)。
3 労働契約の成立過程-採用内定と試用期間
(1)採用内定
【内定期間中の権利義務関係】
労働契約は、使用者の募集等に対し労働者が応募して採用される場合もありますし、ヘッドハンティング等の勧誘をして採用する場合もありますし、職業紹介業者等を仲介して採用に至る場合もあります。労働契約は、当事者の合意(申込みに対する承諾)によって成立しますが、労働契約はいつの時点で成立したと見ることができるのでしょうか。
とくに、新卒者の場合は、採用が決まってから働き始めるまで長期の内定期間を経ることが多く、使用者から何らかの事情で内定が取り消さざるを得ない場合、内定によって既に労働契約が成立しているかどうかで、内定取消の法的処理の仕方が異なってくることから、労働契約がいつ成立するかが問題となります。
新卒者の場合、使用者の募集は労働契約締結に向けた「誘引」、応募者(学生)の応募又は採用試験の受験が労働契約の「申込み」、採用内定通知が労働契約の「承諾」であり、これによって、入社予定日を就労の始期とする始期付の労働契約(始期付解約権留保付労働契約)が成立すると考えられています(最判昭 54.7.20、大日本印刷事件)。そして、解雇と同様に、客観的に合理的な理由がないとか、社会通念上相当と認められない場合には内定取消が無効となります。
Ⅰ 労働契約
労働契約の成立過程(新卒者)
採用の自由 | 内定期間 | 試用期間 |
募集 応募・面接・試験 内々定 内定
入社式
本採用
誘引
申込
承諾=
労働契約成立
【内定期間中の権利義務関係】
企業によっては、新卒の内定者に内定期間中にレポート提出や、研修への参加、資格取得のための勉強を求めることがあります。内定期間中の労働契約によって、内定者について、研修参加義務が当然に発生するかについては議論があり、少なくとも学生の場合には勉学を優先させることが使用者に求められます(東京地判平 17.1.28、宣伝会議事件)。
【内定取消しについて】
内定期間中は、まだ働いていないものの、すでに労働契約が成立していると認められます。労働契約が成立している以上、労xxが適用になり、内定者(学生)・企業の双方がこれを守らなければいけません。使用者からの内定の取消には、解雇権濫用法理が適用になりますので(労xx 16 条)、使用者の事情により内定を取り消す場合には、合理的理由および社会的相当性が必要となります。先に掲げた大日本印刷事件で最高裁判所は「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」としました。
とくに新卒者については、国は企業に対して、「採用内定取消しを防止するため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じる」ことを求めており<新規学校卒業者の採用に関する指針>、やむを得ず、新卒の採用内定取消しを行う場合には、事前にハローワーク等に通知しなければなりません(職安則 35 条2項)。
他方、内定者側の事情による内定取消のうち、①学校を卒業できなかった、②健康を害し就労に耐えられない、③刑事事件を起こし就労できない、④申告・提出した書類などに虚偽の事実がある等の場合には、内定取消に客観的に合理的な理由が
あるとされる可能性が高いですが、使用者側の事情、すなわち経営上の理由による内定取消については、整理解雇法理に準じて解する判例もあります。
中途採用者やパート等の採用時に内定期間が生ずる場合にも、使用者からの内定の取り消しには客観的に合理的な理由がなければなりません。
【内々定取消しについて】
採用内定の前段として、まだ労働契約の締結過程にあり、労働契約の成立に至っていないと解される場合(内定と区別して「内々定」と呼ぶことがあります。)であっても、労働者側に採用の期待が高い事情がある場合には、その取消について不法行為(民法 709 条)に基づく損害賠償を請求されることがあります(xxx判平 23.3.10、コーセーアールイー事件)。
【内定辞退について】
内定者が採用を辞退することは、法的には「退職の自由」の問題とされ、xx的にはともかく、法的には特に制限はありません。内々定者の採用辞退についても同様に解されます。
(2)試用期間
入社日(就労開始日)から一定の期間を試用期間や研修期間等として設定し、使用者が研修を実施したり、配属にあたっての適性の見極めをすることは広く行われています。試用期間を設けるか否か、もし設ける場合にはそのxxx試用期間中の労働条件について、採用時に明示しておくことが重要です。
試用期間の長さは、2~3ヶ月とするものが多く、長くても半年、何らかの必要がある場合でも1年が限度でしょう。また、使用者による試用期間の延長は、労働者の地位を不安定に陥れることになることから、原則として許されません。
試用期間中も使用者と労働者は労働契約関係にあり(解約権留保付労働契約。最判昭 48.12.12、三菱樹脂事件)、試用期間満了時の本採用拒否や試用期間中の解雇は、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効となります(労xx 16条)。つまり、試用期間中の解雇や本採用拒否は解雇に相当し、解雇権濫用法理の適用となるということです。
Ⅰ 労働契約
4 労働契約の期間
【労働契約の期間の上限】
労働契約には、労使合意により、労働契約の期間を定めることもできますし、定めないこともできます。ただし、労働契約の期間を定めるときは、1つの労働契約の上限は、原則として、最長3年とされています(労基法 14 条1項)。
しかし、長期にわたる建設工事などで一定の事業の完了に必要な期間を定めた場合には、3年を超える期間を定めることができます(労基法 14 条1項)。また、高度な専門的知識を有する労働者(労基法 14 条1項1号)として労働基準法第 14 条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平 15.10.22 厚労告 356 号)に定める労働者については、労働契約の最長を5年とすることができます。これらは限定列挙とされています。
更に、満 60 歳以上の労働者との契約は、最長5年を契約期間とすることができます(労基法 14 条1項2号)。労基法第 70 条による職業訓練のため長期の訓練期間を要するものについても、3年を超える有期労働契約が締結できます。
【有期労働契約の更新】
有期労働契約を締結した場合、労使の合意による更新には法的制約はありません。ただし、有期労働契約を更新していて、ある時に使用者から更新を拒否する(雇
止め)ときは、一定の条件を満たした有期労働契約については、解雇と同様に客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます(労xx 19 条)。また、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平 15.10.22 厚労告 357 号にも留意が必要です(第8章参照)。
5 労働条件の明示
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に労働条件を記載した文書を交付することによって、労働条件を明示しなければなりません(労基法 15 条)。この労働条件の文書交付による明示は使用者の義務とされており、労働者の請求がなくても、書面の交付をしなければなりません。
書面によって明示すべき事項は労働基準法施行規則(労xx)に以下の事項が定められています。
必ず明示しなければならない事項 | ①労働契約の期間 | 書面で明示しなければならない 事項 |
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準 | ||
③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項 | ||
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を 2 組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項 | ||
⑤賃金(退職手当及び⑨に規定する賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期 | ||
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。) | ||
⑦昇給に関する事項 | ||
制度を設ける場合に明示しなければな らない事項 | ⑧退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期 | |
⑨臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び1か月を超える期間に対する精勤手当、奨励手当、能率手当、勤続手当並びに最低賃金額 | ||
⑩労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項 | ||
⑪安全及び衛生に関する事項 | ||
⑪職業訓練に関する事項 | ||
⑪災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項 | ||
⑭表彰及び制裁に関する事項 | ||
⑪休職に関する事項 |
①から⑦までが、必ず明示しなければならない事項(絶対的必要記載事項)で、このうち、①から⑥は労働条件通知書に記載しなければならない事項です。ただし、
⑦の昇給の有無についてはパート・有期労働者、派遣労働者には書面等で明示しなければなりません。⑧以下は、もし制度が存在する場合には、記載するべき事項(相対的必要記載事項)になります。
これらを網羅しているのが 13 頁から 14 頁の厚生労働省のモデル労働条件通知書となっています。厚生労働省のHPには、多言語の労働条件通知書のひな形もダウンロードできるようになっていますのでご活用下さい。
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxx-xxxx/xxxxxx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxxx_xxxxx. html
労働条件の明示を就業規則の交付による場合でも、①、②、③と、④のうち所定労働時間を超える労働時間の有無については、別途、書面を交付しなければなりません。
Ⅰ 労働契約
労働条件通知書
(一般労働者用;常用、有期雇用型)
殿 事業場名称・所在地使 用 者 職 氏 名 | 年 | 月 | 日 | |||
契約期間 | 期間の定めなし、期間の定めあり( 年 月 日~ 年 月 日) ※以下は、「契約期間」について「期間の定めあり」とした場合に記入 1 契約の更新の有無 [自動的に更新する・更新する場合があり得る・契約の更新はしない・その他( 2 契約の更新は次により判断する。 ・契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、態度 ・能力 ・会社の経営状況 ・従事している業務の進捗状況 ・その他( | ) | )] | |||
【有期雇用特別措置法による特例の対象者の場合】 無期転換申込権が発生しない期間: Ⅰ(高度専門)・Ⅱ(定年後の高齢者) Ⅰ 特定有期業務の開始から完了までの期間( 年 か月(上限 10 年)) Ⅱ 定年後引き続いて雇用されている期間 | ||||||
就業の場所 | ||||||
従事すべき業務の内容 | ||||||
【有期雇用特別措置法による特例の対象者(高度専門)の場合】 ・特定有期業務( 開始日: 完了日: | ) | |||||
始業、終業の時刻、休憩時間、就業時転換((1)~(5) のうち該当するもの一つに ○を付けること。)、所定時間外労働の有無に関する事項 | 1 始業・終業の時刻等 (1) 始業( 時 分) 終業( 時 分) 【以下のような制度が労働者に適用される場合】 (2) 変形労働時間制等;( )単位の変形労働時間制・交替制として、次の勤務時間の組み合わせによる。 始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 )始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 )始業( 時 分) 終業( 時 分) (適用日 ) (3) フレックスタイム制;始業及び終業の時刻は労働者の決定に委ねる。 (ただし、フレキシブルタイム(始業) 時 分から 時 分、 (終業) 時 分から 時 分、 コアタイム 時 分から 時 分) (4) 事業場外みなし労働時間制;始業( 時 分)終業( 時 分) (5) 裁量労働制;始業( 時 分) 終業( 時 分)を基本とし、労働者の決定に委ねる。 ○詳細は、就業規則第 条~第 条、第 条~第 条、第 条~第 条 2 休憩時間( )分 3 所定時間外労働の有無( 有 , 無 ) | |||||
休 日 | ・定例日;毎週 曜日、国民の祝日、その他( ・非定例日;週・月当たり 日、その他( ・1年単位の変形労働時間制の場合-年間 日 ○詳細は、就業規則第 条~第 条、第 条~第 条 | ) | ) | |||
休 暇 | 1 年次有給休暇 6か月継続勤務した場合→ 継続勤務6か月以内の年次有給休暇 → か月経過で 日 時間単位年休(有・無) 2 代替休暇(有・無) 3 その他の休暇 有給( ) 無給( ) ○詳細は、就業規則第 条~第 条、第 条~第 条 | 日 (有・無) |
(次頁に続く)
賃 | 金 | 1 2 3 4 5 6 | 基本賃金 イ 月給( 円)、ロ 日給( 円)ハ 時間給( 円)、 ニ 出来高給(基本単価 円、保障給 円)ホ その他( 円) ヘ 就業規則に規定されている賃金等級等 | |
諸手当の額又は計算方法 イ( 手当 円 /計算方法: ) ロ( 手当 円 /計算方法: ) ハ( 手当 円 /計算方法: ) ニ( 手当 円 /計算方法: )所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率 イ 所定時間外、法定超 月60時間以内( )% 月60時間超 ( )% 所定超 ( )% ロ 休日 法定休日( )%、法定外休日( )%ハ 深夜( )% 賃金締切日( )-毎月 日、( )-毎月 日 賃金支払日( )-毎月 日、( )-毎月 日賃金の支払方法( ) | ||||
7 | 労使協定に基づく賃金支払時の控除(無 ,有( )) | |||
8 | 昇給(時期等 ) | |||
9 | 賞与( 有(時期、金額等 ) , 無 ) | |||
10 | 退職金( 有(時期、金額等 ) , 無 ) | |||
退職に関す | 1 | 定年制 ( 有 ( 歳) , 無 ) | ||
る事項 | 2 | 継続雇用制度( 有( 歳まで) , 無 ) | ||
3 | 自己都合退職の手続(退職する 日以上前に届け出ること) | |||
4 | 解雇の事由及び手続 | |||
○詳細は、就業規則第 条~第 条、第 条~第 条 | ||||
そ | の | 他 | ・社会保険の加入状況( 厚生年金 健康保険 厚生年金基金 その他( )) ・雇用保険の適用( 有 , 無 ) ・その他 ※以下は、「契約期間」について「期間の定めあり」とした場合についての説明です。労働契約法第18条の規定により、有期労働契約(平成25年4月1日以降に開始するも の)の契約期間が通算5年を超える場合には、労働契約の期間の末日までに労働者から申込みをすることにより、当該労働契約の期間の末日の翌日から期間の定めのない労働契約に転換されます。ただし、有期雇用特別措置法による特例の対象となる場合は、この「5年」という期間は、本通知書の「契約期間」欄に明示したとおりとなります。 |
※ 以上のほかは、当社就業規則による。
※ 労働条件通知書については、労使間の紛争の未然防止のため、保存しておくことをお勧めします。
Ⅰ 労働契約
6 労働契約の原則
(1)均等待遇の原則
労基法3条は、国籍(国籍、人種)、信条(信仰、政治的信条等)、社会的身分を理由として労働条件について差別的取扱いをすることを禁じています。
(2)男女同一賃金の原則
使用者は、労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをしてはいけません(労基法4条)。女性であることを理由に、あるいは女性は定着率が悪いとか、主な生計維持者ではないこと等を理由に、女性労働者の賃金を低く抑えることはできません。また、男性と女性とで、適用される賃金表を異にするとか、各種手当(家族手当や住宅手当)の支給条件が異なるといった場合にも労基法4条違反となります。
(3)労働者の権利保障と人身拘束の禁止
労基法には労働者の退職の自由・転職の自由を保障するための規定が設けられています。まず、使用者が、暴行、脅迫、監禁等、労働者の精神の自由や身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意に反して強制的に労働させることは禁止されています(強制労働の禁止、労基法5条)。また、適法な有料職業紹介業者を除き、営利を目的として、他人の就業に介入して、利益を得ることは禁止されています(中間搾取の排除、同6条)。
使用者は労働者の労働契約の不履行について違約金や損害賠償額をあらかじめ定めておくことは禁止されています(賠償予定の禁止、同 16 条)。採用に際して、使用者から借金をさせこれを賃金から返済し終わるまで退職を許さないとする前借金相殺も禁止されています(同 17 条)。さらに、労働者が希望していないにもかかわらず、労働契約に付随して、賃金の一部又は全部を強制貯金させることも禁じられています(強制貯蓄の禁止、同 18 条)。これらは、労働者にとって不当な足止め(退職の制限)となってしまうことから、禁止されているものです。
7「労働者」の範囲と法律の適用
(1)労基法、労xx、労組法上の労働者
労基法9条は、労基法上の「労働者」を、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用され「賃金」を支払われる者としています。これは、労基法の保護対象である労働者を定義したものです。この労基法上の労働者の定義は、最賃法、安衛法、労災法、公益通報者保護法といった法令等でも共通と解されています。
労働契約法では「労働者」を「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」とし、労働組合法(労組法)では、「労働者」の定義を「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」としています。これらに該当するか否かは契約の文言だけではなく、実態に即して判断されます。
(2)業務請負・業務委託と労働契約
業務請負・業務委託とは、契約形式としては民法の請負(民法 632 条)あるいは準委任(民法656 条)ないしこれらに準ずる無名契約(業務請負・業務委任契約)を使って会社の業務の一部を担ってもらう形態です。
契約の相手方が個人で、委任もしくは請負(業務委託)として契約した場合であっても、その個人に対して業務や勤務場所・勤務時間を指示し(指揮命令)、支払う報酬に労務の対価性(賃金性)がある場合は、実質的な「使用従属関係」があるとして、労基法、労xx、労組法等の労働法規の適用を受けることがあります。
8 外国人を雇用するにあたって
厚生労働省が発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によれば、令和元年 10 月末時点での日本の外国人労働者数は 165 万 8,804 人となり、東京労働局管内では 48 万 5,345 人と、いずれも過去最高を更新しました。このように、日本で就労する外国人の数が年々増えている中で、使用者としては外国人を雇用する際の関係法令についても注意しなくてはなりません。
また、厚生労働省は、外国人を雇用する使用者が遵守すべき法令や、努めるべき雇用管理の内容などを盛り込んだ「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を定めています。
Ⅰ 労働契約
(1)労働法の適用
原則として、日本国内で就労する限り、その人の国籍に関係なく日本の労働法が適用されます。また、労基法3条は「使用者は、労働者の国籍等を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と定めています。
(2)在留資格
外国人の方は、出入国管理及び難民認定法で定められている在留資格の範囲内において、我が国での活動が認められています。この在留資格においては、就労活動に制限がない資格(入管法上の永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、及び入管特例法上の特別永住者)のほか、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、法律・会計業務、高度専門職など、定められた範囲で就労が認められる在留資格が存在します。
外国人の採用に当たっては、あらかじめ、在留資格上、就労することが認められる者であるかを確認するとともに、不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにすることが必要です。
(3)募集
労働者の募集に応じて労働者になろうとする外国人が国外に居住している場合にあっては、入国後に相互の理解の齟齬等からトラブル等が生じることがないように、渡航または帰国に要する旅費その他の費用の負担の有無や負担割合、住居の確保等の募集条件の詳細について、あらかじめ明確にしておくよう努めなければいけません。
(4)「外国人雇用状況」の届出義務
平成 19 年 10 月1日より、事業主の方に対し、外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職支援の努力義務が課されるとともに外国人雇用状況の届出が義務化されました。事業主は、外国人労働者を雇い入れる場合には、氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域、在留カードの番号等について事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に届け出なければなりません。離職する場合も同様です。
(5)就業規則・労働条件変更
就業規則は常時 10 人以上の労働者を雇用する際には作成義務があり、作成した就業規則は労働者への周知が必要であることから、就業規則の周知に際して、日本語を理解することができない労働者に対してはその労働者が理解できる言語で周知
することが望ましいと考えられます。労働条件の変更や日本の労働法制度一般についても同様です。
(6)社会保障協定
日本と社会保障協定を締結した国の企業から派遣されて日本国内で就労する人について、派遣元の国の社会保険料を支払う人は日本の厚生年金及び健康保険への加入が免除されます。2019 年 10 月時点で、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ合衆国、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国との社会保障協定が発効しています。
xxx労働相談情報センターでは、外国人労働者ハンドブック(英語版及び中国語版)を作成しています。労働関係法令をはじめとして、在留手続きや税金などの日本で働く上で必要な法制度について解説しており、日本語も併記しています。外国人を雇用する使用者の皆さんにも活用していただければ幸いです。