Contract
◆ 贈与契約書の作成について
贈与契約は意思の合致により成立し、契約書の作成は必須ではありませんが、書面によらない贈与は取消し(解除)の可能性や、税務当局から疑義を持たれるおそれなどもあるため、客観性のある贈与契約書を作成しておくべきでしょう。
贈与契約書の作成は、遺言書の場合と異なり、自筆で書くことも用件とはならず、パソコンで作成しても問題ありませんが、後日の争いを防止する、という観点から、贈与契約の当事者の署名と契約 の日付だけは、自筆で記入するとよいでしょう。
また、贈与契約書には、押印の必要性もありませんが、客観的な証拠を残す、という贈与契約書作成の趣旨を考えると、実印で押印 をする、というのが好ましいでしょう。
1.贈与契約書に記載すべき内容
① いつ贈与するのか(贈与契約締結の日付、実際に贈与を実行する日付)
② 誰が誰に贈与するか(贈与者の氏名・住所、受贈者の氏名住所)
③ 何を贈与するか(贈与財産の種目・内容・金額・所在、その他財産に関する情報)
④ 贈与するための条件(負担)について
⑤ 贈与する方法(振込先など)
2.贈与契約書の種類と留意点について
(1)金銭の贈与契約書
金銭を贈与する場合、なるべく現金の手渡しは避け、あげる側もらう側も自己名義の銀行口座を通すようにしておきます。
現金をそのまま渡してしまうと、金額や贈与日などについて、後日、税務署等に対する説明が難しくなるおそれがあります。
なお、金銭の贈与契約書には、収入印紙は不要です。
(2)不動産の贈与契約書
不動産贈与契約書を作成する場合、不動産の所在地番など、物件の表示となる部分については、登記事項証明書などを確認し、正確に記載しなければなりません。不動産の贈与契約書には、 200円の印紙を貼り、契約書に押した印鑑で消印してください。
ただし、不動産価値を併記してしまうと、その額に見合った収入印紙が必要になりますので、不動産の贈与契約書を作成する際は、金額は書かない方が無難です。
(3)未xx者に対する贈与契約書
未xx者は、物事の判断を十分にすることができる年齢になっていれば、自分の意思で贈与を受けることは可能です。
贈与をする側になる場合には、財産の処分を伴う以上、法定代理人の同意や代理が不可欠ですが、もらうだけであれば、未xx者も自分の意思で行うことができます。
但し、実務では、後々の様々な疑義、紛争の防止のためにも贈与 契約書は、親権者(婚姻中は両親とも)が法定代理人として、自署、押印した方がいいでしょう。
なお、未xx者と法定代理人が利害が相反する契約をする場合、 家庭裁判所に特別代理人の選任をしてもらう必要がありますが、未 xx者が法定代理人から財産をもらうだけの契約をするのであれば、利益相反取引には該当しません。
*利益相反例:未xxの子の財産を親へ贈与するなど
(4)死因贈与契約書
当事者の死亡によって効力を生ずる贈与を『死因贈与』といいます。
死因贈与も贈与の一類型であり、当事者の契約によります。当事者の死亡によって効力を生ずる点で『遺贈』と似ていま すが、死因贈与は契約であり、一方の遺贈は遺言者の単独行為
である点で異なります。
そのため、死因贈与については、遺贈に関する多くの規定が準用されています。
2.不動産の贈与と登記
贈与による所有権移転登記をしない限り、贈与が行われたことを他人に対して主張することはできません。
贈与の登記をする時期について法的な期限などはありませんが、贈与が行われてことを第三者に主張することや、税務申告を正確に行えるようにするためにも、速やかに登記を申請します。
贈与の登記をしないで長期間経過してしまうと、たとえば当事者の一方が亡くなってしまった場合には非常に手続が煩雑になりますし、最悪のケースでは、亡くなった当事者の相続人から登記手続の協力を得ることができず、贈与の登記自体ができなくなってしまうおそれもあります。