Contract
■点検項目7関係 (労働者派遣契約)
(1)労働者派遣契約
派遣法 26 条にいう「労働者派遣契約」は、「契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣することを約する契約」であり、当事者の一方が労働者派遣を行う旨の意思表示を行い、それに対してもう一方の当事者が同意をすること又は当事者の一方が労働者派遣を受ける旨の意思表示を行い、それに対してもう一方の当事者が同意をすることにより成立する契約であり、その形式については、文書であるか否か、又有償であるか無償であるかを問うものではありません。
労働者派遣に関する契約については、恒常的に取引先との間に労働者派遣をする旨の基本契約を締結し、個々具体的に労働者派遣をする場合に個別に就業条件をその内容に含む個別契約を締結するという場合がありますが、この場合、派遣法 26 条の意味における労働者派遣契約とは、後者の個別契約をいいます。
(2)労働者派遣契約で定める事項
労働者派遣契約の締結に当たっては、以下①から➃の事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければなりません(派遣法 26①、派遣則 22)。
① 派遣労働者が従事する業務の内容
② 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
③ 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位
④ 労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
⑤ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
⑥ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
⑦ 安全及び衛生に関する事項
⑧ 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
➃ 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当(労基法 26 条の規定により使用者が支払うべき手当をいう)等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
⑩ 労働者派遣契約が紹介予定派遣に係るものである場合にあっては、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項
➃ 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
⑫ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が⑤の派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は⑥の派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めをした場合には、当該派遣就業をさせることができる日又は延長することができる時間数
➃ 派遣元事業主及び派遣先との間で、派遣先が当該派遣労働者に対し、派遣先が設置及び運営する物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施
設等の施設であって現に派遣先に雇用される労働者が通常利用しているもの(給食施設、休憩室及び更衣室を除く。)の利用、レクリエーション等に関する施設又は設備の利用、制服の貸与、教育訓練その他の派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、当該便宜の供与に関する事項についても記載すること
⑭ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣の終了後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者を雇用する場合に、その雇用意思を事前に労働者派遣をする者に対し示すこと、当該者が職業紹介を行うことが可能な場合は職業紹介により紹介手数料を支払うことその他の労働者派遣の終了後に労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置
⑮ 派遣労働者を協定対象派遣労働者(派遣法 30 条の4第 1 項の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者をいう。)に限定するか否かの別
⑯ 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は 60 歳以上の者に限定するか否かの別
➃ 派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項
・ 有期プロジェクトの業務について労働者派遣を行うときは、法第 40 条の2第1項第3号イに該当する旨を記載すること(派遣則 22 の 2(2))。
・ 日数限定業務について労働者派遣を行うときは、ⅰ)法第 40 条の2第1項第3号ロに該当する旨、ⅱ)当該派遣先において、同号ロに該当する業務が1箇月間に行われる日数、ⅲ)当該派遣先の通常の労働者の1箇月間の所定労働日数を記載すること(派遣則 22 の 2(3))。
・ 育児休業等の代替要員としての業務について労働者派遣 を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(派遣則 22 の 2(4))。
・ 介護休業等の代替要員としての業務について労働者派遣 を行うときは、派遣先において休業する労働者の氏名及び業務並びに当該休業の開始及び終了予定の日を記載すること(派遣則 22 の 2(5))。
(3)派遣労働者の人数の定め
労働者派遣契約の締結に当たっては、その内容の差異に応じて次により派遣労働者の人数を定めなければなりません(派遣法 21①)。
ア 上記(2)の①から⑯に掲げる就業条件の組合せが1つの場合は、当該労働者派遣に係る派遣労働者の人数
イ (2)の①から⑯に掲げる就業条件の組合せが複数の場合は、当該組合せごとの派遣労働者の人数