(参考)協働の取組が特に有効な分野(参考:横浜市『AMPERSAND 協働実践』)
(提案者向け・尼崎市職員向け)
令和2年4月1日
尼崎市総合政策局協働部協働推進課
― 目 次 ―
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
Ⅰ 本ガイドの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1 なぜ協働の取組を行うのか・・・・・・・・・・・・・ 2
提案を検討される方は、まず
はここからご参照ください
2 市民提案制度と協働契約の位置づけ・・・・・・・・・ 2
Ⅱ | 市民提案制度ガイド・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
1 | 制度の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 4 |
2 | 制度の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 5 |
3 | 制度のながれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 6 |
4 | 各ステップにおける注意事項等・・・・・・・・・・・ | 8 |
募集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 8 |
提案及び協議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12審査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14採択後の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
Ⅲ 協働契約活用ガイド
1 協働契約の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2 協働契約と通常の契約との違い・・・・・・・・・・・20
3 協働契約を活用する場面・・・・・・・・・・・・・・22
4 協働の取組等の構築及び相手方選定過程について・・・23
5 協働契約に特徴的な条項の内容・・・・・・・・・・・24
6 協働契約を締結する上での諸注意・・・・・・・・・・26
7 検証・評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
(別冊)参考資料集
1 市民提案制度関連
・尼崎市市民提案制度実施要綱
・尼崎市市民提案制度様式集
・尼崎市市民提案制度庁内推進会議設置要綱
2 審査会関連
・尼崎市市民提案事業審査会条例
・尼崎市市民提案事業審査会傍聴取扱要領
3 協働契約関連
・協働契約書(委託型)ひな形
・協働契約書(補助金型・負担金型)ひな形
・協働実施に係る協定書ひな形
・協働契約 事業実施結果報告書
はじめに
本市では、「市民提案型制度推進事業」として、平成21年度から「尼崎市提案型協働事業制度」を、平成25年度から「尼崎市提案型事業委託制度」を運用し、市民活動団体や一般事業者(以下「団体等」と言う。)からの提案に基づいて事業を実施する取組を行ってきました。
これらの制度を通じて、団体等の提案により、全市的な学びの場が形成されるなどの先進的な取組がうまれたことや、啓発事業の参加者が倍増するなどの市が直接行うよりもより良い手法での事業実施につながるといった事例が見られました。この他、事業実施段階において、互いのノウハウやネットワークを活用し合うなど、それぞれの強みを出し合って取組を進めることにより、協働の相乗効果による事業効果の向上が図られました。同時に、これらを通じて市職員の協働意識が高まるなど、一定の成果が見られました。
一方で、制度開始から一定の期間が経過する中で、提案件数の減少や事業実施過程における協働のあり方などの課題も見られます。
提案件数の減少については、提案に係る労力や、委託と補助の違いなどの行政ルールがわかりにくいことなどの要因が考えられました。そこで、二つの制度を一本化するするとともに、提案支援の強化を図るなどの改善を行った上 で、新たに「市民提案制度」として令和2年度から運用を開始することとしました。
また、事業実施過程における協働のあり方について、特に委託事業においては、その契約形態上、行政、団体等の双方にとって協働しにくいという背景があると考えられました。そこで、委託事業をはじめ、補助金や負担金の交付を受けて行う取組で、行政と団体等の協働によって行うものにおいて、互いを尊重し、対等な立場に立って適切な役割及び責任の分担の下で連携して事業を実施することなどを契約書上で明文化した「協働契約」を取り入れることとしました。
多様な主体が協働して事業を構築し、実施することは、協働の相乗効果による事業成果の向上につながり、ひいては地域課題や社会課題の解決やまちの魅力向上につながるものです。今後、より一層協働の取組を進めるため、ここに本ガイドを策定します。
令和2年4月1日
尼 崎 市
Ⅰ 本ガイドの概要
1 なぜ協働の取組を行うのか
本市における「協働」の定義(尼崎市自治のまちづくり条例第3条)
協働(立場又は特性の異なる多様な主体が、目的及び課題を共有するとともに、お互いを尊重し、対等な立場に立って、適切な役割及び責任の分担の下で連携す ることをいう。以下同じ。)の取組によって、一の主体だけでは解決することができない課題を解決することができるなどの相乗効果を発揮すること。
まちの課題が多様化、複雑化する中で、行政あるいは民間だけの取組では、想定するような事業効果を得にくくなっています。
「団体等と行政が、まちづくりの方向性を共有し、互いに対等な立場で尊 重し合いながら、互いの能力を出し合い、弱みを補い合って取り組む」(=協働)ことによって相乗効果を生み出し、事業効果を向上させることが、まちの魅力や活力を高めること、地域課題の解決につながっていきます。
(参考)協働の取組が特に有効な分野(参考:横浜市『AMPERSAND 協働実践』)
1 当事者性を重視したきめ細かい対応が必要な分野 |
子育て支援、青少年の育成、高齢介護、健康づくり など |
2 地域社会の主体的な取組が必要な分野 |
防災・防犯、環境対策、地域活動 など |
3 専門性が求められる分野 |
芸術・文化、人権、多文化共生、地域団体等への中間支援 など |
4 地域全体の合意形成が必要な分野 |
地域のルールや計画づくり など |
5 参加者の自己実現、コミュニティ形成に関する分野 |
生涯学習、地域スポーツなど |
多様な市民ニーズに対応した公共サービスを効果的かつ効率的に提供することや、市民の意思を反映した施策の立案及び事業実施が求められる分野(下表)
2 市民提案制度と協働契約の位置づけ
事業実施に至るまでの過程には、行政発意によるものと、市民活動団体や事業者(以下「団体等」という。)の発意によるものがあります。団体等の提案を市の制度で裏付け、実現性を高める役割を担うのが「市民提案制度」です。
また、協働の実施段階において、協働の相乗効果をより高めるためには、市と相手方の双方にとって協働しやすい環境をつくることが重要であり、契約行為の中でこれを担保していくのが「協働契約」です。
このガイドは、「市民提案制度」と「協働契約」の実施手順についてまとめるものです。
各種
行う上での課題
尼崎市
市民活動団体・事業者
・地域課題、社会課題の解決に向けた事業や取組を実施(検討)
・公的部門の仕事を担っている(検討している)
事業の効果等に関する課題
・市だけで効果が上がらない
・もっと効率的に実施したい
・先進的なアイデアが欲しい
・市と連携すればより良くできる
・市が直接行うより良くできる
・事務処理能力
・情報
・信頼、xx
・他自治体等との調整
・ネットワーク など
各主体の強み
・分野に応じた特殊能力
相談
提案
・独自のノウハウ
・分野や地域に根差したネットワーク など
提案を支える制度
市民提案制度
尼崎市
市民活動団体・事業者
の協働の取組を
・市の事業にはルールがある ・柔軟に取り組んでいきたい
・委託業務は受託者が行うもの ・市との連携を一層深めたい
相互理解などが不十分なまま事業を実施
相乗効果が発揮されにくい、協働状態の継続が困難
お互いにとって協働しやすい環境づくりが必要
契約上で対等な立場や協議の重視、役割分担を明記
協働契約
協働の実施段階
実施に至るまでの過程
「市民提案制度」と「協働契約」の位置づけイメージ
Ⅱ 市民提案制度活用ガイド
1 制度の目的
①地域課題や社会的課題の解決に向けた新たな取組のモデル的な実施(補助等)及び市の事業をより効果的・効率的に実施(委託等)すること
この制度では、団体等のアイデアや、市と団体等の協働により、新たな取組のモデル的な実施や、市の事業をより効果的・効率的に行い、地域課題や社会的課題の解決、まちの魅力向上につなげていくことを目的としていま す。
②行政と団体等の相互理解を深め、適切で良好なパートナーシップを築き、協働の取組を推進すること
協働の取組を行う上では、市と相手方が相互に理解し合い、良好なパートナーシップを築いていることが重要です。
同じ目的に向かって、互いを尊重しつつ、率直な意見交換や建設的な議論ができるようなパートナーシップを構築し、協働の取組を進めていくことを制度の目的としています。
③団体等の政策提案機会の拡大、シチズンシップの向上、社会的な起業の振興及び公益的な活動を行う団体等の持続可能性の向上を図ること
団体等の政策提案機会の拡大を図り、公共部門を担うことができる主体が増えることは、様々なパートナー関係の創出や協働の取組の活性化、シチズンシップの向上につながると考えます。
また近年増加している、社会課題等を事業的な手法によって解決する取組を行う起業家の方々や、既に活動を行っている団体等が持続的に活動を続ける上でのステップとして、この制度を活用いただくことも想定しています。このように、公共部門の担い手となる主体の創出・増加及びその持続可能
性の向上を図ることを制度の目的としています。
2 制度の概要
団体等からの自由な提案をもとに、先進的な取組のモデル的な実施(補助金等の交付)や市の事業効果の向上(委託化)などを図ります。
事業者 NPO
市民活動団体
など
・地域や社会の課題解決のために活動したい
・公共部門の仕事を担いたい
・社会的課題等を事業的な手法で解決したい
・CSR/CSV に取り組みたい など
提案 委託・補助金・共催等
・民間のアイデアで市の事業効果向上を図りたい
行政 ・まだ市が取り組んでいない事業を協働で試行的に行い、地域課題等の解決につなげたい
・協働の意識を庁内に広げたい など
実施段階では、提案内容に応じて、次の3つの協働の手法を採ります。
種類 | 内容 | 市の経費負担 |
委託事業 | 市の実施する事業を委託すること | 委託料 |
協働事業 | 市と団体等が協働で事業を実施すること | 補助金等 ※対象経費の種類あり ※概ね 30 万円まで |
共催等※ | 共催、後援、既存事業等における連携、許 認可など、上記以外の手法で連携すること | 事業内容、連携手法 による |
※「共催等」における協働の手法は、この制度を通じなくともご利用いただけるものです
これまでの「市民提案型制度」を一本化し、提案しやすさの向上を図るとともに、行政と団体等の相互理解を深め、適切で良好なパートナーシップを構築していくための仕組みを取り入れています。
提案のしやすさ
新制度の特徴
良好なパートナーシップ
・協議、具体化しながら協働 の手法を選択(制度一本化)
・構想段階の提案も受け付けるなど、対話を経て事業を構築
・様式の簡略化 など
・相互理解、双方の合意を基調とした協議
・率直な意見交換を基調とした事業評価
その他の改善点
・外部講師による提案者、行政への講習会の実施
・審査フローの簡略化
・提案要件の緩和(営利団体による提案を可)
・補助対象経費の拡充(事業実施に係る人件費)
3 制度の流れ
Step1
実施までの3Step
(5月~6月末)
提案者 制度所管課 事業所管課
提案書の提出
内容についてのヒアリング、協議
内部調整、所管課の決定
Step2
(提案後~9月末)
協 議(具体化・実現化に向けた協議、協働の手法の検討 など)
審査会準備
審査会資料、仕様書案作成 庁内調整(庁内推進会議等)
Step3
(10月)
情報共有、協力、助言等
審 査 会
契約等の締結、講習会の受講、実施へ
実績報告、振り返り
令和3年度向け提案書提出締切:令和2年6月30日(火)(必着)尼崎市協働推進課 メール:xxx-xxxxxxx@xxxx.xxxxxxxxx.xxxxx.xx
電 話:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
Step1 提案書の提出(制度所管課へ)
・大まかなイメージを簡潔に書きます
・「委託事業」「協働事業」などを選択できないときは、Step2 で検討していきます
・提出後、募集要件(次ページ)を満たしていれば、内容についてのヒアリングがあります
提案書(様式第 1 号) A3 用紙 1 枚程度
・その後、制度所管課が所管課の決定に向けた庁内調整を行います
・要件(次ページ)を満たすものであれば、提案のテーマは自由です
・このほか、市から特定のテーマについての提案を募ることがあります
※詳細は毎年度の募集要領をご確認ください
Step2 協議
・具体化や実現化に向け、提案者・事業所管課・制度所管課で協議をします
・「委託事業」「協働事業」「共催等」から最適な手法を皆で検討します
・「庁内推進会議」等を活用し、実現に向けた調整を全庁横断的に行います
・最終的に、「提案内容詳細(審査会資料)」(様式第2号)や仕様書案等を完成させます(「委託事業」「協働事業」のみ)
Step3 審査会(「委託事業」「協働事業」のみ)
書類審査 ・提案内容を事業所管課から審査会に説明します
・本審査に進むかや、提案内容に応じた採点基準を決定しますx x 査 ・提案内容を提案者と事業所管課から審査会に説明します
・採否を決定します
契約等の締結、実施へ
・委託事業では契約書を締結します。役割分担を設けるなど、協働する場合は「協働契約・委託型」を推奨しています(第Ⅲ章参照)
・協働事業では必ず「協働契約・補助金型」を締結します
・事業内容や団体運営、官民の協働について外部有識者の講習を行います
※講習会は、提案を検討中の団体など、どなたでも受講できます
4 各ステップにおける注意事項等
7
・事業実施後には、実績報告や振り返りを行います
次ページから各ステップの詳細と注意事項を記載しています
※まずは「募集」に関する箇所からご確認ください
※職員向けガイドを兼ねています。わかりにくい場合はお問い合わせ下さい
4 各ステップにおける注意事項等
募 集
提案要件には、全ての事業に共通するものと、協働の手法別のものがあります
全ての事業に共通する要件(必須)
事業の要件 |
・公益的な事業であること ・予算の見積もりが適正であること ・本市の総合計画の方向性に沿ったものであること ・提案期間の上限は3年間(同一団体による同一事業の再提案は不可) ※多様な主体による参画を確保するため。旧制度での実績を含む。 |
団体の要件 |
・団体としての活動期間が原則として1年以上であること ・5人以上の構成員で組織している団体であること ・組織の運営に関する定款、規約又は会則を定めていること ・団体の予算、決算について適正な会計処理が行われていること |
次のいずれかに該当する場合には提案できません(必須)
事業 |
・営利を主たる目的とする事業(「委託事業」の場合は市の事業として位置付けられるため、これに該当しません) ・特定の個人や団体のみが利益を受ける事業 ・政治、宗教、選挙活動を目的とする事業 ・施設等の建設又は整備を主たる目的とする事業 ・国、地方公共団体及びそれらの外郭団体から助成等を受けている事業 ・法、条例等に違反する事業 ・公序良俗に反する事業 ・暴力団等の利益になるとき |
団体 |
・市が事務局に参加している団体(外郭団体及び外郭団体に類する団体を除く) ・宗教の教義を広める、儀式行事を行う、信者の教化育成を主目的とする団体 ・政治上の主義を推進し、支持し、又は反対することを主たる目的とする団体 ・特定の公職注の候補者(候補者になろうとするものを含む)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする団体 注 公職選挙法第3条 ・尼崎市暴力団排除条例に規定する第2条第2項から第4項に該当する団体 ・無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第5条及び第8条に規定する処分を受けている団体又はその構成員の統制の下にある団体 ※営利を目的とする団体であっても提案は可能です |
協働の手法別の要件及び諸注意
委託事業 | |
要 件 | ・市の事業で、市が直接実施するよりサービスの質やコスト面等で付加価値があり、市民にとって有益であるもの ※新規事業の提案も可 |
費 用 | ・既存事業は、人件費を含む提案年度の事業費を目安とする ※費用が増加する提案も可 |
注 意 | ・現在と同一内容のまま、単にコストを低減させるものは不可(複数の事業を単にまとめるだけものも不可) |
その他 | ・委託事業と合わせて自主事業を行うことを含む提案は可 ※委託事業の効果をより向上させる目的であるものに限る ※委託事業との収支の別を明確にすること ・市と提案者が協働して実施する委託事業の提案は可 |
協働事業 | |
要 件 | ・市との協働で地域課題や社会的課題の解決が図られる事業 ・互いの役割分担が適切で、協働により相乗効果が高まること ・先進性、先駆性等の工夫やアイデアがあること ・市民の視点からの取組であること |
費 用 | ・1事業あたり概ね 30 万円まで補助金等を交付 (ただし市の予算の範囲内) |
注 意 | ・補助金の対象となる経費には決まりがあります(次ページ) |
※上記のいずれにも該当しない場合は、共催、後援、既存事業等における連携などによる手法について検討を行います。
・要件を満たすものであれば、提案のテーマは自由です
・このほか、市から特定のテーマについての提案を募ることがあります
※詳細は毎年度の募集要領をご確認ください
参考 既存事業について
市の既存事業を参考にされる場合には、次の資料を活用ください。ともに、市民提案事業制度のホームページ上に設置しています。
・事務事業シート
各事務事業の実施内容や、人件費を含む総事業費を参照できます。
補助金の対象となる経費の代表例
科目 | 対象となる経費 | 原則対象とならない経費 |
報償費 | 講師謝礼等 | 別途委託料等を支払う相手への二重払 いとなりうる謝礼等 |
交通費 | 事業実施に必要な講師、ボランテ ィア等の交通費 | 団体構成員の定期券代等 |
消耗品費 | 事業実施に必要な事務用品等 | 参加者への景品、記念品等 |
印刷費 | 事業実施に必要なチラシ、ポスタ ー等の印刷費 | 団体の会報等の印刷費 |
通信運搬費 | 事業実施に必要なチラシ、ポスタ ー等を送付するための送料等 | 電話料、会報等の送料 |
保険料 | ボランティア保険料等 | |
委託料 | 会場等の設営を専門業者に委託す る際の費用等 | |
使用料 | 会場使用料、機材レンタル料等 | 視察や研修のみのバス借上料等 |
食糧費 | 講師の飲食費等(ただし、右記の 場合を除く) | 懇親会や慰労会等における飲食費、手 土産等 |
備品購入費 | 対象事業の実施に使用する備品の 購入費(ただし、補助額の 2 割以内) | 個人所得となる備品の購入、修繕費用等 |
人件費 | 当該事業に係る団体構成員の人件 費(ただし、補助額の 2 割以内) | |
賃金 | 当該事業の実施に際して、臨時的 に雇用する人員(アルバイト等)への賃金 | |
その他 | ・支出の根拠が確認できないもの ・団体の事務所棟の家賃、光熱水費等 ・特定の団体に所属するための会費等 ・施設整備費 ・慶弔費、見舞金等 ・財産の取得等に係る経費 |
~MEMO~
提案及び協議
提案及び協議は、次のフローで実施します
Step1(5月~6月末)
提案者 制度所管課 事業所管課
提案書の提出
要件確認・受理連絡
内容についてのヒアリング、協議
内部調整、所管課の決定
調整結果の共有
Step2(提案後~9月末)
提案内容の協議①(三者協議)
7月末迄
・提案を受け付けたものについては、必ず実施します
・原則として制度所管課が仲介役として同席します
・主に次の内容について協議しますア 提案内容の確認
イ 互いの現状を踏まえた意見交換、課題の共有ウ 協働の手法についての意見交換
8月末迄
各々調整・個別協議
提案内容の協議②(三者協議)
・協議①で出た課題等について、互いに調整結果を持ち寄ります
・今後の方針(審査会に諮るかなど)を決定し、共有します
委託事業、協働事業として検討を進めるとき
審査依頼(様式第3号)
審査会準備
審査会資料作成仕様書案作成
庁内調整
①庁内推進会議(9月初頭)
・実施に向けた課題整理や庁内横断的な調整
・政策調整の是非(要否)を確認
②xx役への状況報告等
を
情報共有、協力、助言等、相互理解深めながら実現に向けて進めていく
9月末迄
提案内容の協議③(三者協議)
・審査会資料等の最終確認、採択時の契約内容等の確認を行います
注意事項
1 協議の進め方
・提案者と市が、互いの立場や内部規則について相互に理解し、互いを尊重し、双方の合意を基調として進めます
・協議の回数は問いません。具体化等にあたって十分な協議ができたかどうかで判断してください
2 協議が成立しない場合
・実施については双方前向きだが、市の人員配置の調整を要するなど、募集年度中に協議を終えられないとき
⇒「継続協議」として取り扱い、次年度の審査会の対象とします
・具体化や実現化の目途が立たないなどのとき
⇒「協議不成立」として取り扱います
3 協議結果の公表
・協議結果は「協議及び審査結果表」(様式第4号)に記録し、提案者、制度所管課、事業所管課の情報共有に用います
・審査終了後、透明性の確保を目的として、提案者、制度所管課、事業所管課の確認を経て、当該様式を公表します
・ただし、提案者のxxxxをはじめとする知的財産などについては、公表の対象外とします
4 「委託事業」「協働事業」以外の取扱
・これら以外の協働の手法を採る場合は、審査会の議題としません
・引き続き協議を行い、適宜実施するものとします
5 提案の辞退
・本審査実施前までに「辞退届」(様式第5号)を制度所管課に提出することで申し出ることができます
・「委託事業」については、辞退が市の事業実施に支障をきたす場合、事業所管課との間の協議を要します
審 査
審査は、「書類審査」と「本審査」に分けて次のフローで実施します。
Step3(10月)
提案者
制度所管課
事業所管課
審査会(書類審査)
・事業所管課から審査会に提案内容の説明、質疑応答を行います
・本審査に進むかを決定します
・本審査の際の審査の考え方や、提案ごとの追加配点項目を決定します
※継続協議、協議不成立事案を報告します
結果の共有
審査会(本審査)
・主に提案者から審査会に対して提案内容の発表を行い、事業所管課とともに質疑に応えます
・審査会としての採否が確定します
結果の共有
参考 審査会での審査項目
共通審査項目 |
市民ニーズや課題の把握、目標設定が的確であること |
課題及び目標に対する手法が的確であること |
提案事業の実施により、サービスを受ける市民等のシチズンシップの向上や、提案者の公共的分野を担う力の向上につながること |
事業計画及び収支計画が適正かつ実現可能であること |
提案者に事業実施能力が認められること |
継続性や発展性、他の事業との連携が期待できること |
委託事業 |
独自のノウハウや強みが生かされており、市が直接実施するよりも、①質の高いサービスが期待できること、また、②効率的で経費の削減につながること |
市民の社会活動や起業、雇用創出等、地域経済の活性化が期待できること |
協働事業 |
先駆性、新規性が認められ、モデル事業となり得ること |
公益性が認められ、また、xx性が確保されていること |
市と協働することにより、効果的な課題解決など、相乗効果を期待できること |
1 審査を行う審査会
「市民提案事業審査会」で行います。
※尼崎市市民提案事業審査会条例によって設置する市の附属機関です
2 審査会の委員
審査会の委員は、各分野に精通する外部委員5名、市職員委員2名です。
参考 市職員を審査会の委員とする理由
提案者の実施能力等、提案の実現可能性をより精査する目的です。審査会委員となる職員は、提案者との協議には加わらないなど、透明性の確保に努めます。
3 公開
審査会の内容
審査会の議論の内容などは、事後に尼崎市ホームページ等で公表します。
審査会当日
会議は原則公開です。ただし、法人又は個人の権利等を害したり、個人情報に及ぶ事項を審議する場合は非公開です。(参照 審査会傍聴取扱要領)
4 審査会で使用する資料等
資料等は、審査会の5営業日前までに、制度所管課に提出してください。 提案書(様式第1号)(団体等の資料を含む)
提案内容詳細(様式第2号)
協議及び審査結果表(様式第4号)
仕様書案(委託事業の場合)(任意の様式)
その他、提案者及び事業所管課が必要とする資料(様式、形式は不問)
5 審査項目
左表の各項目は、細分化されることがあります。配点は、各項目の基準点に加え、提案内容に応じた追加配点項目(書類審査時に決定)から成ります。
6 審査結果と予算要求(職員向け)
委託事業
・採択された実施内容に基づき、別途事業所管課から予算要求を行います
・庁内推進会議において政策調整を要する旨の判断がされたものは、予算編成方針に基づき、必要な事務を行います
・審査会の決定は、市として提案内容の実施を検討する上で尊重します。
(ただし、審査会の決定がそのまま市の決定になるのではありません)
※「附属機関」は、行政執行の前提として必要な審査(特定の事項について判定ないし結論を導き出すために、その内容をよく調べること)等を行うものであるため。
協働事業
・事業費(補助金等)は制度所管課が予算要求します
・実施内容、経費とも、審査会で採択された内容で交付事務を進めます
x x
拡 充 改 革
意思決定(査定)
総合政策局
三役
予算要求
資産統括局
定数要求
三役
要
要求書等
※
政庁
策内
調
整推
尊重
決 審定 査に 会な の
る 決
の
定
要進
否
不要
の会
決議
定
で がは そな のい ま
ま
市の
庁外
本審査
書類審査
提案調書
庁内
市民提案制度
総務局
三役
予算編成
1月
12月
11月
10月
9月
協議③
審査会資料の確認
予算編成方針
)
政策調整の要否
(
)
(
)
(
予算要求と市民提案制度との関係(予算編成スケジュールは令和元年度を参考とした)
採択後の流れ
採択後、契約等の締結から事業完了までの流れは次のとおりです。
1 講習会の受講
・提案を行った年度内に、事業内容や官民の協働、持続可能な団体運営等について、外部講師による講習を行います
・対象は、採択された提案者及び事業所管課に限らず、今後提案を考える団体など、誰でも受講が可能です
2 契約等の締結、経費の支払い等
・委託事業、協働事業における契約形態等は下表のとおりです
・契約等の締結時に、事業完了後に行う振り返りの際の評価項目等についても協議し、あらかじめ決定しておきます(様式第9号)
委託事業 | 協働事業 | |
契約等の形態 | 委託契約または協働契約・委 託型 | 協働契約・補助金型または 協働契約・負担金型 |
契約等の期間 | 単年度 | 単年度 |
更 新 | 原則最大3年間随意契約可 ※評価結果によってはこの限りではありません | 3年間を限度に実施年度末に審査会で継続可否を審査 |
経費の支払い | 契約内容による | 請求後15日以内に概算払 い(様式第7号) |
3年後の取り扱い | 本制度による再提案不可 ⇒プロポーザル等により引き続き委託化することや、市が再び直接実施することなどが考えられます | 本制度による再提案不可 ⇒取組結果や市の状況等を踏まえて、事業所管課にて予算化を行うことや、予算化には至らないものの、引き続き連携等を行うなどが考えられます |
3 協働事業の実施内容を変更するとき
事業内容を変更する場合には制度所管課への申請が必要です。(様式第8号)
4 協働事業の経費の精算について
実施結果報告書(様式第9号)を提出後、市が補助金等の額を確定させ、通知します(様式第10号)。確定額が交付済みの額より少ない場合(補助金等が余る場合)には、精算(補助金等の返還)が必要です。
5 相互自己評価の実施
事業完了後、事業成果及び協働の成果についての振り返りを、次の流れで行います。
提案者
契約等の締結時
事業所管課
制度所管課
協議の場に同席
評価項目の確認
・様式第9号をもとに、各評価項目の確認及び事業ごとに定める評価項目について協議し、決定します
・どうすればその評価指標を測定できるかなどについても協議を行います
事業実施段階
適宜進捗確認等(必要に応じて制度所管課も協議等に加わります)
協議の場に同席
事業完了後
評価
【協働事業】
・実施年度末頃に審査会に報告します(未了の事業は進捗状況を報告)
・翌年度に引き続き実施を希望する場合は審査を行います(提案者と所管課の合意が必要)
【委託事業、協働事業共通】
・事業完了・収支確定の後、様式第9号に沿って事前に各々が自己評価を行います
・結果を持ち寄り、評価結果に違いがあった項目を中心に協議します
・協議内容を中心に、総合評価欄に記載します
・率直な意見交換を行い、良好なパートナーシップの形成に努めてください
評価結果の公表
なお、旧提案型事業委託制度及び旧提案型協働事業制度において採択された事業については、令和2年度実施分の評価まで旧来のモニタリング評価を実施し、令和3年度実施分の評価からは本制度の評価様式を用いて振り返りを行うこととします。
Ⅲ 協働契約活用ガイド
本市では、これまでみてきた「市民提案制度」を活用したものを含め、 様々な協働の取組が行われています。そうした取組の実施段階において良好なパートナーシップを築き、協働の相乗効果を一層高めていくためには、互いのルール等についての相互理解や、対等な関係性の確保などが重要です。
しかし、とりわけ委託契約においては、契約の特性上、こうした観点が希薄であることや、実態として協働関係にあってもその根拠が契約上謳われていないといったことがありました。
「協働契約」は、相互理解や対等な関係性、役割分担等を契約上で明らかにすることで、互いに協働しやすい環境をつくっていくためのものです。
1 協働契約の概要
協働契約とは
協働は、それ自体が目的ではなく、協働の相乗効果によって事業効果の向上を図り、地域課題や社会課題の解決につなげていくためのものです。立場や特性の異なる多様な主体が、より良いパートナーシップを築き、
協働の相乗効果を得るためには、「協働を進める上での原則」を意識していくことが重要です。
協働契約は、この原則を盛り込んだ契約書のひな形を設置し、個別の事業や取組等において活用することで、互いに協働しやすい環境を作り出 し、より良い協働の確保を図る中で、事業効果の向上、地域や社会課題の解決を目指すものです。
協働を進める上での原則と、協働契約上での体現
協働を進める上での原則
(きょうDO ガイドライン)目的や課題の共有
対等な関係の確保相互理解
自発性と自主性の尊重
協働契約上での体現
対等な関係性、相互理解・尊重
互いの尊重、対等な立場、良好なパートナーシップの形成・保持等を規定
目的・課題の共有
具体的な事業目的及びその共有を明記
役割分担
仕様書等に役割分担を明記
自己変革の需要 透明性と情報公開検証と評価
権利・権限・責任
成果物に係る権利を受託者にも帰属させることができるなど
検証・評価
事業成果及び協働の観点での評価、相互自己評価の実施、評価結果の公開
協働契約の類型
協働契約には、「委託型」「補助金型」「負担金型」の種類があり、それぞれ下表のように運用します。
協働契約の類型 | 運用方法 |
協働契約・委託型 | 〇〇業務の委託に係る協働契約書(委託型) 〇〇業務委託契約書 + 〇〇業務の協働実施に係る協定書(又は覚書等) |
協働契約・補助金型 | 〇〇補助金交付決定通知 + 〇〇事業の実施に係る協働契約書(補助金型) |
協働契約・負担金型 | 〇〇負担金交付決定通知 + 〇〇事業の実施に係る協働契約書(負担金型) |
※委託型では、協働契約を導入しようとする時期や、市と相手方との状況に応じて二種類の運用に分かれます。(詳細は後述します)
2 協働契約と通常の契約との違い
委託契約では、協働契約と通常の契約との違いが特に顕著です。
通常の委託契約は、あらかじめ市が詳細な仕様を定め、受託者の責任で実施することが一般的であり、市民ニーズが多様で実施しながら改善を要するような、柔軟性や即応性が求められる事業に対応しにくい現状があります。これに対して協働契約は、目的や目標の共有、対等な立場、適切な役割分 担等のもと、互いの強みを生かし合いながら、柔軟な事業実施が可能です。
(次ページ)
「協働契約・委託型」と通常の委託契約との比較
通常の委託契約 協働契約・委託型 | ||
仕様 | 市が作成 | 市が作成 |
実施主体 | 受託者が実施 | 受託者と市が役割分担し実施 |
実施内容・ 手法 | 市があらかじめ詳細を指定 | 市があらかじめ大枠を設定、詳細は双方が協議して決定 |
メリット | ・定型的な業務には適 ・責任の所在が明確 ・経費節減効果を期待できる | ・協働の相乗効果の期待大 ・実施中の改善が容易で、即応性、柔軟性がある ・成果物等の権利を受託者に 帰属させることができ、担い手の成長につながる |
デメリット | ・協働の相乗効果の期待小 ・実施中の改善が困難で、即応性、柔軟性に乏しい ・成果物等の権利が受託者に なく、担い手の成長につながりにくい | ・定型的な業務には不向き ・受託者との協議は増加傾向 ・経費節減効果は薄まる |
参考 協働契約と協働の領域(協働のまちづくりの基本方向(改訂版)をもとに加筆)
団体等の領域
協働の領域
行政の領域
A B C
団体等の責任 団体等の主体 団体等と行政と主体性によ 性のもと、行 がそれぞれのって独自に実 政の協力によ 主体性のもと
施 って実施 協力して実施
D
行政の主体性のもと、団体等の協力等を
得ながら実施
E
行政の責任と主体性によっ
て独自に実施
後 援
共 催
指定管理
補 助
実行委員会
委託一般
協働契約
委託型
補助金型・負担金型
3 協働契約を活用する場面
協働契約は、特に次のような場面で効果的です。
1 役割分担するなど、協働して事業等を行うことが効果的なとき |
・相手方が行政の強みや資源を活用しながら実施することで、事業効果が向上すると考えられるとき(役割分担の明確化)※ ・既に実態として役割分担等の協働をしているが、その根拠が明確で ない場合(協働の根拠づけ) |
2 取組の詳細を互いに協議しながら決定する必要があるとき |
・協働契約では、互いの対等な立場に立脚し、協議によって様々なことを決定する ・仕様書等で達成目標や実施内容の大枠を定め、手段の詳細を実施前 や実施中に検討するような、即応性、柔軟性のある事業実施が可能 |
3 団体等の自発的な取組や、新たな公共の担い手の増加を促進するとき |
・成果物等の権利を受託者にも帰属させる場合は、相手方の実績や経験をその後の事業展開に活用でき、民間レベルでの自発的な取組の 促進や、新たな公共の担い手となることにつながる |
※委託契約の場合、通常の委託契約と同様、いわゆる「偽装請負」とならないため注意が必要です。詳細は厚生労働省『労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド』を参照してください。なお、協働契約であることが理由で、偽装請負のリスクが高まるものではありません。
協働の取組が特に有効な分野(参考:横浜市『AMPERSAND 協働実践』)
1 当事者性を重視したきめ細かい対応が必要な分野 |
子育て支援、青少年の育成、高齢介護、健康づくり など |
2 地域社会の主体的な取組が必要な分野 |
防災・防犯、環境対策、地域活動 など |
3 専門性が求められる分野 |
芸術・文化、人権、多文化共生、地域団体等への中間支援 など |
4 地域全体の合意形成が必要な分野 |
地域のルールや計画づくり など |
5 参加者の自己実現、コミュニティ形成に関する分野 |
生涯学習、地域スポーツなど |
次の分野では、協働の取組が有効な事案が多いと考えられ、協働契約の活用可能性があります。
4 協働の取組等の構築及び相手方選定過程について
協働契約の締結に拘わらず、協働の取組等においては、ヒアリング等によって民間のアイデアを取り入れながら構想検討、事業手法・公募条件等を検討することが有効です。この点では、PPP/PFI の手法が参考となります。
民間アイデアを取り入れた事業構築のフロー例
発案
構想検討
事業化検討
基本計画策定 募集要項検討
事業発案時の対話・団体等からの提案
事業手法検討
目的 ・現行事業の問題点の解決手法の検討
・新規事業内容の検討
・検討する施策等の実現可能性等
対象 ・独自のノウハウやスキルを持つ団体等
事業者選定
募集開始事業者決定
募集要件検討時の対話
目的 ・団体等の応募意向の把握
・応募しやすい募集条件の把握等
事業実施
詳細協議・契約事業実施・評価
参考
平成 28 年 10 月 内閣府、総務省、国土交通省
『PPP 事業における官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド』
ヒアリングの際は、建設的な議論とすることや、公平性の確保等を図るため、次のポイントに留意してください。(尼崎市コンプライアンス推進委員 会『信頼される公務員であるために(別冊)業者対応編』も確認のこと)
市の基本的な方針や解決すべき課題、事業背景や目的を明確に伝える |
解決すべき課題を明確に伝える(提案を受けて新たに施策等を検討する場 合はその旨を伝え、自由度の高い提案につなげる) |
インセンティブの設定 |
ヒアリングの受け手のメリットを意識し、主体的に提案できるようにする ・間接的メリット 事業検討段階で情報を得られることなど ・直接的メリット 加点項目の設定、一者随意契約など ※公平性の確保に十分留意することが必要です |
団体等のノウハウの保護 |
提案を受けた内容や独自のノウハウの保護には十分留意する |
公平性・透明性の確保 |
ヒアリングを実施した団体等のみが有利にならないよう配慮する |
参考 令和元年 10 月 国土交通省総合政策局『地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き』
5 協働契約に特徴的な条項の内容
協働契約の締結を検討する場合は、委託型、補助金型、負担金型、協定書の各ひな形を活用して募集事務及び契約事務を進めることになります。ここでは、特徴的な条項の内容について説明します。(条文は委託型のもの)
対等な関係性、相互理解・尊重
委託 補・負
§1 Ⅰ §1 Ⅰ
§1 Ⅱ §1 Ⅱ
必須項目
「委託者と受託者が、お互いを尊重し、対等な立場に立って、適切な役割及び責任の分担の下で連携する」
「対話を重ねること及び合意に向けて努力を積み重ねることを基本とし、互いに依存や癒着等の関係に陥ることなく、良好なパートナーシップの形成及び保持に努める」
・協働契約全体を貫く考え方を規定する項目
・相手方との良好なパートナーシップは協働の基礎
目的及び課題の共有
委託 補・負
§1 Ⅰ §1 Ⅰ 「~目的及び課題を共有する~」
§2 §2
必須項目
「委託者及び受託者は、○○○○○○○○○という事業目的を共有する」
・協働状態を継続しながら取組を行っていくために重要な項目
・事業の目的、課題、求める成果の範囲などの共通認識を強く持つ
役割分担
委託 補・負
§8 Ⅰ §4 Ⅰ
§8 Ⅱ §4 Ⅱ
§8 Ⅲ §4 Ⅲ
「委託者及び受託者は、それぞれ別途定める役割を分担し、その役割について、それぞれの責任で行う」
「事業実施途中に新たに役割が生じた場合は、委託者及び受託者が協議の上、その役割の必要性を共有し、分担して行うものとし、必要に応じて別途定める」
「役割は、互いにその必要性を共有し、適宜その内容及び実施状況について互いに確認し、必要に応じて補い合い、質の高い成果を得られるよう努める」
必須項目
・役割分担の明確化により、責任の所在が明確になり、主体性の向上につながる
・「役割分担」とは「その役割だけを行えばよい」のではなく、互いに実施状況に気を配り、補い、助言し合いながら事業効果を高めていくもの
・委託型は仕様書上で、補助金型及び負担金型は契約書上で定める
ひな形を基に事業内容や特性等に応じて適宜加筆・変更して契約書を作成することを想定していますが、協働契約として必須の条項がありますので留意してください。(必須とする条項については、原則としてひな形の文言をそのまま使用してください)
権利・権限
委託 補・負
§5 の
§5
2
任意項目
「受託者は、委託業務の内容に成果物の作成が含まれる場合においては、その成果物(中略)に係る知的財産権(中略)について、委託者及び 受託者が協議して別に定める場合を除き、当該成果物の引渡し時に委託者に無償で譲渡する。」(ほか、同条各項及び第 12 条の2)
・協働契約の趣旨上、成果物の権利は、原則、委託者と受託者の双方に帰属する旨を別途定めることを想定
・民間レベルでの自発的な取組や、新たな公共の担い手の創出につながる
・受託者への権利の帰属が困難な場合は、使用の権利を認めるなどによって協働契約の趣旨が達成できないかを検討する(「双方への帰属」が全く馴染まない事案も考えられるため、任意項目とする)
検証・評価
委託 補・負
§20
Ⅳ
「委託者及び受託者は、第1条第1項及び第2項並びに第9条第1項及び第2項に掲げる趣旨を踏まえ、委託者と受託者の相互理解の促進
§8
及び事業目標の達成度等について、別途定める事業評価を行うことと
する」
必須項目(補助金等の交付要綱等で同等の評価の実施を規定している場合は省略可)
・事業実施に活かすとともに、公平性、透明性の確保の上で必要な項目
・事業成果の評価に加え、実施過程における協働の状況を振り返る
・相互自己評価の上、結果に基づき協議を実施(詳細は後述)
その他
委託 補・負
§10
Ⅲ
「受託者が、委託事業の効果等を向上させる目的において、委託事業と合わせて、自己の責任及び費用負担等によって実施する事業(以下
―
「自主事業」という。)を実施することについては、委託事業の実施に
差し支えのない範囲において、これを妨げない」
任意項目(補助金型、負担金型はなし)
・受託者の自主性を尊重し、今後の市の事業内容に活かすための項目
・行政はあらかじめ決められた予算等の範囲で事業を行うが、受託者の自主的な取組を委託事業と連携して行ったとき、課題解決が進むことが考えられる
・行政が即座に事業化できない場合でも、自主事業として行うことを容認するもの
6 協働契約を締結する上での諸注意
権利及び責任関係
ア 通常の契約と比較して新たに発生する権利及び責任
協働契約では、対等な関係性の確保や役割分担の明確化により、下表のとおり市及び受託者それぞれに新たな権利や責任が発生します。(表は委託型)(新たに追加:●、従前のとおり:〇)
項目 | 市 | 受託者 |
業務の履行責任(§1 Ⅳ) | ● | ○ |
市が担う役割についての履行責任が発生します | ||
機密保持義務(§1 Ⅵ) | ● | ○ |
対等な関係性の確保に基づき、市も義務を負うこととします | ||
業務計画表の作成義務(協働作成)(§4 Ⅰ) | ● | ○ |
業務計画表は、市と受託者が協働で作成します | ||
業務計画表の変更権限(§4 Ⅱ) | ○ | ● |
業務計画表は、双方が協議の上で変更することができます | ||
成果、権利の帰属(§5 の 2) | ○ | ● |
対等な関係性の確保に基づき、原則として両者に帰属する旨を別途定めることを想定しています。ただし、事案によっては馴染まないものがあるため、任意項目としています。 | ||
調査及び報告要請権限(§6) | ○ | ● |
市が担う役割に対する受託者の権限が認められます | ||
委託業務内容の変更権限(§11 Ⅴ) | ○ | △ |
協働契約の趣旨からは受託者にも権限が付与されるべきですが、公的事業の安定的な実施に鑑みて、次のとおり規定します。 ・受託者は変更を申し出ることできること ・申し出があった場合は双方で協議を行うこと ・委託者は誠実に検討すること ・委託者は協議の日から 7 日以内に書面で回答すること(日数は変更可) | ||
履行期限の延長の要請に係る権利(§12) | ● | ○ |
市が担う役割についての権利が認められます | ||
契約の解除権(委託者§14,16,受託者§17) | ○ | ○※ |
受託者の解除権について、市が担う役割の不履行等を理由とし たものを追加しています | ||
事業成果及び協働に係る評価の実施義務(§20 Ⅴ,Ⅵ) | ● | ● |
市及び受託者ともに新たに設定 |
イ 役割分担と責任について
有事の際に第三者に負うべき責任については、協働により市の役割が強まる分、市が責任を負う可能性は増えていきます。お互いのために、役割分担の協議は丁寧に行う必要があります。
また、互いに履行責任が発生することから、役割の細部までしっかりと記載しておく必要があります。初めから細部まで規定することが難しい場合は、随時覚書等の書面で合意記録を残しておくと良いでしょう。
「対等な関係性」には責任も含まれます。受託者も、必要に応じて、保険の活用等を視野に入れてください。
実施段階において常に十分なコミュニケーションを確保することも重要となります。
ウ 成果品等の権利の帰属について
権利を相手方にも帰属させる場合には、その権利の種類に応じて慎重な検討が必要です。特に次の点を踏まえて是非を検討し、仕様書等で定めてください。また、契約書ひな形の他の条項と矛盾がないよう、留意してください。
・成果品等の権利の全部なのか、一部なのか
・成果品等の権利を受託者が取得することが、事業目的に資するか
・成果品等の権利を受託者が利用する際のルールの要否
・相手方が契約期間後に法令違反等を行った際の権利等の取り扱い
※あらかじめ定めることが困難な場合には、一旦市に帰属させ、契約期間満了までに協議の上で定める運用も可能です
相手方の選定及び締結する時期について
協働契約の締結を検討する場合は、役割分担の設定や権利の帰属など、相手方の業務実施体制や事業費など、プロポーザル等に影響する事項があります。そのため、募集資料上にこうした事項を明記し、提案者がこれらを考慮した事業提案を行えるようにする必要があります。
また、プロポーザル等によって選定した相手方と通常の委託契約を締結した後、随意契約期間中に協働契約に変更することは、業者選定時の公平性を損なうことにつながる場合があります。そのため、協働契約は、その締結を前提として選定した相手方と締結ことが望ましいと言えます。
通常の協定と協働契約の要素を含む協定の締結について
通常の委託契約書に協働契約の要素を含む協定を締結することによっても、協働契約として取り扱うことができます。これは、上記の相手方の選定を待たずに導入する場合や、試行的に導入する場合などに有効です。このとき、協定の内容が業者選定における公平性を損ねない程度であり、かつ、協働契約の必須項目を可能な限り確保するなど、その趣旨を逸脱しないものとなるよう、留意してください。
7 検証・評価
協働の取組を行う上では、協働によって事業成果がどのようになったのかはもちろん、良好なパートナーシップを築けたかなどの協働内容そのものの振り返りを行い、事業内容や協働関係のあり方について継続的に改善を加えていく必要があります。また、こうした評価結果を公表することによって、透明性を確保することも重要です。
協働側面の評価
・互いに自己評価を行い、結果を持ち寄って、齟齬のあった箇所について意見交換を行います
・「評価」が目的とせず、相互理解を図り、良好なパートナーシ
ップを形成するためのツールとしてください
相互自己評価
契約締結時に双方で協議を行い、協働する上で互いが意識する
ことが必要と考える項目を任意で設定することができます
協働契約では、「事業実施結果報告書」を基本にしながら振り返りを行い、結果を市のホームページで公表します。(例示は委託事業)
結果の共有や協議を行うときは、率直な意見交換を行うことが重要です。意見の違いがあったときは、互いに尊重し合いながらそれぞれの考えをしっかりと伝えることで、パートナーシップが深まります。
必要に応じて、制度所管課や仲介役を務められる団体等を協議の場への出席を依頼することも効果的です。
事業効果の評価
・互いに納得感の高い振り返りができるよう、事業実施前を目途に事業成果を測る指標を合意の上で決定します
・指標を測ることができるよう、データの集め方等についても協議しておきます
市民提案制度・協働契約活用ガイド(第一版)令和2年4月1日
尼崎市総合政策局協働部協働推進課 TEL 06-6489-6153 FAX 06-6489-6173
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