Contract
はじめに
中⼩企業向けのリース契約に関する経営者保証ガイドライン
2019 年 5 ⽉ 28 ⽇公益社団法⼈リース事業協会
xx投資戦略 2018(2018 年 6 ⽉ 15 ⽇閣議決定)において、中⼩企業・⼩規模事業者の⽣産性⾰命の更なる強化の⼀環として、「中⼩企業向けリース契約における経営者保証の実態につい て、本年度中(補注︓2018 年度)に調査を実施する。当該調査結果を踏まえ、同契約時の経営者保証に係るガイドラインの策定や業界の取組状況の「⾒える化」等を検討する。」ことが盛り込まれた。
当協会は、xx投資戦略 2018 を受けて、中⼩企業向けのリース契約の経営者保証の実態等を調査するとともに、「中⼩企業向けのリース契約の保証等に関する検討会」(以下、「検討会」という。)を設置し、xxな第三者である学識経験者等の参画を得て、「中⼩企業向けのリース契約に関する経営者保証ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)を策定し、公表することとした。
リース取引は、中⼩企業・⼩規模事業者にとって重要な設備投資⽅法として位置づけられているなか、当協会の会員会社(以下、「会員会社」という。)は、このガイドラインによる取組を通じて、中⼩企業・⼩規模事業者向けのリース契約に係る不必要な経営者保証の更なる削減を⽬指し、中⼩企業・⼩規模事業者の⽣産性向上に向けた設備投資に更に貢献することが期待される。
ガイドラインは、「経営者保証に関するガイドライン」(2013 年 12 ⽉)を参考としつつ、中⼩企業向けのリース契約に係る保証の実態を前提として策定したものである。今後、経済環境等の変化により、これらの実態に変化があれば、ガイドラインを⾒直すことになる。
〈ガイドライン策定の前提〉
• 中⼩企業向けリース契約に係る保証の実態は以下のとおりである。
① 経営者保証を取得しない⽐率は 7 割弱である。
② 経営者保証を取得するケースは、顧客の信⽤度が低いケース及び迅速な契約を希望される「⼩⼝リース契約」において、リース会社が信⽤情報会社等から情報を⼊⼿できないケースである。
③ 経営者以外の第三者から個⼈保証を取得することがほとんどない。
➃ 保証債務を整理する局⾯において、リース会社が主導的な役割を果たすことはほとんどない。
1.ガイドラインの⽬的
ガイドラインは、当協会が、中⼩企業・⼩規模事業者向けのリース契約締結時における経営者保証の削減を⽬指すために、xxな第三者である有識者が加わった検討会において、関係省庁並びに中⼩企業・⼩規模事業者の関係団体(以下、「関係団体」という。)の助⾔を受けて策定したものである。
会員会社は、ガイドラインによる取組を通じて、経営者保証の削減を⽬指すとともに、中⼩企業・⼩規模事業者の⽣産性向上に向けた設備投資に貢献し、もって我が国経済の発展に資することを⽬的とする。
2.ガイドラインの位置づけと関係者の役割
ガイドラインは、当協会が⾃主的に制定するものであり、法的拘束⼒はないが、会員会社は、ガイドラインを⾃発的に尊重し遵守することが期待される。
当協会は、会員会社に対するガイドラインの周知徹底、会員会社におけるガイドラインの活⽤状況の調査(年 1 回)、ガイドライン及びその活⽤状況の調査結果を広報する。
当協会は、関係省庁及び関係団体に対して、ガイドラインの策定及びその活⽤状況に対して助
⾔を求めるとともに、当協会が⾏うガイドラインの広報活動に協⼒を求めるものとする。
3.ガイドラインの適⽤対象となり得る保証契約
「経営者保証に関するガイドライン」(2013 年 12 ⽉)に準じて、以下の 1)から 4)までの要件を全て充⾜するものとする。
1)中⼩企業・⼩規模事業者と会員会社の間で締結するリース契約(ファイナンス・リース契約及びオペレーティング・リース契約を意味する。以下同じ。)に係る保証契約であること。
2)当該保証契約の保証⼈が個⼈であり、かつ、中⼩企業・⼩規模事業者の経営者であること。ただし、以下に定める特別の事情がある場合⼜はこれに準じる場合については、このガイドラインの適⽤対象に含める。
①実質的な経営権を有している者、営業許可名義⼈⼜は経営者の配偶者(当該経営者と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が保証⼈となる場合
②経営者の健康上の理由のため、事業承継予定者が保証⼈となる場合
3)中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈の双⽅が弁済について誠実であり、会員会社の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開⽰していること
4)主たる債務者及び保証⼈が反社会的勢⼒ではなく、そのおそれもないこと
4.経営者保証の更なる削減に向けた取組
(1)⼀般リース契約 注)⼩⼝リース契約以外のリース契約を意味する。
会員会社は、中⼩企業・⼩規模事業者向けのリース契約に係る不必要な経営者保証の削減に向けた取組として、以下の対応に努める。
1)法⼈個⼈の⼀体性の解消等が図られている、あるいは、解消等を図ろうとしている中⼩企業・⼩規模事業者がリース契約の申込をした場合において、以下の①から➃までの要件を将来に亘って充⾜すると⾒込まれるときは、当該中⼩企業・⼩規模事業者の経営状況、リース料の回収可能性等を総合的に判断する中で、経営者保証を求めない可能性について、当該中⼩企業・⼩規模事業者の意向も踏まえた上で、検討する。
①法⼈と経営者個⼈の資産・経理が明確に分離されている。
②法⼈と経営者の間の資⾦のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない。
③法⼈のみの資産・収益⼒でリース料返済が可能と判断し得る。
➃法⼈から適時適切に財務情報等が提供されている。
2)経営者保証を取得する場合は、リース契約及び保証契約を締結する際に、以下の点について、中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈に対して、できる限り、丁寧かつ具体的に説明する。
①保証契約の必要性
②経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の変更・解除等の⾒直しの可能性があること
3)中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈から保証契約の締結に際して保証⾦額の減額に関する要請があった場合は、この要請を検討する。
(2)⼩⼝リース契約 注)中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈と⾮対⾯かつ売主経由でリース契約の申込が⾏われるもの
⼩⼝リース契約においては、経営者保証を取得することにより、取引の迅速性が確保されることを踏まえ、⼀定の条件(注)を付した上で、⼩⼝リース契約に上記(1)を適⽤する。
(注)⼀定の条件は法制委員会が定める。
⼩⼝リース契約の申込に際して、中⼩企業・⼩規模事業者から経営者保証を提供しない旨の意思が⽰された場合は、それに従い審査を⾏う。当該中⼩企業・⼩規模事業者に対して経営者保証の必要性を説明した後においても、当該中⼩企業・⼩規模事業者が経営者保証を提供しないことを希望した場合は、その希望を受けて審査を⾏う。
5.既存のリース契約に係る保証契約
既存のリース契約に係る保証契約について、中⼩企業・⼩規模事業者において経営の改善が図られたこと等により、当該中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈から既存の保証契約の解除等の申
⼊れがあった場合は、会員会社は、申⼊れの内容に応じて、改めて、経営者保証の必要性について、真摯かつ柔軟に検討を⾏うとともに、その検討結果について当該中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈に対して丁寧かつ具体的に説明することに努める。
事業承継が⽣じた場合、前経営者が負担する保証債務について、後継者に当然に引き継がせるのではなく、必要な情報開⽰を得た上で、保証契約の必要性等について改めて検討するととも に、その結果、後継者との間で保証契約を締結する場合には、保証契約の必要性等について当該中⼩企業・⼩規模事業者及び後継者に対して丁寧かつ具体的に説明することに努める。また、前経営者から保証契約の解除を求められた場合には、前経営者が引き続き実質的な経営権・⽀配権を有しているか否か等を総合的に勘案しつつ、保証契約の解除について適切に判断する。
6.保証債務の整理
保証債務の整理に際しては、中⼩企業・⼩規模事業者及び保証⼈からリース契約の保証に関する要望がある場合は、会員会社はその要望を検討する。また、他の債権者から保証債務の整理に関する協議を求められた場合は、それに参加することに努める。
7.適⽤時期等
ガイドラインは、2020 年 1 ⽉ 1 ⽇から適⽤し、会員会社のガイドラインの活⽤状況の調査は、2019 年度分から実施する。
ガイドラインの改正は、関係者の意⾒を聴取したうえで、法制委員会で審議し、理事会の決議を経て⾏うものとする。また、ガイドラインの運⽤に関する Q&A 等の詳細は、法制委員会が別に定める。
以上
中⼩企業向けのリース契約の保証等に関する検討会委員・オブザーバー名簿
(2019 年 5 ⽉ 28 ⽇現在)
委 | 員 | ⼭⽥ | 周⼀ | 法制委員会委員⻑ (芙蓉総合リース法務コンプライアンス部⻑) | |||
委 | 員 | xx | x | 法制委員会副委員⻑(オリックス営業法務部担当部⻑) | |||
委 | 員 | xx | xx | 法制委員会副委員⻑(興銀リース管理部法務室⻑) | |||
委 | 員 | xx | xx | 法制委員会副委員⻑(東京センチュリー法務部⻑) | |||
委 | 員 | ⼀x | xx | 法制委員会副委員⻑(⽇⽴キャピタル法務部⻑) | |||
委 | 員 | x | xx | 法制委員会副委員⻑(三菱 UFJ リース執⾏役員法務コンプライアンス部⻑) | |||
臨時委員 | xx | xx | 早稲⽥⼤学商学学術院 | xxx | |||
臨時委員 | xx | xx | ⻄xxxx法律事務所 | 弁護⼠ | |||
オブザーバー | 経済産業省消費経済企画x | ||||||
x⼩企業庁⾦融課 | |||||||
⽇本商⼯会議所 | 鎌⽥ | xx | x⼩企業振興部xx調査役 | ||||
全国商⼯会連合会 | xx | xx | 企業⽀援部企業環境整備課⻑ | ||||
全国中⼩企業団体中央会 | xx | xx | 政策推進部副部⻑ | ||||
全国商店街振興組合連合会 | ⻑x | x⾂ | 企画⽀援部次⻑ | ||||
⽇本⾃動⾞リース協会連合会 | xx | xx | 副事務局⻑ |
参考資料︓中⼩企業向けのリース契約の経営者保証の実態調査結果
■調査対象︓会員会社 239 社(うち回答会社数 218 社 回答率 91%)
■調査期間︓2018 年 8 ⽉〜9 ⽉
2017 年度の新規リース契約件数 | |||
⼩⼝以外 | ⼩⼝ | ||
① 経営者個⼈の保証無しで締結した中⼩企業向けリース契約件数 | 85.8 万件 | 44.2 万件 | 41.6 万件 |
② 中⼩企業向けリース契約件数 | 125.4 万件 | 53.7 万件 | 71.7 万件 |
①/② 無保証⽐❹ | 68.4% | 82.2% | 58.0% |
*中⼩企業︓「資本⾦ 1 億円以下の法⼈」または「個⼈事業者」経営者︓中⼩企業の代表者
リース契約︓「所有権移転外ファイナンス・リース契約」及び「オペレーティング・リース契約」
⼩⼝リース︓リース会社とサプライヤー(販売店)との間の業務提携により、サプライヤーの顧客を、リース会社に斡旋するとともに、当該サプライヤーがリース取引の申込みに係る事務⼿続きを
⾏うリース契約