Contract
[事案 27-6] がん給付金支払請求
・平成 27 年 10 月 9 日 和解成立
<事案の概要>
がんの診断を受けたのは責任開始日以降であることを理由に、給付金の支払いを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成 26 年 5 月に契約したがん保険について、以下の理由により、給付金を支払ってほしい。
(1)病院でがんと診断を受けた日は同年 8 月 26 日であり、責任開始日以降である。
(2)病院の医師も、診断確定日は同年 8 月 26 日と言っている。
(3)保険会社のサービスセンターへ「診断確定日とは具体的にどういうことを指すのか」を問い合わせた際に、担当者から「医師から直接がんと告げられた日」との回答を受けている。 (4)保険会社では、病理医が検査結果を出した日を診断確定日としているが、サービスセンタ
ーの説明と異なる。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)がん保険の約款上、「被保険者が告知前または告知の時から保険契約の責任開始期の前日までにがんと診断確定されていた場合は、保険契約者、被保険者または給付金の受取人の、その事実の知、不知にかかわらず保険契約は無効とします。」と定めており、また、「診断確定」は、「病理組織学的所見により日本の医師の資格を持つものによってなされることを要します。」と定めている。
(2)申立人は、責任開始日(平成 26 年 8 月 26 日)以前の同年 8 月 5 日に病理組織学的検査を
受け、同月 8 日に病理検査機関の診断医によって、申立人の主治医に、がんであるとの検査結果報告が書面でなされており、これが本件約款に定める「診断確定」である。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、本件は診断確定日が争点となっており、医師の立場からの見解も把握するため、独自に第三者の医師の意見書を入手して審理の参考にした。
2.裁定結果
上記手続の結果、給付金の支払いは認られないが、保険会社のサービスセンターの担当者に よる誤回答がなされており、この事実は給付金の支払いの判断に影響を与えるものではないが、保険会社は、契約者や被保険者からの照会には正しく回答することが期待されてしかるべきで あり、この誤回答が紛争の契機となったことは否めないことから、本件は和解により解決を図 るのが相当であると判断し、業務規程第 34 条 1 項にもとづき、和解案を当事者双方に提示し、 その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。
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