中戸 康文 Nakato Yasufumi 一般財団法人不動産適正取引推進機構 調査研究部上席研究員不動産適正取引推進機構では、不動産取引に関する紛争事例や行 政処分事例等の調査研究を行っており、それらの成果を機関誌『RETIO』やウェブサイトにて情報提供している https://www.retio.or.jp/
第 3 回
中古住宅を
買うとき
売るとき
媒介契約の締結・現地視察
xx xx Xxxxxx Yasufumi 一般財団法人不動産適正取引推進機構 調査研究部上席研究員不動産適正取引推進機構では、不動産取引に関する紛争事例や行政処分事例等の調査研究を行っており、それらの成果を機関誌『RETIO』やウェブサイトにて情報提供している xxxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/
媒介契約を締結するときは
(1)xx業者の選び方
不動産取引に失敗しないためには、信頼できる宅地建物取引業者(以下、xx業者)に、媒介を依頼することが重要です。
xxxしゅ
法令を遵守してxx業者としての義務を果た
しているか、取引上トラブルを起こしていないか、経歴はどうかなどを調べて、それらの結果を総合して判断してください。
◦xx業者名簿の閲覧について
不動産広告などの事業者表示(図1)の情報をもとに、免許権者の行政庁担当課にて、xx業者名簿等を閲覧できます。
図1
事業者表示の見方
①
免許番号 xxx知事(3)第〇号
〇〇不動産株式会社
xxx〇〇区〇〇〇丁目〇番〇号 電話番号 〇〇︲〇〇︲〇〇
扌
②
扌
③
扌
①xx業者の免許権者が表示されています。
②新規免許は(1)で、5 年(1996 年3 月以前は3 年)の免許更新ごとに数字が増えていきます。
③免許番号が表示されています。
〈閲覧のポイントと留意点〉
・行政処分履歴:
過去5 年以内に行政処分を受けたxx業者については、処分の記録を確認できます。
・過去の営業成績:
免許を更新していれば、更新前5 年間の取引件数や金額が分かります。
・商号・代表者・役員・事務所の所在地等:
度々変更があるときは注意が必要です。
・専任の宅地建物取引士:
出入りの頻度が多いときは注意が必要です。
・資産状況等:
資本金・財務内容などが分かります。
国土交通省や一部の行政庁では、インターネットでもxx業者の概要や行政処分情報を提供しています。
(2)媒介契約の締結
xx業者は、依頼者と媒介契約を締結したときは、遅滞なく媒介契約書を作成し、依頼者に交付することが義務づけられています。
表
媒介契約には、「専属専任媒介契約「」専任媒介契約「」一般媒介契約」の3 種類があります(表)。
各媒介契約の主な特徴
媒介契約の種別 | ほかの媒介業者への重複依頼の可否 | 自己発見取引* 1 |
専属専任 | 依頼できない | 認められない |
専任 | 認められる | |
一般 | 依頼できる |
購入の媒介を依頼する場合、ほかの媒介業者に重ねて依頼ができる一般媒介契約を締結するのが通常です* 2。媒介契約の締結に際しては、次の点について確認をしましょう。
〈媒介契約書の確認ポイント〉
・国土交通省の「標準媒介契約約款」に基づく媒介契約書か(異なる場合はその内容)
・媒介業務の内容(業務範囲)
・媒介手数料の金額(計算方法)、支払時期
・媒介契約の有効期間、更新、解除方法
* 1 依頼者(または売主)が自分で売主(または買主)を見つけて売買取引をすること
* 2 購入物件が確定もしていないのに、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結ぶことは、購入依頼者の情報探索が限定されることになり適切ではありません
中古住宅の現地調査と確認のポイント
購入検討をする物件が決まりましたら、現地調査を行います。物件について、媒介業者から、いろいろな説明を受けると思いますが、納得のいくまで説明を求め、そのうえで自分の目と足で確かめることが大切です。
(1)周辺環境・物件外観からの調査
「契約を解除したい」という相談の多くが、買主が契約後に知ったとする周辺環境の問題に関するものです。
周辺環境に対するとらえ方 、人それぞれで、個人差があります。周辺環境に関する調査、購入希望者自身が行い判断するものであることに注意してください。
•通常の交通機関を使って行く
自分の足で最寄り駅やバス停を確認しながら、現地に行きましょう。車で 、交通の便や最寄り駅などから現地までの実際の所要時間が分かりません。歩くと、車の中からで 分からないことに気づけますし、商店街のようすや街並みなども確認できます。
•現地には2 回以上行く
現地や周辺の環境(騒音・振動・臭気等) 曜日・時間帯・天候等によっても違います。雨の降る日や平日、夜の時間なども現地に行き、確認をしましょう。
•多くの人と一緒に行く
家族やアドバイスしてくれる人(友人、知人)など、多くの人と一緒に行くと、一人で 気づかないことを発見できる場合があります。
•できれば近所や地元の人にも聞いてみる
その土地に住んでいる人に聞くことができれば、夜間の交通・騒音、商店街の営業時間・評判など、いろいろな情報が得られます。
! 周辺環境・物件外観調査における注意事項調査、売主や周辺住民の迷惑にならないよう、気をつけて行う必要があります。
〈現地でのチェックリスト1〉
(立地・周辺環境)
通勤・通学ルート、所要時間など
日照(方位)、通風(隣接建物など)、騒音、振動、臭気・ばい煙、街並みの状態、高圧線・嫌悪施設など
買い物、学校、ゴミ処理、公園、病院、公共施設、避難所など
■ 生活
■ 交通
■ 環境
(敷地まわり)
幅員、舗装、接道状況、街路の配置・坂・路地・階段、電柱の位置など
隣接地の建物の配置・使用状況、周辺土地の使用状況・建築計画等
地形、地勢、地盤の状況
■ 道路
■ 隣接地等
■ 敷地
*現地には、広告・地図・巻尺・方位磁石・カメラ・メモ用紙などを持っていくと便利です。
*防災情報(土砂災害、洪水・浸水、災害時避難場所等)インターネット等で行政より公開されているハザードマップ* 3 などで確認をしておきます。休日・夜間救急医療などについても、調べておきましょう。
(2)中古住宅の内覧調査
周辺環境・物件外観の調査によって、さらに検討を進める場合、建物の内覧申込みを、媒介業者に依頼します。売主のプライバシーを理由に、建物内部の内覧を断られる場合もありますが、極力建物の外部や敷地内など、売主の許可が得られる範囲について 、内覧をさせてもらうようにします。
! 内覧調査における注意事項
売主等が居住中の物件を見学するとき、住んでいる人に不愉快な思いを与えることがないよう、見学前にあいさつをする、写真撮影 必ず了解を得るなど一般的なルールを守って見学をさせてもらいましょう。
* 3 ウェブ版「国民生活」2020 年6 月号11 ページ参照 xxxxx://xxx.xxxxxxx.xx.xx/xxx/xxx/xxx-000000_00.xxx
図2
〈現地でのチェックリスト2〉
(土地・外構)
不動産購入申込書のー例
構造・高さ・クラック(ひび)など
塀の設置者と設置状況、越境、境界標の有無、車庫の大きさ・使い勝手、
その他構築物の有無と劣化状況
庭木・庭石等の状況と売買対象になるかの確認
■ 庭
■ 擁壁
■ 外構・境界
■ 設備
■ 建物外部
■ 建物内部
基礎や外壁・シーリングのクラック・傷み具 ・補修の状況など
建具・床(傾き)・内装等の状態・雨漏り・シロアリ害の有無など
上下水道・ガス・電気・電話・インターネット設備、風呂・キッチン・トイレ・洗面所の状況(水圧・排水の流れの状況、給湯器・換気扇等の設備の劣化状況)など
(建物)
*売主が過去行った修繕・メンテナンス(屋根・外壁の塗り替え)や設備(給湯器・風呂等)の交換に関する記録は、購入後に必要となるメンテナンスや設備交換の時期・費用等の参考になります。可能であれば、媒介業者に依頼して、売主より情報提供をしてもらいましょう。
不動産の購入申込み
(1)不動産購入申込書の提示
購入したい物件と購入希望条件が決まると、
「不動産購入申込書」(図2)等の書面にて、売主に購入の意思表示を行います。
売主が、購入申込者との売買交渉に応じますと、媒介業者 、売主・買主の間に立って、売買金額や詳細な契約条件等について、交渉を行っていきます。
この交渉において 、購入判断の参考になる売主保有の書類の提示等や、宅地建物取引士による重要事項説明があり、その後、購入申込者において、売買契約を締結するかどうかの最終判断を行うことになります* 4。
(2)申込証拠金の差し入れと返金
不動産購入を申し込む際、優先的に売却検討をしてもらえるよう、購入依頼者の申込み意思
あかし
の証として、申込証拠金(一般的に1 万~ 10 万
円くらいが多い)を、売主や媒介業者に預ける場合があります。
申込証拠金 、売主・媒介業者が一時的に預かる「預り金」ですので、申込証拠金が授受されたとしても、契約が締結されるまで 、購入申込みのキャンセル 自由(売主側も購入希望者の申込みを断ること 自由)で、キャンセルの場合、その全額が返還されることになります。ときどき、申込みのキャンセルに際して、売 主や媒介業者が「申込者が契約の締結を断った
ので返還しない」とか「手付金として没収する」などとして、申込証拠金の返還を拒むケースがみられますが、申込証拠金の預り証等に名目xxxような記載があっても、申込証拠金の法的性格が預り金である以上、それを預かる売主・媒介業者 返金をする義務を負います* 5。
* 4 不動産購入申込書は、単に購入申込みの意思があることを示したものですから、「売主が当該申込みに承諾をしたから、売買契約が成立する」ということにはなりません(買付証明・売渡承諾書の授受をもって、契約成立といえないことについては、第1 回コラムを参照)
* 5 xx業者が預り金の返還を拒む行為は、xx業法47 条の2 違反により行政処分の対象となります。もし、xx業者にそのような行為があった場には、xx業者の免許行政庁に相談をしてみましょう。【参考】困ったときのご相談窓口:(一財)不動産適正取引機構『不動産売買の手引き』
70・71 ページ xxxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/xxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxx0.xxxx#xxxxx00(改訂によりページが変わる場 あり)