Contract
Q
派遣先との労働者派遣契約の打ち切りを理由に、派遣労働者を解雇できますか。
A
1 労働者派遣契約と労働契約
派遣労働者は、労働契約により派遣元と雇用関係にありますが、派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約(以下「派遣契約」という。)に基づき、派遣先の指揮命令を受けることになります。労働契約は派遣契約とは別個の契約ですので、派遣先の都合等による派遣契 約の打ち切りのみを理由に、派遣元が派遣労働者を解雇することはできません。
2 派遣労働者の解雇
派遣労働者の解雇については、無期雇用の場合、一般の労働者の場合と同様に解雇に関 する法理が適用されます。派遣契約の打ち切りだけでは解雇に合理的理由があるとは認められず、権利の濫用として無効とされます(労働契約法16条)。また、他に派遣する会社が見つからないことを理由に派遣労働者を解雇する場合は、整理解雇の法理が適用され、解雇回避努力や適正な手続などの事情を考慮して適法性が判断されます。
有期雇用の場合、労働契約の期間途中での解雇を正当化する「やむを得ない事由」があ る場合でなければ解雇できません(労働契約法17条)。この場合の「やむを得ない事由」とは、雇用を終了させざるを得ない特段の事情(労働者の就労不能、労働者の重大な非違行為、雇用の継続を困難とするような深刻な経営難など)とされており、解雇の有効性は無期雇用の場合よりも厳しく判断されます。また、期間満了により派遣が終了する場合においては、反復更新の実態から実質的に無期雇用契約と同様といえるなどの場合には、解雇理由の合理性と解雇の相当性がなければ雇止めができません(労働契約法19条)。
3 派遣元、派遣先が講じるべき措置
派遣労働者の雇用の安定を図るため、労働者派遣法及び厚生労働省指針に基づき下記の 措置を講じるなど、派遣元、派遣先の双方が適切に対応することが求められています。
派遣労働者が同一の組織単位に継続して3年間( ※)派遣される見込みがある場合に、派遣元には、派遣先への直接雇用の依頼や新たな派遣先の提供など、派遣終了後の雇用を継続させる措置を講じる義務((※ )継続して1年以上3年未満の場合は努力義務)があります(労働者派遣法30条)。また、派遣契約締結の際は、派遣労働者の新たな就業機会の確保など、派遣契約の解除に当たって講ずる措置に関する事項を定める必要があります(労働者派遣法26条1項8号)。
派遣先の都合により派遣契約期間満了前に打ち切りを行おうとする場合、派遣先は、派遣元の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元への申入れが必要です。派遣元から請求があった場合は、理由を明らかにしなければなりません(厚生労働省指針)。また、新たな就業機会の確保や休業手当等の支払いに要する費用の負担といった措置も必要です(労働者派遣法29条の2)。
一方、派遣元も、当該派遣先の関連会社での就業のあっせんや、他の派遣先の確保など、新たな就業機会の確保を図る必要があり、確保できないときは、休業手当の支払い等の対応をする必要があります(厚生労働省指針)。
P □