インドにおける技術移転については、どの法令においても特に規定されていない。但し、技術協力契約については、インド商工省産業省政策促進局およびインド準備銀行(RB I: Res erve Bank of India)が発行する通達と政策によって規制されている。 インド政府は、2009 年 Press Note No. 8 を参照してみると、外国技術協力(Foreign T echnology Collaboration)の下での支払いに関しては、自由にしている。現時点では、イ...
第3章
技術移転/ライセンシング
第1節 関連法規
インドにおける技術移転については、どの法令においても特に規定されていない。但し、技術協力契約については、インド商工省産業省政策促進局およびインド準備銀行(RBI: Res erve Bank of India)が発行する通達と政策によって規制されている。
第2節 ライセンシング(使用許諾)の制限
1.ロイヤルティ料率、契約の条項に関する使用許諾における関連の制限事項
(1 ) ロイヤルティ(使用料)
インド政府は、2009 年 Press Note No. 8 を参照してみると、外国技術協力(Foreign T echnology Collaboration)の下での支払いに関しては、自由にしている。現時点では、イ ンドのライセンシー(使用許諾を受ける者)から外国のライセンサー(使用許諾を与える者)への技術移転に対するロイヤルティ/一括払い料金の支払い、または商標・ブランド名の使 用に対する支払いについては、インド政府から特定の許可を得る必要はない。
上記の Press Note に効力を与えるために、2010 年 5 月 5 日付けの告示が発行され、それによりインド政府は、インド商工省産業省に「ロイヤルティの支払いが、地元の販売では 5%強、輸出では 8%強、一括払いについては 200 万米ドルを超える技術協力契約の送金」について事前の許可を求める 2000 年外国為替管理(当座預金取引)法の一覧表 2 の第 8 項目(Item No. 8 in Schedule II)を削除した。その後、インド準備銀行は、金額の上限制限も政府の事前認可もなく、認可された業者に送金を許可する 2010 年 5 月 13 日付けの通達を発した。しかし、そのような支払いは全て、2000 年外国為替管理(当座預金取引)法に準拠する。
ロイヤルティは、税引き後で、標準条件に則って算出されなければならない。さらに具体的に言えば、ロイヤルティは、物品税を除き、標準の再販売部品のコスト、および入手先に関係なく海上運賃、保険、関税等を含む輸入部品の到着地での費用を引いた製品の工場販売価格を基に算出される。
(2) ライセンス(使用許諾)の条件
技術移転契約は、技術移転の方法やある条件における利用を取り扱う契約上の合意である。この契約は通常、特許、商標、著作権などの知的財産権の使用許諾に当てはまる使用許諾契約、または製品開発には欠かせない情報・技能の移転が関わる素材移転・ノウハウ契約のどちらかを指している。 技術移転は、供給者から受益者への一方通行か、相互交流から共同事業という双方向のどちらかとなることがある。使用許諾を与える際に覚えておかなければならない問題を以下に示す。
① ライセンスの対象物の特定:使用許諾を受ける財産の対象事項を確認してはっきりと特定し、その適切な定義を契約書に加えるのは重要である。例えば、使用許諾を受けた財産には、技術、特許、著作権のある内容(ソフトウェアなど)、商標、営業秘密などが含まれる。明確に特定されるべき重要な条件のいくつかを以下に示す。
・知的財産
・営業秘密
・技術
・機密情報
・製品・サービス
・ノウハウ
・使用許諾を受けた財産
・改良
② 与えられた権利と使用制限
ライセンスは、契約の範囲を理解するために、当事者の権利と制限の範囲の規定に関して明確に定義されていなければならない。例えば、独占権であるか非独占権であるか、ライセンシー(実施権者)がさらに再許諾を与える権利を持っているかどうか、ライセンシーが契約を譲渡する可能性があるかどうかなど、ライセンシーが使用権を持っている領域である。
③ 対価
対価の支払いがあろうが無かろうが、ライセンスは発生する。契約によって支払われるロイヤルティ料またはライセンシー料に関する決定を行う場合、忘れてはならない側面を以下に示す。
・ロイヤルティ料率と構成
・支払い条件―月ごと、四半期ごと、年ごとの支払い
・通貨などの支払い方式
・支払いの延滞に関する罰則
④ 一般的義務
特に技術などに関するあらゆる契約を受け、各当事者は通常、契約の条件を満たすためにある一定の義務を果たさなければならない。そのような義務は、はっきりと詳述しなければならない。典型的な供給者と受益者の関係におけるその義務を以下に示す。
供給者の義務
・ 製品開発関連の全ての技術情報とデータの提供
・ 支援とインフラ情報の提供
・ 商業化計画の策定
・ 必要なら規制当局の承認の取得、そのための費用の分担
・ 関連ある全ての知的財産、および契約の存続期間において発生した知的財産へのライセンス
・ 製品に施した改良に関する知識の供与
・ 製品の検査及び品質維持に関する保証
・ (あれば)製品の買い戻し受領者の義務
i. 製品設計および製造:受領者の義務には、製造、および品質維持期間に受益者が踏まなければならない以下の手続きが含まれる。
・ 試験施設の開設
・ ライセンサーに対する試作品の事前サービス
・ 提供予定の商品サンプル
・ 品質コンプライアンス
・ 商品検査
・ 不適合品の取り扱い
・ 製造コスト・ラベル
・ 商品の保証(certfication)
・ 不適合製品および傷もの品の値引き商品の取扱い手続き
ii. 使用許諾を与えられた製品の流通・販売:これには、使用許諾を与えられた製品のための流通経路および販売店に関する実施権者の義務が含まれる。
⑤ グラント・バック(改良技術情報の交換・許諾)
インド特許法では、特許を受けた物品の製造または使用のライセンス、特許や特許を受けた物品もしくは特許を受けたプロセスで製作された物品の販売・賃貸借のための契約で保護されたプロセスを処理するためのライセンスでは、独占的グラントバックを与える効力を持つ可能性のある規定は非合法で、無効である。この条項を考慮すれば、いかなる独占的ライセンスも、改良に関する特許の譲渡も、独占的グラントバックとして扱われるため無効となる。(インド特許法では、独占的ライセンスは、特許権者自身を含む他の者全てを締め出す、特許権者がライセンシーにまたは、ライセンシーと▇▇▇▇▇▇が権限を授けた者とに特許を受けた発明に関する権利を授けるライセンスであると、特許法で規定されている。)
さらに、特許法の基礎をなす法理論と政策(すなわち、一般的に発明の考案者を保護するためのもの)を鑑みれば、技術に適用される同様の条項は、異議を申し立てられれば、非合法で、無効との判決が下されることがある。
⑥ 機密保持に対する配慮
機密情報は、明確に規定しなければならない。機密保持の義務やその例外などは、詳しく説明する必要がある。
さらに自らを保護するために、ライセンサーは、機密保持契約違反による損失や損害を ライセンサーに補償する賠償金をライセンシーから受けることがある。雇用者は別として、機密保持情報が請負業者に提供されなければならない場合、請負業者が機密保持契約に署 名し、請負業者による契約違反のケースでライセンサーをライセンシーから守るための契 約にこのような条項が盛り込まれるべきである。
⑦ 補償
知的財産の補償は、慎重に立案しなければならない。技術ライセンス契約において最も 重要な契約上の条項の一つとして、補償条項が挙げられる。この手の契約における補償条 項の通常の目的とは、▇▇▇▇▇▇による許諾された技術の利用が、第三者の知的財産権 を侵害していると、同第三者が主張する場合に、ライセンシーを守ることである。▇▇▇ ▇▇▇が第三者の特許を侵害している(または、営業秘密を濫用している)と判明した場合、
▇▇▇▇▇▇は、かなりの額の損害賠償を負い、またライセンスを与えられた当該技術の 利用を差止める命令が下される可能性がある。たとえ▇▇▇▇▇▇がその請求を棄却でき たとしても、特許や営業秘密を守る訴訟には、多くの犠牲を払うことがある。一般的に、 ライセンシーの目的が、ビジネスを運営しライセンスを受けた技術への投資を守るのに必 要な保護を確実に得ることであるのに対し、ライセンサーの目的は、補償に対するその▇ ▇を(可能な範囲で)制限することである。(つまり)ライセンサーにとって、その目的は、補償を商標だけに制限し、特に特許やその他の知的財産などを補償の範囲内に含まないこ とである。
⑧ 監査条項
ライセンサーは、品質管理を維持するために、製造・開発施設等を監査・検査するための条項を組み入れなければならない。
2. 技術・情報のライセンシング(使用許諾)~いくつかの重要な条項
(1) 改良
以下は、独占的グラントバック問題に対処する条項の例である。
① 改良された知的財産。この契約を遂行した結果、ライセンシーは、個人的であれ、他者と共同であれ、ライセンサーの知的財産または製品(集合的な「改良知的財産」)に関する、またはそれに関連する製造プロセスの変更・増強に関する考案・発見・開発・創作、製造プロセスの改良、計画、デザイン、概念、技能、発明、発見を行うことがある。それにより▇▇▇▇▇▇は、この項で述べられているものを対象とした追加の補償金なしに、独占的、▇▇的、世界的に、ライセンサーに対して改良知的財産についての権利、権原、所有権を譲渡。
② しかしインドにおいては、ライセンシーは、追加の補償金なしに、改良知的財産を使用するための非独占的および▇▇的なライセンスを有するものとする。
③ ライセンシーは、ライセンサーに対して、改良知的財産についての、または関連する全ての文書の写し、製図、技術的分析、モデルまたはサンプル、アルゴリズム、ソースコード、記録、式、その他の書類を含む全ての情報および文書を、制限なく全面的に開示するものとする。
④ ライセンシーは、追加の補償金なしに、発明者、著作者、または改良知的財産の開発 に関わるその他の者が、特許または著作権の適用を請求することや改良知的財産を使 用するのにライセンサーが必要または望ましいとみなす文書や手段を交付・実行でき るようにしなければならない。▇▇▇▇▇▇は、▇▇▇▇▇▇が特許や著作権の適用、侵害訴訟、または当該の改良知的財産の保護に必要なその他の執行手続きの請求を行 えるよう協力、援助を提供しなければならない。ただしそれは、ライセンサーが関連 のコストや費用を負うことが条件となる。
⑤ 法の下、ライセンシーからライセンサーへの改良知的財産の譲渡が強制力を持たない限り、それによりライセンシーは、その従業員、請負業者および代表者がライセンサーに対して、ライセンサーまたはその従業員、請負業者および代表者の誰にも同意を求めたり確認することなく改良知的財産を使用、修正、取引し、改良知的財産に二
次ライセンスを与えるための、ロイヤルティの要らない非独占的、▇▇的、取消不能で世界的なライセンスを授与することに同意し許可を与える。
(2)知的財産の補償
ライセンサーは、ライセンシーに免責の保証を与えて擁護し、ライセンシー自身が招いた損失および費用を補償し、また、ライセンシーによる商標使用による第三者の商標侵害から発生したいかなる訴訟(またはその解決)においても、その契約によって第三者に対してライセンシーが生じさせたを補償することに合意する。
第3節 フランチャイズ規制
インドには、フランチャイズの付与を決定する特定の法規はないが、フランチャイズ契約については、契約法に準拠し、1872 年契約法および 1963 年特定救済法に則った解釈が行われる。
[特許庁委託]
模倣対策マニュアル インド編
[著者]
Amarchand & Mangaldas & ▇▇▇▇▇▇ ▇. ▇▇▇▇▇▇ & Advocates & Solicitors
Trademarks, Copyright and Licensing
▇▇▇▇▇▇ ▇▇▇▇, Partner
▇▇▇▇▇▇▇▇ ▇▇▇, Senior Associate ▇▇▇▇▇ ▇▇▇▇▇, Principal Associate ▇▇▇▇▇▇▇ ▇▇▇, Senior Associate
Patents, Designs and Trade secrets ▇▇▇ ▇▇▇▇▇▇▇▇, Partner
▇▇▇▇▇ ▇▇▇▇▇▇▇▇▇, Associate
[発行]
日本貿易振興機構 進出企業支援・知的財産部 知的財産課
▇▇▇▇-▇▇▇▇ ▇▇▇▇▇▇▇ ▇-▇▇-▇▇ ▇▇▇▇▇▇ ▇ ▇
TEL:▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇ FAX:▇▇-▇▇▇▇-▇▇▇▇
2014 年 3 月発行 禁無断転載
本冊子は、日本貿易振興機構が 2014 年 3 月現在入手している情報に基づくものであり、その後の法律改正等によって変わる場合があります。また、掲載した情報・コメントは著者及び当機構の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものでないことを予めお断りします。なお、法令については仮訳であるため、最終的な確認、照会については原文において行われるようお願いいたします。
