Contract
令和6年2月28日 24‐制度‐00019
第1章 総則
( この約款の内容)
第1条 この約款は、貿易保険法( 昭和25年法律第67号。以下「法」という。) の規定に基づく信用状確認保険の保険約款とする。
( 定義)
第2条 この約款における用語の定義は別表に定めるところによる。
第2章 てん補の範囲
( てん補危険)
第3条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当する事由により、被保険者が信用状買取又はオナーをした確認信用状について発行銀行から支払を受けるべき期限までに被保険者が支払った金額を回収することができないことにより受ける損失をてん補する責めに任ずる。
一 外国において実施される為替取引( 外貨交換及び外貨送金を含む。)の制限又は禁止二 外国における戦争、革命又はテロ行為その他の内乱
三 政府間合意に基づく債務繰延べ協定又は発行銀行若しくは補償銀行の所在国に起因する外貨送金遅延
四 前各号に掲げるもののほか、発行銀行又は被保険者の責めに帰することができる事由以外の事由( 本邦外において生じたものに限る。)
五 前各号に掲げる事由以外の事由
第3章 損失額及びてん補責任額
( 損失額)
第4条 前条に規定する損失の額は、保険価額の範囲内で、同条各号のいずれかに該当する事由により被保険者が発行銀行から確認信用状に基づき支払を受けるべき期限までに支払を受けることができなかった金額から次の各号に掲げる金額を控除した残額をいう。
一 支払を受けるべき期限後に支払を受けた金額二 そ求権を行使して回収した金額
( てん補責任額)
第5条 日本貿易保険がてん補すべき額は、前条の規定に基づき算出した損失額から次の各号に掲げる額を控除した残額を基礎として、この証券記載の保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た額とする。ただし、保険金額を限度とする。
一 被保険者が第15条第1項又は第2項の規定による義務の履行を怠った場合、被保険者がその義務を履行すれば防止軽減することができたと認められる金額又は賠償を受けることができたと認められる金額
二 日本貿易保険が第11条の規定に基づき被保険者に指示をした場合において、被保険者が当該指示に従わなかったことにより拡大したと認められる損失額
( 免責)
第6条 日本貿易保険は、第18条第3項に規定するもののほか、次の各号に掲げる損失をてん補する責めに任じない。
一 被保険者等の故意又は重大な過失により生じた損失
二 確認信用状に関して保険契約者又は被保険者による法令( 外国の法令を含む。) 違反があった場合において確認信用状に係る被保険者の債権について生じた損失
三 確認信用状に関して、被保険者等による不正競争防止法( 平成5年法律第47号) 又は刑法( 明治40年法律第45号) の贈賄に関する規定違反があった場合において確認信用状に基づいて被保険者が有する債権について生じた損失
四 第9条第1項に規定する保険責任の開始日前に発生した第3条各号のいずれかに該当する事由によって生じた損失
五 保険申込時の申告内容に事実との相違がある場合又は不正確な申告があることにより、日本貿易保険が別に定める基準を満たさない確認信用状について保険契約が締結された場合において生じた損失( ただし、日本貿易保険が保険契約の訂正を承認した場合は、当該承認日以後に発生した第3条各号のいずれかに該当する事由による損失を除く。)
六 確認信用状に関する条件変更の結果、日本貿易保険が別に定める基準に適合しなくなった場合であって、当該条件変更に基づいて発生した損失
( 保険金不払、保険金返還)
第7条 日本貿易保険は、次の各号のいずれかに該当するときは、保険金の全部若しくは一部を支払わず又は当該保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。
一 被保険者等の過失( 重大な過失を除く。) により損失が発生したとき
二 被保険者等が故意又は過失により、事実を告げなかったとき又はxxでないことを告げたとき
三 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき
四 被保険者等が、反社会的勢力等に該当し、又は反社会的勢力等による経営の支配若しくは実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供若しくは便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
( 保険契約の解除)
第8条 日本貿易保険は、第18条第1項及び第21条第4項に規定するもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、保険契約を解除することができる。
一 被保険者等が、確認信用状に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反したとき
二 保険契約者又は被保険者がこの約款の条項に違反したとき
三 被保険者等が、反社会的勢力等による経営の支配又は実質的関与、反社会的勢力等に対する資金等の提供又は便宜の供与、その他反社会的勢力等と社会的に非難されるべき関係にあると認められるとき
2 この約款に特段の定めがない限り、第1項各号の規定による解除その他の保険契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生じる。
( 保険期間)
第9条 日本貿易保険の保険責任の開始日は、信用状確認を行った日とする。
2 日本貿易保険の保険責任の終了日は、保険料率等規程に定める確認信用状の最終の支払期限として設定した日と、確認信用状に基づいて発行銀行から最終の支払を受けるべき期限のいずれか早い日とする。
第4章 保険契約者又は被保険者の義務
( 他の保険契約の通知義務)
第10条 保険契約者又は被保険者は、確認信用状について、この約款のてん補する危険と
同種の危険をてん補する保険契約が存在することを知ったときは、当該事実を知った日から1月以内、かつ、保険金の支払請求時までに当該保険契約について日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 指示に従う義務)
第11条 日本貿易保険は、確認信用状に関し指示をすることができ、被保険者はこれに従わなければならない。
( 債権保全義務)
第12条 被保険者は、他の債権における注意と同様の注意をもって確認信用状に基づく債権の管理保全に努めなければならない。
( 損失を受けるおそれが高まる事情発生の通知義務)
第13条 被保険者は、以下に定める損失を受けるおそれが高まる事情の発生を知ったときは、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
一 発行銀行についての破産手続開始の決定又は破産手続開始の決定に準ずる事由二 補償銀行についての破産手続開始の決定又は破産手続開始の決定に準ずる事由
( 損失発生の通知義務)
第14条 被保険者は、確認信用状について、請求を受けて信用状買取又はオナーの後、発行銀行から支払を受けるべき期限までに支払が行われない場合、その旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 損失の防止軽減等の義務)
第15条 被保険者は、確認信用状について、損失を防止軽減するため、他の債権における注意と同様の注意をもって一切の合理的措置を講じなければならない。
2 被保険者は、損失の全部又は一部の支払を受けることができるときは、確認信用状に基づいて遅滞なく権利の行使に努めなければならない。
( 入金の通知義務)
第16条 被保険者は、損失発生通知を行った後、保険金の支払を請求する以前に回収した金額があるときは、その旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
( 調査に応ずる義務)
第17条 保険契約者又は被保険者は、日本貿易保険が確認信用状に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は確認信用状に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
2 被保険者は、日本貿易保険が確認信用状に関し、発行銀行に対し調査、報告又は資料の提出を求めることが必要と認めた場合、当該調査、報告又は資料の提出が円滑に行われるよう日本貿易保険に協力しなければならない。
3 被保険者は、第29条第7項から第9項までの各項の規定により納付すべき金額に係る債権の保全上の必要に基づいて、日本貿易保険が業務若しくは資産の状況に関し、調査、報告若しくは資料の提出を求めた場合又は業務若しくは資産の状況に関する帳簿書類その他の物件を調査しようとした場合には、これに応じなければならない。
( 告知義務違反)
第18条 保険契約締結の当時、被保険者等が損失を受けるおそれのある重要な事実又は信用状確認保険の対象となるための要件に係る重要な事実のあることについて、故意又は過失によって、日本貿易保険にこれを告げず、又はxxでないことを告げたときは、日本貿易保険は、保険契約を解除することができる。
2 前項の規定による解除権は、日本貿易保険が解除の原因を知った日から2月間行使しないときは、消滅する。
3 被保険者に損失が発生した後に日本貿易保険が第1項に基づいて保険契約を解除した
場合においても、日本貿易保険は当該損失をてん補する責めに任じない。ただし、当該損失が、第1項に規定する損失を受けるおそれのある重要な事実に基づいて発生したものではない場合は、この限りでない。
( 確認信用状の重大な内容変更)
第19条 被保険者が確認信用状に関し次の各号に定める重大な内容変更を行った場合であって、保険契約の変更を希望するときは、その旨を日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
一 確認金額の増額二 期間延長
2 日本貿易保険は、前項に規定する通知を受けた場合には、当該通知内容に従って、保険契約変更効力発生日をもって、保険契約を変更する。保険契約を変更する場合、日本貿易保険は、保険契約変更効力発生日以降、重大な内容変更があった確認信用状について、変更後の保険契約に基づきてん補責任を負うものとし、保険契約変更効力発生日前に発生した第3条各号のいずれかに該当する事由によって生じた損失のうち、当該重大な内容変更の変更事項に基づいて生じた損失をてん補する責めに任じない。また、被保険者が、確認信用状の内容に重大な内容変更があったことを知った場合であっても、前項に規定する通知が行われず、保険契約が変更されていないときは、日本貿易保険は、第3条各号のいずれかに該当する事由によって生じた損失のうち、当該重大な内容変更の変更後に生じた損失をてん補する責めに任じない。
( 贈賄行為に関与しない旨の宣誓義務等)
第20条 保険契約者及び被保険者は、不正競争防止法及び刑法の規定に違反する贈賄行為にかかわっていないこと及び今後ともかかわらないことを日本貿易保険に対して誓約しなければならない。
2 保険契約者又は被保険者は、被保険者等が確認信用状に関して不正競争防止法又は刑法の贈賄に関する規定に違反した罪により起訴された場合、日本貿易保険に対して速やかに報告しなければならない。
第5章 保険料
( 保険料の納付等)
第21条 保険契約者は、保険契約を締結した場合又は重大な内容変更を行った場合であって保険契約者が保険料を納付すべきときその他保険契約者が保険料を納付すべき場合においては、日本貿易保険が発行する保険料請求書に従い、日本貿易保険が指定する日までに保険料率等規程に従って日本貿易保険の指定する額の保険料の全額を日本貿易保険に納付しなければならない。
2 保険契約者が日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日までに前項に規定する保険料の全額を納付しなかったときは、保険契約者は、保険料及び当該保険料について日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払うべき日の翌日から保険契約者の納付すべき保険料が納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険が発行する保険料請求書に従い、納付しなければならない。ただし、第4項の規定に基づき保険契約が解除された場合は、この限りでない。
3 前項の規定により延滞金を納付しなければならない場合において、保険契約者が納付すべき保険料及び延滞金の全額に満たない額を納付したときは、日本貿易保険は納付された金額を保険料、延滞金の順に充当する。
4 保険契約者が、日本貿易保険の指定する日又は第6項の規定に基づき保険料を支払う
べき日までに日本貿易保険の指定する額の保険料の全額又は延滞金の全額を納付しなかったときは、日本貿易保険は保険契約の全部又は一部を解除することができる。
5 前項の規定による解除は、当該保険料又は延滞金が保険契約を締結した場合において納付すべきものであるときは保険契約の締結の日から、被保険者が重大な内容変更を行った場合において納付すべきものであるときは当該重大な内容変更があった日から効力を生ずる。
6 保険契約者について、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の各決定又は外国の法令に基づく制度上これに準ずる手続があった場合には、第1項の規定にかかわらず、日本貿易保険からの通知等を要さずに、保険契約者は、日本貿易保険に対する第1項に定める保険料の支払債務について当然に期限の利益を失い、直ちに保険料の全額を支払うものとする。ただし、当該期限の利益の喪失後、日本貿易保険は、新たに支払期日を指定することができる。
( 保険料の返還)
第22条 日本貿易保険は、保険料の納付が日本貿易保険の指定する日の翌日以後になされた場合であって日本貿易保険が前条第4項の規定に基づき保険契約を解除したとき又は日本貿易保険が同項の規定に基づき保険契約を解除した日以後に保険料が納付された場合は、当該納付に係る保険料を返還する。
2 保険契約者又は被保険者が、確認信用状の条件変更又はその他合理的理由により保険価額の減少又は保険期間の短縮を申請し、日本貿易保険がこれを承認した場合は、日本貿易保険がてん補すべき責めに任じなくなった部分に相当する保険料を返還する。ただし、保険料率等規程で定めるときを除く。
3 前2項に定める場合を除き、保険契約の無効、失効若しくは解除の場合又は日本貿易保険が損失をてん補する責めに任じない場合においても、日本貿易保険は保険料を返還しない。ただし、保険料率等規程で定める場合は、保険料の全部又は一部を返還する。
第6章 保険金の支払
( 保険金受取人)
第23条 被保険者は、保険金請求事務を被保険者の代わりに行い、被保険者のために保険金を受領する者として保険金受取人を定めることができる。保険金受取人は、日本貿易保険が特に認めた場合を除き、1名とする。
2 被保険者は、保険契約の締結後に、保険金受取人を指定、変更又は廃止した場合には、日本貿易保険に書面で通知しなければならない。
3 保険金受取人を定めた場合、被保険者は、この証券記載の保険金受取人を通じてのみ保険金の支払を請求することができる。
4 日本貿易保険は、この証券記載の保険金受取人が保険金の支払を請求してきた場合には、当該保険金受取人に対して保険金を支払うものとし、この場合、日本貿易保険は被保険者に対して保険金を支払ったものとみなし、当該保険金支払債務は消滅するものとする。
( 保険金の請求)
第24条 保険金請求人は、自己の費用をもって損失の計算を行い、日本貿易保険に保険金の支払を請求しなければならない。
2 前項の請求は、日本貿易保険が別に定める期間内に行うものとする。ただし、保険金請求人が保険金の請求期間について猶予期間の設定を申請し、日本貿易保険が、特に猶予期間を定めた場合は、この限りでない。
3 保険金請求人が正当な理由なく日本貿易保険が別に定める期間内又は日本貿易保険が
定めた猶予期間内に保険金の支払の請求を行わない場合には、日本貿易保険は、保険金を支払わない。
4 保険金請求人は、第21条第1項及び第2項の規定にかかわらず、保険金の支払を請求するまでに、同条第1項及び第2項に規定する保険料及び延滞金の全部が支払われない限り、保険金の支払請求をすることが認められないものとする。
( 保険金請求権の消滅時効)
第25条 保険金請求権は、確認信用状に基づき最終の支払を受けるべき期限から3年を経過した場合、時効により消滅するものとする。
2 前条第4項の規定は、前項に基づく消滅時効の成立を妨げない。
( 保険金の支払)
第26条 日本貿易保険は、第24条第1項に定める手続による請求を受けた日から1月以内に保険金を支払う。ただし、調査のため特に時日を要するときは、この限りでない。
( 他の保険契約等との関係)
第27条 確認信用状について、この約款のてん補する危険と同種の危険をてん補する保険契約が存在し、かつ、各保険契約のてん補責任額の合計が損失額を超える場合には、第
4条の損失額に、第5条のてん補責任額の各保険契約のてん補責任額の合計額に対する割合を乗じて得た額を支払保険金額とする。
第7章 債権の回収
( 保険代位)
第28条 日本貿易保険は、保険金を支払ったときは、保険金の支払の時に被保険者の有していた確認信用状により生ずる権利を支払った保険金の額の第4条に規定する残額に対する割合をもって取得する。
( 回収金の納付)
第29条 被保険者は、前条の規定にかかわらず、保険金の支払の請求がなされた後においても、自己又は日本貿易保険のために、確認信用状に関する権利の行使に努めなければならない。ただし、当該回収に係る権利の行使の相手方についての破産手続開始の決定がなされたことその他やむをえない事由により当該回収に係る権利を行使することが困難であることについて被保険者が日本貿易保険に書面で申請してその認定を受けたとき又は第4項若しくは次条第3項の規定に基づき権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
2 被保険者は、前項に規定する義務の履行の状況について、日本貿易保険に書面で報告しなければならない。ただし、前項ただし書の規定により日本貿易保険の認定を受けたとき又は権利行使等の委任を行ったときは、この限りでない。
3 被保険者は、前条に規定する日本貿易保険の保険代位を回収に係る権利の行使の相手方の住所地法において当該相手方その他の第三者に対抗することができるために必要な手続を行うことを日本貿易保険が指示したときは、これに従わなければならない。
4 被保険者は、前項による義務を履行したときは、被保険者が有している保険事故に係る債権について日本貿易保険に対し権利行使等の委任を行わなければならない。
5 被保険者は、前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項について、共通運用規程に従わなければならない。
6 日本貿易保険は、第1項による義務の履行のために要した費用を取得した金額を限度として負担する。ただし、日本貿易保険が必要と認めたときは、その限度を超えて負担することがある。
7 被保険者は、保険金の支払の請求がなされた後、回収した金額があるときは、日本貿
易保険に書面で通知し、かつ、日本貿易保険が指定する次の式で算出された金額を、日本貿易保険が発行した請求書に従い、日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
( 回収金額- A) × 支払保険金額
第4条の損失額
Aは、第1項による義務の履行のために要した費用( ただし、日本貿易保険が認めた金額に限る。)
8 前項の場合において、前項に規定する期間内に同項に規定する通知をすることを怠った被保険者は、回収納付金額について回収のあった日( 回収のあった日が、保険金の支払を受けた日以前であるときは、保険金の支払を受けた日) の翌日から当該通知をした日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した違約金を日本貿易保険の指定する日までに日本貿易保険に納付しなければならない。
9 被保険者は、第7項又は前項のいずれかに該当する場合において、各項の規定に基づき日本貿易保険に納付すべき金額を日本貿易保険の指定する日までに納付しなかったときは、当該金額及び当該金額について日本貿易保険の指定する日の翌日から納付される日までの日数に応じて年10.95% の割合で計算した延滞金を日本貿易保険の請求に従い納付しなければならない。
10 前2項の規定により違約金又は延滞金を納付すべき場合において、被保険者が回収納付金額、違約金及び延滞金の全額に満たない額を納付した場合には、日本貿易保険は納付された金額を回収納付金額、違約金、延滞金の順に充当する。
( 日本貿易保険による権利の行使)
第30条 日本貿易保険は、保険金支払前に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、被保険者から当該債権に係る権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
2 日本貿易保険は、第28条の規定に基づき保険代位を行った後に保険事故に係る債権の行使を自ら行う必要を認めたときは、当該債権のうち被保険者が有している部分について被保険者から権利行使等の委任を受けることを申し込むことができる。
3 被保険者は、日本貿易保険から前2項の申込みを受けた場合は、合理的な理由のあるときを除き、これに応じなければならない。
4 前項の委任に当たり、権利の行使による回収金の配分方法、その他手続的な事項については、前条第5項を準用する。
5 日本貿易保険は、第3項又は前条第4項の規定により権利行使等の委任を受けた保険事故に係る債権の行使を第三者に委任することができる。
第8章 雑則
( 換算率)
第31条 この約款において、外貨を邦貨に、邦貨を外貨に、又は一の外貨を他の外貨に換算する場合に適用する外国為替相場は、次の各号のとおりとする。また、次の各号に定める始値は、日本貿易保険が認めたものをいう。
一 外貨を邦貨に換算する場合にあっては、銀行( 銀行法( 昭和56年法律第59号) 第2条第1項に規定する銀行をいう。以下同じ。) が提示する対顧客直物電信買相場の始値
二 邦貨を外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する対顧客直物電信売相場の始
値
三 一の外貨を他の外貨に換算する場合にあっては、銀行が提示する当該外貨間の換算率の始値
2 確認信用状の額が外貨建てのときは、保険価額、第4条の損失額及び第5条のてん補責任額は、次の各号に掲げる日における前項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、日本貿易保険が別に定めた場合は、この限りでない( 以下第3項から第5項までの各項において同じ。)。
一 保険価額にあっては、信用状確認の日( 保険契約の締結後に確認金額が増額変更された場合の当該増額部分に係る保険価額又は確認金額が邦貨建てから外貨建てに変更された場合若しくは外貨建てから他の外貨建てに変更された場合の保険価額は、保険契約変更効力発生日( 以下この項において同じ。))
二 第4条の損失額及び第5条のてん補責任額にあっては、信用状確認の日又は発行銀行から支払を受けるべき期限のうち、いずれか円高( 確認信用状に表示された外貨の本邦における邦貨をもって表示される外国為替相場が低落した場合をいう。) の日
3 第4条各号の金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
4 第29条第7項の規定に基づき回収した金額を納付する場合において、回収した金額が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該金額は、回収を確認した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。
5 第29条第6項に規定する日本貿易保険の負担する費用は、次の各号の規定により換算する。
一 第29条第7項に規定する費用が表示通貨と異なる通貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項各号のいずれかの外国為替相場により表示通貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を表示通貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
二 第29条第7項の規定によらない方法で日本貿易保険の負担する費用を請求する場合において、当該費用が外貨建てのときは、当該費用は、その額が確定した日における第1項第1号の外国為替相場により邦貨に換算するものとする。ただし、当該費用について、当該費用に係る通貨を邦貨で買い取って支払った場合は、当該買取に使用された換算率を適用する。
6 第2項から第5項において定める日に第1項各号の外国為替相場がない場合は、その日の直前の第1項各号の外国為替相場のある日における当該外国為替相場を適用する。
7 第1項各号の外国為替相場が提示されていない外貨の場合には、他の通貨を媒体とした換算率を適用する。
8 日本貿易保険が特に認めた場合には、第2項から第7項までの規定にかかわらず、日本貿易保険の指定した換算率を適用する。
( 保険の目的又は保険金請求権の譲渡)
第32条 被保険者は、この約款に基づく保険契約について、保険の目的又は保険金請求権を譲渡しようとするときは、移転又は譲渡を受ける予定の者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
3 第1項に基づき、保険の目的又は保険金請求権の譲渡について日本貿易保険の承認を受けたときは、譲渡の後に譲渡を行った旨を日本貿易保険に書面で通知するものとする。
( 保険金支払後の債権譲渡等)
第33条 保険金支払日以後において、被保険者は、保険事故に係る債権のうち被保険者が有している部分を譲渡しようとするときは、譲受予定者と連名で事前に日本貿易保険の承認を受けなければならない。
2 日本貿易保険は、前項の承認に当たっては、条件を付けることができる。
( 引受基準)
第34条 約款の引受対象となる信用状確認は、日本貿易保険が別に定める基準による。
( 手続事項)
第35条 この約款に基づく手続については、日本貿易保険がそのホームページにおいて対外的に周知する手続に基づいて行うものとする。
2 手続のうち、日本貿易保険が認めるものは、電子情報処理組織を使用して行うものとする。
( 約款の改正)
第36条 日本貿易保険は、法令の改正、社会情勢の変動、その他相当の事由がある場合に、この約款を改正することができる。
( 準拠法令)
第37条 この約款に定めていない事項については、法及びこれに基づく命令その他日本国の法令の定めるところによる。
附 則
この約款は、令和6年3月15日から実施する。
別表
用語( 五十音順) | 定義 |
オナー | 信用状統一規則に定めるオナー( honour) をいう。 |
回収納付金額 | 第 29 条第7項の規定により納付すべき金額をいう。 |
確認金額 | 被保険者が確認信用状について信用状確認をした金額をいう。ただし、被保険者が自らの信用状確認の効力を条件変更に及ぼした場合には、当該信用状確認の効力が及ぶ条件変更後の確認信用状の金額をいう。いずれの場合も、信用状金額を上限とし、金利分 を除く。 |
確認信用状 | 輸出契約等の輸出貨物又は仲介貿易貨物の代金若しくは賃貸料又は技術等の提供の対価( 利子を含み、延滞利息は含まない。)の回収のために発行されたこの証券記載の信用状について、被保険者 が信用状確認を付加したものをいう。 |
期間延長 | 保険料率等規程に定める確認信用状の最終の支払期限として設定 した日の変更をいう。 |
共通運用規程 | 貿易保険共通運用規程( 平成 29 年4月1日 17‐制度‐00069) をいう。 |
重大な内容変更 | 確認信用状に関する第 19 条第1項各号に掲げる変更をいう。 |
条件変更 | 信用状統一規則に定める条件変更(amendment)をいう。 |
信用状 | 信用状統一規則に定める信用状( credit) をいう。 |
信用状買取 | 信用状統一規則に定める買取( negotiation) をいう。 |
信用状確認 | 確認信用状に関する信用状統一規則に定める確認( confirmation) をいう。 |
信用状統一規則 | 国際商業会議所が定める荷為替信用状に関する統一規則及び慣例 ( 2007 年 改 訂 版 )( UNIFORM CUSTOMS AND PRACTICE FOR DOCUMENTARY CREDITS, 2007 REVISION, ICC PUBLICATION No.600) をいう。 |
損失発生通知 | 第 14 条に規定する通知をいう。 |
日本貿易保険 | 法第3条に規定する株式会社日本貿易保険をいう。 |
発行銀行 | 確認信用状に関する信用状統一規則に定める発行銀行( issuing bank) をいう。 |
反社会的勢力等 | 暴力団、暴力団員( 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を含む。)、暴力団準構成員、暴力団関係企業その他の反社会 的勢力又はこれと密接な関係にある者をいう。 |
被保険者 | 確 認 信 用 状 に 関 す る 信 用 状 統 一 規 則 に 定 め る 確 認 銀 行 ( confirming bank) をいう。 |
被保険者等 | 保険契約者、被保険者若しくは保険金を受け取るべき者又はこれらの者の役員、代理人若しくは使用人をいう。 |
表示通貨 | 確認信用状に表示された通貨( 邦貨の場合を含む。) をいう。 |
保険価額 | 確認金額をいう。 |
保険金請求人 | 被保険者その他の保険金の支払を請求しようとする者をいう。 |
保険契約変更効力発 生日 | 確認信用状に関して重大な内容変更があった日をいう。 |
保険料率等規程 | 貿易保険の保険料率等に関する規程( 平成 29 年4月1日 17‐制度‐00070) をいう。 |
補償銀行 | 確 認 信 用 状 に 関 す る 信 用 状 統 一 規 則 に 定 め る 補 償 銀 行 ( reimbursing bank) をいう。 |
輸出契約等 | この証券記載の輸出契約、仲介貿易契約又は技術提供契約をいう。 |