Contract
奈良県立医科大学附属病院 |
治験責任医師(治験分担医師)の業務手順書 |
第18 版 |
2022 年 4 月 1 日 |
承 認 者:奈良県立医科大学附属病院長 |
治験責任医師(治験分担医師)の業務手順書
1.目的と適用範囲
この手順書は、当病院における治験及び製造販売後臨床試験(以下「治験等」という。)の実施に際し、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28号)、
「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成17年厚生労働省令第36号)、
「再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成26年厚生労働省令第8
9号)、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第171号)、「医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成17年厚生労働省令第38号)、「再生医療等製品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成26年厚生労働省令第90号)及び上記全ての省令の関連通知(以下「GCP等」という。)に基づいて、治験等を適正かつ安全に実施するために、治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者が行うべき業務手順を定める。
2.治験責任医師(治験分担医師)の要件
(1) 治験責任医師は、病院長の指名のもと、教育・訓練及び経験によって治験等を適正に実施し得る者であること、かつ十分な臨床経験を有すること。
(2) 治験責任医師及び治験分担医師は、治験実施計画書等に記載されている治験薬の適切な使用方法に十分精通していること。
(3) 治験責任医師及び治験分担医師は、GCP等を熟知し、遵守できること。
(4) 治験責任医師は、合意された期間内に必要数の適格な被験者を集めることができること。
(5) 治験責任医師は、治験等を適正に実施し、終了するに足る時間を有していること。
(6) 治験責任医師は、合意された期間内に治験等を適正かつ安全に実施するため、必要に応じ診療科部長及び中央診療施設の長(以下「診療科部長等」という。)と相談の上、適格な治験分担医師及び治験協力者のスタッフを確保できること。
(7) 治験責任医師は、治験等を適正かつ安全に実施するため、適切な設備等を利用できること。
(8) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者に治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について必要な情報を与え、指導及び監督できること。
(9) 治験責任医師は、治験依頼者同席の上、治験等の詳細について治験審査委員会で説明できること(企業治験及び製造販売後臨床試験(以下「企業治験等」という。)の場合に限る。)。
3.企業治験等の場合における治験実施計画書遵守に関する合意
(1) 治験責任医師は、治験依頼者から治験責任医師の候補として要件の確認を受けた 際、診療科部長等に報告承認の上、確認事項への回答及び最新の履歴書(書式1)等の情報提供を行う。
(2) 治験責任医師は、治験依頼者から提供される治験実施計画書、症例報告書及び最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書(既承認薬の添付文書又は注意事項等情報、インタビューフォーム、学術論文等)等の資料又は情報に基づき、治験依頼者と治験等実施の可能性について、倫理的及び科学的観点から十分に検討を行う。
(3) 治験責任医師は、(2)の結果に基づき、治験依頼者と治験実施計画書及び症例報告書の内容について合意する。
(4) 治験責任医師は、治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験依頼者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に署名し、日付を記入する。
(5) 治験責任医師は、治験実施計画書及び症例報告書が新たな安全性情報等で改訂又は治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示で修正される場合には、(2)から(4)に従うものとする。
4.同意文書及び説明文書の作成
(1) 治験責任医師は、被験者から治験等への参加の同意を得るために用いる同意文書及び病院長あての同意文書を一体型の2部複写で作成する。
(2) 同意文書及び説明文書は、GCP等及びヘルシンキ宣言に基づいて作成されること。
(3) 説明文書には以下の事項が記載されていること。 1)治験等が研究を伴うこと
2)治験等の目的
3)治験等の方法(試験的側面、被験者の選択基準、及び無作為割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む。)
4)被験者の治験等への参加予定期間
5)治験等に参加する予定の被験者数
6)予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される臨床上の利益がない場合はその旨を被験者に知らせること)
7)患者を被験者にする場合における他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性
8)治験等に関連する健康被害が発生した場合に、被験者が受けることのできる補償及び治療
9)治験等への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者
は、被験者の治験等への参加を随時拒否又は撤回することができること。また、拒否又は撤回によって被験者が不利な扱いを受けたり、治験等に参加しない場合に受けるべき利益を失うことはないこと
10)治験等への参加の継続について、被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えること
11)治験等への参加を中止させる場合の条件又は理由
12)モニター、監査担当者、治験審査委員会及び規制当局が診療録等を閲覧できること。その際、被験者の秘密が保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が署名することによって閲覧を認めたことになること
13)治験等の結果を公表する場合でも、被験者の秘密は保全されること
14)被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容
15)被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額算定の取り決め等)
16)治験責任医師の氏名及び連絡先
17)被験者が治験等及び被験者の権利に関してさらに情報がほしい場合又は治験等に関連する健康被害が生じた場合に、照会すべき又は連絡をとるべき病院の相談窓口
18)治験審査委員会の種類、設置者の名称、所在地、当該設置者に係る閲覧可能な情報等
19)被験者が守るべき事項
(4) 説明文書を作成する際は、以下の点に留意すること。
1)被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句を含めないこと
2)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、病院、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句を含めないこと。
3)被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉を用いること。
(5) 治験責任医師は、被験者の同意の意思に影響を与える可能性のある「安全性情報に関する報告書」(書式16又は(医)書式16)の記載事項を知り、改訂が必要と認めた場合、又は治験審査委員会の所見に基づく「治験審査結果通知書」(書式5又は
(医)書式5)、若しくは「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式1又は(医)参考書式1)によって修正が求められた場合には同意文書及び説明文書の改訂を行 う。
(6) 治験責任医師は、作成又は改訂した同意文書及び説明文書等について治験審査委員会の承認を得る。また、企業治験等の場合は、治験依頼者にそれを提供する。
5.治験分担医師及び治験協力者の指名
(1) 治験責任医師は、企業治験等の場合にあっては、治験依頼者及び病院長に、医師主導治験の場合にあっては、病院長に、治験責任医師の最新の「履歴書」(書式1又
は(医)書式1)を提出する。求めがあった場合は、治験分担医師の最新の「履歴書」(書式1又は(医)書式1)を上記と同様に提出する。
(2) 治験責任医師は、治験等関連の重要な業務の一部を治験分担医師及び治験協力者に分担させる場合には、「治験分担医師・治験協力者リスト」(書式2又は(医)書式2)を作成したうえで、治験事務局を通じて病院長に提出し、了承を得る。このリストを変更する場合も同様とする。
6.治験等の申請(新規・変更・継続)
(1) 治験責任医師は、治験等の申請(新規)を行う際、治験等申請時の提出資料リストに基づき、「治験依頼書」(書式3)又は「治験実施申請書」((医)書式3)、治験責任医師の「履歴書」(書式1又は(医)書式1)、同意文書、説明文書、被験者の募集手順(広告等)に関する資料及びその他の資料を綴って治験事務局に提出する。治験分担医師の「履歴書」(書式1又は(医)書式1)は、求めに応じて提出する。
なお、企業治験等の場合は、治験依頼者を通じて治験事務局に提出する。
(2) 治験責任医師は、(1)において提出した資料が追加、更新又は改訂された場合は、そのすべての資料と「治験に関する変更申請書」(書式10又は(医)書式10)を治験事務局に提出する。
(3) 治験責任医師は、治験審査委員会にて治験等の継続審査を受ける際には、「治験実施状況報告書」(書式11又は(医)書式11)を最低年1回治験事務局に提出する。
7.治験等の実施等の了承
治験責任医師は、病院長からの「治験審査結果通知書」(書式5又は(医)書式
5)又は「治験に関する指示・決定通知書」(参考書式1又は(医)参考書式1)に従って、治験等の実施、継続、変更、中止又は中断を行う。
8.被験者の選定
治験責任医師又は治験分担医師は、次に掲げるところにより被験者を選定する。
(1) 人権保護の観点及び治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験等への参加の有無等を考慮のうえ、治験等への参加を求めることの適否について慎重に検討する。
(2) 同意能力を欠く者にあっては、治験等の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、選定しない。
(3) 以下に示すような社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合は、特に慎重な配
慮を払う。
1) 階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員、被拘禁者等
2) 不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未xx者及び治験等参加への同意を表明する能力のない者等
9.被験者の同意の取得
(1) 治験責任医師又は治験分担医師は、企業治験等の場合は、治験等契約締結の前に、被験者を治験等に参加させてはならない。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験等に参加する前に、被験者に対し以下の点に留意しながら同意文書及び説明文書等を用いて十分説明を行う。
1) 被験者の治験等への参加又は治験等への参加の継続に関し、被験者に強制又は不当な影響を及ぼさないこと
2) 口頭及び文書による説明を行う際は、本手順書4の(4)に従うこと
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者から同意を得る前に被験者が質問する機会と治験等に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与える。
(4) 治験責任医師又は治験分担医師及び治験協力者は、被験者からのすべての質問に対して、被験者が満足するように回答する。
(5) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者(又は代諾者)が治験等に参加する前 に、被験者(又は代諾者)から治験等への参加について、自由意思による同意を文書で得る。
ただし、被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、被験者が同意文書・説明文書等を読めない場合及び緊急状況下における救命的治験の場合については、GCP省令第50条第2項及び第4項、第52条第3項及び第4項並びに第
55条を順守する。
(6) 被験者に対して説明を行った治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の同意文書に署名、捺印を行い、日付を記す。
(7) 治験協力者が被験者に対して補足説明を行った場合には、治験協力者も被験者の同意文書に署名、捺印を行い、日付を記す。
(8) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験等に参加する前に、(1)から(7)の規定に従って署名、捺印及び日付を記入した同意文書及び説明文書を被験者に渡す。
(9) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験等を開始する前に、被験者に他の主治医がいるかどうかを確認し、被験者に他の主治医がいる場合には、被験者の同意のもと に、他の主治医に被験者の治験等への参加について知らせ、他の主治医から被験者に関する情報を得るとともに被験者の治験等への参加について協議する。
(10) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験等に参加している間に、被験者の同意に関連しうる新たな重要な情報が得られた場合、以下のように対応する。
1) 被験者に当該情報を速やかに伝え、治験等に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認する。
2) 被験者に対する説明内容及びその結果を文書に記録する。
3) 当該情報に基づき速やかに同意文書及び説明文書等を改訂し、本手順書6の(2)により治験審査委員会の承認を得る。
4) 被験者に改訂された同意文書及び説明文書等を用いて改めて説明し、治験等への参加の継続について自由意思による同意を文書により得る。
(11) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験等の途中で参加を取りやめようとする又は取りやめた場合、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、被験者の権利を十分尊重したうえで、その理由を確認するための適切な努力を払う。
(12) 治験責任医師又は治験分担医師は、企業治験等の場合は、被験者又は代諾者等からの文書による同意取得方法について、治験等を開始する前に治験依頼者とあらかじめ協議、決定した方法で取得する。
10.被験者に対する医療
(1) 治験責任医師は、治験等に関連する医療上のすべての判断に責任を負う。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の治験等参加期間中及びその後を通じ、治験等に関連した臨床上問題となるすべての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証する。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験等に関連した臨床上問題となる有害事象が被験者に発生し、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えるとともに、直ちに適切な医療を行う。
(4) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせる。
11.治験等の実施
(1) 治験責任医師は、企業治験等の場合は、治験等の実施に先立ち、治験依頼者より症例報告書の変更、修正の手引きを入手するとともに、治験契約書の内容を確認し、契約書に所属長の記名押印を得る。
なお、契約内容については、変更契約、覚書の場合も同様に確認する。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、GCP等並びに治験実施計画書を遵守して治験等を実施する。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、適切な設備等を利用し、治験等を実施する。
(4) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等を指導、監督する。
(5) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書に従って治験薬を使用する。
(6) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示を行う。
(7) 治験責任医師又は治験分担医師は、同意取得時あるいは初回処方時に同意文書及び説明文書(病院長用)を治験事務局に提出する。
(8) 治験責任医師又は治験分担医師は、各被験者が説明された指示により正しく治験薬を使用しているか否か治験実施計画書を考慮した適切な間隔で確認する。
(9) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験関連データを報告する際は、個人情報を保護するために当該個人情報を被験者識別コードで特定する。ただし、適用される個人情報保護制度において、正当な理由が認められる場合は、この限りでない。
12.モニタリング、監査及び調査への協力
(1) 治験責任医師又は治験分担医師及び治験協力者は、治験事務局と相談のうえ、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が指名した者によるモニタリング及び監査を受け入れ協力する。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師及び治験協力者は、治験審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れ協力する。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師及び治験協力者は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等のすべての治験等関連記録を直接閲覧に供する。
13.緊急の危険回避のための治験実施計画書からの逸脱等
(1) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ない場合のみ治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為をすべて記録する。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ず治験実施計画書からの逸脱を行った場合、以下のように対応する。
1) 逸脱又は変更の内容及び理由等を説明するための「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」(書式8又は(医)書式8)を作成する。
2) 治験実施計画書の改訂が適切な場合には、治験依頼者の協力を得て治験実施計画書の改訂案を作成する。
3) 「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書」
(書式8又は(医)書式8)及び治験実施計画書の改訂案を治験依頼者及び治験事務局又は治験事務局を通じて病院長に提出する。
4) 病院長は、治験依頼者に対し、「緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書」(書式9)の提出を要請する。
5) 病院長は、3)、4)の報告書と通知書の写し並びに治験実施計画書改訂案を「治験審査依頼書」(書式4)とともに治験審査委員会に提出して、治験の継続の適否について意見を求め、治験責任医師及び治験依頼者に結果を通知するものとする。
6) 緊急回避のための治験実施計画書からの逸脱又は変更に関する治験依頼者及び病院長の承認を得たうえで治験を継続することができる。
14.重篤な有害事象の発生等
(1) 治験責任医師は、重篤な有害事象の発生を認めたときは、そのすべてを企業治験等の場合にあっては、「重篤な有害事象に関する報告書」(書式12、13、14、
15、19、20)により、医師主導治験の場合にあっては、「重篤な有害事象に関する報告書」((医)書式12、14、19)により、治験事務局に直ちに報告する。治験責任医師は、重篤な有害事象を以下に示す基準に従って特定する。
1) 死亡
2) 死亡につながるおそれのある症例
3) 治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
4) 障害
5) 障害につながるおそれのある症例
6) 1)から5)までに掲げる症例に準じて重篤である症例
7) 後世代における先天性の疾病又は異常
(2) 治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、すべての重篤な有害事象を治験等依頼者に緊急報告する。
(3) 治験責任医師は、緊急報告の後、企業治験等の場合にあっては、治験依頼者及び治験事務局に「重篤な有害事象に関する報告書」(書式12、13、14、15、1
9、20、及び詳細記載用書式(別書式の場合は要協議))で、医師主導治験の場合にあっては、「重篤な有害事象に関する報告書」((医)書式12、14、1
9、及び(医)詳細記載用書式(別書式の場合は要協議))で、詳細な報告を行う。
(4) 治験責任医師は、治験実施計画書において治験薬の安全性評価のために重要であると規定された有害事象を、治験実施計画書で規定された報告要件及び期限を守って治験依頼者に報告する。
(5) 治験責任医師は、報告した死亡例を含む重篤な有害事象又は副作用について、治験依頼者、治験事務局及び治験審査委員会から追加の情報(剖検報告書、末期の医療記録及びその他必要とされる情報)を要求された場合にはこれらに提出する。
15.症例報告書等の作成及び報告
(1) 治験責任医師又は治験分担医師は、観察・検査ごとに症例報告書に記入し、作成後速やかに治験依頼者に提出するとともに(企業治験等の場合に限る。)、その写しを保存する。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書の規定に従い、症例報告書を正確、完全で、読みやすいように作成し、これにその日付及び氏名を記載する。
(3) 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書の内容を確認し、これにその日付及び氏名を記載する。
(4) 治験責任医師は、症例報告書中のデータが原資料と何らかの矛盾がある場合には、その理由を説明する記録を作成し、治験依頼者に提出するとともに(企業治験等の場合に限る。)、その写しを保存する。
(5) 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を変更又は修正する場合には、症例報告書の変更、修正の手引きに従う。
(6) 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を変更又は修正したときはこれにその日付及び氏名を記載する。なお、重大な変更又は修正を行う場合には変更理由も記入する。
(7) 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を変更又は修正する場合には、当初の記載内容を不明瞭にしない。
(8) 治験責任医師は、医薬品の承認申請に用いるために治験の中間報告書が作成される場合、症例報告書を点検し、内容を確認した上で、これにその日付及び氏名を記載する。
(9) 治験責任医師等は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が準備した電子データ処理システムに対して症例報告書に係る個別試験のデータを入力することもできる。この場合、治験責任医師は、入力した個別試験のデータを点検し、内容を確認した上で、これを保証する。
(10) 電子カルテシステム等から治験依頼者又は自ら治験を実施する者が準備した電子データ処理システムに対して個別試験のデータを移行させる仕組みを構築する場 合、又は構築した仕組みを変更する場合には、あらかじめ適切なシステムバリデーションを行い、正確、かつ完全に移行できることを保証する。また、治験責任医師は、個別試験ごとに移行されたデータの内容を点検し、問題がないことを確認し、保証するとともに、治験依頼者の電子データ処理システムに対して移行されたデータ及び保証した記録を保存する。
16.治験薬投与終了、中止又は中断
(1) 治験責任医師は、治験薬投与を終了した場合には、その旨及びその結果の概要を記載した「治験薬投与終了(中止・中断)報告書」(奈医書式2又は(医)奈医書式
2)を速やかに治験薬管理者に提出する。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者からの新たな安全性情報等により治験薬投与を中止又は中断した場合には、被験者に対し速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を行う。
(3) 治験責任医師は、自ら治験薬投与を中止又は中断した場合には、「治験薬投与終了
(中止・中断)報告書」(奈医書式2又は(医)奈医書式2)を速やかに治験薬管理者に提出する。
(4) 治験責任医師は、治験審査委員会の指示、決定により治験薬投与を中止又は中断した場合には、「治験薬投与終了(中止・中断)報告書」(奈医書式2又は(医)奈医書式2)を速やかに治験薬管理者に提出する。
17.治験の終了、中止又は中断
(1) 治験責任医師は、治験等を終了した場合には、その旨及びその結果の概要を記載した「治験終了(中止・中断)報告書」(書式17又は(医)書式17)を速やかに治験事務局を通じて病院長に提出する。
(2) 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者が新たな安全性情報等により治験等を中止又は中断した場合には、被験者に対し速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び「治験終了(中止・中断)報告書」(書式17又は(医)書式1
7)を速やかに治験事務局を通じて病院長に提出する。
(3) 治験責任医師は、自ら治験等を中止又は中断した場合には、「治験終了(中止・中断)報告書」(書式17又は(医)書式17)を速やかに治験事務局を通じて病院長に提出する。
(4) 治験責任医師は、治験審査委員会の指示、決定により治験等を中止又は中断した場合には、「治験終了(中止・中断)報告書」(書式17又は(医)書式17)を速やかに治験事務局を通じて病院長に提出する。
18.治験責任医師等の教育及び訓練
治験責任医師又は治験分担医師は、以下のような教育及び訓練を受ける。
1) 学会等への参加による基礎的、専門的知識の習得
2) GCP関連知識の習得
3) 治験実施計画書等に関する知識の習得
19.作成・改訂の経緯
この手順書は、少なくとも年に1回治験事務局により見直しを行い、必要に応じて改訂し、病院長の承認を得る。その場合、改訂日及び改訂版数を記す。
20.適用時期
この手順書は2022年4月1日から施行する。
(改訂履歴)
第1版 平成11(1999)年 4月 1日施行第2版 平成12(2000)年 3月14日改正第3版 平成15(2003)年 4月 1日改正第4版 平成15(2003)年10月22日改正第5版 平成18(2006)年 4月 1日改正第6版 平成19(2007)年 3月 1日改正第7版 平成21(2009)年 4月 1日改正第8版 平成22(2010)年12月 1日改正第9版 平成23(2011)年11月15日改正第10版 平成24(2012)年 5月 1日改正第11版 平成25(2013)年 4月 1日改正第12版 平成27(2015)年 4月 1日改正第13版 平成29(2017)年 4月 1日改正第14版 平成30(2018)年 8月14日改正第15版 平成31(2019)年 4月 1日改正第16版 令和 2(2020)年 4月 1日改正第17版 令和 3(2021)年 4月 1日改正第18版 令和 4(2022)年 4月 1日改正