⼀般社団法⼈⾯会交流⽀援全国協会 ACCSJ ガイドライン 102
⼀般社団法⼈⾯会交流⽀援全国協会 ACCSJ ガイドライン 102
ACCSJ ⾯会交流⽀援における安全の確保に関するガイドライン
構成:
1 ⾯会交流⽀援における安全に関する基本的な考え⽅
2 利⽤者の遵守事項と契約の締結
3 危険を回避するための事前準備と対応
1 ⾯会交流⽀援における安全に関する基本的な考え⽅
1.1 はじめに
本⽂書は,⾯会交流⽀援全国協会(♙CCSJ)が定める ♙CCSJ 基準〔第2次案〕「1.⾯会交流⽀援の基本的な⽬的」「11.⾯会交流⽀援における安全の確保」において求められている⾯会交流における安全を図るための ♙CCSJ ガイドラインです。
1.2 安全確保のための基本的な考え⽅
⾯会交流が⼦どものためにあり,⼦どもの安全と安⼼が図られなければならないことは当然ですが,♙CCSJ 基準は,⼦どものみならず,利⽤者や⽀援者,⾯会交流に携わる全ての者の安全が図られることを求めています。安全の確保は,⾯会交流⽀援者が実現しなければならない最優先事項であり,危険や安全が損なわれる可能性を確認した際には,⽀援者は,何よりも優先して,関係者全員の安全の確保を図ります。安全で安⼼な⾯会交流の実現は,⼦の福祉を実現する上で重要です。⼦どもが何らかの恐怖親を抱いていると感じる際には,⽀援者は,⼦どもの安⼼のために対応します。⼦どもや利⽤者と接する⽀援者には,児童虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)への正確な理解が求められます。児童虐待や DV については,「♙CCSJ 児童虐待およびドメスティック・バイオレンス(仮)」に関するハンドブックを参照してください。
利⽤者が,事前に⽰され合意した遵守事項を守ることで,⾯会交流における安全が確保されます。過去にドメスティック・バイオレンスや児童虐待等がある場合でも,利⽤者を加害者としてみるのではなく,あくまでも,⾯会交流の当事者としてxxに接し,⽀援者は,利
⽤者に遵守事項の履⾏を求めます。遵守事項違反があった場合には,違反⾏為の中⽌を指⽰し,その指⽰に従わなかった際に実施中の⾯会交流を中⽌したり,利⽤契約を終了させるなどの対応を⾏います。
2 利⽤者の遵守事項と契約の締結
2.1 利⽤契約と利⽤者の遵守事項
利⽤契約に,⾯会交流の際に安全性を損ねるような⾏為について遵守事項(禁⽌事項)として定めます。加えて,⾯会交流実施中に遵守事項が守られなかった際には,⾯会交流が中
⽌されることも定めておきましょう。遵守事項を守らないことは,契約違反となり,利⽤契約を終了させる(⾯会交流⽀援を打ち切る)根拠となります。遵守事項として,次のような
⾏為が含まれます。
① 連れ去りを防⽌するための条項
⾯会交流の機会を利⽤して⼦どもが連れ去られることを防⽌する必要があるため,「⼦どもを連れ去らないこと」を遵守事項にします。⼀⽅で,親権や⼦の養育に関する取り決めで
⾼xxにある利⽤者間は,「連れ去り」という⾔葉に敏感です。そのため,「集合の時刻や⾯会交流の時間を厳守すること」,「⼦どもとの交流は⽀援者の⽬の届く範囲で⾏うこと」など,具体的に連れ去りを防⽌するための遵守事項を設定することができます。
②暴⾔・暴⼒・威圧的⾔動の禁⽌
⼦どもに対する暴⾔や暴⼒のみならず,⽀援者や他⽅利⽤者に対する暴⾔や暴⼒,威圧的
⾔動を禁⽌して,安⼼・安全な⾯会交流を実現します。。⼦ども,他⽅利⽤者,⽀援団体および関係者に対して暴⾔・暴⼒・威圧的⾏動をしないこと,を遵守事項とします。
③⾯会交流の条件や内容を守ること
各⾯会交流の実施のために,集合時刻や集合場所,⾯会交流時間,プレゼントなどの取扱いについて詳細を取り決めます。その取り決めた詳細に従うことを遵守事項として定めておきます。
④⽀援者の指⽰に従うこと
利⽤者と⽀援者は,⼦どものための⾯会交流を実現するためのパートナーであり,主従の関係に⽴ちません。しかし,遵守事項を破るなどの問題が起きた際に,⽀援者が対応しやすくするために,⽀援者の指⽰に従うことを遵守事項としておくとよいでしょう。
2.2 利⽤契約の締結
利⽤契約を締結する前に,必ず,遵守事項については⼝頭で利⽤者に説明をして,内容を理解しているかを確認します。利⽤者の理解を確認できたら,利⽤契約を締結します。契約は,⼝頭でも成⽴しますが,書⾯にしたり,利⽤者の意思を確認することができるメールのやり取り,本⼈を確認できるインターネット・フォームによる申込み等で⾏い,契約が締結されたことがわかるようにします。利⽤契約は,同居親と別居親のそれぞれと⽀援団体が締結します。
3 危険を回避するための事前準備と対応
3.1 事前の準備
⾯会交流⽀援を⾏うための事前の準備として,最寄りの警察署,福祉機関(児童相談所など)の電話番号を調べておきます。安全を図るための対応は,全て者が責任をもって対応すべきことですが,判断に迷うこともあります。現場にいる⽀援者が数⼈いる場合には,まずは⽀援者間で相談することになりますが,⽀援団体の管理者等,スーパーバイザーやマネージャーが別にいる場合には,電話等で相談できるように,連絡先を確認しておきます。安全を図るための連絡先は,⾯会交流⽀援に携わるボランティアを含む全員が,事前のミーティングなどで確認をします。
3.2 問題が起きた際の対応
(1)遵守事項違反に対する対応
利⽤者が遵守事項を守らず,禁⽌されている⾏為を⾏っている場合,あるいは,⾏う危険があると察した場合には,利⽤契約書の内容を⽰して,利⽤者にそのような⾏為が契約から禁⽌されていることを伝えます。禁⽌⾏為である旨伝えたにもかかわらず,利⽤者がその⾏為をやめない場合には,⾯会交流実施中には⾯会交流を制限すること,また,繰り返される場合には⽀援を打ち切ることを伝えます。それでも禁⽌⾏為が継続される場合には,直接的な危険がなくても,実施されている⾯会交流を中⽌しましょう。
⾯会交流中の利⽤者が決められた時間に指定の場所に戻ってこず,⼦どもの場所を確認できない場合や,⽀援者が⾯会交流中に⾒失うという事態が発⽣した場合には,⾯会交流中の利⽤者に連絡し,⼦どもの安全を確認できる場所に⼦どもを連れて戻ってくるように指
⽰します。利⽤者がそれに従わない場合や,⾯会交流中の利⽤者と連絡が取れない場合には,すぐに同居親に連絡します。同居親は,必要があれば警察に連絡するなどの措置をとります。緊急性を判断して,⽀援者が警察に連絡することも考えられます。
利⽤契約の遵守は,安全を確保する上で重要です。合理的な理由なく安易に例外を認めることは避けましょう。遵守事項に違反する⾏為が繰り返される場合には,契約違反を理由に利⽤契約を終了させ,⽀援を打ち切ります。
(2)危険を察した際の対応
暴⾔,暴⼒など,直接的な危険がある場合には,⼦どもを含む全員の安全を確保して,すぐに最寄りの警察に連絡をして助けを呼びます。⾯会交流を実施する場所が特定されている場合には,⽇頃から最寄りの警察に⾯会交流⽀援について話をしておくと,緊急時の対応がスムーズに進みます。
遵守事項違反に限らず,安全が脅かされると判断する場合には,安全を図るための対応を最優先にしましょう。たとえば,利⽤者ではない第三者の暴⼒があった場合や,地震や⽕事など,予期しない危険もあります。また,⽀援者⾃⾝の安全の確保も忘れてはいけません。
⽀援者や周辺の⼈に対する暴⾔であったとしても,暴⾔は暴⼒等の危険な⾏為に繋がっていきます。利⽤者との⼈間関係から他機関への連絡を⼾惑うことも考えられますが,安全の確保が最も優先される事項であることを確認して,まずは助けを求めて連絡や通知を⾏いましょう。安全確保に向けた改善が⾒込めず安全が確保できない場合には,利⽤契約を終了させ,⽀援を打ち切ります。
(3)児童虐待などの疑いがある場合
⼦どもに不⾃然な痣があったり,⼦どもの様⼦から,ネグレクトをはじめとする児童虐待が疑われる場合には,児童相談所など関係する福祉機関に連絡を⾏いましょう。児童相談所は,⼦どもの福祉を図る機関として親との協⼒関係も重視しています。躊躇せずに連絡して
⼦どもの保護や⼦育て⽀援に繋げるようにしましょう。
*児童相談所への連絡には,全国統⼀ダイヤル「189」が便利です。各地域の児童相談所への連絡が可能となります。
3.3 団体内ガイドラインの作成
3.1 に⽰した事前に調べた連絡先や,団体内での危険に対応する⼿順,3.2 に⽰した対応を,団体内の⼿引き書やチャートにして,⽀援者およびその他のスタッフがいつでも内容を確認できるようにしておきます。このような団体内の安全確保のためのガイドラインは,
「♙CCSJ 基準 6.⑦」で求められている事項ですので,必ず作成しましょう。附則 本ガイドラインは,2022 年 9 ⽉ 23 ⽇より適⽤する。
以上