Contract
三重大学医学部附属病院における医薬品等の受託研究に関する取扱規程
第1章 趣旨及び原則
(趣旨)
第1条 三重大学医学部附属病院(以下「附属病院」という。)における医薬品等及び医療機器
(以下「医薬品等」という。)の受託研究(以下「治験」という。)の取扱いに関し必要な事項は,国立大学法人三重大学受託研究規程(以下「受託研究規程」という。)に定めるもののほか,この規程の定めるところによる。
(治験実施の原則)
第2条 治験は,次の各号に掲げる原則に従って実施されなければならない。
一 治験は,ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則,医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9 年厚生省令第 28 号)(以下「GCP省令」という。),医療機器の臨床試験の実
施の基準に関する省令(平成 17 年厚生労働省令第 36 号)(以下「医療機器GCP省令」という。)及びその他関係通知を遵守して行わなければならない。
二 治験を開始する前に,個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り,治験を開始し継続すべきである。
三 被験者の人権,安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり,科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
四 治験薬及び治験機器(以下「治験薬等」という。)に関して,その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
五 治験は科学的に妥当でなければならず,治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
六 治験は,第4条第1項に規定する委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。
七 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は,医師又は歯科医師が常に負うべきものである。
八 治験の実施に関与する者は, 教育, 訓練及び経験により,その業務を十分に遂行しうる要件を満たさなくてはならない。
九 全ての被験者から,治験に参加する前に, 自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
十 治験に関する全ての情報は,正確な報告, 解釈及び検証が可能なように記録し,取扱い及び保存しなければならない。
十一 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は,被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
十二 治験薬等の製造,取扱い,保管及び管理は,医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準及び医療機器の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)に準拠して行うものとし,治験薬等の使用は,第4条第1項に規定する委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して行わなければならない。
十三 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが運用されなければならない。
十四 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には,過失によるものであるか否かを問わず, 被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際,因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
第2章 適用範囲
(適用範囲)
第3条 この規程は,医薬品等の製造(販売)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用するものとする。
2 製造業者等が,治験若しくは使用成績調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し,又は診察においては得られない品質,有効性及び安全性に関する情報を収集するため,当該医薬品等について薬事法第14条及び第19条の2の承認に係る用法,用量,効能及び効果に従い行う試験を行う場合には,この規程中「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と読み替えて適用するものとする。
第3章 病院長の業務等
(治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置)
第4条 国立大学法人三重大学医学部附属病院長(以下「病院長」という。)は,治験を行うことの適否その他治験に関する調査及び審議を行わせるため,附属病院に三重大学医学部附属病院医薬品等受託研究審査委員会(以下「治験審査委員会」という。)を設置するものとする。
2 病院長は,治験審査委員会の委員を指名又は委嘱し,治験審査委員会の運営の手続き及び記録の保存等に関し必要な事項を別に定めるものとする。
3 病院長は,自らが設置した治験審査委員会に出席することはできるが,委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。
4 病院長は,治験審査委員会の業務の円滑化を図るため,治験審査委員会事務局を設置するものとする。
5 病院長は,治験審査委員会の内規,委員名簿及び会議の記録の概要を公表するものとする。
6 病院長は,特定非営利活動法人「みえ治験医療ネット」と連携して実施する臨床試験について, 県下医療機関から審査の依頼を受けた場合は,治験審査委員会に意見を求めることができる。ただし,取扱いは本規程に準ずるものとする。
7 病院長は, 院内にて実施する臨床研究について, 審査の依頼を受けた場合は, 治験審査委員会に意見を求めることができる。ただし,取扱いは本規程に準ずるものとする。
(申請等の書類)
第5条 病院長は,当該治験に係る治験責任医師と治験依頼者との協議に基づき,治験実施計画書案, 症例報告書案(治験実施計画書において記載事項が十分に読み取れる場合は不要)及び説明文書・同意文書案等の内容について,文書による合意が成立した後,治験依頼者に,治験依頼書(書式3)に治験実施計画書等審査に必要な資料を添付の上提出させるものとする。
(治験実施の了承等)
第6条 病院長は,治験の実施を了承する前に,治験審査依頼書(書式4)に治験実施計画書等の審査の対象となる文書を添付の上治験審査委員会に提出し,治験の実施について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は,治験審査委員会が治験の実施を承認し,又は治験実施計画書,症例報告書,説明文書・同意文書及びその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認し,その旨を通知してきた場合は,これに基づく病院長の指示・決定を,治験審査結果通知書(書式5)により治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
3 病院長は,治験審査委員会が,修正を条件に治験の実施を承認し,この旨の通知に基づき,治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画書等を修正した場合には,治験実施計画書等修正報告書(書式6)及び必要な資料を提出させるものとする。また,提出された治験実施計画書等修正報告書(書式6)の写しと必要な資料を治験審査委員会に提出し,修正事項の確認を求めるものとする。
4 病院長は,治験審査委員会が,治験の実施を却下する決定をし,その旨を通知してきた場合は,治験の実施を了承できない旨の病院長の決定を,治験審査結果通知書(書式5)により治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
5 病院長は,治験依頼者から治験審査委員会の審査結果を確認するために,審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には,これに応じなければならない。
(業務の委託等)
第7条 病院長は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には,以下に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契約を締結しなければならない。
一 当該業務に係る業務の範囲
二 当該委託に係る業務の手順に関する事項(委託された業務を病院にて担当する適格性の確認を含む)
三 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを病院長の指定する者が確認することができる旨
四 当該受託者に対する指示に関する事項
五 前項の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを病院長の指定する者が確認することができる旨
六 当該受託者が病院長に対して行う報告に関する事項七 秘密の保全に関する事項
八 受託者の業務により生じた,治験に係る被験者に生じた健康被害の補償に関する事項九 その他当該委託に係る業務について必要な事項
(治験分担医師又は治験協力者の了承)
第8条 病院長は,事前に治験責任医師から提出された治験分担医師・治験協力者リスト(書式
2)に基づき,治験実施の了承後,速やかに治験関連の重要な業務の一部を分担又は協力させる者の了承を行うものとする。
2 病院長は,前項の了承の内容を,治験分担医師・治験協力者リスト(書式2)により治験責任医師にまたその写しを治験依頼者に通知するとともに,その写しを保存しなければならない。
(治験の継続等)
第9条 病院長は,実施中の治験において少なくとも年1回,治験責任医師に治験実施状況報告書(書式11)を提出させ,治験審査依頼書(書式4)及び治験実施状況報告書(書式11)の写しを治験審査委員会に提出し,治験の継続について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は,治験審査委員会の審査結果に基づく治験の継続についての病院長の指示・決定を,治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。修正を条件に承認する場合は,第6条第3項に準じるものとする。
3 病院長は,治験審査委員会が実施期間中の治験の継続審査等において,治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。)の決定を下し,その旨を通知してきた場合は,これに基づく病院長の指示・決定を,治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
4 病院長は,治験依頼者から治験審査委員会の継続審査等の結果を確認するために,審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には,これに応じなければならない。
(治験実施計画の変更)
第10条 病院長は,治験期間中,治験審査委員会の審査対象となる文書が追加,更新又は改訂された場合は,治験責任医師又は治験依頼者から,それらの当該文書のすべてを速やかに提出
させるものとする。ただし、治験実施計画書の分冊(治験実施計画書に記載すべき実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師の氏名及び職名並びに実施医療機関を担当するモニターの氏名、職名及び電話番号等)については当院に係るもののみを提出させるものとする。
2 病院長は,治験依頼者及び治験責任医師から治験に関する変更申請書(書式10)の提出があった場合は,治験の継続の可否について,治験審査委員会の意見を求め,病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
(治験実施計画書からの逸脱)
第11条 病院長は,治験責任医師から緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8)の提出があった場合は,治験依頼者に緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式9)を提出させるとともに,治験審査委員会の意見を求め,病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
(重篤な有害事象の発生)
第12条 病院長は,治験責任医師から重篤な有害事象に関する報告書(書式12-1及び12
-2),有害事象に関する報告書(書式13-1及び13-2),重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式14)又は有害事象及び不具合に関する報告書(書式15)の提出があった場合は,治験責任医師が判定した治験薬等との因果関係並びに予測性の特定による,又は重篤で予測できない副作用及び不具合(以下「副作用等」という。)による治験の継続の可否について,治験審査委員会の意見を求め,病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
(重大な新たな安全性に関する情報の入手)
第13条 病院長は,治験依頼者から安全性情報等に関する報告書(書式16)を入手した場合は,治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め,病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(書式5)により,治験依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
2 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な新たな情報には,次のものが含まれる。
一 附属病院以外の治験実施医療機関又は海外で発生した重篤な副作用等の情報二 予測できる重篤な副作用等の発現頻度の増加の情報
三 生命を脅かすような疾患に使用される治験薬等が,その効果を有さないなどの情報
四 変異原性,がん原性あるいは催奇形性など,被験者に重大な危険を示唆する成績の情報
(異議申立手続き)
第14条 病院長は,治験審査委員会の決定に基づき,治験審査結果通知書(書式5)により治験依頼者及び治験責任医師に通知した後,その通知の内容に対して治験依頼者及び治験責任医師から異議申立書(本院書式1)が提出された場合には,速やかに治験審査委員会に対して意見を求めることとする。
(治験の中止, 中断及び終了)
第15条 病院長は,治験依頼者が治験の中止若しくは中断,又は治験薬等の開発中止を決定し,その旨を開発の中止等に関する報告書(書式18)で報告してきた場合は,治験審査委員会及び治験責任医師に対し,速やかにその写しにより通知するものとする。なお,開発の中止等に関する報告書(書式18)には,中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。また,病院長は,この場合,速やかに治験責任医師に治験終了(中止・中断)報告書(書式17)を提出させ,その写しにより治験審査委員会及び治験依頼者に通知するものとする。
2 病院長は,治験責任医師が治験を中止又は中断し,その旨を治験終了(中止・中断)報告書
(書式17)で報告してきた場合は,その写しにより治験審査委員会及び治験依頼者に通知す
るものとする。
3 病院長は,治験責任医師が治験の終了を治験終了(中止・中断)報告書(書式17)で報告してきた場合は,その写しにより治験審査委員会及び治験依頼者に通知するものとする。
4 病院長は,治験の契約期限が過ぎた場合は,治験責任医師に治験終了(中止・中断)報告書
(書式17)を提出させ,その写しにより治験審査委員会及び治験依頼者に通知するものとする。
第4章 モニタリング及び監査
第16条 病院長は,治験依頼者又は治験依頼者が一部業務を委託した者(以下「委託者」という。)によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査(以下「モニタリング等」という。)を受入れるものとする。これらの場合には,モニター,監査担当者,治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ,原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
2 治験依頼者又は委託者がモニタリング及び監査を行おうとする場合は,原則として実施予定日の5日前までに直接閲覧実施連絡票(参考書式2)を臨床研究開発センターに提出するものとする。
3 モニター及び監査担当者は委託者に属する者でなければならない。
4 病院長は,必要に応じてモニタリング及び監査を行おうとする者に,モニタリング及び監査に関する手順書を提出させることができる。
5 治験責任医師及び第29条第2項に掲げる記録保存責任者は,モニタリング等の申込内容に応じて,モニタリング等の実施日までに当該治験の診療録等必要な資料を用意するものとする。
6 モニタリング等の実施に当たっては,治験責任医師,治験分担医師,治験協力者,治験薬等管理者,記録保存責任者及び臨床研究開発センター職員等の中から,適当な1名以上の立会人を置き,被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して実施しなければならない。
7 モニタリング等の実施に当たっては,被験者のプライバシー保護のため,被験者個人に係る原資料の貸し出し及び複写は原則として認めないものとする。ただし,治験実施計画書に記載され,治験審査委員会において承認されている場合においてはこの限りではない。
8 病院長は,モニタリング及び監査終了後,モニター及び監査担当者に,モニタリング及び監査報告書を提出させることができる。
9 病院長,治験責任医師,治験分担医師,治験協力者,治験薬等管理者,記録保存責任者及び臨床研究開発センター職員等は,モニタリング等において指摘された問題事項について速やかに対応しなければならない。
第5章 契約及び経費
(契約要件等)
第17条 病院長が治験審査委員会の審査結果に基づいて治験の実施を了承した後,委託者と病院長により契約を締結し,双方が記名又は署名し,捺印と日付を付すものとする。
2 治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合は,第6条第3項の治験実施計画書等修正報告書(書式6)により病院長が修正したことを確認した後に契約を締結するものとする。
3 契約書の内容を変更する際は,別に定める覚書等で締結するものとする。
4 病院長は,治験の契約を行うに当たり,受託研究規程第7条第1項各号に規定するもののほか,職員の故意又は重大な過失による場合を除き,被験者に損害が発生した場合の損害賠償については,委託者が負担する旨の条件を付さなければならない。
5 委託者は,治験に要する経費を治験に関する契約を締結後,本学の発行する請求書により所
定の納付期限までに納付しなければならない。
(経費)
第18条 治験に要する経費は,別に定める算出基準によるものとする。
(被験者負担軽減措置)
第19条 病院長は,被験者の治験参加に伴う物心両面の種々の負担を勘案し,別に定める金額を被験者に支払い,負担を軽減するものとする。ただし,被験者が金額の受け取りを拒否した場合はこの限りでない。
2 被験者への支払いは,原則として被験者本人名義の口座に振込むものとする。
3 被験者の来院確認は,臨床研究開発センターが行うものとする。
第6章 治験責任医師等の業務等
(治験責任医師の要件)
第20条 治験責任医師は,次の各号に定める要件を満たす者でなければならない。
一 教育・訓練及び経験によって,治験を適正に実施しうる者でなければならない。また,治験責任医師は,このことを証明する最新の履歴書(書式1)及びその他の適切な文書並びに治験分担医師を置く場合は,当該治験分担医師の氏名リストを,治験依頼者に提出するものとする。
二 治験依頼者と合意した治験実施計画書,最新の治験薬等概要書,製品情報及び治験依頼者から提供されたその他の文書に記載されている治験薬等の適切な使用法に十分精通していなければならない。
三 合意された期間内に治験を適正に実施し,終了するに足る時間を有していなければならない。
四 合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
五 治験を適正かつ安全に実施するため,治験の予定期間中に必要な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格な要員を確保でき,また適切な設備を利用できなければならない。
六 第2条第1号に規定する治験に係る法令等を熟知し,理解していなければならない。
(治験責任医師の責務)
第21条 治験責任医師は,次の各号に掲げる事項を誠実に履行しなければならない。
一 治験実施計画書の被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者の選定にあたっては,人権保護の観点から及び当該治験の目的に応じ,健康状態,症状,年齢,性別,同意能力,治験担当医師等との依存関係,他の治験への参加の有無等を考慮し,治験に参加を求めることの適否を慎重に検討しなければならない。
二 同意能力を欠く者については,当該治験の目的上,被験者とすることがやむを得ない場合を除き,原則として被験者としてはならない。
三 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には,特に慎重な配慮を払わなくてはならない。
四 治験実施計画書等について治験依頼者と合意する前に,治験依頼者から提供される治験実 施計画書案及び最新の治験薬等概要書その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し,当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分に検討しなければならない。治験実施計画書等が改訂される場合も同じである。
五 治験実施の申請をする前に,治験依頼者の協力を得て,被験者から当該治験の参加を求める際に用いる説明文書を作成しなければならない。
六 治験関連業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担又は協力させる場合は,分担又は協力させる業務と分担又は協力させる者の氏名等を治験分担医師・治験協力者リスト(書
式2)により,予め病院長に提出し,その了承を受けなければならない。
七 治験分担医師,治験協力者に,治験実施計画書,治験薬等及び各人の業務について十分な情報を与え,指導及び監督しなければならない。
八 治験実施前及び治験期間を通じて,治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち,治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加,更新又は改訂された場合は,その全てを速やかに病院長に提出しなければならない。
九 治験審査委員会が治験の実施若しくは継続を承認し,又は何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合は,これに基づく病院長の治験審査結果通知書(書式5)の内容に従って治験を開始又は継続しなければならない。また,治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消した場合(治験の中止又は中断を含む。)は,これに基づく病院長の治験審査結果通知書(書式5)の内容に従わなければならない。
十 治験審査委員会が当該治験の実施を承認し,これに基づく病院長の治験審査結果通知書(書式5)の文書で通知される前に,被験者を治験に参加させてはならない。
十一 この規程第26条で規定する場合を除いて,治験実施計画書を遵守して治験を実施しなければならない。
十二 治験薬等は,承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用しなければならない。十三 治験薬等の正しい使用法を各被験者に説明・指示し,当該治験薬等にとって適切な間隔
で,各被験者が,説明・指示を正しく守っているか否かを確認しなければならない。
十四 実施中の治験において少なくとも年1回,病院長に治験実施状況報告書(書式11)を提出しなければならない。
十五 治験の実施に重大な影響を与え,又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更については,病院長に速やかに治験に関する変更申請書(書式10)を提出するとともに,変更の可否について病院長の治験審査結果通知書(書式5)の内容に従わなければならない。
十六 治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合は,重篤で予測できない副作用等を特定した上で速やかに病院長及び治験依頼者に重篤な有害事象に関する報告書(書式12-1及び
12-2),有害事象に関する報告書(書式13-1及び13-2),重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式14)又は有害事象及び不具合に関する報告書(書式15)で報告するとともに,治験の継続の可否について病院長の治験審査結果通知書(書式5)の内容に従わなければならない。
十七 治験実施計画書に従って正確な症例報告書を作成し,記名捺印又は署名し,治験依頼者に提出しなければならない。また,治験分担医師が作成した症例報告書については,それが治験依頼者に報告される前にその内容を点検し,問題がないことを確認した上で記名捺印又は署名しなければならない。
十八 治験終了後又は治験契約期間満了後,速やかに病院長に治験終了(中止・中断)報告書
(書式17)を提出しなければならない。なお,治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行わなければならない。
十九 モニタリング等を受入れなければならない。これらの場合には,モニター,監査担当者,治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ,原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(文書による説明と文書による同意の取得)
第22条 治験責任医師又は治験分担医師は,被験者となるべき者が治験に参加する前に,被験者となるべき者に対してGCP省令第51条第1項各号又は医療機器GCP省令第71条第1項各号に掲げる事項に従った説明文書を用いて十分に説明し,治験への参加について被験者の自由意思による同意を,同意書(本院書式2)により得るものとする。ただし,治験審査委員
会において同意書(本院書式2)と同等の内容を有すると判断されたものにおいては,それを用いてもよい。
2 被験者となるべき者が同意の能力を欠く等により被験者となるべき者の同意を得ることは困難であるが,当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例えば,未成年者や重度の認知症患者を対象とする場合等)には,治験責任医師又は治験分担医師は,代諾者となるべき者に対してGCP省令第51条第1項各号又は医療機器G CP省令第71条第1項各号に掲げる事項に従った説明文書を用いて十分に説明し,被験者の治験への参加について代諾者の同意を,同意書(本院書式3)により得るものとする。この場合,同意に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示す記録を残すものとする。この場合にあっても,治験責任医師又は治験分担医師は,被験者となるべき者の理解力に応じて説明を行い,可能であれば被験者となるべき者からも同意書(本院書式3)への記名捺印又は署名と日付の記入を得るものとする。ただし,治験審査委員会において同意書(本院書式3)と同等の内容を有すると判断されたものにおいては,それを用いてもよい。
3 説明文書と同意文書は一体化した又は一式の文書としたものを用いる。
4 治験責任医師又は治験分担医師は,当該被験者に対して治験薬等の効果を有しないと予測される治験においては,前項の規定にかかわらず,同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし,GCP省令又は医療機器GCP省令第7条第2項に規定する場合は,この限りではない。
5 治験責任医師又は治験分担医師は,説明文書の内容その他治験に関する事項について,被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては,当該者。次条から第24条まで同じ。)に質問をする機会を与え,かつ,当該質問に十分に答えなければならない。
6 被験者の同意に関連する新たな重要な情報が得られた場合には,治験責任医師は,速やかに当該情報に基づき説明文書・同意文書を改訂し,予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また,治験責任医師又は治験分担医師は,すでに治験に参加している被験者に,当該情報を速やかに伝え,治験に継続して参加するか否かについて,被験者の意思を確認して診療録等に記録を残すとともに,改訂された説明文書・同意文書を用いて改めて説明し,治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
(説明文書)
第23条 治験責任医師又は治験分担医師は,前条第1項及び第2項の説明を行うときは,GC P省令第51条第1項各号又は医療機器GCP省令第71条第1項各号に掲げる事項に従った説明文書を提示しなければならない。
2 説明文書には,被験者となるべき者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句,又は治験責任医師,治験分担医師,治験協力者,治験実施機関及び治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。説明に際して,口頭で提供される情報についてもこれと同じであること。
3 説明文書には,できる限り平易な表現を用いなければならない。
(同意文書への署名等)
第24条 同意書(本院書式2又は3)には,説明を行った治験責任医師又は治験分担医師,並びに被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で治験に参加することに同意する旨を,自ら記名捺印又は署名し,各自日付を記入するものとする。なお,治験協力者が補足的な説明を行った場合には,当該治験協力者も記名捺印又は署名し,日付を記入するものとする。
2 被験者となるべき者(第21条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが,口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には,説明に際して公正な立会人を要する。この場合,当該立会人も自
ら同意書(本院書式2又は3)に記名捺印又は署名し,日付を記入するものとする。
3 前項の立会人は,治験責任医師,治験分担医師及び治験協力者であってはならない。
4 当該者全員の記名捺印又は署名及び日付がない同意書は,その効力を生じない。
5 第21条第1項又は第2項に規定する同意は,治験責任医師等に強制され,又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
(同意文書等の交付等)
第25条 治験責任医師又は治験分担医師は,被験者となるべき者(代諾者の同意を得ようとする場合は,代諾者)が,自ら記名捺印又は署名し,日付を記載した第21条第1項又は第2項に規定する同意書(本院書式2又は3)の写しを治験を開始する前に説明文書とともに被験者又は代諾者に交付しなければならない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は,被験者が治験に参加している間に,説明文書が改訂された場合は,改めて記名捺印又は署名と日付が記載された同意書(本院書式2又は3)の写しを改訂された説明文書とともに被験者又は代諾者に交付しなければならない。
3 前項の説明文書は,事前に治験審査委員会の審議に基づく病院長の指示・決定を受けなければならない。
(被験者に対する医療)
第26条 治験責任医師は,治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 病院長及び治験責任医師は,被験者の治験参加期間中及びその後を通じ,治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して,十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は,有害事象に対する治療が必要となったことを知った場合は,被験者にその旨を知らせなくてはならない。
4 治験責任医師又は治験分担医師は,被験者に他の主治医がいるか否かを確認し,他の主治医がいる場合は,被験者の同意のもとに,当該主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
5 治験責任医師又は治験分担医師は,被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合,又は取り止めた場合は,被験者はその理由を明らかにする必要はないが,被験者の権利を十分に尊重した上で,その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
6 治験責任医師は,治験依頼者により治験が中断され,又は中止された場合には,被験者に速やかにその旨を通知し,適切な医療の提供その他必要な措置を講じるとともに,治験終了(中止・中断)報告書(書式17)を速やかに病院長に提出しなければならない。
7 治験責任医師が自ら治験を中断し,又は中止した場合においても前項と同様とする。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第27条 治験責任医師又は治験分担医師は,治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく病院長の指示・決定を得ることなく,治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし,被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば,電話番号の変更等)のみに関する変更である場合は,この限りでない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は,承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師が,被験者の緊急の危険を回避するためなど医療上やむを得ない事情のために,治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく病院長の指示・決定を得ることなく,治験実施計画書から逸脱又は変更した場合,治験責任医師は,緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8)又は治験に関する変更申請書(書式10)を速やかに病院長に提出するものとする。治験実施
計画書の改訂が必要な場合は,その案を可能な限り早急に病院長及び病院長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに,病院長の了承及び病院長を経由して治験依頼者の合意を文書で得なければならない。
第7章 治験薬等の管理等
第28条 治験薬等の管理責任は,病院長が負うものとする。
2 病院長は,治験薬等を保管,管理させるため薬剤部長を治験薬等管理者とし,附属病院で実施される全ての治験の治験薬等を管理させるものとする。
3 治験薬等管理者は,必要に応じて治験薬等管理補助者を指名し,治験薬等の保管,管理を行わすことができる。
4 治験薬等管理者は,治験依頼者が作成した治験薬等取扱い及び保管,管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って,また,第2条第1号に規定する関連法令等を遵守して適正に治験薬等を保管,管理しなければならない。
5 治験薬等管理者の事務は,次の各号に掲げるところによるものとする。一 治験薬等を受理し,治験薬等受領書の発行に関する事務
二 治験薬等の保管,管理及び払い出しに関する事務
三 治験薬等管理表及び治験薬等出納表を作成,記録し,治験薬等の使用状況及び治験進捗状況の把握に関する事務
四 被験者からの未服用治験薬等の返却記録の作成に関する事務
五 未使用治験薬等(被験者からの未服用治験薬等,使用期限切れ治験薬等,欠陥品を含む。)を治験依頼者に返却し,未使用治験薬等返却書の発行に関する事務
六 治験薬等の保管,管理に係る記録の保存に関する事務
七 その他,第4項の治験依頼者が作成した手順書に定める事務
6 病院長は,中央検査部長を精度管理者とし、附属病院で実施される検査の精度管理等を保証する記録を保存しなければならない。
第8章 臨床研究開発センター
第29条 病院長は,附属病院に臨床研究開発センターを設置し,三重大学医学部附属病院臨床研究開発センター規程に定める業務を行うものとする。
2 臨床研究開発センターの組織及び業務は別に定める。
第9章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第30条 病院長は,附属病院において保存すべき必須文書の保存責任者を指名するものとする。
2 記録ごとに指名する保存責任者は次のとおりとする。
一 診療録・検査データ・同意文書等 治験責任医師(ただし,治験終了後は臨床研究開発センター(臨床研究開発センター長)に移管するものとする。)
二 治験受託に関する文書等 臨床研究開発センター(臨床研究開発センター長)三 治験受託の契約に関する文書等 臨床研究開発センター(経営管理課長)
四 治験薬等に関する記録の文書等 薬剤部長
3 前項第一号に係る治験責任医師が、保存する記録には、治験の実施に関する重要な事項に係る治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等を含むものとする。
4 病院長又は記録の保存責任者は,附属病院において保存すべき文書が次条第1項に規定する期間中紛失又は廃棄されることがないように,また,国内外の規制当局等の求めに応じて,提示できるよう措置を講じるものとする。
(記録の保存期間)
第31条 病院長は,附属病院において実施された治験に関する保存すべき文書を,次の各号に定める日のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。
一 当該治験薬等に係る製造(販売)承認日(開発が中止された場合は, 開発中止が決定された日から3年が経過した日)。ただし,製造販売後臨床試験にあっては,被験薬の再審査又は再評価が終了する日
二 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 病院長は,前項について,治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には,保存期間,保存方法及び保存経費について治験依頼者と協議するものとする。
3 病院長は,治験依頼者から第1項の承認取得あるいは開発中止の連絡を,開発の中止等に関する報告書(書式18)により受けるものとする。
附 則
1 この規程は,平成16年9月1日から施行し,平成16年4月1日から適用する。
2 平成15年度以前から実施している医薬品等の受託研究契約における権利及び義務は,国立大学法人三重大学医学部附属病院が継承する。
附 則
この規程は,平成17年5月10日から施行し,平成17年4月1日から適用する。附 則
この規程は,平成18年1月1日から施行する。附 則
この規程は,平成18年8月1日から施行する。附 則
この規程は,平成20年5月1日から施行する。附 則
この規程は,平成21年4月1日から施行する。附 則
この規程は,平成21年4月22日から施行し,平成21年4月1日から適用する。附 則
この規程は,平成24年4月 1 日から施行する。ただし,第7条の業務の委託等については,平成24年3月1日から適用する。
附 則
この規程は,平成25年11月1日から施行する。
統一書式(平成 25 年 3 月 26 日版)一覧
(企業治験・製造販売後臨床試験)
書式番号 | 書 式 の 名 称 |
書式 1 | 履歴書 |
書式 2 | 治験分担医師・治験協力者 リスト |
書式 3 | 治験依頼書 |
書式 4 | 治験審査依頼書 |
書式 5 | 治験審査結果通知書 |
書式 6 | 治験実施計画書等修正報告書 |
書式 7 | (欠番) |
書式 8 | 緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書 |
書式 9 | 緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書 |
書式 10 | 治験に関する変更申請書 |
書式 11 | 治験実施状況報告書 |
書式 12-1 | 重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験) |
書式 12-2 | 重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験:詳細記載用) |
書式 13-1 | 有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験) |
書式 13-2 | 有害事象に関する報告書(医薬品製造販売後臨床試験:詳細記載用) |
書式 14 | 重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器治験) |
書式 15 | 有害事象及び不具合に関する報告書(医療機器製造販売後試験) |
書式 16 | 安全性情報等に関する報告書 |
書式 17 | 治験終了(中止・中断)報告書 |
書式 18 | 開発の中止等に関する報告書 |
参考書式 1 | 治験に関する指示・決定通知書 |
参考書式 2 | 直接閲覧実施連絡票 |
本院書式一覧(共通書式)
書式番号 | 書 式 の 名 称 |
本院書式 1 | 異議申立書 |
本院書式 2 | 同意書(本人承諾)(例示) |
本院書式 3 | 同意書(代諾)(例示) |