Contract
2022 年 3 月 29 日
各 位 株式会社 三十三銀行
株式会社HOWAとの「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、株式会社HOWA(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2022年3月29日 |
(2) | 融資金額 | 5億円 |
(3) | 期間 | 7年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名 株式会社HOWA
(2) 所在地 xxxxxxxxxxxx0xx00xxの4
(3) 事業内容 製造業(自動車用内装部品の企画・開発・製造・販売)
1955年創業。国内外に26の製造拠点(2021年4月時点)を持ち自動車部品の企画・開発・製造・販売を手掛ける。取扱製品は成形天井やドアトリム等の自動車内装部品やNV部品(騒音や振動を軽減し、車内空間を快適に保つ機能製品群)である。完成車メーカーの性能ニーズが高度化・多様化する中、業界でトップクラスシェアを誇るサンシェードトリム、ダッシュインシュレーターを筆頭に、数々のオンリーワン製品を携え、リーディングメーカーとして確固たる地位を確立している。SDGsの実現に貢献するため、車室内外を総合的にプロデュースしてきた実績を活かし、安心・安全で「快適な車室内空間」の提供を目指している。
(本社外観) (成形天井は国内で初めて当社が開発)
(4) 従業員数 3,420名(2021年3月末 グループ全体)
(5) 資本金 3億240万円
(6) 売上高 623億円(2021年3月期 グループ全体)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面 包摂的で健全な経済(ポジティブ)、経済収束(ポジティブ)
①障がい者の法定雇用率2.3%を安定的に達成
(2022年3月現在:2.3%)
②特許出願件数10件/年を達成
(2000年~2020年平均:9件/年)
(2) 社会面 雇用(ポジティブ、ネガティブ)、xx・xx(ポジティブ)、保健・衛生(ネガティブ)
①従業員の健康維持・増進の取り組みを継続し、健康経営優良法人(大規模法人部門)に毎年認定される
②HOWAグループ内でコンプライアンス研修を延べ 100回/年の実施により、役職員のコンプライアンス意識の浸透・定着に努める
③休業災害(休業1日以上)“0”件
(2017年~2021年平均:2.6件/年)
(3) 環境面 土壌(ネガティブ)、資源効率・安全性(ネガティブ)、気候(ネガティブ)、廃棄物(ネガティブ)
①産業廃棄物量を2025年に1割、2029年に2割削減 (2021年度年間の国内生産数量をベースにした理論値)
②岡崎工場、岐阜工場、九州工場へのxxx発電システムの導入により、xxx発電で作った電気を自社で使用し、製造上発生するCO2排出量の削減を図る
xx工場:xxx発電使用量 356,450 kWh/年
CO2削減量 173.9 CO2-t/年
岐阜工場:xxx発電使用量 266,597 kWh/年
CO2削減量 130.1 CO2-t/年
九州工場:xxx発電使用量 521,581 kWh/年
CO2削減量 193.5 CO2-t/年
(2021年3月時点、本社工場のみ)
xxx発電使用量53,350kWh/年 CO2削減量 29.1 CO2-t/年
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
担当部署
担当者
連絡先
ソリューション営業部
xx
000-0000-0000
営業企画部
xx
059-354-7120
(2) 三十三総研
担当部署
担当者連絡先
調査部
xx
059-354-7102
コンサルティング部
xx
059-351-7417
以 上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022 年 3 月 29 日株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、株式会社HOWA に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、株式会社 HOWA の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.株式会社 HOWA の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営方針と事業内容
2-3.具体的な事業活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 19
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPI とSDGsとの関連性 23
4-1.経済面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.環境面(ネガティブ)
4-5.その他KPI を設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
5.サスティナビリティ管理体制 28
6.モニタリング 28
7.総合評価 28
1.評価対象の概要
企業名 | 株式会社 HOWA |
借入金額 | 500,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2022 年3月 29 日 ~ 2029 年3月 30 日 |
2.株式会社 HOWA の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx0xx00xxの4 |
従業員数 (グループ全体) | 3,420 名(2021 年3月末) |
資本金 | 302 百万円 |
業種 | 自動車部品製造業 |
主要取引先 | 【主要得意先】 ㈱アイシン、いすゞ自動車㈱、㈱FTS、スズキ㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタ自動車㈱、トヨタ自動車東日本㈱、トヨタ車体㈱、xx通商㈱、トヨタ紡織㈱、xx装備工業㈱、日産自動車㈱、日産車体㈱、林テレンプ㈱、xx自動車 ㈱、ベバストジャパン㈱、xx技研工業㈱、三菱自動車工業㈱ |
沿革 | 1955 年 会社設立(xxxxxxxxxxxxx) xxxxxxxxにて自動車用コットンマット(クッション材)生産開始 1960 年 春日井工場新設(xxxxxxxxxxxx) 0000 年 本社移転(xxxxxxxxxxxx) 0000 年 磐田工場新設(静岡県磐田市) フロア用パット材(フェルトップ)生産開始 1967 年 ダッシュインシュレーター生産開始 1970 年 厚木工場新設(神奈川県厚木市)成形天井生産開始 1978 年 岡崎工場新設(愛知県xx市)シート用 RCM マット生産開始 1987 年 東豊産業(韓国)設立 1991 年 本社「技術本館」竣工 半無音響室設置 1992 年 ㈱xx繊維九州製作所設立(福岡県xx市) |
ウレタンダッシュインシュレーター生産開始 1995 年 本社「技術センター」竣工 1996 年 ウレタン成形天井生産開始天然繊維成形天井生産開始 1998 年 岡崎工場にオレフィンシートライン設置 1999 年 モジュール成形天井生産開始 2000 年 日豊化成㈱岐阜工場竣工 高圧・低圧インジェクション成形トリムの生産開始 2002 年 本社「システム開発センター」設立 2003 年 ㈱xx繊維岩手製作所設立(xxxxxx) 0000 年 Howa USA, Inc.設立(米国インディアナ州) 厚木システム開発センター開設(xxxxxxx) 0000 年 xxxx繊維樹脂製品有限公司設立(中国) 2006 年 佛山xx繊維樹脂製品有限公司設立(中国)本社「実験棟」竣工 2007 年 American Howa Kentucky, Inc.設立(米国ケンタッキー州) 2008 年 ㈱xx繊維栃木製作所設立(栃木県那須塩原市) Howa USA Holdings, Inc.設立(米国ミシガン州)広東豊明商貿有限公司設立(中国) 2009 年 武漢xx繊維樹脂製品有限公司設立(中国) 2010 年 Howa (Thailand) Co., Ltd. 設立(タイ) Howa USA, Inc.をAmerican Howa Kentucky, Inc.に統合 2011 年 xx繊維研発(佛山)有限公司設立(中国) 2012 年 PT. Howa Indonesia 設立(インドネシア) フォルシアxxインテリア設立(xxxxxxx) Xxxx Xxxxxxx XXX xx(xxxx xx) 2013 年 本社「コミュニケーションセンター」竣工 MEXICO S,A. DE C.V. 設立(メキシコ) Howa Canada Manufacturing, Inc. 設立(カナダ) 2014 年 xxxx繊維樹脂製品有限公司設立(中国) 2019 年 商号変更(当社および国内関連会社)旧社名 新社名 xx繊維工業㈱ ㈱HOWA ㈱xx繊維岩手製作所 ㈱HOWA 岩手 ㈱xx繊維栃木製作所 ㈱HOWA 栃木 ㈱xx繊維九州製作所 ㈱HOWA 九州日豊化成㈱ ㈱HOWA 岐阜 |
2-2.経営方針と事業内容
株式会社 HOWA(以下、HOWA)は、1955 年の創業以来、成形天井やドアトリム(内貼り)等の自動車内装部品や NV 部品(騒音や振動を軽減し、車内空間を快適に保つ機能製品群)といった自動車部品の製造・販売を手掛けている。国内外の自動車産業がグローバルに発展し、完成車メーカーの性能ニーズが高度化・多様化する中において他社を凌駕する新技術・新製品をもって高い信頼を獲得している。
【経営理念】
同社は以下の経営理念を掲げている。
経営理念実現のための基本方針として、以下の5点を打ち出している。
○ 「企業は人なり」の精神に立って会社を発展させ、社員と家族の幸福を実現する。 |
○ 市場ニーズを先取りした製品を供給し、自動車内装部品のオンリーワンメーカーを めざす。 |
○ 地域社会と協調し、環境保全に取り組み、顧客から信頼される企業をめざす。 |
○ 絶え間ない品質改善に取り組み、顧客ニーズに応え、世界トップレベルの顧客満足 度を実現する。 |
○ 進出国の文化や慣習を尊重し、企業活動を通じて現地の発展に貢献する。 |
【取扱製品】
同社は快適な車内空間を創造し、あらゆる自動車メーカーのニーズに応え、オンリーワン製品の提供に努めている。現在では内装全体を総合的にプロデュースする「システムサプライヤー」としても、メーカーのニーズに対応している。取扱製品は以下の通りである。
≪内装部品≫
④ ① ② ⑪
③
⑥ ⑨ ⑫ ⑧
⑤
⑬
⑩
⑦
≪NV(Noise・Vibration)部品≫
⑮
⑭
⑰
⑯ ⑱
内装部品 | ||
①ヘッドライニング ②ヘッドライニング (サンルーフ) | ヘッドライニング(成形天井)は、車内の天井部分のトリム(内張り)で、心地よい見た目や触感に加え、音や熱の侵入を抑える製品。1970 年に国内で初めて同社が開発。自社生産されたウレタンを使用している。連続気泡のウレタンフォームの両面を、ガラス繊維で強化したウレタン天井は、軽量で、吸音性、耐熱性、耐湿性に優れ、寸法安定性も高く、特に大型の成形天井に適して いる。 | |
③サンバイザー | 普段はフロントウインドシールドの上に保持され、運転時の日差しを遮る。 | |
④サンシェードトリム | 心地よいxxxと涼しげな風を車内に取り込むサンルーフ。サンシェードのウレタン層が車外騒音を遮り、ガラスサンルーフからのxxxや紫 外線を遮断し、快適な車内空間を実現する。 | |
⑤ドアトリム(前席) ⑥ドアトリム(後席) | 各ドアの室内側にセットされるトリム。制振材として外部からの侵入音や振動を抑える。 | |
⑦ボディサイドトリム | 室内側壁面のドアを除く部分のトリム。ドアオープニング部分の車体鉄板側外周に取り付け、衝撃吸収・車内密閉・見栄えxxxの機能を有す る部品。 | |
⑧バックドアトリム | バックドアにセットされるトリム。制振材、吸・遮音材としての外部からの侵入音を低減するほか、 荷物への衝撃や振動を緩和する。 | |
⑨パッケージトレイトリム | リアシートとリアウインドウ間に装着される製品。トランクルームからの騒音の侵入やボディの振動を抑えるとともに、カーオーディオのスピーカーや ストップランプの設置場所としての機能を担う。 |
⑩デッキサイドトリム | デッキ側面(リアクォーターピラー付近)にセットされるトリム。制振材として外部からの振動及び 侵入音を抑える。 | |
➃トノボード | 乗用車やトラックなどの荷室を覆うカバー。布やビニール、革、プラスチックでできたものが主。乗用車ではステーションワゴン、SUV、ハッチバックなどのモデルに装備されており、使用しないとき は着脱や巻取りが可能となっているものが多い。 | |
⑫ラゲッジボード | 荷室・ラゲッジスペースの高さを調節するためにラゲッジルームの床面に配置する部品。近年荷室の多目的な利用に対し、多機能なアイデアが 提案されている。 | |
⑬ラゲッジボックス | ラゲッジフロア下部に用意された樹脂成形の収納ボックスで、スペアタイヤカバーの役割に加え て、工具や小物を収納することができる。 |
NV(Noise・Vibration)部品 | ||
⑭フードインシュレーター | ボンネットのエンジンルーム側に装着される防音材。車外騒音を低減する。 (材料:ウレタンフォーム成形品 等) | |
⑮ダッシュサイレンサー | ダッシュパネルの車室内側に装着される防音材。エンジンノイズ、ロードノイズを低減する。 (材料:リサイクル繊維、遮音材、ウレタンフォー ム、フィルム 等) | |
⑯エンジンアンダーカバー | エンジンルームの下部に装着される防音材。車外騒音を低減し、空力性能を向上させることで燃費向上に貢献する。 (材料:PP/PE 樹脂、PET、GF 繊維 等) | |
➃フェンダーライナー | ホイールハウスに装着される防音材。走行時のタイヤ騒音を低減し、泥や石跳ねからボディを保 護する。(材料:PET 繊維 等) | |
⑱ボディアンダーカバー | 車両下に装着され、車外へ漏れたエンジン音や路面側が音源となるロードノイズ等に対して吸 音・遮音する部品。空力性能を向上させる他、泥や石跳ねからボディを保護する。 (材料:PP/PE 樹脂、PET、GF 繊維 等) |
【HOWA が提供する心地よい空間】
同社はパーソナルスペース✎ら考える車内の「思いのままにできる空間」として、最小単位を
『45cm』が合理的と判断。シートや内装品を売るだけでなく、『45cm空間』の環境を整えるための技術を磨き、ファンを獲得して強いブランドへ育てていくことを目標としている。
電動化や法規制強化(騒音、CO2)、自動運転/コネクテッド等、市場環境の変化が加速するな✎において、「5 SENSES TECHNOLOGY」として5つの技術ベクトルで「快適な車室内空間」を提供していくことを目指している。
①安らげる空間研究
⇒スペース感、質感、照明効果など研究
②自動運転化のxx姿勢対応として天井に表示系追加
③照明機能をモジュール化
④間接照明(深絞り技術活用)
1.Beauty Space Design (美空間)
①車室内外トータルでの最適特性提案
②音声認識率向上音響特性インテリア
③EV車向け吸音材
④タイヤと吸音材同期開発:
⑤吸音タイプ不織布内装トリム
⑥低コスト吸音材、成形可能な吸音材
⑦吸音タイプのフロア✎さ上げ材
⑧吸音エンジンヘッドカバー
2.Natural Sound Control (自然音空間)
①消臭天井
②保湿効果ある天井
③機能性香料
(目覚まし、活性化)
④断熱天井、内装トリム
⑤放熱性が高い内装トリム
3.Healthy Air Cabin (健康空気)
①汚れにくい、掃除しやすい内装トリム
②壊れにくい高耐久性内装トリム
③傷つきにくい高耐傷性内装トリム
④高質感&軽量トリム(成形不織布)
4.New Function (新機能)
①環境負荷の少ない素材変更&VE
⇒脱ウレタン、脱ガラス次世代xx
②環境負荷の少ない素材へ変更
③リサイクル性のよい素材
④天然素材活用
5.New Material (新素材)
【製品づくりの方針と体制】
同社は、素材✎ら開発・設計・調達・生産・コーディネートまで、常に卓越した製品づくりに努めており、主に3つの製品づくりの方針を掲げている。
製品づくりの体制として、「情報部門」、「企画部門」、「研究開発部門」、「設計部門」、「生産技術部門」、「品質管理部門」が綿密に連携し、各部門による総合力で自動車メーカーに満足度の高い製品を提供している。
【研究開発】
同社は、自動車内装を総合的にプロデュースする視点✎ら、次世代の内装部品メーカーを目指し、以下の3つを目的に時代をリードする新製品の開発・研究に取り組んでいる。
〇先を見据えた次世代製品開発への取り組み
軽量化、低コスト化、そして省エネ、性能向上など、内装部品メーカーに課せられたテーマは限りなく広がっており、同社は常にモータリゼーションの進展とともに、時代の先端を見据え、研究・開発に取り組んでいる。
〇防音材開発
防音材は静✎で快適な車内空間を創造するためには不可欠であり、同社は内装部品の
「素材」、「製品」、「評価」までを一貫したトータルプロデュースを担当することで、独創的な素材の研究・開発✎ら製品づくりを行っている。
〇最新の研究環境&徹底した試験評価技術
最新の研究環境&徹底した試験評価技術は同社の独創的な製品開発力、提案力を支えている。試験評価における多くのデータは研究開発スタッフにフィードバックされ、次なる新製品開発のチャレンジにつながっている。同社の半無響室は国内最大規模を持ち、無音状態を作り出すことも可能な精密なもので、自動車メーカー✎らの測定依頼も数多く、ノウハウと技術の蓄積が可能となっている。
【グループ会社での取り組み】
同社グループは、国内外に 26 の製造拠点(2021 年 4 月時点)を持ち、世界自動車生産市場の 75%を生産する国々に生産の拠点を広げ、多種多様な各国の自動車ニーズに迅速に対応可能としている。
2-3.具体的な事業活動
【車室内空間の製品開発を通じた自動車産業発展への貢献】
市場環境(EV化、自動運転化等)の変化が加速するな✎、車室内外においての静粛性ニーズも変化していることに呼応し、同社が得意とする音振解析を活用して車室内開発品を OEMに提案及び商品化することで自動車産業発展に貢献している。業界でも屈指の規模を誇る半無響室を導入し、徹底した「音響評価システム」によって、吸音性・遮音性・制振性を測定、分析したデータに基づき、実車評価・音響解析・材料シミュレーションを行い、快適な車内空間を創出する製品づくりに努めている。
常にモータリゼーションの進展とともに時代の先端を見据え研究・開発に取り組み、新規開発製品を中心に積極的な特許出願、権利化を図っている。2000 年✎ら 2020 年の平均出願件
数は、国内:6件/年、海外:3件/年となっている。
(件)
30
特許出願件数
国内 海外
25
20
15
10
5
0
2000 02
04
06
08
10
12
14
16
18 20
(年)
【快適な車内空間の提供】
「新加飾」、「新表皮」、「新xxx材」といった、快適性・静粛性・デザイン性を兼ね備えた製品を開発し、快適な車内空間の提供を目指している。
【安全な車内空間の提供】
世界初の『抗ウイルス・抗菌・消臭』機能を付与した表皮を開発し、安全・安心な車内空間の提供を目指している。
【カーボンニュートラルの取り組み】
「人と環境にやさしい」、「環境保全」に根差したものは、創業以来同社の製品づくりのアイデンティティとなっている。環境保全や資源の有効活用をテーマに、創業以来数々の技術革新を行ってきたが、地球資源の有限性を認識し、環境に配慮した資源の有効活用をテーマに、全社を挙げて「5Rs」に取り組んでいる。
カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みとしては、工場等におけるエネルギー利用効率の改善や再生可能エネルギーの利用拡大など①製造上発生する CO2排出量の削減、カーボンフリー素材の導入や軽量化など②材料での CO2排出量の削減、廃棄していたxxx材を利用した③リサイクル部品の活用による廃棄物処分量減を通じた CO2排出量の削減、物流ネットワークの効率化など④輸送時に発生する CO2排出量の削減、を推進している。
(1)製造上発生する CO2排出量の削減
製造上発生する CO2排出量の削減に向けて、国内工場の CO2排出量の「見える化」を行い、様々な取り組みを行っている。
国内工場CO2排出量(2020年)
灯油, その他
1,003(t-CO2)
LPG, 1,590(t-CO2)
電気, 12,104(t-CO2)
国内工場CO2排出量割合
(2020年)
(t-CO2)
工場別電気CO2排出量(2020年)
LPG,
11%
灯油, 7%
電気, 81%
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
A工場 B工場 C工場 D工場 E工場 F工場 G工場
工場等におけるエネルギー利用効率の改善として、屋根の塗装に耐熱塗装を施したり、フェルト設備のモーターの小型化や、事業所エアコンの省エネタイプへの変更、照明の間引き点灯、外灯の点灯時間調整など細✎な取り組みを行っている。また、集約生産による予熱時間削減、不良率低減、生産効率化、予熱時間の管理などをきめ細✎く行い、電力の消費低減による CO2排出量削減にも取り組んでいる。照明のLED化については、本社では照明全体の 70%、岡崎工場では同 81%、磐田工場では同 61%、グループ全体の HOWA 九州では同
66%、HOWA 岐阜では同 82%、HOWA 栃木では同 50%のLED化を終えている。
また、再生可能エネルギーの利用拡大として、本社では社屋の屋上と壁面にxxx発電システムを導入し、全量を本社で消費している。この発電状況は、モニターで来訪した顧客に確認してもらえるようにしている。2022 年中には以下の通り岐阜工場、岡崎工場、九州工場にxxx発電システムを導入し、再生可能エネルギーの更なる利用拡大を図る方針である。
工場 | パネル総枚数 | パネル総出力 |
岐阜工場 | 650 枚 | 293kW |
岡崎工場 | 778 枚 | 350kW |
九州工場 | 1,242 枚 | 559kW |
(2)材料での CO2排出量の削減
製品材料についても CO2排出量の「見える化」を行っており、製品開発において CO2排出量の少ない素材への置き換え等に取り組んでいる。具体的には、リサイクル材料や低炭素素材への置き換え、軽量化による材料使用料の削減等に取り組んでいる。
(3)リサイクル部品の活用による廃棄物処理量減を通じた CO2排出量の削減
産業廃棄物として廃棄していたxxx材を利用して断熱材や遮音ボードの開発を進め、xxx材を利用した断熱材は従来の断熱材では出せな✎った高遮音性能を実現。遮音ボードは低中周波の遮音性が高く✎つ軽量化され、リサイクル部品の活用による廃棄物処理量の減少を通じた CO2排出量削減を図っている。
(4)輸送時に発生する CO2排出量の削減
輸送時に発生するCO2排出量を削減するために部品などの輸送効率改善にも取り組んでいる。具体的には、物流改善委員会を設置し、トラック積載効率向上(各路線の統合、共同輸送、収容効率xxx)や、物流距離の短縮化(納入先の近隣地生産等)に取り組んでいる。また、梱包・包装資材の削減や環境にやさしい素材への変更なども図っている。
【最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルの構築】金属、作動油、紙類をリサイクルし、廃棄物
の低減に努め、産業廃棄物排出量(国内)は 2019 年3月期の 7,441 トンをピークに減少傾向にあり、2021 年3月期は 5,041 トンとなった。
最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルを構築し、廃棄物を減らすとともに廃棄時の土壌への影響の低減を目指している。
年1回の産業廃棄物処理現場の確認を通じて、廃棄物が適正に処理できている✎の確認も実施している。
( t )
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
産業廃棄物排出量(国内)
2018/3 2019/3 2020/3 2021/3
【化学物質の適正管理】
同社は顧客のニーズに適した安全✎つ高い品質の製品を安定して供給するため、関連法規情報を収集し、製品の企画段階✎ら原材料に含まれる環境負荷物質を把握する管理強化活動に取り組んでいる。また、取引先の環境負荷物質管理体制に関する点検を通じて、取引先の管理体制向上支援や理解普及活動を行っている。
【水質汚染の低減】
同社工場では油水分離槽を通してサイト外へ排水するとともに、工場排水の水質測定を定期実施している。また、ISO14001 環境マネジメントシステムに基づいた設備の日常チェック、定期的な事故を想定した訓練により水質汚染の防止に努めている。
【多様な人材が能力を発揮できる環境の創出】
同社は持続的な発展の実現に向けて、高齢者や障がい者、グローバル人材等、「多様な人材の活躍」を推進している。
(1)高齢者や障がい者の採用
定年退職者がxxの業務で身に着けた経験やスキル、技術は貴重な財産であり、次世代へ伝承せずに無くしてしまっては大きな損失となるため、同社では定年後も引き続き雇用されることを希望し、就業規則等に抵触しない従業員については、満 65 歳まで再雇用し、業務で活躍してもらうとともに、後進育成の一翼も担ってもらっている。
また、同社の CSR 方針に人権や多様性の尊重を掲げており、障がい者がいきいきと自立して働ける職場づくりに取り組んでいる。採用活動も積極的に行っている。
(2)グローバル人材の環境整備
同社グループは海外に 23 の拠点を有しており、現地では多くの現地社員が活躍している。グローバルで事業を継続していくために多様な人材の起用は重要だと考えており、国内拠点でも多くの国の方々が活躍し、会社発展の原動力となっている。一方、国内✎ら海外現地法人に出向する社員に対して、語学研修、マネジメント研修、海外業務研修などの赴任前研修を実施し、赴任者が存分に能力を発揮できる環境を整備している。
【誰もが働きやすい職場環境づくり】
同社は、「企業は人なり」の精神に立って会社を発展させ、社員と家族の幸福を実現することを経営方針に掲げ、その実現に向けたワークライフバランス社内制度の取り組みを展開している。具体的には、フレックスタイム制度や、法律で定める基準を上回る年次有給休暇制度や育児関連諸制度、有給の介護休暇など介護関連諸制度を取り入れている。今後も多様なライフスタイルを尊重し、全社員が職場とプライベート両面で充実感を得られるような環境整備を推進する方針である。
(1)育児休業制度および介護休業制度の導入 育児休業については1歳6ヵ月に満たない子と同居し、養育する人が取得できる制度で、男性も取得可能である。また、小学校を卒業するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するために申出した場合に育児短時間勤務も可能である。介護休業については要介護状態にある家族を介護する従業員が介護を目的に取得できる制度である。また介護短時間勤務も可能となっている。 (2)年次有給休暇の取得促進や長時間労働の防止 年次有給休暇の取得促進に向けては、毎月取得状況をチェックし部門長にレポートしているほ✎、定期的に全社の取得状況を社内に公表している、労使を交えた取得促進についての話し合いの場も設定している。また、従業員が健康でいきいきと働ける職場を目指して、長時間労働の防止にも取り組んでいる。月間の残業時間をレポートするとともに、労使を交えた残業時間削減についての話し合いの場も設定している。 【AIや自動化装置の導入に伴う製造工程改善による従業員の負荷軽減】サンシェードの外観検査に「AI画像処理検査装置」の導入を 検討している。これにより、人によるアウトライン検査を廃止し、従業員の負荷軽減が図られる。 また、リサイクル活用のために従業員がxxxxとシートを手で剝がしている工程について、自動化装置の導入を検討している。これにより、大幅な負荷軽減が期待できる。 【健康経営の取り組み】 従業員の健康保持・増進を重要な経営課題の一つとして位置づけ、2021 年7月に「HOWAの健康宣言」を制定。自社の従業員の具体的な健康課題を洗い出し、改善に向けて以下の取り組みを実施している。 | |||
① 定期健康診断 | グループ企業も含め全従業員が年1回健康診断を受診、特定の年齢 層を対象にがん検診のオプション付加、人間ドック受診希望者で特定の年齢層にあたる人に費用補助 | ||
② 疾病予防 | 食生活改善及び運動習慣の定着に向けた具体的な支援の取り組み | ||
③ 生活習慣 | 健康診断結果を踏まえた保健指導(除く特定保健指導)の拡充の取り 組み | ||
④ メンタル | メンタルヘルス不調の予防や不調者への支援及び就業と治療の両立 | ||
⑤ 生産性 | ストレスチェックの実施(Web による受検後、ストレス状況が表示され、各人別のアドバイスなどが Web サイトで確認可能)、健康づくりキャンペーンの実施(従業員に運動・食事・歯のケアについて各自目標を立 ててもらい、3ヵ月間健康づくり活動を行ってもらう)、禁煙チャレンジの |
実施(禁煙希望者へ禁煙補助薬を支給)、毎月第三水曜日に産業医 による健康相談を開催 | |||
医療費増加への施策や個人のモチベーションの維持、組織全体の生産性向上を目的として積極的に取り組んだ結果、同社は 2022 年3月9日、経済産業省及び日本健康会議が選ぶ「健康経営優良法人 2022(大規模法人部門)」に初めて認定された。 【職場の安全・衛生管理の徹底】 同社は労働安全衛生法に基づき各事業所に安全衛生委員会を設置している。安全パトロールや事故を未然に防止するための啓蒙活動、健康維持増進のための活動に日々取り組んでいる。 工場での安全衛生の取り組みとしては、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた年間計画の作成、進捗確認、マネージメントレビューにより、PDCAを実行している。悪✎った内容は次年度に挽回する目標を立てることとしている。安全最優先の風土づくりとしては、生産課で月1回安全専念時間を設定するほ✎、小集団活動として、残留リスクやハザードの定期確認、 KYシート、入社2ヵ月後の安全意識テストなどを実施している。 各課・部署毎に安全教育計画を立案し、ルール再確認や過去災害の振り返り、新入社員の導入教育を実施している。挟まれ、巻き込まれの怖さを知ってもらうために、治具装置を用いて疑似の手指を実際に挟ませ、どうなる✎を実験してもらうなど、安全への意識を高めるための教育である「安全道場」を実施している。 【コンプライアンスの遵守】 同社グループの全役職員に対して、コンプライアンスの重要性、遵守すべき法令等を説明し、理解を促す研修を実施しているほ✎、管理者に対象を絞ったハラスメント対応研修等、専門研修も実施し、コンプライアンス意識の浸透・定着に努めている。2020 年度は 105 回・1,005名、2021 年度は 89 回・884 名の実施実績となっている。 【安定供給への取組とBCP 対策】 同社は BCP を策定し、不測の事態が発生した際に従業員の安全確認とともに、製品供給を維持し、事業を継続できるよう対策を整えている。 社員の安全確認という点✎らは、災害発生時に従業員とその家族の安否を確認し、被害の状況の確認をするための安否確認システムを導入している。このシステムは、事業を維持する陣容を確保するためにも重要なシステムである。また、取引先各社と連携を取り、不測の事態が発生した際に供給責任を果たせる仕組みを構築し、顧客に与える影響を極力回避できる生産体制の構築や早期復旧に向けた対策、対応も常に考え、継続した改善に取り組んでいる。火災発生時においては初動対応が迅速に行えるよう、各拠点で自衛消防隊を組織し、連絡班、消火班、避難誘導班、安全防護班、応急救護班等の人員や役割を予め、有事の際の体制 を整えている。 |
また、自然災害や火災等によりダメージを受けた設備の復旧要員や帰宅困難者のために社内に長期保存用の食料、飲料水や毛布、災害救助用工具などを備えている。有事の際、被害を最小限に抑え、事業活動を継続するため日頃✎ら整備を行っている。
今後発生が懸念されている南海トラフ大地震などの災害に備えて防災訓練も毎年実施している。スムーズな屋外避難や従業員の安否確認のほ✎、消火器を使用した消火訓練、消火栓やAEDの使用訓練、煙道や地震の模擬体験を社員が実際に経験し、また、負傷者搬送用担架の使用方法を学ぶなどの訓練を実施している。
新型コロナウイルスへの対策については、2020 年2月✎ら対策本部を立ち上げ、感染状況を踏まえ月次での対策を決定し、社内に展開している。勤務についてはテレワーク環境を整え、可能な範囲で在宅勤務を推奨し、フレックス勤務も交え感染リスク低減を図るとともに、不要不急の外出、出張を抑制し、会議も可能な限り Web 会議に移行している。
【自動車運転の安全意識向上】
同社は毎月1回交通事故ゼロの日に合わせ、本社周辺の交通量の多い交差点で、シートベルト装着やスマホながら運転防止の呼び✎け、歩行者への挨拶運動を行っている。ドライバーの方々や歩行者の方々の安全意識向上とともに、参加者自身の意識向上に寄与するものとして取り組んでいる。
自動車業界に✎✎わる企業として、従業員自身はもちろん、家族、仲間✎ら一人の加害者も
被害者も出さないという思いを込めて取り組んでいる。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
本ファイナンスでは、HOWA の事業について、国際標準産業分類における「自動車部品及び付属品製造業」として整理された。その前提のもとでの UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「包摂的で健全な経済」「経済収束」「雇用」「移動手段」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「移動手段」「水」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
経済面では、外国人や障がい者など多様な人材が能力を発揮できる環境を創出していることが「包摂的で健全な経済」に、車室内開発品を OEM に提案及び商品化することで自動車産業の健全な発展に貢献することが「経済収束」に関するポジティブ・インパクトが想定される。
社会面では、健康経営に取り組み従業員の健康増進に努めていることや、AIや自動化装置の導入に伴う製造工程改善による従業員の負荷軽減に努めていること、外国人や障がい者な
ど多様な人材が能力を発揮できる環境を創出していることが「雇用」に、快適性・静粛性・デザ
イン性を兼ね備えた製品の開発など快適な車内空間の提供を目指していることが「移動手段」に、コンプライアンスの遵守が「xx・xx」に関するポジティブ・インパクトが想定される。また、職場の安全・衛生管理を徹底していることが「保健・衛生」「雇用」に、抗ウイルス・抗菌・消臭機能を付与した天井表皮の開発など安全な車内空間の提供を目指していることが「移動手段」に関するネガティブ・インパクトを低減させている。
環境面では、水質関連の法律や基準を遵守し水質汚染の低減に努めていることが「水」に、化学物質を適切に管理していることや、環境負荷物質の排出抑制に向けて客先と共同して取り組んでいることが「大気」に、最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルを構築していることが「土壌」「資源効率・安全性」「廃棄物」に、カーボンニュートラルの取り組みが「気候」に
関するネガティブ・インパクトを低減させている。
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ) 包摂的で健全な経済 | 多様な人材が能力を 発揮できる環境の創出 | ・CSR方針に人権や多様性の尊重を掲げており、障がい者がいきいきと自立して働ける職場づくりに取り組み、採用活動を積極的に行っている ・海外に 23 の拠点を持ち、多くの現地社員が活躍しているほ✎、国内拠点でも様々な国の方が活躍するなど、グローバルで事業を継続していくために外国人労働者を起用して いる |
経済収束 | 車室内空間の製品開発を通じた自動車産業発展への貢献 | ・市場環境(EV化、自動運転化等)の変化が加速するな✎、車室内外においての静粛性ニーズも変化していることに呼応し、同社が得意とする音振解析を活用して車室内開発品を OEM に提案及び商品化することで自動 車産業発展に貢献する |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ポジティブ)雇用 | 健康経営の取り組み | ・従業員の健康保持・増進を重要な経営課題の一つとして位置づけ、定期健康診断・人間ドック奨励と受診促進や、産業医面談の実施、健康や福祉に重点を置いた予防医療プ ログラムの提供などを行っている(「健康経 |
AIや自動化装置の導入に伴う製造工程改善による従業員の負荷軽減 多様な人材が能力を 発揮できる環境の創出 | 営優良法人 2022(大規模法人部門)」に認定) ・サンシェードの外観検査において「AI画像処理検査装置」を導入することで人によるアウトライン検査を廃止し、負荷軽減を図る ・リサイクル活用のために作業者がフェルトとシートを手で剝がしている工程について、自動化装置の導入を検討中。これにより、大幅な負荷軽減が期待できる ・CSR方針に人権や多様性の尊重を掲げており、障がい者がいきいきと自立して働ける職場づくりに取り組み、採用活動を積極的に行っている ・海外に 23 の拠点を持ち、多くの現地社員が活躍しているほ✎、国内拠点でも様々な国の方が活躍するなど、グローバルで事業を継続していくために外国人労働者を起用して いる | |
移動手段 | 快適な車内空間の提供 | ・「新加飾」、「新表皮」、「新xxx材」といった、快適性・静粛性・デザイン性を兼ね備えた製品を開発し、快適な車内空間の提供を 目指している |
xx・xx | コンプライアンスの遵守 | ・同社グループの全役職員に対して、コンプライアンスの重要性、遵守すべき法令等を説明し、理解を促す研修を実施しているほ✎、管理者に対象を絞ったハラスメント対応研修 等、専門研修も実施している |
(ネガティブ)保健・衛生雇用 | 職場の安全・衛生管理の徹底 | ・労働安全衛生法に基づき各事業所に安全衛生委員会を設置し、安全パトロールや事故を未然に防止するための啓蒙活動に取り組ん でいる |
移動手段 | 安全な車内空間の提供 | ・世界初の『抗ウイルス・抗菌・消臭』機能を付 与した新表皮を開発し、安全・安心な車内空間の提供を目指している |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
(ネガティブ)水 | 水質汚染の低減 | ・工場✎ら排出される汚水は油水分離漕を通してサイト外へ排水するとともに、工場排水の水質測定を定期実施している。 ・ISO14001 環境マネジメントシステムに基づい た設備の日常チェック、定期的な事故を想定した訓練により水質汚染の防止に努めている。 |
大気 | 化学物質の適正管理 環境負荷物質の排出抑制に向けた取り組み | ・製品の企画段階✎ら原材料に含まれる環境負荷物質を把握する管理強化活動に取り組んでいる ・生産技術の開発や改善により、表皮の単層化による材料種別・工程の削減、接着剤や触媒の塗布量の低減、油性塗料の水溶化など、環境負荷物質の排出抑制に向けて、客 先と共同して取り組んでいる |
土壌 資源効率・安全性廃棄物 | 最適な再利用・リサイクルを可能とする循 環モデルの構築 | ・最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルを構築し、廃棄物を減らすとともに廃 棄時の土壌への影響の低減を目指している |
気候 | カーボンニュートラルの取り組み | ・工場にxxxxx発電を導入しており、xxx発電で作った電気を自社で使用し、製造上発生するCO2排出量の削減を図っている ・リサイクル材料や低炭素素材への置き換え、軽量化による材料使用量の削減等、材料での CO2排出量の削減を図っている ・産廃として廃棄していたxxx材を利用して機能性を高めた断熱材や遮音ボードの開発を進めるなど、リサイクル部品の活用による廃棄物処理量減を通じた CO2排出量の削減を図っている ・配送ルート集約化や納入回数の見直し等の輸送効率改善や、梱包・包装資材の削減など、輸送時に発生する CO2排出量の削減を 図っている |
4.測定する KPI とSDGsとの関連性
XXXX は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
経済面では、①多様な人材が能力を発揮できる環境の創出に向けて、障がい者の法定雇用率 2.3%を安定的に達成すること、②車室内空間の製品開発を通じた自動車産業発展への貢献に向けて、特許出願件数 10 件/年を達成すること、の2つを目標として設定する。
社会面では、①従業員の健康保持・増進に向けて、健康経営優良法人(大規模法人部門)に毎年認定されること、②全役職員のコンプライアンス意識の浸透・定着に向けて、同社グループ内でコンプライアンス研修を延べ 100 回/年実施すること、③職場の安全・衛生管理を徹底し、休業災害(休業1日以上)“0”件とすること、の3つを目標として設定する。
環境面では、①最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルを構築することによって、産業廃棄物量を削減すること、②工場にxx設置しているxxx発電で作った電気を自社で使用し、製造上発生する CO2排出量の削減を図ること、の2つを目標として設定する。
その他、同社がインパクトとして特定した項目の中で KPI として目標を設定しな✎ったものについては以下の考え方に基づいている 。
ポジティブ・インパクトについては、社会面の「移動手段」は快適な車内空間の提供を通じて、引き続きそれぞれの取り組みを確認していく。
ネガティブ・インパクトについては、社会面の「移動手段」は安全な車内空間の提供を通じて、環境面の「水」は水質汚染の低減、「大気」は化学物質の適正管理や環境負荷物質の排出
抑制に向けた取り組みを通じて、引き続きネガティブを低減する取り組みを確認していく。
4-1.経済面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 経済収束 | |
取組、施策等 | 【多様な人材が能力を発揮できる環境の創出】 ・障がい者がいきいきと働ける職場づくりや、グローバルで事業を継続していくために外国人労働者を多く起用するなど、多様な人材が能力を発揮できる環境を創出している 【車室内空間の製品開発を通じた自動車産業発展への貢献】 ・EV 化や自動運転化など、市場環境の変化が加速するな ✎、同社が得意とする音振解析を活用して車室内開発品を OEM に提案及び商品化することで、自動車産業の発展に貢献する | |
借入期間におけるKPI | ・障がい者の法定雇用率 2.3%を安定的に達成 (2022 年3月現在:2.3%) ・特許出願件数 10 件/年を達成 (2000 年~2020 年平均:9件/年) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全✎つ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 9.5 2030 年までにイノベーションを促進させることや 100 万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向 上させる。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての 人々の能力強化及び社会的、経済的及 び政治的な包含を促進する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 雇用 xx・xx | |
取組、施策等 | 【健康経営の取り組み】 ・従業員の健康保持・増進を重要な経営課題の一つとして位置づけ、定期健康診断・人間ドック奨励と受診促進や、健康や福祉に重点を置いた予防医療プログラムの提供などの取り組みを行い、「健康経営優良法人 2022(大規模法人部門)」の認定を取得した 【コンプライアンスの遵守】 ・コンプライアンスの重要性等の理解を促す研修や、管理者に対象を絞ったハラスメント対応研修など、同社グループの全役職員に対してコンプライアンス研修を実施している | |
借入期間におけるKPI | ・従業員の健康保持・増進の取り組みを継続し、健康経営優良法人(大規模法人部門)に毎年認定される ・HOWA グループ内でコンプライアンス研修を延べ 100 回/年の実施により、役職員のコンプライアンス意識の浸透・定着 に努める | |
関連するSDGs | 3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・ 世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。 16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少 させる。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 雇用 |
取組、施策等 | 【職場の安全・衛生管理の徹底】 ・労働安全衛生法に基づき各事業所に安全衛生委員会を設 |
置し、安全パトロールや事故を未然に防止するための啓蒙 活動に取り組んでいる | ||
借入期間におけるKPI | ・休業災害(休業1日以上)“0”件 (2017 年~2021 年平均:2.6 件/年) | |
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な 労働環境を促進する。 |
4-4.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 土壌 資源効率・安全性廃棄物 気候 |
取組、施策等 | 【最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルの構築】 ・最適な再利用・リサイクルを可能とする循環モデルを構築し、廃棄物を減らすとともに廃棄時の土壌への影響を低減することを目指している 【カーボンニュートラルの取り組み】 ・カーボンニュートラルの取り組みの一つとして、工場にxxxxx発電を導入しており、xxx発電で作った電気を自社 で使用し、製造上発生するCO2排出量の削減を図っている |
借入期間におけるKPI | ・産業廃棄物量を 2025 年に1割、2029 年に2割削減 (2021 年度年間の国内生産数量をベースにした理論値) ・岡崎工場、岐阜工場、九州工場へのxxx発電システムの導入により、xxx発電で作った電気を自社で使用し、製造上発生する CO2排出量の削減を図る 岡崎工場:xxx発電使用量 356,450 kWh/年 CO2削減量 173.9 CO2-t/年 岐阜工場:xxx発電使用量 266,597 kWh/年 CO2削減量 130.1 CO2-t/年 九州工場:xxx発電使用量 521,581 kWh/年 CO2削減量 193.5 CO2-t/年 (2021 年3月時点、本社工場のみ) xxx発電使用量 53,350 kWh/年 CO2削減量 29.1 CO2-t/年 |
関連するSDGs | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計 画に盛り込む。 |
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
〈社会面〉 AI や自動化装置の導入に伴う製造工程改善による従業員の負荷軽減 | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 9.5 2030 年までにイノベーションを促進させることや 100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターに おける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 | |
快適な車内空間の提供 | 11.2 2030 年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全✎つ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを 提供する。 | |
安全な車内空間の提供 | ||
〈環境面〉 水質汚染の低減 | 14.1 2025 年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。 |
化学物質の適正管理 環境負荷物質の排出抑制に向けた取り組み | 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄 物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
HOWA では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、髙田社長を委員長とした「SDGs推進委員会」において、日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGsの 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間においても、「SDGs推進委員会」で KPI の達成状況を定期的に確認・協議を行うなど推進体制を構築し、各部署におい
て実行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
管理責任者 | 専務取締役 xx x |
担当部 | 管理本部 |
6.モニタリング
本件で設定した KPI の進捗状況は、HOWA と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十三
銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPI の達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。HOWA は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に努
めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行✎ら委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する HOWA ✎ら供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所✎ら、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 xx xxx
x000-0000
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 3 月 29 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社 HOWA に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が株式会社 HOWA(「HOWA」)に対して実施する中小企業向け✰ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)✰策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省✰ ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンス✰基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs ✰目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会✰実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価✰上、融資等を実行し、モニタリングする運営✰ことをいう。
PIF 原則は、4 つ✰原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つ✰柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等✰詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについて✰透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進✰ため✰モデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向け✰ PIF ✰実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれら✰ツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツール✰いくつか✰ステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業✰包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業✰定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)✰定義に加え、中小企業基本法✰定義 する中小企業、会社法✰定義する大会社以外✰企業としている。
JCR は、中小企業✰インパクト評価に際しては、以下✰特性を考慮したうえでPIF 原則と✰適合性を確認した。
① SDGs ✰三要素✰うち✰経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」✰観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンド✰プロジェクト分類では、雇用創出や雇用✰維持を目的とした中小企業向けファイナンスそ✰も✰が社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体✰ 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別✰中小企業✰インパクト✰発現✰仕方や影響度は、そ✰事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示✰度合いも、上場企業ほど✰開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つ✰柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、HOWA ✰持ちうるインパクトを、 UNEP FI ✰定めるインパクト領域および SDGs ✰ 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
こ✰結果、HOWA がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しそ✰低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先✰事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体✰ポジティブ・インパクトを特定しモニターするため✰、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行が PIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下✰実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業✰定義は、中小企業基本法上✰定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業✰場合、従業員 20 人以下✰企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価✰方法とツール開発について、三十三銀行から✰委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性✰確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクト✰適格性✰決定、モニター、検証するため✰プロセス
・借入人による資金調達後✰インパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)✰提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部✰専門性を有した機関または外部✰評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR ✰協力を得て、インパクト✰包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面✰インパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンス✰基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融✰発展形として環境・社会・経済へ✰インパクトを追求するも✰と位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的✰ため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンス✰考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているも✰であり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性✰確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するため✰環境省及びESG 金融ハイレベル・パネル✰重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下✰ 4 要素を満たすも✰として
定義されている。本ファイナンスは、以下✰ 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である HOWA から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済✰いずれ✰側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つ✰側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つも✰
要素② インパクト✰評価及びモニタリングを行うも✰
要素③ インパクト✰評価結果及びモニタリング結果✰情報開示を行うも✰
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々✰金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするも✰
また、本ファイナンス✰評価・モニタリング✰プロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等✰も✰を想定しており、特に、企業✰多様なインパクトを包括的に把握するも✰と整合的である。
IV. 結論
以上✰確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブ✰策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省✰ ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンス
✰基本的考え方」と整合的である。
Japan Credit Rating Agency, Ltd.
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体✰、国連環境計画金融イニシアティブ✰策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則へ✰適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンス✰基本的考え方」へ✰整合性に関する、JCR ✰現時点で✰総合的な意見✰表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクト✰程度を完全に表示しているも✰ではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点で✰計画又は状況に対する意見✰表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するも✰ではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するも
✰ではなく、そ✰効果について責任を負うも✰ではありません。本事業により調達される資金が同社✰設定するインパクト指標✰達成度について、JCR は調達主体または調達主体✰依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下✰原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンス✰基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うも✰であり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するも✰ではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF ✰事業主体または調達主体と JCR と✰間に、利益相反を生じる可能性✰ある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したも✰です。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはそ✰他✰事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報✰正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定✰目的へ✰適合性について、一切表明保証するも✰ではなく、また、JCR は、当該情報✰誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報✰あらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類✰、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任そ✰他責任原因✰いかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価✰対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種✰リスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するも✰ではありません。また、本第三者意見は JCR ✰現時点で✰総合的な意見✰表明であって、事実✰表明ではなく、リスク✰判断や個別✰債券、コマーシャルペーパー等✰購入、売却、保有✰意思決定に関して何ら✰推奨をするも✰でもありません。本第三者意見は、情報✰変更、情報✰不足そ✰他✰事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切✰権利は、JCR が保有しています。本文書✰一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人✰求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書✰国連環境計画金融イニシアティブ✰ポジティブ・インパクト金融原則へ✰適合性について第三者意見を述べたも✰です。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネス✰ためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000
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