【Point】労働契約内容を書面で作成し、労働者の理解を深めることは前号でご説明しましたが、就業規則を労働契約の内容とすることも認められています。
雇い方・働き方の新ルール
労働契約法とは
労働者、使用者がともに円滑な労働関係を築いていけるよう、採用・解雇などの基本的な雇用ルールを定めた新しい法律です。
※ 平成19年12月制定、平成20年3月1日施行
労働契約の成立と変更
労働者が使用者に「使用されて労働する」こと、使用者が労働者の「労働に対して賃金を支払う」こと、両者がこれに合意すると労働契約の成立となります。労働契約の変更に関しても、労使の合意がなければ変更することが出来ません。
【Point】労働契約内容を書面で作成し、労働者の理解を深めることは前号でご説明しましたが、就業規則を労働契約の内容とすることも認められています。
労働契約と就業規則 その1
就業規則は、1 つの事業場に 10 人以上労働者(パートも含む)を使用する場合に作成・届出る義務があります。ただし就業規則の内容が、すべての労働者の労働条件とならないことがありますので注意してください。
労働契約の労働条件と認められる就業規則とは…
●合理的な労働条件が定められている就業規則であること
●就業規則が労働者に周知されていること
たとえ就業規則があったとしても、労働者の誰もが見たことのないものや、ずっと以前に作成したままで、現在の法律(労働基準法等)とマッチしていないものは、労働契約の内容とすることが出来ません。また、労働者と使用者が就業規則とは異なる労働条件で合意をした場合、その部分については個別の労働契約が優先されます。ただし、就業規則の基準に満たないものは、合意があってもその部分は無効となり、就業規則で定めた労働条件が優先されます。
【Point】就業規則が周知されている場合
就業規則の労働条件で労働契約を結んでいる
就業規則を周知
合理的な労働条件を定めた就業規則
個別に合意した労働条件はその労働契約が優先。その他の労働条件は就業規則に定めたもの
就業規則
を周知
就業規則とは異なる労働条件で合意
労働条件その他は、合意した労働契約の通り。ただし、就業規則の基準に満たないものは無効
【x x】
《労働者》
《使用者》
労働者・使用者が合意した労働契約
労働契約と就業規則 その2
労働契約の内容を変更したい場合にも、就業規則の変更により労働契約を変更したとみなすことがxxxx。就業規則の変更をするには、労働者の過半数で組織する労働組合の代表者、または過半数を代表する者の意見を聞き、それを書面にまとめ、変更した就業規則とともに届出することになっています。就業規則の変更手続について定めている労働基準法は、労働者の意見を聞くのみで「合意」までは求めていません。しかし、労働契約法には条件があります。特に労働者に不利益となる変更は、4 つの判断基準をクリアすることが必要です。
●不利益の程度 ●変更の必要性
●変更後の就業規則の相当性 ●労働組合等との交渉の状況
これらが合理的理由によるものであり、かつ、変更後の就業規則が労働者に周知される場合のみ認められます。
【Point】労働契約を変更する場合、合理性があり周知される条件を満たせば、不利益変更であっても就業規則の変更をもって労働契約の変更とすることがxxxx。
権利の濫用禁止!
解雇・懲戒・出向に関して客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合、権利の濫用をしたものとして無効となります。また、期間の定めがある労働契約をやむを得ない事由がある場合以外で、契約期間途中に解雇をすることが出来なくなりました。
【Point】
●解雇
もともと労働基準法に定められていた条文が、労働契約法に移りました。ただし、移ったものは権利濫用禁止についての条文だけで、解雇制限や解雇予告等は労働基準法に残り、罰則も適用となります。
●懲戒
懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則に懲戒の規定をしておくことが必要です。同じ違反行為に対し、何度も処分することが出来ません(二重処罰の禁止)。また、気に入らない労働者だからといって処分を重くするなど、平等性を欠くことがないようにするとともに、本人に弁明の機会を与えるなど適正な手続を行うことが大切です。
●出向
A 社に身分(籍)を置いたまま B 社で働くことを出向といいます。まず労働契約や就業規則に出向に関する規定があること。出向の必要性があり、対象となる労働者の選定が相当であることを確認してください。この前提をクリアしておけば、包括的同意のみで、労働者個人の同意までとる必要はありません。
●有期雇用契約
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やむを得ない事由以外での期間途中解雇の禁止が明文化されました。やむを得ない事由とは天災事変で事業が継続できない状態などで、やむを得ない事由かどうかの証明は使用者が行います。同様に、労働者も契約期間満了まで働く義務があります。契約期間途中解雇が出来ないからといって、必要以上に短い期間での反復契約更新はもちろん禁止です。
労働契約法の大原則は「合意」です。使用者・労働者が理解と納得が、仕事により集中出来る環境をつくり、その結果、余計なトラブルの防止や雇用の安定を図ることがxxxx。
まずは、就業規則の見直しや労働者との話し合いの機会を持ってみてはいかがでしょうか?
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