Contract
第2章 事故により相手のものを壊した場合の補償
対物賠償責任条項
<用語のご説明-定義>
この条項において使用される次の用語は、それぞれ次の定義によります。
(1) 損壊 滅失、破損または汚損をいいます。滅失とは、財物がその物理的存在を失うことをいいます。破損とは、財物が壊れることをいいます。汚損とは、財物が汚れいたむことによりその客観的な経済的価値を減じられることをいいます。 |
(2) 法律上の損害賠償責任 民法(明治 29 年法律第 89 号)等法律に基づく損害賠償責任をいいます。 |
(3) 損害賠償請求権者 対物事故により被保険者に対して損害賠償を請求できる者をいい、対物事故の被害財物の所有者等をいいます。 |
(4) 対物保険金額 当社が支払う対物賠償保険金の限度額であって、保険証券記載の対物保険金額をいいます。 |
(5) 免責金額 支払保険金の計算にあたって損害の額から差し引く金額であって、保険証券記載の免責金額をいいます。免責金額は被保険者の自己負担となります。 |
1.保険金をお支払いする場合第1条[保険金をお支払いする場合]
当社は、被保険者が借用自動車の運転に起因して他人の財物を損壊させたこと(以下この条項において「対物事故」といいます。)により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、この条項および基本条項に従い、対物賠償保険金を支払います。
第2条[補償の対象となる方-被保険者]
この条項における被保険者は、借用自動車を運転している次の①または②のいずれかに該当する者とします。
① 記名被保険者
② 指定被保険者
2.保険金をお支払いできない場合第3条[保険金をお支払いできない場合]
(1) 当社は、次の①から⑧のいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
① 保険契約者、記名被保険者、指定被保険者またはこれらの者の法定代理人(保険契約者が法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関)の故意
② 戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動
③ 地震もしくは噴火またはこれらによる津波
④ 台風、洪水または高潮
⑤ 核燃料物質(使用済燃料を含みます。以下この⑤において同様とします。)もしくは核燃料物質によって汚染された物(原子核分裂生成物を含みます。)の放射性、爆発性その他有害な特性の作用またはこれらの特性に起因する事故
⑥ 上記⑤に規定した以外の放射線照射または放射能汚染
⑦ 上記②から⑥までの事由に随伴して生じた事故またはこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故
⑧ 借用自動車を競技もしくは曲技のために、または、それらのいずれかを行うことを目的とする場所で使用すること。ただし、救急、消防、事故処理、補修、清掃等のために使用する場合を除きます。
(2) 当社は、被保険者が損害賠償に関し第三者との間に特別の約定を締結している場合は、その約定によって加重された損害賠償責任を負担することによって被る損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
(3) 当社は、次の①または②のいずれかに該当する場合に生じた事故により、被保険者が被った損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
① 被保険者の使用者の業務(家事を除きます。)のために、その使用者の所有する自動車(注)を運転している場合
② 自動車の修理、保管、給油、洗車、売買、陸送、賃貸、運転代行等自動車を取扱う業務として受託した自動車を運転している場合
(注)所有権留保条項付売買契約により購入した自動車、および 1 年以上を期間とする貸借契約により借り入れた自動車を含みます。
(4) 当社は、対物事故により被保険者またはその父母、配偶者もしくは子の所有、使用または管理する財物が損壊した場合には、それによって被保険者が被る損害に対しては、対物賠償保険金を支払いません。
3.お支払いする保険金の計算第4条[お支払いする保険金の計算]
(1) 1回の対物事故につき当社の支払う対物賠償保険金の額は、次の算式によって算出される額とします。ただし、対物保険金額を限度とします。
----
=
第5条
[費用]①から⑤ までの費用
免責金額
被保険者が損害賠償請求権者に対して損害賠償金を支払ったことにより代位取得するものがある場合は、その価額
対 物 賠 償保 険 金 の額
被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額
= + - -
(2) 当社は、本条(1)に定める対物賠償保険金の額のほかに、対物保険金額を超過しても、次の①および②の額の合計額を対物賠償保険金として支払います。
① 第5条⑥および⑦の費用
② 第7条[当社による解決](1)の規定に基づく訴訟または被保険者が当社の書面による同意を得て行った訴訟の判決による遅延損害金
第5条[費用]
保険契約者または被保険者が支出した次の①から⑦までの費用は、これを損害の一部とみなします。ただし、これらの費用を支出する際の措置・手続によって得られなかった収入は対象となりません。
費用の種類 | お支払いする費用の内容 | |
① | 損害防止費用 | 基本条項第 14 条[事故発生時の義務等](1)①に規定する損害 の発生または拡大の防止のために必要または有益であった費用 |
② | 権利保全行使費用 | 基本条項第 14 条(1)④に規定する権利の保全または行使に必要 な手続をするために要した費用 |
③ | 緊急措置費用 | 対物事故が発生した場合において、損害の発生または拡大の防止のために必要または有益と認められる手段を講じた後に法律上の損害賠償責任のないことが判明したときは、その手段を講じたことによって要した費用のうち、緊急措置のために要した費用、 およびあらかじめ当社の同意を得て支出した費用 |
④ | 落下物取片づけ費用 | 偶然な事故によって借用自動車に積載していた動産(法令等で積載が禁止されている動産または法令等で禁止されている方法で積載されていた動産を除きます。)が落下したことに起因して、落下物を取り片づけるために被保険者が負担した費用のうち、あ らかじめ当社の同意を得て支出した取片づけ費用 |
⑤ | 原因者負担費用 | 対物事故が発生した場合で、失火ノ責任ニ関スル法律(明治 32 年法律第 40 号)の適用により被保険者に法律上の損害賠償責任 が生じないときにおいて、被保険者が道路法(昭和 27 年法律第 180 号)第 58 条(原因者負担金)の原因者負担金として支出した費用 |
⑥ | 示談交渉費用 | 対物事故に関して被保険者の行う折衝または示談について被保険者が当社の同意を得て支出した費用、および第7条[当社による解決](2)の規定により被保険者が当社に協力するために要し た費用 |
⑦ | 争訟費用 | 損害賠償に関する争訟について、被保険者が当社の書面による同意を得て支出した訴訟費用、弁護士報酬、仲裁、和解もしくは調停に要した費用またはその他権利の保全もしくは行使に必要な 手続をするために要した費用 |
4.当社による協力・援助および解決第6条[当社による協力または援助]
被保険者が対物事故にかかわる損害賠償の請求を受けた場合には、当社は、被保険者の負担する法律上の損害賠償責任の内容を確定するため、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、被保険者の行う折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続について協力または援助を行います。
第7条[当社による解決]
(1) 次の①または②のいずれかに該当する場合には、当社は、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当社の費用により、被保険者の同意を得て、被保険者のために、折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続(弁護士の選任を含みます。以下この条において同様とします。)を行います。なお、この場合における折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続には、借用自動車に生じた損害について借用自動車の所有者および被保険者から相手方へ行う請求に関するものは含みません。
① 被保険者が対物事故にかかわる損害賠償の請求を受け、かつ、被保険者が当社と解決条件に合意している場合
② 当社が損害賠償請求権者から第8条[損害賠償請求権者の直接請求権]の規定に基づく損害賠償額の支払の請求を受けた場合
(2) 本条(1)の場合には、被保険者は当社の求めに応じ、その遂行について当社に協力しなければなりません。
(3) 当社は、次の①から④のいずれかに該当する場合は、本条(1)の規定は適用しません。
① 1回の対物事故につき、被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠 償責任の総額が、対物保険金額を明らかに超える場合 |
② 1回の対物事故につき、被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠 償責任の総額が、免責金額を明らかに下回る場合 |
③ 損害賠償請求権者が、当社と直接、折衝することに同意しない場合 |
④ 正当な理由がなく被保険者が本条(2)に規定する協力を拒んだ場合 |
5.損害賠償請求権者の直接請求権第8条[損害賠償請求権者の直接請求権]
(1) 対物事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当社に対して本条(3)に定める損害賠償額の支払を請求することができます。
(2) 当社は、次の①から④のいずれかに該当する場合に、損害賠償請求権者に対して本条(3)に定める損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当社がこの条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うベき対物賠償保険金の額(同一事故につき既に支払った対物賠償保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)を限度とします。
① 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合
② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合
③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合
④ 法律上の損害賠償責任を負担すべき被保険者について、次のいずれかに該当する事由があった場合
ア.被保険者(被保険者が死亡した場合は、その法定相続人)の破産または生死不明イ.被保険者が死亡し、かつ、その法定相続人がいないこと。
(3) 第7条[当社による解決]および本条の損害賠償額とは、次の算式により算出される額をいいます。
損害賠償額
次の①または②のいずれか高い額
①被保険者が損害賠償請求権者に
対して既に支払った損害賠償金の額
②免責金額
被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額
= -
(4) 損害賠償請求権者の損害賠償額の請求が被保険者の対物賠償保険金の請求と競合した場合は、当社は、損害賠償請求権者に対して優先して損害賠償額を支払います。
(5) 本条(2)または(8)の規定に基づき当社が損害賠償請求権者に対して損害賠償額の支払を行った場合は、その金額の限度において、その被保険者の被る損害に対して、当社が被保険者に対物賠償保険金を支払ったものとみなします。
(6) 1回の対物事故につき、被保険者が負担する法律上の損害賠償責任の総額(同一事故につき既に当社が支払った対物賠償保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を含みます。)が対物保険金額を超えると認められる時以後、損害賠償請求権者は、本条(1)の規定による請求権を行使することはできず、また当社は、本条(2)の規定にかかわらず損害賠償額を支払いません。
(7) 次の①から③のいずれかに該当する場合には、本条(6)の規定は適用しません。
① 本条(2)④に規定する事実があった場合
② 損害賠償請求権者が被保険者に対して、対物事故にかかわる損害賠償の請求を行う場合において、被保険者(被保険者が死亡した場合は、その法定相続人)とも折衝することができないと認められる場合
③ 当社への損害賠償額の請求について、すべての損害賠償請求権者と被保険者との間で、書面による合意が成立した場合
(8) 本条(7)②または③に該当する場合は、本条(2)の規定にかかわらず、当社は、損害賠償請求権者に対して、損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当社がこの条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うべき対物賠償保険金の額(同一事故につき既に支払った対物賠償保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)を限度とします。
第9条[損害賠償額の請求および支払]
(1) 損害賠償請求権者が第8条[損害賠償請求権者の直接請求権]の規定により損害賠償額の支払を受けようとする場合、当社に対して損害賠償額の支払を請求しなければなりません。
(2) 損害賠償請求権者が損害賠償額の支払を請求する場合は、次の書類または証拠のうち、当
社が求めるものを当社に提出しなければなりません。ただし、当社が相当の理由があるものと認めた場合は、②の交通事故証明書について、その提出を省略できます。
損害賠償額請求に必要な書類または証拠 |
① 損害賠償額の請求書 |
② 公の機関が発行する交通事故証明書(人の死傷を伴う事故または借用自動車と他の自動車 との衝突もしくは接触による物の損壊を伴う事故の場合に限ります。) |
③ 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額を示す示談書 |
④ 被害が生じた物の価額を確認できる書類、修理等に要する費用の見積書(注ⅰ)および被 害が生じた物の写真(注ⅱ) |
⑤ その他当社が本条(7)に定める必要な事項の確認を行うために欠くことのできない書類ま たは証拠として保険契約締結の際に当社が交付する書面等において定めたもの |
(注ⅰ)既に支払がなされた場合はその領収書とします。
(注ⅱ)画像データを含みます。
(3) 損害賠償請求権者に損害賠償額を請求できない事情がある場合で、かつ、損害賠償額の支払を受けるべき損害賠償請求権者の代理人がいないときは、次の①から③までに掲げる者のいずれかがその事情を示す書類をもってその旨を当社に申し出て、当社の承認を得たうえで、損害賠償請求権者の代理人として損害賠償額を請求することができます。
① 損害賠償請求権者と同居または生計を共にする戸籍上の配偶者(注ⅲ)
② 上記①に規定する者がいない場合または上記①に規定する者に損害賠償額を請求できない事情がある場合には、損害賠償請求権者と同居または生計を共にする3親等内の親族
③ 上記①および②に規定する者がいない場合または上記①および②に規定する者に損害賠償額を請求できない事情がある場合には、上記①以外の戸籍上の配偶者(注ⅲ)または上記②以外の3親等内の親族
(注ⅲ)この(3)の規定の適用においては、内縁は対象となりません。
(4) 本条(3)の規定による損害賠償請求権者の代理人からの損害賠償額の請求に対して、当社が損害賠償額を支払った場合は、その金額の限度において当社が被保険者に、その被保険者の被る損害に対して、対物賠償保険金を支払ったものとみなします。
(5) 当社は、事故の内容、損害の程度等に応じ、損害賠償請求権者に対して、本条(2)に掲げる もの以外の書類もしくは証拠の提出または当社が行う調査への協力を求めることがあります。この場合には、当社が求めた書類または証拠を速やかに提出し、必要な協力をしなければな りません。
(6) 損害賠償請求権者が、正当な理由がなく本条(5)の規定に違反した場合または本条(2)、(3)もしくは(5)の書類に事実と異なる記載をし、もしくはその書類もしくは証拠を偽造しもしくは変造した場合は、当社は、それによって当社が被った損害の額を差し引いて損害賠償額を支払います。
(7) 当社は、第8条(2)①から④または同条(7)①から③のいずれかに該当する場合には、損害賠償請求権者が本条(2)および(3)の規定による手続を完了した日(以下この条において「請求完了日」といいます。)からその日を含めて 30 日以内に、当社が損害賠償額を支払うために必要な次の①から⑤までの事項の確認を終え、損害賠償額を支払います。
① 損害賠償額の支払事由発生の有無の確認に必要な事項として、事故の原因、事故発生の状況、損害発生の有無および被保険者に該当する事実
② 損害賠償額が支払われない事由の有無の確認に必要な事項として、損害賠償額が支払われない事由としてこの保険契約において定める事由に該当する事実の有無
③ 損害賠償額を算出するための確認に必要な事項として、損害の額および事故と損害との関係
④ 保険契約の効力の有無の確認に必要な事項として、この保険契約において定める解除、無効、失効または取消しの事由に該当する事実の有無
⑤ 上記①から④までのほか、他の保険契約等の有無および内容、損害について被保険者が有する損害賠償請求権その他の債権および既に取得したものの有無および内容等、当社が支払うべき損害賠償額を確定するために確認が必要な事項
(8) 本条(7)の確認をするため、次表の①から④までに掲げる特別な照会または調査が不可欠な場合には、本条(7)の規定にかかわらず、当社は、請求完了日からその日を含めて同表に定める日数(注ⅳ)を経過する日までに、損害賠償額を支払います。この場合において、当社は、確認が必要な事項およびその確認を終えるべき時期を損害賠償請求権者に対して通知するものとします。
特別な照会または調査 | 日数 |
① 本条(7)①から④までの事項を確認するための、警察、検察、消防その他 の公の機関による捜査・調査結果の照会(注ⅴ) | 180 日 |
② 本条(7)①から④までの事項を確認するための、専門機関による鑑定等の 結果の照会 | 90 日 |
③ 災害救助法(昭和 22 年法律第 118 号)が適用された災害の被災地域に おける本条(7)①から⑤までの事項の確認のための調査 | 60 日 |
④ 本条(7)①から⑤までの事項の確認を日本国内において行うための代替 的な手段がない場合の日本国外における調査 | 180 日 |
(注ⅳ)複数に該当する場合は、そのうち最長の日数とします。
(注ⅴ)弁護士法(昭和 24 年法律第 205 号)に基づく照会その他法令に基づく照会を含みます。
(9) 本条(7)および(8)に掲げる必要な事項の確認に際し、損害賠償請求権者が正当な理由なくその確認を妨げ、またはこれに応じなかった場合(注ⅵ)には、これにより確認が遅延した期間については、本条(7)または(8)の期間に算入しないものとします。
(注ⅵ)必要な協力を行わなかった場合を含みます。
(10) 本条(7)から(9)までの規定による損害賠償額の支払は、損害賠償請求権者と当社があらかじめ合意した場合を除いては、日本国内において、日本国通貨をもって行うものとします。
第 10 条[損害賠償額請求権の行使期限]
第8条[損害賠償請求権者の直接請求権]の規定による請求権は、次の①または②のいずれかに該当する場合には、これを行使することはできません。
① 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定し、または裁判上の和解、調停もしくは
書面による合意が成立した時の翌日から起算して3年を経過した場合
② 損害賠償請求権者の被保険者に対する損害賠償請求権が時効によって消滅した場合
6.仮払金および供託金の貸付け等第 11 条[仮払金および供託金の貸付け等]
(1) 第6条[当社による協力または援助]または第7条[当社による解決](1)の規定により当社が被保険者のために援助または解決にあたる場合には、当社は、1回の対物事故につき、対物保険金額(同一事故につき既に当社が支払った対物賠償保険金または第8条[損害賠償請求権者の直接請求権]の損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)の範囲内で、仮処分命令に基づく仮払金を無利息で被保険者に貸し付け、また、仮差押えを免れるための供託金もしくは上訴のときの仮執行を免れるための供託金を当社の名において供託し、または供託金に付されると同率の利息で被保険者に貸し付けます。
(2) 本条(1)により当社が供託金を貸し付ける場合には、被保険者は、当社のために供託金(利息を含みます。以下この条において同様とします。)の取戻請求権の上に質権を設定するものとします。
(3) 本条(1)の貸付けまたは当社の名による供託が行われている間においては、第4条[お支払いする保険金の計算](1)ただし書、第8条(2)ただし書および同条(8)ただし書の規定は、その貸付金または供託金を既に支払った対物賠償保険金とみなして適用します。
(4) 本条(1)の供託金が第三者に還付された場合には、その還付された供託金の限度で、本条(1)の当社の名による供託金または貸付金(利息を含みます。)が対物賠償保険金として支払われたものとみなします。
(5) 基本条項第 16 条[保険金のご請求]の規定により当社の保険金支払義務が発生した場合は、本条(1)の仮払金に関する貸付金が対物賠償保険金として支払われたものとみなします。
7.その他
第 12 条[先取特権]
(1) 対物事故にかかわる損害賠償請求権者は、被保険者の当社に対する保険金請求権(第5条
[費用]の費用に対する保険金請求権を除きます。以下この条において同様とします。)について先取特権を有します。
(2) 当社は、次の①から④のいずれかに該当する場合に、対物賠償保険金の支払を行うものとします。
① 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をした後に、当社から被保険者に支払う場合。ただし、被保険者が賠償した金額を限度とします。
② 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、被保険者の指図により、当社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
③ 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、損害賠償請求権者が本条(1)の先取特権を行使したことにより、当社から直接、損害賠償請求権者に支払う場合
④ 被保険者が損害賠償請求権者に対してその損害の賠償をする前に、当社が被保険者に対物賠償保険金を支払うことを損害賠償請求権者が承諾したことにより、当社から被保険者に支払う場合。ただし、損害賠償請求権者が承諾した金額を限度とします。
(3) 保険金請求権は、損害賠償請求権者以外の第三者に譲り渡し、質権の目的とし、または本
条(2)③の場合を除いて差し押さえることができません。ただし、本条(2)①または④の規定により被保険者が当社に対して対物賠償保険金の支払を請求することができる場合を除きます。
第 13 条[損害賠償請求権者の権利と被保険者の権利の調整]
対物保険金額が、第 12 条[先取特権](2)②または③の規定により損害賠償請求権者に対し て支払われる対物賠償保険金と被保険者が第5条[費用]の規定により当社に対して請求する ことができる対物賠償保険金の合計額に不足する場合は、当社は、被保険者に対する対物賠償 保険金の支払に先立って損害賠償請求権者に対する対物賠償保険金の支払を行うものとします。