こうしておけば、B C D さんの署名がなされた申込書を旅行業者が受領することにより、A さんは旅行契約の締結に関する一切の代理権があるものとして扱われ、旅行業者は、A さんを相手に旅行契約に関する交渉及び締結をすれば良いことになります(約款募
第7回 契約責任者って
どんな人?
法務・コンプライアンス室
体との旅行契約においては「契約責任者」に関するトラブルはまず生じません。職場を構成する個々の従業員同士の集まり、学校のサークル仲間や家族旅行など法人格のない団体の場合の紛争予防のためにこの規定が必要となるのです。
こうしておけば、B C D さんの署名がなされた申込書を旅行業者が受領することにより、A さんは旅行契約の締結に関する一切の代理権があるものとして扱われ、旅行業者は、A さんを相手に旅行契約に関する交渉及び締結をすれば良いことになります(約款募
法務の窓口 誤解しやすいテーマを取り上げて分かりやすい文章で解説します。
(監修 弁護士 xxxx)
集型企画旅行契約の部第
条第 項)。
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悲喜こもごもの歓送xx。宴会の幹事さんを皆さんも一度は経験したことがあるのではないですか。
標準旅行業約款(以下「約款」)には「契約責任者」という規定があります。この人がまさに旅行の「幹事
契約責任者は団体構成者の代理人
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職場の仲間A B C D の 名で旅行に行くことになり、幹事役の A さんが旅行会社の窓口に来店して募集型企画旅行を申し込みました。この場合、契約の当事者は
また、最終日程表を A さんにまとめて 名分渡したのはけしからんと C さんから苦情をもらうケースがありますが、A さんと旅行業者との間で最終日程表は各々に渡すという合意がない限りこの苦情も許されません。
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さん」になりますが、それでは幹事さんの権限と責任 旅行業者と団体構成者の A B C D さんとの間で つの
はどうなっているの?というのが今回のテーマです。
契約責任者は旅行の幹事さん
募集型企画旅行契約(以下「旅行契約」)が成立すると考えると、A さんには B C D の代理人として契約を結ぶ権限(代理権)があることが前提となります。「B C Dさんは A さんを代理人(契約責任者)として定めた」
契約責任者は旅行に行く人
A さんが旅行に同行すればともかく、同行しないとなると旅程の変更等があったときには、旅行業者は
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「劇団ひとり」ならいざ知らず、
人以上の集まりが
という意思表示を旅行業者が受けておかないと、後に
B C D さん全員に説明等をしなければならず煩雑と
あって法律的には団体という概念が生まれ、「幹事さん」が登場します。約款では募集型・受注型企画旅行契約
なって B さんから「A さんが勝手に申し込んだもの」と言われてしまえば旅行契約の効力を B さんに及ぼす
なります。
そこで、「旅行開始後においては、あらかじめ契約
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の部でも手配旅行契約の部でも「第
章 団体・グルー
ことはできず、旅行業者は取消料も収受できません。
責任者が選任した構成者を契約責任者とみなします」
プ契約」と章立てし、幹事の権限や責任等に関する規
そこで、「A さんを代理人と定めた」ことを証明す
との規定を置きました(同条第
項)。この規定により、
お客様の信頼確保にコンプライアンスは必須。
旅行取引に関わる基本的な法務知識のうち、
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8 2013 APR JATA Communication
定を置いています(募集型・受注型企画旅行契約の部
る書面として B C D さんから委任状をもらうのがベ
旅行業者は A さんが選任した D さんを契約責任者と
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第 条、第
条、手配旅行契約の部第
条、第
条)。
ストとなりますが、実務はそうもいかないとなれば、
して相手にすればよく、B C さんは A さんを契約責
募集型企画旅行契約がその基本形だとすると、後払いの契約もあり得る受注型企画旅行契約と手配旅行契約には「契約成立の特則」を定めた条項が続きます。
なお、職場旅行をする会社そのものと旅行業者との間で、あるいは修学旅行で学校法人と旅行業者との間で受注型企画旅行契約を結ぶように、法人格のある団
「申込書」(申し込み用紙)にこの委任状を盛り込んでしまう方法があります。契約責任者の署名欄を設けて、その下に「上記の者を契約責任者(代表者)として契約を申し込みます」という文言を挟み、その下に参加者全員の署名欄を設けておき、「この申込書に B C Dさんの署名をもらってきてください」と案内します。
任者として募集型企画旅行契約を申し込んだ以上、Aさんには D さんの選任をも許諾したことになります
(民法第 1 0 4 条)。「自分は行かないけど適当にやっといて」という幹事さんがもしいれば、「代わりの方は?」と確認して契約責任者を明確にすることが大切です。 (xx)