静岡銀行(頭取 柴田 久)では、SDGs への取り組みの一環として、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組む地域企業を金融面から支援するため、「ポジティ ブ・インパクト・ファイナンス」など「サステナブルファイナンス」の提供に取り組んでいます。
2021.9.30
静岡県内初! 「サステナビリティ・リンク・ローン」の契約を締結
静岡銀行(頭取 xx x)では、SDGs への取り組みの一環として、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組む地域企業を金融面から支援するため、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」など「サステナブルファイナンス」の提供に取り組んでいます。
このたび、山一金属㈱(社長 xxxx)と静岡県内初となる「サステナビリティ・xxx・xxx(※)」の契約を締
結しましたので、その概要をご案内します。
※お客さまの SDGs や ESG 戦略に整合した取組目標として「キー・パフォーマンス・インディケーター(KPI」)」と
「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)」を設定し、SPTs の達成状況に応じて、金利などの貸出条件を連動させるローン。設定したKPI ・SPTs の有意義性・野心度等については、㈱日本格付研究所の第三者評価を取得する。
1.「サステナビリティ・リンク・ローン」契約の概要
(1)契約日/9 月 30 日(木)
(2)融資金額/3 億円
(3)資金使途/運転資金
2.山一金属㈱の取り組み
〇同社は、1985 年から使用済アルミ缶・アルミラミネート箔のリサイクル事業を開始し、主要事業として、30 年以上にわたりアルミ缶を再生させる「CAN TO CAN リサイクル」に取り組んでいます。
日本におけるアルミ缶の需要量は、2020 年現在 218 億缶(331,178 トン)で、このうちリサイクルされたアルミ缶の割合は 94%となり、同社のシェアは約 10~15%にのぼります。
〇また、同社独自の技術開発により、アルミニウムの再生塊の製造に必須であった誘導炉での溶解をせず、焙焼したペレットをそのまま圧縮してタブレットとしているため、電力消費は、再生塊と比較して 10 分の 1 となっています。さらに、原料である「ボーキサイト」からxx金を製造するのと比較して 0.4%程度の電力で製造す
ることが可能となり、アルミ缶製造過程における電力消費量および温室効果ガス排出量双方の削減に寄与しています。
〇今回、同社では以下の KPI と SPTs を設定しています。
KPI | SPTs | 関連する SDGs |
山一金属㈱の総販売量に占めるタブレットの販売比率 | 山一金属㈱の総販売量に占めるタブレットの比率を 80%以上とすること |
【ご参考】山一金属㈱の概要
所 在 地 | xxxxxxxxxxx 000 | 設 立 | 1961 年 5 月 |
事業内容 | アルミリサイクル | 売 上 高 | 7,816 百万円(2021 年 4 月期) |
第三者意見
評価対象:サステナビリティ・xxx・xxx借入人:山一金属株式会社
貸付人:株式会社静岡銀行
2021 年 9 月 30 日 株式会社 日本格付研究所
目次
<要約> . - 3 -
I. 第三者意見の位置づけと目的........................................................................................................... - 5 -
II. 第三者意見対象の概要...................................................................................................................... - 5 -
III. 本ローンのSLL 原則等との適合性確認........................................................................................... - 6 -
1. 本ローンのサステナビリティとの関係性..................................................................................... - 6 -
2. KPI 選定の妥当性.......................................................................................................................... - 6 -
2-1. 評価の視点................................................................................................................................ - 6 -
2-2. 評価対象の現状とJCR の評価................................................................................................. - 6 -
2-2-1. 山一金属のサステナビリティ戦略.....................................................................................- 6 -
2-2-2. KPI の企業理念・環境方針における位置づけと有意義性..................................................- 8 -
3. SPTs の測定 .................................................................................................................................. - 9 -
3-1. 評価の視点................................................................................................................................ - 9 -
3-2. 評価対象の現状とJCR の評価............................................................................................... - 10 -
3-2-1. SPTs の野心度(自社比較) ............................................................................................ - 10 -
3-2-2. SPTs の野心度(他社比較) ............................................................................................ - 10 -
3-2-3. SPTs の野心度(目標達成に向けた具体的施策)............................................................ - 11 -
3-3. JCR によるインパクト評価..................................................................................................... - 11 -
4. ローンの特性............................................................................................................................... - 14 -
4-1. 評価の視点.............................................................................................................................. - 14 -
4-2. 評価対象の現状とJCR の評価............................................................................................... - 14 -
5. レポーティングと検証................................................................................................................ - 15 -
5-1. 評価の視点.............................................................................................................................. - 15 -
5-1-1. 開示予定項目.................................................................................................................... - 15 -
5-1-2. 検証.................................................................................................................................. - 15 -
5-2. 評価対象の現状とJCR の評価............................................................................................... - 15 -
6. SLLP 等との適合性に係る結論................................................................................................... - 16 -
<要約>
本第三者意見書は、株式会社静岡銀行(静岡銀行)が山一金属株式会社(山一金属)に実施するサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)(本ローン)に対して、サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)
1及び環境省によるグリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(環境省ガイド
ライン)(SLLP 及び環境省ガイドラインを総称して「SLLP 等」)への適合性を確認したものである。株式会社日本格付研究所(JCR)は、SLLP 等で推奨されている評価の透明性及び客観性確保のため、独立した第三者機関として、(1)山一金属のサステナビリティ戦略とキー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)およびサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)の設定、(2)融資条件と期中のモニタリング体制について第三者評価を行った。
(1) 山一金属のサステナビリティ戦略とKPI・SPT の設定について
山一金属は、本ローンにおいて、以下のKPI・SPTを設定することで静岡銀行と合意した。
KPI:山一金属の総販売量に占めるタブレットの販売比率
SPT:山一金属の総販売量に占めるタブレットの比率を80%以上とすること
山一金属は、主としてアルミ缶からの再生地金製造やアルミラミネート箔リサイクルを行う会社である。本社および工場は静岡県に存在しているが、再生地金の原料となる使用済アルミ缶やアルミラミネート箔は全国各地の問屋・行政から購入している。1985 年より使用済アルミ缶・アルミラミネート箔のリサイクル事業を開始し、使用済アルミ缶をアルミ缶に再生させる「CAN TO CAN リサイクル」を 30 年以上主要の事業として継続してきた。
山一金属では、年間約30 億本のアルミ缶をリサイクルしており、国内で消費されたアルミ缶について、山一金属によるリサイクルのシェアは約 10~15%と一定の規模を有している。
山一金属は、企業理念として「資源を有効活用し、環境と調和する」、「社会や地域に貢献し、共存を目指す」、「日本の工業発展に寄与し、次世代につなげる」の3つを掲げ、これらの実現に向け事業を展開している。この企業理念に従い、技術開発によりアルミニウムという限られた資源の有効活用および省エネルギーによる再資源化を行っている。
また、山一金属では企業理念に記されている環境への意識を明確化するために環境方針を制定し、自身の事業による環境への負荷の低減に努め、環境保護の重要性と資源の有効活用を意識した取り組みを行っていくことを記載している。
上記企業理念および環境方針に基づく環境負荷低減や資源の有効活用に係る取り組みの進捗を確認するため、今般、山一金属は使用済アルミ缶を用いた再生アルミニウムのタブレットの販売比率を KPI として設定し、そのSPT として総販売量に占めるタブレット販売比率を 8 割以上で維持することを設定した。アルミニウムを国内でリサイクルして長く使用していくことは、山一金属の企業理念で重要課題として示された環境問題への解決策であるほか、「電気の缶詰」と呼ばれるアルミニウムのxx金の一部の輸入元では、安価な化石燃料を使用してアルミニウムの精錬が行われていることから、輸入量の削減を通じ
1 Loan Market Association(LMA)、Asia Pacific Loan Market Association(APLMA)及び Loan Syndication and Trading Association(LSTA)制定。2021 年 5 月改訂版。
て、山一金属が環境方針で目指している地球環境保護にもつながるとJCR では評価している。
山一金属が行っているアルミ缶リサイクルには、前述のボーキサイトからアルミニウムのxx金を製造するのと比べて約 3~4%程度の電力で再生塊を作ることができる。
また、山一金属が独自に開発した技術では、これまでアルミニウムの再生塊を製造する際に必須だった誘導炉での溶解をせずに、焙焼したペレットをそのまま圧縮してタブレットとすることに成功した。これは誘導炉での溶解が不要となるため、電力消費は、再生塊を製造するのと比較してさらに 10 分の 1 となっている。
また、タブレットの製造に関する GHG 排出に関しても、山一金属は外部のコンサルティング会社に計測を依頼して、数値を算出している。仮にタブレットの割合をSPT で定められた 8 割以上で維持した場合、山一金属が排出するGHG はCO2 換算で約 10,000t にとどまるのに対し、すべて再生塊で製造した場合は約 30,000~35,000t となり、大幅なGHG の削減に貢献することができる。
一方、本ローンで設定された SPT の野心度について、山一金属は自社の総販売量に占めるタブレット、再生塊およびその他製品の割合のトラックレコードを有しているが、トラックレコードのある 2009 年 4 月期以降、 SPT で設定した水準には通期において達したことはない。また、アルミニウムの再生地金を製造する同業他社はタブレットではなく再生塊での販売を行っており、山一金属のようにタブレットをメイン商品として販売を推進している企業はない。
従って、山一金属が設定したSPT は、有意義かつ野心的であるとJCR では評価している。
(2) 融資条件と期中のモニタリング体制について
JCRは、融資条件におけるインセンティブ内容について、山一金属と静岡銀行の双方が納得のいく形で設定されていること、返済期限到来までSPT進捗の確認及び金利見直しのタイミングを毎年設け、当該タイミング時のSPTの進捗状況と貸出条件等が連動されていること、返済期限到来時に最終的なサステナビリティ達成度について確認を行うことを確認した。また、山一金属は、KPIのパフォーマンスについて、毎会計年度終了後、貸付人およびJCRに開示の予定であり、SPTの進捗状況を確認するためのタブレットの販売量の割合にかかる開示事項については、監査を担当する税理士より限定的な数値に関する第三者検証を取得の予定である。仮に期中においてSPTにかかる重大な変更が発生した場合には、 JCRがレビューを行い、引き続きSLLP等への準拠状況と当初想定していた野心度や有意義性が維持されるか否かを確認する。なお、返済期限到来年に山一金属、静岡銀行およびJCRの3社で本ローンに係る振り返りを行い、SPTの達成状況に加え、山一金属および社会に対するインパクトの発現状況を評価することとしている。
以上の考察から、JCR は、今回の第三者意見提供対象である山一金属に対する本ローンが、SLLP 等に適合していることを確認した。
I. 第三者意見の位置づけと目的
JCR は、本ローンに対してSLLP 等に即した第三者評価を行った。SLL とは、借入人が予め設定した意欲的なSPT の達成にインセンティブ付けを行うことで、借入人および貸付人が持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとした、ローン商品およびコミットメントライン等融資枠のことを言う。
SLLP は、5 つの原則からなる。第 1 原則は KPI の選定、第 2 原則は SPTs の測定、第 3 原則はローンの特性、第 4 原則はレポーティング、第 5 原則は検証である。
本第三者意見の目的は、SLLP で推奨されている評価の透明性および客観性確保のため、JCR が独立した第三者機関として、本ローンの SLLP 第 1 原則~第 5 原則および環境省ガイドラインへの適合性に関するレビューを行うことである。
II. 第三者意見対象の概要
今回の評価対象は、静岡銀行が山一金属との間で 2021 年 9 月 30 日付にて契約を締結予定の SLL である。以下は、本第三者意見に含まれる評価項目である。
1. 本xxxのサステナビリティとの関係性
2. KPI 選定の妥当性
3. SPTs の測定(野心度)
4. ローンの特性
5. レポーティングと検証
6. SLLP 等との適合性に係る結論
III. 本ローンの SLL 原則等との適合性確認
1. 本xxxのサステナビリティとの関係性
山一金属は、本ローンの組成に際し、同社の取り組みに関連した KPI およびSPT を以下の通り設定した。
KPI:山一金属の総販売量に占めるタブレットの販売比率
SPT:山一金属の総販売量に占めるタブレットの比率を 80%以上とすること
2. KPI 選定の妥当性 2-1. 評価の視点
本項では、借入人の選定した KPI について、SLLP 等で例示されている以下の要素を含んでいるかを中心として、その有意義性を評価する。
1) 借入人のビジネス全体に関連性があり、中核的で重要であり、かつ、借入人の現在および/または将来的なビジネスにおいて戦略的に大きな意義のあるものか。
2) 一貫した方法に基づき測定可能、または定量的なもので、外部からの検証が可能なものか。
3) ベンチマーク化(例えば、SPTs の野心度合を評価するために、外部指標・定義を活用する等)が可能か。
2-2. 評価対象の現状とJCR の評価
(評価結果)
本ローンで定めたKPI は、SLLP 等で求められている要素を全て含んでおり、山一金属の持続可能な成長およびSDGs の目標に資する有意義なKPI が選定されている。
2-2-1. 山一金属のサステナビリティ戦略
<事業概要>
山一金属は、主としてアルミ缶からの再生地金製造やアルミラミネート箔リサイクルを行う会社である。本社および工場は静岡県に存在しているが、再生地金の原料となる使用済アルミ缶やアルミラミネート箔は全国各地の問屋・地方自治体等から購入している。
山一金属は 1985 年より使用済アルミ缶・アルミラミネート箔のリサイクル事業を開始し、使用済アルミ缶をアルミ缶に再生させる「CAN TO CAN リサイクル」を 30 年以上主要の事業として継続してきた。また、30 年以上リサイクル事業を行う中で、アルミ資源の再資源化に関する技術開発を行い、アルミ缶に関する低コスト・高品質の商品開発や当時困難と言われていたアルミラミネート箔のリサイクルに関する実証技術研究を 1996 年度に通商産業省(現:経済産業省)から受託、翌年度には静岡県から「中小企業創造活動促進法研究開発」の事業計画に認定されるなど、技術力に関しては一定の水準を有している。
アルミ缶リサイクル協会によると、日本のアルミ缶需要量は 2020 年現在で 218 億缶(331,178 トン)
に上っている。そのうち、リサイクルされたアルミ缶の割合(国内再生利用+海外輸出分)は、94.0%にのぼる。山一金属では、年間約 30 億本のアルミ缶をリサイクルしており、国内で消費されたアルミ缶のうち、山一金属のリサイクルのシェアは約 10~15%と一定の規模を有している。
山一金属の 2021 年 4 月期の事業分野別販売量の内訳は、アルミ缶タブレットが 75.6%、RSI(アルミ缶再生塊)が 15.8%、その他が 8.6%である。
<企業理念>
山一金属は、企業理念として「資源を有効活用し、環境と調和する」、「社会や地域に貢献し、共存を目指す」、「日本の工業発展に寄与し、次世代につなげる」の3つを掲げ、これらの実現に向け事業を展開している。この企業理念に従い、技術開発によりアルミニウムという限られた資源の有効活用および省エネルギーによる再資源化を行っている。
また、企業理念の中で環境問題を重要課題として位置付け、「共存共栄」をスローガンに省資源への取り組みを行い、よりよい日本を次世代に引き継ぐことを理念として掲げている。
<環境方針>
山一金属 環境方針
山一金属株式会社は、非鉄金属スクラップをリサイクルする為に加工、販売している企業です。主にアルミスクラップ(アルミ缶、アルミ箔等)を加工し、その原料となる様グローバルに販売しています。事業活動であるリサイクルを通じて、管理出来る環境への負荷の低減と環境汚染の防止に努めると共 に、事業活動が環境と調和することを理念とし、地球環境保護の重要性と資源の有効化を認識し行動します。さらに当社の事業活動の環境側面に関連する法規制及び当社が同意するその他の要求事項を遵守します。環境パフォーマンスを向上させるために、環境マネジメントシステムを構築し継続的改善を図り維持します。
山一金属では企業理念に記されている環境への意識を明確化するために環境方針を制定した。その中で、自身の事業による環境への負荷の低減に努め、環境保護の重要性と資源の有効活用を意識した取り組みを行っていくことを記載している。
具体的な取り組みとして、アルミラミネート箔のリサイクルの工程で出てくる樹脂を、アルミ缶の再生過程の一つであり、表面の塗料と有機物を取り除く焙焼工程の助燃材として利用し、重油の使用量の減少につなげているほか、2008 年に環境マネジメントシステムの国際認証であるISO14001 を取得し、2015年に最新の基準に基づいて再取得している。2020 年の 1 年間、認証更新が途切れたが、2021 年は再取得を予定している。
また、今後具体的な長期的環境に関する目標を設定する予定であることをJCR では確認している。
2-2-2. KPI の企業理念・環境方針における位置づけと有意義性
山一金属は、企業理念および環境方針において環境問題を重要課題として掲げ、資源の有効活用を目指すべき取り組みの一つとして挙げている。
山一金属が扱っているアルミ缶やアルミラミネート箔のリサイクル事業は、アルミニウムの原料であるボーキサイトの節約につながる。
原料であるボーキサイトから「バイヤー法2」および「ホール=エルー法3」により、アルミニウムを作るには、1t あたり約 15,000kWh の電力が必要とされている。その莫大な電気消費量から、アルミニウムは「電気の缶詰」とも呼ばれている。日本ではオイルショックによる電力価格の高騰により国内精錬の大部分が海外に移転し、自前の水力発電設備を有する一部企業のみが国内精錬を行っていたが、2014 年にはその国内精錬についても閉鎖され、現在日本ではアルミニウムの精錬は行われておらず、アルミニウムは国内のリサイクルおよび国外からのxx金、リサイクルによって賄われている。アルミニウムを国内でリサイクルして長く使用していくことは、山一金属の企業理念で重要課題と して示された環境問題への解決策であるほか、「電気の缶詰」と呼ばれるアルミニウムのxx金の一部の輸入元では、安価な化石燃料を使用してアルミニウムの精錬が行われていることから、輸入量の削減を通じて、山一金属の環境方針に記載されている地球環境保護にもつながると JCR では評価して
いる。
山一金属が手掛けているアルミ缶のリサイクルに関しては、2020 年度のリサイクル率は 94.0%であり、大部分が再生地金として再利用されている。また、リサイクルしたアルミ缶のうち 71.0%が国内のアルミ缶として再び利用されており、そのうちの約 10~15%のシェアを占める山一金属のリサイクルへの取り組みは重要であると評価できる。
(引用元:アルミ缶リサイクル協会 ウェブサイト)
山一金属が行っているアルミ缶リサイクルについては、前述のボーキサイトからアルミニウムの新
2 ボーキサイトから純度の高い酸化アルミニウム(アルミナ)を製造する方法。ボーキサイトを高温の水酸化ナトリウムで溶融したのち、水酸化アルミニウムを加え、加熱しアルミナを得る。
3 酸化アルミニウム(アルミナ)からアルミニウムを製造する方法。氷晶石を融点である約 1,000℃まで加熱し、そこにアルミナを加えたのち電気分解を行い、アルミニウムを得る。
地金を製造するのと比べて約 3~4%程度の電力で再生塊を作ることができる。
また、山一金属が独自に開発した技術では、これまでアルミニウムの再生塊4を製造する際に必須だった誘導炉での溶解をせずに、焙焼したペレットをそのまま圧縮してタブレットとすることに成功した。これは誘導炉での溶解が不要となるため、電力消費は、再生塊を製造するのと比較してさらに 10
分の 1 となっている。
従って、山一金属の製造するアルミ缶のタブレットは、再生塊と比較して 10 分の 1 の電力、ボーキサイトから新地金を製造するのと比較して 0.4%程度の電力で製造することが可能となっている。
また、タブレットの製造に関する GHG 排出に関しても、山一金属は外部のコンサルティング会社に計測を依頼して、数値を算出している。数値は貸付人に対して公表されており、その内容は、アルミ缶を覆っている樹脂の GHG 排出量を対象とするか否かにより左右されるものの、樹脂を外した場合、タブレットは再生塊を製造する場合と比較して製品 1kg あたり約 6 分の 1 程度、樹脂を対象とした場合でも製品 1kg あたり約 4 割弱程度の GHG 排出量となるというものである5。仮にタブレットの割合を SPT で定められた 8 割以上で維持した場合、山一金属が排出する GHG は CO2 換算で約 10,000t にとどまるのに対し、すべて再生塊で製造した場合は約 30,000~35,000t となる。
従って、本ローンによって設定された KPI は、アルミ缶製造過程における電力消費量および GHG排出量の双方を削減に寄与する取り組みに係る指標である。また、山一金属の企業理念・環境方針と整合的であり、事業活動の中核に係る指標であることから、同社の長期的な企業価値向上を図るうえで有意義な指標であるとJCR は評価している。
3. SPTs の測定
3-1. 評価の視点
本項では、借入人の設定したSPTs について、SLLP 等で例示されている以下の要素を含んでいるかを中心として、その野心度および有意義性を評価する。
1) 各KPI 値の大幅な改善に結びつけられており、「従来通りの事業(Business as Usual)」シナリオを超えているか。
2) (可能であれば)ベンチマークまたは参照可能な外部指標と比較できるか。
3) 事前に設定された借入人の全体的なサステナビリティ/ESG 戦略と整合しているか。
4) 融資実行前(または融資開始と同時)に設定された時間軸に基づき決定されているか。
次に、借入人の SPTs 設定時に考慮されたベンチマーク等を確認する。SLLP では以下の要素が例示されている。
借入人自身の直近のパフォーマンスの水準(可能な限り、最低過去 3 年分のトラックレコードを有するKPI を選定)に基づき、定量的なものを設定し、またKPI の将来の予測情報も可能な限り開示する。
同業他社と比較した場合における、設定したSPTs の相対的な位置付けについて(例:平均的
4 再生塊とは、使用済アルミ缶を破砕・分別後に焙焼しペレットにしたのち、誘導炉で溶解を行い、鋳造し(再生)アルミニウム地金としたもの
5 3004 系(アルミ缶の胴体部分:アルミニウム=マンガン合金)、5000 系(アルミ缶の蓋部分:アルミニウム=マグネシウム)双方ともに同様の結果
なパフォーマンス水準なのか、業界トップクラスの水準なのか等)
科学的根拠に基づくシナリオ分析や絶対値(炭素予算等)、国・地域単位または国際的な目標
(パリ協定、CO2 の排出ゼロ目標、SDGs 等)、認定された BAT(利用可能な最良の技術)およびESG のテーマ全体で関連する目標を決定するその他の指標
3-2. 評価対象の現状とJCR の評価
(評価結果)
山一金属の設定したSPT は、同社の過去の実績および他社と比較して野心的な設定である。また、同社の全体的なサステナビリティ戦略と整合的である。
3-2-1. SPTs の野心度(自社比較)
山一金属は自社の SPT として、総販売量に占めるタブレットの比率を 80%以上とすることを設定した。山一金属は自社の総販売量に占めるタブレット、再生塊およびその他製品の割合のトラックレコードを有しているが、トラックレコードのある 2009 年 4 月期以降、 SPT で設定した水準には通期において達したことはない。
またアルミニウムの再生地金に関しては、アルミニウムペレットを一度溶解させた再生塊での出荷が一般的であり、タブレットでの出荷は、出荷先の技術的問題(鋳造技術)や、ハンドリング、置き場所確保の観点(タブレットは水濡れ厳禁なうえ、倉庫スペースを多くとるため)などから、引受先が制限されるなどの課題があり、取引先が広がらない問題があった。山一金属から取引先への働きかけにより、再生塊からタブレットへの置き換えの検討が一部開始されてはいるものの、 SPT で設定した 80%という水準の達成は相応に野心度のある目標設定であるとJCR では評価している。
(山一金属の販売量比率)
2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
タブレット | 36% | 38% | 47% | 55% | 57% | 65% | 66% | 63% | 67% | 57% | 63% | 77% | 77% |
再生塊 | 40% | 38% | 34% | 33% | 27% | 23% | 24% | 27% | 22% | 31% | 27% | 13% | 15% |
その他 | 24% | 24% | 19% | 12% | 16% | 12% | 10% | 10% | 10% | 11% | 11% | 10% | 9% |
(出所:山一金属提出資料)
3-2-2. SPTs の野心度(他社比較)
アルミニウムの再生地金を製造する同業他社はタブレットではなく再生塊での販売を行っており、山一金属のようにタブレットにおける販売を推進している企業はない。再生塊は、使用済アルミ缶を溶解し、再度アルミニウム地金として成形したもので、前記の通りサイズの小型化、取り回しの便利さがある一方、品質が一定する一方で溶解時に多量の電力を使用する。山一金属は技術の研究・開発を行い、使用済みアルミ缶リサイクルフローの中から溶解工程を省き、タブレット(山一タブレット)による製品化に成功した。これによって、タブレット製造時の電力消費量は再生塊
と比較して 10 分の 1 となっている。山一金属がタブレットの販売比率を SPT とした設定は、同業他社と比較しても環境面で先進的な取り組みであるとJCR では評価している。
3-2-3. SPTs の野心度(目標達成に向けた具体的施策)
山一金属では、本ローンで設定した SPT の達成に向けて、次のような取り組みを開始している。
<タブレット製品の拡販努力>
山一金属は、再生塊を販売している顧客に対し、既存の再生塊の製造は、タブレットと比較して多くの CO2 が排出されることや山一金属の CO2 削減への取り組みを伝え、再生塊からタブレットへ置き換えることを働きかけている。
前述の通り、再生塊からタブレットに切り替えるには、鋳造技術等の様々な課題があるため、これまでタブレットへの置き換えが見送られてきたことは事実である。ただ販売量におけるタブレットの比率は徐々に高まっており、環境への関心の高まりや SDGs との関係を踏まえ、山一金属としては今後も粘り強く働きかけを行っていくことを確認している。
本ローンの KPI は、山一金属の企業理念および環境方針に沿ったものであり、上記より SPT も山一金属が中期経営計画で目指している方向性と合致している。また、本ローンの SPT は、融資実行前に予め機関決定されており、借入人自身の直近のパフォーマンス水準に基づく定量的なものが設定されている。また SPT の水準は、自社のトラックレコードに比しても野心的な目標であると共に、自社独自の低 GHG 排出の商品であり、他社と比較しても先進的かつ野心的であると JCR は評価している。また、目標達成のために山一金属による働きかけなどの施策が行われていることを確認した。
3-3. JCR によるインパクト評価
JCR は、本ローンで定められた SPT が野心的かつ有意義なものであり、山一金属の持続可能な成長および社会価値の向上に資すること、並びにポジティブなインパクトの最大化およびネガティブなインパクトの回避・管理・低減の度合いを確認するため、国連環境計画が策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)原則の第 4 原則で例示されているインパクト評価基準の 5 要素(多様性、有効性、効率性、倍率性、追加性)に沿って、SPT の影響度(インパクトの度合い)を検討した。
本ローンの目標設定におけるインパクトは、アルミニウムの再生地金製造に関する低GHG排出製品の販売拡大による包摂的な健全な経済に加え、気候変動緩和といった分野についても期待される。また、SCOPE1,2が含まれることから、本取り組みにより多様なインパクトが期待される。
事業分野対象:アルミニウム再生地金製造、対象:SCOPE1,2が対象範囲
多様性:多様なポジティブ・インパクトがもたらされているか
(バリューチェーン全体におけるインパクト、事業セグメント別インパクト、地域別インパクト等)
タブレット 再生塊 その他 |
有効性:大きなインパクトがもたらされているか。 (SPTが対象とする売上高、事業活動、対象となる地域、SPT測定を行う事業活動の国内外におけるマーケットシェア等) |
山一金属の売り上げは同業他社と比較して大きくないものの、アルミ缶のリサイクルについて、国内で約10~15%程度のシェアを有しており、アルミ缶のリサイクルに関しては一定の影響力を有している。山一金属が独自技術によって開発したタブレットは、従来の再生塊の製造と比較して電力消費量やCO2排出量が少なく、今後山一金属のタブレットの取り扱いが増えることによって、国内の再生アルミニウム地金製造に関して省電力化、低CO2排出化が促され、同業他社の再生アルミニウム地金製造についても省電力化、低CO2排出化が進むことが期待される。従って、山一金属のSPT達成に向けた取り組みの推進は、国内の再生アルミニウム地金製造におけるCO2 削減に対して大きなインパクトをもたらすものと考えられる。 |
効率性:投下資本に対し相対的に規模の大きいインパクトが得られているか |
本ローンは、以下の観点から投下資本に対して相対的に規模の大きいインパクトが期待できる。山一金属のタブレット販売の推進は、他社にない省電力、低CO2排出という独自の取組であり、再生塊からの置き換えが進むことによってより環境への負荷が小さくなることが期待されること や、販売量の増大を通じて山一金属の企業価値向上に資すると考えられる。 |
倍率性:公的資金又は寄付に対する民間資金活用の度合い |
本項目は本ローンについて対象外である。 |
追加性:追加的なインパクトがもたらされているか SDGsが未達あるいは対応不足の領域への対処を促しているか SDGs実現のための大きな前進となっているか |
山一金属がSPTとして設定した、「山一金属の総販売量に占めるタブレットの比率を80%以上とすること」は、以下のSDGsに貢献することが期待される。 目標 7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに ターゲット 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 |
目標 8:働きがいも経済成長も ターゲット 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善 させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう ターゲット 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 目標 11:住み続けられるまちづくりを ターゲット 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 目標 12:つくる責任、つかう責任 ターゲット 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 ターゲット 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 ターゲット 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 目標 13:気候変動に具体的な対策を ターゲット 13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性 (レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 |
4. ローンの特性
4-1. 評価の視点
本項では、以下の内容を確認する。
(1) 選定された KPI が事前に設定された SPTs を達成するか否かに応じて、ローンの財務的・構造的特性が変化する取り決めとなっているか。
(2) KPI の定義とSPTs、サステナビリティ・リンク・ローンの財務的・構造的特性の変動可能性は、ローンの契約書類に含まれているか。
(3) KPI の測定方法、SPTs の設定、前提条件や KPI の対象範囲に重大な影響を与える可能性のある想定外の事象が発生した場合の対応(重要なM&A 活動、規制等の制度面の大幅な変更、または異常事象の発生等)について、ローンの契約書類の中で言及の予定はあるか。
4-2. 評価対象の現状とJCR の評価
(評価結果)
本ローンは、選定された KPI に関し事前に設定されたSPT を達成するか否かに応じて、財務的特性が変化する取り決めとなっている。当該変動可能性は、ローンの契約書類に含まれている。KPI の測定方法、SPT の設定、前提条件について、ローンの契約書類の中で言及されている。
JCR は、本ローンの契約書類において、SPT を達成した場合、財務的特性を変化させる取り決めとなっていることを確認した。また、KPI の定義、SPT の設定、前提条件についても、同契約書類に記載される。なお、本ローンの実行時点で予見し得ない状況により、KPI の定義やSPT の設定、前提条件が変更となった場合には、変更報告書を通じて、変更内容の説明について借入人から貸付人に報告する予定としている。
以上より、ローンの契約条件等との連動について必要な取り決めがなされ、契約書類における記載事項も適切であることをJCR は確認した。
5. レポーティングと検証
5-1. 評価の視点
本項では、融資実行後に予定しているレポーティング内容として以下の項目が含まれる予定か、開示方法および第三者検証の予定の有無について確認する。
5-1-1. 開示予定項目
年に 1 回以上、以下の事項が開示される予定となっているか。
選定KPI のパフォーマンスに関する最新情報(ベースラインの前提条件を含む)
貸付人が SPTs の野心度合いを測るために有用な情報(借入人の最新のサステナビリティ戦略や関連するKPI/ESG ガバナンスに関する情報、また KPI とSPTs の分析に関する情報等)
可能な範囲で以下の情報について開示:
パフォーマンス/KPI の改善に寄与した主な要因(M&A 活動等も含む)についての定性的・定量的な説明
パフォーマンスの改善が借入人のサステナビリティにどのような影響を与えるかについての説明
KPI の再評価有無、設定した SPTs の修正有無、ベースラインの前提条件や KPI の対象範囲の変更有無
5-1-2. 検証
検証内容(SPTs の達成状況、財務的・構造的特性の変更に対する影響、そのタイミング等)について情報を開示予定か。
5-2. 評価対象の現状とJCR の評価
(評価結果)
山一金属は、融資実行後のレポーティングにおける開示内容、頻度、方法について適切に計画しており、SPT の進捗状況等、原則で必要とされる内容について、限定的な第三者検証を受ける予定である。
山一金属は、KPIのパフォーマンスについて、毎会計年度終了後、当該年度の実績を前会計年度の帳簿に添付の上で貸付人およびJCRに対して開示の予定である。また、本ローンで設定したタブレットの販売量の比率について、会計監査を行っている税理士によって数量の検証を受ける予定であ る。仮に期中においてSPTにかかる重大な変更が発生した場合には、JCRがレビューを行い、引き続きSLLP等への準拠状況と当初想定していた野心度や有意義性が維持されるか否かを確認する。な お、返済期限到来年に山一金属、静岡銀行およびJCRの3社で本ローンに係る振り返りを行い、SPTの達成状況に加え、山一金属および社会に対するインパクトの発現状況を評価することとしている。
6. SLLP 等との適合性に係る結論
以上の考察から、JCR は本第三者意見の提供対象である本ローンが、SLLP 等に適合していることを確認した。
(担当)梶原 敦子・梶原 康佑
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が付与し提供する第三者意見は、評価対象の、Loan Market Association(LMA)、Asia Pacific Loan Market Association(APLMA)及び Loan Syndication and Trading Association(LSTA)が策定し、2021 年 5 月に改定されたサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)及び環境省が 2020 年 3 月に策定したグリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドラインへの適合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該評価対象がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況を評価するものであり、将来における状況への評価を保証するものではありません。また、本第三者意見は、サステナビリティ・リンク・ローンによるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は借入人又は借入人の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本評価を実施するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本評価を実施するうえで JCR は、LMA、APLMA、LSTA 及び UNEP FI が策定した以下の原則及びガイドを参照しています。
・サステナビリティ・リンク・ローン原則
・環境省 グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン
・ポジティブ・インパクト金融原則
・資金使途を限定しないポジティブ・インパクト・ファイナンス モデルフレームワーク
3. 信用格付業に係る行為との関係
本第三者意見書を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業に係る行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、又は閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本評価対象者と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、発行体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、又はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、又は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるサステナビリティ・リンク・ローンに係る各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見書は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、又は撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部又は全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、貸付人が借入人に対して実施するサステナビリティ・リンク・ローンについて、LMA、APLMA、LSTA の作成したサステナビリティ・リンク・ローン原則への適合性に対する第三者意見を述べたものです。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ 認定検証機関)
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則、Climate Transition Finance 作業部会メンバー
■その他、信用格付業者としての登録状況等
・信用格付業者 金融庁長官(格付)第 1 号
・EU Certified Credit Rating Agency
・NRSRO:JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラスに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。米国証券取引委員会規則 17g- 7(a)項に基づく開示の対象となる場合、当該開示は JCR のホームページ(https://www.jcr.co.jp/en/)に掲載されるニュースリリースに添付しています。
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026