分析・評価に当たっては、株式会社格付投資情報センターの協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および 環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、包括的なインパクトを分析した。
株式会社xx自動車
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2023年7月31日
第四北越リサーチ&コンサルティングは、第四北越銀行が株式会社xx自動車(以下、xx自動車)に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、同社の企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価した。
分析・評価に当たっては、株式会社格付投資情報センターの協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」および 環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則った上で、包括的なインパクトを分析した。
目 次
1.企業概要
(1)企業概要 1
(2)沿革 1
(3)事業内容 2
(4)経営理念 3
(5)サステナビリティ方針 3
2.インパクトの特定
(1)事業性の評価 5
(2)バリューチェーン分析 7
(3)インパクトレーダーによる分析 8
(4)特定したインパクト 11
(5)インパクトニーズの確認 16
3.インパクトの評価
(1)従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり 19
(2)安全で環境に優しい移動手段の提供 20
(3)資源の有効活用に向けた取り組み 20
4.モニタリング
(1)インパクトの管理体制 21
(2)モニタリング方法 21
1.企業概要
(1)企業概要
企 業 名 | 株式会社xx自動車 |
本社所在地 | xxxxxxx0000 xx |
本店所在地 | xxxxxx000 xx0 |
創 業 | 1967 年6 月 |
設 立 | 1976 年9 月 |
資 本 金 | 3,000 万円 |
売 上 高 | 67 億6,446 万円(2022 月12 月期) |
従業員数 | 264 名(2023 年6 月1 日時点) |
事業内容 | 民間整備工場、鈑金塗装・修理全般、新車・中古車販売、 損害保険代理業、レンタカー事業 |
(2)沿革
1967年 2月 | xxxxxxxxxxx00000x0で整備工場を設立し、事業を開始 |
1967年 8月 | 小型自動車分解整備事業の認証を受ける |
1976年 9月 | 有限会社xx自動車を設立し、認証を受ける |
1979年 9月 | 指定自動車整備事業の指定を受ける |
1987年12月 | xxxxxxxxxxx0000xx0に整備工場を移転し、変更届を提出。併せて、指定自動車整備事業について、普通自動車(中型)・大型特殊 自動車の追加を受ける |
1995年11月 | 車検の「コバックxx店」をオープン |
1999年10月 | 資本金を増資するとともに、株式会社に組織変更 |
2001年10月 | 「オートバンク燕三条店」をオープンし、車両販売の強化を図る |
2002年11月 | グループ会社として紫竹山自動車(新潟市)の株式を全取得 |
2004年10月 | 本社に事業本部を設置し、組織強化を図る |
2005年 2月 | 鈑金の「モドーリー紫竹山店」をオープン |
2007年 7月 | 事業本部を、xxxxxx000xx0に移転 |
2009年 6月 | オートバンク三条店をxxxxx0xx00xxに新築移転し、名称を軽 未使用車専門店の「ポケットカーズ三条店」としてオープン |
2012年 3月 | 代表取締役社長にxxxxxが就任 |
2017年12月 | 新潟駅南オフィスを開設 |
2019年 9月 | マイカーリースの「xxxx.XXX 燕三条店」をオープン |
2020年12月 | グループ会社として、ファースト東京株式会社の株式を全取得し、コバック 品川店をオープン |
2023年5月 | BYD xxディーラー準備室をオープン |
(3)事業内容
xx自動車は1967年に整備工場として創業した後、1995年以降、①車検事業、②鈑金塗装事業、③車両販売事業、④保険事業へと多角化を進めている。
①車検事業
1995年に「コバックxx店」(FC チェーン加盟)を開店後、現在、新潟市・三条市・燕市などに6店舗、xxx品川区に1店舗を構えている。全店舗の車検実績を合わせると、年間2万 8,000台を超えている。
②鈑金塗装事業
2005年に「モドーリー紫竹山店」(FC チェーン加盟)を開店後、現在、新潟市・三条市・燕市などで5店舗を運営している。新潟県内では年間6,000台以上の板金塗装実績を誇っている。
③車両販売事業
2009年に軽自動車の新車・未使用車専門店「ポケットカーズ三条店」を開店した。その後、新潟市内にも2店舗を設置している。軽自動車の総在庫数は800台を超え、新潟県最大級の品揃えとなっている。なお、普通車専門店「ポケットカーズプラス」、マイカーリース「軽自動車ドットコム」も展開している。
④保険事業
グループ会社である株式会社グッドライフ保険サービスでは、自動車保険・損害保険のほかに、生命保険を取り扱っている。あいおいニッセイ同和損害保険株式会社より、保険代理店の最高格付である「HGA 認定保険代理店」の資格認定を受けている。
上記の主力事業以外にも、ガソリンスタンド事業、ロードサービス事業、レンタカー事業、Webコンサルティング事業なども手掛けている。なお、グループ会社として、前述した株式会社グッドライフ保険サービス、紫竹山自動車株式会社のほか有限会社オートプラザマルヤマ、ファースト東京株式会社、MB株式会社などを展開している。
【コバック紫竹山店】 【ポケットカーズ三条店】
資料:ポケットカーズのWebsite xxxxx://xxx.xxxxxxxxxx.xx/
(4)経営理念
同社は「われわれはお客様の満足と社員全員の物心両面の幸せを追求し社会に貢献します」を経営理念としている。
また、「七精神」を掲げており、「一 脱皮の精神 一日一日生まれ変わろう」「二 メイアイヘルプユーの精神 多角的にお役にたとう」「三 ファミリーの精神 運命共同体でゆこう」「四 喜びの取引の精神 利益はよろこばれた結果」「五 変化対応の精神 お客様市場のニーズを知ろう」
「六 可能性追求の精神 とどまることは退歩である」「七 人材育成の精神 後継者をそだてよう」を社内で共有している。
上記の経営理念や七精神には、お客様に満足を提供していくためには、従業員も会社も時代に寄り添い、柔軟に変化・進化しつ続ける必要がある、という意図が込められている。この考えのもと、多店舗化・多角化といった事業展開を進めてきたことが過去20年間で売上が10倍に成長したことにつながったとみられる。
【経営理念】
【七精神】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/xxxxxx/
(5)サステナビリティ方針
同社では、 小さなお子様を含めたすべてのお客様に安心して来店いただくとともに、喫煙による健康被害から従業員とその家族を守り、心身の健康を維持・増進できる職場環境や風土づくりを目指して、「健康経営宣言」を策定している。
具体期には、経営層による定期的な職場環境点検(月1回)や IT を活用した研修・情報提供、非喫煙手当制度の活用(年2回)による非喫煙者比率の向上に取り組んでいる。また、時間外労働の削減、年次有給取得率の改善なども進めている。
こうした健康経営の実践を通して、企業の生産性向上と持続可能性の確保につなげている。
【健康経営宣言の一部】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/xxxxxx/
2.インパクトの特定
(1)事業性の評価
xx自動車の主力事業は自動車整備を含んだ車検事業であり、現在、7店舗を展開している。このうち三条店はフランチャイズチェーン「車検のコバック」に加盟している全国477社のうち車検取扱台数で全国4位となるなど、各店舗ともお客様から高い支持を得ている。そのため、会社全体の年間の車検取扱台数が2万8,000台という全国屈指の水準に達しており、新潟県内でも最も取扱台数の多い企業となっている。
こうした背景には以下の要因があるとみられる。
①価格の透明性
同社は、新潟県内でいち早く車検のフランチャイズチェーンに加盟している。その際、店頭でお客様と一緒に自動車の不具合などを確認した後に見積書を提出し、見積金額に納得したお客様から車検の申し込みを受け付ける方法を採用した。このような分かりやすい料金システムを他社に先駆けて導入したことがお客様から高く評価されることにつながっている。 なお、支払方法については現金のほか、クレジットカード、ローン、各種電子決済にも対応している。
②入店しやすい場所への出店
フランチャイズチェーンに加盟した際に、車検時にお客様の自動車を同社が引き取りに伺うのではなく、お客様から同社の店舗に持ち込んでもらう方法へと切り替えた。そのため、お客様にとって入店しやすく分かりやすい場所に店舗を出店しながら多店舗化を進めてきたことも評価される要因の一つとなっている。
【車検時の説明】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxx.xxx/
③相談しやすいWebシステムの導入
車検予約の際には、Web で簡単に予約できるシステムを導入している。また、車検の見積依頼やオイル交換・修理・部品取り付けなどの問い合わせ・見積もり依頼もWebで対応している点もお客様から支持されている。
④清潔な店舗
同社では整理・整頓・清潔といった環境整備に徹底して取り組んでおり、業務の効率化などにつなげている。また、毎日15分を環境整備の時間に充てていることもあり、店舗や工場は清潔感に溢れている。さらに、店内はフリーWi-Fi、電源コンセント、フリードリンクのほか、テレビ、マンガ、雑誌も用意されており、快適に待ち時間を過ごせる工夫がなされている。加えて、キッズスペース、おむつ交換台なども設置しており、家族連れのお客様にも安心して利用されている。
⑤接客の良さ
フロントスタッフのほか、整備士の接客レベルも高い点が特徴となっている。専門性の高い整備士が故障個所、車検に関係する修理、メンテナンス修理について笑顔で分かりやすくお客様に説明している。なお、同社は従業員教育に年間5,000万円程度を投資するなど、人材育成に特に力を入れている。
【待合室の様子】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxx.xxx/
⑥総合自動車サービス業への転換
上記の車検事業を中核にしながらも、現在では軽自動車などの車両販売事業から保険事業、さらに事故の際のレッカー移動に対応するロードサービス事業や板金塗装事業のほか、ガソリン
スタンド事業などへと多角化・多店舗化を進めてきた。なお、同社の売上構成比をみると、車検事業が約50%、車両販売事業が約25%、板金塗装事業が約20%、保険事業が5%となっている。このように同社は車検事業に特化するのではなく、総合自動車サービス業へと事業転換して きている。その結果、同社が展開している様々なサービスを1人のお客様に複数回を利用いただくケースを増やしてきた。つまり、1人のお客様から生涯にわたって得られる利益、いわゆるLTV
(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を追求することで、人口減少などによって市場全体が縮小傾向にあっても、収益の安定化や堅実な企業経営の実践につなげることができている。
(2)バリューチェーン分析
同社のバリューチェーンを可視化すると、以下のようになる。
①車両事業・板金塗装事業
主力事業である車検事業や板金塗装事業については、前述したとおり、お客様(一般ユーザー)が事前予約の上、自動車を同社の店舗に持ち込んでもらう方法を採用している。同社で点検後、実際に自動車を見ていただきながら、故障箇所・車検に関係する修理の内容などを整備士がお客様に説明している。
その後、自動車の使用状況やお客様の予算に沿って費用を見積もり、価格に納得したお客様から申し込みを受けている。受け付けた自動車車については一旦預かり、検査・整備した後に、お客様が引き取りに来店する仕組みとなっている。なお、車検・板金塗装にあたっては、自動車部品などの仕入れが発生している。
xxの事業
同社の事業
xxの事業
自動車部品等
来店予約・
受付
検査・立ち会い診断・事前見積もり
保管・検査・修理
引き取り・
来店
一般ユーザー
②車両販売事業
車両販売事業については、他の自動車ディーラーから未使用車などを仕入れて、お客様(一般ユーザー)に販売している。販売後は同社の車検事業、板金塗装事業、保険事業を通してお客様のカーライフを支援し、強固な関係性を築いている点が同社の特徴となっている。
xxの事業
同社の事業
xxの事業
自動車ディーラー、自動車メーカー
買い取り
納車準備、整備
販売
一般ユーザー
(3)インパクトレーダーによる分析
①インパクトの検証
前述したバリューチェーン分析の結果をもとに、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提供するインパクトレーダーを用いて、包括的なインパクト分析をすると、以下の表のようになる。これは同社が属する業種の「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」
(以下 NI)が社会的側面、環境的側面、経済的側面を反映した22のインパクトカテゴリのうち、どのカテゴリに発現するのかを明らかしたものである。
具体的には、同社およびxxの事業について、国際産業標準分類上の業種カテゴリである
「自動車製造業(ISIC:2910)」「自動車部品及び付属品製造業(同2930)」「自動車販売業
(同4510)」「自動車整備・修理業(同4520)」「自動車部品・付属品販売業(同4530)」を適用し、発生するインパクトを検証した。なお、xxの事業については一般ユーザーとなっており、不特定多数にわたることから、その特定が困難であるため、検証は省略した。
xxの事業 | 同社の事業 | |||||||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2910】 自動車製造業 | 【2930】 自動車部品及び付属品製造業 | 【4510】 自動車販売業 | 【4510】 自動車販売業 | 【4520】 自動車整備・修理業 | 【4530】 自動車部品・付属品販売業 | ||||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ◎ | |||||||||||
食料 | ||||||||||||
住居 | ||||||||||||
健康・衛生 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
教育 | ||||||||||||
雇用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エネルギー | ||||||||||||
移動手段 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
情報 | ||||||||||||
文化・伝統 | ||||||||||||
人格と人の安全保障 | ||||||||||||
xx・xx | ||||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||||
水(質) | 〇 | 〇 | ||||||||||
大気 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
土壌 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
生物多様性と生態系サービス | ||||||||||||
資源効率・安全性 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
気候 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
廃棄物 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
包括的で健全な経済 | 〇 | 〇 | ||||||||||
経済収束 | 〇 | 〇 |
注1:◎は大きな影響があり、〇は影響ありを示す。 注2:国際産業標準分類(International Standard Industrial Classification:ISIC)のカテゴリ
②xxの事業
xxの事業においては、同社と関連性が高いインパクトについて検証を加えた。
同社のxxの事業で発生するインパクトについては、「移動手段」のカテゴリで発生する PIが同社との関連性が高いとみられる。同社はxxに当たる自動車メーカーや自動車部品メーカー、自動車ディーラーから供給された車両や部品等を適切に取り扱うことにより、お客様に対する安全な移動手段の提供に貢献している。
• 11.2 2030 年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮しながら、とりわけ公共交通機関の拡大によって交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようにする。
③同社の事業
【健康・衛生】
同社の事業で発生するインパクトをみると、「健康・衛生」のカテゴリについて、整備・販売した自動車により交通事故が起こるという NI が発現する。同社では高い技術力を有する整備士が自動車のメンテンナンスに携わることで、安全な車両の提供とお客様に対する分かりやすい説明を通じて、事故防止に努めている。加えて、仮にお客様が事故に遭遇した際にも、ロードサービス事業、板金塗装事業、保険事業などを展開していることで、お客様への安心の提供とリスクの低減にも取り組んでいる。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者の数を半分に減らす。
【雇用】
「雇用」のカテゴリについては、労働によって従業員の収入や家計が支えられるという PI と、労働形態によっては従業員の健康が害されるという NI が発現する。同社では健康経営宣言を策定し非喫煙率の向上を目指すとともに、残業時間の削減、有給休暇取得率の改善などに取り組むなど、働きやすい環境の整備を進めている。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する
• 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。
1 「SDGs とターゲット新訳」制作委員会「SDGs とターゲット新訳 SDGs&Targets」 xxxxx://xxxx.xx/xxx/XXXx000XXXXXXX_xxx0.0.xxx
【健康経営の重要性を確認する政策勉強会やメンタルヘルス・ハラスメント研修の様子】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/
【移動手段】
「移動手段」のカテゴリについては、同社が整備・販売した自動車によってお客様が安全で豊かな移動手段を手にできるという PI が 発現する。同社では整備・販売に加えて、レンタカー、リースといった様々な形態を通じて、お客様に新しい移動手段の機会・方法を提供している。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 11.2 2030 年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮しながら、とりわけ公共交通機関の拡大によって交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようにする。
【大気、土壌、資源効率・安全性、気候、廃棄物】
「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」といった環境的側面におけるカテゴリについては、自動車の利用や納車前の輸送などによって生じる大気汚染、エネルギー消費、温室効果ガスの排出のほか、廃油によって生じる土壌汚染や商品包装・廃油などの廃棄物の発生といった NI が発現する。同社の車両販売事業では、省エネルギー・省資源の観点で優れた軽自動車の販売を主体とするほか、適切な整備・修理を通した車両の長寿命化に寄与することで、環境へのネガティブ的な側面の緩和につなげている。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
• 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
• 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。
• 13.3 気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する。
(4)特定したインパクト
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトレーダーによるマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
ポジティブインパクト
移動手段の提供
従業員の働きがい
11.2 11.2 8.5
来店予約・
受付
検査・立ち会い診断・事前見積もり
保管・検査・修理
引き取り・
来店
同社の事業
8.8
xxの事業
自動車部品等
自動車ディーラー、自動車メーカー
買い取り
納車準備、整備
販売
3.6 8.5
8.8
xxの事業
一般ユーザー
一般ユーザー
7.3 11.2
12.4
12.5
13.3
交通事故の発生 労働負荷 環境への悪影響
ネガティブインパクト
以上を踏まえて同社のインパクトを下記のように特定した。
① 従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり
② 安全で環境に優しい移動手段の提供
③ 資源の有効活用に向けた取り組み
①従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり
同社は従業員が心身ともに健康で働くことが、お客様や地域・社会における信頼の基盤であるとの考えのもと、健康経営の実践と働きやすい職場環境の整備に取り組んでいる。
具体的には、健康診断受診率と有所見者比率、ストレスチェック受診率、メンタルヘルス不調者数、時間外労働、年次有給取得率、非喫煙者比率などについて、会社としての目標数値を設定し、それを毎月PDCA サイクルで進捗を管理している。
また、女性の従業員が数多く活躍していることから、管理職への登用を進めているほか、仕事と育児の両立をにらみ、勤務時間・場所を限定した準社員制度も導入している。さらに、男性を含めた育児休暇制度の利用を促すとともに、コールセンター業務などを担うコンタクトセンター事 業や Web 事業といった新たな職種を拡大させ、育児休暇から復帰した従業員の受け皿づくり にも取りくんでいる。
【健康経営に関する目指すべき姿と目標】
各種指標等 | 目標 | 結果 |
健康診断受診率 | 100% | 100%(2022年度) |
有所見者比率 | 40%未満 | 71%(2022年度) |
ストレスチェック受診率 | 100% | 100%(2022年度) |
睡眠で休養が取れている比率 | 85%以上 | 男性74.0%、女性74.5%(2022年度) |
運動習慣者比率 | 40%以上 | 男性59.1%、女性45.5%(2022年度) |
時間外労働 | 月平均15時間以内 | 月平均16時間(2021年度) |
年次有給取得率 | 60%以上 | 45.0%取得(2021年度) |
メンタルヘルス不調者 | 0人 | 2名(2021年度) |
非喫煙者比率 | 75%以上 | 90.0%(2021年度) |
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/
こうした活動が評価され、経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人 大規模法人部門」
(上位法人「ホワイト500」)を2018年以降、5年連続で認定されている。また、2021年には新潟県「「にいがた健康経営推進企業」に登録、2021年度に新潟市「新潟市健康経営認定制度ゴールドクラス」に認定されている。
今後については、上記の健康経営に関する認定を継続的に取得・検証しながら、従業員の働きやすxx満足度の向上を目指していく方針にある。また、社内研修を実施する「トレーニングセンター」を本社近隣の場所に新たに設置し、人材育成の取り組みをさらに強化することで、従業員の定着・成長、新規採用者の増加、働きがいの醸成につなげていく考えである。
このインパクトは UNEP FIのインパクトレーダーでは、「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大させる。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 5.5 政治、経済、公共の場でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する。
• 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する
• 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。
【健康経営に関する各種認定・登録】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/
②安全で環境に優しい移動手段の提供
同社は前述したとおり、軽自動車を中心とした車両販売の提供から、自動車の定期的なメンテナンス、事故などによる修理・板金塗装などを通じて、お客様が安全で豊かなカーライフを送るための支援をしている。また、整備・修理技術力の高度化に取り組んでおり、車両の長寿命化に貢献している。
今後については、同社が展開している各事業・各店舗のサービスの質をさらに向上させ、車検や板金塗装の取扱台数の増加、省エネルギー・省資源性に優れた軽自動車の販売台数の増加、さらに電気自動車の販売にも挑戦することで、お客様に安全で環境に優しい移動手段を提供する方針にある。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「移動手段」「健康・衛生」「資源効率・安全性」「大気」「気候」「廃棄物」などのカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大し、社会的・環境的側面の NI を緩和する。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 3.6 2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者の数を半分に減らす。
• 11.2 2030 年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮しながら、とりわけ公共交通機関の拡大によって交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようにする。
• 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
• 12.5 2030年までに、廃棄物の発生を 、予防、削減 (リデュース) 、再生利用 (リサイクル)や再利用 (リユース)により大幅に減らす。
• 12.8 2030年までに、人々があらゆる場所で、持続可能な開発や自然と調和したライフスタイルのために、適切な情報が得られ意識がもてるようにする。
• 13.3 気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する。
【整備・修理への取り組み】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxxx-x.xx.xx/
③資源の有効活用に向けた取り組み
同社は、自社から排出される廃棄物の削減に取り組むなど、環境に配慮した活動を進めてきた。具体的には、スマートフォンやボイスメール、クラウド型ビジネスチャットツール、モバイルアプリケーションなどを活用することで、社内外で使用する紙の削減に取り組んでいる。また、廃車手続きについては、法令を遵守している解体事業者と連携しながら、適切に管理している。
今後については、板金塗装や車検整備の際に使用する自動車部品について、リサイクルパーツの利用率向上などに組んでいく方針にある。そのため、リサイクルパーツの選定、拡充、提案ができる従業員の育成を強化する予定である。
このインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「廃棄物」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和する。
SDGs では、以下のターゲットに該当すると考えられる。
• 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。
【鈑金のモドーリー燕店および板金塗装業務の様子】
資料:同社のWebsite xxxxx://xxxxxxx-xxxxxxx00.xxx/
(5)インパクトニーズの確認
①日本におけるインパクトニーズ
同社の事業は、日本(主に新潟県内)のお客様向けに行われていることから、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係を確認した。
本評価書で特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の6点である。
• 目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確実にし、福祉を推進する
• 目標5 ジェンダー平等を達成し、すべての女性・少女のエンパワーメントを行う
• 目標8 すべての人々にとって、持続的でだれも排除しない 持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進する
• 目標11 都市や人間の居住地をだれも排除せず安全かつレジリエントで持続可能にする
• 目標12 持続可能な消費・生産形態を確実にする
• 目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を実施する
日本国内における SDG ダッシュボードをみると、目標の「5」「12」「13」は「大きな課題が残っている」、「3」「8」「11」は「課題が残っている」と位置付けられていることから、国内のインパクトニーズと同社のインパクトが整合していると判断できる。
資料:SDSN のWebsite xxxxx://xxxxxxxxxx.xxxxxxxx.xxx/xxxxxxxx/xxxxx
②新潟県におけるインパクトニーズ
同社の主な事業地域である新潟県では、「新潟県 SDGs xx都市計画」を策定している。新潟県では、2030 年のあるべき姿を
豊かな自然としなやかに共存する「住んでxxx新潟」
とし、経済、社会、環境の各側面のあるべき姿を以下のとおり公表している。
【経済】 将来を支えるイノベーションの創出と持続可能な産業構造への転換
【社会】 安全・安心で持続可能な地域づくりとこれを支える人づくり
【環境】 気候変動への対応と県土の保全、豊かな自然との共存・xxへの継承
本評価書で特定した同社のインパクトである「①従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり」は、【社会】の側面である「安全・安心で持続可能な地域づくりとこれを支える人づくり」に貢献するものである。また、「②安全で環境に優しい移動手段の提供」「③資源の有効活用に向けた取り組み」は、【環境】の側面である「気候変動への対応と県土の保全、豊かな自然との共存・xxへの継承」につながるものである。したがって、新潟県が目指す SDGs の方向性と、同社が目指すSDGs の取り組みは整合していると判断できる。
【新潟xxx都市計画における2030年のあるべき姿(経済・社会・環境の側面別)】
資料:新潟県「新潟県 SDGs xx都市計画」 xxxxx://xxx.xxxx.xxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxx/xxxxxxxxxx/000000.xxx
③第四北越銀行が認識する社会課題との整合性
第四北越銀行は第四北越フィナンシャルグループとして、地域の持続的な成長を実現するため、2019年5月に「第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言」を制定し、地域が抱える社会・環境課題などの解決に向けて取り組んでいる。「第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言」は、以下のとおり5つの宣言で構成されている。
• 宣言1 | 地域経済・社会 | 地域経済とコミュニティの活性化に貢献します |
• 宣言2 | 高齢化 | 高齢者の安心・安全な生活を支えます |
• 宣言3 | 金融サービス | より良い生活をおくるための金融サービスを提供します |
• 宣言4 | ダイバーシティ | ダイバーシティ・働き方改革を推進します |
• 宣言5 | 環境保全 | 持続可能な環境の保全に貢献します |
本評価書で特定した同社のインパクトである「①従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり」は、「宣言4 ダイバーシティ ダイバーシティ・働き方改革を推進します」と方向性が一致している。また、「②安全で環境に優しい移動手段の提供」は、「宣言1 地域経済・社会 地域経済とコミュニティの活性化に貢献します」、「③資源の有効活用に向けた取り組み」は、「宣言5 環境保全 持続可能な環境の保全に貢献します」に寄与する。
以上のように、第四北越銀行が目指すSDGs の方向性と、同社のSDGs の取り組みは整合していると判断でき、SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることにつながるものである。
【第四北越フィナンシャルグループ SDGs 宣言】
資料:第四北越銀行のWebsite xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxx/xxxxx.xxxx
3.インパクトの評価
(1)従業員が心身ともに健康で働きやすい職場環境づくり
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 社会的側面のポジティブインパクトを拡大 |
インパクトエリア・トピック | 「雇用」 |
関連するSDGs |
|
取組方針・取組内容 | • 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人 大規模法人部門」(上位法人「ホワイト500」)の申請を通じて、健康経営の取り組みを継続する。 • 男性を含めた育児休暇取得の支援を進め、より働きやすい環境を整備する。 • 年間の教育訓練投資額を増加させ、人材育成の取り組み を強化する。 |
KPI | • 経済産業省・日本健康会議「健康経営優良法人 大規模法人部門」(上位法人「ホワイト500」)の認定を継続する。 • 男性の育休取得率100%を維持する。 • 2030年までに従業員1人あたりの年間教育訓練時間を 150時間とする(社内外で実施される OFF-JT)。 |
(2)安全で環境に優しい移動手段の提供
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 社会的側面のポジティブインパクトを拡大 • 社会的側面のネガティブインパクトを緩和 • 環境的側面のネガティブインパクトを緩和 |
インパクトエリア・トピック | 「移動手段」「健康・衛生」「資源効率・安全性」 「大気」「気候」「廃棄物」 |
関連するSDGs |
|
取組方針・取組内容 | • 整備・修理技術力をより高めることで、お客様の安全なカーライフに貢献する。 • 電気自動車の販売を増やしていくことで、環境に優しい移 動手段の提供に貢献する。 |
KPI | • 2030年までに新車販売台数に占める電気自動車の割合 をグループ全体で60%とする。 |
(3)資源の有効活用に向けた取り組み
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | • 環境的側面のネガティブインパクトを緩和 |
インパクトエリア・トピック | 「廃棄物」 |
関連するSDGs | |
取組方針・取組内容 | • リサイクルパーツの取扱比率を引き上げることで、資源の 有効活用を進める。 |
KPI | • 修理用の自動車部品について、2030年までにリサイクル パーツの利用比率を30%にする。 |
4.モニタリング
(1)インパクトの管理体制
同社はxx社長を中心に自社業務の棚卸をおこない、本評価書のインパクトの特定や取組方針・取組内容、KPI を策定した。
今後については同氏を中心に、SDGs の推進、本評価書で策定した KPI を管理していく方針にある。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役 xxxx |
担当部署 | 営業サポート部 |
(2)モニタリング方法
本評価書で策定した KPI の進捗状況については、同社と第四北越銀行、第四北越リサーチ
&コンサルティングが年に1回は定期的に情報を共有し、その達成状況や課題をモニタリングするとともに、必要に応じて課題解決に向けた提案を行う。
【留意事項】
1. 本評価書の内容は、第四北越リサーチ&コンサルティングが現時点で入手可能な公開情報、同社から提供された情報、同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではない。
2. 第四北越リサーチ&コンサルティングが本評価に際して用いた情報は、第四北越リサーチ
&コンサルティングがその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情 報の正確性等について独自に検証しているわけではない。第四北越リサーチ&コンサルティングは、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではない。
3. 第四北越リサーチ&コンサルティングは本評価書を利用したことにより発生するいかなる費用または損害について一切責任を負わない。
4.本文書に関する一切の権利は第四北越リサーチ&コンサルティングが保有している。本文書の全部または一部を自己使用の目的を超えて、複製、改変、翻案、頒布等をすることは禁止
されている。