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モンゴル企業に対する貸付について
2014 年 1 月 21 日
原口総合法律事務所所長 弁護士 xx x
I. 貸付契約書
1. 使用言語・準拠法・裁判管轄
モンゴル法上、貸付契約書の支配言語は英語や日本語でもよく、準拠法も当事者がモンゴル以外の国の法律を指定することも可能である。また、裁判の合意管轄地として、任意の裁判所(日本の東京地裁や韓国のソウル地裁など)を指定することも可能である。但し、日本や韓国などはモンゴルとの間に相互保証がないため、仮に日本や韓国で判決を取得しても、同判決をモンゴルにおいて執行することはできない点には注意が必要である。
もっとも、モンゴル、日本、韓国はいずれも「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約1(ニューヨーク条約)」の加盟国であるため、日本や韓国における仲裁判断をモンゴルにおいて執行することは可能である。ただ、日本や韓国において仲裁をする場合、仲裁に関する適切な文言を契約書に挿入する必要がある。
2.上限金利の有無
モンゴルには上限金利の制限はない。もっとも、あまり過大な金利は、債務者の要請により裁判所の判断で無効とされることがある(モンゴル民法 282 条 2 項)。
3. 商業登記簿謄本、定款に該当する制度の有無
モンゴルには、会社法及び法人登記法に基づく商業登記制度が存在し、登記された事項については会社の許可を得て登記簿謄本を入手することも可能である。モンゴルの会社法上、会社の設立時には定款の作成が義務付けられている。また、同会社法は 2011 年に改正され、全てのモンゴル企業はその定款を更新することが義務付けられた。定款には株主総会や取締役会など、会社の基本的な事項が規定される。
1 ニューヨーク条約は、他の締結国における仲裁判断を、判断を執行する締結国の仲裁判断とみなして執行するものです。したがって、ニューヨーク条約の締結国にて得た仲裁判断は、モンゴルにおいて執行することができる。
4. 債権譲渡、期限の利益喪失事由、遅延損害金
モンゴルの民法上、債権譲渡は可能であり、通知が対抗要件となる。期限の利益の喪失事由は契約で定めることができる。遅延利息を定めることも可能ですが、モンゴル民法上、 50%以上の金利を取得することはできません(モンゴル民法 232 条 4 項)。
II. コンプライアンス
1. オフショアローンにかかる規制の有無
海外からモンゴル国内の法人・個人に対して融資を行う場合、特段の規制は存在しない。ただ、モンゴルにおいて強制通用力を有する唯一の通貨であるトグログ以外の通貨による融資については、モンゴル外貨規制法に基づき、事後的に中央銀行に登録をすることが必要になる。
2. 暴力団の排斥に関する規制の有無
暴力団排斥に関する規制その他、それに類する規制はモンゴルには存在しない。
III. 会社支配関係
1. 株主総会の開催にかかる法的要件
モンゴルでは、株主総会を毎年開催する必要がある。株主総会は、取締役会の決議に基いて代表取締役が招集し、招集通知には株主総会の召集の日時、議題、委任状による決議の可否、委任状の提出期限などを記載する必要がある。
株主総会の決議は、株主の過半数以上が出席し、出席した株主の過半数によって決せられる必要がある。もっとも、合併や営業譲渡など、より重大な決議事項については、より重い定足数や決議要件が定められている。
2. 合併、事業譲渡、重要資産処分等にかかる株主の同意の要否/必要な場合の要件モンゴルの会社法 62 条上、以下の事項については株主総会の決議が必要である。
a) 定款の変更
b) 企業結合、合併、会社分割などによる会社の組織変更
c) 債務の株式化
d) 会社の清算及び清算人の選任
e) 株式の分割、株式の併合
f) 取締役会の選任、解任
g) 取締役の監督機関の設置
h) 既存の株主に対する株式の先買権の付与
i) 主要な取引についての同意
j) 利益相反取引についての同意
k) モンゴルの会社法に従った会社による自己株式の取得についての同意
l) 取締役会の役員への給料、報酬額についての同意、もしくは定款に規定された額
IV. 保全
1. 株式担保、質権設定の要件
モンゴルの会社法には、株式担保や株式質に関するxx規定はない。株券が発行されている場合でも、株券の交付は株式担保や株式質の効力要件でなく(日本会社法 146 条 2 項
参照)、株券の継続占有も質権の対抗要件ではない(日本会社法 147 条 2 項、3 項)。さらに、モンゴルの会社法の下では、株主名簿に質権者の氏名、住所、質権の目的である株式の記載をするという制度(日本民法 148 条)もない。
そこで、従来は株式質権設定契約を登記所に持ち込んで受領してもらうとともに、株式譲渡契約や株主としての権利及び義務の移転契約も締結しておき、裁判所の決定により質権が実行されると同時に株式の移転の登録をする運用としていた。しかし、最近は法律にxx規定がないことを理由に、株式質権設定契約を登記所に持ち込んでも、登録が拒まれるようになっている。
さらに、モンゴルの会社には公開会社と閉鎖会社があり、閉鎖会社の場合には定款に株主の名前が記載されていることが少なくない。この場合、株式の担保権の実行として株式の譲渡をする場合、株主総会の決議により定款を変更することが必要となり、かかる議事録なくして株式の移転の登録が認められない点に注意が必要である。
国際的な融資において株式担保や株式質を設定する場合、設定契約の準拠法はモンゴル法以外の外国法が定められることが通例であり、最近では香港法が準拠法とされることが多いようである。モンゴルの国際私法上でも、株式担保や株式質の設定契約の準拠法をモンゴル法以外の外国法、たとえば香港法と定めることは有効とされている。一方で、モンゴル国内に存在する不動産に関する抵当権設定契約の準拠法はモンゴル法でなければならない。また、裁判管轄権もモンゴル裁判所の専属的管轄権に属する。
2. 外国企業が公益企業(銀行)株式の担保を取ること、ないし担保権実行/担保処分に関する法律/規制上の問題の有無
2012 年 5 月に、中国の国営企業によるオユ・トルゴイ鉱山の採掘権を有する外国企業に
対する敵対的買収が行われたことから、鉱物資源、金融、マスコミ・通信などの戦略的に重要な分野については、あらたな規制が課されることになった。
従前のモンゴルの戦略的重要分野に関する外国投資規制法の下では、銀行のような金融機関の株式の取得にはモンゴル政府の許可が必要であった。そして、許可を取得するまで
には長期間の待機が必要であり、許可の要件も明らかではなかった。また、我々の照会によれば、株式の取得には、株式に対する譲渡担保や質権の設定も含まれるので、担保権や質権の実行時ではなく、設定時に許可が必要となる。
しかし、このような規制は海外の投資家によるモンゴルに対する投資を冷え込ませたため、モンゴル政府は 2013 年 9 月に新たな投資法を設立させ、それまでの規制を撤廃するこ
とにした(戦略的投資規制法を廃止する法律 1 条及び 2 条)。同法は 2013 年 11 月 1 日より
施行され(同法 24 条 1 項)、外国企業がモンゴルの銀行の株式に対して担保権を設定しようとする場合に、モンゴル政府の許可は不要となりました。もっとも、質権実行の結果、同社がモンゴルの銀行の株式を 5%以上取得することになる場合には、銀行法の下で中央銀行の事前許可が必要となる。
3. 代表取締役による個人連帯保証を取る場合の注意点
外国企業がモンゴルの事業会社に対して融資をする場合で、事業会社の代表取締役に事業会社の債務について連帯保証をさせる場合には、保証契約についてxx法上の約因
(Consideration)は不要である。また、捺印証書(Deed)の作成や登記所に対する登録も不要である。しかし、保証契約自体は書面によることが必要であり、保証の限度額を定める必要もある(モンゴル民法 459 条)。
V. デフォルト
1. 法的破綻の定義と種類(更生法、再生法等)
モンゴル民事訴訟法 62 条によれば、債務超過に陥った債務者は、債務超過の状態を示す証拠などとともに破産、清算を求めることも、更生ないし再生計画を策定のうえ、再生ないし更生を申請することもできる。
以 上