Contract
非鉄スラグ製品の製造・販売管理ガイドライン
1. 主 旨
日本鉱業協会スラグ委員会の「各会員及び製造販売する関係会社」(以下「各会員」という。)が非鉄スラグ製品(ここで非鉄スラグとは、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、亜鉛スラグをいう。)を製造・販売するにあたり、取引を円滑に行うとともに、需要家(ここで需要家とは、各会員が行う非鉄スラグ製品の販売先のみではなく、非鉄スラグ製品の使用方法や施工方法を実質的に決定する者を含むものとする。また、ここで各会員の販売先とは、売買契約によって非鉄スラグ製品を購入する者をいう。)での利用に際し、適切な使用がなされるために、製造・販売者として遵守すべき事項を、本ガイドラインで定める。
なお、フェロニッケルスラグとは、JIS A 5011-2 の規定に準じ、ニッケル鉱石等を原料としてフェロニッケルを製造する際に副生するスラグを指し、銅スラグとは、JIS A 5011-3 の規定に準じ、銅精鉱等を原料として銅を製造する際に副生するスラグを指し、亜鉛スラグとは、亜鉛製錬所で亜鉛を製造する際に副生するスラグを指す。また、非鉄スラグ製品の使用方法や施工方法を実質的に決定する者とは、施主、施工業者、設計コンサルタントなどを指す。
なお、各会員とは、日本冶金工業㈱、xxx金属㈱、住友金属鉱山㈱、三菱マテリアル㈱、パンパシフィック・カッパー㈱、三井金属鉱業㈱、DOWA メタルマイン㈱を指す。また、対象となる製造・販売する関係会社及び事業所は、日本冶金工業㈱大江山製造所、xxxx運輸㈱ 、xxx金属㈱八戸本社(製造所)、 住友金属鉱山㈱東予工場、㈱xx製錬所、住鉱物流㈱、xx共同製錬㈱玉野製錬所 、xx製煉㈱xx製煉所、JX 金属製錬㈱佐賀関製錬所、小名浜製錬
㈱、三菱マテリアル㈱直島製錬所、八戸製錬㈱、xx製錬㈱とする。
2. 非鉄スラグ製品の適用範囲
2-1. 非鉄スラグ製品
本ガイドラインは、「各会員」が製造・販売する全ての非鉄スラグ製品に適用する。
(1) 非鉄スラグの用途は、別紙 1-非鉄スラグ製品の使用場所・用途に示されているものに限定し、それ以外の用途に使用してはならない。別紙1に記述された用途以外に新たな用途を追加する場合は、「各会員」が、日本鉱業協会に申請・協議し追加するものとする。
(2) 非鉄スラグ製品は、製造を行う主体により下記の様に区分する。
① 「各会員」が自ら非鉄スラグのみで製品を製造する場合
「各会員」が自ら非鉄スラグのみで非鉄スラグ製品を製造する場合には、その製品を本ガイドラインにおける非鉄スラグ製品とする。
② 「各会員」が自ら他の材料と混合調製(非鉄スラグを破砕・整粒し、他材と混合し、非鉄スラグ製品を加工・製造すること)する場合
「各会員」が自ら非鉄スラグ(他の各会員及び製造・販売する関係会社から購入したものを含む)と他の材料を混合調製した後、そのままの状態で使用される場合には、混合調製後の製品を本ガイドラインにおける非鉄スラグ製品とする。
③ 「各会員」が販売した後、「各会員」以外の第三者が他の材料と混合調製する場合
「各会員」が非鉄スラグを「各会員」以外の第三者に販売した後で、「各会員」以外の第三者が非鉄スラグと他の材料を混合調製した場合は、非鉄スラグ製品の対象外とする。但し、「各会員」は販売に際し、第三者が遵守すべき事項(混合率等の使用条件等)を提示し、その内容について第三者との契約を取り交わさなければならない。
また、第三者が契約時に締結した事項が確実に実施されている事を確認しなければならない。
(3) 「各会員」が非鉄スラグをブラスト材として販売する場合、使用後、廃掃法等を遵守し処理されることを確認しなければならない。
2-2. 廃棄物として処理される非鉄スラグの扱い
「各会員」は、使用場所・用途に応じて適用する品質及び/又は環境安全品質を満たさない非鉄スラグは非鉄スラグ製品として販売しない。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って、適正に処理しなければならない。
3. 各会員及び製造・販売する関係会社の責務
「各会員」は、本ガイドラインに定める事項に従い、自社の「非鉄スラグ製品に関わる管理マニュアル」を整備するものとし、非鉄スラグ製品の製造・販売にあたっては、本ガイドライン並びに当該自社のマニュアルを遵守しなければならない。
「各会員」は、本ガイドライン等を遵守することを通じて、法令遵守はもとより、非鉄スラグ製品の品質に対する懸念、非鉄スラグ製品に起因する生活環境の保全上の支障が発生するおそれ等を未然に防止するとともに、非鉄スラグ製品への信頼の維持・向上に努めなければならない。
「各会員」は、「非鉄スラグ製品の製造販売管理体制」を構築して、本体制に基づいて、定期的にスラグ製品の製造・販売会議等を開催して、製造と販売が一体となった活動を展開しなければならない。
「各会員」は、本ガイドラインが適切に運用されるために、各会員のマニュアル等に非鉄スラグの管理体制図を記載する。同時に、製造責任者、品質責任者、出荷責任者及び各責任者の権限をマニュアル等に記載することで組織及び責任者を明確にする。なお、品質責任者、出荷責任者は、製造部門から独立した組織が望ましい。
「各会員」が、販売業務を委託している場合は、委託契約書を取り交わし、本ガイドラインの遵守徹底を図らなければならない。また、発生した非鉄スラグの破砕、篩分け、メタル回収、置き場管理、構内輸送等の作業を外注に委託している場合にも、委託契約書を取り交わし、本ガイドラインの遵守の徹底を図らなければならない。
「各会員」は、地域行政と環境安全協定等を締結した場合は、その遵守状況を確認しなければならない。
4. 非鉄スラグ製品の品質管理
4-1. 備えるべき環境安全品質
(1) 「各会員」は、非鉄スラグ製品が備えるべき環境安全品質として、法律、法律に基づく命令、条例、規則及びこれらに基づく通知(以下「法令等」という。)、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針で定められているものがある場合は、これを遵守しなければならない。
(2) 「各会員」は、非鉄スラグ製品の使用場所を管轄する自治体が定めるリサイクル認定等の独自の認定制度に適合する製品として、非鉄スラグ製品を販売するときは、当該認定に関して自治体が定める環境安全品質基準に従わなければならない。
(3) 「各会員」は、法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針などに明確な環境安全品質の定めがない場合は、非鉄スラグ製品の環境安全品質の適合性については、使用される場所等や用途に応じて適用される基準(別紙 2-非鉄スラグ製品の使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質基準参照)を遵守しなければならない。
4-2. 前項の環境安全品質以外の品質規格等
(1) 非鉄スラグ製品が備えるべき品質規格等として、法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針等で定められているものがある場合は、「各会員」は、これを遵守しなければならない。
(2) 「各会員」は、非鉄スラグ製品の使用場所を管轄する自治体が定めるリサイクル認定等の独自の認定制度に適合する製品として、非鉄スラグ製品を販売するときは、当該認定に関して自治体が定める品質規格等に従わなければならない。
(3) 法令等、JIS、国・自治体の各種仕様書や学会・協会等の最新の要綱・指針等で明確な品質規格等の定めがない場合は、各会員及び製造・販売する関係会社は、需要家との間で品質規格等を取り決め、これを遵守しなければならない。
4-3. 出荷検査
非鉄スラグ製品の出荷検査は、原則として、「各会員」により、JIS、本ガイドラインまたは需要家との間の取り決めに従い行われることとする。また、検査手順もしくは顧客との取り決めが遵守されているかを定期的に確認しなければならない。
その中で、非鉄スラグ製品の環境安全品質に係る環境安全形式検査および受渡検査は、JIS Q 17025 若しくは JIS Q 17050-1 及び JIS Q 17050-2 に適合している試験事業者、または環境計量証明事業者として登録されている分析機関により、別紙 2 に示す試験頻度で実施しなければならない。但し、JIS Q 17025 若しくは JIS Q 17050-1 及び JIS Q 17050-2 に適合している試験事業者、または環境計量証明事業者として登録されている分析機関で 1 年に 1 回以上の分析を行い、社内分析結果の検証を行うことで、環境安全受渡検査は、社内分析で行ってもよい。
本ガイドラインにおいての環境計量証明事業者とは、計量法に基づく計量証明の事業区分が「水又は土壌中の物質の濃度に係わる事業」の登録を受けた者とする。
試料調整を含む環境安全品質並びにその他の品質検査では、品質検査にふさわしい力量を持った人が、品質検査を行うにふさわしい試験設備、試験環境下で行わねばならない。
また、出荷ロット、製造ロットの特定および製造条件、原料条件等を確認できる仕組み(トレーサビリティの確保)を確立しなければならない。また、定期的にトレーサビリティが確保できている事を確認する。
また、その結果に係る記録については、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管されなければならない。
別紙 2 に示す製造ロットとは、工場ごとの製造実態、品質管理実態に応じて、「各会員」が規定するものとする。
また、需要家から要求があった場合には、「各会員」は、環境安全品質に係る記録を提出することとする。
4-4. 試験及び検査データの信頼性向上
「各会員」は、環境安全品質の検査を信頼できる検査機関において実施されることが望ましい。環境安全品質以外の検査は、力量を持った検査員を擁する検査部門において実施されなければならない。また、試験及び検査データに関しては、人手の介入の少ないシステム(自動化等)で取り扱われることが望ましい。やむを得ず、人手の介入したシステムで試験及び検査のデータを取り扱う場合は、以下のルールの下で行われるものとする。
(1) 試験及び検査要員に対する十分な教育を行う。また、定期的にその評価を行うことで要員のレベルを一定以上に維持させる。
(2) 試験及び検査データは、少なくとも2名以上のチェック体制とする。チェックするためには、フォーマットに規定値(規格値)を表記する等を施し、見落とすことがないようにしておく。
5. 非鉄スラグ製品の置場・保管管理
「各会員」は、スラグ専用置場を設けて、置き場外への流出や異物が混入しないよう、また、周辺地域への飛散などによる悪影響を避けるなどの対策を講じて、適切な保管管理を行う。
また、非鉄スラグ製品の在庫についても、適正在庫量を設定して管理する事が望ましい。適正在庫量の設定にあたっては、出荷ロットの大きさ、注文頻度、国内品・輸出品、置場の特性、生産・販売動向等を多面的に考慮する事が望ましい。
仮設の置き場を設置する場合には、特に置き場外への飛散防止や異物混入防止に留意し、定量的な在庫量を含めて適切に管理を行うものとする。
6. 非鉄スラグ製品の販売管理
6-1. 非鉄スラグ製品の用途指定
「各会員」は、非鉄スラグ製品が、適切に有効活用されるように、別紙 1 の用途にのみ販売するものとする。
6-2. 需要家の審査
「各会員」は、需要家の用途などの適合性を審査し、適合した需要家にのみ販売するものとする。また、以下の項目について需要家の審査を行う。販売先が需要家と異なる場合は、販売先と需要家について審査するものとする。
■ 審査事項
・当該取引の用途などの内容説明にあいまいな点の有無
・各会員及び製造・販売する関係会社の社内コンプライアンス規定に基づく確認
・需要家の過去の行政処分情報(入札停止処分等)の有無、(内容の確認)
・需要家の過去の取引履歴における問題の有無
・需要家の会社の業務内容、経営情報に不審な点の有無
6-3. 受注前
(1) 需要家への品質特性の説明
「各会員」は、需要家から非鉄スラグ製品の引き合いがあった場合は、需要家が法令を遵守するとともに、不適切な使用により生じ得る環境負荷に関する理解を深めるために、用途に応じてパンフレットや技術資料を提供するなど、需要家に対して書面で非鉄スラグ製品の品質特性と使用上の注意事項を説明しなければならない。
(2) 受注前現地調査要否の判断、受注可否の判断、施工中及び施工後の調査要否の判断
「各会員」は、需要家から非鉄スラグ製品の引き合いがあった場合は、需要家から使用場所(運送、施工中の一時保管場所を含む。以下同じ)、使用状態、施工内容、施工方法などの説明を受けた上で、使用場所の現地調査の要否を判断し、必要と判断される場合には現地調査をおこなわなければならない。当該現地調査を踏まえ、事前に関係者間で協議した結果、施工中(一時保管場所を含む)、施工後を通じて必要な対策を講じてもなお、法令違反を惹起する疑い、または生活環境の保全上の支障が発生するおそれがある場合は、各会員及び製造・販売する関係会社は、販売を見合わせなければならない。また、販売可能と判断したものについて、「各会員」及び製造・販売する関係会社は、施工中・施工後の調査の要否を判断し、必要と判断される場合には施工中・施工後の調査をしなければならない。なお、受注前、施工中及び施工後の現地調査を不要と判断した場合も、「各会員」にて、その理由を記録として残しておかなければならい。不要と判断した記録は、少なくとも 2 年の保管期限を定め保管されなければならない。
使用場所の現地調査項目は、「各会員」にて、予め定めるものとする。
受注前現地調査により販売可能と判断した場合においても、「各会員」は、施工中及び施工後の留意点について、需要家に説明するとともに、必要に応じて行政・近隣住民との事前協議を行うこととする。
(3) 受注前現地調査の実施基準、受注可否の判断基準、施工中及び施工後の調査の実施基準
① 使用場所の受注前現地調査の実施基準、② 受注前現地調査の結果に基づいた受注可否判断基準、③ 施工中・施工後の現地調査の実施基準は、各会員及び製造・販売する関係会社にて予め定めるものとする。但し、少なくとも 3,000t 以上の案件については、各会員及び製造・販売する関係会社は、受注前現地調査を実施しなければならない。
(4) 販売上の留意点
① 「各会員」は、非鉄スラグ製品の販売において、販売先に対し、有償で販売しなければならない。
各会員及び製造・販売する関係会社が支払う運送費が販売代金以上となるおそれがある場合は、各会員及び製造・販売する関係会社は、販売先及び施工業者以外の第三者を運送業者として選定しなければならない。
② 出荷場所と使用場所の関係から、運送費が販売代金以上となるおそれがある場合は、「各会員」は、あらかじめ複数の運送業者から見積もりを取るなど運送費の妥当性を検証しなければならない。
③ 「各会員」は、販売した非鉄スラグ製品は原則転売・転用を禁止とし、転売・転用をする場合は販売者の了解を得ることを購入者に書面にて周知徹底しなければならない。
(5) 受注前現地調査、需要家との面談等の記録
受注前現地調査、需要家との面談、需要家に非鉄スラグ製品の品質特性と使用上の注意事項の説明を行った事実等については、「各会員」は、予め各会員にて定める様式により記録に留め、少なくとも納入完了から 10 年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。また、需要家との間で取り決めた品質規格等については、「各会員」は書面で需要家に提出しなければならない。
《 調査項目 》
① 調査年月日 ②工事名 ③施工場所 ④施主名 ⑤施工業者名 ⑥用途:具体的な用途を記入 ⑦規格、非鉄スラグ製品の種類 ⑧納入時期・工期 ⑨数量 ⑩他のリサイクル材との共同使用の有無 ➃施工場所の状況 ⑫施工中の保管場所 ⑬輸送方法、輸送中の一時保管場所
《 決定項目 》
① 施工中の状況調査の要否
② 施工後の追跡調査の要否
(6) 新規納入事案に対する社内承認
「各会員」は、量の多少を問わず、新規納入事案については、事前入手情報・現地調査結果等を基に各会員及び製造・販売する関係会社で定める審査・承認を行わなければならない。審査結果は様式に定めるところに記入し、関係者回覧の上、期限を定めて保管しなければならない。
ここでいう新規納入事案とは、その需要家にとって、経験のない用途にスラグを用いる場合または、土木工事用材を新しい工区に使用する場合を意味する。
6-4. 受注・納入
(1) 受注を決定し、非鉄スラグ製品を納入する場合には、「各会員」は、需要家との契約条件に従って試験成績表を提出しなければならない。
(2) 非鉄スラグ製品が使用される場所に応じて適用される環境安全品質とそれへの適合性については、「各会員」は、契約書あるいはその他の方法で需要家に提示しなければならない。コンクリート用銅スラグ細骨材及びアスファルト混合物用銅スラグ骨材は、環境安全形式検査成績表と単位量の上限を提出しなければならない。また、銅スラグ骨材、亜鉛スラグ骨材を、二次製品の意匠材として使用する場合も、単位量の上限を規定しなければならない。その場合、単位量は、二次製品全体で評価するものとする。
(3) 各会員及び製造・販売する関係会社は、非鉄スラグ製品を納入する場合は、法に基づき、需要家に安全データシート(英: Safety Data Sheet)を発行しなければならない。
6-5. 非鉄スラグ製品の運送
非鉄スラグ製品の運送に際しては、「各会員」は、代金受領、運搬伝票等で非鉄スラグ製品が確実に需要家に届けられたこと確認しなければならない。また、需要家が製造元及び販売元を確認できるように、納入伝票等には、製造元及び販売元の各会員名称を記載しなければならない。
6-6. 施工中の調査
(1) 「各会員」は、必要に応じて施工場所(運送、一時保管を含む)の調査を実施しなければならない。また、セメント原料向けの場合は、原料の使用状況の確認でもよい。施工場所の調査にあたっては、特に粉塵対策の確認が重要である。
なお、3,000t 以上の案件については、各会員及び製造・販売する関係会社は、施工中の調査を必ず実施しなければならない。
なお、「各会員」は、施工中の調査結果を記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(2) 状況確認の結果、運送、保管、施工に際して、非鉄スラグ製品の取扱い等に不具合が認められる場合は、「各会員」は、必ず需要家に正しい取扱い方法について注意喚起し、それを記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。また、必要に応じて行政庁と協議し、それを記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定めて保管しなければならない。
特に、施工中の非鉄スラグ製品の「各会員」および需要家による製造事業所外での一時保管については、各会員及び製造・販売する関係会社は、定期的に見回り調査を実施し、粉塵対策等の実施状況を調査・点検し、記録するとともに、「各会員」および需要家による一時保管において在庫過多による野積みが生じないよう、「各会員」および需要家での在庫は使用量の 3 ヵ月分を上限の目処とする。3 ヵ月以上の長期間にわたり利用されずに放置されている場合には、「各会員」は、速やかにその解消を指導し、指導に従わない場合は、行政と相談の上、撤去を含め、速やかな対策を講じなければならない。
(3) 6-3 (2)で受注前に施工中の調査を不要と判断したものについても、問題発生のおそれのあるものについては、「各会員」は、調査を実施しなければならない。
7. 施工後の調査
(1) 「各会員」は、施工場所や利用用途等の特徴に応じて、施工後の調査の期間、頻度についての判断基準を定めなければならない。また、「各会員」は、施工後の施工場所の状況に応じて、調査期間の延長や頻度の見直しを実施しなければならない。但し、少なくとも 3,000t 以上の案件については、「各会員」は、施工後の調査を実施しなければならない。
(2) 事前の現地調査で施工後の調査が必要と判断された場合は、「各会員」は、需要家と相談の上、施工後の調査を、必要な期間、必要な頻度で行い、調査結果を記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(3) 施工後の調査の結果、施工後使用場所に環境への影響が懸念される場合は、「各会員」は、速やかに需要家と協議し、それが非鉄スラグ製品の品質に起因する場合、必要な措置を講じなければならない。需要家における使用が原因の場合、「各会員」は、需要家に対して、必要な注意喚起を行わなければならない。これらにあたり、「各会員」は、必要に応じ行政と協議することとする。「各会員」は、これらについて記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
(4) 「各会員」は、施工後の調査を必要なしと判断した案件においても、使用場所に異常が認められた場合は、前項に準じる。
8. 行政・住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき及びその懸念が生じたときの対応
非鉄スラグ製品の運送・一時保管・施工中・施工後の一連のプロセスにおいて、行政・住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき、またはその懸念が生じたときは、その原因が非鉄スラグ製品に起因するか否かを問わず、「各会員」は、需要家と協力して速やかに原因究明にあたるとともに、非鉄スラグ製品に起因する場合は、需要家と、必要に応じて行政・住民等と協議の上適切な対策をとる。また、需要家その他の関係者の行為に起因する場合には、必要に応じ当該関係者に注意喚起を行い、必要に応じて行政庁と協議することとする。
また、非鉄スラグ製品に起因するか否かを問わず、「各会員」は、非鉄スラグ製品に対する信頼・評価が毀損されることがないよう適切かつ迅速な対応を図ることとする。これらの対応は
「各会員」が主導し、販売会社と相互協力して行うこととする。本項の措置については記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
行政・住民等からの重大な指摘・苦情等が発せられたときは、日本鉱業協会に報告する。
9. マニュアルの整備と運用遵守状況の点検及び是正措置
「各会員」は、本ガイドラインに定める事項を、自社の非鉄スラグ製品に関わるマニュアルとして整備しなければならない。
「各会員」は、ガイドライン及びマニュアルの社内教育を定期的に実施し、自社のマニュアルの規定に従い運用しているかどうか、保管すべき記録を保管しているかどうか等マニュアルの運用遵守状況について、少なくとも1年に1回以上点検を行い、不適正な運用がなされている場合には是正措置を講じなければならない。この点検は、10.(2)の第三機関の監査とは、別とする。
「各会員」は、本ガイドラインの改正が行われた場合には、社内教育を実施し、遵守事項について周知徹底しなければならない。
なお、教育・点検及びその是正措置については記録に留め、少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
また、「各会員」は、需要家(販売会社や販売代理店を含む)に対しても、ガイドライン及びマニュアルを説明し、非鉄スラグ製品の製造・販売に関わる遵守事項を周知徹底することとする。本ガイドラインの改正を行った場合は、需要家(販売会社や販売代理店を含む)に対しても、ガイドライン及びマニュアルを説明し、非鉄スラグ製品の製造・販売に関わる遵守事項を周知徹底することとし、説明記録を少なくとも 10 年以上の保管期限を定め保管しなければならない。
10.日本鉱業協会への報告と点検
(1) 「各会員」は、ガイドラインに基づく活動状況を半期毎に日本鉱業協会に報告しなければならない。
(2) 「各会員」は、自社の運用マニュアルに基づいた運用状況を確認するために、第三者機関による監査を 1 年に 1 回定期的に実施することとする。
(3) 日本鉱業協会は、各社から提出された半期ごとの報告及び 1 年毎の第三者機関による監査報告書を有識者の助言を得て確認するものとする。
11.ガイドラインの定期的な点検・整備
本ガイドラインは、有識者の助言を得て少なくとも 1 回/年の点検を行い、日本鉱業協会は必要に応じて改正を行う。
(本ガイドライン制定・改正)
2005年 9月30日制定
2008年 2月 1日改正
2015年 9月30日改正
2016年 2月25日改正
2017年 9月30日改正
2019年 3月29日改正
2020年 9月17日改正
以上
非鉄スラグ製品の使用場所・用途
-
○
使 用 可:使用不可:
別紙 1
用 途 | 非鉄スラグ | ||||
大区分 | 中区分 | 小区分 | フェロニッケルスラグ | 銅スラグ | 亜鉛スラグ |
コンクリート工 | 一般用途 | 細 骨 材 | ○ | ○ | - |
粗 骨 材 | ○ | - | - | ||
レジコン用混和材 | ○ | - | - | ||
港湾用途 | 細 骨 材 | ○ | ○ | - | |
粗 骨 材 | ○ | - | - | ||
コンクリート二次製品 | 細 骨 材 | ○ | ○ | 〇 | |
舗装工 | アスファルト混合物 | アスファルト混合物用骨材 | ○ | ○ | - |
路盤 材 | 路盤材用骨材 | ○ | - | - | |
路 盤 材 | ○ | - | - | ||
路床 材 | 路床材用骨材 | ○ | - | - | |
路 床 材 | ○ | - | - | ||
土工 | 一般用途 | 盛土材,覆土材,積載盛土材 | ○ | - | - |
造成材、埋戻材 | ○ | - | - | ||
地盤改良材 | ○ | - | - | ||
そ の 他 | ○ | - | - | ||
港湾用途 | ケーソン中詰材 | ○ | ○ | ○ | |
地盤改良材 | ○ | ○ | - | ||
裏 込 材 | ○ | ○ | - | ||
藻場,xx,干潟、覆砂材 | ○ | - | - | ||
埋立材、裏埋材 | ○ | - | - | ||
建築用途 | 建材用原料 | ○ | ○ | ○ | |
建築資 材 | 〇 | - | - | ||
ブラスト材 | サンドブラスト材 | ○ | ○ | ○ | |
原 料 | 鋳 物 砂 | ○ | - | - | |
セメント用原料 | ○ | ○ | ○ | ||
肥料材 料 | ○ | - | - | ||
造 滓 材 | ○ | ○ | - | ||
製鉄用xx | - | ○ | - | ||
溶接用フラックス | ○ | - | - |
非鉄スラグ製品の製造・販売管理ガイドラインの環境安全品質基準
別紙2
非鉄スラグ製品の製造・販売管理ガイドラインの環境安全品質基準 2020.09.17
用 途 | 試料の種類 | 判定基準値 | 試験方法 | 分析項目 | 試験頻度 | 根 拠 | ||||
大区分 | 中区分 | 小区分 | フェロニッケルスラグ | 銅スラグ | 亜鉛スラグ | |||||
コンクリー ト工 | 細 骨 材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料 <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS A 5011-2,3 | <環境安全形式検査> FNS・FNG・CUS 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) CUS:3項目(Cd.Pb,As) | <環境安全形式検査> 3年以内に1回 <環境安全受渡検査> 1回/製造ロット | FNS・FNG JIS A 5011-2 CUS JIS A 5011-3 | ||
粗 骨 材 | ||||||||||
レジコン用混和材 | ||||||||||
一般用途 | ||||||||||
細 骨 材(輸出用) | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料*2) <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | 輸出国の法律を遵守且つ <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | 輸出国の法律を遵守且つ <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS A 5011-2,3 | <環境安全形式検査> FNS・FNG・CUS 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) CUS:3項目(Cd.Pb,As) | <環境安全形式検査> 3年以内に1回 <環境安全受渡検査> 1回/製造ロット | FNS・FNG JIS A 5011-2 CUS JIS A 5011-3 | |||
港湾用途 | 細 骨 材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料 <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (港湾用溶出基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (港湾用溶出基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS A 5011-2,3 | <環境安全形式検査> FNS・FNG・CUS 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) CUS:3項目(Cd.Pb,As) | <環境安全形式検査> 3年以内に1回 <環境安全受渡検査> 1回/製造ロット | FNS・FNG JIS A 5011-2 CUS JIS A 5011-3 | ||
粗 骨 材 | ||||||||||
レジコン用混和材 | ||||||||||
コンクリート二次製品 | 細 骨 材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料*2) <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS A 5011-2,3 | <環境安全形式検査> FNS・FNG・CUS 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) ZNS:1項目(Pb) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) CUS:3項目(Cd.Pb,As) ZNS:1項目(Pb) | <環境安全形式検査> 3年以内に1回 <環境安全受渡検査> 1回/製造ロット | FNS・FNG JIS A 5011-2 CUS JIS A 5011-3 ZNS JIS A 5011-3に準拠 | |
舗装工 | アスファルト混合物 | アスファルト混合物用骨材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料 <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS A 5011-2,3 | <環境安全形式検査> FNS・FNG・CUS 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) CUS:3項目(Cd.Pb,As) | <環境安全形式検査> 3年以内に1回 <環境安全受渡検査> 1回/製造ロット | 土壌環境基準 建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針 付属書Ⅱ 道路用スラグに環境安全性品質及びその検査法を導入するための指針(暫定的に適用) | |
路盤材 | 路盤材用骨材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料 <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | <環境安全形式検査>環境安全品質基準 (土壌環境基準) <環境安全受渡検査>環境安全受渡判定値 | JIS K 0058-1,2 | <環境安全形式検査> FNS・FNG 8項目 (Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) <環境安全受渡検査> FNS・FNG:1項目(F) | |||||
路 盤 材 | <環境安全形式検査>利用模擬試料 <環境安全受渡検査>非鉄スラグ試料 | |||||||||
路床材 | 路床材用骨材 | <環境安全形式検査> スラグ骨材又は利用模擬試料 <環境安全受渡検査>スラグ骨材試料 | ||||||||
路 床 材 | <環境安全形式検査>利用模擬試料 <環境安全受渡検査>非鉄スラグ試料 | |||||||||
土工 | 盛土材,覆土材,積載盛土材 | |||||||||
一般用途 | 造成材、埋戻材 | 非鉄スラグ試料 | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | 環告18,19号 | 8項目 (Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) | 1回/製造ロット | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | |||
地盤改良材 | ||||||||||
そ の 他 | ||||||||||
ケーソン中詰材 | 港湾用溶出基準 | 港湾用溶出基準 | 港湾用溶出基準 | JIS K 0058-1 | ||||||
港湾用途 | 地盤改良材 | 非鉄スラグ試料 | 港湾用溶出基準 | 港湾用溶出基準 | ― | JIS K 0058-1 | 8項目(Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) | 1回/製造ロット | 港湾用基準 建設分野の規格への環境側面を導入する為の総合報告書(暫定的に適用) | |
裏込材、裏埋材 | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 (港湾用溶出基準*1) | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 (港湾用溶出基準*1) | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 (港湾用溶出基準*1) | 環告18,19号 (JIS K 0058-1,2) | ||||||
藻場、xx、干潟覆砂材 | 港湾用途基準・ 土壌汚染対策法(含有量) | ― | ― | JIS K 0058-1 環告19号 | ||||||
埋立材 | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | ― | ― | 環告18,19号 | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | |||||
建築用途 | 建材用原料 | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | |||||||
建築資材 | 非鉄スラグ試料 | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | 環告18,19号 | 8項目 (Cd,Pb,Cr(Ⅵ),As,Hg,Se,F,B) | 1回/製造ロット | 土壌汚染対策法・土壌環境基準 | ||||
ブラスト材 | サンドブラスト材 | 非鉄スラグ試料 | 使用者と協議により決定 | ■使用後は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の基準順守 | ||||||
原 料 | 鋳 物 砂 | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | |||||||
セメント用原料 | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | ||||||||
肥料材料 | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | ||||||||
造 滓 材 | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | ||||||||
製鉄用xx | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 | ||||||||
溶接用フラックス | 非鉄スラグ試料 | 原料としての納入であり、協議により決定 |
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*1)土壌と区分されている場合は、港湾用溶出量基準を適用する
*2)銅スラグ細骨材、亜鉛スラグ細骨材の形式検査の判定は、二次製品として評価するものとする
*3)別紙2でFNSは、フェロニッケルスラグ細骨材、FNGは、フェロニッケル粗骨材、CUSは、銅スラグ細骨材、ZNSは、亜鉛スラグ細骨材を指す