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特 集 1 | |
公契約条例、その目的と構造 ~公契約条例をめぐる現状と課題~ xxxxx xx x xx xx ●地方自治総合研究所・研究員 |
はじめに
~公契約条例は進化する~
自治体発注業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保するため、入札参加者ならびに受注者に対し、その従事労働者に支払うべき賃金(報酬)の最低額を定め、当該金額以上の支払いを入札参加ならびに受注の資格要件とする、いわゆる公契約条例が日本ではじめて制定されたのは、 2009年9月、xx県xx市においてであった。
2010年12月には、xx市が従来の契約条例を改定し、公共工事や委託業務等の請負契約を締結した受注者が、その従事労働者に支払うべき作業報酬下限額を入札参加要件とすることを条例に規定し、2011年12月には、相模原市とxxx多摩市が公契約条例を制定した。2012年には、xxx国分寺市が物品購入等の調達全般にまで対象を拡大した公共調達条例を制定し、さらにxxxxx区でも公共工事のみを対象とする条例を制定した。
この間、xx市では、毎年、公契約条例を改正し、公契約条例の対象となる工事請負契約の範囲を1億円以上から5,000万円以上に拡大し、受注者が支払うべき最低報酬も職種別とし、そして図
書館等の管理業務を請負う指定管理者にも直接適用することとした。
神奈川県厚木市では、2012年12月に公契約条例を制定すべく、この夏に条例案のパブリックコメントを実施しており、また埼玉県xx市でも初の議員提出条例案としての制定をめざし11月にパブリックコメントを実施している。さらに札幌市でも、早期の条例制定にむけて関係者と協議に入っている。
現在、公契約条例制定の検討を始めた自治体は、筆者が知る限り、県では、愛知県、xx県、奈良 県、佐賀県、市区では山形市、世田谷区、xx区、xxx八王子市、xx市、兵庫県西宮市など多数 に及ぶ。
xx市における公契約条例の制定という歴史的偉業から3年を経過し、公契約条例制定の動きは瞬く間に広がった。
以下本稿では、なぜこれほどまでに公契約条例制定運動が進展したのかを、公共工事や業務委託の現状を概観することから解説し、その上で、公契約条例はいったい何を目的とし、どのような構造なのかについて、明らかにすることとする。
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特 集 公契約条例をめぐる現状と課題
1.公共工事ならびに
業務委託の現状
くじ引きで受注者を決定
国や地方自治体が実施する公共工事や業務委託では、多くの場合、競争入札で受注者を決定するのだが、その入札の現場では目を覆いたくなる事態が進行している。
佐賀県発注の公共工事入札では、最低制限価格
―この価格未満での入札額は自動失格―での応札が複数になり、2009年4~8月までの土木工事の入札233件のうち、抽選で落札者を決めたのは 18%に当たる42件で、2008年度の3.3%から大幅に増加していた。特に予定価格2,500万円超の入札では、2008年度の7.8%から37.5%に、6,000万円以上では7.5%から35%に激増していた。受注することだけを目的に応札し、最低制限価格に張り付いた価格で数社が入札、くじ引きで受注者を決定したのである1。
名古屋市でも、2011年7月に行われた下水道工事の入札結果は、59社が参加しながら入札価格はすべて最低制限価格である1億5,022万円で、やはりくじ引きにより受注者を決めていたのである2。
くじ引きで受注者を決めるという事態は、企業の技術力など省みられることなく、結局は入札価格の安さだけが受注者選定の要素であることを示している。
入札における各価格の位置づけ
競争入札において、法令で規定されるそれぞれの「価格」はどのような役割を果たすべく位置付けられているのだろうか。地方自治体の入札を規律する地方自治法と自治令に基づき説明しておこう<図1参照>。
まず予定価格は「予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とする」(地方自治法234条3項)と規定しているところから、入札においては上限額として作用する。つまりこの金額以上の入札は失格である。
次に最低制限価格(自治令167条の10第2項)である。この価格未満の価格では公共工事や委託業務が充分に履行されないおそれがあるということから設定されおり、これ以下での応札は自動的に失格となる。つまり下限額として作用し、その水準は、予定価格の7~8割程度である。
さらに低入札価格調査制度(自治令第167条の 10第1項)である。これは予定価格と最低制限価 格の範囲での最低入札価格が、a当該申込み価格 では、工事等が履行されないおそれがある場合、 b当該申込み価格で契約締結するとxx取引秩序 を乱すおそれがあり著しく不適当な場合について、当該価格の積算根拠を事業者から示させるなどの 調査を実施してから、落札者=受注者を決定する というものである。
先の事例のように、最低制限価格や低入札価格調査制度の価格に張り付き、くじ引きで落札者を決定するという事態は、すでにダンピングのおそれを生じさせているのである。
1.佐賀新聞2009年12月14日
2.「談合叩きが生んだくじ引き入札」『WEDGE』2012年1月号
図1 競争入札契約における価格のイメージ
高 失格価格
上限価格・・・予定価格
低入札価格調査制度の調査基準価格
下限価格・・・最低制限価格、低入札価格調査制度価格失格基準
(=特別重点調査制度価格)
低 失格価格
予定価格の積算
公共工事の場合、予定価格の算出には、積算根拠に基づく経費計算が行われる。図2をご覧いただきたい。
直接工事費とは、材料費、機械費など工事の施行に直接かかる費用のことである。共通仮設費とは、測量、整地、仮設建物、安全管理、清掃費などの工事施工に係る間接費用のことである。両者をあわせて純工事費という。
現場管理費というのは主要には人件費で、現場 で働く従業員等の給与、福利厚生費、安全衛生費、保険料のほか事務用品等のような、工事を担うソ フト部門の経費のことである。そして先の純工事 費と現場管理費をあわせて工事原価という。
予定価格となる工事価格の総額は、工事原価に一般管理費が上乗せされる。一般管理費とは会社・事業運営上必要な経費のことで、役員報酬、本店従業員給与等から構成する。要するに受注事業者本体の維持管理費や利益部分のことである。つまり予定価格とは、資材、機材、人件費等の 実勢価格に基づき、これに本社経費部分を勘案した価格で、この予定価格をもって自治体の予算も
組まれているのである。
一方、業務委託の場合は予定価格を算出する根拠となるものがなく、多くの場合、自治体の財政状況に左右され、「前回入札価格の何割引き」という形で予定価格が設定されているところに問題がある。
図2 公共工事の予定価格の積算
工事費の構成
純工事費
直接工事費
工事原価 共通仮設費
工事価格 現場管理費 ・・・・・ 共通費工事費 一般管理費等 ・・・・・・・・・・
消費税等相当額
特 集 公契約条例をめぐる現状と課題
ダンピングがもたらす負の影響
ダンピングの影響は、下請業者や従事労働者にしわ寄せとなってあらわれる。
公共工事従事者の報酬の状況に関して、表1をご覧いただきたい。
農林水産省と国土交通省は、毎年10月、次年度の公共工事の工事費の積算に用いるため、公共事業労務費調査を実施し、年度末の3月に公表している。国や自治体の担当者は、この公共工事設計労務単価等から工事ごとに予定価格を積算するのである。表1は、各都道府県別の主要11職種の設計労務単価を単純平均したもので、2001年と直近の2012年を比較したものである。
下落率が最も高いのが運転手(一般)<資機材の運搬のための貨物自動車の運転等>でマイナス 22.8%、2番目が大工でマイナス22.7%、3番目が運転手(特殊)<吊上げ重量5t以上のウインチ等を運転または操作して行う資材等の運搬等>でマイナス22.4%である。給与所得者の平均給与所得は、国税庁「民間給与実態統計調査」をみる
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と、2001年は454万円、入手できる最新のデータ である2011年の平均給与所得が409万円で45万円 のマイナス、約10%下落している。下落率だけか らみると、公共工事に携わる建設労働者の報酬は、平均給与所得者の2倍以上の下落である。11職種 で最も高い日額である大工でも、年間260日働い て、年収413万円強でようやく平均給与所得程度 である。
業務委託に係る労働者の状況についても、触れ
ておこう。
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大阪市営地下鉄の清掃員として働く請負会社の
契約社員の男性が、生活保護を申請したところ、受給を認められていた。男性は、市営地下鉄の駅や改札、トイレなどの清掃員として週6日、1日
7時間勤務し、時給は当時(2009年)の大阪府の法定最低賃金より12円高い760円で月収14万円だった。月収から社会保険料や税金を差し引いた額が生活保護基準である11万5,610円に満たないとして、差額の2万4,221円の生活保護の支給が決定したのである。
表1 公共工事設計労務単価(主要11職種基準額)単位:円/日
2001年 | 2012年 | 下落額 | 下落率 | |
特殊作業員 | 18,881 | 15,200 | -3,681 | -19.5% |
普通作業員 | 15,070 | 12,504 | -2,566 | -17.0% |
軽作業員 | 11,732 | 9,806 | -1,926 | -16.4% |
とび工 | 18,483 | 15,617 | -2,866 | -15.5% |
鉄筋工 | 19,032 | 15,504 | -3,528 | -18.5% |
運転手(特殊) | 19,864 | 15,421 | -4,443 | -22.4% |
運転手(一般) | 17,591 | 13,581 | -4,010 | -22.8% |
型わく工 | 19,755 | 15,717 | -4,038 | -20.4% |
大工 | 20,553 | 15,896 | -4,657 | -22.7% |
左官 | 18,668 | 15,334 | -3,334 | -17.9% |
交通誘導員 | 8,721 | 7,585 | -1,136 | -13.0% |
(注)各都道府県の単価を単純平均したもの。
(注)各年度の公共工事設計労務単価から筆者が作成。
男性が勤務する会社は予定価格2億4,000万円に対し、約1億1,600万円で落札していた(落札率48.3%)3。すなわち、業務委託に最低制限価格制度を適用していなかったという問題もある。清掃業務は労働集約型業務である。当該業務で 安すぎる入札=ダンピングを野放しにすれば、その影響は当該業務に従事する労働者の賃金を下落させ、生活保護水準以下の貧困へと直結し、それが生活保護受給者を拡大させ、かえって自治体の
財政を逼迫させるのである。
2.社会条項を重視した
総合評価入札方式
総合評価入札方式とは
先に見たとおり、最低制限価格制度、低入札価格調査制度は、一定の効果は認めつつも、ダンピング対策としては限界がある。それは価格偏重だからである。ダンピングの横行は、公共事業や委託業務の質と社会性を劣化させるおそれがある。なぜなら本当に技術力を有する企業や、障害者雇用などの社会的責任を果たそうとする企業を入札から排除することになるからである。
そこで価格以外の要素を入札における落札者決
定方法に取り込む必要が生じた。これが価格以外の条件も含め、発注者である国・自治体において最も有利な内容の入札を行ったものを契約の相手方とする総合評価入札方式である。
自治体については、1999年3月の自治令の改正によって167条の10の2が新設され、総合評価入札方式が導入された。これにより、それまで入札とは関係ない他事事項とされてきた価格以外の要素も考慮して、落札者を決定することに根拠が与えられた。
この総合評価入札方式を活用し、多くの自治体が2000年前後を境に社会条項を重視した入札改革を展開してきたが、とりわけ先駆的な事例が大阪府にみられる。
大阪府では、1999年から「行政の福祉化」政策 を進め、その一環として、業務委託契約の入札に 総合評価方式を採用し、福祉関連事項を重点的に 評価項目として設定した。価格と価格以外の評価 点のバランスは表2に示す通り、2005年度以降は、価格評価が50点に対し、技術・公共性評価が50点 で、このうち福祉への配慮点が30点を占める。大 阪府のこうした取り組みは、2010年に「大阪府障 害者の雇用の促進等と就労の支援に関する条例」 の制定・施行に結実した。
表2 大阪府―福祉関連項目を重視した総合評価制度
2003年度 | 2004年度 | 2005年度 | ||
価格評価 | 70点 | 62点 | 50点 | |
技術・公共性評価 | 30点 | 38点 | 50点 | |
うち、福祉への配慮 | 13点 | 16点 | 30点 |
3.神戸新聞2009年6月24日
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特 集 公契約条例をめぐる現状と課題
3.xx労働の実現に
特化した公契約条例
既存の公契約条例の内容
公契約条例は、自治体が発注した公共工事や委託業務に従事する労働者等に支払われるべき最低賃金(報酬)額を規定し、xx労働の実現を図ることにターゲットを絞ったものである。
例えば、xx市公契約条例では「公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現する」(第1条)と明示する。
そして具体的な措置としては、xx市と工事請負や業務委託請負の契約を締結した受注者等は、
当該業務に従事する労働者に支払うべき賃金の最 低額として、工事請負は設計労務単価の8割以上、業務委託は公契約の種類ごとに時間当たり職種別 最低賃金額、たとえば施設の設備又は機器の運 転・管理の契約では最低額1,480円/時、施設の 清掃に関する契約では最低額829円/時を定める (xx市公契約条例第6条)。受注者は従事労働者 にこれ以上の賃金額を支払っていなければならない。
xx市契約条例では、工事請負は設計労務単価の9割以上、業務委託に関しては、2012年度から最低報酬基準額を899円以上とした。2012年4月から公契約条例が施行された相模原市では工事請負は設計労務単価9割以上、委託業務は885円以上、多摩市は工事請負が設計労務単価8割以上、委託業務は903円以上となっている。さらに国分寺市では工事請負は設計労務単価の価格、すなわち10割としている(表3参照)。
表3 公契約条例の主な内容
xx市 | xx市 | 多摩市 | 相模原市 | 国分寺市 | xx区 | ||
適用対象契約 | 工事請負 | 予 定 価 格 5,000万円以上 | 予 定 価 格 6億円以上 | 予 定 価 格 5,000万円以上 | 予 定 価 格 3億円以上 | 予 定 価 格 9,000万円以上 | 予 定 価 格 1億円以上 |
業務委託 | 予 定 価 格 1,000万円以上で、市長が別に 定めるもの。 | 予 定 価 格 1,000万円以上で、規則等で 定めるもの。 | 予 定 価 格 1,000万円以上で、市長が定 めるもの。 | 予 定 価 格 1,000万円以上で、規則で定 める契約。 | 予 定 価 格 1,000万円以上で、規則で定 めるもの。 | 対象外。 | |
指定管理者 | 間接適用。 2013年度から直接適用。 | すべて対象。 | 市長・教育長が 認 めたも の。 | すべて対象。 | x x x x 費 1,000 万円以上で、規則で 定めるもの。 | 対象外。 | |
報酬下限額 | 設計労務単価 | 設計労務単価 | 設計労務単価 | 設計労務単価 | 設計労務単価 | 区長が定める | |
8割以上。 | 9割以上。 | 8割以上。熟 | 9割以上。公共 | 10割以上。 | 額。 | ||
練労働者に適 | 事業労務費調 | ||||||
工事請負 | 用。それ以外 は、委託の下限 | 査において対 象外とされた | |||||
報酬を適用。 | ものについて | ||||||
は委託の下限 | |||||||
報酬を適用。 | |||||||
職種別に賃金 | 899円 | 903円 | 885円 | 規則で定める | 対象外。 | ||
業務委託 | の最低額を規 定。 | 19歳単身生活 保護基準。 | 19歳単身生活 保護基準。 | 19歳単身生活 保護基準。 | 額。 | ||
1,480円~829円 |
委託業務における最低報酬基準額は、xx市を除いて生活保護基準を用いているが、この生活保護基準とは、2008年7月1日に施行した改正最低賃金法により、地域別最低賃金の水準決定にあたり生活保護との整合性に配慮することが明確化されたことから脚光を浴びたもので、その算出基準は、[12-19歳単身の生活扶助基準第1類+第2類(冬期加算含む)+期末一時扶助+住宅扶助実績値]÷可処分所得率から求められる。xx市、相模原市、多摩市はこの基準を若干アレンジしたものである。
市が発注する公共工事や委託業務を請け負う受注者は、そもそも入札に参加するためには、これらの最低報酬基準額以上の賃金を支払っていなければならず、また、受注後も支払い続けなければならない。受注者から仕事を発注された下請・孫請負者以下において割り込んだ賃金を支払っていることが発覚した場合でさえ、事業の直接の受注者に是正措置を講じることが求められ、それでも改善されない場合は契約が解除され、違約金の支払いが命じられるのである。
公契約条例の理念と原則
~契約自由の原則と受注者の責務~
ここで公契約条例に係る重要な論点を指摘しておきたい。
先の受注者が支払うべき賃金の最低額は、自治体が公権力を背景として受注者に当該額以上の賃金を支払えと命じているのではなく、発注者である自治体と受注者である事業者との間の契約上の約束事として、受注者の側の責務として位置づけられているということである。
公共工事や業務委託等の請負契約は、一方を自治体とする民法上の契約であり、契約自由の原則
により、発注者である自治体と受注者である相手 方の契約上の関係は対等であることが前提となる。
このような一方当事者を政府(国や自治体)とする契約は行政契約ともいわれるが、自治体が求める政策の実施を契約上の約束とし、その履行を相手方に義務づけることは一般的に採用されてきた方法である。これを規制的に活用した典型例が公害防止協定である。公害防止協定では、自治体または地域住民と当該地域に立地、または立地しようとする企業との間で、企業の操業に伴う公害を防止し、地域住民の健康の保護と生活環境の保全を図ることを目的として、両者の自由意志に基づき締結される文書による合意である。その内容は、法の規制を上回った厳しい内容の義務の履行を事業者に求めるものである。この公害防止協定も双方合意に基づき締結された行政契約であり、
「企業の経済活動について、企業が自らの計算で、企業活動の自由の一部を自己放棄する」ものと理 解されている4。
このように規制行政における契約の場面においてさえ、その履行確保は協定締結者の自己規制に委ねられているのであり、したがって、競争入札や随意契約で締結される請負契約でも、公契約条例を通じたものであれ、その履行確保は契約締結の相手方の契約上の義務として達成されるべきものなのである。
この点につき多摩市公契約条例は、「請負契約にあっては市長及び受注者が相互に対等平等な関係にあることを、指定管理協定にあっては市長等及び受注者が共同して公の施設の管理の責任を負うことを前提として、両者が協力、共同して」公契約条例が定める目的を実現すると明記しているのである(多摩市公契約条例第8条)。
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特 集 公契約条例をめぐる現状と課題
おわりに
公契約条例の制定の目的は、従事労働者の労働条件の確保ならびにワーキングプア対策ということが重要な要素であるが、そればかりではない。むしろ「公共」の復権という要素の方が重要なのかもしれない。
つまり公契約条例は直接的に最低賃金額を引き上げているわけではなく、支払い賃金を入札参加
資格要件として受注者の契約上の義務と位置付けることで、従事労働者や下請業者にリスクを押し付けて利益を出そうとする「不良」事業者(最近はブラック企業と呼ばれる)を入札から排除し、社会的に有用で公共性のある事業者を優先して選定しようという仕組みなのである。
市場原理主義によって荒廃しかかっている私たちが暮らす社会を、公共性とxx性を大事にする社会につくり直していく、公契約条例制定の試みはその方向性をもっていることを最後に指摘しておきたい。
「Ⅰ 労xx理事、新年を語る」
「Ⅱ 労働組合組織化の課題(仮題)」の予定です
次号の特集は