Contract
帯広市建設工事請負契約書第 25 条第5項(単品スライド条項)の運用に係る取扱い
1 主要な工事材料
単品スライド条項に規定する「主要な工事材料」とは、当該工事に主に使用される鋼材類、燃料油又はその他工事材料をいう。
2 適用対象工事
(1)単品スライド条項は、主要な工事材料の品目ごとに次式により算定した当該工事に係る各変動額が請負代金額の 100 分の1に相当する金額を超えるものについて適用することができる。
変動額鋼 =M変更-M当初
鋼 鋼
変動額油 =M変更-M当初
油 油
変動額材料=M変更-M当初
材料 材料
M当初,M当初,M当初={p1×D1+p2×D2+・・・+pm×Dm}×k×(1+消費税及び
鋼 油 材料
地方消費税の税率/100)
M変更,M変更,M変更={p’1×D1+p’2×D2+・・・+p’m×Dm}×k×(1+消費税及び
鋼 油 材料
地方消費税の税率/100)
M当初,M当初,M当初:価格変動前の鋼材類、燃料油又はその他工事材料の金額
鋼 油 材料
M変更,M変更,M変更:価格変動後の鋼材類、燃料油又はその他工事材料の金額
鋼 油 材料
p :設計時点における鋼材類、燃料油又はその他工事材料の単価
p’:4の規定に基づき算定した価格変動後における鋼材類、燃料油又はその他工事材料の単価 D :5の規定に基づき算定した鋼材類、燃料油又はその他工事材料の数量
k:落札率
(2)請負代金の部分払をした工事における(1)に規定する「請負代金額」は、当該工事の請負代金から当該部分払の対象となった出来形部分又は工場現場に搬入済みの工事材料若しくは製造工場等にある工場製品(以下「出来形部分等」という。)に相応する請負代金相当額を控除した額とする。ただし、帯広市工事執行規則(昭和 52 年規則第 28 号)様式第 1 号工事請負契約書(以下、「工
事請負契約書」という。)第 37 条第3項に規定する請負代金の部分払のための既済部分検査を確認したものについて、7の規定により、発注者(以下「甲」という。)又は受注者(以下「乙」という。)の求めに応じ、当該部分払の対象となった出来形部分等を単品スライド条項の適用対象とすることができる旨についてあらかじめ合意した場合は、請負代金額から当該部分払の対象となった出来形部分等に相応する請負代金相当額を控除しない額とする。
3 スライド額の算定
(1)請負代金の変更額(以下「スライド額」という。)の算定は、2(1)の規定により単品スライド条項の適用対象となった主要な工事材料に該当する各工事材料(以下「対象材料」という。)の単価等に基づき、次式により行う。
S増額=(M変更-M当初)+(M変更-M当初)+(M変更-M当初)-P×1/100
鋼 鋼 油 油 材料 材料
S減額=(M変更-M当初)+(M変更-M当初)+(M変更-M当初)+P×1/100
鋼 鋼 油 油 材料 材料
S増額:スライド額(増額変更の場合) S減額:スライド額(減額変更の場合)
M変更,M当初,M変更,M当初,M変更,M当初:2(1)に同じ
鋼 鋼 油 油 材料 材料
P:2に規定する請負代金額
(2)乙が対象材料を実際に購入した際の代金額を対象材料の品目ごとに合計した金額(消費税相当額を含む。以下「実際の購入金額」という。)を算定し、これら実際の購入金額が(1)のM変更、M変更又
鋼 油
はM変更を下回る場合にあっては、(1)の規定にかかわらず、(1)のM変更に代えて乙の鋼材類の実
材料 鋼
際の購入金額を、M変更に代えて乙の燃料油の実際の購入金額を、M変更に代えて乙のその他工事材料
油 材料
の実際の購入金額を用いて、(1)の算式によりスライド額を算定する。
(3)実際の購入金額が(1)のM変更、M変更又はM変更を上回る場合にあっては、乙が対象材料について、
鋼 油 材料
6(1)に規定する書類に加え、実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類を示し、実際の購入金額が適当な購入金額であると認められる場合に限り、(1)の規定にかかわらず、
(1)のM変更に代えて乙の鋼材類の実際の購入金額を、M変更に代えて乙の燃料油の実際の購入金額
鋼 油
材料
を、M変更に代えて乙のその他工事材料の実際の購入金額を用いて、(1)の算式によりスライド額を算定する。
(4)(2)及び(3)の「実際の購入金額」は、次に定めるとおりとする。
ア 6の規定により確認される対象材料の実際の購入数量が5に規定する対象数量以下である場合は、当該対象材料についての実際の購入金額。
イ 6の規定により確認される対象材料の実際の購入数量が5に規定する対象数量を上回る場合は、対象資材ごとに、当該対象数量を実際に購入した数量で除し、これに実際の購入金額を乗じて得た金額。
ウ 燃料油について、6(5)の規定により、主たる用途以外の用途に用いた数量を5に規定する対象数量とすることとした場合は、主たる用途以外の用途に用いた数量に、4(1)イ(イ)の平均価格を乗じて得た金額。
(5)スライド額の算定は、対象材料に係る価格の変動分について行うものであり、材料費の変動に連動して共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更を行うものではない。
4 価格変動後における単価の算定方法
(1)スライド額の算定に用いる価格変動後の対象材料の単価「p’」は、次に定めるとおりとする。ア 鋼材類及びその他工事材料
対象材料を現場に搬入した月の実勢価格(対象材料を複数の月に現場へ搬入した場合にあっては、各搬入月の実勢価格を搬入月ごとの搬入数量で加重平均した価格)とする。ただし、減額変更する場合においては、施工計画書に定められている計画工程xxの甲が有する情報に基づき判断した搬入月の実勢価格(対象材料を複数の月に現場へ搬入した場合にあっては、各搬入月の実勢価格を平均した価格)とする。
イ 燃料油
(ア)対象材料を購入した月の実勢価格(対象材料を複数の月に購入した場合にあっては、各購入月の実勢価格を購入月ごとの購入数量で加重平均した価格)とする。
(イ)対象材料のうち、6(5)の規定により、乙が提出した主たる用途に用いた数量の証明書類に基づいて当該証明に係る数量以外の数量についても5の対象数量とすることとした場合、又は減額変更する場合で甲が有する情報では購入月ごとの購入数量が判断できない場合にあっては、(ア)の規定にかかわらず、工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格とする。
(2)(1)ア及びイ(ア)に規定する対象材料の搬入又は購入(以下「搬入等」という。)の月及び数量は、工事請負契約書第 13 条第2項による工事材料の検査又は確認の際に把握された月及び数量とし、当該検査又は確認の際に搬入等の月及び数量が把握されていない対象材料があるときは、別途の方法で把握した搬入等の月及び数量とする。
5 対象数量の算出方法
(1)スライド額の算定の対象とする数量(D)(以下「対象数量」という。)は、対象材料ごとに、次に掲げる数量とする。
ア 設計図書(営繕工事にあっては、数量書。以下同じ。)に記載された数量があるときは、当該
数量。
イ 数量総括表に一式で計上されている仮設工等にあっては、甲の設計数量。
ウ 設計図書又は数量総括表に明記されていない燃料油については、甲の積算において集計された数量。
エ その運搬に燃料油を用いる各種資材であって、燃料油の価格が著しく変動し、請負代金額が不適当となるもの(運搬費用が設計図書に明示されていないものに限る。)にあっては、当該運搬に要する燃料油の数量で客観的に確認できるもの。
(2)請負代金の部分払をした工事にあっては、7の規定により単品スライド条項の適用対象とすることができるとした場合を除き、(1)に規定する数量から、部分払の対象となった出来形部分等に係る数量を控除する。
6 搬入等の時期、購入先及び購入価格に関する乙への確認又は乙との協議
(1)乙が単品スライド条項の適用を請求したとき又は甲が減額変更を請求した場合で甲が算定したス ライド額に対し乙が異議を申し立てたときは、甲は乙に対し、乙が対象材料を実際に購入した際の 数量、単価及び購入先並びに当該対象材料の搬入等の月を証明する書類の提出を求めるものとする。
(2)増額変更を行う場合で、乙が(1)の求めに応じず、必要な証明書類を提出しないため、対象材料について(1)に規定する事項を確認できない場合には、当該対象材料は、単品スライド条項の対象とはしないものとする。
(3)減額変更を行う場合で、乙が(1)の求めに応じず、必要な証明書類を提出しないため、対象材料について(1)に規定する事項を確認できない場合には、甲が算定したスライド額を請負代金額の変更額とする。
(4)(1)の規定にかかわらず、鋼材類については、当該対象材料を実際に購入した際の単価及び購入先を証明する書類を乙が提出し難い事情があると認められる場合においては、当該対象材料の搬入等の月及び数量を証明する書類の提出を求めるものとする。この場合、実際に購入した際の単価は搬入等した月の実勢価格(対象材料を複数の月に現場へ搬入等した場合にあっては、各搬入等の月の実勢価格を搬入等の月ごとの搬入等数量で加重平均した価格)を用いてスライド額を算定することができる。
(5)(1)の規定にかかわらず、燃料油については、当該対象材料を実際に購入した際の数量、単価、購入先及び購入時期のすべてを証明する書類を乙が提出し難い事情があると認める場合においては、乙が主たる用途に用いた数量を証明する書類の提出を求めるものとする。この場合、乙が証明書類を提出しないことがやむを得ないと認める範囲で、乙が証明した数量以外の数量についても5の対象数量とすることができる。
7 部分払時の取扱い
工事請負契約書第 37 条第3項に基づく請負代金の部分払のための既済部分検査の確認に当たり、対象材料の価格変動に伴って、当該工事の請負代金額が不適当となるおそれがあると認めるときは、甲又は乙の求めに応じ、当該確認時に、甲又は乙は部分払の対象となった出来形部分等についても単品スライド条項の協議の対象とすることができる旨をあらかじめ合意するものとする。
8 部分引渡し
工事請負契約書第 38 条の規定に基づく部分引渡しを終えた工事については、当該部分引渡しに係る工事部分について、単品スライド条項を適用することができない。
9 請負代金額の変更手続
(1)単品スライド条項に基づく請負代金額の変更の請求は、当該請求の際に残工期(部分引渡しに係
る工事部分の残工期を含む。)が2月以上ある場合に限り、これを行うことができることとする。
(2)(1)に規定する請求が乙からあったとき又は甲が請求を行ったときは、工事請負契約書第 25 条第8項の規定に基づき、甲は乙の意見を聴いた上で、同項に規定する「協議開始の日」を原則「工期末から 45 日前の日」と定め、これを(1)の請求があった日又は請求を行った日から7日以内に乙に通知するものとする。
(3)この通知に基づく請負代金額の契約変更は、工期の末に行うものとする。
10 全体スライドを行う場合の特則
工事請負契約書第 25 条第1項から第4項までの規定(以下「全体スライド条項」という。)を適用して請負代金額を変更した契約については、2(1)中「請負代金額」とあるのは「全体スライド条項の適用により変更した後の請負代金額」と、「設計時点における鋼材類、燃料油又はその他工事材料の単価」とあるのは「設計時点における鋼材類、燃料油又はその他工事材料の単価(工事請負契約書第25条第3項の基準の日以降については、当該基準の日における単価)」とし、3(1)中「請負代金額」とあるのは「請負代金額から工事請負契約書第 25 条第3項の変動後残工事代金額を控除した額(同項の基準の日以降については、0とする。)」とする。
附 則
(1)この取扱いは、令和4年6月 15 日から施行する。
(2)この取扱いの施行日現在、施工中の工事で工期の末日が、令和4年9月 30 日以前である工事に係る8(1)の規定については、「当該請求の際に残工期(部分引渡しに係る工事部分の残工期を含む。)が2月以上ある場合」とあるのは「工事完了前で、かつ、令和4年7月 31 日まで」とする。
附 則
この取扱いは、令和4年9月 12 日以降に工事請負契約書第 25 条第5項に係る請求が行われたものから適用する。