Contract
3【投資リスク】
(1)リスク要因
以下には、本投資口への投資に関してリスク要因となる可能性があると本書の日付現在において考えられる主な事項を記載しています。また、これらの事項は、本投資法人の投資法人債(短期投資法人債を含みます。別段の記載がない限り、以下同じとします。)への投資に関してもリスク要因となる可能性があります。但し、以下は本投資口及び投資法人債への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本投資法人が取得した不動産又は個別の信託受益権の信託財産である不動産(以下「信託不動 産」といいます。)特有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ロ) 運用資産の個別概要」を併せてご参照ください。
本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資口の市場価格は下落すると考えられ、その結果、本投資口への投資価額を下回る可能性があり、また、投資法人債については、投資元本の欠損が生じる可能性があります。さらには、本投資法人の純資産額の低下その他財務状況の悪化により、分配金の額が低下する可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本「3 投資リスク」を含む本書の記載事項を慎重に検討した上で本投資口に関する投資判断を行う必要があります。
本「3 投資リスク」に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 一般的なリスク (イ)金銭の分配に関するリスク (ロ)投資口の売却及び換金性に関するリスク
(ハ)本投資口の市場性及び価格変動に関するリスク (ニ)支配権獲得によるリスク (ホ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度の取扱いに関するリスク (ヘ)投資口等の追加発行に関するリスク
② 商品設計及び関係者に関するリスク (イ)投資口の商品性に関するリスク (ロ)収入及び費用、キャッシュ・フローの変動に関するリスク (ハ)ローン・トゥー・バリュー・レシオに関するリスク (ニ)借入れ及び投資法人債に関するリスク (ホ)インサイダー取引規制等に関するリスク
(ヘ)本投資法人以外の関係者(本資産運用会社を含みます。)への依存に関するリスク (ト)本投資法人の運営に関与する法人の利益相反等に関するリスク (チ)三井不動産グループへの依存に関するリスク
(リ)役員の職務遂行にかかるリスク (ヌ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク (ル)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク (ヲ)投資対象を主として居住用不動産としていることによるリスク (ワ)本投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
③ 不動産関連リスク:賃貸事業リスク(マーケットリスクを含みます。) (イ)不動産の流動性、取引コスト等に関するリスク (ロ)物件の取得競争に関するリスク
(ハ)テナントの誘致に関するリスク (ニ)未稼働物件(未竣工物件を含みます。)の取得に関するリスク (ホ)賃料収入の減少に関するリスク (ヘ)不動産の偏在に関するリスク (ト)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
④ 不動産関連リスク:物的・法的リスク (イ)不動産の法的及び物的欠陥・瑕疵並びに契約不適合に関するリスク (ロ)有害物質に関するリスク
(ハ)不動産に関する事故等に関するリスク (ニ)不動産に関する災害等に関するリスク (ホ)不動産の運用費用等に関するリスク (ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク (ト)法令の改正等に関するリスク
⑤ 不動産関連リスク:権利関係リスク (イ)土地の境界紛争等に関するリスク (ロ)共有物件に関するリスク (ハ)区分所有物件に関するリスク (ニ)借地物件に関するリスク (ホ)借家物件に関するリスク (ヘ)不動産に係る所有者責任に関するリスク (ト)売主等の倒産等の影響を受けるリスク (チ)底地物件に関するリスク
⑥ 不動産関連リスク:テナントリスク (イ)わが国における不動産の賃貸借契約に関するリスク (ロ)入居者の不動産の利用状況に関するリスク (ハ)テナント集中に関するリスク (ニ)マスターリースに関するリスク (ホ)テナント又は連帯保証人の支払能力に関するリスク (ヘ)転貸に関するリスク (ト)敷金・保証金の利用に関するリスク
⑦ 不動産関連リスク:その他 (イ)専門家による報告書等に関するリスク
(ロ)不動産に関する権利関係の複雑性及び登記に公信力がないことによるリスク (ハ)フォワード・コミットメント等に関するリスク (ニ)資産の取得・譲渡等に関するリスク
⑧ 信託受益権に関するリスク (イ)信託受益者として負うリスク (ロ)信託受益権の流動性に関するリスク (ハ)信託受託者に関するリスク
⑨ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑩ 税制等に関するリスク (イ)配当等の額の損金算入に関する課税の特例の適用に関する一般的なリスク (ロ)過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク (ハ)減損会計の適用に関するリスク (ニ)追加的な税金の支払が発生するリスク (ホ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク (ヘ)同族会社に該当するリスク (ト)借入金に係る配当等の額の損金算入要件に関するリスク (チ)投資口を保有する投資主数に関するリスク (リ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑪ ホスピタリティ施設に関するリスク (イ)ホスピタリティ施設の賃貸に関するリスク
① 一般的なリスク (イ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません。
(ロ)投資口の売却及び換金性に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資口を換金する手段としては、投資主総会での決議に基づき本投資法人が解散し、清算される場合の残余財産分配請求xxを除き、原則として取引市場を通じた売却によることとなります(注)。本投資口の不動産投信市場における売却が困難又は不可能となった場合、投資主は、本投資口を希望する時期及び条件で換金できない可能性があります。
(注)これらの他、本投資法人は、投信法第80条第1項第1号及び規約第5条第2項に基づき、投資主との合意により自己投資口を有償で取得することが可能です。
(ハ)本投資口の市場性及び価格変動に関するリスク
本投資口の市場価格は、金融商品取引所における投資家の需給により影響を受けるほか、金利情勢、経済情勢、戦争やテロ、災害、感染症の拡大(パンデミック)その他市場を取り巻く様々な要素の影響を受けます。本投資法人は、不動産及び不動産を主たる裏付けとする信託の受益権を含む有価証券その他の資産を主な投 資対象としていますが、不動産の価格は、不動産市況、社会情勢その他の要因を理由として変動します。さらに不動産の流動性は一般に低いため、望ましい時期に不動産を売却することができない可能性や、仮に売却できた場合でも売却価格が下落する可能性等もあります。これらの要因により本投資法人の資産の価値が下落す
る可能性があり、かかる資産の価値の下落が本投資口の市場価格の下落をもたらす可能性があります。
また、不動産投信市場の将来的な規模及び同市場における流動性の不確実性、法制や税制の変更、xx投資主による多数の投資口の売却等が本投資口の価格形成に影響を及ぼす可能性があります。
これらの諸要素に起因して本投資口の市場価格が下落した場合、投資家が損失を被る可能性があります。 (ニ)支配権獲得によるリスク
本投資法人の投資口につき支配権獲得を意図した取得が行われた場合には、支配権を獲得した後の投資主総会での決議等の結果として、本投資法人の運用方針、運営形態等が投資家の想定し得なかった方針、形態等に変更される可能性があります。
(ホ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度の取扱いに関するリスク
投資法人は、一般に、投信法に基づき不動産等資産を主たる投資対象としています。今後、投資法人に関する法律上、税制上その他諸制度の取扱い若しくは解釈が大幅に変更され、又は新たな法令が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、本投資法人の存続、収益の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヘ)投資口等の追加発行に関するリスク
本投資法人は規約に従い、今後も投資口を随時追加発行することがあり、投資口が追加発行された場合、既存の投資主が有する投資口の本投資法人の全投資口に対する割合は低下することとなります。また、期中において追加発行された投資口に対して、その保有期間にかかわらず、既存の投資主が有する投資口と同額の金銭の分配が行われることとなり、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があります。更に、追加発行の結果、本投資法人の1口当たりの純資産額や市場における需給バランスが悪影響を受けることがあります。また、今後本投資法人が投信法第88条の2以下による新投資口予約権の無償割当て(いわゆるライツ・オファリング)を行ったときは、同様に、本投資口の1口当たりの価値の希薄化が生じる可能性があります。
② 商品設計及び関係者に関するリスク (イ)投資口の商品性に関するリスク
本投資法人の投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ち、元本の保証が行われる商品ではな く、また、換金時に投資金額以上の回収を図ることができる保証もありません。従って、投資金額の回収や利回りは本投資法人の運用及び財産の状況並びに様々な経済情勢等に影響されます。
また、本投資法人について清算又は破産手続その他の倒産手続が開始された場合、本投資口への投資金額の全部又は一部が回収できない可能性があります。
(ロ)収入及び費用、キャッシュ・フローの変動に関するリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が保有する運用資産からの賃料収入に依存しています。運用資産にかかる賃料収入は、資産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。本投資法人は、本資産運用会社を通じて良質のテナントを確保すべく努力しますが、その目的が達成されるとは限りません。テナントの入居時には支払能力又は信用状態を
審査しますが、これらは入居後に悪化する可能性もあります。また、当該資産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。また、収入の減少・費用の増加だけでなく、退去するテナントへの敷金の返還、多額の資本的支出、未稼働資産の取得等が本投資法人のキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性もあります。
賃料収入の他、資産の売却に伴う収入(いわゆるキャピタルゲイン)が発生する可能性がありますが、資産売却に伴う収入は恒常的に発生するものではなく、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであり、安定的に得られるとはいえません。また、資産の売却に伴い損失が発生する場合もあります。
一方、資産関連費用としては、物件管理委託費、修繕費、公租公課、信託報酬、水道光熱費、保険料、減価償却費、テナント募集関係費及びその他賃貸事業費用等があります。かかる費用の額は状況により増加する可能性があります。
このように、資産の運用には収入、費用及びキャッシュ・フローの変動等の様々な収益変動に関するリスクがあり、これらの事由が発生した場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与えるおそれがあります。
(ハ)ローン・トゥー・バリュー・レシオに関するリスク
本投資法人は、ローン・トゥー・バリュー・レシオ(LTV)の上限について、60%を目途としますが、資産の取得等に伴い、一時的に60%を超える可能性があります。LTVが高まった場合、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
(ニ)借入れ及び投資法人債に関するリスク
本投資法人は、本書に記載の投資方針に従い、継続的に適格機関投資家からの借入れ及び投資法人債の発行による資金調達を行うことを予定しています。借入れ及び投資法人債の発行に関し、主として以下のようなリスクがあります。
① 借入れ及び投資法人債の発行の可能性及びその条件(金利、担保提供及び財務制限条項等を含みます。)は、本投資法人の収益性、財務状況、その時々の市場動向、金利情勢その他様々な要因による影響を受けます。従って、既存の借入れ及び投資法人債の返済を目的とする場合も含め、今後本投資法人の希望する時期及び条件で借入れ及び投資法人債の発行を行うことができるとの保証はありません。
② 借入れ又は投資法人債(ここでは短期投資法人債を含みません。)の発行は無担保を原則としますが、今後、運用資産に担保を設定した場合、担保解除の手続その他の事情により、資産を希望どおりの時期又は価格で売却できない可能性があり、また一定の条件(例えば、財務制限条項等による制約等を含みます。)のもと、追加担保設定が要求され又は早期返済を強いられる可能性があり、これらの場合、本投資法人の希望しない条件での借替え資金の調達又は資産売却による返済を余儀なくされることとなる可能性があります。
③ 更に、本投資法人のキャッシュ・フロー、金利情勢その他の理由により、本投資法人が保有する運用資産を処分しなければ借入れ及び投資法人債の返済ができなくなる可能性があります。この場合、本投資法人の希望しない時期、売却価格及び条件で運用資産を処分せざるを得ない状況も想定されます。
④ 本投資法人が借入れ又は投資法人債について債務不履行となった場合、それらの債権者により本投資法人の資産に対して仮差押え・差押え等が行われることがある他、本投資法人に対して破産手続等の倒産手続の申立が行われる可能性があります。
上記①ないし④又はそれ以外の事由により借入れ又は投資法人債に関するリスクが顕在化した場合、本投資法人の財務状況等又は投資主への金銭の分配等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ホ)インサイダー取引規制等に関するリスク
上場投資法人等の発行する投資口等についてはインサイダー取引規制が適用されます。従って、本投資法人の関係者が立場上、何らかの重要事実を知り、その公表前に本投資口の取引を行った場合、金商法上インサイダー取引規制に抵触することになります。このほか、本資産運用会社及び投資法人は、各々、自発的に内部規程及び規則を設け、内部者が本投資口に係る取引を行うことを制限しています。
しかしながら、本投資法人、本資産運用会社その他の内部者が本投資法人や投資口に係る未公表の内部情報を知りつつ投資口等に係るインサイダー取引規制に違反する取引を行うことがないとの保証はなく、その場合には、取引市場における本投資口に対する投資家の信頼を害し、ひいては本投資口の流動性の低下や市場価格の下落等の悪影響をもたらす可能性があります。
(ヘ)本投資法人以外の関係者(本資産運用会社を含みます。)への依存に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者にそれぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに拠るところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。
これらの者について業務の懈怠その他義務違反があった場合、本投資法人の財務状況等及びその存続に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、一定の場合には、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との委託契約が解約されること
があります。投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者への委託が制度化されているため、これらの委託契約が解約された場合には、本投資法人は新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選任し委託する必要があります。しかし、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選任できる保証はありません。仮に選任できたとしても、資産運用会社等の変更は、本投資法人の借入金債務及び投資法人債の期限の利益の喪失事由となる可能性があります。速やかに選任できない場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)本投資法人の運営に関与する法人の利益相反等に関するリスク
本資産運用会社、本投資法人の資産保管会社若しくは一般事務受託者又は本資産運用会社の株主及び親法人等若しくは本資産運用会社の役職員の出向元企業、それらの子会社又は関連会社等、本投資法人に現在関与し又は将来関与する可能性がある法人は、それぞれの立場において自己又は第三者の利益を図ることが可能な立場であり、また別の立場(例えば、運用資産の賃借人、資産管理業務受託者又は出資者等)において本投資法人に関与する可能性があります。
投信法上、本資産運用会社、資産保管会社や一般事務受託者は、本投資法人のためxxに、かつ本投資法人に対し、善良な管理者の注意をもって事務ないし業務を遂行することが義務付けられています。しかしなが ら、これらの者による業務の懈怠その他義務の違反が発生しないとの保証はありませんし、特に本資産運用会社は他の投資法人等の資産運用会社となる可能性があり、その場合、上記の善管注意義務やxx義務等の存在にもかかわらず、本投資法人に不利益となる意思決定を行う可能性を否定できません。また、本資産運用会社の株主は本資産運用会社を介して本投資法人が行う取引について、それぞれの立場において自己又は第三者の利益を図ることが可能な立場にあります。加えて、当該株主は、自ら不動産投資、運用業務を現在行っており又は将来行うことがある他、資産運用業務を行う他の会社に出資を現在行っており又は将来行う可能性があります。そのため、本資産運用会社が、当該株主に有利な条件で、本投資法人にかかる資産を取得させることにより、当該株主の利益を図るおそれがあります。このような利益相反行為がなされ又は義務違反が生じた場 合、本投資法人の財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(チ)三井不動産グループへの依存に関するリスク
本投資法人が資産の運用を委託する本資産運用会社は、三井不動産の100%子会社です。また、本資産運用会社は、三井不動産グループの一社である三井不動産レジデンシャルとの間において不動産情報・アドバイザリーサービス提供契約を締結しており、三井不動産レジデンシャルリースとの間ではプロパティ・マネジメント基本合意書を締結しています。このように本投資法人の業務は三井不動産グループと緊密な関係にあるといえます。
しかしながら、本投資法人が三井不動産レジデンシャル又は三井不動産グループが資産の運用を受託する特別目的会社等から必ず希望する価格で適切と考える資産を適時に取得できるとの保証はありません。また本資産運用会社と三井不動産グループとの良好な関係(上記の契約の相手方との契約関係を含みます。)が今後も常に維持され拡大されるとの保証もありません。更に、三井不動産グループの財務状況や外部評価が今後低下しないとの保証もありません。このような場合、本投資法人の財務状況等は悪影響を受ける可能性がありま す。
また、三井不動産グループは、不動産投資及び運用業務を自ら行い、不動産投資及び運用業務を行う第三者に出資を行い、又は第三者より不動産投資及び運用を受託する等、様々な形で不動産に関連する業務を行っています。従って、本投資法人ないし本資産運用会社と三井不動産グループ各社とが特定の資産の取得、賃貸 借、管理運営、処分等に関して競合する可能性があります。このような場合、本資産運用会社は三井不動産の 100%子会社であり、三井不動産グループに有利な条件で三井不動産グループ又はその顧客の利益を図ることが可能な立場にあります。このため、本資産運用会社が本投資法人の利益を優先せず、三井不動産グループ各社又はその顧客の利益を優先させる場合、本投資法人は期待した利益をあげられないおそれがあります。
(リ)役員の職務遂行にかかるリスク
投信法上、投資法人を代表しその業務執行を行う執行役員及び執行役員の職務の監督等を行う監督役員は、投資法人からの受任者として善管注意義務及び忠実義務を負っています。本投資法人の執行役員又は監督役員が、職務遂行上、善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
(ヌ)プロパティ・マネジメント会社に関するリスク
建物の保守管理並びにテナントの募集及び管理を含めたプロパティ・マネジメント業務全般の成否は、プロパティ・マネジメント会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、これらに強く依存することになります。しかし、プロパティ・マネジメント会社においてかかる業務遂行に必要な人的・財政的基盤が維持される保証はなく、また、プロパティ・マネジメント会社による業務の懈怠その他義務違反があった場合には、本投資法人の収益及び存続等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、プロパティ・マネジメント会社が、破産及びその他の法的倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、本投資法人の日常の業務遂行に影響を及ぼすことになり、投資主への金銭の分配に影響を与える可能性があります。
(ル)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約記載の資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本資産運用会社が定めたより詳細な資産運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく変更することが可能であるため、本投資法人の投資主の同意の有無にかかわらず、変更される可能性があります。
(ヲ)投資対象を主として居住用不動産としていることによるリスク
本投資法人は、主として居住の用に供される不動産が本体又は裏付けとなっている資産に特化して投資するものとしており、そのため、本投資法人の収益は賃貸住宅市場等の好不況に応じて変動する傾向にあるといえます。また、居住用不動産による収益は必ずしも居住用以外の用途の不動産による収益と同様の傾向を示すとは限りません。従って、住宅以外の用途の不動産による収益が向上する傾向にある場合であっても、本投資法人の業績が同様に上昇傾向を示すとは限りません。
(ワ)本投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号、その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号、その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服します。
本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
本投資法人が清算される場合、投資主はすべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。このため、投資主は、投資金額の全部又は一部について回収することができない可能性があります。
③ 不動産関連リスク:賃貸事業リスク(マーケットリスクを含みます。)
本③項ないし下記⑦項までに記載のリスクは、主として本投資法人が不動産を直接に取得する場合を念頭においたものですが、本投資法人が不動産を裏付けとする信託受益権及びその他の資産を取得する場合においてもほぼ同様に当てはまります。
(イ)不動産の流動性、取引コスト等に関するリスク
不動産は、一般に流動性が相対的に低い資産と考えられています。またそれぞれの物件の個性が強いため、類似の物件が類似の価格で売買されるとは限らず、不動産鑑定士による鑑定評価が市場価格や適正価格であるとの保証もなく、また不動産鑑定士を含む多くの関係者による調査や売買の相手先との交渉等、取得及び売却の手続に多くの時間と費用を要します。本投資法人は保有する資産からの収益獲得を主な目的としており、資産の取得及び売却の手続に予想よりも多くの時間と費用が費やされた場合又は資産の取得若しくは売却ができなかった場合、本投資法人の財務状況等に悪影響をもたらす可能性があります。
特に、不動産が共有物件又は区分所有物件である場合、あるいは土地と建物が別人の所有に属する場合等権利関係の態様によっては、取得又は売却の手続により多くの時間と費用を要することがあり、場合によっては取得又は売却ができない可能性があります。また、経済環境や不動産需給関係の影響や個別性の高い不動産の調査に要する時間及び費用によっては、本投資法人が取得を希望する資産を希望どおりの時期・条件で取得できず、又は本投資法人が売却を希望する資産を希望どおりの時期・条件で売却できない可能性があり、その結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ロ)物件の取得競争に関するリスク
本投資法人は、規約において、主として東京圏、全国の主要都市並びにそれらの周辺通勤圏に立地する主として居住の用に供される不動産が本体又は裏付けとなっている不動産関連資産に投資することによって、中長期的観点から、安定的な収益の確保と着実な運用資産の成長を目指し、資産の運用を行うことをその投資の基本方針としています。しかしながら、本投資法人は、不動産投資信託その他のファンド、大小の投資家等との間の不動産の獲得競争により、そもそも物件を取得できない又は投資採算の観点から希望した条件で資産取得
ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを実現できない可能性があります。その他、本書記載の様々なリスクや要因により、本投資法人がその投資方針に従った運用を行うことができない場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
(ハ)テナントの誘致に関するリスク
不動産は、他の不動産とのテナント誘致競争にさらされるため、競合する不動産の新築、リニューアル等による競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされる可能性があります。また、戦争やテロ、災害、感染症の拡大(パンデミック)などにより、一時的又は長期間テナント誘致活動が制約を受ける可能性があります。そうした場合、運用資産の稼働率の低下、賃料水準の低下などの悪影響を受ける可能性があります。
(ニ)未稼働物件(未竣工物件を含みます。)の取得に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針 (1)投資方針 ③ ポートフォリオ構築方針 (ハ)投資基準」に記載のとおり、原則として、引渡時点において稼働中の資産を取得します。しかし、本投資法人は、投資額、稼働予定時期、収益予想等を総合的に判断し、本投資法人の運用資産の運用に与える影響を考慮の上、引渡時点において未稼働である資産を取得することができます。
未竣工物件は、既に完成し稼働中である資産を取得する場合に比べて、主として以下に例示するリスクが加わります。このようなリスクが顕在化した場合には、竣工までのスケジュールが遅延、変更若しくは中止さ れ、又は売買契約どおりの引渡しを受けられない可能性があります。なお、これらのリスクは大規模修繕、増改築や再建築の場合にも同様に当てはまります。 a.竣工までの過程において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見される可能性 b.工事請負業者の倒産又は請負契約の不履行が発生する可能性 c.建築等のコストが当初の計画を大きく上回る可能性 d.行政上の許認可手続又は近隣対策が必要となる可能性
e.竣工までの過程において事故が生じる可能性 f.天変地異が発生する可能性
これら以外にも、未稼働資産が稼働状態になった後、その収益が予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られない可能性や予定されていない費用、損害又は損失を本投資法人が被る可能性等があります。このような場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
(ホ)賃料収入の減少に関するリスク
本投資法人の収益の原資は、主として本投資法人が保有する運用資産からの賃料収入です。運用資産にかかる賃料収入は、稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により減少する可能性があります。
テナントが支払うべき賃料は、賃貸借契約の更新時であるか、契約期間中であるかを問わず、賃貸人とテナントの合意により減額される可能性があります。また、テナントが賃貸人に対し、借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)第32条に基づく賃料減額請求権を行使した場合、賃貸人の同意なしに賃料が引き下げられる可能性があります。
本投資法人からの賃借人が運用資産を転貸している場合、転貸条件は必ずしも賃貸条件と同一ではありませんが、何らかの理由で本投資法人が転借人との賃貸借契約関係を承継する場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
(ヘ)不動産の偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針 (1)投資方針 ③ ポートフォリオ構築方針 (ロ)投資エリア」に記載の投資方針のとおり、その運用資産が東京23区内に偏在する可能性があります。従って、特に同地域内の不動産が他の地域の不動産と比較して悪影響を受けた場合(例えば、東京23区内における今後の人口動向、地震その他の災害による影響、稼働率の低下、賃料水準の下落等)、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
また、資産総額に占める割合が大きい資産に関して、地震その他の災害による影響、稼働率の低下、賃料水準の下落等の事情が発生した場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
(ト)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が運用資産を売却した場合に、運用資産に物的若しくは法的な瑕疵がある場合又は運用資産が通常有すべき性状等を欠く状態若しくは当事者間の契約において通常若しくは特別に予定された品質や性状等を欠く状態(以下そのような状態を「契約不適合」といいます。)となっている場合、法令の規定に従い瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うリスクを排除できません。
また、法令の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、物件の性状その他に関する表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。
これらの法令上又は契約上の表明保証責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する場合には、買主から売買契約を解除され、又は買主が被った損害の賠償を余儀なくされる可能性があり、その場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
更に、運用資産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があります。本投資法人についても、そのような場合に予想外の債務又は義務等を負い、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
④ 不動産関連リスク:物的・法的リスク (イ)不動産の法的及び物的欠陥・瑕疵並びに契約不適合に関するリスク
不動産には権利、地盤地質、建物の杭や梁等の構造、材質等に関して欠陥、瑕疵等(隠れたものを含みま す。)が存在している可能性があり、また当該不動産が契約不適合となっている可能性があります。また、適用される法令上の規制が遵守されていない可能性や、周辺の土地利用状況等が瑕疵、欠陥又は契約不適合となる可能性もあります。
また、本投資法人は、原則として運用資産の売主から譲渡の時点における一定の表明及び保証を取得し、一定の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担させることとしています。しかし、これらの表明及び保証の内容が真実かつ正確である保証はなく、また、その期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例です(なお、強制競売で購入した物件については、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任の追及ができません。)。
更に、当該資産の売主が表明及び保証を行わず、若しくは制限的にしか行わない場合、又は瑕疵担保責任若しくは契約不適合による担保責任を負担せず、若しくは制限的にしか負担しない場合であっても、本投資法人が当該資産を取得する可能性があります。その他、資産を取得するまでの時間的制約等から、隣接地権者からの境界確定同意が取得できないまま当該資産を取得する可能性もあります。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」、民法改正後の民法を「新民法」又は「民法」といいます。)の施行日である2020年4月1日より前に締結された不動産の売買契約においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、旧民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負います。また、2020年4月1日以降に締結された不動産の売買契約においては、新民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負います。
本投資法人は特別目的会社から既に資産を取得済みであり、また今後も取得する可能性がありますが、売主が特別目的会社である場合、かかる売主は、責任財産を限定して瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負っていることが多いため、実際にはその責任を追及することができない可能性があります。
不動産をめぐる権利義務関係は複雑であることが多く、それ故に種々の問題を引き起こす可能性があり、また本投資法人が取得した権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害することが後になって判明することもあります。
以上のような場合、本投資法人の財務状況等に悪影響を与える可能性があります。
(ロ)有害物質に関するリスク
運用資産として取得した土地の土壌や地下水について有害物質(例:産業廃棄物やダイオキシン等)が含まれている場合、当該土地及びその上に立つ建物の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌等の入替や洗浄等が要請され、予想外の費用や時間が必要となる可能性がありま す。
土壌汚染等については、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号、その後の改正を含みます。)が適用されます。同法は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康にかかる被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とするものと定めています。同法に基づき、土地の所有者、管理者又は占有者は、当該土地の土壌の鉛、砒素、トリクロロエチレンその他同法が規定する特定有害物質による汚染の状況について、都道府県知事から、調査、結果の報告を命ぜられることがあり、また、都道府県知事が土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生じ又は生ずるおそれがある一定の土地があると認めるときは、その被害を防止する
ため必要な限度において、当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命ぜられることがあります。このような場合には、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があります。もっとも、本投資法人は、かかる負担について、その土地を汚染する行為を行った者に対し費用を請求できる可能性がありますが、仮にかかる請求が可能な場合であっても、その者の財産状況が悪化しているような場合には、本投資法人の損害を回復することができない可能性があります。
また、運用資産として取得した建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合又はPCBが保管されている場合等には、状況によって当該建物及びその敷地の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、かかる有害物質を除去するために建材等の全面的又は部分的交換や保管・撤去費用等が必要となり、予想外の費用や時間が必要となる可能性がありま す。
更に、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、運用資産の所有者として損害を賠償する義務が発生する可能性があります。
以上のような場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。 (ハ)不動産に関する事故等に関するリスク
火災、破裂、爆発、落雷、風災、ひょう災、雪災、水災、電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故等の災害(以下、本(ハ)において「天災地変等」といいます。)により、運用資産が滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間建物が不稼働を余儀なくされることにより賃料収入が減少し、又は当該不動産の価値が下落する結果、投資主に損害を与える可能性があります。本書の日付現在、本投資法人が保有する全ての運用資産に関しては、火災保険等の保険契約が締結されており、今後本投資法人が取得する運用資産に関しても同等の基準により保険を付保する予定ですが、運用資産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約でカバーされない事故(例えば、故意によるもの、戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるものとは限りません。)が発生した場合又は保険契約に基づく支払いが保険会社により行われず若しくは遅れる場合がある他、天災地変等によりテナントの支払能力等が悪影響を受ける可能性があります。
また、保険金が支払われた場合であっても、行政規制その他の理由により運用資産を事故発生前の状態に回復させることができない可能性もあります。
このような場合には、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
また、天災地変等により、本投資法人の保有する運用資産に大きな影響がなかったとしても、テナントの利用に資する鉄道網や道路網の寸断や毀損による利便性の低下、あるいは地盤の液状化等により、資産運用に大きな支障を生じる可能性があるほか、天災地変等により、社会基盤(社会的インフラ)としての発電・配電設備が毀損して電力供給能力の低下が発生し、これによる電力供給不足等により資産運用に大きな支障が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)不動産に関する災害等に関するリスク
地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火、津波等の災害により運用資産が滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火、津波等の災害によりテナントの支払能力等が悪影響を受ける可能性があります。なお、本投資法人は、災害発生時の影響と保険料負担を比較考慮して付保方針を決定しますが、本書の日付現在、本投資法人が保有する運用資産については地震保険、地震家賃保険は付保していません。
(ホ)不動産の運用費用等に関するリスク
運用資産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する場合があります。また、かかる修繕が困難又は不可能な場合には、運用資産からの収入が減少し、資産の価格が下落する可能性があります。
更に、経済情勢、戦争やテロ、災害、感染症の拡大(パンデミック)などによっては、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、資産の運用に関する費用が増加し、又はテナントに提供するサービス内容が変更される可能性があります。この場合、資産の運用に関する費用の増加に対応して運用資産からの収入が増加する保証はない一方で、サービス内容の変更に伴い運用資産からの収入が減少する可能性があります。
なお、新民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています(新民法第607条の2)。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行い、本投資法人が修繕費用の請求を受けるおそれがあります。
このような場合には、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ヘ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法の規制に服します。その建築時点(正確には建築確認済証取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制の下では不適格になることがあります(いわゆる既存不適格)。かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定に合致させる必要があるため、追加的な負担が必要となる可能性が高く、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性もあります。
その他にも、土地収用法(昭和26年法律第219号、その後の改正を含みます。)、土地区画整理法(昭和29年法律第119号、その後の改正を含みます。)、環境保護を目的とする法令、都市計画、その他不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。この場合、当該不動産を処分するときや建替え等を行うときに、事実上の困難が生じたり、これらの義務を遵守するための追加的な負担が生じる可能性があります。
(ト)法令の改正等に関するリスク
将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、運用資産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。また、消防法その他不動産の建築・運営・管理に影響する関係法令や条例の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。更に、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により運用資産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令の変更又は行政行為等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
⑤ 不動産関連リスク:権利関係リスク (イ)土地の境界紛争等に関するリスク
土地の境界に関する紛争が発生した場合には、所有敷地の面積の減少や、損害賠償責任の負担を余儀なくされる等、不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去等のために追加費用が発生する可能性もあります。これらの結果、本投資法人の財務状況等が悪影響を受けるおそれがあります。
(ロ)共有物件に関するリスク
不動産が第三者との間で共有されている場合には、当該不動産の持分を譲渡する場合における他の共有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、共有者間で締結される協定書又は規約等による一定の制限に服する場合があります。
共有物の管理は、共有者間で別段の定めがある場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有物件について共有物の管理者(民法第252条の2)が行った行為が、共有者が共有物の管理に関して決定した事項に違反するものであっても、共有者は当該効力の無効を善意の第三者に対抗できず(民法第252条の2第4項)、そのため、本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
また、共有者は共有物の分割請求権を有するため(民法第256条)、共有者の請求により現物分割が行われる可能性や、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります。共有者間で不分割の合意(民法第256条)がある場合であっても、合意の有効期間が満了していたり、その合意が未登記であるために第三者に対抗できないことがあります。また、共有者間で不分割の合意がある場合であっても、共有者について破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は共有物の分割が行われる可能性があります(破産法第52条、会社更生法(平成14年法律第154号、以後の改正を含みます。)第60条、民事再生法第48条)。
共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるこれらの権利行使によって当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
また、共有者と共同して不動産を第三者に賃貸している場合、賃貸借契約に基づく各共有者の権利が不可分債権とみなされ、当該賃貸借契約に基づく権利の全体が当該共有者の債権者等による差押等の対象となる可能性があります。共有物にかかる賃貸借契約に基づく敷金返還債務が共有者間の不可分債務とみなされた場合には、本投資法人の持分に対応する部分のみならず、当該賃貸借契約に基づく敷金返還債務の全部について、本投資法人が賃借人に対して債務を負担する可能性があります。
更に、共有者は自己の持分を原則として自由に処分することができるため、本投資法人の意向にかかわりなく不動産の共有者が変更される可能性があります。
共有者が自ら負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払又は積立てを履行しない場合、当該不動産やその持分が法的手続の対象となり、又は劣化する等、本投資法人が影響を受ける場合があります。
これらの他にも、共有物件に特有の法律上又は事実上のリスクがあり得ます。
(ハ)区分所有物件に関するリスク
区分所有物件とは、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号、その後の改正を含みます。以下
「区分所有法」といいます。)の適用を受ける物件で、所有の対象となる建物の専有部分(居室等)と専有部分の所有者等全員の利用に供される敷地及び建物の共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。
不動産が区分所有物件であり、かつ複数の区分所有者が存在する場合には、自らが所有する専有部分以外の共用部分及び敷地の処分、管理及び運営等については、区分所有法及び区分所有者間で定められた管理規約の定めに従わなければならないため、本投資法人の意向を十分に反映させることができず、そのため不動産の価値の減少又は想定された収益が得られない等の損失・損害を被り、結果として本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
区分所有物件の共有部分及び敷地の処分、管理及び運営については、専有部分の所有者によって構成される管理組合の理事会又は管理組合総会にて多数決により意思決定されます。また、区分所有者の議決権数は、必ずしも区分所有割合(専有部分の床面積割合)に比例するわけではありません。なお、決議要件等の詳細については、区分所有法をご参照ください。
また、区分所有者は、自己の専有部分を原則として自由に処分することができるため、本投資法人以外の区分所有者が所有する専有部分に関し、区分所有権を譲渡する場合における他の区分所有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、管理規約による一定の制限に服する等といった制約を受けることがあります。そのため不動産の価値が減少し、結果として本投資法人の財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、他の区分所有者の意向にかかわらず区分所有者が変更され又は専有部分が第三者へ賃貸される可能性があり、新たな区分所有者又は賃借人の資力、数、属性等の如何によっては不動産の価値や収益が減少する可能性や、敷地、共用部分の使用に影響を受ける可能性があります。
他の区分所有者が自己の負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払又は積立てを履行しない場合、運用資産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。区分所有建物では、敷地利用権を有しない専有部分の所有者が出現する可能性があります。そのような場合には、区分所有建物と敷地の権利関係が複雑になるため、不動産の鑑定評価及び市場での売買価格の決定等において、減価要因が増加する可能性があります。
(ニ)借地物件に関するリスク
本投資法人は、建物の敷地の所有権を有しないことがあります。その場合取得することとなる敷地の利用権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号、その後の改正を含みます。)、借地法(大正10年法律第49号、その後の改正を含みます。以下「借地法」といいます。)又は借地借家法等の適用のある法令に従い対抗要件が具備されていないとき又は先順位の対抗要件を具備した担保権の実行による競売等がなされたときには、本投資法人は、敷地の利用権を敷地の新所有者に対して対抗できず、敷地の明渡義務を負う可能性があります。更に、敷地の利用権が解除その他の理由により消滅した場合、本投資法人は、敷地の明渡義務を負う可能性があります。更に、建物の処分に付随する敷地の利用権の処分に関して、敷地の所有権者の同意等が要求されることがあります。このため、本投資法人が建物を処分できなかったり、本投資法人が希望する価格、時期等の条件で建物を処分することができない可能性があります。加えて、敷地の所有者の資力の悪化や倒産等により、本投資法人が差し入れた敷金・保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。
(ホ)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物を第三者から賃借の上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて本投資法人が保有する他の建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金・保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記の借地物件の場合と同じです。
加えて、本投資法人が第三者との直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が終了し、転貸権限を喪失した場合、テナントに対する本投資法人の債務不履行となる可能性があります。
(ヘ)不動産に係る所有者責任に関するリスク
本投資法人が保有する運用資産の瑕疵等を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています(民法第717条第1項但書)。
本書の日付現在、本投資法人が保有する全ての運用資産に関しては、施設賠償責任保険等の保険契約が締結されており、今後本投資法人が取得する運用資産に関しても同等の基準により保険を付保する予定ですが、運用資産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、受領した保険金をもってしても原状復旧ができない場合、原状復旧に時間を要する場合又は保険契約に基づく支払いが保険会社により行われない又は支払が遅れる場合には、本投資法人は重大な悪影響を受ける可
能性があります。
また、運用資産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる可能性があります。かかる修繕に多額の費用を要する場合、又はかかる修繕が困難若しくは不可能な場合には、運用資産からの収入が減少し、運用資産の価値が下落する可能性があります。
信託不動産の場合には、信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け又は受益者に請求することができます。このため、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。詳細については、後記「⑧ 信託受益権に関するリスク」をご参照ください。
(ト)売主等の倒産等の影響を受けるリスク
一般に、不動産又は信託受益権を売却した後に売主等が倒産手続に入った場合や、建物の建築請負業者が建築途上若しくは建築工事完了後引渡まで(又は保存登記がなされるまで)の期間又はその後に倒産手続に入った場合、当該不動産若しくは信託受益権の売買、完成建物の移転又はそれらの対抗要件具備が管財人等により否認されることがあります。また、不動産若しくは信託受益権の売主の財務状態等が健全でない場合又は建物の建築を請け負った建築請負業者の財務状態等が健全でない場合、かかる売買又はかかる建築請負がそれらの債権者により詐害行為を理由に取消される可能性があります(いわゆる否認及び詐害行為のリスク)。加え て、当該取引が担保取引であると法的に性格づけられる場合、いわゆる真正譲渡でないとみなされる場合に は、担保権の行使に対する制約が破産手続等に比較して相対的に大きい会社更生手続において深刻な問題となり得ます。これらの場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(チ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅しますが、当該期限到来時に更新拒絶につき前記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人の希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は借地権者が破産手続等の倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資家に損害を与える可能性があります。借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
⑥ 不動産関連リスク:テナントリスク (イ)わが国における不動産の賃貸借契約に関するリスク
日本における居住の用に供される不動産のテナントとの賃貸借契約の期間は2年が一般的であり、その後別段の意思表示がない限り自動的に更新されるとするものが多く見られます。しかし、賃貸借期間経過後に契約が更新される保証はありません。また、テナントが契約に定められた事前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合も多く見られます。また、賃貸借契約において期間内に賃借人が解約した場合の違約金について規定する場合がありますが、かかる規定が場合によっては無効とされる可能性があります。賃貸借契約の更新がなされず、又は賃貸借期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居する保証はなく、その結果、賃料収入が減少し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。これに対し、不動産の賃貸人からの賃貸借契約の解約及び更新拒絶は、正当事由が認められる等の特段の事情がある場合を除いて原則として困難です。
定期賃貸借契約においては、テナントの賃料減額請求権を契約で排除することが可能です。また、定期賃貸借契約の有効期間中は契約に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合、残余期間全体についてのテナントに対する賃料請求が場合によっては認められない可能性があります。また、定期賃貸借契約において契約期間中は賃料改定を行わない約束がなされた場合、その後一般的な賃料水準が上昇してもそれに応じた賃料の改定は困難となる可能性があります。
(ロ)入居者の不動産の利用状況に関するリスク
入居者による不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承認なしに行われ、その結果、運用資産である不動産のテナント属性等が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性がありま
す。その他、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成3年法律第77号、その後の改正を含みます。)に定める暴力団の入居や、入居者による「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
(昭和23年法律第122号、その後の改正を含みます。)に定める風俗営業の開始等入居者の建物使用態様により運用資産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料収入が減少する可能性があります。
(ハ)テナント集中に関するリスク
本投資法人が保有する運用資産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人の収益は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。また、賃貸面積の大きなテナントが退去した場合に、空室率が高くなり、他のテナントを探しその空室率を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等がより悪影響を受ける可能性があります。
(ニ)マスターリースに関するリスク
運用資産において、三井不動産レジデンシャルリース又はその他の会社が本投資法人又は所有者である信託受託者との間でマスターリース契約を締結してマスターリース会社となり、その上でテナントに対して転貸する場合があります。本書の日付現在、保有する賃貸住宅の全てについて、かかるマスターリース契約が締結されています。
本投資法人又は信託受託者は、マスターリース契約を締結する場合、テナント(マスターリースの場合、
「テナント」とは実際の利用者(転借人)を指します。以下同じとします。)はマスターリース会社の口座に賃料を入金します。従って、マスターリース会社の財務状態が悪化した場合、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
マスターリース契約上、マスターリース会社の倒産又は契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合、本投資法人が所有者として、又は信託される場合には信託受託者が所有者として、新たなマスターリース会社との間で新たなマスターリース契約を締結し、テナントとの間の転貸借契約及び旧マスターリース会社のテナントに対する権利及び義務等を承継することが想定又は規定される場合があります。この場合において、本投資法人がテナントに対して、賃貸人たる地位を承継した旨を通知する前に、テナントが旧マスターリース会社に賃料等を支払った場合、本投資法人はテナントに対して賃料請求ができないおそれがあり、その結果、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)テナント又は連帯保証人の支払能力に関するリスク
テナント若しくは連帯保証人の財務状況が悪化した場合又はテナント若しくは連帯保証人が破産手続、会社更生手続、民事再生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払いが滞り、又は支払がなされない可能性があります。このような延滞賃料等(場合により原状回復費用その他の損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える場合、本投資法人の財務状況等が悪影響を受けるおそれがあります。
本投資法人は、かかるリスクを低減するために、信用力を勘案したテナントの選定及び賃料支払状況等の管理体制の整備を行いますが、かかるリスクが現実化しないという保証はありません。
(ヘ)転貸に関するリスク
賃借人に、運用資産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、入居するテナントを自己の意思により選択できなくなり、また、退去させられなくなる可能性がある他、賃借人から支払われる賃料が、転借人から賃借人に対して支払われる賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が本投資法人の財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
更に、賃貸人と賃借人との賃貸借契約が解約された場合には、賃借人の負担する敷金等返還債務が賃貸人に承継されることがあります。かかる事態に備え、賃貸借契約上、賃貸借契約終了時に、転貸人(賃借人)が賃貸人に対し、受け入れた敷金等を引き渡すよう定めることがあります。しかし、敷金等の返還義務は全て賃貸人が負うこととなる一方で、かかる引渡義務が完全に履行されなかった場合には、本投資法人の財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)敷金・保証金の利用に関するリスク
本投資法人は、運用資産である不動産の賃借人が賃貸人に対し預託した敷金又は保証金を投資資金として利用する場合があります。しかし、そのような場合において賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなる可能性があります。また、敷金又は保証金の投資運用が失敗に終わり損失が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
⑦ 不動産関連リスク:その他 (イ)専門家による報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額等(不動産の調査価格を含みます。)は、個々の不動産鑑定士の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまります。同じ物件について鑑定を行った場合でも、不動産鑑定士、評価方法又は調査の方法、収集した資料等の範囲若しくは時期等によって鑑定評価額等が異なる可能性があります。また、この鑑定の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額等による売買を保証又は約束するものではありません。
本資産運用会社は運用資産の選定・取得の判断を行うにあたり、対象となる資産について専門業者に調査を依頼し、エンジニアリングレポート等を取得することとしていますが、エンジニアリングレポート(地震リスクレポートを含みます。)は、建物の評価に関する専門家が調査した結果を記載したものにとどまり、建物に重大な欠陥、瑕疵が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
不動産に関して算出されるPML値(地震による予想最大損失率で、予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されます。)は個々の専門家の分析に基づく予想値であり、将来、地震が発生した場合、予想以上の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ロ)不動産に関する権利関係の複雑性及び登記に公信力がないことによるリスク
不動産をめぐる権利義務関係も、その特殊性や複雑性ゆえに種々の問題を引き起こす可能性があります。本投資法人は運用資産を取得するにあたって、不動産登記簿を確認する等売主の所有権の帰属に関する調査を行いますが、不動産登記にいわゆる公信力がない上、実際の取引において売主の権利帰属を確実に知る方法が必ずしもあるとはいえないため、本投資法人の取得後に、売主が所有者でなかったことが判明する可能性があります。また、本投資法人が取得した権利が第三者の権利の対象になっていることや第三者の権利を侵害していることが、本投資法人の取得後になって判明する可能性があります。これらの問題が発生した場合、前記「④不動産関連リスク:物的・法的リスク (イ)不動産の法的及び物的欠陥・瑕疵並びに契約不適合に関するリスク」に記載の欠陥や瑕疵等と同様、法律上又は契約上の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任や表明保証責任を追及することが考えられますが、前述のように、責任の内容、範囲及び期間に制限がある場合や責任追及が可能であっても実効性がない場合もあります。
(ハ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産又は信託受益権等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント等(先日付での売買契約であって、契約締結から一定期間以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているものその他これに類する契約をいいます。)を行うことがあります。不動産等の売買契約が買主の事情により解約された場合、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることもありえます。フォワード・コミットメント等の場合、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が取得資金を調達できず、不動産等を取得できない場合があります。また、何らかの理由により不動産等の取得を中止する場合があります。これらの場合、違約金や損害賠償義務等を負担することがあり、その結果、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性がありま す。
(ニ)資産の取得・譲渡等に関するリスク
本投資法人は、現に保有する資産の運用のみを目的とするものではなく、投資主価値の最大化に資するた め、規約及び資産運用ガイドラインに基づき、新たな資産取得に向けた市場調査と情報の入手を行い、資産取得又は資産譲渡に向け、関係者と協議や交渉等を行うことがあります。したがって、本投資法人は、今後、本書に記載の資産以外の新たな資産の取得や貸借及び保有する資産の譲渡・交換等を決定し、本書提出から間もない時期においてこれらを公表することもありえます。更には、本投資法人が新たな資産の取得や貸借及び保有する資産の譲渡・交換等を決定した後に、これらの契約に定められた一定の条件が成就しない場合や、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を取得又は譲渡することができない可能性があります。その際、本投資法人が違約金の支払いを求められないとの保証はありません。以上のいずれの場合においても、本投資法人は、予定した収益を得られず、又は想定しない損失を被る可能性があり、本投資法人の財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 信託受益権に関するリスク
本投資法人が、不動産を主たる裏付けとする信託受益権を取得する場合には、以下のような信託受益権特有のリスクがあります。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号)を「新信託法」といい、新信託法施行と同時に改正された信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号。以下「信託法整備法」といいます。)による改正を含みません。)
を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。 (イ)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受する者とされます。他方で、旧信託法の下では、受託者が信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等の信託費用については、最終的に受益者が負担することになっています(旧信託法第36条及び第37条)。即ち、信託受託者が信託財産としての不動産、土地の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。従って、本投資法人が、一旦、信託受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになるため、かかる信託受益権を取得する場合には、信託財産に関する物件精査を実施させ、保険金支払能力を有する保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険を付保させる等、本投資法人自ら不動産、土地の賃借権又は地上権を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があります。それにもかかわらず、上記のような信託費用が発生したときは、本投資法人の財務状況等に悪影響をもたらす可能性があります。新信託法の下では、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(ロ)信託受益権の流動性に関するリスク
本投資法人が信託受益権を運用資産とする場合で、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在する他、信託受益権を譲渡しようとする場合には、契約上信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。また、不動産信託受益権は金商法上の有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため、株式や社債のような代表的な有価証券ほどの流動性があるわけではありません。加えて、信託受託者が信託不動産を売却する場合には、原則として瑕疵担保責任を負わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。上記のとおり信託受益権は流動性が低いというリスクが存在します。
なお、金商法に基づき、信託受益権の販売又はその代理若しくは媒介を行う営業については、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、営むことができないとされています。
(ハ)信託受託者に関するリスク a.信託受託者の倒産に関するリスク
信託法上、信託受託者が破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法の下では、信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては明文の規定はないものの、信託法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、登記等により信託財産の公示が行われている限り、信託財産が信託受託者の破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に帰属するものとされるリスクは低いと考えられていました。新信託法においては、信託財産は信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1 項、第4項及び第7項)。但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された財産について信託の公示(信託の登記)をする必要がありますので、本投資法人は不動産信託受益権については、この信託設定登記がなされるものに限り取得する予定です。しかしながら、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はなく、かかる取扱いがなされない場合には、上記の取戻リスクにさらされる可能性があります。
b.信託受託者の債務負担に伴うリスク
信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産信託受益権を財産とする本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を受益者に認めていますが、本投資法人が、常にかかる権利の行使により損害を免れることができるとは限りません。
本投資法人は、不動産信託受益権を取得するに際して、十分なデュー・ディリジェンスを実施し、①信託契約上、当該信託の目的が受益者のために信託財産を管理処分することであることが明確にされているこ と、②信託財産の処分や信託財産に属する金銭の運用等についても、信託受託者に厳しい制約を課されていること、との要件が満たされているもののみを投資対象とすることで、信託財産が勝手に処分されたり、信託財産が新たに債務を負担して、その結果として本投資法人が不利益を被る可能性を回避する予定ですが、常にそのような可能性を回避できるとの保証はありません。
⑨ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人は規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が匿名組合に対し出資を行った場合、当該匿名組合の営業者は本投資法人からの出資金を不動産等に投資します が、当該不動産等に係る収益悪化や当該不動産等の価値の下落等の際には、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されていることがあり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図したとして も、適切な時期及び価格での譲渡が困難となる可能性があります。
⑩ 税制等に関するリスク (イ)配当等の額の損金算入に関する課税の特例の適用に関する一般的なリスク
税法上、一定の要件(以下「配当等の額の損金算入要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資家との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を損金に算入することが認められています。本投資法人は、かかる要件を満たすよう継続して努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の減少、分配金支払原資の不足、法律の改正その他の要因により配当等の額の損金算入要件の全てを満たすことができない可能性があります。この場合、配当等の額を損金算入することができなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資家への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ロ)過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク 2009年4月1日以後終了した事業年度にかかる配当等の額の損金算入要件のうち、租税特別措置法施行令に
規定する配当可能額の90%超の金銭の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として支払配当要件の判定を行うこととされています。従って、会計処理と税務上の取扱いの差異等により、過大な税負担が発生した場合には、この要件を満たすことが困難となる場合があります。なお、2015年4月1日以後に開始する事業年度については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ハ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する事業年度については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ニ)追加的な税金の支払が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違等により過年度の課税所得計算について税務否認等の更正処分を受けた場合には、本投資法人の税負担が増大し、投資家への分配額や本投資法人の財務状況等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ホ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、その規約における投資方針において、「特定不動産の価額の割合」を100分の75以上とすること(規約第27条第5項)としています。本投資法人は、本書の日付現在において、上記内容の投資方針を規約に定めること、その他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産取得税及び登録免許税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合においては、軽減措置の適用を受けることができないため、投資家への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ヘ)同族会社に該当するリスク
配当等の額の損金算入要件のうち、事業年度終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令に定めるもの
(投資法人の投資主の1人及びこれと特殊の関係にある者等が、その投資法人の発行済投資口の総数若しくは議決権の総数の100分の50を超える数を有する場合における当該投資法人をいいます。)に該当していないこととする要件については、投資証券が市場で流通することにより、本投資法人の意思にかかわらず、結果とし
て満たされなくなるリスクがあります。かかる場合、配当等の額を損金算入することができなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資家への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト)借入金に係る配当等の額の損金算入要件に関するリスク
配当等の額の損金算入要件のひとつに、借入れを行う場合には租税特別措置法に規定する機関投資家(以下本「⑩ 税制等に関するリスク」において「機関投資家」といいます。)のみから行うことという要件があります。従って、本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、借入れに係る債権が機関投資家以外の者に譲渡された場合、又は、保証金若しくは敷金等の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、配当等の額の損金算入要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資家への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(チ)投資口を保有する投資主数に関するリスク
配当等の額の損金算入要件のひとつに、事業年度末において投資法人の投資口が機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資家に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資家による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資家に保有される(機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる場合においては、配当等の額の損金算入要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資家への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(リ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、信託受益権その他本投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はこの税制に関する解釈が変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る税制が変更された場合、本投資証券の保有又は売却による手取金の額が減少する可能性があります。
⑪ ホスピタリティ施設に関するリスク (イ)ホスピタリティ施設の賃貸に関するリスク
本書記載の不動産関連リスクの内容は、ホスピタリティ施設についてもリスクとして想定されるところ、本投資法人は、当該運用資産への投資にあたり、運用資産の特性に応じて適切と判断するオペレータ(賃借人)を選定し、当該事業者を賃借人として建物賃貸借契約を締結して一棟賃貸を行う場合があります。
上記の一棟賃貸に際して、当該オペレータとの賃貸借契約の期間満了により契約が終了した場合には、後継オペレータと賃貸借契約を締結するまでの間、当該運用資産からの収益を収受できないおそれや、後継オペレータとの賃貸借契約の条件が従前より悪化するおそれがあります。また、当該オペレータの財務状況の悪化、破産及びその他の倒産手続開始により、賃貸借契約が契約期間内に解約又は解除された場合、本投資法人は、当該オペレータに対する債権の全部又は一部を回収できないおそれがあります。また、学生寮・社宅等が、学校・企業等の単独又は少数のテナントの利用に供される場合、それらテナントの財務状況の悪化やニーズの減退等により、本投資法人は同様の状況となるおそれがあり、いずれの場合にも、本投資法人の財務内容は悪影響を受ける可能性があります。ホスピタリティ施設の場合には、固有のノウハウ等が必要となるため、オペレータとなりうる市場参加者の層が限定されており、将来におけるオペレータの代替性に欠ける可能性があります。
さらに、ホスピタリティ施設においては、間取り、付帯設備、立地、建築基準法による用途制限等の点で、他の一般的な賃貸住宅とは異なる構造や設備を有する場合があります。そのため、将来テナントが退去した際に、他の用途の建物への転用に費用がかかったり、一般的な賃貸住宅への転用ができなかったり、売却をしようとした際に、建物の用途が限定されているために購入先が限られ処分ができなかったり、想定した価格で処分することができない等の可能性があります。その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
また、シニア住宅にかかる入居契約並びに敷金及び保証金に相当する入居一時金については法的性質が必ずしも明らかではないことから、本投資法人がシニア住宅を取得する際に、入居契約及び(これに随伴して)入居一時金の返還債務を本投資法人が承継したものとみなされる場合があります。
その他、シニア住宅に関連する法令、ガイドラインの改正や介護保険等の制度改正等がシニア住宅の運営や競争環境に影響を及ぼし、本投資法人が保有する施設の収益に影響を及ぼし、ひいては当該施設の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、宿泊施設の性質によっては、物件の競争力の維持のため、相当程度の設備投資や資本的支出等が必要となる場合があり、かかる支出により本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
本投資法人は、上記に記載した各々のリスクに関し、本投資法人自らが投信法及び関連法規に定められた規則を遵守するとともに、本資産運用会社においては適切な社内規則の整備を行い、併せて必要な組織体制を敷き、役職員に対する遵法精神を高めるための研修等の対策を講じています。
基本的な仕組みは、以下のとおりです。
① 投資法人について
本投資法人は、執行役員1名及び監督役員3名により構成される役員会により運営されています。役員会は3ヶ月に一度以上、必要に応じて随時開催され、法令及び本投資法人の役員会規則に定める承認事項の決議や業務の執行状況等の報告が行われます。これにより、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が業務の執行状況を監督できる体制となっています。
また、監督役員は必要に応じて本資産運用会社及び資産保管会社から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができるものとされています。
このほか、本投資法人はインサイダー取引が行われることを未然に防止するため、内部者取引管理規則を定めて、本投資法人の役員による本投資法人の投資口及び投資法人債の売買を禁止しています。
② 本資産運用会社について (イ)資産運用ガイドラインの遵守等によるリスク管理
本資産運用会社は、本投資法人の資産運用にあたり遵守する運用・管理の方針及び計画として「年度運用計画」を策定及び改定し、また、規約に基づき遵守すべき資産の運用・管理の社内基準として「資産運用ガイドライン」を定めています。
この年度運用計画及び資産運用ガイドラインを遵守することを通じ、資産運用におけるリスクを回避し又は極小化することに努めます。
(ロ)リスク管理に関する取組み
本資産運用会社は、各種リスクを適切に管理するために、社内規則としてリスク管理規程を制定し、管理すべきリスク項目について少なくとも3ヶ月に一度取締役会に対して必要な報告を行います。
(ハ)コンプライアンスに関する取組み
本資産運用会社は、コンプライアンスを所管するチーフ・コンプライアンス・オフィサーが委員長となるコンプライアンス委員会を設け、委員会規程に定める重要な法令等遵守状況を監視します。また、法令等遵守を実現させるための具体的な手引書として、コンプライアンス・マニュアルを定めるとともに、具体的な実践計画であるコンプライアンス・プログラムを策定し、これに従って法令等遵守の実践に努めます。
(ニ)インサイダー取引の防止
本資産運用会社は、インサイダー取引が行われることを未然に防止するため、内部者取引管理規程及びコンプライアンス・マニュアルを定めて、本資産運用会社の役職員による本投資法人の投資口及び投資法人債の売買を原則として禁止しています。
(ホ)内部監査の実施
本資産運用会社は内部監査規程を定めており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを内部監査責任者として定期的にコンプライアンス・プログラムに基づき内部監査を実施し、内部監査報告書を作成し、コンプライアンス委員会及び取締役会に報告します。
(ヘ)利害関係人との取引制限
後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2)本投資法人の資産運用にかかる自主ルール(利益相反対策ルール)」をご参照ください。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主に損失が生ずるおそれがあります。