Contract
2023 年 10 月 20 日
各位
株式会社 三十三銀行
カフカ株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、カフカ株式会社(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2023年10月20日 |
(2) | 融資金額 | 100百万円 |
(3) | 期間 | 3年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名
(2) 所在地
(3) 事業内容
カフカ株式会社
xxxxxxxxxxxx0xx00x0x xxxxxxxx0x
当社は、関東地区を営業エリアの中心として、販売価格が平均2~3万円の中高価格帯が中心となる婦人服・子供服の重衣料(女性用スーツやコート、ジャケット等)を得意とするアパレルOEM(委託先ブランドで製品生産)・ODM(委託先ブランドでデザイン設計・製品生産)業者。
生産はフィリピンと中国の協力繊維工場に委託し、販売先は東京や大阪に本
社を置く大手アパレルメーカーや大手小売業者、繊維商社が中心。
(4) 従業員数
(5) 資本金
(当社取扱商品)
21名(2023年8月現在)
50百万円
(機能性下着「アンジェライト」)
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・
社会面
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、保健・衛生(ポジティブ)
・「アンジェライト」の関連商品を2026年までに5種類に増加させる。
(2023年8月時点:2種類)
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、雇用(ポジティブ)
・女性管理職の割合を 2026 年までに 50%以上に増加させ、維持する。
(2023 年 8 月時点の女性管理職割合:44%)
(2) 社会面
・女性の育児休暇取得率 100%を維持する。
(2023年8月時点の女性の育児休暇取得率:100%)住居(ポジティブ)、エネルギー(ポジティブ)
・2026 年までにZEH 対応トレーラーハウス20 棟以上の販売を行う。
雇用(ネガティブ)
・有給休暇取得率 70%以上を維持する。 (2023 年時点の有給休暇取得率:70%)
(3) 環境面
資源効率・安全性(ポジティブ)、廃棄物(ポジティブ)
・再生原料を使用した製品の割合を30%に増加させる。 (2023年8月時点:5%)
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行 担当部署担当者 | ソリューション営業部xx | |
連絡先 | 059-354-7144 | |
(2) 三十三総研 | ||
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以上 |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2023 年 10 月 20 日
株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、カフカ株式会社に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、カフカ株式会社の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※に対するファイナンスに適用しています。
※IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業。
目次
1.評価対象の概要 2
2.カフカ株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営理念、行動指針と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FIインパクトレーダーとの関連性 10
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.特定インパクトと測定するKPI 13
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.環境面(ポジティブ)
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについてSDGsとの関連性
5.サスティナビリティ管理体制 18
6.モニタリング 18
7.総合評価 18
1.評価対象の概要
企業名 | カフカ株式会社 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2023 年 10 月 20 日 ~ 2026 年 10 月 20 日 |
2.カフカ株式会社の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx0xx 00 x0x xxxxxxxx0x |
従業員数 | 21 名(2023 年8月現在) |
資本金 | 50 百万円 |
業種 | 繊維製品卸売業 |
沿革 | 2005 年 xxxxx(現社長)含む数名で(有)エフ・トレーディングを創業 2009 年 東京支社を開設 (有)エフ・トレーディングからカフカ(株)へ商号変更 2011 年 名古屋本社を移転(現住所) アパレル小売店(OPTRICO北青山店)を開店 アパレル小売店(OPTRICOxxパルコ店)を開店 2013 年 OPTRICOxxパルコ店を閉店 2015 年 OPTRICO北青山店を閉店東京支社を移転(現住所) 2016 年 フィリピンのマニラ市にマニラ事務所を開設 |
事業拠点 | ・東京支社 xxxxxxxxx0xx 00 x 00 x xxxxx000 0x ・上海事務所 ・マニラ事務所 |
2-2.経営理念、行動指針と事業内容
【経営理念】
Quality: 常に品質を追求し、妥協しない。日本の『ものづくり』の精神を継承し次世代へ繋ぐ。
Quick: 決断・挑戦・実行。圧倒的なスピードで企業活動を推進。常に変化する時代の波をキャッチし、xxへ進む。
Qualification: 誠実に、愚直に。取引先と真摯に向き合い信頼される企業へ。共存共栄を実現するための確かな資格があると証明する。
【行動指針】
3Q=Thank You!!=この輪を大きく広げ、よりよい社会を形成するひとつのピースになるためにxxとなり邁進する。
【事業内容】
カフカ株式会社(以下、カフカ)は、関東地区を営業エリアの中心として、販売価格が平均2~3万円の中高価格帯が中心となる婦人服・子供服の重衣料(女性用スーツやコート、ジャケット等)を取り扱う繊維製品の製造、卸売業者である。具体的にはアパレルOEM(他社ブランドの製品を製造すること)・ODM(他社ブランドの製品を設計・製造すること)業者であり、製造はフィリピン
(製造委託率 80%)と中国(同 20%)の協力繊維工場に委託している。販売先は東京や大阪に本社を置く大手アパレルメーカーや大手小売業者、繊維商社が中心である。受注の大半はOEMであり、オーダーの内容によって、製造を委託する工場を選定しており(子供服は縫製設備の関係で中国など)、現在は製造の多くをフィリピンの協力工場に委託し、商社を介入させず自社で直接貿易取引を行い、輸入している。製造機能、卸売機能の強みについては以下で説明する。
また、新型コロナや物価高騰等の影響から、今後のアパレル業界は景気動向、社会情勢に大きく左右され、市況回復も当分見込めないと判断し、2023 年7月より新事業としてトレーラーハウスの販売、メンテナンス事業を開始している。
製造機能
製造機能では、他社に先駆けてフィリピンでのコストパフォーマンスに優れた製造体制を確立したことが強みである。フィリピンは国内アパレル業界では進出企業が少ないものの、過去から培われてきた高い縫製技術力と豊富で安定した労働力、東南アジアの中心に位置する島国という物流面での優位性(サプライチェーンxxx)等、製造国として競争力を有している国であり、他社に先駆けて調達ルートを押さえたことが大きな差別化に繋がっている。また、フィリピンの主要協力工場であるNST(フィリピンでは最大規模の縫製工場)は、従来から海外ハイブランド「TOR Y BURCH」等を製造している工場であり、縫製技術は高い。同工場に対して日本向けの品質基準に合う技術指導を行う等、関係強化を図っており、NSTの日本向け製造は同社経由のみとなっている点も差別化ポイントとして挙げることができる。
卸売機能
卸売機能では、マーケティングを踏まえた企画・デザイン力が強みとして挙げられる。自社内に勤続年数 10 年以上のデザイナー2名、パタンナー※7名を雇用しており、自社独自の商品企画・デザインを手掛けている。OEMメーカーとして製造委託を受けるだけではなく、委託先のアパレルメーカー等と企画段階から関与できることも大きな強みである。また、ターゲット層が嗜好するデザインや色合い、生地の風合い等を、店舗調査や雑誌、SNS等からのトレンド、生地業者からの情報等から確認し商品開発に活かしている。生地は高級品主体で中価格帯となるものの、素材とデザインの良さが消費者に好評を得ている点が取引先から評価され、継続的な取引に繋がっている。さらに、xx社長は創業前に繊維商社で勤務し、繊維業界一筋 25 年の人物であることから、大手アパレルメーカーと接点が多く、独立後も継続的な取引がある等、ネットワークをうまく活用して新規取引に繋げていることも強みである。
※ファッションデザイナーが作成したデザイン画をもとに壁紙(パターン)を作る仕事。
2-3. サスティナビリティに関連する活動
【ダイバーシティの推進】
(1)ジェンダーギャップの是正
昨今、働く女性の妊娠・出産等のライフイベントに起因する望まない離職を防ぎ、個人の幸福や企業の人材多様性を高める取り組みが求められていることからフェムテック※に注目が集まりつつある。フェムテック製品として女性の生理時の機能性下着「アンジェライト」を開発した。性差にとらわれることなく、活動できる機能を備えた衣類の開発、販売を通じて女性の不安解消に貢献して いる。
※Female (女性)+Technology (テクノロジー)を掛け合わせた造語。女性が抱える健康問題やライフステージの課題を技術で解決する製品・サービスのこと。
<当社HPより抜粋>
(2)ジェンダーフリー教育の実施
フェムテック商品の販売を通じて、男性にも女性の生理について理解をしてもらえるような商品説明を行うなど、互いを尊重しあえる環境を作るための活動も行っている。最近の活動では、女性のライフステージにおける様々な課題を解決できる企業が一堂に出展するフェムテックトーキョーへの出展や自衛隊へのプレゼンテーションの際に大いに興味を持たれるなど、フェムテック商品への関心も高まってきている。
<自衛隊 xxx基地での商品説明の様子>
(3)女性の活躍推進
取り扱う繊維製品については女性向けの商品が多いことから、女性社員の割合が 66.7%
(2023 年8月時点)と高い。そのため、女性管理職の割合も 44%と高い水準にあり、今後は 50%以上への増加とその維持を目標としている。また、女性の育児休暇取得率 100%を維持してお り、女性の長期的な活躍、キャリアアップも支援している。
【廃棄物の削減】
(1)環境配慮素材の利用促進
プラスチックごみ問題、気候変動問題等への対応を契機として、国内におけるプラスチック資源循環を促す重要性が高まっている。国内のアパレル業界でもプラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)とリニューアブル(再生プラスチックや紙などの再生可能資源の利用)の取り組みが活発になってきており、ファーストリテイリングや良品計画はショッピングバッグと商品包装材のプラスチック利用削減や代替素材の利用などに取り組んでいる。そのような背景から同社でも全体の 50%程度の商品に対して、商品の包装の簡易化やビニールレス化をはじめ、商品のタグ
す
に紙ごみとなった古紙を再生し、花の種を漉きこんだ再生紙を使用するなど、廃棄物の削減に取
り組んでいる。
(2)サーキュラ-エコノミーの実現
アパレル業界ではSDGsに対する機運の高まりから、再生ポリエステル、再生ウールなどのサステナブルな素材を取り入れたサーキュラーエコノミー(循環型社会)がトレンドとなっている。同社も、委託事業者と協力し、環境負荷の低減を推進していく方針である。具体的には、xxx商事が開発した「RENU(リサイクルポリエステルを用いた素材ブランド)」を使用した製品の比率を増やしている。これまで廃棄されてきた衣料品や製造時に発生した残布を使用することで、石油由 来のポリエステル使用量の削減及び化石燃料の使用量削減に貢献するなど、サーキュラーエコノミーの実現を目指している。
<RENU Project HPより抜粋>
【高性能住宅の提供】
新事業としてコロナ禍を契機としたライフスタイルの変化により、ワーケーションやグランピングなどへの需要が拡大しているトレーラーハウス事業へ参入を決めた。参入の理由についてトレーラーハウス事業は本業と大きく異なる事業であるものの、代表取締役社長がトレーラーハウスに関する高い知見とノウハウの提供が受けられること、販売予定であるZEH※住宅基準に対応した高付加価値トレーラーハウスは競合他社が少ないことなどが要因である。トレーラーハウスの製造は前述の製造業者へ委託する予定であり、同社はZEH住宅基準に対応した高付加価値トレーラーハウスの販売、メンテンナンスを行う予定である。トレーラーハウスで使用する電力はxxx発電で発電した電気を充当している。また、設置するトイレは「トワイレ」と呼ばれる上下水道が不要かつ独立電源で稼働するトイレシステムでxxx発電でも十分稼働することが可能であるほ か、複数の微生物が、し尿を分解するバイオトイレを採用しており、余分な汚泥が発生せず、環境面においても優れている。
※ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システ
ムの導入により室内環境の質を維持し大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指す住宅。
<トレーラーハウスのイメージ写真>
【従業員教育の実施】
フィリピンを中心に海外企業との取引も多く、事業を行っていく上で英語を使う機会が多く存在する。そのような背景から、大手英会話スクールとの提携や語学習得に必要な費用の補助制度を通じて、従業員の英語力向上を支援している。従業員の英語力向上が海外企業との円滑な取引に繋がっている。
【働きやすい労働環境の整備】
ワークライフバランスのとれた働き方の実現のため、一人当たりの月平均時間外労働時間を 10 時間程度にしているほか、有給休暇の取得率を 70%以上とすることで有給休暇を含めた従業
員一人当たり年間休日数を 125 日程度確保している。前述した育児休暇制度のほかにも、フレックスタイム制度、テレワーク制度の導入や長期休暇が取得できる仕組みを整えるなど、従業員のライフスタイルに合わせた様々な働き方の選択肢を提供している。
【水質汚染の防止】
環境省によると、世界の工業用水汚染の 20%は繊維の染色と処理に起因するものであるとされており、衣料品の製造に伴って発生する排水は環境に悪影響を与えていると問題視されてい る。このような問題に対して、フィリピンの協力工場では、製造時に発生する排水を専用浄化設備によって安全な水質基準まで濾過したうえで、海や川へ流すことを徹底することで、水質汚染の防止に貢献している。
【再生可能エネルギーの活用】
フィリピンの協力工場では、世界的にも二酸化炭素排出量削減などの観点から再生可能エネルギーの活用が求められるなか、積極的な活用を行うことで同工場での使用電力の 100%を再生可能エネルギーで賄っている。具体的には使用電力の 75%を地熱発電、25%をxxx発電で賄っている。
地熱発電 xxx発電
<協力工場紹介資料より抜粋>
【支社のLED化】
LED照明は省エネ製品の需要が高まる中で、省エネ効果が高くかつ長寿命であることから急速に普及してきた。LED照明の導入が可能な東京支社の照明をLED照明に切り替えており、省エネルギー化を図ることで、環境への配慮と使用電力量の削減に貢献している。
【社会貢献活動】
コロナ禍においては、自社ルートを活用して確保したマスク、医療用ガウンなどを国内の学校や病院等へ寄付することで医療体制維持に貢献した。
3.UNEP FIインパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、カフカの事業について、国際標準産業分類における「織物、衣服及び履物卸売業」として整理した。その前提のもとでのUNEP FIのインパクト分析ツールを用いた結果、「保健・衛生」「雇用」に関するポジティブ・インパクト、「経済収束」「雇用」「水(質)」
「大気」「生物多様性と生態系サービス」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 包摂的で健全な経済 | ジェンダーギャップの是正 | ・女性の生理時の機能性下着として「アンジェライト」を開発するなど、性差にとらわれることなく活動できる機能を備えた衣類を開発 |
ジェンダーフリー教育の実施 | ・フェムテック商品の販売を通じて、女性の生理についての説明も行うなど、互いを尊重しあえる環境を作るための教育を実施 | |
女性の活躍推進 | ・女性向け商品の取り扱いが多く、元々女性社員の割合が多いことから、女性の管理職割合の増加とその維持を計画 | |
・育児休暇を充実させ、女性の長期的な活躍を支援 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉住居 | 高性能住宅の提供 | ・環境に配慮したZEH基準対応トレーラーハウスを販売 |
xx・xx | ジェンダーギャップの是正 | ・包摂的で健全な経済を参照 |
教育 | 従業員教育の実施 ジェンダーフリー教育の実施 | ・英会話スクールとの提携や語学習得に必要な費用の補助制度を通じて、従業員の英語力向上を支援 ・包摂的で健全な経済を参照 |
雇用 | 女性の活躍推進 | ・包摂的で健全な経済を参照 |
エネルギー | 高性能住宅の提供 | ・住居を参照 |
<ネガティブ>雇用 | 働きやすい労働環境の整備 | ・有給休暇取得率の維持を行うことで、すべての従業員が働きやすい労働環境を実現 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
<ポジティブ> 資源効率・安全性 廃棄物 | サーキュラーエコノミーの実現 | ・再生ポリエステル等のリサイクルされた素材を使用した商品の割合の増加 |
<ネガティブ>質(水) | 水質汚染の防止 | ・協力工場では排水を安全な水準まで濾過する取り組みを実施 |
気候 | 支社のLED化 | ・東京事務所において、電気のLED化を実 |
施、使用電力量の削減に貢献 | ||
再生可能エネルギー | ・協力工場では使用する電力を全て地熱発電 | |
の活用 | とxxx発電で賄うことで温室効果ガスの排 | |
出削減に貢献 | ||
廃棄物 | 環境配慮素材の利用 促進 | ・商品の包装の簡易化やビニールレス化など を行うことで廃棄物の削減に貢献 |
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、インパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
事業活動において、経済収束については仕入・販売での不当な契約がないこと、大気、生物多様性と生態系サービスについては商品の輸送時にネガティブなインパクトを与える事象は発生していないことから、「経済収束」「大気」「生物多様性と生態系サービス」についてはネガティブ・インパクトとして特定しない。
4.特定インパクトと測定するKPI
カフカは本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【ジェンダーギャップの是正】 ・女性の生理時の機能性下着として「アンジェライト」を開発しており、性差にとらわれることなく活動できる機能を備えた衣類の開発を継続して行う。 | |
借入期間におけるKPI | ・「アンジェライト」の関連商品を 2026 年までに5種類に増加させる。 (2023 年8月時点:2種類) | |
関連するSDGs | 5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべ ての男性及び女性の、完全かつ生産的な |
雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的 な包含を促進する。 |
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【女性の活躍推進】 ・女性向けの商品が多いことから、女性社員の割合が 66.7%(2023 年8月時点)と高い。そのため、女性管理職の割合も 44%と高い水準にあり、女性の管理職割合 50%以上までの引き上げとその維持を目指す。 ・育児休暇を充実させ、女性の長期的な活躍を支援する。 | |
借入期間におけるKPI | ・女性管理職の割合を 2026 年までに 50%以上に増加させ、維持する。 (2023 年8月時点:女性管理職割合:44%) ・女性の育児休暇取得率 100%を維持する。 (2023 年8月時点:女性の育児休暇取得率:100%) | |
関連するSDGs | 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的 な包含を促進する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 住居 エネルギー | |
取組、施策等 | 【高性能住宅の提供】 ・環境に配慮したZEH基準対応トレーラーハウスの販売を行う。 | |
借入期間におけるKPI | ・2026 年までにZEH対応トレーラーハウス 20 棟以上の販売 を行う。 | |
関連するSDGs | 7.1 2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 11.b 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靭さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削 減する。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 雇用 |
取組、施策等 | 【働きやすい労働環境の整備】 |
・有給休暇取得により、すべての従業員が働きやすい労働 環境の整備に努める。 | ||
借入期間におけるKPI | ・有給休暇取得率 70%以上を維持する。 (2023 年時点有給休暇取得率:70%) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて機会均等を確保し、成果の不 平等を是正する。 |
4-4.環境面(ポジティブ)
特定インパクト | 資源効率・安全性 廃棄物 | |
取組、施策等 | 【サーキュラーエコノミーの実現】 ・再生ポリエステル等のリサイクルされた素材を使用した商品の割合を増加させ、環境負荷の低減に貢献する。 | |
借入期間におけるKPI | ・再生原料を使用した製品の割合を 30%に増加させる。 (2023 年8月時点:再生原料を使用した製品の割合5%) | |
関連するSDGs | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物 の発生を大幅に削減する。 |
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについてSDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
<経済面・社会面> ジェンダーフリー教育の実施 | 5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むす べての男性及び女性の、完全かつ生産的 |
な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び 政治的な包含を促進する。 | ||
<社会面>従業員教育の実施 | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 | |
<環境面>水質汚染の防止 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 14.1 2025 年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減 する。 | |
再生可能エネルギーの活用 | 7.a 2030 年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への 投資を促進する。 | |
支社のLED化 | 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する |
5.サスティナビリティ管理体制
カフカでは、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、xx社長を責任者とし、xx執行役員が中心となって日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGsの 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、xx社長と和田執行役員を中心にKPIの達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築し、各
部署において実行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
管理責任者 | 執行役員 xx xx |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、カフカと三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十三
銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。カフカは、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に努
めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するカフカから供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書
の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 xx xx
〒510-0087
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2023 年 10 月 20 日
株式会社 日本格付研究所
評価対象: カフカ株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行がカフカ株式会社(「カフカ」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、カフカの持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、カフカがポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるカフカから貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト 担当アナリスト
梶原 敦子 川越 広志
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026