(注)企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面に与えるインパクトを包括的に分析し、特定され たポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの減少に向けた取組みを支援する融資手法。企業による SDGs 達成への貢献度合いを評価指標とし、その過程を開示します。
各 位
株式会社八十二銀行
「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約締結について
八十二銀行(頭取 xx xx)と一般財団法人xx経済研究所(理事長 xx xx)は、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(注)」の融資契約を株式会社井ノ瀬運送(代表取締役社長 xxx xx)と締結いたしました。
以下に概要をお知らせいたします。
(注)企業活動が環境・社会・経済のいずれかの側面に与えるインパクトを包括的に分析し、特定され たポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの減少に向けた取組みを支援する融資手法。企業による SDGs 達成への貢献度合いを評価指標とし、その過程を開示します。
1. 概要
契 | 約 | 日 | 2024 年6月 28 日(金) |
契約先 | 名称 | 株式会社井ノ瀬運送 | |
所在地 | xxxxxxxxx 0000 | ||
創業年月 | 1962 年 11 月 | ||
資本金 | 70 百万円 | ||
金 | 額 | 185 百万円 | |
資 金 使 途 | 設備資金 | ||
モニタリング | 八十二銀行及び一般財団法人xx経済研究所は、ポジティブインパクト金融原則に基づき構築した実施態勢に従い、インパクト評価を踏まえ株式会社井ノ瀬運送が設定した KPI を、融資期間中におけるパフォーマンスとしてモニタリングします。 | ||
評価の対象 | 株式会社井ノ瀬運送 |
2. 株式会社xxxxxの取組み(※ 詳細は別紙「評価書」をご参照ください。)
(1) 株式会社井ノ瀬運送は、「食卓に、あふれる笑顔をもたらしたい!」という経営理念のもと、「皆様の食卓に安全と安心をお届けする」をパーパス(社会的存在意義)として、自社の取り巻く環境やさまざまな社会的課題に向き合っています。
(2) インパクト評価では、ポジティブインパクトが期待できる主な活動として、給与体系見直しによる
「従業員の働きがいと幸せの実現」や3温度帯でのサプライチェーンマネジメントの提供による安全・安心かつ安定的な物流システムの構築による「食の安全と品質の向上」などが挙げられました。
(3) ネガティブインパクトを低減する活動としては、電動フォークリフトへの入替促進による「環境負荷の軽減」や、安全運行・安全管理の徹底による交通事故・労災の撲滅を通じた「社会的責任・社会貢献の遂行」などに取り組まれます。
以 上
評価対象兼借入人 株式会社井ノ瀬運送貸付人 株式会社八十二銀行
評価書作成者 一般財団法人xx経済研究所評価基準日 2024 年5月 31 日
目次
1.UNEP FI のコーポレートインパクト分析ツールを用いた分析 16
2.個別要因を加味したインパクトエリア/トピックの特定 16
3.特定されたインパクトエリア/トピックと当社事業活動等との関連性 17
3.ポジティブ・インパクトの伸長・拡大およびネガティブ・インパクトの緩和・低減 21
一般財団法人xx経済研究所は株式会社八十二銀行が株式会社井ノ瀬運送(以下、「当社」という)に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するに当たって、当社の活動が、社会・環境・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価した。
分析評価は、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI )が策定した「ポジティブ・インパクト金融原則」および ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則っている。
本ファイナンスの概要
契約期間 | 2024 年6月 28 日~2034 年6月 30 日 |
金額 | 185,000,000 円 |
資金使途 | 設備資金 |
モニタリング期間 | 10 年間 |
会社名 | 株式会社 井ノ瀬運送 | ||||||
本社所在地 | xxxxxxxxx 0000 | ||||||
代表取締役社長 | xxx xx | ||||||
設立 | 1962 年 11 月1日創業 1969 年4月2日法人化 | ||||||
資本金 | 7,000 万円 | ||||||
業種 | 一般区域貨物自動車運送業軽貨物運送事業 営業倉庫業 酒類販売媒介業 | ||||||
事業内容 | 輸配送事業 物流センター事業 共同配送事業 | ||||||
単体売上高 | 8,223 百万円(2024 年2月期) 内訳:輸配送事業・共同配送事業6,678 百万円、物流センター事業1,545 百万円 | ||||||
従業員数 | 845 名(2024 年2月末現在/パート、アルバイト、子会社含む) | ||||||
保有車両 | 269 台(2024 年2月末現在) | ||||||
車種 | 台数 | 車種 | 台数 | ||||
2t ドライ | 3台 | 5t 冷蔵冷凍 | 13台 | ||||
2t 冷蔵冷凍 | 3台 | 6t 冷蔵冷凍 | 17台 | ||||
3t ドライ | 6台 | 8t ドライ | 2台 | ||||
3t 冷蔵冷凍 | 13台 | 8t 冷蔵冷凍 | 36台 | ||||
4t ドライ | 13台 | 10t ドライ | 67台 | ||||
4t 冷蔵冷凍 | 50台 | 10t 冷蔵冷凍 | 44台 | ||||
5t ドライ | 1台 | トレーラー | 1台 | ||||
主要取引先 | xxx食品株式会社株式会社ベルク 株式会社xxフードクリエイト株式会社神明ロジスティクス コカ・コーライーストジャパンプロダクツ株式会社日本酒類販売株式会社 他 | ||||||
関連会社 | |||||||
社名 | 住所 | 内容 | |||||
ナオヨシ株式会社 | xxxxxx区 | 親会社 グループ会社管理 | |||||
株式会社 Infinite | 埼玉県xx市 | 食品・物流事業 | |||||
株式会社フレッシュカーゴ | 群馬県xx郡 | 食品・物流事業 | |||||
スタンダードモーターズ株式会社 | 埼玉県xx市 | 自動車整備業 | |||||
中部冷蔵株式会社 | 愛知県xxx市 | コールドチェーン事業 | |||||
中部ロジ株式会社 | 愛知県xxx市 | コールドチェーン事業 | |||||
埼玉県中央青果株式会社 | 埼玉県xx市 | 青果物仕入販売事業 | |||||
株式会社サイセイ | 埼玉県xx市 | 青果物加工事業 | |||||
xx市青果低温貯蔵株式会社 | 埼玉県xx市 | 生鮮食品貯蔵事業 | |||||
茨城道路株式会社 | 茨城県水戸市 | 道路関連施工事業 | |||||
青い森データソリューション株式会社 | 青森県青森市 | データセンター事業 | |||||
xx観光株式会社 | 徳島県xx市 | 観光バス事業 | |||||
株式会社エッグ | xxxxxx区 | ソフトウェア事業 | |||||
年 | 概要 |
1962 年11 月 | 創業 創業者xxxxx氏が運輸省東京陸運局より一般小型貨物自動車運輸事業免許を 取得し、配送業務を開始 |
1969 年 4 月 | 4月2日、有限会社井ノ瀬運送を設立xxxxx氏が代表取締役に就任 |
1979 年 | 群馬県の事業区域免許を取得し、群馬県で配送業務を開始 |
1985 年 | 首都圏の事業区域免許を取得し、本社営業所を現在の場所に移転 |
1988 年 | 有限会社を株式会社に組織変更し、自動車運送取扱事業免許を取得 |
1990 年 | 群馬営業所を開設 |
1995 年 | 本社新社屋が完成 |
1996 年 | 自社車両のデザインを花柄デザインにxx |
2002 年 | エアーサスペンション車を導入 |
2005 年 | xx物流センターを開設 |
2006 年 | xx物流センター(現xx第二物流センター)を開設東毛営業所を開設 |
2007 年 | 関連会社 株式会社 Infinite を設立 |
2008 年 | xxイースト営業所を開設xx営業所を開設 |
2010 年 | xx物流センターを開設xxウエスト営業所を開設 全営業所においてグリーン経営認証を取得 |
2011 年 | 全営業所が安全優良事業所(G マーク)に認定 |
2012 年 | xx営業所を閉鎖、xx営業所を開設 |
2015 年 | xx第一物流センターを開設 |
2016 年 | xx西営業所を開設 |
2017 年 | xx運送株式会社を子会社化 |
2018 年 | 株式会社フレッシュカーゴを子会社化 |
2019 年 | 加須営業所を開設 xx物流センターを開設 |
2020 年 | 久喜物流センターを開設 |
2021 年 | xx物流センターを開設xx営業所を開設 xx物流センターをxx物流センターに移設 |
2022 年 | xx営業所を開設 xxx営業所を開設 加須物流センターを開設 |
2023 年 | xx運送株式会社を合併吸収 RC 加須を開設 xx営業所を開設 xx営業所を閉鎖 |
営業所
営業所名 | 住所 |
本社営業所 | xxxxxxxxx 0000 |
xx営業所 | xxxxxxxxx 0000 |
xx西営業所 | xxxxxxxxxxx 000-0 |
東毛営業所 | xxxxxxxxxxx 0-000 |
加須営業所 | xxxxxxxx 0000-0 |
xx営業所 | xxxxxxxx0-0-00 |
xx営業所 | xxxxxxxxxxxx 0000-000 |
xxx営業所 | xxxxxxxxxx 0000-0 xx会社マルイチ産商北関東支社内2階 |
xx営業所 | xxxxxxxxx 00-0 |
物流センター
物流センター名 | 住所 |
xx第一物流センター | xxxxxxxxx0-0-0 |
xx第二物流センター | xxxxxxxxx0-0-0 |
xx低温センター | xxxxxxxxx 0000 |
xx物流センター | xxxxxxxxxxxxxx XXX xx0x |
加須物流センター | xxxxxxxxxxxx 000 x0 xxxxxxx0x |
RC 加須 | xxxxxxxxxxxx 000 x0 xxxxxxx0x |
久喜物流センター | xxxxxxxxxxxx 0000 x0XXX xxxxxxxxxxxxxxxxx0x |
京葉物流センター | xxxxxxxxxxxx 0000-000 |
xx物流センター | xxxxxxxxxxx0-0 xxxxxxxxxx0 0x |
xx物流センター | xxxxxxxxxxxxxx 000-0 |
xx物流センター | xxxxxxxxxx 0000 |
事務所
事務所名 | 住所 |
寄居事務所(ベルクセンター内) | xxxxxxxxxxx 0000 |
東京事務所 | xxxxxxxxxx0-00-0 xxxxxx0x |
⮚ 輸配送事業
輸配送事業には、長距離の移動を伴いながらモノを A 地点から B 地点へと運ぶ役割を果たす輸送(=一次輸送)、物流センター等の拠点から卸問屋や小売店、エンドユーザー等にモノを運ぶ近距離のxx輸送である配送(=二次輸送)がある。
当社はxxxxに有する物流拠点ネットワークを活かした輸送業務(=一次輸送)と、創業以
来食品特化した輸配送ノウハウを活かした配送業務(=二次輸送)より、地域の食品流通を支えている。
⮚ 物流センター事業
物流センター事業では、商品が入荷してから出荷されるまでの工程を担っている。当社の物流センターでは、入荷した商品を一時的保管した後、出荷指示応じてピッキングや検品、流通加工、包装を行い出荷する一連の物流工程(3PL)を行っている。
当社物流センターは、販売先や消費者の近く立地しており、生鮮食品等の食品の物流を円滑かつ迅速行っている。
⮚ 共同配送事業
食品メーカー等の生産サイド、スーパーや小売店・卸売業者等消費サイドの双方幅広い取引先を持っていることから、生産サイド・消費サイド双方の各得意先の商品と情報を効果的組み合わせることが可能で、低コストかつ高品質で効率的な共同配送を運営している。
⮚ 市場動向
輸送量単位:
十億トンキロ
450
国内貨物輸送量の推移(トンキロベース)
航空
鉄道
内航海運
自動車
輸送個数
輸送個数:
百万個 5,000
400
4,688
4,800
4,630
350
4,590
4,600
4,413
300
4,400
250
4,200
3,996
200
4,000
150
3,800
100
213.288
221.108
223.431
227.950
228.674
3,600
50
3,400
0
3,200
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
国土交通省「自動車輸送統計」「鉄道輸送統計」「xx船舶輸送統計」「航空輸送統計」「国土交通月例経済 宅配便貨物取扱個数」
より暦年集計し、xx経済研究所 て作成
消費原材料・燃料や様々なモノの価格高騰の影響等を受け個人消費が伸び悩んだことから、日用品・食料工業品・農業水産品等の消費関連貨物や生活関連貨物が減少している。また、土木工事・新設住宅着工戸数の減少等から建設関連貨物も減少している。この結果、2023 年の国内貨物輸送量は約 404 十億トンキロと前年比▲1.2%となった。
輸送形態別の輸送量は、内航海運が減少する一方、自動車・鉄道・航空は横ばいで推移、全体の輸送量対する割合で自動車が約 57%、内航海運が約 39%、鉄道が約 4%となっている。
国内貨物輸送量は大きくは変動していないものの、宅配便取扱件数の伸びが示す通り、貨物1件あたりの貨物量が直近の20 年で半減する一方、物流件数はほぼ倍増し、物流のxx・多頻度化が急速進行
している。
物流部門のCO2排出量推移(1996年を100とした推移)
120.0
貨物自動車/ トラック
その他※
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
1996年 1998年 2000年 2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年 2016年 2018年 2020年 2022年
国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」より集計しxx経済研究所て作成
※鉄道+国内船舶+国内航空
⮚ カーボンニュートラルへの対応
日本では、「2050 年カーボンニュートラル」宣言を受け、2021 年 10 月地球温暖化計画が改訂され、 2030 年度温室効果ガスを 2013 年度から 46%削減することが宣言された。運輸部門(旅客+物流)の CO2 排出量が全体の約2割を占め、運輸部門の CO2 排出量の4割以上を占めるのが物流分野(貨物自動車/トラック+鉄道+国内船舶+国内航空)となっている。宣言の達成は、物流部門の CO2 削減動向が極めて重要である。
こうしたことを受け、環境省が提示している「地球温暖化対策計画」は、「次世代自動車の普及、燃費改善」「道路交通流対策」「環境配慮した自動車使用等の促進よる自動車運送事業等のグリーン化」「トラック輸送の効率化、共同輸配送の推進」「物流施設の脱炭素化の推進」等が具体的取組みとして記載され、物流業界全体を挙げて CO2 削減 取組んでいる。
物流部門からの CO2 排出量は、環境対応車の開発・普及促進の取組等の結果、1996 年をピーク 減少し 2022 年度は約 8,127 万トン(1996 年比 28.7%減)の排出となっているが、物流のxx・多頻度化伴い削減のペースは鈍化してきている。
⮚ 物流の 2024 年問題
ライフスタイルの多様化伴う物流のxx・多頻度化の急速な進行より、ドライバーの長時間労働やドライバー不足が顕著なり社会課題となっている。
このような背景のもと、トラックドライバーの労働環境の改善を図る目的で、2024 年 4 月からドライバーの年間時間外労働の上限が 960 時間制限される等の法改正が実施された。
この法施行より、1日運べる荷物の量の減少伴う「運送・物流業者の売上、利益の減少」、労働時間の減少よる「ドライバーの収入の減少」、収入減少伴うドライバー離職よる「慢性的な人手不足」が懸念されている。政府は、こうした懸念対し何も対策を講じなければ、2024 年度は 14%、 2030 年度は 34%の輸送力不足の可能性を示唆している。
こうしたことから、政府は「物流の効率」、「荷主・消費者の行動変容」、「商慣行の見直し」を柱とする
「物流革新向けた政策パッケージ」を策定、荷主・事業者・一般消費者が一体となった物流環境を整備していくことを求めている。
〇2024年4月からの主な法改正の内容
項目 | 現行 | 2024 年4月~ |
時間外労働の上限 | なし | 年 960 時間 |
1 年間の拘束時間※ ※労働時間+休憩時間 | 3,516 時間 | 原則 3,300 時間 |
1 カ月の拘束時間 | 原則 293 時間 最大 320 時間 | 原則 284 時間 最大 310 時間 ◆1年の拘束時間が 3,400 時間を超えない範囲で年 6 回まで ◆284 時間超の月が 3 か月を変えて連続しない ◆月の時間外・休日労働が 100 時間未満となる よう努める |
1 日の拘束時間 | 原則 13 時間以内 最大 16 時間以内 ◆ 15 時間超は1週間2回以内 | 原則 13 時間以内 最大 15 時間以内 ◆14 時間超は1週間2回以内 |
休憩時間 | 継続8時間以上 | 継続 11 時間を基本とし、9時間下限 |
連続運転時間 | 4時間を超えないこと ◆ 30 分以上の休憩等の確保 ◆ 1 回 10 分以上で分割可 | 4時間を超えないこと ◆ 30 分以上の休憩の確保 ◆ 1回概ね 10 分以上で分割可 ◆ 「1回概ね 10 分以上」とは、10 分未満の運転の中断が3回以上連続しないこと ◆ 運転中の中断は原則休憩とする |
【物流革新に向けた政策パッケージ】
1.物流の効率化
モーダルシフトの推進
トラック運転手の労働負担の軽減、担い手の多様化の推進物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
標準仕様のパレット導入や物流データの標準化・連携の促進
燃料価格高騰を踏まえた物流 GX の推進(物流拠点の脱炭素化、車両の EV 化等)高速道路料金のxx・多頻度割引の拡充措置の継続
道路情報の電子化の推進等 よる特殊車両通行制度の利便性xx x 2.荷主・消費者の行動変容
宅配の再配達率を半減する緊急的な取組み
政府広報やメディアを通じた意識改革・行動変容の促進強化 等 3.商慣行の見直し
トラック G メン よる荷主・元請事業者の監視体制の強化
現下の物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算よる「標準的な運賃」の引き上げ適正な運賃の収受、賃上げ等 向け、次期通常国会での法制化を推進 等
物流は人々の生活を支える重要な社会インフラであり、食品物流はその中でも特重要なインフラといえる。食品物流は、我々が日々口する食料を取扱うことから、衛生はもちろん、安定供給対する社会的希求が大きい。一方で、物流業界はカーボンニュートラルや2024 年問題等の社会的課題を抱えており、安定的かつ安全安心なインフラの維持そのものが大きなテーマともなっている。
当社は、創業以来「食卓、あふれる笑顔をもたらしたい!」の経営理念のもと、「皆様の食卓安全と安心をお届けする」をパーパス(社会的存在意義)として、自社の取り巻く環境や様々な社会的課題向き合っている。特重要な課題を「食の安全と品質の向上」、「安定的な物流と物流システム最適化の実現」、「環境負荷の軽減」、「従業員の働きがいと幸せの実現」、「社会的責任と社会貢献の遂行」の5つとし、重点課題 向けた取組みを軸積極的な事業活動を行い、パーパス実現と事業発展の両立を図っている。
〇重点課題と主な活動
企業理念 食卓、あふれる笑顔をもたらしたい!
企業方針 Think ahead 将来 ついて語ろう 現状維持はありえない 新しい時代 向かって挑戦しよう
Think around 家族、仲間、お客様 感謝しよう 自分一人では何もできない みんな支えられて生きている Think happiness 私たちの幸せを実現しよう 自分たちが幸せなれず 、みんなを幸せ はできない
パーパス(社会的存在意義) 皆様の食卓 安全と安心をお届けする
重点課題 | 取組み | 主な活動 |
食の安全と品質の向上 | 食品を安心安全食卓届けることができる衛生品質と輸送品質の確保 | ・ 物流体制の確立による衛生品質の確保 衛生管理の徹底 荷室のユニフレーム化 3温度帯でのサプライチェーンマネジメント 等 ・ 安全運行の徹底による輸送品質の確保 運行モニタリングの実施 安全運行キャンペーンの実施 等 |
安定的な物流と物流システム最適化の実現 | 正確迅速な輸送体制の確保と社会全体の輸送の最適化を図る物流システムの構築 | ・顧客ニーズに沿った多彩な物流システムの提供 共同配送の実施 3PL ソリューションの提供 24 時間 365 日運用体制の確立 物流センター毎運用効率を管理 等 ・災害時も食の輸送を維持できる体制の構築 自社給油スタンドの設置、災害強い立地の選定 等 |
環境負荷の軽減 | 輸送伴う環境への影響の最小化 | ・ トラック装備・運行効率の改善による環境負荷の軽減 荷室の長寿命化タイヤのリユース 低燃費かつ低排出ガス認定を受けたトラックおよびロングライフオイルの使用よる環境負荷軽減 安全運行キャンペーンの実施 等 ・事業所における省エネ・廃棄物削減への取組み 電力消費量削減の取組み 全営業所でのグリーン経営認証取得廃棄物削減の取組み 等 ・ 物流リソースの効率運用による環境負荷の軽減 共同配送よる配送ルートの効率化 物流センターの運営 等 |
従業員の働きがいと幸せの実現 | 従業員の働きがいや幸せを提供できる風土の醸成 | ・ 福利厚生制度の充実 社員共済会、慶弔見舞金、社内医療費給付制度等、各種制度の導入 自社保養所の運営、保養施設割引制度、部活動等の実施 等 ・ 労働環境の改善 働きやすい職場認証制度で二つ星を取得業務時間の削減 賃金制度の改善 給与体系見直し、親孝行手当・子供手当等の導入 等 ・ キャリア支援の実施 経験のない従業員の免許取得支援、各種資格取得支援制度・奨励金制度等の導入 等 ・ 積極的な人員雇用 女性ドライバー・高齢者・外国籍者の採用強化と就労の場の提供 等 |
社会的責任と社会貢献の遂行 | 法令や社会的規範の遵守、社会貢献活動を通じた、地域社会・地域経済の発展への寄与 | ・ 組織活性化や社会的取組みに対する啓蒙活動 グループ企業横断的な啓蒙活動 等 ・ 各種法律・社会規範遵守の徹底 デジタルタコグラフよる運行モニタリングの導入安全運行キャンペーンの実施 全営業所で安全優良事業所(G マーク)認定向けた取組み 等 ・ 積極的な社会貢献活動の実施 地元小学校へのクリアファイル・防犯ステッカー・集金袋の配布トラック親しみやすい花柄デザイン採用 地元女子ラグビーチーム対するスポンサー支援 等 |
(1) 食の安全と品質の向上
品質方針 店舗配送 おいては、配送先のお客様との信頼関係を築くべく、「挨拶」「最適な配送時間でのお届け」「報告・連絡・相談」を徹底します。
また、センター間輸送や市場への配送 おいても、各センターのルールを知り尽くしたプロドライバーならではの品質の高い輸送を実現します。
⮚ 物流体制の確立による衛生品質の確保
食品物流おいて食品の品質影響を及ぼす要因として、温度、湿度、ガス組成、微生物、光、風、振動衝撃等が考えられ、その品質管理おいては、対象品目ごとの特性を十分理解したうえで、適切な条件下での保存と取扱いが求められる。特、適切な温度管理が食品の品質大きく関わるため、食品の保管や配送時細かな温度管理が求められる。
当社は、創業以来食品物流特化しており、取扱い実績のある品目も多くそれぞれの特性対する知識や取扱いノウハウの蓄積が豊富である。当社物流センターおよび各施設では、それら蓄積されたノウハウを活かし、温度管理、湿度管理、外気との遮断等それぞれの商品ふさわしい管理を徹底している。また、xxxx 11 拠点ある物流センターはいずれも消費地近く立地し、その拠点ネットワークを活かし迅速
食品を消費者 届けることを可能としている。
衛生管理の徹底
・食品衛生法等の法令に基づいた衛生管理の徹底
食品 直接触れる庫内・車内作業スタッフの手洗い・消毒・身だしなみチェック、コンテナやパレットの清掃等の徹底
・食品特性に応じたきめ細やかな温度管理
庫内・車内温度計を設置し、温度管理の徹底定期的な機器のメンテナンスの実施
・入庫品の期日管理とトレーサビリティーの実施
荷室のユニフレーム化
▲当社荷室ユニフレーム断面
▲一般的な荷室フレーム断面
▲ユニフレーム荷台を掲載したトラック
・超高断熱性能・外気に晒されるリスクが低く衛生的な荷室
荷室全体を継ぎ目を無くした一体成型(モノコック)構造、断熱材として硬質ウレタンを注入発泡
・長寿命化で環境負荷軽減にも貢献
破損の際の部分補修や荷室の載せ替えが容易なことで、長寿命化を実現
3温度帯でのサプライチェーンマネジメント
・3温度帯(ドライ・冷蔵・冷凍)対応可能な倉庫・トラックを保有
トラックは、3温度帯対応加え抗菌加工された車両を導入
・常に最適な温度帯で管理の実現
食品の入荷・保管・トラックへの積み込み・配送までの物流工程の温度管理を徹底
・品質や鮮度を保った輸送の実現
取扱う食品毎適した温度管理を徹底
▲冷凍・冷蔵車両内部の様子
⮚ 安全運行の徹底による輸送品質の確保
輸送中の振動衝撃、すなわち安全運行を可能とする輸送技術が取扱う食品の品質ダイレクト影響を与える。当社は食品輸送の経験が豊富なドライバーが多く在籍し、運転技術のみならず取扱う食品の特性を十分把握した運搬技術も有しており、食品輸送のプロドライバーとして活躍している。当社は安全運行より常均一な輸送品質を保つため、ドライバーの運行管理や啓蒙活動力を入れている。
運行モニタリングの実施
・ドライバーの運行状況のモニタリング
デジタルタコグラフ・GPS・ドライブレコーダー等 よる運転時間・急発進急ブレーキ等をモニタリング
・運転特性に応じた安全運転指導の徹底
・モニタリングデータを運行管理にも活用
荷待ち時間等の運行データを活用し運行効率が改善
安全運行キャンペーンの実施
運行管理の様子
(2) 安定的な物流と物流システム最適化の実現
・安全運行キャンペーンを実施
・社員の表彰
安全運転や燃料使用量削減等 大きく貢献した社員を表彰
・社員の意識向上
安全運転意識の向上、事故減少、燃費向上が実現
業務維持方針 災害時でも、24 時間 365 日食品サプライチェーンを維持する管理体制を実現します。
⮚ 顧客ニーズに沿った多彩な物流システムの提供
食品物流は、人々の生活を支える重要な社会インフラとして持続可能な発展が求められている。当社は物流センター・倉庫・トラック・オペレーション部門を有し、物流センターからの入出庫管理・輸送まで幅広い物流サービスをxx的提供することが可能であり、地域密着した安定的かつ高品質な物流とコスト削減の両立を実現している。
共同配送の実施
共同配送のイメージ
チェーンストア A
チェーンストア B小売店
共同配送センター
届け出先ごと 仕分けし、1台の車両でコースごと配送
食品問屋
食品問屋
食品メーカーB
食品メーカーA
当社は関東エリア 特化した集約的な事業拠点展開を行っており、集荷先や配送先も各エリア内集中している。この特性を活かし、当社は➀特定の商品や地域を対象まとめて一緒届け先へ配送、➁同業他社と物流拠点を共同利用した同一ルートへの配送の一元化、の双方を実現している。更、当社の共同配送はドライ・冷蔵も
共同配送を支えるピッキングシステム
共同配送では、取扱商品・納品先が多数あり、商品の仕分けは複雑化する
ピッキングシステムを導入する事で、商品や荷物を取り出すピッキング作業の効率化を図っている
対応していること、エリア毎倉庫やトラックの効率運用が図りやすいことが特徴である。共同配送より複数の企業の荷物を一括で積載できるためスペースの有効活用が可能となり、配送効率が向上する。トラックの積載率の向上は、物流業界のドライバー不足の解消を始めとした業界の課題解決だけでなく、輸送効率向上よるコストメリットもつながっている。
3PL ソリューションの提供
調達物流業務
運送業務
仕入れ業務
3PL 企業
倉庫業務
運送業務
流通加工業務
調達物流
運送業者仕入れ
3PL のイメージ
従来の流通の流れ
倉庫業者(在庫管理・保管・荷役)運送業者(一般貨物・路線・宅配)
流通加工業者(梱包・荷役)
3PL
顧客
荷主
顧客
荷主
当社の物流ノウハウを基、荷主企業代わって第三者(サードパーティー)が効率的な物流システム構築の提案を行い、物流業務の企画・設計・運営の全体を包括して請け負う 3PL(Third Party Logistics)を提供している。顧客と同じ立場たったパートナーとして、共問題取組み全体最適化した物流システムを構築することより、商品や地域の特性や消費者のニーズ即した流通の提供を可能としている。
24 時間 365 日運用体制の確立
▲物流センター内の様子
・3交代制による物流センターおよび輸送の運用
・衛生的で安心安全な輸送
24時間 365 日運用を実施することで、食品の鮮度を保ち、旬なものを旬な時期 届ける事を実現
物流センター毎に運用効率を管理
▲熊谷第一物流センター
・物流センター毎に運用目標設定、
・商品回転率の改善、品質の向上
取扱商品や立地等の特性を踏まえた入出庫、保管料、荷役料の管理等より運用の質が向上
⮚ 災害時も食の輸送を維持できる体制の構築
災害発生時の食の確保は被災者の命を守るため最も重要な要素の一つであり、物流業者とって災害時強い食品供給体制を構築することが重要となる。
当社は、運行管理データのバックアップや非常時電源の整備よる災害時のオペレーション体制の確保、インフラ断絶時でも運用できる自社給油スタンドを本社設置、災害時地域業界組合内で軽油等燃料
を融通しあう協定の締結、災害時対策マニュアルの策定等、災害時でも運行可能なインフラや体制を整え
ている。また、物流センター設置の際は、災害の少ない立地条件を十分検討したうえで複数道路からのアクセスを可能な場所とする等、災害強い拠点づくり取組んでいる。
(3) 環境負荷の軽減
環境方針 輸送 伴いトラックから排出される温室効果ガスや倉庫の運営よる電力消費・配送資材の破棄など、物流活動は環境 多大な負荷を与えます。私たちはこれらを社会的な責任と捉え、重要課題として取り組みます。
その上で、社会の一員としてより良い未来を作る一助となる社会貢献活動を活発化します。
当社では、様々な種類のトラックを保有しており、その台数は 269 台 上る。冷蔵や冷凍の倉庫や荷室で
はフロンガスを使用しており、また毎日運行するトラックからは排気ガスから CO2 が排出され、廃タイヤ等の廃棄物が発生する等、物流インフラを維持していくためは環境への負荷は避けられない。当社は、事業活動を維持発展させつつも環境負荷の軽減を実現することを重要な使命と捉え、取組みを強化している。
⮚ トラック装備・運行効率の改善による環境負荷の軽減
先紹介した荷室のユニフレーム化より気密性の高い荷室となっていることから、温度調整伴うフロンガスの使用量の削減を実現している。加えて、ユニフレーム荷室はアルミパネル製比べて頑強で長寿命かつ部分的な修理も平易なことからから、廃棄物の削減もつながっている。
また、安全運行キャンペーンや、デジタルタコグラフのデータを分析し各ドライバーの特性を把握したうえでの省エネ運転の指導、ドライバーの運行管理等より、運転技術・意識の向上が図られ、日々のトラック運行の運行効率の改善や燃費向上よる環境負荷の軽減が図られている。
他も、トラック設備の改善や消費財の見直し取組むことで、「トラック運行のサービスと質の維持」と
タイヤのリユース
・リトレッドタイヤへの再生
摩耗したタイヤトレッドを巻付ける再生タイヤ
・大幅な環境負荷低減
タイヤの廃棄サイクルは2倍程度延長
「環境負荷の軽減」の両立の実現取組んでいる。
低燃費かつ低排出ガス認定自動車※の導入ロングライフオイル使用による環境負荷軽減
・全トラックが低燃費・低排出ガス自動車に基準に適合
▲低燃費かつ低排出ガスを示すシール
▲ロングライフオイル
▲ロングライフオイル
⮚ 事業所における省エネ・廃棄物削減への取組み
・エンジンオイルを全てロングライフオイルに切替え
性能はそのままで寿命を5~ 10%延す事が可能。オイルの廃棄量が大きく削減
※「エネルギーの使用の合理化関する法律」 基づく燃費基準の早期達成車か つ、国の定めた「低排出ガス認定実施要領」 基づく低排出ガス認定車
全営業所でグリーン経営認証※取得
・伊勢崎営業所を除く全営業所で認証取得
2022 年新規開設した伊勢崎営業所
は 2024 年 9 月 認定取得予定
※グリーン経営認証とは、交通エコロジー・モビリティ財団が認証機関となり、グリーン経営推進マニュアル
基づいて一定のレベル以上の取組みを行っている事業者を審査・認証登録を行うもの
当社拠点は、営業所9、物流センター11、事務所2を構え、各拠点での事業活動では、倉庫での温度管理や商品管理等電力消費を伴う業務も多い。全営業所でグリーン経営認証を取得し、事業状況や地域特性 応じて各拠点が独自かつ積極的地球環境保全や省エネ活動等取組んでいる。
電力消費量削減の取組み
・LED ライト導入
・こまめな電源オンオフ
・電動フォークリフトの導入 等
電動フォークリフト
廃棄物削減の取組み
梱包資材の再利用
分別管理の徹底
▲梱包資材は細かく刻んで緩衝材として再利用廃棄される梱包資材の 3 割の削減を実現
▲廃棄物は、工場敷地内で厳正分別・保管
・管理され、法令則った処理を実施
⮚ 物流リソースの効率運用による環境負荷の軽減
先述べたよう当社の物流拠点はエリア集約的展開していることから、配送ルートの集約や配送 距離の短縮を実現している。また、共同配送よりトラックの積載率が向上され、トラックの運行回数を削減することも可能としている。加えて、当社は、小型、中型、大型からトレーラーまで様々な大きさのトラッ クを所有していることから、積載量合わせた適切な大きさのトラック運用が可能となっている。このよう、物流リソースの効率的な運用を行うことで CO2 排出量の削減を図っている。
(4) 従業員の働きがいと幸せの実現
働きがい方針 グループ間の人材移動よるキャリア構築を図ります。
運送業は基本的労働集約型業種であり、従業員と配送先の顧客との信頼関係や従業員個人の技術・ノウハウ等が品質や安全大きな影響を与えている。従業員が働きがいをもっていきいきと働ける環境を提供することは当社事業を支える重要なファクターであり、ワークライフバランスの実現や従業員の育成等の各種制度の充実取組んでいる。
⮚ 福利厚生制度の充実
⮚特徴的な福利厚生制度社員共済会「さくら会」
誕生日、子供の出産、入学、永年勤続等 23 項目で給付金を支給 誕生日祝いとして会費を上回る給付還元、実質的な会費負担は無い
慶弔見舞金制度
一定の条件の疾病やケガ等で手術や入院、通院等 対し給付金を支給
健康診断・ストレスチェック
1年1回(夜間従事者は2回)健康診断とストレスチェックの受診
社内医療費給付制度
一定条件の下で会社が医療費を給付
保養所
草津保養所、提携保養施設の割引制度
部活動
ソフトボール部が活動中。社員の肉体的、精神的安定へのサポート 繋
がっている
▲福利厚生制度や職場のルール、安全衛生の取組み等をまとめたハンドブック
全社員が携行している
ソフトボール部の皆さん
・働きやすい職場認証制度取得
・労働環境改善に向けた取組みの強化と見える化の推進主な取組み
・業務時間の削減
2023 年度平均年間時間外労働:482.5 時
2023 年度平均年間有給休暇取得日数:6.7 日
・給与体系見直し
業務内容 より細分化された体系の導入
・各種手当の充実
子供手当:子供ひとり つき手当が支給
親孝行手当:75 歳以上の親を扶養している場
合、被扶養者ひとり つき支給
働きやすい職場認証制度※
自主性・先進性が評価される星二つの評価を取得
※国土交通省より選定された一般財団法人日本海事協会が職場環境や労働条件改善向けた取組みを認証する制度
⮚ 労働環境の改善
⮚ キャリア支援の実施
従業員の「やってみたい」を大切に、チャレンジする事を後押しする企業風土と文化が大きな特徴主なキャリア支援制度
・キャリアプランの提示
・各種免許や資格の取得支援制度・奨励金制度
ドライバー育成プロジェクト
会社が費用を負担し、働きながら中型・大型免許の取得を支援
・キャリア形成のバックアップ
充実した研修制度
「やりたい」思いを支援
グループ内企業への業種を超えた出向を可能とし様々な業種の職務を経験
当社 HP より
高齢者やワーキングマザーが働きやすい環境の整備
福利厚生の充実
各種資格取得支援の実施
体力・スキル・ライフスタイル 合わせた配車の実施 4t 以上のトラック は手積み・手降しの作業がない
配送エリアが関東圏内限定
等
▲倉庫内の作業手順表示の多言語化等、外国人も働きやすい環境を整備
⮚ 積極的な人員雇用
・従業員の定着 ・女性従業員・女性ドライバーの増加 ・高齢者外国籍者の雇用受入 ドライバー以外も高齢者でも就労できる業務を揃え、定年退職後就労 継続を希望すれば全て雇用受入 | 人数 | 割合 | |||
全従業員 | 845名 | 100.0% | |||
女性従業員 | 259名 | 30.7% | |||
女性ドライバー | 18名 | 2.1% | |||
60歳以上 | 93名 | 11.0% | |||
外国籍 | 63名 | 7.5% | |||
▲2024 年 2 月末現在の従業員の内訳 |
(5)社会的責任と社会貢献の遂行
社会的責任・地域貢献方針 地元資本の企業としては最大の雇用者数を抱えていることから、地域社会貢献対する責任を果たしていきます。
これまで述べてきたよう環境や社会、従業員への配慮・取組みは、パーパスの実現と同時、企業として従業員、取引先、社会等の利害関係者対する責任ある行動の実現もつながっている。こうした取組みの基盤として、当社は各種法律・社会規範等の遵守、社内統制、社会貢献等も積極的取組んでいる。
⮚ 組織活性化や社会的取組みに対する啓蒙活動
「Team めぐる」による活動
・親会社ナオヨシを頂点としたナオヨシグループ内企業の有志の集まりである「Team めぐる」を結成
・組織交流、社会貢献活動、SDGs、社会的責任等への啓蒙活動を通じ、グループ組織活性化に取組んでいる
▲「Team めぐる」の活動の紹介(グループ社内報より)
「Team めぐる」が中心となって設定したナオヨシグループの SDGs 目標
NAOYOSHI 2030 ナオヨシグループが目指す未来
私たちは国連が提唱する「持続可能な開発目標
(SDGs)」 賛同し、より豊かな社会の実現 向け、積極的な取り組みを行ってまいります。
1. 自己実現できる職場づくり
私たちは、社員それぞれの「こんな自分 なりたい!」という想いをサポートし、個々の可能性を最大限発揮できる職場環境をつくります。
2. 共創による価値の創造
繋がりが生み出す力は無限です。私たちは多くの人が繋がれる場を提供することで、一人一人の力を押し広げ、社会問題や企業課題 取り組みます。
3. 環境との調和
我々の生活はあらゆる自然環境とつながりを持つことで成り立っています。より良い環境を次世代 引き継ぐため 、持続可能な社会作り 貢献します。
親会社ナオヨシがグループ内のコンプライアンス他内部統制を徹底
・各種法律・社会規範の遵守の徹底
・法律や条例等に則った廃棄物処理等の徹底
・法令を遵守した安全運転の徹底
全営業所での安全優良事業所(G マーク)認定取得 向けた取組み
NASVA 適性診断予約システムを利用した適性診断や講習の義務付け
安全運行キャンペーン よる啓蒙活動 等
G マーク※
・本店営業所と伊勢崎営業所を除く全営業所で認証を取得
※輸送の安全確保積極的取り組む事業所を認定する制度。国が指定した機関(全日本トラック協会)が38の評価項目を設定 し、同機関内の安全性評価委員会おいて認定される
⮚ 各種法律・社会規範遵守の徹底
q
⮚ 積極的な社会貢献活動の実施
地元小学校の支援
集金袋・クリアファイル・防犯ステッカーの配布等を実施
地元ラグビーチームのサポート
熊谷市女子ラグビーチーム「アルカス熊谷」のオフィシャルスポンサー
資金面だけでなく選手の雇用、社員研修
等の支援を実施
地域に根差したトラックデザイン
▲新デザインのトラック
1990 年より採用されてきた旧デザイン
・2023 年、創業 60 周年を機に新デザインに一新
赤い花は熊谷市の市花である桜をグループ企業のコーポレートカラーの赤・青・紫色で染めたもの
・ひとめで見た人の心に残る花のデザイン
地域の皆様からは「幸せを呼ぶフラワートラック」とも呼ばれ親しまれている
1.UNEP FI のコーポレートインパクト分析ツールを用いた分析
当社の事業ついて国際標準産業分類( ISIC:International Standard Industrial Classification of All Economic Activities)おける「道路貨物運送業」「その他運送支援活動」として整理され、その前提のもと、 UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、ポジティブ・インパクト(●で表示) 及びネガティブ・インパクト
(●で表示)が下表「インパクトエリア/トピックの特定」のとおり分析された。
井ノ瀬運送の個別要因を加味して、当社のインパクトエリア/トピックを特定した。
ポジティブ・インパクトついては、事業を通じて安心安全な食を対外的提供していることから「健康および安全性」を追加、物流専門の運送業であり旅客の取扱がないことから「移動手段」を削除した。
【インパクトエリア/トピックの特定】 | 分析ツール より抽出された インパクトエリア/トピック | |||
インパクトカテゴリー | インパクトエリア | インパクトトピック | ポジティブ | ネガティブ |
社会 | 人格と人の安全保障 | 紛争 | ||
現代奴隷 | ||||
児童労働 | ||||
データプライバシー | ||||
自然災害 | ● | |||
健康および安全性 | ● | |||
資源とサービスの入手可能性、アクセス可能性、手ごろさ、品質 | 水 | |||
食料 | ||||
エネルギー | ||||
住居 | ||||
健康と衛生 | ||||
教育 | ||||
移動手段 | ● | |||
情報 | ||||
コネクティビティ | ||||
文化と伝統 | ||||
生計 | 雇用 | ● | ||
賃金 | ● | |||
社会的保護 | ● | |||
平等と正義 | ジェンダー平等 | |||
民族・人種平等 | ||||
年齢差別 | ||||
その他の社会的弱者 | ||||
社会経済 | 強固な制度・平和・安定 | 法の支配 | ||
市民的自由 | ||||
健全な経済 | セクターの多様性 | |||
零細・中小企業の繁栄 | ● | |||
インフラ | ||||
経済収束 | ||||
自然環境 | 気候の安定性 | ● | ||
生物多様性と生態系 | 水域 | |||
大気 | ● | |||
土壌 | ● | |||
生物種 | ● | |||
生息地 | ● | |||
サーキュラリティ | 資源強度 | ● | ||
廃棄物 | ● |
個別要因を加味した インパクトエリア/トピック | |
ポジティブ | ネガティブ |
● | ● |
● | |
● | |
● | |
● | |
● | |
● | |
● | |
● | |
● |
ネガティブ・インパクトついては、女性ドライバーの雇用環境改善努めていることから「ジェンダー平等」を追加した。一方で、当社事業が自然災害つながるような影響を及ぼす可能性は低いことから、「自然災害」への影響を削除した。また、各施設の立地が都市部近郊の物流集積地あること、運搬品目が限定的であること、廃棄物処理が適切行われトラックからの排気ガス以外外部影響を及ぼす有害物質の排出は極めて少ないこと、給油所地下タンクついて燃料漏洩リスクが低いタンクを採用しかつ定期的な気密漏洩検査の実施より燃料漏洩リスクは極めて小さいことから、「土壌」、「生物種」、「生息地」への影響を削除した。
⇒
3.特定されたインパクトエリア/トピックと当社事業活動等との関連性
UNEP FI のインパクト分析ツールから示されたインパクトエリア/トピックと当社の事業活動・業種特性等から、インパクトを特定する。
⮚ ポジティブ・インパクト
インパクト | 取組み内容 |
健康および安全性 | ・ 事業を通じ安全な食を安定的提供 等 |
雇用 | ・女性ドライバー・高齢者・外国籍者が働きやすい労働環境の整備 ・各種資格取得支援制度・奨励金制度等よる従業員資格取得の支援 ・トラック運転経験のない従業員対する運転免許取得支援制度等 よる就労支援 等 |
賃金 | ・給与体系見直しよる業界給与水準の底上げ 等 |
零細・中小企業の繁栄 | ・3温度帯でのサプライチェーンマネジメント・3PL ソリューション・共同配送の実施等よる安全・安心かつ安定的な物流システムの構築と維持運営 等 |
⮚ ネガティブ・インパクト
インパクト | 取組み内容 |
ジェンダー平等 | ・ワーキングマザーが働きやすい環境の整備 ・女性従業員・女性ドライバーの雇用拡大 等 |
健康および安全性 | ・全営業所でグリーン経営認証取得し、従業員の健康や安全配慮した事業運営の実施 ・24 時間体制の実施、温度管理の徹底、抗菌加工車両の導入等よる衛生管理徹底および食品の品質・安全の確保 ・安全運行キャンペーンの実施、デジタルタコグラフ・GPS・ドラレコよる運行モニタリングの導入等よる安全運行の徹底、交通事故・労災の撲滅および輸送品質の確保 等 |
社会的保護 | ・ 福利厚生制度の充実、各種手当の充実等よる女性・高齢者・外国人等あらゆる人が働きやすい労働環境の提供および雇用の促進等 |
気候の安定性大気 資源強度 | ・ 共同配送の実施、荷室のリユースとユニフレーム化、ロングライフオイルの使用等、トラック装備・運行効率の改善よる環境負荷の軽減 ・ 全営業所でのグリーン経営認証取得、照明 LED 化や小まめなスイッチオフよる電力消費量の削減等、事業所おける省エネへの取組み 等 |
廃棄物 | ・ 荷室のリユース、ロングライフ対応可能なオイルの使用、再生タイヤの導入等よる業務上発生する廃棄物の削減 等 |
特定したインパクト対し、以下のとおり KPI を設定する。KPI は別途標記があるものを除きいずれも 2033 年度までの目標とする。
No. | 1 | |
インパクトエリア | 賃金 | |
目的・テーマ | 従業員の働きがいと幸せの実現 | |
取り組み内容 | 給与体系見直しよる業界給与水準の底上げ | |
KPI | 正社員平均年間賃金の運送業平均年間賃金※比+5%維持(2023 年度実績: +3.7%) ※全日本トラック協会が発表する運転者、事務員、荷扱手、整備・技能員までの全職種の 平均賃金年間賞与の 1 ヵ月平均額を加えた額 | |
対応する SDGs (ターゲット) | 8.1 各国の状況応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特後発開発途上国は少なくとも年率 7%の成長率を保つ。 8.5 2030 年まで、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならび同一労働同一賃金を達成する。 10.1 2030 年まで、各国の所得下位 40%の所得成長率つい て、国内平均を上回る数値を漸進的達成し、持続させる。 |
No. | 2 | |
インパクトエリア | 健康および安全性、零細・中小企業の繁栄 | |
目的・テーマ | 食の安全と品質の向上、安定的な物流と物流システム最適化の実現、社会的責 任・社会貢献の遂行 | |
取り組み内容 | 3温度帯でのサプライチェーンマネジメントの提供よる安全・安心かつ安定的な物流システムの構築 | |
KPI | 3温度帯でのサプライチェーンマネジメントの新規取引獲得件数 9件/年以上 (2023 年度実績 :8件) | |
対応する SDGs (ターゲット) | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクター重点を置くことなどより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030 年まで各 |
国の状況応じて雇用及び GDP 占める産業セクターの割合を大幅増加させる。後発開発途上国ついては同割合を倍増させる。 11.2 2030 年まで、脆弱な立場ある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズ特配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善より、すべての人々、安全かつ安価で容易利用できる、持続可能な輸送システ ムへのアクセスを提供する。 |
No. | 1 | |
インパクトエリア | 健康および安全性 | |
目的・テーマ | 食の安全と品質の向上、社会的責任・社会貢献の遂行 | |
取り組み内容 | ➀ 全営業所おける従業員の健康や安全配慮した事業運営の実施 ➁ 安全運行・安全管理の徹底よる交通事故・労災の撲滅 | |
KPI | ➀ 2027 年度末までの全事業所でのGマーク認定の取得および継続取得(2023年度実績:本社営業所と伊勢崎営業所を除く全営業所で認定取得済) ➁ 重大な労災事故発生件数 3件/年以内(2023 年度実績:6件) | |
対応する SDGs (ターゲット) | 3.6 2020 年まで、世界の道路交通事故よる死傷者を半減させる。 8.8 移住労働者、特女性の移住労働者や不安定な雇用状態 ある労働者等、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
No. | 2 |
インパクトエリア | 気候の安定性・大気・資源強度 |
目的・テーマ | 環境負荷の軽減 |
取り組み内容 | ➀ 各事業所おける環境負荷軽減への取組みの強化・徹底を図る ➁ 電動フォークリフトへの入替促進を図る |
KPI | ➀ 全営業所のグリーン経営認証の継続取得 ➁ 2029 年末まで電動フォークリフト導入率 100%達成 (2023 年度実績: 96.0%) |
対応する SDGs (ターゲット) | 3.9 2030 年まで、有害化学物質、ならび大気、水質及び土壌の汚染よる死亡及び疾病の件数を大幅減少させる。 11.6 2030 年まで、大気の質及び一般並びその他の廃棄物の管理特別な注意を払うことよるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 12.4 2020 年まで、合意された国際的な枠組み従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅削減する。 12.5 2030 年まで、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再 利用より、廃棄物の発生を大幅削減する |
No. | 3 | |
インパクトエリア | 廃棄物 | |
目的・テーマ | 環境負荷の軽減 | |
取り組み内容 | トラック荷室のユニフレーム化よる荷室寿命の長期化および廃棄物の削減 | |
KPI | 2034 年末までトラック荷室のユニフレーム採用率 100%達成(2023 年度実 績:96.0%) | |
対応する SDGs (ターゲット) | 11.6 2030 年まで、大気の質及び一般並びその他の廃棄物の管理特別な注意を払うことよるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 12.4 2020 年まで、合意された国際的な枠組み従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅削減する。 12.5 2030 年まで、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再 利用より、廃棄物の発生を大幅削減する。 |
3.ポジティブ・インパクトの伸長・拡大およびネガティブ・インパクトの緩和・低減
No. | 1 | |
インパクトエリア | 雇用、ジェンダー平等 | |
目的・テーマ | 従業員の働きがいと幸せの実現 | |
取り組み内容 | 女性ドライバーの働きやすい労働環境の整備 | |
KPI | 女性ドライバー新規採用数 毎年4名以上採用(2017 年~2023 年平均実績:3 名) | |
対応する SDGs (ターゲット) | 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定おいて、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 8.5 2030 年まで、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならび同一労働同一賃金を達成する。 10.2 2030 年まで、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 |
No. | 2 | |
インパクトエリア | 賃金、社会的保護、ジェンダー平等 | |
目的・テーマ | 従業員の働きがいと幸せの実現 | |
取り組み内容 | あらゆる人が働きやすい労働環境の提供よる雇用の促進 | |
KPI | 非正規雇用者の正社員への転換数 2034 年2月末まで 20 名以上(2023 年度実績:4名) | |
対応する SDGs (ターゲット) | 5.1 あらゆる場所おけるすべての女性及び女児対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定おいて、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 8.5 2030 年まで、若者や障害者を含むすべての男性及び女 |
性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならび同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特女性の移住労働者や不安定な雇用状態 ある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年まで、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含 を促進する。 |
当社では、本ファイナンス取り組むあたり、井ノ瀬広和代表取締役社長が陣頭指揮を執り、総務人事課が中心となって、社内制度・計画・日々の業務や諸活動等を棚卸しすることで、社内の事業活動とインパクトレーダーや SDGs との関連性、KPI の設定ついて検討を重ねた。
本ファイナンス実行後おいても、井ノ瀬社長を最高責任者とし、総務人事課が中心となり、KPI 達成向けて役員会議をはじめとした諸会議・ミーティングで社内浸透させることで各部署へ施策を展開する。
最高責任者 | 代表取締役社長 井ノ瀬広和 |
担当部署 | 総務人事課 |
本ファイナンスの実行あたり設定した KPI ついては、当社と(株)八十二銀行ならび(一財)長野経済研究所が少なくとも年1回の頻度でその進捗状況及び達成状況を確認・共有する。
(株)八十二銀行は、自行が持つノウハウやネットワークを活用し、当社の KPI の達成を適宜サポートする予定である。
モニタリング期間中一度達成した KPI ついては、その後も引き続き達成水準を維持していることを確認する。なお、当社の事業環境の変化等より設定した KPI が実情そぐわなくなった場合は、当社と
(株)八十二銀行ならび(一財)長野経済研究所が協議し、再設定を検討する。
本評価書の記載のとおり、当社の企業活動は、社会・環境・経済対するポジティブな成果の伸長とネガティブな影響の緩和・軽減寄与するものであり、これらを支援するためのサステナビリティ推進及びモニタリング体制ついても十分であると、(一財)長野経済研究所では判断する。
なお、本評価書の十分性を含め、ファイナンス全体係る UNEP FI の「ポジティブ・インパクト金融原則」等への準拠性ついては、別途、(株)日本格付研究所の第三者意見書より確認を受けるものである。
以 上
本評価書関する重要な説明
1. 本評価書は、(一財)長野経済研究所が(株)井ノ瀬運送から委託を受けて作成したもので、(一財)長野経済研究所が(株)井ノ瀬運送対して提出するものです。
2. 本評価書の評価は、依頼者である(株)井ノ瀬運送から供与された情報と、(一財)長野経済研究所が独自収集した情報基づく基準日現在での計画または状況対する評価で、将来おけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、(一財)長野経済研究所は本評価書を利用したことより発生するいかなる費用または損害ついて一切責任を負いません。
<本評価書関するお問い合わせ先>
〒380-0936 長野市岡田 178-13 八十二別館3階一般財団法人長野経済研究所
経営相談部 コンサルティンググループ上席コンサルタント 中沢成樹
Tel:026-224-0501 Fax:026-224-6233
第三者意見書
2024 年 6 月 28 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社井ノ瀬運送に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社八十二銀行 |
評価者:一般財団法人長野経済研究所 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省のESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、八十二銀行が株式会社井ノ瀬運送(「井ノ瀬運送」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、長野経済研究所による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できること、なおかつネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシアティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、インパクト分析ツールを開発した。八十二銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際し、長野経済研究所と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、八十二銀行及び長野経済研究所にそれを提示している。なお、八十二銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクトエリア/トピックにおける社会経済に関連するインパクトの観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目
的とした中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できること、なおかつネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
八十二銀行及び長野経済研究所は、本ファイナンスを通じ、井ノ瀬運送の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクトエリア/トピックおよび SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、井ノ瀬運送がポジティブな成果を発現するインパクトエリア/トピックを有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、八十二銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 八十二銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:八十二銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、八十二銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、八十二銀行からの委託を受けて、長野経済研究所が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て長野経済研究所が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、長野経済研究所が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面の
インパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である井ノ瀬運送から貸付人である八十二銀行及び評価者である長野経済研究所に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト
川越 広志
担当アナリスト
望月 幸美
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026