第 3 条 総長は、委員会の意見を聴いて治験の実施を決定した後、依頼者と研究受託契約書(MCC様式 A-1)により契約を締結するものとする。
平成 26 年 4 月 1 日一部改正
治 験 編
第 1 章 総 長
(治験委託の申請等)
第 1 条 総長は、治験を依頼しようとする者(以下「依頼者」)と治験責任医師として治験の担当を希望する医師(以下「責任医師」)との合意の成立を確認後、依頼者及び申請医師から治験依頼書(統一書式 3)を、受託研究審査委員会業務手順書第 4 条 1 項に掲げる最新の資料とともに提出させるものとする。
2 総長は、前項の依頼、申請内容について、病院運営等における影響の有無、その程度及び当該治験をがんセンターで実施する必要性等を勘案し、これを受理するかどうかを決定するものとし、不受理の決定をした場合においては、その理由を記し当該治験の依頼者及び申請医師に対して文書でこれを通知するものとする。
3 総長は、前項の決定にあたり、第 1 項に基づいて提出された依頼書及びその提出資料の内容の変更、補充等によりこれを受理することが適当と判断したときは、依頼者及び申請医師に対し、必要な変更、補充等を求めるものとする。
4 総長は、治験の実施を決定したときは、申請医師が作成提出した治験分担医師・治験協力者xxx(統一書式 2)を了承するものとする。総長は了承した治験分担医師・治験協力者xxx(統一書式 2)に記名押印又は署名の上、申請医師に交付し、その写しを保存するものとする。また、当該治験の依頼者に了承した治験分担医師・治験協力者xxx(統一書式 2)の写しを送付すること。
5 総長は人事異動等による治験責任医師等の変更がある場合には、依頼者に事前に連絡すること。
(治験実施の決定等)
第 2 条 総長は、治験の実施を決定する前に、治験審査依頼書(統一書式 4)及び前条第 1 項の最新の資料を委員会に提出し、治験の実施について委員会の意見を求めるものとする。
2 総長は、委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、症例報告書、説明文書(同意文書を含む)並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく総長の指示、決定を、依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする。
3 総長は、委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び依頼者が治験実施計画書を修正した場合には、依頼者及び治験責任医師に治験実施計画書等修正報告書(統一書式 6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、治験実施計画等修正報告書(統一書式 6)も写しと該当する資料を受託研究審査委員会に提出し、受託研究審査委員会は修正事項が了承の条件を満たしていることを確認するものとする。
4 総長は、委員会が治験の実施を不承認として却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を決定することはできない。総長は、治験を実施できない旨の決定を、依
頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする。
5 総長は、受託研究審査委員会が治験の実施を保留した場合は、保留理由に対して依頼者及び治験責任医師に回答書及び当該関連資料を提出させ、再度受託研究審査委員会の意見を求めるものとする。
6 総長は、依頼者から委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書、症例報告書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
7 総長は、受託研究審査委員会が治験の審査結果について異議がある場合には、受託研究審査委員会から通知を受けた日から原則として 2 週間以内に、理由書を添えて受託研究審査委員会に再審査を請求することができる。
(治験実施の契約等)
第 3 条 総長は、委員会の意見を聴いて治験の実施を決定した後、依頼者と研究受託契約書(MCC様式 A-1)により契約を締結するものとする。
2 委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合、総長は第 2 条第 3 項の治験実施計画書等修正報告書(統一書式 6)により受託研究審査委員会が修正したことを確認した後、研究受託契約書(MCC 様式 A-1)により契約を締結するものとする。
3 総長は、契約内容の確認のため、治験責任医師に研究受託契約書(MCC 様式 A-1)に記名押印又は署名させるものとする。
4 研究受託契約書(MCC 様式 A-1)の内容を変更する際、本条第 1 項に準じて研究受託変更契約書(MCC 様式A-2)により契約を締結するとともに、前項に規定する治験責任医師の確認を求めるものとする。
5 受託研究契約書(MCC 様式 A-1)には、依頼者が総長及び治験責任医師又は総長に通知しなければならない事項として次のとおり定めるものとする。
(1) 依頼者は、被験薬について法第 80 条の 2 第 6 項の規定に基づく法施行規則第
273 条第 1 項第 1 号、第 2 号イ及びロに掲げる副作用・感染症症例(以下「副作用等症例」)
並びに法施行規則第 273 条第 1 項第 2 号イ(1)から(5)までに掲げる当該被験薬等の副作用等症例であって治験薬概要書から予測できるものを知ったときは、その発現症例一覧等を当該被験薬ごとに、当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して 1 年ごとに、その期間満了後 3 月以内に治験責任医師及び総長に通知すること。
但し、製造販売後臨床試験にあっては法第 77 条の 4 の 2 に規定する事項を知ったときとする。
(2) 依頼者は、GCP 省令第 20 条第 2 項に規定する事項のうち当該被験薬の治験薬概要書から予測できないものを知ったときは、直ちに治験責任医師及び総長に通知すること。なお、治験薬概要書から予測できる副作用等症例のうち規制当局より要請があったものについては、直ちに当該副作用等症例を治験責任医師及び総長へ通知すること。
(3) 依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を総長に文書により通知すること。
(4) 依頼者は、治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第 14 条第 3 項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を総長に通知すること。
6 総長は、本条に定める契約の締結後でなければ、治験を実施してはならない。
(治験の変更)
第4条 総長は、治験期間中、依頼者及び治験責任医師から委員会の審査の対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合には、依頼者及び治験責任医師から、それらの当該文書の全てを速やかに提出させるものとする。
2 総長は、依頼者及び治験責任医師より治験実施計画書の変更又は契約の内容の変更につき治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更の申請(統一書式 10)があった場合は、委員会にその旨を審査依頼(統一書式 4)するものとする。
(治験期間の延長)
第 5 条 総長は、依頼者及び治験責任医師から治験期間を延長したいとの申し出(統一書式 10)があった場合は、委員会に意見を求めるものとする。
2 総長は、委員会が治験期間の延長を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく総長の指示、決定を、依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする。
3 総長は、委員会が治験期間の延長を不承認とする決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験期間の延長を決定することはできない。総長は、治験期間を延長できない旨の決定を、治験依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第 6 条 総長は、治験責任医師より緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱又は変更(以下「逸脱等」)の報告(統一書式 8)があった場合は、委員会の意見を求め(統一書式 4)、総長の指示、決定を、依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする
なお、当該逸脱等については、依頼者の文書による合意を得た上で、これを治験責任医師に通知するものとする。
(重篤な有害事象の発生)
第 7 条 総長は、治験責任医師より重篤な有害事象発生の報告(統一書式 12-1、12-2。但し、製造販売後臨床試験にあっては、統一書式 13-1、13-2、医療機器の場合あっては、統一書式 14)があった場合は、治験責任医師が判定した治験薬との因果関係並びに予測性を特定する。また、重篤な有害事象の報告があった場合には、治験の継続の可否について、委員会の意見を求め、総長の指示、決定を依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)
又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)によりを通知するものとする。
(重大な新たな安全性に関する情報の入手)
第 8 条 総長は、依頼者より新たな安全性に関する報告書(統一書式 16)を入手した場合は、治験の継続の可否について委員会の意見を求め、総長の指示、決定を治験依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により通知するものとする。
また、治験責任医師から、被験者が治験に継続して参加するかどうかについてその意思に影響を与えると認められる情報を入手し、これに基づき説明文書(同文書を含む)を改訂した旨の報告があった場合も同様とする。
なお、被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な新たな情報には、以下のものが含まれる。
(1) 他施設で発生した重篤で予測できない副作用
(2) 予測できる重篤な副作用の発現頻度の増加
(3) 生命を脅かすような疾患に使用される治験薬が、その効果を有さないなどの情報
(4) 変異原性、がん原性あるいは催奇形性など、被験者に重大な危険を示唆する成績
(継続審査)
第 9 条 総長は、治験の期間が 1 年を超える場合には、被験者に対する危険の程度に応じて、
少なくとも 1 年に 1 回の頻度で治験が適切に実施されているか否かについて委員会の意見を聴くものとする。この場合、治験責任医師に治験実施状況報告書(統一書式 11)を提出させ、委員会の審査資料とする。
2 総長は、委員会から継続審査の結果の通知を受けた場合は、これに基づく総長の指示、決定を依頼者及び治験責任医師に治験審査結果通知書(統一書式 5)
により通知するものとする。受託研究審査委員会の決定と総長の指示・決定が異なる場合は、治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)を作成し、治験審査結果通知書(統一書式 5)の写しを添付して依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。修正を条件に承認する場合には、第 3 条第 3 項に準じるものとする。
3 総長は、受託研究審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、受託研究審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験審査結果通知書(統一書式 5)の写しを添付して、依頼者及び治験責任医師に通知するものとする。
4 総長は、依頼者から受託研究審査委員会の継続審査等の結果を確認するために審査に用いた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(治験の中止、中断及び終了)
第 10 条 総長は、依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を文書で通知(統一様式 18)してきた場合は、治験責任医師及び委員会に開発の中止等に関
する報告書(統一書式 18)により、速やかに通知するものとする。
なお、通知の文書(統一書式 18)には、中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。
2 総長は、治験責任医師から治験を中止又は中断し、その旨を報告(統一書式 17)された場合は、依頼者及び委員会に治験終了(中止・中断)報告書(統一書式 17)により速やかに通知するものとする。
3 総長は、治験責任医師から治験の終了の報告(統一書式 17)があった場合には、
依頼者及び、委員会に治験終了(中止・中断)報告書(統一書式 17)により速やかに通知するものとする。
(直接閲覧)
第 11 条 総長は、依頼者によるモニタリング及び監査並びに委員会及び規制当局による調査を受け入れるものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、委員会及び規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
2 総長は、モニタリング及び監査実施の申出があった場合は、 必要に応じて依頼者にモニタリング及び監査の依頼書(参考書式2)及び結果報告書(MCC 様式 A-7)を提出させるものとする。
第 2 章 受託研究審査委員会
(受託研究審査委員会等の設置)
第 12 条 総長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、次に掲げる要件を満たす受託研究審査委員会をセンター内に設置する。
(1) 受託研究について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。
(2) 5 名以上 13 名以内の委員からなること。
(3) 委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。
(4) 委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。
2 総長は、委員会の委員を指名し、委員会の運営の手続き及び記録の保存に関する業務手順書を定めるものとする。
なお、依頼者から、委員会の業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応ずるものとする。
3 総長は、自らが設置した委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。
4 総長は、委員会の業務の円滑化を図るため、委員会の運営に関する事務及び支援を行う者を指名し、委員会事務局を設置するものとする。
5 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、自ら関わる治験の審査のための委員会の審
議及び採決に参加することはできない。
(外部治験審査委員会の選択)
第 13 条 総長は、院内の受託研究審査委員会以外の治験審査委員会(以下「外部治験審査委員会」)に調査審議を依頼する場合には、次の各号により適切に調査審議することが可能か確認するものとする。
(1) 調査審議を行うために十分な人員が確保されていること。
(2) 倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から審議及び評価することができること。
(3) 治験の開始から終了に至るまで一貫性のある調査審議が行えること。
(4) その他、GCP 省令等を順守するうえで必要な事項
2 総長は、前項の規定により外部治験審査委員会の GCP 省令等に関する適格性を判断するにあたり、当該外部治験審査委員会に関する以下の最新の資料を確認するものとする。
(1) 治験審査委員会標準業務手順書
(2) 委員名簿
(3) その他必要な事項。
3 総長は、第 2 条第 1 項の規定により意見を求める治験審査委員会として、GCP 省令第 27 条
(医療機器GCP 省令第46 条)第1 項第2 号から第4 号の治験審査委員会を選択する場合には、当該治験審査委員会に関する以下の事項について確認するものとする。
(1) 定款、寄付行為その他これらに準じるものにおいて、治験審査委員会を設置する旨の定めがあること。
(2) その役員(xxxx名称によるかを問わず、これと同等以上の職権または支配力を有する者を含む。次号において同じ。)のうちに医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること。
(3) その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ3分の1以下であること。ア. 特定の医療機関の職員その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
イ. 特定の法人の役員又は職員その他の当該法人と密接な関係を有する者
(4)治験審査委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。
(5)財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書その他の財務に関する書類をその事務所に備えて置き、一般の閲覧に供していること。
(6)その他治験審査委員会の業務のxxかつ適正な遂行を損なうおそれがないこと。
(外部治験審査委員会との契約)
第 14 条 総長は、外部治験審査委員会に治験の調査審議を依頼する場合には、当該外部治験審査委員会の設置者と事前に契約を締結する。
(外部治験審査委員会への依頼等)
第 15 条 総長は、外部治験審査委員会に調査審議を依頼する場合、当該外部治験審査委員会の求めに応じて関連する資料の提出等を行う。
2 総長は、調査審議依頼を行った治験について外部治験審査委員会より、治験概要等の説明を依頼された場合は当該治験の責任医師若しくは分担医師にこれを行わせる。
第 3 章 治験責任医師
(治験責任医師の要件)
第 16 条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなければならない。
(1) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施し得る者でなければならない。また、治験責任医師は、このことを証明する最新の履歴書を依頼者に提出するものとする。
(2) 治験責任医師は、依頼者から治験について事前の協議の申し入れがあったときは、受託研究事務局にその旨届け出なければならない。
(3) 治験責任医師は、依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通していなければならない。
(4) 治験責任医師は、薬事法第 14 条第 3 項、第 80 条の 2 に規定する基準(但し、製造販売後臨床試験にあっては薬事法第 14 条第の 4 第 4 項、第 14 条の 5 第 4 項に規定する基準とする。)及び本手順書を熟知し、これを遵守しなければならない。
(5) 治験責任医師は、依頼者によるモニタリング及び監査並びに委員会並びに規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(6) 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
(7) 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
(8) 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(9) 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリスト(統一書式 2)を作成し、総長に提出し、その了承を受けなければならない。
(10) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(被験者の選定)
第 17 条 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者の選定に当たって、次の事項に従わなければならない。
(1) 治験実施計画書の被験者の選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者
の選定に当たっては、人権保護の観点から、及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討されなければならない。
(2) 同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
(3) 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなければならない。
(被験者の同意の取得)
第 18 条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して次項に定める事項を記した同意説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意説明文書には、少なくとも以下の事項が含まれていなければならない。
(1) 治験が研究を伴うこと
(2) 治験の目的
(3) 治験の方法(治験の試験的側面、被験者の選択基準、及び無作為割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む)
(4) 被験者の治験への参加予定期間
(5) 治験に参加する予定の被験者数
(6) 予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせなければならない。)
(7) 患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予期される重要な利益及び危険性
(8) 治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療
(9) 治験への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者は、被験者の治験への参加を随時拒否又は撤回することができること。また拒否・撤回によって被験者が不利な扱いを受けたり、治験に参加しない場合に受けるべき利益を失うことはないこと
(10) 治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えられること
(11) 治験への参加を中止させる場合の条件又は理由
(12) モニター、監査担当者、委員会及び規制当局が原医療記録を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が記名押印又は署名することによって閲覧を認めたことになること
(13) 治験の結果が公表される場合であっても、被験者の秘密は保全されること
(14) 被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容
(15) 被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額算定の取決め等)
(16) 治験責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先
(17) 被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報が欲しい場合又は治験に関連する
健康被害が生じた場合に照会すべき又は連絡をとるべきがんセンターの相談窓口
(18) 被験者が守るべき事項
3 治験責任医師は、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる同意説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂するものとする。作成又は改訂された当該文書は、治験依頼者に提出され、予め委員会の承認が得られていなければならない。当該文書の作成及び改訂にあたっては、薬事法第 14 条第 3 項、第 80 条の 2 に規定する基準
(製造販売後臨床試験にあっては薬事法第 14 条第の 4 第 4 項、第 14 条の 5 第 4 項に規定する基準)、本手順書及びヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守しなければならない。
4 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者が記名押印又は署名をするものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名するものとする。
5 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って記名 押印又は署名された同意文書の写し及びその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意説明文書が改訂された場合は、治験責任医師 又は治験分担医師は、その都度、新たに前項の規定に従って記名押印又は署名した同意文書 の写し及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡さなければならない。
6 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
7 同意説明文書並びに説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、がんセンター、依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
8 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
9 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するように答えなければならない。
10 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意説明文書を改訂し、予め委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書により得なければならない。
注)重大な新たな安全性に関する情報の入手 第 8 条参照
11 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
12 被験者の同意取得が困難な場合は、次に掲げる各号を遵守するものとする。
(1) 同意の能力を欠く等により被験者の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例えば、未xx者や重度の痴呆患者を対象とする場合。)には、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の代諾者(被験者の配偶者、親権者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係からみて、被験者の最前の利益を図りうる者)に治験の内容等を同意説明文書を用いて十分説明し、治験への参加について文書による同意を得るものとする。この場合、同意に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示す記録を残すものとする。治験責任医師又は治験分担医師は、この場合にあっても、被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意文書への記名押印又は署名を得るものとする。
(2) 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者の代諾者が記名押印又は署名するものとする。
なお、治験協力者が補足的説明を行った場合には、当該治験協力者も記名押印又は署名するものとする。
(3) 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、記名押印又は署名された同意文書の写し及びその他の説明文書を被験者及び被験者の代諾者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、同意説明文書が改訂された場合は、治験責任医師又は治験分担医師は、その都度、新たに記名押印又は署名した同意文書の写し及び改訂されたその他の説明文書を被験者及び被験者の代諾者に渡さなければならない。
(4) 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、 治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者及び被験者の代諾者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
(5) 同意説明文書並びに説明に際して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、がんセンター、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
(6) 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者の代諾者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
(7) 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者の代諾者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者の代諾者が満足するように答えなければならない。
(8) 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者についても、当該情報を速やかに被験者の代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について、被験者の代諾者の意思を確認するとともに、改訂され、予め委員会の承認を受けた同意説明文書を用いて被験者の代諾者に改めて説明し、被験者の治験への参加の継続について被験者の代諾者から文書による同意を得なければならない。
(9) 治験への参加の継続について被験者又は被験者の代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者の代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について被験者の代諾者の意思を確認しなければならない。この場合にあっては、当該情報が被験者の代諾者に伝えられたこ
とが文書に記録されなければならない。
13 非治療的治験の場合は、次に掲げる各号を遵守するものとする。
(1) 次号に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的治験においては、必ず被験者本人から同意を得なければならない。
(2) 非治療的治験において、次のイからニに掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。
イ 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。ロ 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
ハ 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
ニ 代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
14 緊急状況下における救命的治験の場合は、次に掲げる各号を遵守するものとする。
(1) 緊急状況下における救命的治験であって、被験者から事前の同意を得ることが不可能である場合においては、被験者の代諾者からその同意を得るべきである。
(2) 被験者の事前の同意が不可能で、かつ、被験者の代諾者と連絡が取れない場合には、被験者の人権、安全及び福祉を保護し、薬事法第 14 条第 3 項、第 80 条の 2 に規定する基準及び本手順書の遵守を保証する方法が、治験実施計画書及びその他の文書並びに委員会の承認文書に記載されていなければならない。このような例外的な場合でも、被験者又はその代諾者に対し、できるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続に係わる同意及びその他の適切な事項について同意を求めなければならない。
15 被験者が同意文書等を読めない場合は、次に掲げる各号を遵守するものとする。
(1) 被験者又はその代諾者が説明文書(同意文書を含む)を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際してxxな立会人(がんセンター及び治験依頼者等の関係者以外の者で、当該説明内容を理解し、正常な判断のできるxx者)を要することとする。被験者又はその代諾者に対して、同意説明文書が渡され、その内容が口頭又は他の伝達方法により説明され、被験者又はその代諾者が被験者の治験への参加に口頭で同意し、さらに被験者又はその代諾者が同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入した後に、立会人も同意文書に記名押印又は署名し、自ら日付を記入することにより、被験者又はその代諾者が治験の内容等を理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証するものとする。
(2) 前号において、口頭及び文書による説明並びに同意文書には、xxな立会人が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
(被験者に対する医療)
第 19 条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 総長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書の合意及びその遵守)
第 20 条 治験責任医師は、治験実施計画書及び症例報告書について依頼者と合意する前に、依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書が改訂される場合も同様とする。
2 治験責任医師は、前項の検討の結果に基づき、依頼者と治験実施計画書及び症例報告書の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、依頼者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名押印又は署名するものとする。治験実施計画書及び症例報告書が改訂される場合並びに委員会の意見等により総長の指示に基づき治験実施計画書及び症例報告書を修正する場合も同様とする。
(受託研究審査委員会への文書提出)
第 21 条 治験責任医師は、依頼者からの治験依頼の申し出があった場合、依頼者との合意を行った後、総長に治験の実施を申請(統一書式 3)するものとする。
2 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、総長に治験の変更を申請(統一書式 10)するものとする。
3 治験責任医師は、研究の内容を変更したい場合、依頼者と十分協議した上で、総長に治験の変更を申請(統一書式 10)するものとする。
(総長の指示、決定等)
第 22 条 治験責任医師は、委員会が治験の実施を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施を承認し、これに基づく総長の指示、決定が文書(統一書式 5、又は参考書式 1)で通知された後に、その指示、決定に従って治験を開始しなければならない。
2 治験責任医師は、委員会が実施中の治験の継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の継続を承認し、これに基づく総長の指示、決定が文書(統一書式 5、 又は参考書式 1)で通知された場合は、その指示、決定に従って治験を継続しなければならない。
3 治験責任医師は、委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取り消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく総長の指示、決定が文書(統一書式 5、 又は参考書式 1)で通知された場合には、その指示、決定に従わなければならない。
4 治験責任医師は、委員会が何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく総長の指示、決定が文書(統一書式 5、 又は参考書式 1)で通知された場合は、依頼者と十分検討した上で、総長に治験実施計画書等修正報告書(統一書式 6)を提出するものとする。
5 治験責任医師は、委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく総長の指示、決定が文書
(統一書式 5、又は参考書式 1)で通知された場合は、総長に速やかに受託研究費執行計画書
(MCC 様式 A-3)を提出するものとする。また、当該治験の変更についても、受託研究費執行計画書(MCC 様式 A-4)を提出するものとする。
6 治験責任医師は、契約内容の確認のため研究受託契約書(MCC 様式 A-1)に記名押印又は署名するものとする。また、当該治験の変更契約(MCC 様式 A-2)についても同様とする。
(治験薬の使用等)
第 23 条 治験責任医師は、治験薬が承認された治験実施計画書を遵守した方法でのみ使用されることを保証しなければならない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験薬の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認するものとする。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第 24 条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験責任医師が依頼者との事前の文書による合意及び委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば、電話番号の変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。治験責任医師は、その理由等を説明した記録(MCC 参考様式 15)を作成して総長に提出し、その写しを保存しなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、依頼者との事前の文書による合意及び委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に総長及び総長を経由して委員会に緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(統一書式 8)を提出してその承認を得るとともに、総長の決定及び総長を経由して依頼者の合意を緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(統一書式 9)で得なければならない。
4 治験責任医師は、無作為割付の手順が規定されている場合にはこれに従い、治験薬割付記号
が治験実施計画書を遵守した方法でのみ開封されることを保証するものとする。盲検法による治験において予め定められた時期よりも早い段階での開封(事故による開封、重篤な有害事象のための開封など)を行った時は、治験責任医師はこれをその理由とともに速やかに総長及び総長を経由して委員会に緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(統一書式 8)を提出してその承認を得るとともに、総長の決定及び総長を経由して依頼者の合意を緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書
(統一書式 9)で得なければならない。
(症例報告書等の記録及び報告)
第 25 条 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を治験実施計画書の規定に従って作成し、記名押印又は署名の上、依頼者に提出しなければならない。また、依頼者に提出した症例報告書の写しを保存するものとする。
2 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書について、それらが依頼者に提出される前にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名押印又は署名するものとする。治験責任医師は、治験分担医師が行った症例報告書の変更又は修正についても点検し、問題がないことを確認しなければならない。
3 治験責任医師は、依頼者に提出する症例報告書及びその他の全ての報告書のデータが、正確、完全で、読み易く、提出の時期が適切であること、及び被験者の識別に被験者識別コードを用いていることを保証するものとする。
4 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものでなければならない。原資料との何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成して依頼者に提出し、その写しを保存しなければならない。
5 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書の変更又は修正に当たり依頼者から提供された手引きに従わなければならない。症例報告書のいかなる変更又は修正にも、押印又は署名がなされ、重大な変更又は修正については説明が記されなければならない。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない(すなわち、監査証跡として保存するものとする)。このことは文書及び電子データの変更又は修正の双方に適用される。
6 治験責任医師は、症例報告書の変更及び修正の記録を依頼者に提出し、その写しを保存しなければならない。
(治験中の報告等)
第 26 条 治験責任医師は、委員会の継続審査を受けるために、治験の現況の概要を年に 1 回又は委員会の求めに応じてそれ以上の頻度で、総長に研究に関する記録(統一書式 11)として提出しなければならない。
2 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、総長及び依頼者に速やかに報告書(MCC 様式 A-5)を提出しなければならない。
3 治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、全ての重篤な有害事象を総長及び依頼者に報告要件及び期
限を守って速やかに報告しなければならない。緊急報告の後に、重篤な有害事象に関する報告書(統一書式 12-1、12-2。但し、製造販売後臨床試験にあっては、統一書式 13-1、13-2、医療機器の場合あっては、統一書式 14)による詳細な報告を速やかに行うものとする。
4 治験責任医師は、報告した死亡例を含む重篤な有害事象又は副作用について、 依頼者、総長及び委員会から要求された追加の情報(剖検報告書、末期の医療記録及びその他必要とされる情報)をこれらに提出するものとする。
(治験の中止又は中断等)
第 27 条 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、治験責任医師は被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証しなければならない。
2 治験責任医師が治験を中止又は中断した場合には、治験責任医師は総長に速やかにその旨を文書(統一書式 17)で通知するとともに、中止又は中断について文書(統一書式 17)で詳細に説明しなければならない。
3 治験責任医師は、天災その他やむを得ない理由により治験の継続が困難となった場合は、総長に治験の中止の報告(統一書式 17)をするか、又は治験期間の延長を申請(統一書式 10)するものとする。
(治験の終了)
第 28 条 年度内に治験が終了した場合には、治験責任医師は総長にその旨を文書(統一書式 17)で通知し、治験結果の概要を文書(統一書式 17)で報告するものとする。
2 年度内に治験が終了しない場合は、総長に治験実施状況報告書(統一書式 11)を提出するものとする。
(記録の保存)
第 29 条 治験責任医師は、治験の実施に係る必須文書を総長の指示に従って保存しなければならない。(なお、これら保存の対象となる記録には、治験の実施に関する重要な事項について行われた治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等に関するものを含む。)
第 4 章 治験薬管理者
(治験薬の管理)
第 30 条 がんセンターにおける治験薬の管理責任は、総長が負うものとする。
2 総長は、治験薬を保管、管理させるため薬剤部長を治験薬管理者とし(但し、医療機器の治験にあっては副院長を治験機器管理者とする。)、センター内で実施される全ての治験の治験薬を管理させるものとする。
なお、治験薬管理者は必要に応じて治験薬管理補助者を指名し、治験薬の保管、管理を行うことができる。
3 治験薬管理者は、依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って、また本手順書を遵守して適正に治験薬を保管、
管理する。
4 治験薬管理者は次の業務を行う。
(1) 治験薬を受領し、治験薬受領書を発行する。
(2) 治験薬の保管、管理及び払い出しを行う。
(3) 研究薬出納表及び研究薬管理表を作成し、治験薬の使用状況、被験者からの未服用治験薬の返却状況及び治験進捗状況を把握する。
(4) 未使用治験薬(被験者からの未服用返却治験薬、使用期限切れ治験薬、欠陥品を含む)を依頼者に返却し、未使用治験薬返却書を発行する。
(5) その他、第 3 項の治験依頼者が作成した手順書に従う。
5 治験薬管理者は、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与されていることを確認する。
第 5 章 記録の保存責任者
(記録の保存責任者)
第 31 条 がんセンターにおいて保存すべき必須文書の記録の区分ごとの保存責任者は次のとおりとする。
(1)診療録・検査データ・同意文書等:医事課長
(2)治験受託に関する文書等:治験・臨床研究管理室長
(3)治験薬に関する記録(研究薬出納表、研究薬管理表、被験者からの未服用薬返却記録、治験薬納品書、未使用治験薬受領書等):薬剤部長
2 総長は、前項の規定にかかわらず別に記録の保存責任者を、その掌握事務を明確にして指名することができる。
3 総長又は記録の保存責任者は、がんセンターにおいて保存すべき必須文書が次条に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう必要な措置を講じるものとする。
(記録の保存期間)
第 32 条 総長は、がんセンターにおいて保存すべき必須文書を、(1)又は(2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について依頼者と協議するものとする。
(1) 当該被験薬に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から 3 年が経過した日)
(2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
2 総長は、依頼者から前項にいう承認取得あるいは開発中止の連絡を受けるものとする。
第 33 条 医療機器の治験に関しては、「治験薬」「被検薬」「研究薬」及び「副作用」とあるのをそれぞれ「治験機器」「被検機器」「研究機器」及び「不具合又は不具合による影響」と読み替えることにより、本編を適用する。
(附 則)
この手順書は、平成 25 年 7 月 1 日から施行する。ただし、第 3 条第 5 項(1)の規定につ
いては、平成 26 年 7 月 1 日から適用し、平成 26 年 6 月 30 日までの間は、なお従前の例による。
この手順書の規定に関わらず、治験ネットワークを介して実施する治験については、当該治験ネットワーの手順書を適用する。