■ 指示書への概算金額の記載例 ※手続きの流れについては、「設計変更フロー」を参照(P.8)。
工事請負契約における設計変更ガイドライン
(条件明示・設計変更事例)
- 1 -
北海道建設部建設管理課令和5年5月(改定)
- 2 -
目 次
1 | 設計変更ガイドライン策定の背景 | - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 1 | |
1 - 1 | 土木請負工事の特徴 | - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | 1 | |
1- 2 | 発注者・ 受注者の留意事項と設計変更の現状 | - - - - - - - - - -- | 1 | |
1- 3 | ガイドラインの目的と改訂の経緯 | - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | 1 | |
2 設計変更の基本的な考え方 ------------------------------------------ | 2 | |||
3 設計変更に関する留意事項 --------------------------------------- | 2 | |||
3 - 1 発注者の留意事項 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 2 | |||
3 - 2 受注者の留意事項 ----------------------------------- | 2 | |||
4 設計変更のポイント - - -- - - - -- - -- -- - -- - -- -- - -- - -- -- - -- - -- - -- | 3 | |||
4 - 1 設計変更のポイント ----- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 3 | |||
4 - 2 設計変更のタイミング ---- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | 3 | |||
5 設計変更が不可能なケース - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 4 | |||
6 設計変更が可能なケース - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 4 | |||
6 - 1 設計変更が可能なケース( 基本事項) - - - - - - - - - - - - - - - -- | 4 | |||
6 - 2 設計変更が可能なケース( 具体例) ----- -------------- -- | 7 | |||
6 - 3 設計変更手続きフロー( 工事請負契約書第1 7 条・18 条) -- -- | 8 | |||
6 - 4 工事中止の場合の手続き ----- ---------------------- -- | 9 | |||
6 - 5 受注者の請求による工期の延長 ----- --- - ------------- -- | 10 | |||
6 - 6 発注者の請求による工期の短縮 ------------------ - -- - -- | 10 | |||
6 - 7 設計変更に係わる資料の作成 ----- ---- -- -- - --------- -- | 1 1 | |||
7 条件明示について ----- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - | 1 2 | |||
8 指定・任意の使い分け - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -- | 1 4 |
1 本ガイドライン策定の背景
1-1 土木請負工事の特徴
土木工事では、個別に設計された極めて多岐にわたる目的物を、多種多様な現場の自然条件・環境条件の下で生産されるという特殊性を有しており、当初積算時に予見出来ない事態の変化や制約条件については、その前提条件を明示して設計変更の円滑化を工夫する必要がある。
1-2 発注者・受注者の留意事項と設計変更の現状
発注者は、設計積算にあたっては、「設計図書における施工条件等の明示の徹底について(平成 13 年
3 月 8 日管理第 1477 号)」に基づき、工事を施工するにあたって必要な条件を明示するよう徹底する。
また、工事実施にあたっては、契約書第 17 条~第 18 条に基づき適正な手続きを行う必要がある。
受注者においては、入札にあたっては契約図書をよく確認のうえ、疑義があるときには説明を求めることができる。また、工事の着手にあたっては設計図書を照査し(「設計図書の照査ガイドライン」参照)、着手時点における疑義を明らかにするとともに、施工中に疑義が生じた場合には、発注者と「協議」して進めることが重要である。
なお、現状では任意仮設等の一式計上されている事項や設計図書に脱漏又は表示が不明確なために、設計変更対応が問題となっているケースがある。
1-3 ガイドラインの目的と改訂の経緯
北海道建設工事執行規則(昭和 39 年北海道規則第 60 号)の建設工事請負標準契約書式には、「発注者と受注者は、各々の対等な立場における合意に基づいて次のとおりxxに契約し、xxに従って誠実にこれを履行するものとする。」と記載されている。これは、当事者が真に対等な立場に立ち近代的かつ合理的な請負契約関係を樹立することを確保するため設けられているものであり、発注者・受注者間の対等性を確保し、公共工事の適正な施工を確保するためには、必要があると認められるときに設計図書の変更を適切に行い、施工に必要な費用や工期が適切に確保されることが重要である。
また、平成 26 年 6 月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(平成 17 年法律第
18 号)の第 7 条では、発注者の責務として、「設計図書(仕様書、設計書及び図面をいう。以下この号において同じ。)に適切に施工条件を明示するとともに、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に示されていない施工条件について予期することができない特別な状態が生じた場合その他の場合において必要があると認められるときは、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金の額又は工期の変更を行うこと」が明記された。さらに、令和元年 6 月の改正により、設計図書の変更に伴い工期が翌年度にわたる場合の繰越明許費の活用等が発注者の責務として法的に位置付けられた。
また、追加工事等が発生したが、発注者が書面による契約変更を行わなかった場合、追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書面により契約変更を行った場合や、必要な増額を行わなかった場合には建設業法第19条の3に違反するおそれがある。
これまでは設計変更の取り扱いにおいて、請負代金額の30%をひとつの目安としていたが、変更見込金額が請負代金額の30%を超える場合においても、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる請負代金又は工期の変更を行うこととする。この場合において、特に、指示等で実施が決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が請負代金額の30%を超えたことなどを理由に設計変更に応じない、もしくは、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならない。
こうした状況等を踏まえ、発注者と受注者がともに設計変更について十分に理解し、設計変更が適切かつ円滑に実施されることを目的に、平成 24 年 3 月に策定した設計変更ガイドラインを改訂し、本ガイドラインを策定するものである。
2 設計変更の基本的な考え方
請負契約の基本は、契約において取り交わされた設計図書に基づき工事を施工することである。しかし、土木工事の特徴からその設計図書は完全なものとはならず、設計図書と工事現場の状態が異なったり、設計図書に示された施工条件が実際と一致しなかったり、設計図書で想定していなかった条件が発生したりすることが起こり得るものである。
しかし、ともすれば税金であるが故に経済性のみを追求し、設計変更とその後の契約変更を実施しないことが責務であるがごとく大きな誤解を抱いている発注者も散見される。
設計変更の基本的な考え方であるが、設計図書と現場等に差異が生じた場合は、当該工事との一体性を損ねない範囲において設計変更を行うこととし、その結果、契約金額や工期に変更が生じた際は契約変更を行うこととする。
特に留意すべき点として、新たな工種などの追加が必要となった場合において、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難であり、一体施工の必要性から分離発注できないものについては、適切に設計図書の変更及びこれに伴い必要となる契約金額の変更又は工期の変更を行うこととする。この場合において、指示等で実施を決定し、施工が進められているにも関わらず、変更見込金額が著しく増大となることを理由に設計変更に応じない又は設計変更に伴って必要と認められる工期の変更を行わないといったことがあってはならないものである。
3 設計変更に関する留意事項
3-1 発注者の留意事項
(1) 工事の施工に係る制約事項については、設計図書に必要な施工条件等を明示する。
(2) 設計変更を行う必要が生じた場合など、必要な指示、協議等は書面で行う。
(工事請負契約書第1条第5項)
【建設業法第19条第2項に違反となる行為事例】
(発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第4版)より)
①追加工事等が発生したが、発注者が書面による契約変更を行わなかった場合
②追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書面により契約変更を行った場合
また、必要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。
(3) 受注者から設計変更の確認の請求があった場合は、受注者の立会いのうえ、直ちに調査を行う。また、調査の結果は、調査の終了後 14 日以内に受注者に通知する。
(工事請負契約書第 17 条第2項、第4項)
(4) 適切な設計変更手続きなどが円滑に行われるよう、設計変更確認会議や工事円滑化会議を活用する。
3-2 受注者の留意事項
(1) 工事の着手にあたって設計図書の照査を行い、工事請負契約書第 17 条第1項に該当する事項等を発見したときは、その事実が確認できる資料を書面により監督員に通知し確認を求める。
(2) 受注者は、設計図書等に疑義が生じた際には監督員との協議を行う。
(3) 受注者は工事施工協議簿等の書面による指示を得てから施工する。
4 設計変更のポイント
4-1 設計変更のポイント
設計変更手続きの円滑化が施工の円滑化・効率化に繋がることを十分理解し、入札前後においては下記のポイントを念頭に進めるとともに、必要がある場合は適切な時期に設計変更を実施する。
■ 条件明示の徹底 |
■ 書面による設計変更協議、指示 |
■ 工事請負契約書第17 条~第24条の理解 |
第 17 条(設計図書と工事現場の状態との不一致、条件の変更等)
第 18 条(設計図書の変更)
第 19 条(工事の中止)
第 19 条の 2(著しく短い工期の禁止)
第 20 条(受注者の請求による工期の延長)
第 21 条(発注者の請求による工期の短縮等)
第 23 条(工期の変更方法)
第 24 条(請負代金額の変更方法等)
■ 設計変更確認会議、工事円滑化会議による設計変更内容の受発注者間の共有
4-2 設計変更のタイミング
(1) 即時変更
下記に該当する場合、速やかに設計変更手続きを行う。
①重要な工種の新設及び又は廃止
②工事量の大幅な増減
当該設計変更に伴う請負代金額の増減見込額(請負代金額の変更に関して契約の変更を行ったものに係る設計変更に伴う増減額を除く。以下同じ。)が、現請負代金額の 30 パ-セ
ントを超え、又は 4,000 万円以上(当該設計変更に伴い新工種が生ずる場合においては、
当該新工種に係る請負代金相当見込額の累計が 2,000 万円以上)のものをいう。
③その他必要と認めたとき
受注者からの求めがあった場合は、設計変更手続きを行う。
(2) 一括処理
上記に該当しない場合、指示書等により工事内容の変更を指示した概算金額の累計(設計変更に伴う増減見込額の累計)が現請負代金額の 30 パ-セントを超え、又は 4,000 万円以上とな
るとき(新工種に係る増減見込額の累計が 2,000 万円以上となるときを含む。)並びに工事完成前(工期が翌年度以降にわたるときは、各年度末及び工事完成前)の可能な限り早い時期に一括して行うものとする。
5 設計変更が不可能なケース
■ 以下のような場合においては、原則として設計変更できない。なお、災害時等緊急の場合はこの限りではない。 |
➢設計図書に条件明示のない事項において、発注者と「協議」を行わず受注者が独自に判断して施工を実施した場合
➢発注者と「協議」をしているが、協議の回答がない時点で施工を実施した場合
➢「承諾」で施工した場合
➢建設工事請負契約書及び土木工事共通仕様書に定められている所定の手続きを経ていない場合
➢正式な書面(工事施工協議簿等)によらない事項(口頭のみの指示・協議等)の場合
「承諾」とは、契約図書で明示した事項について、発注者若しくは工事監督員又は受注者が書面により同意することをいう。<共通仕様書より>
設計変更において「承諾」とは、受注者自らの都合で行う施工方法や材料等について、監督員の同意を得るものを指し、設計変更は不可。
「協議」とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。<共通仕様書より>
設計変更において「協議」とは、書面により契約図書の協議事項について、発注者と受注者が対等な立場で合議し、結論を得て、発注者の「指示」によるものを指し、設計変更が可能。
6 設計変更が可能なケース
6-1 設計変更が可能なケース(基本事項)
■ 以下のような場合においては、所定の手続きを踏むことにより、設計変更が可能である。 |
➢仮設(任意仮設を含む)において、条件明示の有無にかかわらず、当初発注時点で予期し得なかった状況が現場で確認された場合
➢当初発注時点で想定している工事着手時期に、受注者の責によらず工事着手出来ない場合
➢所定の手続き(協議等)を行い、発注者の「指示」によるもの
(「協議」の結果として、軽微なものは金額の変更を行わない場合もある)
➢受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合
(「設計図書の照査」の範囲を超える作業については、P.9 を参照)
➢受注者の責によらない工期の延期・短縮を行う場合で、協議により必要があると認められる場合
■ ただし、設計変更にあたっては下記事項に留意し、受注者へ指示する。 |
➣当初設計の考え方や設計条件を再確認した上で、「協議」にあたる
➣当該事業(工事)での変更の必要性を明確にし、設計変更は契約書に基づき書面で行う。
(規格の妥当性、変更対応の妥当性(別途発注ではないか)等)
➣設計変更に伴う契約変更の手続きは、その必要が生じた都度、遅滞なく行うものとする。
■ 指示書への概算額の記載(次頁記載例参照)
➣受発注者間で認識の共有を図るため、設計変更を行うにあたって、契約変更に先だち指示を行う場合は、指示書にその内容に伴う増減額の概算額を記載する必要がある。
なお、工事施工協議簿にも概算額を記載し、事前に確認するものとする。
➣受注者からの協議により変更する場合は、協議時点で受注者から見積書の提出を受けて変更見込み概算額を記載する。
➣発注者の指示により変更する場合は、変更見込み概算額に出典を明示して指示書へ記載する。
➣特記事項として、「ここで記載する概算額は、「参考値」であり、契約変更額を拘束するものではない。」と記載する。
➣また、緊急的に行う場合または何らかの理由により概算額の算定に時間を要する場合は、その理由を記載し、概算額を後日通知する。
➣指示にあたっては、必ず配当を受けた歳出予算の範囲内である事を確認すると共に、予算に不足が生じる場合は、速やかに本部、本庁関係各課と予算確保に関する協議、調整を行い、契約変更までに追加配当が確実な場合に、指示を行うものとする。
【発注者からの指示の場合】
1 発注者から指示を行い、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書) にて指示を行う。
2 指示書には、変更内容による変更見込み概算額について、出典を明示して記載することを原則とする。なお、工事施工協議簿にも概算額を記載し、事前に確認するものとする。
3 概算額は、百万円単位を基本(百万円以下の場合は十万円単位)とする。
【受発注者間の協議により変更する指示書の場合】
1 受発注者間の協議に基づき、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面
(指示書)にて指示を行う。
2 指示書には、変更内容による変更見込み概算額を記載することを原則とする。なお、工事施工協議簿にも概算額を記載し、事前に確認するものとする。
3 概算額の明示にあたっては、協議時点で受注者から見積書の提出があった場合に、その見積書の妥当性を確認し、妥当性が確認された場合は、その見積書の額を指示書に記載する。
4 概算額は、百万円単位を基本(百万円以下の場合は十万円単位)とする。
【予算管理の徹底】
1 概算額による指示であっても、設計図書の変更、契約変更の際、予算不足とならないよう、予算管理を厳格に行う。
2 工事監督員は受注者に指示を行った場合、速やかに指示書の写しを支出負担行為担当者へメール等により報告する。
3 報告を受けた支出負担行為担当者は、概算額を記録する等、予算執行状況(執行予定)を常に把握するとともに、設計変更図書の作成、契約変更に向け、必要な指示や助言を行うなど、出張所・本部間の情報共有を徹底する。
4 設計変更に伴う工期の変更に当たり、年度内のみでは適正な工期を確保することができないと認められる場合は、本庁関係課と協議、調整を行い、繰越制度を適切に活用する。
■ 指示書への概算金額の記載例 ※手続きの流れについては、「設計変更フロー」を参照(P.8)。
受発注者による協議は書面(工事施工協議簿)で行うが、契約変更手続きを行う前に受注者へ作業を行わせる場合は、必ず書面(指示書) にて指示を行うものとし、どちらも変更内容による変更見込み概算額を記載することを原則とする。
【様式-工監20 工事内容の変更指示書】の記載例
※受注者から工事請負契約書第17条第 1 項に基づく確認請求があった場合は、同条第 2 項に基づき、現場代理人の立会いの上で直ちに調査を行い、指示又は調査結果の通知にあたっては、ワンデーレスポンスを徹底し、やむを得ない事情がある場合でも、遅くても14日以内に行うこととする。
6-2 設計変更が可能なケース(具体例)
(1) 工事請負契約書第17 条に該当(設計図書と工事現場の状態との不一致、条件の変更等)
■ 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しない場合(これらの優先順位が定められている場合を除く。)(第1項第1号)
■ 設計図書に誤り又は脱漏がある場合(第1項第2号)
【具体例】
➣条件明示する必要がある場合にも係わらず、土質に関する一切の条件明示がない場合
➣条件明示する必要がある場合にも係わらず、地下水位に関する一切の条件明示がない場合
➣条件明示する必要がある場合にも係わらず、交通誘導警備員に関する一切の条件明示がない場合
■ 設計図書の表示が明確でない場合(第1項第3号)
【具体例】
➣土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合
➣仮橋の参考図は明示されているが、荷重条件や制約条件等の設計条件の明示がない場合
➣仮締切である大型土のうの参考図は明示されているが、河川条件等の設計条件の明示がない場合
■ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場とが一致しない場合(第1項第4号)
【具体例】
➣設計図書に明示された土質が現地条件と一致しない場合
➣設計図書に明示された地下水位が現地条件と一致しない場合
➣設計図書に明示された交通誘導警備員の配置条件が現地条件と一致しない場合
➣所定の手続きにより行った設計図書の訂正・変更で、現地条件と一致しない場合
■ 設計図書に明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態が生じた場合(第1項第5号)
(2) 工事請負契約書第18 条に該当(設計図書の変更)
■ 発注者から設計図書の変更に係る指示があった場合
6-3 設計変更フロー(工事請負契約書第17 条 ・ 18 条)
条件変更の事実発見(第 17 条①)
設計図書の照査
受 注 者
※即時変更とは
※変更内容による変更見込み概算金額を記載
①重要な工種の新設及び又は廃止
※変更指示書を支出負担行為担当者へメール等により報告
②工事量の大幅な増減
(30%超え又は 4,000 万円以上など)
NO
③その他必要と認めたとき
即時変更か?
(受注者から求めがあった場合など)
YES
設計変更図書作成 ・ 設計変更上申書
必要があると認められるときは、設計図書の訂正又は変更(第 17 条⑤)
第 35 号様式
一括処理
調査結果 (採るべき措置の指示) の通知 (第 17 条④)
( )
工事内容の変更指示書(様式-工監20)
工事施工協議簿(様式-工監 4)
変更内容 変・更根拠の明確化
、
変更図面
変更数量計算書等の変更設計図書の作成
、
等を適宜開催
※設計変更の条件
【契約書第 17 条第 1 項】 | 【契約書第 18 条】 |
(1) 設計図書に対する質問回答書の不一致 | 発注者が必要と認める時 |
(2) 設計図書の誤り又は脱漏 | |
(3) 設計図書の表示が不明確 | |
(4) 施工条件が実際の工事現場と相違 | |
(5) 予期することができない特別の状態が発生 |
又は
※原則、臨場だが遠隔臨場の活用 など、机上の場合もある
に14 遅
指 日 く
示 以 て
内 も
ポ ワン ンス デの ー徹 レ底 ス
調査(第 17 条②)
立会(第 17 条②)
確認書の作成(第 17 条③)
工事施工協議簿(様式-工監 4)
条件変更の必然発見(第 18 条)
確認請求(第 17 条①)
立会願(様式-工監8)
条件変更の事実発見(第 17 条②)
発 注 者
「 |
設 |
計 |
変 |
更 |
確 |
認 |
会 |
議 |
」 |
受注者へ設計変更協議
、 工事監督員へ通知
必要があると認められるときは、工期若しくは請負代金額を変更(第 17 条⑥)
変更契約の締結
第 39 号様式
第 38 号様式
第 37 号様式
設計変更の決定
第 36 号様式
6-4 工事の一時中止に係わる基本フロー (工事請負契約書第19条)
※詳細については、「工事一時中止に係るガイドライン(案)」を参照
【具体例】
➣ 設計図書に工事着工時期が定められた場合、その期日までに受注者の責によらず施工できない場合
➣ 警察、河川・鉄道管理者等の管理者間協議が未了の場合
➣ 管理者間協議の結果、施工できない期間が設定された場合
➣ 受注者の責によらない何らかのトラブル(地元調整等)が生じた場合
➣ 設計図書に定められた期日までに詳細設計が未了のため、施工できない場合
➣ 予見できない事態が発生した(地中障害物の発見等)場合
➣ 工事用地の確保が出来ない等のため工事を施工できない場合
➣ 設計図書と実際の施工条件の相違又は設計図書の不備が発見されたため施工を続けることが困難な場合
➣ 埋蔵文化財の発掘又は調査、その他の事由により工事を施工できない場合
➣ 当該工事と関連する他工事の遅延により着工できない場合
6-5 受注者の請求による工期の延長(工事請負契約書第20条)
○ 受注者は、天候の不良、関連工事の調整協力、その他受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができない場合は、発注者へその理由を明示した書面により工期延長変更を請求することができる。
受注者
発注者
協議
受注者及び発注者は第 23条、第 24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
「契約書第20条(受注者の請求による工期の延長)第1項」に基づき、その理由を明示した書面により監督員に通知
発注者は第2項に基づき、必要があると認められるときは、工期を延長しなければならない。請負代金額についても必要と認められるときは変更を行う。
【具体例】
➣天候不良の日が例年に比べ多いと判断でき、工期の延長が生じた場合
➣設計図書に明示された関連工事との調整に変更があり、工期の延長が生じた場合
➣その他受注者の責めに帰することができない事由により工期の延長が生じた場合
6-6 発注者の請求による工期の短縮等(工事請負契約書第21条)
○ 発注者は、特別な理由により工期を短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を受注者に書面にて請求することができる。
受注者
発注者
協議
受注者及び発注者は第 23条、第 24条に基づき、「協議」により工期及び請負代金額を定める
受注者は発注者からの請求に 基づき、工期短縮を図るための施工計画を発注者に提出し、承諾を得る。
発注者は、「工事請負契約書第21条(発注者の請求による工期の短縮等)第1 項」に基づき、特別な理由により工期を
短縮する必要があるときは、工期の短縮変更を書面により受注者に請求。
【具体例】
➣工事一時中止にともない工期延長が予想され、工期短縮が必要な場合
➣関連工事等の影響により、工期短縮が必要な場合
➣その他の事由(地元調整、関係機関調整など)により工期の短縮が必要な場合
6-7 設計変更に関わる資料の作成
■ 設計図書の照査に必要な資料の作成
受注者は、当初設計等に対して工事請負契約書第17条第1項に該当する事実が発見された場合、監督職員にその事実が確認できる資料を書面により提出し、確認を求めなければならない。
なお、これらの資料作成については受注者が行う照査の範囲であり、契約変更の対象としない。
【受注者が自らの負担で行う部分】(設計図書の照査に必要な資料)
①設計図書の照査に係る費用
②設計図書の照査結果を工事監督員に説明するための資料作成
(現地地形図、設計図との対比図、取り合い図、施工図等)
③工事監督員からさらに詳細な説明を求められ、説明するための資料作成
■ 設計変更するために必要な資料の作成
工事請負契約書第17条第1項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については、工事請負契約書第17条第5項に基づき発注者が行うものであるが、受注者に対応してもらう場合、以下の手続きにより実施するものとする。
①設計図書の照査に基づき設計変更が必要な内容については、受発注者間で確認する。
②設計変更するために必要な資料の作成について、協議の上、発注者が書面により指示する。
③発注者は、書面による指示に基づき受注者が作成した設計変更するために必要な資料を確認する。
④書面による指示に基づいた設計変更するために必要な資料の作成に係る費用については、契約変更の対象とする。
⑤上記費用の算定は、道の単価及び土木事業委託積算基準を基本とする。
【発注者の責任において行う部分】(設計変更するために必要な資料)
①設計図書の照査結果により生じた、計画の見直し、図面の再作成、構造計算の再計算、追加調査等
※受注者に作成を指示する場合は、その費用を負担する。
なお、資料の作成について発注者が行う場合は、必要に応じ委託業務を活用する。
■ 「設計図書の照査」の範囲を越えるものについては、以下が考えられる。
①現地測量の結果、横断図を新たに作成する必要があるもの。又は縦断計画の見直しを伴う横断図の再作成が必要となるもの。
②施工の段階で判明した推定岩盤線の変更に伴う横断図の再作成(変更)が必要となるもの。ただし、契約時点での当初横断図の推定岩盤線の変更(修正)は「設計図書の照査」に含まれる。
③現地測量の結果、排水路計画を新たに作成する必要があるもの。又は土工の縦横断計画の見直しが必要となるもの。
④構造物の位置や計画高さ、延長が変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑤構造物の載荷高さが変更となり構造計算の再計算が必要となるもの。
⑥現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。(標準設計で修正可能なものであっても照査の範囲を超えるものとして扱う。)
⑦構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
⑧基礎杭が試験杭等により変更となる場合の構造計算及び図面作成。
⑨土留め等の構造計算において、現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。
⑩「設計要領」、「各種示方書」等との対比設計。
⑪構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
⑫設計根拠まで遡る見直し、必要とする工費の算出。
⑬舗装修繕工事の縦横断設計。(当初の設計図書において縦横断図が示されており、その修正を行う場合とする。なお、次の工種に該当し、設計図書で縦横断図が示されておらず、受注者が縦横断設計を行うものは設計図書の照査に含まれる。)
北海道建設部土木工事共通仕様書
「5-12-4-4 アスファルト舗装補修工」、「5-13-4-3 路面切削工」、「5-13-4-5 オーバーレイ工」、
「5-13-4-7 路上表層再生工」等
なお、適正な設計図書に基づく数量の算出及び出来形図については、受注者の費用負担によるものとする。
※詳細については、「設計図書の照査ガイドライン(改訂版)」を参照
7 条件明示について
施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書の中で明示するものとする。また、明示された条件に変更が生じた場合は、契約図書の関連する条項に基づき、適切に対応するものとする。
なお、条件明示等に不足が生じないよう、「条件明示チェックリスト」を参考資料として活用するなど記載漏れがないようチェックすること。
明示項目 | 明示事項 |
工程関係 | 1 他の工事の開始又は完了の時期により、当該工事の施工時期、全体工事等に影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期。 2 施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法。 3 当該工事の関係機関等との協議に未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期。 4 関係機関、自治体等との協議の結果、特定された条件が付され当該工事の工程に影響がある場合は、その項目及び影響範囲。 5 余裕工期を設定して発注する工事については、工事の着手時期。 6 工事着手前に地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間。 7 設計工程上見込んでいる休日日数等作業不能日数。 |
用地関係 | 1 工事用地等に未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期。 2 工事用地等の使用終了後における復旧内容。 3 工事用仮設道路・資機材置き場用の借地をさせる場合、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 4 施工者に、消波ブロック、桁製作等の仮設ヤードとして官xxx及び発注者が借り上 げた土地を使用させる場合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等。 |
公害関係 | 1 工事に伴う公害防止(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等を指定する必要がある場合は、その内容。 2 水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容、期間。 3 濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、その内容(処理施設、処理条件等)。 4 工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未 然に防止するために必要な調査方法、範囲等。 |
明示項目 | 明示事項 |
安全対策 関係 | 1 交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間。 2 鉄道、ガス、電気、電話、水道等の施設と近接する工事での施工方法、作業時間等に制限がある場合は、その内容。 3 落石、雪崩、土砂崩落等に対する防護施設が必要な場合は、その内容。 4 交通誘導員、警戒船及び発破作業等の保全設備、保安要員の配置を指定する場合又は発破作業等に制限がある場合は、その内容。 5 有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な場合は、その内容。 |
工事用道 路関係 | 1 一般道路を搬入路として使用する場合 (1)工事用資機材等の搬入経路、使用期間、使用時間帯等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等。 (2)搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、その処置内容。 2 仮道路を設置する場合 (1)仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間。 (2)仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)。 (3)仮道路の維持補修が必要である場合は、その内容。 |
仮設備関 係 | 1 仮土留、仮橋、足場等の仮設物を他の工事に引き渡す場合及び引き継いで使用する場合は、その内容、期間、条件等。 2 仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造及びその施工方法。 3 仮設備の設計条件を指定する場合は、その内容。 |
建設副産 物関係 | 1 建設発生土が発生する場合は、残土の受入場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件。 2 建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合は、その内容。 3 建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場等の処理条 件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入場所、距離、時間等の処分条件。 |
工事支障 物件等 | 1 地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等。 2 地上、地下等の占用物件工事と重複して施工する場合は、その工事内容及び期間等。 |
薬液注入 関係 | 1 薬液注入を行う場合は、設計条件、工法区分、材料種類、施工範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等。 2 周辺環境への調査が必要な場合は、その内容。 |
その他 | 1 工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等。 2 工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引き渡し場所等。 3 支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡期間等。 4 関係機関・自治体等との近接協議に係る条件等その内容。 5 架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件。 6 工事用電力等を指定する場合は、その内容。 7 新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容。 8 部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及び使用時期。 9 給水の必要のある場合は、取水箇所・方法等。 |
8 指定・任意の使い分け
■ 指定・任意の正しい運用
➣指定・任意については、工事請負契約書第1条第3項に定められているとおり、適切に扱う必要がある。
【基本事項】
➣任意については、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行う。
➣任意については、その仮設、施工方法に変更があっても原則として設計変更の対象としない。
➣ただし、指定・任意ともに当初積算時の想定と現地条件が異なることによる変更は行う。
【留意事項】
指定・任意の使い分けにおいては、下記の事項に留意する。
仮設、施工方法等には、指定と任意があり、発注においては指定と任意の部分を明確にする必要がある。
任意については、受注者が自らの責任で行うもので、仮設、施工方法等の選択は、受注者に委ねられている。(設計変更の対象としない)
発注者は、任意の趣旨を踏まえ、適切な対応をするように注意が必要。
※任意における下記のような対応は不適切
◆○○工法で積算しているので、「○○工法以外での施工は不可」との対応
◆標準歩掛ではバックホウで施工となっているので、「クラムシェルの施工は不可」との対応
◆新技術の活用について受注者から申し出があった場合に、「積算上の工法で施工」するよう対応
ただし、任意であっても、当初積算時の想定と現場条件が異なる場合は、設計変更を行う。
■ 発注者の指定事項以外は受注者の裁量の範囲
<自主施工の原則>
工事請負契約書第1条第3項により、設計図書に指定されていなければ、工事実施の手段、仮設物等は受注者の裁量の範囲
工事請負契約書第1条第3項
施工方法、仮設その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。) については、この契約書及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定めるものとする。
【指定と任意の考え方】
x x | 任 意 | |
設計図書 | 施工方法等について具体的に指定する(契約条件として位置付け) | 施工方法等について具体的には指定しない(標準的な工法等を参考図として示す場合があるが、受注者の任意施工を拘束す るものではない) |
施工方法等の変更 | 発注者の指示又は承諾が必要 | 受注者の任意(施工計画書等の 修正、提出は必要) |
施工方法の変更がある場合の 設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象としない |
当初明示した条件の変更に対 応した設計変更 | 設計変更の対象とする | 設計変更の対象とする |
天災不可抗力に対する対応 | いずれの場合でも契約書の規定によって処理するが、「手戻り額」 は設計積算の根拠としたものを対象として算定する | |
その他 | <指定仮設とすべき事項> ・河川堤防と同等の機能を有する仮締切のある場合 ・仮設構造物を一般交通に供する場合 ・関係官公署との協議により制約条件のある場合 ・特許工法又は特殊工法を採用する場合 ・その他、第三者に特に配慮する必要がある場合 |