⑧ 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、GCP 答申 7-2-2、7-2-3、7-2-4 及び 7-2-5 を遵守する。
治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師及び治験担当医師が提出すべき文書を最新のものにすること。当該文書が追加、更新又は訂正された場合は、その全てを速やかに治験事務局に提出すること。
(治験責任医師の責務)
治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験の実施に関して充分な説明を行う。
(治験開始までの手続き)-治験責任医師の手順-
① 治験責任医師は、最新の履歴書(書式 1) を治験依頼者に提出する。また、治験依頼者より求めがあった場合には治験分担医師の最新の履歴書(書式 1) を提出する。
② 治験依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書案(治験実施計画書において症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は不要)、及び最新の治験概要書、その他の必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議する。治験実施計画書及び症例報告書(治験実施計画書において症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は不要)が訂正される場合も同様にする。
① 治験実施の申請をする前に、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成する。
・被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、または治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
・被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉を用いる。
② 治験依頼者と治験実施を合意した場合は、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証とするため、治験依頼者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名捺印又は署名し、日付を記入する。治験実施計画書及び症例報告書の見本(治験実施計画書において症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は不要)が改訂・修正される場合も同様にする。
⑤ 治験依頼者との合意を行った後、治験依頼の申し出があった場合、治験事務局へ治験依頼書(書式 3)と履歴書(書式 1)を提出する。
⑥ 当該治験薬等の非臨床試験及び先行する治験の結果等に必要な情報の入手に努める。
⑦ 当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存在する場合には、分担する業務と分担させるもののリスト(書式 2)を作成、治験事務局に提出し、病院長の指名を受ける。
⑧ 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験の内容について十分説明するとともに、治験依頼者から提供された情報、病院長から通知された事項その他分担させる業務について必要な情報を提供する。
⑨ 治験分担医師を置く場合には当該医師の履歴書(書式 1)を治験事務局に提出する。
⑩ 治験責任医師は、新規に治験を申請する場合、原則として治験審査委員会に出席する。ただし、委員長との話し合いにより、その出席を治験分担医師等又は委員長に委任することができる。
⑪ 治験審査委員会の審査結果に基づく病院長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式 5)あるいは治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知を受け、その指示、決定に従う。
⑫ 契約内容を確認し、契約書(書式 19)に署名する。
⑬ 契約締結後に治験を開始する。
(治験実施)-治験責任医師と治験分担医師の手順-
1.被験者の選定
治験実施計画書の被験者選択・除外基準の設定及び治験を実施する際の個々の被験者選定にあたっては、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討する。また同意能力を欠く患者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
2.被験者の同意取得
① 治験の実施に際し、被験者に対して同意文書及びその他の説明文書を用いて治験の内容等を十分に説明し、治験への参加については自由意思による同意を文書により得る。診療録に保存し、同意文書の写し1部を被験者、もう1部を治験事務局に渡す。
② 同意能力を欠く等により被験者本人の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合には、その法定代理人等被験者に代わって同意を得る。この場合にあっては、同意に関する記録とともに同意者と被験者本人の関係を示す記録を残す。
③ 同意文書には説明を行った治験責任医師または治験分担医師、被験者が記名捺印又は署名し、各自日付けを記入する。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名し、日付を記入する。
④ 被験者が治験に参加している間に、同意文書及びその他の説明文書が改訂された場合は、その都度新たに前項の規定に従って記名捺印又は署名と日付を記入した同意文書の写及び改訂されたその他の説明文書を被験者に渡す。
⑤ 説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、または治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。尚、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉を用いる。
⑥ 同意を得る前に、被験者が質問する機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
⑦ 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合、治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、必要に応じて同意文書及びその他の説明文書は速やかに当該情報に基づき改訂し、予め治験審査委員会の承認を得る。前記の場合の情報を速やかに被験者に伝え、治験に同意又は継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。またすでに治験に参加している被験者に対しても、確認を行う。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
⑧ 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、GCP 答申 7-2-2、7-2-3、7-2-4 及び 7-2-5 を遵守する。
3.被験者に対する医療
① 治験薬の正しい使用法を各被験者に説明、指示し、当該治験薬にとって適切な間隔で各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認する。
② 被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝える。
③ 被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせる。
4.治験の継続
治験責任医師は、当該治験が長期に経過する場合等、少なくとも年 1 回、原則として年度末にその進行状況を治験実施状況報告書(書式 11)をもって報告する。治験責任医師は治験の継続について、治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式 5)あるいは治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知を受け、その指示、決定に従う。
5.治験の更新
治験責任医師は治験契約の更新の場合、新たな契約書を確認の上、署名する。
6.治験の延長
① 治験責任医師は、治験依頼者より契約期間の延長の申し出があった場合、治験に関する変更申請書(書式 10)を確認し記名捺印又は署名する。
② 治験責任医師は、治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式 5)あるいは治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知を受け、その指示、決定に従う。
③ 治験責任医師は、契約の延長が決定した場合、新たな契約書を確認の上、署名する。
7.治験実施計画の変更
治験責任医師は治験依頼者より治験実施計画変更の連絡を受けた場合、治験に関する変更申請書(書式 10)を確認し記名捺印又は署名する。治験審査委員会の審議結果に基づく病院長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式 5)あるいは治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)で通知を受け、その指示、決定に従う。
8.重大な新たな安全性に関する情報の入手
治験責任医師は、治験依頼者より安全性情報等に関する報告をその都度受ける。
9. 治験実施計画書からの逸脱
① 治験責任医師又は治験分担医師は治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど、医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば、電話番号の変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
① 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
③ 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、逸脱又は変更の内容及び理由を治験実施計画書からの逸脱報告書(書式 8)に全て記載し、並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に治験依頼者並びに病院長及び病院長を経由して治験審査委員会に提出しなければならない。また、治験審査委員会の承認を得るとともに、病院長の了承及び病院長を経由して治験依頼者の合意を文書(書式 9)で得なければならない。
10.重篤な有害事象の発生
治験責任医師は、治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合、速やかに病院長及び治験依頼者へ治験による重篤な有害事象に関する報告書(医薬品治験)(書式 12-1、あるいは書式 12-1 及び書式 12-2)をもって報告する。治験の継続等について、治験審査委員会の意見に基づく病院長の指示、決定を治験審査結果通知書(書式 5)あるいは治験に関する指示・決定通知書(参考書式 1)により治験事務局から受け取る。治験分担医師は治験責任医師を通じて報告する。
11.治験の中止、中断及び終了
治験責任医師は、治験を中止、中断及び終了した場合は速やかに治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)を病院長に提出する。
(症例報告書作成)-治験責任医師と治験分担医師の手順-
① 治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、署名、捺印し個々の被験者の治験終了後速やかに治験依頼者に提出する。また、治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告の内容を確認し署名、捺印する。
② 症例記録の作成、取り扱い等においては、被験者の秘密保持について配慮する。通常、症例記録の記載は次のようにする。
・症例記録は、被験者識別コード等を用いて記載する。
・被験者の同意の記録は、その取得の状況(文書、本人または代理人(代理人の場合は続柄等)、取得年月日等)がわかるようにする。
(直接閲覧等への協力)
① 治験責任医師と治験分担医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査(モニタリング・監査手順書参照)並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れる。
② 治験責任医師と治験分担医師は、この者等の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。
(記録の保存)
治験責任医師と治験分担医師は関係書類等を所定の期間保存する。