業 務 内 容 「dmt」と称するバイナリーオプションに係る学習用ツールが内蔵されたUSB及び「Ⅼatte」と称する当該ツールを稼働するために必要なセキュリティUSB
別紙2
特定商取引に関する法律第8条第1項に基づく業務の一部停止命令及び業務禁止命令並びに第7条第1項に基づく指示
1 事業者の概要
対 象 者 ファーストことxx xx(以下「当該対象者」という。)代 表 者 等 xx xx(xxx xxx)
事務所所在地 xxxxxxxxxxxx 00 x0xフェリーチェxx 601
事業開始 日 平成 31 年4月1日
業 務 x x 「dmt」と称するバイナリーオプションに係る学習用ツールが内蔵されたUSB及び「Ⅼatte」と称する当該ツールを稼働するために必要なセキュリティUSB
(以下「本件商品」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)売 上 高 6737 万 5000 円(平成 31 年4月~令和元年9月)(事業者報告による。)
業務委託契約者※ 148 名(事業者報告による。)
※当該対象者と本件売買契約をした後、本件商品の販売に関する業務委託契約を結んだ者
2 上記事業者に関する都内の相談の概要(令和2年3月 24 日現在)
平均年齢 | 平均契約額 | 相 談 件 数 | ||
30 年度 | 元年度 | 合計 | ||
約 20.7 歳 (20~22 歳) | 約 55.8 万円 (最大 90 万円) | 0 件 | 28 件 | 28 件 |
参考:全国 30 年度 0 件、元年度 67 件、合計 67 件
3 業務の一部停止命令等(対象者)の内容
(1) 業務の一部停止命令
令和2年3月 26 日(命令の日の翌日)から令和2年9月 25 日までの間(6か月間)、特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
ア 売買契約の締結について勧誘すること。イ 売買契約の申込みを受けること。
ウ 売買契約を締結すること。
(2) 業務の禁止命令
令和2年3月 26 日(命令の日の翌日)から令和2年9月 25 日までの間(6か月間)、当該対象者に対して訪問販売に関する業務の停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。
4 業務の一部停止命令の対象となる不適正な取引行為
不 適 正 な 取 引 行 為 | 特定商取引に関する法律の条項 |
勧誘に先立って、消費者に対し、「金が欲しいのであれば、投資とかやってみるといい。」、「今度、すごい稼いでいる人に会わせてやるよ。」などと告げるのみで、当該対象者の氏名、本件売買契約の締結について勧誘をする目 的である旨及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにしていなかった。 | 第3条 勧誘目的等不明示 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、人工知能が搭載されていないにもかかわらず、「AI を搭載したシステム」、「AI だから強い、学習するから強くなる」などと、あたかも本件商品に人工知能が搭載されているかのように、商品の性能について不実を告げていた。 | 第6条第1項第1号不実告知(商品の性能) |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、契約を検討する消費者及び「お金が用意できないからできません。」等と本件売買契約を締結しない旨の意思表示を行った消費者に対しても、深夜に渡り長時間、執拗に勧誘 するなどして、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしていた。 | 第7条第1項第5号省令(*)第7条第1号迷惑勧誘 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、投資経験がなく、その他特段の収入・財産もない学生に対して、難しい投資でリスクも高い取引であるバイナリーオプションに関する本件商品を53万9,000円で販売しており、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を 行っていた。 | 第7条第1項第5号省令第7条第3号 適合性原則違反 |
本件売買契約の相手方に対し、本件売買契約に基づく債務を履行させるため、消費者が本件売買契約に係る購入資金を学生ローン等の貸金業者から借り入れるに際し、アルバイトの稼ぎも預金も少ない学生に対し、社会人であり実際を上回る収入額を申告するよう指示するなどして、本件売買契 約の相手方の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせていた。 | 第7条第1項第5号省令第7条第6号イ支払能力虚偽申告教 唆 |
*省令:特定商取引に関する法律施行規則
5 指示(対象者)の内容
(1) 当該対象者は、業務停止命令を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、その検証結果について、業務停止命令の日から1か月以内にxxx知事宛て文書にて報告すること。
(2) 当該対象者は、違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、本件業務停止命令に係る業務を再開する1か月前までに、xxx知事宛て文書にて報告すること。
6 今後の対応
(1) 業務停止命令及び業務禁止命令に違反した場合は、行為者に対しては、特定商取引に関する法律第 70 条の規定により、3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金又はこれらを併科する手続きを、法人に対しては、同法第 74 条の規定に基づき、3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
(2) 指示に基づく検証結果について、令和2年4月 25 日までに都知事宛てに報告させる。
(3) 指示に基づく再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について、令和2年8月 25 日までに都知事宛てに報告させる。
(4) 指示に従わない場合には、同法第 71 条の規定により、行為者に6月以下の懲役又は 100 万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては、同法第 74 条の規定に基づき、100万円以下の罰金を科する手続きを行う。
参考資料
(事例1)
平成 31 xxころ、大学生甲は、高校時代の仲間A(営業員)から「今投資をやっていて、来月には
利益が 20 万円くらいいくかもしれない。だからバイトもやめた。」、「投資をすれば半月で 50 万円はいく。」などと、かなり投資で儲けていることを聞かされた。その後、Aから何度も投資の話を聞きに行こうと誘われた。xはこれまで投資をした経験も知識もなかったが、Aの熱心な誘いに話を聞くだけならと思ってAに指定された2日間を空けることにした。このときAは、投資を教えてくれる人のことを「とにかくすごい人で、その人と同じ投資のやり方をすれば良い。」などと言ったが、その人の氏名や本件商品の購入が必要なことは言わなかった。
同年4月夕方、Aは都内の喫茶店において、「すごい人」と呼ぶB(営業員)と会う前に、甲に対し生涯収入の話を始め、株、日経225の例をあげてなぜ投資が必要かを話し、「あるシステムを使うと儲けることができる。」、「AIが搭載されているシステム、AIだから強い、学習機能があり、強くなる。」、「そのシステムは、車1台分の値打ちがある。」などと説明した。その後、別のカフェに移動してBと会った。Bは、甲に対し、「バイナリーオプションによる投資で稼いでいる。」、「勝率 80 パーセントで勝てる。このシステムはすごい。」などと、そのシステムを使った実績データを示しながら説明した。そして、本件商品の代金を 53 万 9,000 円と言った。xは、このとき初めて、投資で稼ぐためには、本件商品が必要と知った。アルバイトはしていたものの、貯金は 20 万円ほどで、50 万円を超すようなxxは持っていなかったため、甲は不安を覚えた。
Bと別れたあと、甲は、「購入するためのお金がない。」とAに言った。Aは、「俺がお世話になっている先輩を紹介する。」と言い、C(営業員)を呼び出した。Cは甲に対し、「お金は消費者金融で借りればいい。」と消費者金融から借入れすることを勧めた。xは、学生の身で借金することは大変な負担であると思い、不安でいっぱいになった。するとAが、「俺でもぜんぜん大丈夫だったから。」と言い、さらに借入れを勧めてきた。xが、自宅に向かった時間は午後 11 時過ぎで、通算6時間以上もの長時間の勧誘に疲れてしまい、正常な判断が出来ないような状態で帰宅した。
翌日、Aは、甲はお金を借りた経験もないだろうから、どうやって借入れればいいか、Cに聞いておこうと言い出し、その場でCに電話をして、甲に取り次いだ。そのときCは、甲に対し、「学生では貸さないから、社会人と言った方がいい。」、「お金を借りる理由は、同窓会の箱代が 60 万円必要であると言えば、50 万円貸してくれると思う。」、「バイト先の身分を社員と名乗って、さらに月収は 36 万円、年収は 432 万円と言えば、60 万円の借入の申込みができる。」などと言い、貸金業者に対し、嘘の理由で借入れするようにアドバイスした。甲は、うそをついてまでお金を借りることに抵抗があったが、二人から煽られて、断ることもできずに、貸金業者に行き、Cから言われたとおりの話をして、 50 万円を借り入れた。
同日、甲は、Aから「すぐにUSBを購入しよう。」と急かされて、都内のファストフード店で、契約担当者D(営業員)と3人で会った。Xは、確認書面に一つでも同意しなければ契約できないと言った。甲は、Dが早口でぼそぼそと読み上げた流れのなかで、すべて「はい」と言ってしまい、借りたお金に手持ちのお金を加え、現金 53 万 9,000 円をDに手渡し本件商品を受け取った。
その後、xはミーティングに参加するうちに、本件商品を活用して投資で儲けるのではなく、友人などを勧誘して本件商品を契約させ、その紹介料として6万円を受取ることで、収益を上げるビジネスだと分かり、騙されたことに気づいた。
(事例2)
平成 31 xxころ、大学生乙は大学の友人E(営業員)から、「儲け話があるんだけど。今度教えてやるよ。」などと誘われ、その後、都内の施設において、EからUSBを差し込んだパソコンで為替
レートのチャートを見せられ、「これで、先月 20 万円儲かった。お前のことを信頼しているから組織のトップに会わせてあげる。」などと、投資による儲け話の勧誘を受けた。
乙は、Xと仲が良く信頼していたし、これなら自分でもできると思ったので、投資経験がなかったものの誘いにのり、組織のトップの人と会うことを了承した。このとき、EからUSBの説明があったが、代表者の氏名については言われなかった。
数日後、乙は、Eから「ファーストのFさんっていう人に投資の話をしてもらえるから楽しみにしてほしい。」などと、電話で言われた。
F(営業員)と会う日の午後8時ころ、Eは喫茶店で乙に対し、生涯年収の話を始め、世界一稼いでいるビルゲイツの話、バイナリーオプション取引について、ルーズリーフに書きながら説明したあと、「USBには人工知能がついているから高くて、車1台分くらいの価値があるんだ。」などと言った。乙は、大して高いものではないUSBも人工知能が入っているから高価なのだと思った。
Xの説明が終わって少し経った午後9時ころにFがあらわれた。Fはシステムについて、「誰もが一目で見て取引タイミングが分かるバイナリーオプション取引の売買プログラミングツールです。」と乙に説明し、ファーストで販売している商品は、そのシステムが入ったUSBで、値段が 53 万 9,000円であることなどを、10 枚くらいの企業秘密と称する表を示しながら、早口で説明した。
1時間ほどしてFと別れると、乙は、本件商品は高額で買うことはできないとEに伝えた。Xは「近くに信頼できる人がいるから聞いてみない。」と言い、電話でG(営業員)を呼び出し、近くの駅周辺の路上で合流した。Xは、乙に対し、本件商品の購入資金は、「学生ローンや消費者金融から借りればいいんだよ。」、「俺たちはUSBを使って、稼いでもう返せたよ。」と勧めてきた。乙は貸金業者から
50 万円ものお金を借りることに抵抗と不安があったので、GとEに対し、「お金を借りるのはちょっと抵抗があるんだけど」と言ったが、Gは「留学の話をすれば借れるよ。」、「お金はすぐに返せるよ。」などとさらに借入れを勧めた。Eも、「自分も返せたから大丈夫だよ。」と言ってきた。こうしたやりとりが午後 11 時ころまで続き、乙は、終電なので家に帰ると伝え、Gと別れた。乙とXが一緒に電車で帰る途中、Eから「FさんにUSBの取り置きメールを送ろう。」と言われ、Eから言われるままに Fに電子メールを送信し、翌日Eと都内の駅で待ち合わせの約束をして別れた。
翌日、アルバイトの収入が月数万円程度で十分な預金もないことを理由に、再三借入れを断る乙に対し、Eは「ここまできてそれはないだろう。」、「お前のために時間を作ったんだから。」などと言って、強引に学生ローンで合計 60 万円を借りるように求め、資格をとるためお金が必要だとする、借入
れについて親の同意は得ていないとする、バイトで月に 10 万円以上稼いでいるようにする、奨学金の借入れはないようにする、などと貸金業者へ嘘の申告をするようにアドバイスをした。乙は、仕方なく貸金業者へ行き、Eから言われたとおり嘘の申告をして、二社から 35 万円借入れた。乙は、借入れたお金に手持ちのお金を加えて、本件商品の購入資金を用意した。
数日後、乙は、Xと一緒に、都内のファストフード店で契約担当者のH(営業員)と会った。事前にEから、「確認項目はすべて「はい」にチェックをつけないとUSBを購入できない。」と聞かされていて、Hからも、「いいえ」に該当するものが一つでもあれば、売買契約はできないと説明されたので、乙は、「いいえ」をつけることができなかった。乙は、ファーストと売買契約を結び、Hに現金 53
万 9,000 円を手渡し、本件商品を受取った。
契約後、乙はミーティングに参加していたが、回を重ねるごとに投資の話ではなく、勧誘の話が中心になっていった。乙は、不信感を抱くようになり、解約することにした。
(事例3)
令和元xxころ、大学生丙は、高校時代の知人I(営業員)から久しぶりに連絡があり、「ご飯に行こうよ。」と誘われた。後日、居酒屋でIと会い、互いの将来について語り合ううちに、Iは「世界で一番稼いでいるxx・xxxは時給換算で数十億円稼いでいるんだよ。それに対し俺らは、たとえ今、
給料がいいって言われている会社に入っても、せいぜい年収1千万円くらいだろ、超頑張ったとしても、それくらいが相場だろう。」、「でも、将来のこと、老後のことを考えると5千万近くは必要になってくるぞ。」、「金が欲しいのであれば、投資とかやってみるといいかもよ。」と話して、丙が興味を示すと、Iは「今度、すごい稼いでいる人に会わせてやるよ。」と言った。このとき、貴殿の氏名や本件商品について勧誘する目的などは、Iから全く告げられなかった。
後日、Iは、都内の喫茶店で午後8時 30 分ころ丙と会い、丙に対し、これから会う人は「めちゃくちゃ稼いでいて、ブランド品で全身を固めている。」、「昨年、億を稼いだ。」などと言い、その後にバイナリーオプション取引の説明し、「タイミングでボタンを押したら勝てる可能性が高まるツール」があって、そのツールがUSBであると知らされた。この段階でIはまだファーストや貴殿の名前は言わなかった。さらに、Iは、これから会うJ(営業員)は、そのツールを使って大成功した人だから、丙もこれを試してみるといい、などと言った。
午後9時になると、I は丙を伴いカフェに移動すると、そこにJが待っていた。J は、「この商品「d mt及び Latte」というUSBです。」と言い、「これが、この商品を使った場合のバイナリーオプションの勝率です。」と言いながら、xxxxxの資料とグラフを見せながら、勝率について説明した。このときに、貴殿の氏名や本件商品の値段が約 53 万 9,000 円であることが、丙に告げられた。丙が
「ちょっと考えます。」と言うと、Xは、「買いたくなったらなるべく早く連絡してね。数量が限定されるので、すぐ手に入らない可能性があるんだよね。」と言った。
午後 10 時ころに、Jと別れると、Iは丙を別の飲食店へ案内したので、そこで丙は、「お金をすぐに用意するのは無理だ。だから、バイトでめちゃくちゃ頑張って、稼げたらまた連絡するよ。」と伝えたところ、Xは、「いや決断が大事だ。すぐにやった方がいい。」と言い、xが渋っていると、Xは「もう一人の友達に会わせる。」と言って、K(営業員)が合流した。Kは、丙に対し、「俺は消費者金融で借りたよ。」と言い出したので、丙は、「今すぐにはできないから、やめとく。」と二人に対してはっきりと言い、Kとはそこで別れた。
丙は、I に午後 11 時を過ぎると終電がないと伝えていたが、Iから「もう一人、友達に合わせてやる。」と言われ、Iが友達と呼ぶL(営業員)が住んでいる家へ連れていかれた。
そこで丙は、IとLの二人に「俺、終電がないんだけど。」と伝えたが、「すぐに終わるから。」などと言われて、結局そのままLの家に泊まらざるを得なかった。丙は、二人に対し「僕はお金を用意できないから、出来ません。」とはっきり、何度もやめるという意思を伝えたが、「すぐに始めないと商品がすぐになくなっちゃうよ。」「、借りてくりゃいいじゃん。」、「みんなそうしてる。」などと説得され、 Iからは「明日、一緒に消費者金融行くぞ。俺が一緒について行ってやるから。」と言われた。xは、一晩にわたり二人から勧誘が行われて身も心も疲れてしまい、正常な判断が出来ないような状態になっていた。
その翌日、丙は、午前9時から借入れの準備を始めさせられ、Iに学生ローン会社へ連れて行かれた。丙は、前日にLから、ローン利用目的は、本件商品の購入のためではなく、「司法書士の資格取得の勉強代」と言うように、また年収も「ちょっと盛れ、100 万円くらいにしとけ。そう言えば貸してくれるから。」と言われていた。丙は、Lに指示されたとおり、学生ローンへ行き、利用目的と収入について虚偽の情報を書類に書き、二か所で 45 万円を借入れた。
同日夕方、丙は、Iと一緒に、都内の喫茶店で契約担当者のM(営業員)と会った。Mから、「一個でも「いいえ」があると売ることができないんだよね。」と言われたので、丙は、「はい」にチェックするしかないと思った。丙は、ファーストと売買契約を結び、Mに現金 53 万 9,000 円を手渡し、本件商品を受取った。