Contract
全体スライド運用
愛知県企業庁公共工事請負契約約款第 26 条第 1 項~第 4 項(全体スライド条項)の増額または減額となる場合の運用について
1.適用対象工事
1)請負契約締結の日(又は直前の基準日)から 12 ヶ月を経過した工事であること。[契約約
款第 26 条1項]
2)残工事の工期が基準日から2ヶ月以上あること。
3)諸経費率の改正のみによる変動は、スライド変更の根拠とはならない。(諸経費率の改正のみによる変動とは、例えば、直接工事費が減額しているにも関わらず物価変動後の発注者の積算を基に計算した請負代金額が 1,000 分の 15 以上増額となる場合等であり、この場合はスライドの対象としない。)
4)減額の場合、物価変動後の発注者の積算を基に計算した請負代金額が、1,000 分の 30 以上変化していると予想されること。
5)発注者確認時期は請負契約締結の日(又は直前の基準日)から 12 ヶ月経過時点、その時点で対象外の場合は、以降の労務単価改訂時を確認時期とする。
2.請求日及び基準日等について
1)請求日:スライド変更の可能性があるため、発注者又は請負者が請負代金額の変更の協議を請求した日。
請負契約締結の日(又は直前の基準日)から 12 ヶ月を経過した後の日であること。
2)基準日:賃金水準、物価水準変動後単価の基準となる日。請求日とすることを基本とする。
また、請求があった日から起算して、14 日以内で発注者と請負者とが協議して定める日とすることも可とする。
3)残工期:基準日以降の工事期間。
残工期は、基準日における契約工期の残工事期間を基本とするが、基準日までに変更契約を行っていない場合でも先行指示等により工期延期が明らかな場合には、その工期延期期間を考慮することができる。
3.スライド協議の請求
1)発注者及び請負者は、請負契約締結の日(又は直前の基準日)から 12 ヶ月を経過した工事のうち、スライド変更の必要性があると判断される工事について協議開始を申し入れる
(請求日)。
2)スライド協議の請求は、発注者又は請負者から書面により行うこととする。
3)発注者は請負者の意見を聴いてスライド額協議開始日を定め、請求日から7日以内に請負者に書面により通知する(スライド額にかかる変更契約を精算変更時点で行う場合は、その予定時期に合わせて協議開始日を設定する)。
4.請負代金額の変更
1)請負者と協議するためのスライド額は、次の式により算定すること。
【増額の場合】
S=[P2-P1-(P1×15/1,000)] (ただし、P1<P2)
【減額の場合】
S=[P2-P1+(P1×15/1,000)] (ただし、P1>P2)
この式において、S、P1及びP2は、それぞれ次の額を表すものとする。 S :スライド額
P1:請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額 P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額
(P=α×Z、α:落札率、Z:積算額)
なお、P2の算定にあたっては、基準日における適切な工事価格を算出するため、基準日における諸経費率(共通仮設費率、現場管理費率、一般管理費率)を用いるものとする。
2)賃金又は物価の変動による請負代金額を変更する場合のスライド算定額は、労務単価、材料単価、機械器具損料並びにこれらに伴う共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等の変更について行われるものであり、歩掛の変更については考慮するものではない。
3)スライド請求を複数回行う場合におけるスライド額の算出も上記に基づき同様に実施するものとする。なお、その場合基準日における請負代金額には、それまでに実施したスライド額を含むものとする。
5.残工事量の算定
【出来形数量の確認方法】
1)基準日における残工事量を算定するために行う出来形数量の確認は、契約図書に対応して出来高確認を行うものとすること。
2)出来形の確認は、設定される基準日に現地確認することを基本とするが、やむを得ない場合は書類で確認することができる。また、請負者は参考資料として、実施工程表(種別の出来形割合が記入されているもの)及び、出来高根拠となる図面を作成すること。[一般図、平面図、標準横断図、構造一般図(小構造物を除く)でよい。]
3)出来形は施工ブロック単位に確認すること(別紙 1 参照)。
【先行指示分の取扱い】
4)基準日までに変更契約を行っていないが工事協議書(様式第26)により、先行指示され
ている設計量については、スライドの対象とすることができる。
【現場搬入材料】
5)現場搬入材料については、認定したものは出来形数量として取り扱うこと。また、下記の材料等についても出来形数量として取り扱う。
・工場製作品については、工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来形数量として取り扱う。
・基準日以前に配置済の現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン、仮設鋼材など)も出来形数量として取り扱う。
・契約書にて工事材料契約の完了が確認でき、近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は出来形数量として取り扱う。
【材工分離不可の場合】
6)積算の内容が、設置撤去を合わせた総合歩掛であるなど、分割が不可能なものについては、主な部分が完了していれば、その工種の当該ブロックは完了とすることができる。
①コンクリート工(打設、養生の分離不可能)
・打設が完了しておれば完了とすることができる。
②型枠工(製作、設置、撤去の分離不可能)
・設置が完了していれば完了とすることができる。
【出来形数量の対象】
7)請負者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は、増額スライドの場合出来形部分に含めるものとし、減額スライドの場合は、出来形部分に含めないものとする。
8)契約図書で一式明示した仮設工についても出来形数量の対象とできる。
【出来形数量計上方法が困難な場合】
9)出来形数量の計上方法については、発注者側に換算数量がない場合は、請負者側の当該工種に対する構成比率により出来形数量を算出してもよい。
【確認日】
10)請求日から 14 日以内に基準日時点における出来形数量の確認を行う。
6.物価指数等
1)発注者は、積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とする。なお、請負者側の協議資料等に基づき双方で合意した場合は別途の物価指数を用いることができる。
2)発注者の積算に用いる物価変動後の単価のうち、個別特別調査及び見積価格採用の単価など、再調査、再見積に多大な労力又は日数を必要とする場合には、当初積算時の類似単価の物価変動率より算出するか、又は、当初積算時の単価により算出することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は別途考慮する。
7.インフレスライド条項又は単品スライド条項との併用
1)契約書第 26 条第6項に規定するインフレスライド条項に基づく請負代金額の変更を実施
した後であっても、インフレスライド適用後 12 ヶ月経過後に、本運用によるスライドを請求することができる。
2)本運用に基づき請負代金額の変更を実施した後であっても、契約書第 26 条第5項に規定する単品スライド条項に基づく請負代金額の変更を請求することができる。
3)契約書第 26 条第1項から第4項に規定する全体スライド条項は、材料価格を含む物価や賃金等の変動に伴う価格水準全般の変動について対応するものであることから、単品スライド条項の適用となっている材料を含めて、まず全体スライド条項によるスライド額を算出することが基本となる。その上で、全体スライド条項との重複を防止するため、全体スライド条項の対象とした数量については、変動前の単価を全体スライド条項の適用日の単価として単品スライド条項のスライド額を算出することとなる。
4)また、全体スライド条項と単品スライド条項とをそれぞれ単独で考えれば、前者においては残工事費の 1.5%、後者においては対象工事費の1%、それぞれで受注者の負担が生じることとなる。両スライドのルールをそのままそれぞれ適用した場合には、受注者にリスクを重複して負担させることになり、結果的にリスク負担が過大なものとなる。
5)このような過大なリスク負担を回避するため、単品スライド条項のみが適用される期間においては当該期間の工事費の1%を受注者の負担とするが、全体スライド条項と単品スライド条項が併用されている期間においては、全体スライド条項の適用により受注者が負担する残工事費の 1.5%をもって既に単品スライド条項に係るリスク負担がなされているとの考え方に基づき、単品スライド条項に係る1%分の負担を求めないこととした。
6)さらに、単品スライド条項に係る対象工事費は基本的には最終的な全体工事費であり、全体スライド条項と併用した場合の対象工事費は全体スライド条項に係るスライド額を含む変更後の総価となる。
8.その他
本運用により難い場合については、発注者、請負者双方で協議して、変更額を決定する。
別紙1
< 構造物の判定例 >
A
B-2 ブロ
B-1 ブロ
【1】出来形は(A + B)ブロック C 【2】出来形は(A , B-1)ブロッ
の打設量で確認。 B
A
※B-1 ブロックは
B-2 ブロックは
出来形数量の考え方
コンクリート構造物たり数量の内訳である
・細別数量は、種別毎してよい。
・出来高確認について
・現場打ちとなるコン完了していれば完了
・型枠工は、設置が終
(1) 全体スライド手続きフロー
1) 増額の場合
<フロー図>
全体スライド【請負者発議の場合】
請 負 者 発 注 者
請求日
契約日(前回の
基準日)からヶ月以上
*
12
日以内
7 (希望協議開始日
日以内
**
14
【請求】様式 1
【概算スライド額調書】様式 2
【残工事量内訳書】様式 2 別添
受理
∙ スライド額の協議開始日の設定
通知
受理
***
【協議開始日通知】様式 3
基準日から ヶ月以上
∙ 基準日時点の出来形数量の確認
基準日(請求日と同日が基本)・確認日
∙ 残工事量の確認
【残工事量確認書】様式 4
【残工事量内訳書】様式 4 別添
2
協議開始日
日以内
***
14
****
∙ スライド額の協議
∙ スライド額の算定
∙ 予算執行
【スライド額協議】様式 5
14 日以内に協議が整わない場合、発注者がスライド額を決定
協議終了
変更契約の締結
議決対象工事については、仮変更契約の締結となり、議決を経て本契約となる
工期末
* 請負契約約款 第 26 条 1 項
** 請負契約約款 第 26 条 8 項
*** 本運用2.2)
**** 請負契約約款 第 26 条7項
2) 減額の場合
<フロー図>
全体スライド【発注者発議の場合】
請 負 者 発 注 者
契約日(前回の
基準日)からヶ月以上
*
12
受理
請求
(=基準
【請求】様式 1
日以内
7
日以内
**
14 ∙ スライド額の協議開始日の設定
通知
受理
***
【協議開始日通知】様式 3
基準日から ヶ月以上
∙ 基準日時点の出来形数量の確認
基準日(請求日と同日が基本)・確認日
∙ 残工事量の確認
【残工事量確認書】様式 4
【残工事量内訳書】様式 4 別添
2
協議開始日
日以内
***
14
****
∙ スライド額の協議
∙ スライド額の算定
∙ 予算執行
【スライド額協議】様式 5
14 日以内に協議が整わない場合、発注者がスライド額を決定
協議終了
変更契約の締結
議決対象工事については、仮変更契約の締結となり、議決を経て本契約となる
工期末
* 請負契約約款 第 26 条 1 項
** 請負契約約款 第 26 条 8 項
*** 本運用2.2)
**** 請負契約約款 第 26 条7項
[請負者からの請求]
(発注者宛)
殿
(様式 1)平成 年 月 日
住所請負者
氏名 印
法人の場合は名称及び代表者の氏名
賃金及び物価の変動に基づく請負代金額の変更について(請求)
平成 年 月 日付けで契約した下記の工事について、愛知県企業庁公共工事請負契約約款第26条第1項の規定により請負代金額の変更を請求します。
記
1 工 事 名
2 路 線 等 の 名 称
3 工 事 場 所
4 | 請 | 負 | 代 | 金 | 額 | 金 | 円(消費税及び地方消費税含む) | ||
5 | 工 | 期 | 着手 | 平成 | 年 月 日 | ||||
完了 | 平成 | 年 月 日 | |||||||
6 | 残工事量等確認日(希望) | 平成 | 年 | 月 | 日 | ||||
7 | 協 議 x x 日 ( 希 望 ) | 平成 | 年 | 月 | 日 | ||||
8 | 変 更 請 求 概 算 額 | 金 | 円(消費税及び地方消費税含まず) | ||||||
9 | 概算変動前残工事代金額 | 金 | 円(消費税及び地方消費税含まず) |
(概算変動前残工事代金額とは、請負代金額から当該請求日における既済部分に相応する請負代金額を控除した額)
※ 請求に当たっては、事前に監督員と調整すること。
※ 残工事量等確認日(希望)は、この請求を提出する日から起算して 14 日以内とする。
※ 別紙「概算スライド額調書」(様式 2)を添付する。(また、出来高、残工事の既定額、単価の変動及び上昇額に関する資料を添付する。)
※ 変更請求概算額及び概算変動前残工事代金額については、精査の結果によって、変更となることがある。
※ 工期又は工事内容の変更について先行指示があるが、契約変更が済んでいない場合には、その旨を確認するための資料を添付する。
(様式 2)
概算スライド額調書
(新規・再提出)
工 | 事 名 | |||||
路 | 線 等 の 名 称 | |||||
工 | 事 場 所 | |||||
請 | 負 代 金 額 | 円(税抜き) | ||||
円(税込み) | ||||||
予 | 定 価 格 | 円(税抜き) | ||||
円(税込み) | ||||||
契 | 約 日 | 平成 | 年 | 月 | 日 | |
工 | 期 | 着手 平成完了 平成 | 年年 | 月月 | 日日 | |
基 | 準 日(x x) | 平成 | 年 | 月 | x | |
x | x 高 | . | % | |||
x x x 額 (既済部分に相応する請負代金 額) | 円(税抜き) | |||||
変動 前 残 工 事 代金 額 (P1) | 円(税抜き) | |||||
変動後残工事代金額 (P2) | 円(税抜き)) |
【増額の場合】
○スライド額(S) = P2 ― P1 ― ( P1 ×15/1000)
(税抜き) = ― ― ( ×15/1000)
= ―
=
【減額の場合】
○スライド額(S) | = | P2 | ― | P1 | + | ( | P1 | ×15/1000) |
(税抜き) | = | ― | + | ( | ×15/1000) | |||
= | + | |||||||
= |
P1 : 変動前残工事代金額(税抜き)
(請負代金額から当該請求時の既済部分に相応する請負代金額を控除した額) P2 : 変動後残工事代金額(税抜き)
(変動後の賃金又は物価を基礎として算出した変動前残工事代金額に相応する額)
※ 出来高、出来高額、変動前残工事金代額及び変動後残工事代金額については、概算とする。精査の結果によって、これらは変更となることがある。
残 工 事 量 内 訳 書
(様式 2 別添イ)
工種 | 種別 | 細別 | 規格 | 単位 | 設 | 計 | 基準日現在出来高 | 残 | 工 | 事 | 摘 | 要 | |||||||
数 量 ① | 単価 | 金 | 額 | 数 量 ② | 金 | 額 | 数 量 ①-② | 単価 | 金 | 額 | |||||||||
注 1)設計数量には、先行指示による数量を含む。
注 2)その他残工事量が確認できる資料を添付すること。
(様式 3)
( 文 書 番 号 )平成 年 月 日
(請負者宛)
様
企 業 庁 長 印
[ 所 長 ]
賃金及び物価の変動に基づく請負代金額の変更について(通知)
年 月 日付けで請求のあったこのことについては、下記のとおり愛知県企業庁公共工事請負契約約款第26条第8項に基づく協議開始日を定めたので通知します。
なお、当該請負代金額の変更については、当該工事に係る変動額が変動前残工事代金額の 1000 分の
15 を超える額について行うものとします。
記
1 工 事 名
2 路線等の名称
3 工 事 場 所
4 協議 開始 日 平成 年 月 日
(様式 4 乙)
残 工 事 量 確 認 書
1 工 事 名
2 路 線 等 の 名 称
3 | 工 | 事 | 場 | 所 | ||||||
4 | 工 | 期 | 着手完了 | 平成平成 | 年年 | 月月 | 日日 | |||
5 | 基 | 準 | 日 | 平成 | 年 | 月 | 日 |
6 残 工 事 量 残工事量内訳書のとおり
7 残工事量確認年月日 平成 年 月 日
上記のとおり確認します。平成 年 月 日
発注者 住 所
愛 知 県
代 表 者 企 業 庁 長 印
[ 所 長 ]
請負者 住 所
商 号 又 は 名 称
代 表 者 名 印
※ 確認後、疑義が生じた場合は再確認を実施することができる。
※ 2通作成し,発注者、請負者各自1通を保有する。
残 工 事 量 内 訳 書
(様式 4 別添)
工種 | 種別 | 細別 | 規格 | 単位 | 設計数量 ① | 基準日現在出来高数量 ② | 残工事数量 ①-② | 摘 要 |
注)設計数量には、先行指示による数量を含む。
(様式 5)
( 文 書 番 号 )平成 年 月 日
(請負者宛)
様
企 業 庁 長 印
[ 所 長 ]
契約内容の変更について(協議)
平成 年 月 日付けで契約した下記工事について、別添の変更契約書のとおり契約内容を変更したいので協議します。
なお、ご異議のない場合は、変更契約書に押印のうえ、一部提出してください。
記
1 工 事 名
2 路 線 等 の 名 称
3 工 事 場 所