発行企業名 マルオカ工商 株式会社 所 在 地 愛知県名古屋市西区歌里町 298 番地 代 表 者 岡 正治 事業内 容 各種ハウスの賃貸リースおよび販売業務、設計・施工・管理土木建築工事 資 本 金 20 百万円 設 立 1980 年 10 月 8 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2023 年 10 月 11 日
マルオカ工商 株式会社との
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 好岡 政宏)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、マルオカ工商 株式会社(代表取締役 岡 正治)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組んでいきます。
記
【契約内容】
融 資 金 額 | 120 百万円 |
期 間 | 5 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
発行企業名 | マルオカ工商 株式会社 |
所 在 地 | 愛知県名古屋市西区歌里町 298 番地 |
代 表 者 | 岡 正治 |
事業内 容 | 各種ハウスの賃貸リースおよび販売業務、設計・施工・管理 土木建築工事 |
資 本 金 | 20 百万円 |
設 立 | 1980 年 10 月 8 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
マルオカ工商株式会社
ポジティブインパクトファイナンス評価書
2023 年 10 月 11 日
岐阜信用金庫は、マルオカ工商株式会社(以下、「マルオカ工商」)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫
が開発した評価体系に基づいている。
目次
同社は土木建築工事業が祖業であるが、現在は、比較的大型の建築(土木工事も含む 以 下同様)現場に中長期間必要となる 「仮設事務所(組立・ユニットハウス)」、「仮設トイレ」 および事務所運営に必要となる「事務機器(机・什器・コピー機・電気製品等含む)」等のリー ス業を主体に事業を展開している。取引先は大手から地元企業まで幅広く、また営業エリアも地 元名古屋を中心に、首都圏(東京)、静岡、三重、関西エリア(滋賀)、九州エリア(福岡)と広域に対応している。
ワンストップで最適な各種現場環境を提供することが可能であることから、業界内の信頼を以て
「社会」、「環境」、「経済」に様々な影響を与えながら事業を拡充している。
企業名 | マルオカ工商株式会社 |
本社所在地 | 愛知県名古屋市西区歌里町 298 番地 |
代表者 | 岡 正治 |
資本金 | 2,000 万円 |
売上高 | 2,450 百万円(2022 年 8 月期) |
設立 | 1980 年 10 月 |
事業内容 | 土木建築工事・各種ハウスの賃貸リースおよび販売業務、設計・施工・管理 |
従業員数 | 20 名(2023 年 8 月現在) |
1975 年 | 個人事業として創業 |
1980 年 | マルオカ工商株式会社として法人設立 |
2016 年 | 関東営業所開設 |
2003 年 | 静岡営業所開設 |
1980 年 | 名古屋営業所開設 |
2021 年 | 四日市営業所開設 |
1980 年 | 関西営業所開設 |
2015 年 | 福岡営業所開設 |
①代表者の理念
「人と人の和」、「人と企業の和」、「企業と企業の和」
人や企業との調和、ともに成長し、ともに助け合う社会活動を通じた事業活動を理念にしている。
②組織体制
建築現場や各種工事現場で発生する「仮設事務所(組立・ユニットハウス)」「仮設トイレ」および運営に必要な備品等のニーズに対応することで、各種現場における労働環境の改善を実現するほか、地域社会の一員として様々な取り組みをすることで社会貢献に努めている。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
・必要な用途(大きさ・種類)、必要な期間、様々なニーズに合わせた建物(組立ハウス・ユニットハウス)および付帯設備の提供による健やかかつ最適な労働環境の提供
【組立ハウス:自由な設計】 ・機能的な空間を低価格で実現 ・ニーズに合わせて間取り変更 ・短時間での施工実現 ・事務所や教育施設、宿舎など多様な用途にて同社提供の組立ハウスが活 用されている | |
【ユニットハウス:機動性設計】 ・照明器具や電気設備が備え付け ・ユニック車等で設置が可能 ※設置が簡易で施工直後に利用可 ・各種サイズを取り揃えており、あらゆる用途に応じた対応が可能 |
・仮設トイレ、フロ(風呂)ハウス等の提供による建築現場等における衛生環境の向上
・太陽光発電+エアコンを完備した環境に配慮されたソーラーハウスの提供
【ソーラーハウス】 ・商用電源不要、電気工事不要 ・安全・安心・迅速に設置可能 ・太陽光発電により稼働するエアコン は、環境負荷の低減と人々の安全と熱中症などの労働災害防止を両立 ・設置直後からの利用が可能 |
・環境負荷の低減だけでなく、防犯等にも効果がある自立型ソーラー街灯シリーズの提供
・取り扱い商材を活用した災害時における地域社会へのサポート体制の構築
・地域小中学校への寄贈
・地域清掃活動への積極的な参加
同社の主力事業は各種ハウス等の賃貸リースであるが、必要なタイミングに必要な期間だけ、必要な商材(製品)を提供することは、製品の「過剰な購入=不要な製造」を抑制し、社会全体における資源効率の最適化を促進するほか、製造工程で発生する温室効果ガスや廃棄物の過剰な発生を抑制することで、環境負荷の低減にも寄与している。
加えて、自社の事業活動においても、温室効果ガス削減をはじめとした環境負荷の低減を考慮した取り組みを実施している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
・賃貸リース事業の展開を通じた社会全体の資源効率最適化への貢献
・ 〃 温室効果ガスや廃棄物削減への貢献
・リース対象製品の修繕、メンテナンス体制の整備を通じた廃棄物削減
・ソーラー関連商材の積極的な提案および提供を通じた環境負荷低減
・事業で発生する廃棄物の適正な分別廃棄、リサイクルの徹底
・社用車におけるハイブリット車採用を通じたガソリン消費量、温室効果ガス排出量削減による環境負荷低減
・エコドライブの推進
・営業部門を中心にタブレット端末の利用を通じたペーパーレス推進(省資源化)
人材育成による働きがいの創出に加え、健やかな職場環境の提供によるワーク・ライフ・バランス実現への取り組み。
具体的な取り組み内容は次項の通りである。
・従業員の定時退社推奨(業務整理・効率化による残業時間の抑制)
・時差出勤・退勤制度等による従業員のライフステージに合わせたフレキシブルな勤務体系
・入社後の研修制度による次世代を担う人材の育成
・業務関連資格の取得推奨、講習費、資格取得費のサポート
・営業エリア拡充に伴う営業所の増設(移動時間削減、業務効率化による業務負担の軽減)
・定例会議による経営陣と従業員の意見交換の実施(業務改善への継続的な取り組み)
同社の事業は主に次項の 2 事業から構成される。
左図は同社施工による建築現場事務所、倉庫・仮設トイレの事例であるが、必要なサイズ、機能を組み合わせ、顧客ニーズ・用途にあわせた現場づくりを提案している。 照明器具や電気設備をハウス本体に備えているため、内装仕上げ等が不要であり、要望にあわせて間取りの変更等にも対応しながら短時間での施工を実現。 施工直後から利用可能であることから顧客より高い評価を得ている。 |
① 各種ハウス・物品リース事業および販売事業(売上高構成比 40%・利益構成比率 99%)愛知県を主体に大規模な建築現場の仮設事務所、トイレおよび事務所運営に必要となる備品のリースをワンストップに対応している。祖業の土木建築業のノウハウに加え、永年で得た事業経験により様々なフェーズに合致するリースを能動的に提案できることから、大手から地元事業者まで幅広い顧客層を有している。また、同社はイニシャルの対応だけでなく、リース期間中に定期的に営業担当者が現場に訪問することにより、些細な不具合にも対応するきめ細やかなサービスの提供と追加需要の獲得の双方を実現している。(販売による事業展開は微小)
また同社では、環境負荷が少ないソーラー関連商材についても積極的に提案、取り扱いを拡大している。特にソーラーハウスについては商用電源・電気工事が不要なため、安心・安全・迅速な設置が可能であり、ハウス内にエアコン・カーペット・ブラインド等が完備されていることもあって、
設置後すぐに利用できることから、顧客の利便性向上と同時に環境負荷軽減(温室効果ガス・通常の仮設ハウス等を設置する際に発生する廃棄物の抑制)も実現している。
② 土木建築工事事業(売上高構成率 60%・利益構成率 1%)
同社の祖業であり、名古屋エリアを中心に土木建築工事を請け負っているが、主事業である賃貸リースの受注を得るために請け負っているものであり、実際の施工等については外部協力会社がすべて対応している。
インパクトの特定のため、同社主力事業である「各種ハウス等の賃貸リース事業」についてバリューチェーン分析を実施した。
同社は仮設ハウス、仮設トイレをはじめとした建築現場事務所等に求められる様々な商材をストックし、顧客ニーズに合わせて組み合わせ、賃貸リースを主体に提供している。(一部販売での提供も存在しているが、受注構成の大半は賃貸リース方式であるため本評価書においては分析を割愛)取り扱い商材の多様さに加えて、長年建築現場を中心とした仮設事務所等の設営に取り組んできた経験・ノウハウに基づく提案力および設営後においても定期的に営業担当者が訪問し追加需要の確認やメンテナンスに対応する手厚いフォロー体制が同社の強みとなっている。
なお、「土木建築工事事業」については同社売上高構成比 60%を占める事業であるものの、現状、同社では主業である賃貸リースの受注を得るために請け負っているものであり、実際の施工については外部協力会社がすべて対応していることから、同社事業活動のインパクトの影響の大きさを考慮し、本PIF においては主力事業である「各種ハウス等の賃貸リース事業」に特化して検証、分析を実施するものとする。
同社のバリューチェーン図(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業および川上・川下の事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「その他の機械器具・有形財賃貸・リース業(ISIC:7730)」「その他土木工事業」を、川上の事業については「構造用金属製品製造業(ISIC:2511)」を、川下の事業については「建築工事業(ISIC:4100)」、「その他の土木工事業(ISIC:4290)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
同社事業のうち、「その他の機械器具・有形財賃貸・リース業」においては、関連性の高い「雇用」、
「資源効率・安全性」、「廃棄物」のカテゴリ、「その他の土木工事業」においては、「雇用」、「大気」、「資源効率・安全性」、「気候」のカテゴリを分析の対象とする。
また、川上の事業に対して同社事業活動が与える影響は、「水(質)」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」のカテゴリ、川下の 2 事業種については、同社事業活動が与える影響が大きいと思料される「雇用」「資源効率・安全性」「廃棄物」のカテゴリを分析対象とした。
同社の事業(その他の機械器具・有形財賃貸・リース業:ISIC 7730)
PI | 「雇用」「資源効率・安全性」 |
NI | 「雇用」「廃棄物」 |
同社の事業(その他の土木工事業:ISIC 7730)
PI | 「雇用」 |
NI | 「雇用」「大気」「資源効率・安全性」「気候」 |
【社会面】
◆「雇用」
従業員の雇用創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NIが発現する。
同社では入社後の研修制度の構築、運用による人材育成や、業務関連資格の取得推奨に加え、講習費、資格取得費支援を通じてその他の機械器具・有形財賃貸・リース業およびその他の土木工事業における PI の拡大に努めている。また、業務整理を通じた残業に時間の削減、従業員の定時退社推奨、時差出勤制度の設定、活用等による従業員のワーク・ライフ・バランスの確保を通じた NI の低減に努めている。
上記は SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
【環境面】
◆「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」
その他の機械器具・有形財賃貸・リース業は、製品を効率的に使用することから、過剰な製造
=原材料・素材の使用を抑制するため「資源効率・安全性」における PI が発現するほか、事業活動に伴い事業所内外で廃棄物が発生することから「廃棄物」における NI が発現する。 同社では、各商材の使用期間の長期化を図ったり、リサイクルを促進するなどして、資源(製品)の効率的な利用を実現。また、リサイクルや商材の使用期間の長期化は、廃棄
物の低減や環境汚染の抑制にもつながることから、事業の拡充を以て「資源効率・安全性」における PI の拡大および「廃棄物」における NI の低減に貢献している。
また、その他の土木工事業においては、効率的に資源やエネルギーが利用されなければ、現場等で過剰に発生する温室効果ガスにより、「大気」、「資源効率・安全性」、「気候」、に悪影響を及ぼすことから NI が発現するが、同社では太陽光発電が可能なソーラーハウス等の提供により、現場における創エネ、省エネを実現し、現場で発生する温室効果ガスの発生を抑制することで、「大気」「資源効率・安全性」、「気候」の NI の低減に努めている。
上記は、SDG7「エネルギーをみんなに」、SDG12「つくる責任、つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」、SDG15「陸の豊かさを守ろう」に該当する。
川上の事業(構造用金属製品製造業:ISIC:2511)
NI | 「水(質)」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
【環境面】
◆「水(質)」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」
一つの商材を複数の事業者が利用するリース事業は、川上の事業者である構造用金属製品製造業における過剰製造を抑制するだけなく、最適な資源の使用=製造量に導くため、製造過程で発生する汚水、温室効果ガス、廃棄物を最小限にすることを可能とし、「水(質)」
「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」における NI 低減に貢献する。
上記は、SDG6「安全な水とトイレを世界に」、SDG12「つくる責任、つかう責任」、SDG13、
PI | 「雇用」「エネルギー」 |
NI | 「雇用」「エネルギー」「資源効率・安全性」「廃棄物」 |
「気候変動に具体的な対策を」、SDG15「陸の豊かさを守ろう」に該当する。川下の事業(建築工事業:ISIC4100、その他土木工事業:ISIC4290)
【社会面】
◆「雇用」
同社が建築現場において、ユニットハウス等の設備を提供することにより、快適な休憩場所や事務所機能が確保され、健やかで効率的な業務を創出し、川下の事業における労働環境の改善、安全を担保することから、「雇用」における NI の低減に貢献している。
上記は SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
【社会面・環境面】
◆「エネルギー」「資源効率・安全性」「廃棄物」
川下となる建築工事業に対し、必要な機会に、必要な期間だけ、必要な商材(仮設事務所・トイレ等)を購入と比較し低コストのリース方式にて提供することにより、汚水や廃棄物の発生を抑制するうえ、多くの建築現場が最適(快適)化され、労働者の安心安全な作業環境が確保される結果、生産性の向上=工期の短縮=省エネ等にもつながり、インフラストラクチャーの構築を支援すると同時に、「資源効率・安全性」および「廃棄物」における NI の低減に貢献する。加えて、同社のソーラー関連商材は、太陽光発電を利用することにより創エネ、省エネを実現している。
上記は SDG6「安全な水とトイレを世界に」、SDG7「エネルギーをみんなに」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
(4)特定したインパクト
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
「(取引先の)建築現場における環境への配慮と安心・安全な労働環境提供の両立」
「健やかな職場環境によるワーク・ライフ・バランスの実現」
「災害時における地域社会の一員としての取り組み」
① (取引先の)建築現場における環境への配慮と安心・安全な労働環境提供の両立
・建築現場等における労働環境改善(SDG8、12)
同社では建築現場を中心に労働環境の快適性、効率・生産性を向上するための仮設ハウス および事務所運営等に必要となる各種備品や衛生面の課題を解決する仮設トイレ等、様々な取り扱い商材を組み合わせて提案・提供することで、川下事業者の労働環境改善に貢献している。
また、賃貸リースによって必要なタイミングで、必要な期間のみ、必要な商材を提供することは、一定期間のみ必要となる設備の過剰購入を抑制することにつながり、最適な製造量を促し、社会全体での資源効率向上にも貢献する。
今後も、受注先ニーズに合わせて取り扱い商材を拡充しながら、営業エリアの拡大、売上高増加を図っていくことで、地域経済に良質な影響を与えながら、同社事業の社会に対するインパクトの範囲を広げ、提供先事業者における生産性向上、労働環境改善に加え、資源効率等の環境への貢献も強化していく。
・ソーラー関連商材の提案強化を通じた建築現場の環境負荷低減(SDG7、13)
同社取引先において、ソーラー関連商材は、商材に付帯した太陽光パネルが発電することによ り、電気使用量を削減し、温室効果ガスの排出量の低減、ランニングコストの軽減を実現するこ とが可能である。特にソーラーハウスにおいては、設置時における電気工事を不要とすることから、設置直後の使用を可能にするだけでなく、設置時における廃棄物の排出も抑制する。
また、自立型ソーラー街灯も同様に電気工事を不要とすることから、設置場所を選ばず、利用者の安心安全(防犯等)を提供すると同時に、利便性向上、コスト軽減に加えて、環境負荷の低減を実現している。
これらの取り組みを通じて、環境に配慮した建築現場の労働環境改善への貢献を強化していく。これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーにおいて、社会的側面・環境的側面の PI を拡大すると考えられる。
② 健やかな職場環境によるワーク・ライフ・バランスの実現
・労働環境の整備(SDG8)
同社では健やかな職場環境を提供するため、業務整理・効率化を通じた定時退社の推奨、ライフスタイルに合わせた時差出勤制度や早退制度の活用に取り組み、ストレスフリーな職場環境の実現に努めている。
また、事業エリアが中部エリアを主体に首都圏、関西圏、九州エリアと全国に渡っていることから、従業員の出張の削減、移動時間の圧縮、労働上の負荷を低減するために営業所を開設している。(通常は、営業エリアを拡大ニーズ⇒特定したエリアに営業所開設⇒営業エリア拡大の実績であるが、同社は、新規エリアにおいて取引先増加・営業エリアの拡大の実績⇒従業員の
出張等の負担増加⇒営業所開設により出張等を抑制し、従業員の労働負荷を軽減)
加えて、週次の会議にて経営陣と従業員が意見交換を実施することにより、「現場ファースト」の業務改善を継続的に取り組むことを可能とし、従業員の働きやすい環境の提供と事業の拡充の両立に努め、ライフ・ワーク・バランスの実現を図っている。
・資格取得のサポート体制の強化(SDG8)
入社後の研修制度の構築、運用と業務関連資格の取得推奨、講習費、資格取得費支援といった取り組みを通じて同社事業を支える人材育成を図っている。
今後、業務に関連する推奨資格や技能検定のサポート体制を強化し、資格取得費用の負担に加えて勉強時間を創出するサポートを強化していくことで更なる社内人材の育成と同社の価値向上を図っていく。
これらの取り組みを通じて、社員が健康的で働きがいをもって働ける職場環境を整備し、一人ひとりの成長と事業の拡充が同調する体系の構築を図っていく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の NI を緩和すると考えられる。
③ 災害時における地域社会の一員としての取り組み(SDG8)
・災害時における自社商材を最大限活用できる体制づくり
同社で取り扱う仮設ハウス、仮設トイレ、ソーラー関連商材および事業活動で培った安心・安全かつ迅速な各種商材の設置ノウハウは、災害により被害を受けた地域社会・経済の復旧に役立つことから、持続可能な社会の実現に貢献が可能である。
また、地域自治体等からも同社の商材、ノウハウを活用した地域防災体制への貢献が期待されており(一部、連携済み)、同社においては災害発生時の円滑な対応を実現していくため、将来的には災害時における体制整備のための従業員安否確認システムの導入、災害時おける地域社会のサポート体制の構築・計画書の策定、継続的な見直しや防災訓練の定期実施といった取り組みを通じて、災害時における地域社会・経済の復興をサポートする体制を構築する。
これらの取り組みを通じて、地域防災体制の強化への貢献を強化することができる。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 4 点である。
「 7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
「 8:働きがいも経済成長も」
「12:つくる責任、つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「12」、「13」、に関しては「大きな課題が残る」、「7」、
「8」に関しては「重要な課題が残る」、同社における環境に配慮した建築現場の労働環境改善、従業員が健康的に働き続けやすい職場環境形成、地域防災体制強化への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。なお、都道府県におけるインパクトニーズとの関係性については営業エリアが多岐に渡るため省略している。
(出典:SDSN)
② 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目を SDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件PIF の取り組みに際し特定した当社のインパクトである「(取引先の)建築現場における環境への配慮と安心・安全な労働環境提供の両立」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、 (2)、(3)と、「健やかな職場環境によるワーク・ライフ・バランスの実現」については「ぎふしん SDGs宣言」の (2)と、「災害時における地域社会の一員としての取り組み」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。 以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連するSDGs、内容・対応方針および目標とKPIを整理、設定する。
■(取引先の)建築現場における環境への配慮と安心・安全な労働環境提供の両立
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的・環境的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」「エネルギー」「気候」「資源効率・安全性」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・仮設ハウス、仮設トイレ等のリースを通じて建築工事業、その他の土木工事業における安心、安全かつ衛生的で健やかな職場環境の提供していく。 ・ソーラー関連商材の取り扱いを増加させることにより、省エネ・創エネを 実現し、温室効果ガスの発生を抑制することに加え、設置時における廃棄物の削減を図ることにより、環境負荷低減を促進する。 |
目標とKPI | ・2028 年 8 月期における売上高を 2023 年 8 月対比で 10%以上の増加。 ・2028 年 8 月期において、ソーラー関連商材(太陽光発電を付帯し た商材)の賃貸リース売上高を 810 百万円以上とする。 |
■健やかな職場環境によるワーク・ライフ・バランスの実現
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・定例会議の実施による従業員の意見具申の場の創出および業務改善・効率化施策の立案・取り組みを継続、強化する。 ・最適な人員配置、業務分配による業務効率化。 ・営業エリアの拡大と従業員の労働負担軽減を実現するため、(売上高増加を伴う)営業エリア拡大による新たな営業所開設に取り組む。 |
目標とKPI | ・2028 年 8 月期までに、従業員の月間平均残業時間 3 時間以下までとする。 ・2028 年 8 月期までに、新たな営業所を 1 か所以上開設することで、 移動時間の削減および従業員の労働負担を軽減する。 |
■災害時における地域社会の一員としての取り組み
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・社内防災計画を策定して、地域社会の一員として災害時における自社の支援体制を構築し、活動方針を定義する。 ・上記支援体制の一環として、従業員安否確認システムを選定、導入 し、災害時における役割の確認・拡充を図ると同時に防災訓練を実施することで備えを図る。 |
目標とKPI | ・2024 年 8 月期までに社内防災計画を策定する。 ・2024 年 8 月期までに従業員安否確認システムを導入する。 ・安否確認システムを活用した、地域社会への貢献も含めた防災訓練の実施(2024 年 8 月期中より年 1 回以上の実施) |
同社では、岡社長と林部長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役社長 | 岡 正治 |
プロジェクトリーダー | 経理部長 | 林 明彦 |
本PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 5 年間 (2028 年 9 月 15 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、マルオカ工商株式会社から提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻
案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。