Version 2.2
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する標準業務手順書
Version 2.2
1.目的
この標準業務手順書は、学校法人国際医療福祉大学(以下「本学」という。)並びに本学に附属する臨床実習施設並びに本学の教育研究関連施設のうち別表に掲げる臨床医学研究センター及びその他の施設等
(以下「関連施設等」という。)で実施される人を対象とする生命科学・医学系研究、又は本学に在籍する教職員が実施する人を対象とする生命科学・医学系研究が、「人を対象とする生命科学・医学系研究」及び関連する法規、通知、又は指等に基づいて適正かつ円滑に 行われるよう、これらの研究に係る業務に対して研究者等が実施すべき事項を定めるものである。
2.定義
この手順書における用語の定義は次のように定める。
2.1. 指針
「指針」とは、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(2021 年 3 月 23 日 文部科学省、厚生労働省、経済産業省通知 2021 年 6 月 30 日施行)を指す。
2.2. 人を対象とする生命科学・医学系研究
「人を対象とする生命科学・医学系研究」とは、次のア又はイを目的として実施される活動をいう。
ア 次の①、②、③又は④を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ること。
①傷病の成因(健康に関する様々な事実の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む。)の理解
②病態の理解
③傷病の予防方法の改善又は有効性の検証
④医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証
イ 人由来の試料・情報を用いて、ヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能並びに遺伝子の変異又は発現に関する知識を得ること。
ここで人体から取得された「試料」とは、血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDN
♙ 等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。) をいう。
また研究に用いられる「情報」とは、研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。) をいう。
2.3.研究機関
「研究機関」とは、研究が実施される法人若しくは行政機関又は研究を実施する個人事業主をいう。ただし、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行われる場合を除く。
2.4.共同研究機関
「共同研究機関」とは、研究計画書に基づいて共同して研究が実施される研究機関(当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う研究機関を含む。)をいう。
2.5.研究協力機関
「研究協力機関」とは、研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。) 、研究機関に提供のみを行う機関をいう。
2.6.多機関共同研究
「多機関共同研究」とは、一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究をいう。
2.7.研究者等
「研究者等」とは、研究責任者その他の研究の実施(試料・情報の収集・提供を行う機関における業務の実施を含む。)に携わる者をいう。ただし、研究機関に所属する者以外であって、以下のいずれかに該当する者は除く。
① 新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者
② 既存試料・情報の提供のみを行う者
ここで「既存試料・情報」とは、「試料・情報」のうち、次に掲げるいずれかに該当するものを言う。
1) 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
2) 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書
の
研究に用いられることを目的としていなかったもの
③ 委託を受けて研究に関する業務の一部についてのみ従事する者
2.8.研究責任者
「研究責任者」とは、研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。
2.9.研究代表者
「研究代表者」とは、多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する研究責任者をいう。
2.10.研究機関の長
「研究機関の長」とは、研究が実施される法人の代表者であり、本学にあっては、「学校法人国際医療福祉大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に定める権限及び事務の委任について」に従い本学の理事長から権限及び事務を委任される学長をいう。ただし、第8条に規定する委員の指名に関する権限を除き、実際の研究に対する監督責任については学長から大学院長に委譲するもの
とする。なお、本学以外で中央一括審査あるいは臨床研究法における特定臨床研究に対する認定臨床研究審査委員会による審査等が実施された場合の審査結果の承認を求める相手としての「研究機関の長」については、主たる研究実施場所が病院の場合は病院長、キャンパスの場合は学部長とする。
2.11.倫理審査委員会
別途倫理委員会規定によって規定され設置者により本学に設置されている倫理審査委員会は以下のとおりである。
・東京赤坂地区倫理審査委員会
・千葉地区倫理審査委員会
・栃木地区倫理審査委員会
・xx病院倫理審査委員会
・熱海病院倫理審査委員会
・九州地区倫理審査委員会
なお、IUHW グループに属する以下の法人が設置する倫理審査委員会については、本規定の内容が直接及ぶものではないが、緊密な連絡を取り合って倫理審査の品質向上を目指すものとする。
・医療法人xx会
・医療法人xx会
・学校法人xx学園
2.12.設置者
「設置者」とは、国際医療福祉大学倫理審査委員会の設置者である学長を指す。
2.13.試料・情報
「試料・情報」とは、人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。ここで、「人体から取得された試料」とは血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDN♙等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。また、「研究に用いられる情報」とは、研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
2.14.既存試料・情報
「既存試料・情報」とは、試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの
2.15. 遺伝情報
「遺伝情報」とは、試料・情報を用いて実施される研究の過程を通じて得られ、又は既に試料・情報に付随している子孫に受け継がれ得る情報で、個人の遺伝的特徴及び体質を示すものをいう。
2.16.研究対象者
「研究対象者」とは、次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
① 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)
② 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
なお、研究対象者のほかに代諾者等を含む場合は、「研究対象者等」という。
2.17.侵襲
「侵襲」とは、研究目的で行われる、穿せん刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。侵襲のうち、研究対象者の身体又は精神に生じる傷害又は負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。
2.18.介入
「介入」とは、研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。
2.19.モニタリング
「モニタリング」とは、研究が適正に行われることを確保するため、研究がどの程度進捗しているか並びにこの指針及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
2.20.監査
「監査」とは、研究結果の信頼性を確保するため、研究がこの指針及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
2.21 遺伝カウンセリング
「遺伝カウンセリング」とは、遺伝医学に関する知識及びカウンセリングの技法を用いて、研究対象者等又は研究対象者の血縁者に対して、対話と情報提供を繰り返しながら、遺伝性疾患をめぐり生じ得る医学的又は心理的諸問題の解消又は緩和を目指し、研究対象者等又は研究対象者の血縁者が今後の生活に向けて自らの意思で選択し、行動できるよう支援し、又は援助することをいう。
2.22.インフォームド・コンセント
「インフォームド・コンセント」とは、研究対象者等が、実施又は継続されようとする研究に関して、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対し与える、当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。
2.23. 代諾者
「代諾者」とは、生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。
2.24.代諾者等
「代諾者等」とは。、代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者を含めたものをいう。
2.25. インフォームド・アセント
「インフォームド・アセント」とは、能力を欠くと客観的に判断される研究対象者が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。
2.26.個人情報
「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
① 情報単体で特定の個人を識別することができるもの(本人の氏名、顔画像等)
② 情報単体で特定の個人を識別することはできないが、他の情報と照合することで特定の個人を識別することができるもの
③ 個人識別符号が含まれるもの
2.27.個人情報等
「個人情報等」とは、個人情報に加えて、個人に関する情報であって、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう。
2.28 個人識別符号
「個人識別符号」とは、次に掲げるいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、個人情報の保護に関する法律施行令(平成 15 年政令第 507 号)その他の法令に定めるものをいう。
① 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
② 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
2.29 要配慮個人情報
「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報をいう。
2.30. 匿名化
「匿名化」とは、個人情報等について、特定の生存する個人又は死者を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を削除すること(当該記述等の全部又は一部を当該個人又は死者と関わりのない記述等に置き換えることを含む。)をいう。
2.31.対応表
「対応表」とは、匿名化された情報から、必要な場合に研究対象者を識別することができるよう、当該研究対象者と匿名化の際に置き換えられた記述等とを照合することができるようにする表その他これに類するものをいう。
2.32. 匿名加工情報
「匿名加工情報」とは、次に掲げる個人情報(個人情報保護法に規定する個人情報に限る。)の区分に応じてそれぞれ次に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの(同法の規定の適用を受けるものに限る。)をいう。
① 2.26.①に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
② 2.26.②に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
2.33. 非識別加工情報
「非識別加工情報」とは、次に掲げる個人情報(行政機関個人情報保護法又は独立行政法人等個人情報保護法の規定により非識別加工情報に係る加工の対象とされている個人情報に限る。)の区分に応じてそれぞれ次に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの(行政機関個人情報保護法又は独立行政法人等個人情報保護法の規定の適用を受けるものに限る。)をいう。
① 2.26.①に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
② 2.26.②に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
3.研究者の基本的責務
3.1. 研究対象者等への配慮
⑴ 研究者等は、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して、研究を実施する。
⑵ 研究者等は、法令、指針等を遵守し、当該研究の実施について倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施する。
⑶ 研究者等は、研究を実施するに当たっては、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受ける。
⑷ 研究者等は、研究対象者等及びその関係者からの相談、問合せ、苦情等(以下「相談等」という。)に適切かつ迅速に対応する。
⑸ 研究者等は、研究の実施に携わる上で知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。研究の実施に携わらなくなった後も、同様とする。
⑹ 研究者等は、地域住民等一定の特徴を有する集団を対象に、当該地域住民等の固有の特質を明らかにする可能性がある研究を実施する場合には、研究対象者等及び当該地域住民等を対象に、研究の内容及び意義について説明し、研究に対する理解を得るよう努めなければならない。
3.2. 教育・研修
研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受ける。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受ける。
4.研究機関の長の責務 (新指針に合わせて第 4 章と第 5 章の順番を入れ替え)
4.1. 研究に対する総括的な監督
⑴ 研究機関の長は、実施を許可した研究が適正に実施されるよう、必要な監督を行うことについての責任を負う。
⑵ 研究機関の長は、当該研究がこの指針及び研究計画書に従い、適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに、研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとる。
⑶ 研究機関の長は、研究の実施に携わる関係者に、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して研究を実施することを周知徹底する。
⑷ 研究機関の長は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
4.2. 研究の実施のための体制・規程の整備等
⑴ 研究機関の長は、研究を適正に実施するために必要な体制・規程を整備する。
⑵ 研究機関の長は、当該研究機関において実施される研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保する。
⑶ 研究機関の長は、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、研究結果等、研究に関する情報が適切に公表されることを確保する。
⑷ 研究機関の長は、当該研究機関における研究がこの指針に適合していることについて、必要に応じ、自ら点検及び評価を行い、その結果に基づき適切な対応を行う。
⑸ 研究機関の長は、倫理審査委員会が行う調査に協力する。
⑹ 研究機関の長は、研究に関する倫理並びに研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を当該研究機関の研究者等が受けることを確保するための措置を講じる。また、自らもこれらの教育・研修を受ける。
(7)研究機関の長は、当該研究機関において定められた規定により、この指針に定める権限又は事務を当該研究機関内の適当な者に委託することができる。
4.3. 研究の許可等
⑴ 研究機関の長は、研究責任者から研究の実施の許可を求められたときは、倫理審査委員会の意見を尊重しつつ、当該研究の実施の許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定する。この場合において、研究機関の長は、倫理審査委員会が研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには、当該研究の実施を許可しない。
⑵ 研究機関の長は、当該研究機関において行われている研究の継続に影響を与えると考えられる事実を知り、又は情報を得た場合には、必要に応じて速やかに、研究の停止、原因の究明等の適切な対応をとる。
⑶ 研究機関の長は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう若しくはそのおそれのある事実を知り、又は情報を得た場合には、速やかに必要な措置を講じる。
(4) 研究機関の長は、侵襲を伴う研究を実施しようとする場合には、あらかじめ、重篤な有害事象が発生した際に研究者等が実施すべき事項に関する手順書を作成し、当該手順書に従って適正かつ円滑に対応が行われるよう必要な措置を講じる。
4.4. 大臣への報告等
(1)研究機関の長は、当該研究機関が実施している又は過去に実施した研究について、この指針に適合していないことの報告を受けた場合には、必要に応じて、倫理審査委員会の意見を聴き、速やかに研究の中止、原因究明等の適切な対応を取る。この場合、倫理審査委員会が意見を述べる前においては、必要に応じ、研究責任者に対し、研究の停止又は暫定的な措置を講じるよう指示する。
(2)研究機関の長は、当該研究機関における研究がこの指針に適合していることについて、厚生労働大臣及び文部科学大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力する
5. 研究責任者の責務 (新指針に合わせて第 4 章と第 5 章の順番を入れ替え)
5.1. 研究計画書の作成及び研究者等に対する遵守徹底
⑴ 研究責任者は、研究を実施しようとするときは、あらかじめ研究計画書を作成する。また、研究計画書の内容と異なる研究を実施しようとするときは、あらかじめ研究計画書を変更する。
⑵ 研究責任者は、⑴の研究計画書の作成又は変更に当たっては、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるよう考慮する。また、研究対象者への負担並びに予測されるリスク及び利益を総合的に評
価するとともに、負担及びリスクを最小化する対策を講じる。
⑶ 多機関共同研究を実施する研究責任者は、当該多機関共同研究として実施する研究に係る業務を代表するため、当該研究責任者の中から、研究代表者を選任する。
⑷ 研究代表者は、多機関共同研究を実施しようとする場合には、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で一の研究計画書を作成又は変更する。
⑸ 研究責任者は、研究に関する業務の一部について委託しようとする場合には、当該委託業務の内容を定めた上で研究計画書を作成又は変更する。
⑹ 研究責任者は、研究に関する業務の一部を委託する場合には、委託を受けた者が遵守すべき事項について、文書又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)により契約を締結するとともに、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行う。
⑺ 研究責任者は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって通常の診療を超える医療行為を伴うものを実施しようとする場合には、当該研究に関連して研究対象者に生じた健康被害に対する補償を行うために、あらかじめ、保険への加入その他の必要な措置を適切に講じる。
5.2. 倫理審査委員会への付議
⑴ 研究責任者は、研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴く。
⑵ 研究代表者は、原則として、多機関共同研究に係る研究計画書について、一の倫理審査委員会による一括した審査を求める。
⑶ 研究責任者は、倫理審査委員会に意見を聴いた後に、その結果及び当該倫理審査委員会に提出した書類、その他研究機関の長が求める書類を研究機関の長に提出し、当該研究機関における当該研究の実施について、許可を受ける。
⑷ ⑴から⑶までの規定にかかわらず、公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に研究を実施する必要があると判断される場合には、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴く前に研究機関の長の許可のみをもって研究を実施することができる。この場合において、研究責任者は、許可後遅滞なく倫理審査委員会の意見を聴くものとし、倫理審査委員会が研究の停止若しくは中止又は研究計画書の変更をすべきである旨の意見を述べたときは、当該意見を尊重し、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更するなど適切な対応をとる。
⑸ 研究責任者は、多機関共同研究について⑵の規定によらず個別の倫理審査委員会の意見を聴く場合には、共同研究機関における研究の実施の許可、他の倫理審査委員会における審査結果及び当該研究の進捗に関する状況等の審査に必要な情報についても当該倫理審査委員会へ提供する。
5.3. 研究概要の登録及び結果の登録
⑴ 研究責任者は、介入を行う研究について、厚生労働省が整備するデータベース(Japan Registry of Clinical Trials: jRCT)等の公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立って登録し、研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて更新する。また、研究を終了したときは、遅滞なく、当該研究の結果を登録する。なお、複数の研究機関が共同して研究を実施する場合は、研究計画書に定めた役割に応じて、統括責任者がxx的に登録を行うことも可とするが、その場合においては、統括責任者以外の研究責
任者は、研究機関に関する情報の登録を行うものとする。
⑵ ⑴の登録において、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可したものについては、この限りでない。
5.4. 研究の適正な実施の確保
⑴ 研究責任者は、研究計画書に従って研究が適正に実施され、その結果の信頼性が確保されるよう、当該研究の実施に携わる研究者をはじめとする関係者を指導・管理する。
⑵ 研究責任者は、侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には、別途定める
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」における安全性情報の取り扱いに関する標準業務手順書」(以下、「安全性情報に関する手順書」という。)の規定に従い、速やかに必要な措置を講じる。
5.5. 研究終了後の対応
⑴ 研究責任者は、研究を終了(中止の場合を含む。以下同じ。)したときは、その旨及び研究結果の概要を文書又は電磁的方法により遅滞なく倫理審査委員会及び研究機関の長に報告する。
⑵ 研究責任者は、研究を終了したときは、遅滞なく、研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で、当該研究の結果を公表する。また、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて、結果の最終の公表を行ったときは、遅滞なく研究機関の長へ報告する。
⑶ 研究責任者は、介入を行う研究を終了したときは、4⑴で当該研究の概要を登録した公開データベースに遅滞なく、当該研究の結果を登録する。また、それ以外の研究についても当該研究の結果の登録に努める。
⑷ 研究責任者は、通常の診療を超える医療行為を伴う研究を実施した場合には、当該研究を終了した後においても、研究対象者が当該研究の結果により得られた最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努める。
5.6.研究の信頼性確保
⑴ 研究責任者は、研究の実施に係る必要な情報を収集するなど、研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努める。
⑵ 研究責任者は、研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り、又は情報による報告を受けた場合であって、研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合には、遅滞なく、研究機関の長に報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更する。
⑶ 研究責任者は、以下の場合には、速やかに研究機関の長に報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。
・研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り、又は情報による報告を受けた場合
・研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合
⑷ 研究責任者は、研究の実施において、当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には、当該研究を中止する。
⑸ 研究責任者は、研究計画書に定めるところにより、研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を倫理審査委員会及び研究機関の長に報告する。
⑹ 研究責任者は、多機関共同研究を実施する場合には、共同研究機関の研究責任者に対し、当該研究に関連する必要な情報を共有する。
6.研究計画書に記載すべき事項
6.1.人を対象とする生命科学・医学系研究を実施する場合の研究計画書
研究計画書(7.2 の場合を除く。)は、原則として次に掲げる事項を記載するものとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りではない。
(1)研究の名称
(2)研究の実施体制(研究を実施する機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)
(3)研究の目的及び意義
(4)研究の方法及び期間
(5)研究対象者の選定方針
(6)研究の科学的合理性の根拠
(7)本手順書 9 の規定による、インフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセ
ントを受ける場合には、本手順書 9 による説明及び同意に関する事項を含む。)
(8)個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)
(9)研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策
(10)試料・情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む。)の保管及び廃棄の方法
(11)研究機関の長への報告内容及び方法
(12)研究の資金xx、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
(13)研究に関する情報公開の方法
(14)研究により得られた結果等の取扱い
(15)研究対象者等及びその関係者が研究に係る相談を行うことができる体制及び相談窓口(遺伝カウンセリングを含む。)
(16)代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、その手続(本手順書 9 及び 10 の規定による、代諾者等の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む。)
(17)インフォームド・アセントを得る場合の手続(本手順書 10 の規定による説明に関する事項を含む。)
(18)本手順書 9.5 の規定による、研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況において、
研究対象者等の同意を受けずに研究を実施する場合は、同規定に掲げる要件の全てを満たしていることの説明について判断する方法、及び事後的に説明すべき事項を記載した文書により可及的速やかにインフォームド・コンセントを受ける方針
(19)研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容
(20)侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究の場合には、重篤な有害事象が発生した際の対応
(21)侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容
(22)通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応
(23)研究に関する業務の一部を委託する場合には、当該業務内容及び委託先の監督方法
(24)研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容
(25)本手順書 13 の規定による、モニタリング及び監査を実施する場合には、その実施体制及び実施手順
6.2. 試料・情報の収集・分譲を実施する場合の研究計画書
試料・情報の収集・提供を実施する場合の研究計画書は、原則として次に掲げる事項を含むものとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りではない。
(1) 試料・情報の収集・分譲の実施体制(試料・情報の収集・分譲を行う機関の名称及び研究者等の氏名を含む。)
(2) 試料・情報の収集・分譲の目的及び意義
(3) 試料・情報の収集・分譲の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間
(4) 収集・分譲を行う試料・情報の種類
(5) 本手順書 9 の規定による、インフォームド・コンセントを受ける手続等(インフォームド・コンセントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)
(6) 個人情報等の取扱い(匿名化する場合にはその方法を含む。)
(7) 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益、これらの総合的評価並びに当該負担及びリスクを最小化する対策
(8) 試料・情報の保管及び品質管理の方法
(9) 収集・分譲終了後の試料・情報の取扱い
(10)試料・情報の収集・分譲の資金xx、試料・情報の収集・分譲を行う機関の収集・分譲に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の収集・分譲に係る利益相反に関する状況
(11)研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
(12)研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容 (13)研究により得られた結果等の取扱い
(14)研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨と同意を受ける時点において想定される内容
既出のため削除
7.インフォームド・コンセントを受ける手続等
7.1.1.インフォームド・コンセントを受ける手続等
研究者等が研究を実施しようとするとき又は既存試料・情報の提供のみを行う者が既存試料・情報を提供しようとするときは、当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、それぞれ次に掲げる手続に従って、原則としてあらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない。ただし、法令の規定により既存試料・情報を提供する場合又は既存試料・情報の提供を受ける場合については、この限りでない。
7.1.2. 新たに試料・情報を取得して研究を実施しようとする場合
(1) 侵襲を伴う研究
研究者等は、本手順書 7.5 の規定による説明事項を記載した文書により、インフォームド・コンセントを受ける。
(2) 侵襲を伴わない研究
(♙) 介入を伴う研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、本手順書 7.5 の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成する。
(B) 介入を伴わない研究
1) 人体から取得された試料を用いる研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、本手順書 7.5 の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。
2) 人体から取得された試料を用いない研究
(ⅰ) 要配慮個人情報を取得して研究を実施しようとする場合
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、原則として研究対象者等の適切な同意を受けなければならない。ただし、適切な同意を受けることが困難な場合であって、学術研究の用に供するときその他の研究に用いられる情報を取得して研究を実施しようとすることに特段の理由があるときは、当該研究の実施について、7.6①から⑥までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施又は継続されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障することによって、取得した要配慮個人情報を利用することができる。ここで、「適切な同意」とは、研究対象者が同意に係る判断を行うために必要と考えられる研究に関する
利用目的を必要な範囲で、合理的な方法によって明示した上で、必要な範囲の同意を受ける点がインフォームド・コンセントとは異なる。適切な同意を受けている事例としては、口頭による意思表示、書面の受領(電磁的記録を含む。)、メールの受信、確認欄へのチェック、ホームページ上のボタンのクリック等が挙げられる。なお、研究の概要のみを通知し、同意を受けるべき事項についての確認欄が設けられていないアンケート用紙によって研究する場合、当該アンケート用紙を回収した事実のみをもって適切な同意を受けているとはみなされない。
(ⅱ) (ⅰ)以外の場合
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、当該研究の実施について、7.5 に定める事項を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施又は継続されることについて、研究対象者等が拒否できる機会を保障しなければならない(ただし、研究に用いられる情報(要配慮個人情報を除く。)を共同研究機関へ提供する場合は、学術研究の用に供するときその他の研究に用いられる情報を取得して共同研究機関へ提供することに特段の理由があるときに限る。)。
7.1.3. 自らの研究機関において保有している既存試料・情報を用いて研究を実施しようとする場合研究者等は、それぞれ次のア又はイの手続に従って研究を実施しなければならない。
ア 人体から取得された試料を用いる研究
研究者等は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、5の規定による説明事項について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、これらの手続を行うことが困難な場合であって次の(ア)から(ウ)までのいずれかに該当するときには、当該手続を行うことなく、自らの研究機関において保有している既存試料・情報を利用することができる。
(ア)当該既存試料・情報が次に掲げるいずれかに該当していること。
① 匿名化されているもの(特定の個人を識別することができないものに限る。)であること。
② 匿名加工情報又は非識別加工情報であること。
(イ) 当該既存試料・情報が(ア)に該当しない場合であって、その取得時に当該研究における利用が明示されていない別の研究についての研究対象者等の同意のみが与えられているときには、次に掲げる要件の全てを満たしていること。
① 当該研究の実施について、7.6 の①から④までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
② その同意が当該研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること。
(ウ) 当該既存試料・情報が(ア)又は(イ)のいずれにも該当しない場合であって、社会的に重要性の高い研究に当該既存試料・情報が利用されるときにおいて、次に掲げる要件の全てを満たしていること。
① 当該研究の実施について、7.6①から⑥までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
② 研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。イ 人体から取得された試料を用いない研究
研究者等は、必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、インフォームド・コンセントを受けない場合には、次の(ア)から(ウ)までのいずれかに該当していなければならない。
(ア)当該研究に用いられる情報が次に掲げるいずれかに該当していること。
① 匿名化されているもの(特定の個人を識別することができないものに限る。)であること。
② 匿名加工情報又は非識別加工情報であること。
(イ) 当該研究に用いられる情報が(ア)に該当しない場合であって、その取得時に当該研究における利用が明示されていない別の研究についての研究対象者等の同意のみが与えられているときには、次に掲げる要件の全てを満たしていること。
① 当該研究の実施について、7.6①~④に定める事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
② その同意が当該研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められること。
(ウ) 当該研究に用いられる情報が(ア)又は(イ)のいずれにも該当しない場合であって、学術研究の用に供するときその他の当該情報を用いて研究を実施しようとすることに特段の理由があるときは、次に掲げる要件の全てを満たしていること。
① 当該研究の実施について、7.6①から⑥までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
② 研究が実施又は継続されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。
7.1.4.他の研究機関に既存試料・情報を提供しようとする場合のインフォームド・コンセント
他の研究機関に対して既存試料・情報の提供を行う者は、必ずしも文書によりインフォームド・コンセントを受けることを要しないが、文書によりインフォームド・コンセントを受けない場合には、7.5 の規定による説明事項(既存試料・情報を提供する旨を含む。)について口頭によりインフォームド・コンセントを受け、説明の方法及び内容並びに受けた同意の内容に関する記録を作成しなければならない。ただし、これらの手続を行うことが困難な場合であって次のアからウまでのいずれかに該当するときは、当該手続を行うことなく、既存試料・情報を提供することができる。
ア 当該既存試料・情報が次に掲げるいずれかに該当していること。
(ア)匿名化されているもの(特定の個人を識別することができないものに限る。)であること。 (イ) 匿名加工情報又は非識別加工情報であること。
(ウ) 学術研究の用に供するときその他の当該既存試料・情報を提供することに特段の理由があり、かつ、
7.6 の①から④までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開している場合であって、匿名化されているもの(どの研究対象者の試料・情報であるかが直ちに判別できないよう、加工又は管理されたものに限る。)であること。
イ 既存試料・情報がアに該当しない場合であって、学術研究の用に供するときその他の当該既存試料・情報を提供することに特段の理由があるときは、次に掲げる要件の全てを満たしていること。
(ア)当該研究の実施及び当該既存試料・情報の他の研究機関への提供について、7.6①から⑥までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
(イ) 研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。
ウ 社会的に重要性の高い研究に用いられる既存試料・情報が提供される場合であって、当該研究の方法及び内容、研究に用いられる試料・情報の内容その他の理由によりア及びイによることができないときには、7.9⑴①から④までの要件の全てに該当していなければならない。また、7.9⑵①から③までに掲げるもののうち適切な措置を講じなければならない。
7.1.5.既存試料・情報の提供のみを行う者の手続
既存試料・情報の提供のみを行う者は、7.1.4 の手続きに加えて、次に掲げる要件の全てを満たさなければならない。
ア 既存試料・情報の提供のみを行う者が所属する機関の長は、適正に既存試料・情報を提供するために必要な体制及び規程を整備すること。
イ 既存試料・情報の提供のみを行う者は 7.1.4 のアにより既存試料・情報の提供を行う場合、その提供について既存試料・情報の提供のみを行う機関の長が把握できるようにすること。
ウ 既存試料・情報の提供のみを行う者は、7.1.3 のイ及びウにより既存試料・情報を提供しようとするときは、倫理審査委員会の意見を聴いた上で、既存試料・情報の提供のみを行う機関の長の許可を得ていること。
7.1.6 上記 7.1.4 の手続に基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合のインフォームド・コンセント
上記 7.1.4 の手続きに基づく既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合、研究者等は、次のア及びイの手続きに従って研究を実施する。
ア 研究者等は、次に掲げる全ての事項を確認すること。
(ア) 当該試料・情報に関するインフォームド・コンセントの内容又は⑶の規定による当該試料・情報の提供に当たって講じた措置の内容
(イ) 当該既存試料・情報の提供を行った他の機関の名称、住所及びその長の氏名
(ウ) 当該既存試料・情報の提供を行った他の機関による当該試料・情報の取得の経緯
イ 試料・情報の提供を受ける場合、次に掲げる要件を満たしていること。
(ア) 7.1.4 のア(ウ)に該当することにより、既存試料・情報の提供を受けて研究しようとする場合には、当該研究の実施について、7.6①から④までの事項を公開していること。
(イ) 7.1.4 のイに該当することにより、特定の個人を識別することができる既存試料・情報の提供を受けて研究しようとする場合には、7.6 の事項を公開し、かつ研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障すること。
(ウ) 7.1.4 のウに該当することにより、既存試料・情報の提供を受けて研究しようとする場合には、7.9の規定による適切な措置を講じること。
7.1.7 海外にある者へ試料・情報を提供する場合の取扱い
海外にある者に対し、研究に用いられる試料・情報を提供する場合(当該試料・情報の取扱いの全部又は一部を海外にある者に委託する場合を含む。)は、当該者が個人情報の保護に関する法律施行規則(平成
28 年個人情報保護委員会規則第3号。以下「個人情報保護法施行規則」という。)第 11 条第 1 項各号のいずれにも該当する外国として個人情報保護委員会が定める国にある場合若しくは個人情報保護法施行規則第 11 条の2に定める基準に適合する体制を整備している場合又は法令の規定により試料・情報を提供する場合を除き、当該者に対し研究に用いられる試料・情報を提供することについて、研究対象者等の適切な同意を受ける。ただし、適切な同意を受けることが困難な場合であって次のアからウまでのいずれかに該当するときには、当該研究に用いられる試料・情報を海外にある者に提供することができる。
ア 当該試料・情報が次に掲げるいずれかに該当していることについて及び試料・情報の提供を行う機関の長が当該試料・情報の提供について把握できるようにしていること。
① 匿名化されているもの(特定の個人を識別することができないものに限る。)であること。
② 匿名加工情報又は非識別加工情報であること。
③ 学術研究の用に供するときその他の当該試料・情報を提供することに特段の理由があり、かつ、8.6①から④までの事項を研究対象者等に通知し、又は公開している場合であって、匿名化されているもの(どの研究対象者の試料・情報であるかが直ちに判別できないよう、加工又は管理されたものに限る。)であること。
イ アに該当しない場合であって、学術研究の用に供するときその他の当該試料・情報を提供することに特段の理由があるときは、次に掲げる要件の全てを満たしていることについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で、試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ていること。
① 当該研究の実施及び当該試料・情報の海外にある者への提供について、8.4 に掲げる事項を研究対象者等に通知し、又は公開していること。
② 研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が拒否できる機会を保障すること。
ウ ア又はイのいずれにも該当しない場合であって、社会的に重要性の高い研究と認められるものであるときにおいては、7.9⑵①から③までのもののうち適切な措置を講じることについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で、試料・情報の提供を行う機関の長の許可を得ていること。
7.2 電磁的方法によるインフォームド・コンセント
研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者は、次に掲げる全ての事項に配慮した上で、7.1 における文書によるインフォームド・コンセントに代えて、電磁的方法によりインフォームド・コンセントを受けることができる。
① 研究対象者等に対し、本人確認を適切に行うこと。
② 研究対象者等が説明内容に関する質問をする機会を与え、かつ、当該質問に十分に答えること。
③ インフォームド・コンセントを受けた後も5の規定による説明事項を含めた同意事項を容易に閲覧できるようにし、特に研究対象者等が求める場合には文書を交付すること。
7.3 試料・情報の提供に関する記録
⑴ 試料・情報の提供を行う場合
研究責任者又は試料・情報の提供のみを行う者は、当該試料・情報の提供に関する記録を作成し、当該記録に係る当該試料・情報の提供を行った日から3年を経過した日までの期間保管する。なお、研究協力機関においては、試料・情報の提供のみを行う者は、その提供について、当該研究協力機関の長が把握できるようにする。
⑵ 試料・情報の提供を受ける場合
他の研究機関等から研究に用いられる試料・情報の提供を受ける場合は、研究者等は、当該試料・情報の提供を行う者によって適切な手続がとられていること等を確認するとともに、当該試料・情報の提供に関する記録を作成する。研究責任者は、研究者等が作成した当該記録を、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間保管する。
7.4 研究計画書の変更
研究者等は、研究計画書を変更して研究を実施しようとする場合には、変更箇所について、原則として改めて本手順書 7.1 の規定によるインフォームド・コンセントの手続等を行う。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長の許可を受けた場合には、当該許可に係る変更箇所については、この限りでない。
7.5 説明事項
インフォームド・コンセントを受ける際に研究対象者等に対し説明すべき事項は、原則として以下のとおりとする。ただし、倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した事項については、この限りでない。
(1) 研究の名称、及び当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けている旨
(2) 研究の実施体制(研究を実施する機関の名称及び研究責任者の氏名。なお他の研究機関と共同して研究を実施する場合には、共同研究機関の名称及び共同研究機関の研究責任者の氏名を含む。)
(3) 研究の目的及び意義
(4) 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的を含む。)及び期間
(5) 研究対象者として選定された理由
(6) 研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
(7) 研究が実施又は継続されることに同意した場合であっても、随時これを撤回できる旨(研究対象者等からの撤回の内容に従った措置を講じることが困難となる場合があるときは、その旨及びその理由)
(8) 研究が実施又は継続されることに同意しないこと又は同意を撤回することによって、研究対象者等が不利益な取扱いを受けない旨
(9) 研究に関する情報公開の方法
(10) 研究対象者等の求めに応じて、他の研究対象者等の個人情報等の保護及び当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、研究計画書及び研究の方法に関する資料を入手又は閲覧できる旨、並びにその入手又は閲覧の方法
(11) 個人情報等の取扱い (匿名化する場合にはその方法を含む。)
(12) 研究終了後の試料・情報の保管及び廃棄の方法
(13) 研究の資金xx、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
(14) 研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
(15) 研究対象者等に経済的負担又は謝礼がある場合には、その旨及びその内容
(16) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、他の治療方法等に関する事項
(17) 通常の診療を超える医療行為を伴う研究の場合には、研究対象者への研究実施後における医療の提供に関する対応
(18) 研究の実施に伴い、研究対象者の健康、子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性がある場合には、研究対象者に係る研究結果(偶発的所見を含む。)の取扱い
(19) 侵襲を伴う研究の場合には、当該研究によって生じた健康被害に対する補償の有無及びその内容
(20) 研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性、又は他の研究機関に提供する可能性がある場合には、その旨及び同意を受ける時点において想定される内容
(21) 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を伴うものの場合には、研究対象者の秘密が保全されることを前提として、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者並びに倫理審査委員会等が、必要な範囲内において当該研究対象者に関する試料・情報を閲覧する旨
7.6 研究対象者等に通知し、又は公開すべき事項
7.1 の規定において、研究対象者等に通知し、又は公開すべき事項は以下のとおりとする。
① 試料・情報の利用目的及び利用方法(他の機関へ提供される場合はその方法を含む。)
② 利用し、又は提供する試料・情報の項目
③ 利用する者の範囲
④ 試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
⑤ 研究対象者又はその代理人の求めに応じて、研究対象者が識別される試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を停止する旨
⑥ ⑤の研究対象者又はその代理人の求めを受け付ける方法
7.7 同意を受ける時点で特定されなかった研究への試料・情報の利用の手続
研究者等は、研究対象者等から同意を受ける時点で想定される試料・情報の利用目的等について可能な限り説明した場合であって、その後、利用目的等が新たに特定されたときは、研究計画書を作成又は変更した上で、新たに特定された利用目的等についての情報を研究対象者等に通知し、又は公開し、研究が実施されることについて、原則として、研究対象者等が同意を撤回できる機会を保障しなければならない。
7.8 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じている状況における研究の取扱い
研究者等は、あらかじめ研究計画書に定めるところにより、次に掲げる要件の全てに該当すると判断したときは、研究対象者等の同意を受けずに研究を実施することができる。ただし、当該研究を実施した場合には、速やかに、8.5 の規定による説明事項を記載した文書又は電磁的方法によりインフォームド・コ
ンセントの手続を行わなければならない。
① 研究対象者に緊急かつ明白な生命の危機が生じていること。
② 介入を行う研究の場合には、通常の診療では十分な効果が期待できず、研究の実施により研究対象者の生命の危機が回避できる可能性が十分にあると認められること。
③ 研究の実施に伴って研究対象者に生じる負担及びリスクが必要最小限のものであること。
④ 代諾者又は代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
7.9 インフォームド・コンセントの手続等の簡略化
⑴ 研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者は、次に掲げる要件の全てに該当する研究を実施しようとする場合には、当該研究の実施について研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、7.1 及び 7.4 の規定による手続の一部を簡略化することができる。
① 研究の実施に侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴わないこと。
② 7.1 及び 7.4 の規定による手続を簡略化することが、研究対象者の不利益とならないこと。
③ 7.1 及び 7.4 の規定による手続を簡略化しなければ、研究の実施が困難であり、又は研究の価値を著しく損ねること。
④ 社会的に重要性が高い研究と認められるものであること。
⑵ 研究者等は、⑴の規定により 7.1 及び 7.4 の規定による手続が簡略化される場合には、次に掲げるもののうち適切な措置を講じなければならない。
① 研究対象者等が含まれる集団に対し、試料・情報の収集及び利用の目的及び内容(方法を含む。)について広報すること。
② 研究対象者等に対し、速やかに、事後的説明(集団に対するものを含む。)を行うこと。
③ 長期間にわたって継続的に試料・情報が収集され、又は利用される場合には、社会に対し、その実情を当該試料・情報の収集又は利用の目的及び方法を含めて広報し、社会に周知されるよう努めること。
7.10 同意の撤回等
研究者等は、研究対象者等から次に掲げるいずれかに該当する同意の撤回又は拒否があった場合には、遅滞なく、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じるとともに、その旨を当該研究対象者等に説明する。ただし、当該措置を講じることが困難な場合であって、当該措置を講じないことについて倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、この限りでない。この場合において、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講じない旨及びその理由について、研究者等が研究対象者等に説明し、理解を得るよう努めなければならない。
① 研究が実施又は継続されることに関して与えた同意の全部又は一部の撤回
② 研究について通知され、又は公開された情報に基づく、当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否(8.1 の⑴ B) 1)②の拒否を含む。)
③ 7.8 の規定によるインフォームド・コンセントの手続における、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否
④ 代諾者が同意を与えた研究について、研究対象者からのインフォームド・コンセントの手続における、
当該研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否
8.代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等
8.1. 代諾の要件等
(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、本手順書 7 の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、次に掲げる要件がいずれも満たされていなければならない。
♙) 研究計画書に次に掲げる事項が記載されていること。
① 代諾者等の選定方針
② 代諾者等への説明事項
③ 死者以外を研究対象者とする場合には、当該者を研究対象者とすることが必要な理由
B) 研究対象者が次に掲げるいずれかに該当していること。
1) 未xx者であること。ただし、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は 1 6 歳以上の未xx者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断される場合であって、次に掲げる事項が研究計画書に記載され、当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いた上で研究機関の長が許可したときは、代諾者ではなく当該研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける。
① 研究の実施に侵襲を伴わない旨
② 研究の目的及び試料・情報の取扱いを含む研究の実施についての情報を公開し、当該研究が実施又は継続されることについて、研究対象者の親権者又は未xx後見人が拒否できる機会を保障する旨
2) xxであって、傷病等によりインフォームド・コンセントを与えることができない能力を欠くと客観的に判断される者であること。
3) 死者であること。ただし、研究を実施されることが、その生前における明示的な意思に反している場合を除く。
(2) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、本手順書 7 の規定による手続において代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、(1)♙)①の選定方針に従って代諾者等を選定し、当該代諾者等に対して本手順書 9.3 の規定によるほか、(1) ♙)②の説明事項を説明する。
(3) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が中学校等の課程を修了している又は16歳以上の未xx者であり、かつ、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるときには、当該研究対象者からもインフォームド・コンセントを受ける。
8.2. インフォームド・アセントを得る場合の手続等
(1) 研究者等又は既存試料・情報の提供を行う者が、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、研究対象者が研究を実施されることについて自らの意向を表することができると判断されるときには、インフォームド・アセントを得るよう努める。ただし、8.1 (3)の規定により研究対象者から
インフォームド・コンセントを受けるときは、この限りでない。
(2) 研究責任者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続を行うことが予測される研究を実施しようとする場合には、あらかじめ研究対象者への説明事項及び説明方法を研究計画書に記載しなければならない。
(3) 研究者等及び既存試料・情報の提供を行う者は、(1)の規定によるインフォームド・アセントの手続において、研究対象者が、研究が実施又は継続されることの全部又は一部に対する拒否の意向を表した場合には、その意向を尊重するよう努めなければならない。ただし、当該研究を実施又は継続することにより研究対象者に直接の健康上の利益が期待され、かつ、代諾者がそれに同意するときは、この限りでない。
9.利益相反の管理
(1)研究者等は、研究を実施するときは、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告し、透明性を確保するよう適切に対応する。
(2)研究責任者は、医薬品又は医療機器の有効性又は安全性に関する研究等、商業活動に関連し得る研究を実施する場合には、当該研究に係る利益相反に関する状況を把握し、研究計画書に記載する。
(3)研究者等は、(2)の規定により研究計画書に記載された利益相反に関する状況を、本手順書 9 に規定するインフォームド・コンセントを受ける手続において研究対象者等に説明する。
(4)利益相反の管理にあたっては、本学の以下の規程等の内容を踏まえ、適切な管理を図るものとする。
(♙)利益相反マネジメントポリシー
(B)利益相反管理規定
(C)利益相反実施細則
10.研究に係る試料及び情報等の保管
(1)研究者等は、研究に用いられる情報及び当該情報に係る資料(研究に用いられる試料・情報の提供に関する記録を含む。以下「情報等」という。)を正確なものにしなければならない。
(2)研究責任者は、人体から取得された試料及び情報等を保管するときは、⑶の規定による手順書に基づき、研究計画書にその方法を記載するとともに、研究者等が情報等を正確なものにするよう指導・管理し、人体から取得された試料及び情報等の漏えい、混交、盗難又は紛失等が起こらないよう必要な管理を行う。
(3)研究機関の長は、人体から取得された試料及び情報等の保管に関する手順書を作成し、当該手順書に従って、当該研究機関が実施する研究に係る人体から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行う。
(4)研究責任者は、⑶の規定による手順書に従って、⑵の規定による管理の状況について研究機関の長に報告する。
(5)研究機関の長は、当該研究機関の情報等について、可能な限り長期間保管されるよう努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、少なくと
も、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管されるよう必要な監督を行う。また、匿名化された情報について、当該研究機関が対応表を保有する場合には、対応表の保管についても同様とする。また、試料・情報の提供に関する記録について、試料・情報を提供する場合は提供を行った日から3年を経過した日までの期間、試料・情報の提供を受ける場合は当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間、適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。
(6)研究機関の長は、人体から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には、特定の個人を識別することができないようにするための適切な措置が講じられるよう必要な監督を行う。
11. モニタリング及び監査
(1)研究責任者は、研究の信頼性の確保に努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を伴うものを実施する場合には、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより、モニタリング及び監査を実施する。
(2)研究責任者は、研究機関の長の許可を受けた研究計画書に定めるところにより適切にモニタリング及び監査が行われるよう、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者に対して必要な指導・管理を行う。
(3)研究責任者は、監査の対象となる研究の実施に携わる者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。
(4)モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告する。また、監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び研究機関の長に報告する。
(5)モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らさない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
(6)研究機関の長は、(1)の規定によるモニタリング及び監査の実施に協力するとともに、当該実施に必要な措置を講じる。
12.その他
12.1. 遵守すべき規程等
人を対象とする生命科学・医学系研究を実施するにあたっては、この規程を遵守する他、関係法令、通達及びガイドライン並びに所属する研究機関及び研究実施機関の規則及び内規等も遵守するものとする。
12.2. 経過措置
(1)この規程の施行の際、本規程以前の定めにより実施中の研究については、なお従前の手続き等によることができるものとする。
(2)この手順書の施行前において、旧手順書の規定により実施中の研究について、研究者等及び研究機関の長又は倫理審査委員会の設置者が、それぞれ、この手順書の規定により研究を実施し又は倫理審査
委員会を運営することを妨げないものとする。
13.改訂
本標準業務手順書の改廃は、研究倫理支援室が起案し、倫理審査委員会の全体ミーティングでの議を経て研究機関の長の承認を得るものとする。
変更履歴
2022 年 1 月 18 日 一部付番の不整合を修正し、version2.2 とした。
附 則
この手順書(Version2.0)は、令和3年(2021 年)12 月6日から施行する。この手順書(Version2.2)は、令和 4 年(2022 年)1 月 18 日から施行する。