企 業 名 株式会社圭央ライン 所 在 地 愛知県津島市蛭間町字桝田 238 番地 代 表 者 竹田 明弘 事業内 容 一般区域貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業 資 本 金 900 万円 設 立 2020 年 2 月 3 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 6 月 20 日
株式会社圭央ラインとの
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 好岡 政宏)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社圭央ライン(代表取締役 竹田 明弘)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 6 月 20 日 |
融 資 金 額 | 50 百万円 |
期 間 | 5 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社圭央ライン |
所 在 地 | 愛知県津島市蛭間町字桝田 238 番地 |
代 表 者 | 竹田 明弘 |
事業内 容 | 一般区域貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業 |
資 本 金 | 900 万円 |
設 立 | 2020 年 2 月 3 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社圭央ライン
ポジティブインパクトファイナンス評価書
発行日:2024 年 6 月 20 日
発行者:岐阜信用金庫 ソリューション営業部
岐阜信用金庫は、株式会社圭央ライン(以下、「圭央ライン」)に対してポジティブインパクトファイ ナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発した評価体系に
基づいている。
目次
1.事業概要
同社は愛知県津島市に本社を構え、あま市を主要拠点とする貨物運送業である。
東海エリアを中心に日本全国への貨物運送を手掛け、「安心・安全・丁寧」をモットーに国内の物流を支えている。
企業名 | 株式会社圭央ライン |
本社所在地 | 愛知県津島市蛭間町字桝田 238 番地 |
事業所所在地 | 愛知県あま市花長うしや 55 番地 |
代表者 | 竹田 明弘 |
資本金 | 900 万円 |
売上高 | 534 百万円(2024 年1月期) |
設立 | 2020 年 2 月 |
事業内容 | 一般区域貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業 |
従業員数 | 23 名(2024 年 1 月現在) |
資格・認証 | 中運自貨第 266 号 |
<組織図>
年 | 概要 |
2019 年 | 個人創業 |
2020 年 | 法人設立 |
2024 年 | あま市に拠点移転 |
①経営理念
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同社は一般区域貨物自動車運送事業・貨物運送取扱事業として、東海エリアを中心に日本全国への配送を担っている。
貨物対象は食料品、飲料、雑貨、家具、建築資材、工業製品、原料、石油化学製品に対応しており、配送地域内における積み合わせ(混載)を利用した一般貨物輸送を中心としている。多数の荷主企業の荷物をまとめて積載することで効率的な輸送業務を実現している。
集配業務配送エリアについても東海地区を主要としながら長距離・中距離・短距離・地場など、幅広く顧客ニーズに合わせた対応を実現している。
同社では 2 トン車から 13 トン車までの車両サイズを取り揃え、ゲート式トラック、ウイングボディトラックなど貨物対象にあわせた車両タイプの選定により効率的な運送を実現している。 |
顧客に安心感を与え、信頼される貨物運送を常に実現するため、同社ではドライバーの人材教育と日常的な車両整備に力を入れている。
新規雇用したドライバーの人材育成として、同乗研修(横乗り研修)などの OJT 形式を実践し、仕事内容を覚えてから、独り立ちする形式を採用している。OJT 形式の採用により社員の日々の運転を常に検証し、社内安全会議を実施して安全運転を徹底している。
また、車両メンテナンスについても定期的なメーカー点検に加えて、日常点検を確実に実施し、ドライバーのトラックへの愛着の向上、会社の顔となるトラックへの意識向上に努めている。
車検、3 ヶ月点検等はもちろんのこと、毎日の日常点検を徹底し、日常点検のなかで洗車も行い会社の顔となるトラックを常に綺麗に保つことで、安全かつ信頼される貨物運送に努めている。 |
2.サステナビリティ
同社は「物流を通じて、地域社会に貢献する」という企業理念を基に様々な配送システムを提供している。地域の物流倉庫、店舗、工場間の集配、急な荷物の対応など柔軟に様々な配送システムを提供することで、利用者の希望に応じた物流配送を実現している。一般区域貨物自動車運送事業・貨物運送取扱事業として、東海エリアを中心に物流インフラを支えている。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
○地域に根差した効率的物流システムの構築
・ゲート式トラック、ウィングボディトラック等の多様な車両サイズ、車両タイプを取り揃えたことにより、大手運送会社から様々な受注の対応を可能としている。
・配送タイミングについては顧客ニーズにあわせて柔軟に対応しており、自社での配車が困難なケースにおいては外部協力会社との連携のもとで傭車にて対応可能としたことで、物流システム の安定化に貢献している。
・輸送品質の確保と労務管理を徹底するため、配送ルートについては高速道路の利用を原則とし、指定時間に貨物を届けることで利用者の生活を確保を実現している。
○多様な顧客ニーズに対応する体制整備
・自社拠点に一時保管用倉庫を整備し、貨物の一時保管、積み下ろしまで一貫対応することで利用者の利便性向上に貢献している。
○交通安全対策の推進
・ドライバーへの日常的な運転検証、フィードバックの実施や社内安全会議の開催を通じてスピード違反や危険運転に該当するような行為を未然に防止し、安全運転を徹底する社内風土を醸成している。
・各車両には安全装備を取り付け、設備面からの安全対策を徹底することで車両トラブルに伴う予期せぬ事故の防止に努めている。
同社では地球環境へ配慮した事業活動を通じて環境への負荷低減に努め、地球環境の保護に積極的に取り組んでいる。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
○車両設備を中心とした設備環境整備を通じた環境負荷低減
・電気使用量、燃料使用量について月次単位で使用量推移を把握できる環境を整備し、使用実績に基づく電力量削減に向けた改善活動に取り組み、燃料使用量はエコドライブの推進及び設備更新を行うことで燃費効率向上に取り組み、物流インフラにおける環境負荷低減に貢献している。
・定期メンテナンス、日常点検の徹底を通じて車両の長寿命化を図っており、老朽化した車両については計画的に新車両への入れ替えを行うことで設備面からの省エネを実現している。
同社では多様な人材が能力と個性を生かし、すべての従業員がいきいきとやりがいをもって働くことの出来る職場環境づくりを推進している。
具体的な取り組み内容は下記の通りである。
○就労機会の創出に向けた取り組み
・産休・育休制度の制定、活用による従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めている。また、労働条件については従業員 1 名 1 名と面談のうえ個々の状況を勘案し決定し、時短勤務制度等も活用しながら多様な人材が柔軟に働き続けられる環境整備に努めている。
・現場従業員の意見や要望を取り入れて、配車や配送ルート、荷積み方法といった各業務のフローを適宜見直している。労働環境の改善を通じて、物流業界の業務負荷を懸念していた人材にも就労の機会があると思えるような職場づくりを進めている。
○徹底した人材育成に向けた取り組み
・新規雇用したドライバーの人材育成として、同乗研修(横乗り研修)などの OJT 形式を実践 し、じっくりと仕事内容を覚えてから、独り立ちする形式を採用している。OJT 形式の採用により社員の日々の運転を常に検証し、社内安全会議を実施して安全運転を徹底している。
・各ドライバーの日々の運転を検証できる体制を整備し、個々の運転実績に合わせて安全運転の徹底に向けた指導、教育を実施している。
3.インパクトの特定
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
同社は一般区域貨物自動車運送事業・貨物運送取扱事業として、大手路線事業者を主要顧客とし東海エリアを中心としたエリア配送を手掛けている。
多様な車両サイズ、車両タイプを取り揃え、食料品、飲料、雑貨、家具、建築資材、工業製品、原料、石油化学製品など配送対象貨物は幅広く対応し、長距離・中距離・短距離・地場など、幅広く顧客ニーズに合わせた配送を実現している。
また、拠点内に貨物の一時保管倉庫を整備し、貨物の一時保管、積み下ろしにも対応することで顧客の利便性向上に努めている。
同社のバリューチェーン図
(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業および川上・川下の事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については「道路貨物運送業(ISIC:4923)」、「貨物運送取扱業
(ISIC:5224)」を、川上の事業については「道路貨物運送業」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
川上の事業 | 同社の事業 ① ② | |||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【4923】 道路貨物運送業 | 【4923】 道路貨物運送業 | 【5224】 貨物運送取扱業 | |||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||
食糧 | ||||||
住居 | ||||||
健康・衛生 | ◎ | ◎ | ||||
教育 | ||||||
雇用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ||||||
移動手段 | ○ | ○ | ||||
情報 | ||||||
文化・伝統 | ||||||
人格と人の安全保障 | ||||||
正義・公正 | ||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||
水(質) | ||||||
大気 | ◎ | ◎ | ||||
土壌 | ◎ | ◎ | ||||
生物多様性と生態系サービス | ◎ | ◎ | ||||
資源効❹・安全性 | ◎ | ◎ | ||||
気候 | ◎ | ◎ | ||||
廃棄物 | ○ | ○ | ○ | |||
包括的で健全な経済 | ○ | ○ | ○ | |||
経済収束 |
上表のうち川上の事業は同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるため、分析を割愛している。また、川下の事業は対象業種が多岐に渡るため分析を省略している。
同社の事業① 道路貨物運送業(ISIC:4923)
PI | 「雇用」「移動手段」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「健康・衛生」「雇用」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」 「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
同社の事業② 貨物運送取扱業(ISIC:5224)
PI | 「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「廃棄物」 |
【社会面・環境面】
◆「健康・衛生」「大気」
貨物運送が大気汚染の主要な原因の 1 つとなり、人々の健康を損なうという NI が発現する。同社では燃料使用量について月次単位で使用量推移を把握できる環境を整備し、走行距離に対する燃料使用実績を管理している。使用実績を基にドライバーへ運転指導をすることによる大気汚染物質の排出量低減を通じて、人々の健康、衛生や大気への NI を緩和している。 上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「移動手段」
商業利用を主体とした移動手段(輸送手段)へのアクセス向上という PI が発現する。
同社では主要営業エリアを中心に大手路線業者から引き受けた貨物の効率的配送、顧客ニーズにあわせた柔軟な配送対応の推進により、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
◆「雇用」
従業員の雇用の創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康状態が脅かされるという NI が発現する。
同社では産休・育休制度の制定、活用による従業員のワーク・ライフ・バランスに努めている。また、時短勤務制度等も活用しながら柔軟に働き続けられる環境整備に努めることで PI を拡大している。また、従業員の意見や要望を取り入れて、配車や配送ルート、荷積み方法といった各業務のフローを適宜見直している。労働環境の改善を通じて、物流業界の業務負荷を懸念していた人材に対して雇用を創出するという PI を拡大している。
同社では貨物対象が複数におよぶため、積み下ろし作業への従事など付帯業務の負担も重くなりがちだが、積み下ろし作業専任の人材を確保するなどして NI を緩和している。
2024 年 4 月から時間外労働の規制が強化された。長時間労働の抑制は労働環境の改善にプラスに働く一方、従来より短い時間でこれまでの業務を行う必要がでてくる。こうした中、同社では荷主との協力体制を強化し、スムーズな荷受け作業を実践するなどして、荷待ち時間減少に取り組むなどして、規制対応しても業務負荷が増さないように NI を緩和している。
上記は SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
◆「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」
燃料の過剰使用は温室効果ガスの排出量増大や資源効率の低下につながるという NI が発現する。また、排気ガスには酸性雨の原因となる窒素酸化物等が含まれ、土壌、生態系に対する NI が発現する。
同社では複数顧客からの貨物集約による効率的配送やエコドライブの奨励等による、燃料の効率的な使用に努めることで、資源効率の NI 緩和につなげている。これらの取り組みは CO2 や環境汚染物質の発生抑制にも結び付くもので、土壌、生態系、気候への NI を緩和している。上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当す
る。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「廃棄物」
貨物運送事業を継続していく中で増えてくる古い車両や設備は廃棄物の増加につながるという NI が発現する。
同社では車両の定期メンテナンスによる長寿命化などを通じて NI を緩和している。上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
事業活動により地域経済を下支えするという PI が発現する。
同社では多様な貨物対象を全国に安全かつ確実に届ける配送の実現や幅広い物流サービスの提供を通じて地域経済の活性化に貢献し、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
社会
SDG8
SDG9
経済
SDG9
ポジティブイン
パクト
社会
SDG3
経済
SDG8
環境
SDG12 SDG13
ネガティブインパクト
以上を踏まえて同社のインパクトを下記の 3 つに特定した。
【重要なインパクト】
①「重点営業エリアの拡充・基盤構築」
②「環境に配慮した事業展開の推進」
③「従業員の働きやすさの追求」
①重点営業エリアの拡充・基盤構築:SDG9
同社は一般区域貨物自動車運送事業・貨物運送取扱事業として、大手路線事業者を主要顧客とし東海エリアを中心としたエリア配送を手掛け、多様な車両サイズ、車両タイプを取り揃えることで幅広い配送対象貨物に対応し、長距離・中距離・短距離・地場など、幅広く顧客ニーズに合わせた配送を実現することで国内における経済活動の活性化に貢献している。
また、拠点内に貨物の一時保管倉庫を整備し、貨物の一時保管、積み下ろしにも対応することで顧客の利便性向上につなげ、国内における物流の効率化に貢献している。
今後においては、既存主要営業エリアである愛知県エリアに加えて主要顧客より静岡エリアを中心とした関東圏への配送強化を要請されており、静岡エリアへの拠点進出を進めながらこの要請を着実に確保し、同社の求められる範囲の拡大を図ることで国内における効率的な物流システムの一助となり、地域経済活性化への貢献を深めていく方針としている。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、社会的側面・経済的側面の PI を拡大すると考えられる。
②環境に配慮した事業展開の推進:SDG12、SDG13
同社では環境に配慮した事業活動の推進を目指し、日常メンテナンスの徹底を通じた車両の長寿命化、従業員のエコドライブの推進、安全運転の徹底を通じて事業展開と環境負荷の抑制を両立させている。
社内照明 LED 化推進をはじめ、事務所のエネルギー使用量の削減に取り組んでいる。
燃料使用量について月次単位で使用量推移を把握できる環境を整備し、今後においてはデジタルタコグラフを搭載した車両の比率を上げていくことで、燃費効率向上につなげ大気汚染を抑制していく方針である。
今後においては、車両燃料の使用量の実績値を中心に事業活動に伴う CO2 排出量の見える化を図っていき、CO2 排出量の現状把握を通じて脱炭素化計画の策定、計画に基づく CO2 排出量の削減に取り組んでいく方針である。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「大気」「資源効率・安全性」「気候」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。
③従業員の働きやすさの追求:SDG8
・雇用促進
同社では産休・育休制度の制定、活用等による従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めており、地域における人材の雇用機会の創出に貢献している。
配車、配送ルート、荷積み方法など現場経験している従業員の意見や要望を業務フローに取り入れることで従業員がモチベーション高く業務に取り組むことの出来る環境を整備している。今後においても、従業員の意見を取り入れながら多様な人材が働ける環境の整備、改善に継続的に取り組み、健康経営優良法人の認定取得等に取り組みながら従業員が心身ともに健康に安心し て働き続けられる職場環境を構築していくことで多様な人材の確保、育成に努め、持続可能な地域経済への貢献を強化していく。
・ドライビングスキル向上による安全管理体制構築
新規雇用したドライバーの人材育成として、同乗研修(横乗り研修)などの OJT 形式を実践し、じっくりと仕事内容を覚えてから、独り立ちする形式を採用している。OJT 形式の採用により社員の日々の運転を常に検証し、社内安全会議を実施して安全運転を徹底している。また、大型自動車免許など資格取得支援制度も充実させ、全額会社負担にて従業員のステップアップを支援している。加えて、運転技術のみでなく、顧客に不快感を与えない挨拶、行動などマナーに関する教育を推進している。
今後においては、外部研修の活用を含め現状 OJT 中心となっている教育制度を見直し、体系家していくことで従業員の教育体制、従業員に期待する役割を明確化し、更なる社内人材の育成と同社の価値向上を図っていく。
これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面の PI を拡大すると考えられる。
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 4 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「12:つくる責任つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、「12」、「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」、同社の
「重点営業エリアの拡充・基盤構築」への取り組み、「環境に配慮した事業展開の推進」への取り組み、「従業員の働きやすさの追求」への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 愛知県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する愛知県を中心に行われていることから、「愛知県 SDGs 未来都市計画」を参照し、愛知県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、愛知県では「<経済面>あらゆる産業において、イノベーションを巻き起こす力強い産業づくりの推進」、「<社会面>すべての人が参画し、生涯にわたって活躍できる社会を築いていく、企業等で女性が活躍できる環境を作っていく」、「<環境面>多様な主体が連携して生態系を 守っていく、企業等と連携しながらカーボンニュートラルの実現にも取り組んでいく」といった課題を SDGs 達成に向け設定しており、同社の「重点営業エリアの拡充・基盤構築」への取り組み、「環境に配慮した事業展開の推進」への取り組み、「従業員の働きやすさの追求」への取り組みなど
が、愛知県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
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(出典:愛知県第 2 期 SDGs 未来都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目をSDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した同社のインパクトである「重点営業エリアの拡充・基盤構築」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「環境に配慮した事業展開の推進」については「ぎふしん SDGs 宣言」の (2)、(3)と、「従業員の働きやすさの追求」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
4.KPI の設定
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■重点営業エリアの拡充・基盤構築
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面・経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・重点営業エリアとして設定する静岡エリアにおける営業拠点の拡充 ・あま市―静岡間の拠点連携強化を通じた東海エリアでのプレゼンス向上 |
目標とKPI | ・2029 年 1 月期にまでに全社売上高 7 億円規模を達成する。 (2024 年 1 月期実績:5億円) ・2029 年 1 月期までに静岡エリア関連売上高 1.5 億円規模を達成する。(2024 年 1 月期実績:0.3 億円) |
■環境に配慮した事業展開の推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「大気」「資源効率・安全性」「気候」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・低排出ガス車や植物由来エンジンオイルの積極的な使用によるエコドライブ啓発の実行 ・車両燃料を中心とした社内 CO2 排出量の見える化推進 |
目標とKPI | ・2029 年 1 月までに4t 車の平均燃費 4.5 ㎞/ℓを達成する。10t車の平均燃費 3.5 ㎞/ℓを達成する。 (2024 年 5 月時点 4t 車 4.0 ㎞/ℓ、10t 車 3.0 ㎞/ℓ) ・2026 年 1 月までに全社デジタルタコグラフを導入する。 ・2026 年 1 月期までに、社内 CO2 排出量の見える化を図り、測定結果に基づく脱炭素化計画を策定する。 |
■従業員の働きやすさの追求
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 社会的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・労働環境整備のための認証を複数取得するなど働き続けやすい職場づくりを推進 ・無事故・無違反の継続に向けた安全教育の徹底、定期的見直しの 実施 |
目標とKPI | ・2026 年 1 月期までに健康経営優良法人認定を取得し継続する。 ・2028 年1月期までに自動車運送事業者の「働きやすい職場認定制度」二つ星認証マーク以上を取得し継続する。 ・2029 年 1 月期までに従業員数を 35 名以上とする(2024 年 1 月時点:23 名)。 |
5.モニタリング
(1) 圭央ラインにおけるインパクトの管理体制
同社では、竹田社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びに KPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 代表取締役 | 竹田 明弘 |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 5 年間 (2029 年 6 月 5 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社圭央ラインから提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。