Contract
和歌山県立医科大学附属病院における再生医療等製品の治験に係わる標準的業務手順書
第1章 目的と適用範囲
(目的と適用範囲)
第1条 本手順書は、再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(平成 26 年7月 30 日厚生労働省令第 89 号。以下「GCP省令」という。)
及び公立大学法人和歌山県立医科大学治験実施取扱規程(平成 18 年4月
1日制定)並びにこれらの実施運用に係る通知(以下「GCP省令等」という。)に基づいて和歌山県立医科大学附属病院及び附属病院紀北分院(以下「附属病院等」という。)で行う治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。
2 本手順書は、再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請(以下「承認申請」という。)の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 製造販売後臨床試験を行う場合には、GCP省令等に準じ、「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と読み替えることにより、本手順書を適用する。
第2章 附属病院長の業務
(治験依頼の申請等)
第2条 和歌山県立医科大学附属病院長(以下「病院長」という。)は、事前に治験責任医師から提出された治験分担医師・治験協力者リスト(書式
2又は(医)書式2)及び治験責任医師の履歴書(書式1又は(医)書式
1)に基づき、治験関連の重要な業務の一部を分担させる者の了承を行う。病院長は、了承した治験分担医師・治験協力者xxx(書式2又は(医)書式2)を治験責任医師に提出する。また、治験依頼者による治験においては、病院長が了承した治験分担医師・治験協力者xxx(書式2又は(医)書式2)を治験依頼者に提出する。
2 病院長は、治験依頼者による治験の場合は治験責任医師と治験依頼者との間で合意が成立した後、治験依頼者に治験依頼書(書式3)とともに審
査に必要な資料を提出させるものとする。なお、自ら治験を実施する者による治験(以下「医師主導による治験」という。)の場合には、自ら治験を実施する者は治験実施申請書((医)書式3)とともに審査に必要な資料を提出させるものとする。
(治験実施の了承等)
第3条 病院長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査依頼書(書式4又は(医)書式4)、治験実施計画書、治験製品概要書及び治験使用製品(被験製品を除く。)に係る科学的知見を記載した文書、症例報告書の見本、説明文書・同意文書、その他の文書及び手順書などの審査の対象となる資料(以下「治験実施計画書等」という。)を治験審査委員会に提出し、治験の実施について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書等について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
3 病院長は、治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者が治験実施計画書等を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(書式6又は(医)書式6)及び該当する資料を提出させるものとする。なお、説明文書・同意文書の修正のみの場合は、治験責任医師又は自ら治験を実施する者に治験実施計画書等修正報告書(書式6又は(医)書式6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、病院長は治験実施計画書等修正報告書(書式6又は(医)書式6)及び該当する資料について、修正事項の確認を行うものとする。
4 病院長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。病院長は、治験の実施を了承できない旨の病院長の決定を、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
5 病院長は治験審査委員会の審査結果について異議ある場合には、理由書を添えて治験審査委員会に再審を請求することができる。
6 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から治験審査委員会の 審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の 入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
7 治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者から病院長の指示及び決定に対する異議の申し立てが文書で提出された場合には、病院長は治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者に対し文書によりこれに回答する。なお、病院長は必要に応じ治験審査委員会の意見を求めるものとする。
(治験実施の契約等)
第4条 病院長は、治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後、治験事務局に対し治験の受託に関する治験依頼者との契約の締結を指示するとともに、治験責任医師は、その契約内容を確認する。
2 病院長は、治験依頼者及び治験責任医師から治験実施契約書の内容の変更のため、治験に関する変更申請書(書式 10)及び必要な資料が提出された場合、治験審査委員会の意見を聴いた後、治験事務局に治験実施変更契約書(別記第1号様式その4)の締結を指示するとともに、治験責任医師は、その契約内容を確認する。
3 治験依頼者と締結する契約書に定める通知及び報告の内容は、次のものとする。
(1) 治験依頼者は、次の情報を治験責任医師及び病院長に通知する。
① 他施設で発生した重篤で予測できない不具合
② 重篤な不具合又は治験使用製品若しくは外国で使用されている物であって、当該治験使用製品と構成細胞又は導入遺伝子が同一性を有すると認められるもの(以下「当該治験使用製品等」という。)の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験製品概要書及び治験使用製品(被験製品を除く。)に係る科学的知見を記載した文書から予測できないもの
③ 死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、不具合によるもの又は当該治験使用製品等の使用による感染症によるもの
④ 不具合又は当該治験使用製品等の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
⑤ 治験の対象となる疾患に対し効能又は効果を有しないことを示す研究報告
⑥ 不具合又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
⑦ 当該治験使用製品等に係る製造販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
(2) 治験依頼者は、次のことを病院長に通知する。
① 治験を中止又は中断する際、その旨及び理由
② 治験の成績を承認申請に用いないことを決定した際、その旨及び理由
(3 ) 病院長は、次の治験審査委員会の意見を治験責任医師及び治験依頼者に通知する。
① 治験実施の妥当性への意見
② 治験が長期(1年を超える)の場合の治験の継続の妥当性への意見
③ 第9条に規定する事項に関して治験の継続の妥当性への意見
④ 被験者の意思に影響を与える可能性が認められたために、治験責任医師が説明文書を改訂したことに対する意見
⑤ その他病院長が必要と認めたことへの意見
(4) 病院長は、治験責任医師からの次の情報を治験審査委員会及び治験依頼者に通知する。
① 治験を中止又は中断する際、その旨及び理由
② 治験を終了する際、その旨及び結果
(5) 治験責任医師は、重篤な有害事象及び不具合を病院長及び治験依頼者に通知する。
(治験の継続)
第5条 病院長は、実施中の治験において少なくとも年1回、治験責任医師に治験実施状況報告書(書式 11 又は(医)書式 11)を提出させ、治験審査依頼書(書式4又は(医)書式4)及び治験実施状況報告書(書式 11又は(医)書式 11)を治験審査委員会に提出し、治験の継続について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、治験審査委員会の審査結果に基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による 治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合に
は治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。修正を条件に承認する場合には、第3条第3項に準じるものとする。
3 病院長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
4 病院長は、治験審査委員会の審査結果について異議ある場合には、理由書を添えて治験審査委員会に再審を請求することができるものとする。
5 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から治験審査委員会の継続審査等の結果を確認するために審査に用いられた文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
6 治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者から病院長の指示及び決定に対する異議の申し立てが文書で提出された場合には、病院長は治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者に対し文書によりこれに回答する。なお、病院長は必要に応じ治験審査委員会の意見を求めるものとする。
(治験実施計画書の変更)
第6条 病院長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験責任医師又は治験依頼者から、それらの当該文書の全てを速やかに提出させるものとする。
2 病院長は、治験責任医師及び治験依頼者又は自ら治験を実施する者から治験に関する変更申請書(書式 10 又は(医)書式 10)の提出があった場合には、治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め、病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。異議申し立ての手続きについては、第5条第4項及び第6項に準じるものとする。
(治験実施計画書からの逸脱)
第7条 病院長は、治験責任医師から被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書からの逸脱の報告(書式8又は(医)書式8)があった場合は、治験審査委員会の意見を求め、病院長の指示及び決定を治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。異議申し立ての手続きについては、第5条第4項及び第6項に準じるものとする。
(重篤な有害事象及び不具合の発生)
第8条 病院長は、治験責任医師から重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 19 又は書式 20 及び詳細記載用書式)を入手した場合は、治験責任医師が判定した治験使用製品との因果関係及び予測性を確認する。また、医師主導による治験の場合においても、治験責任医師から重篤な有害事象及び不具合に関する報告書((医)書式 19 及び(医)詳細記載用書式)を入手した場合も同様とする。追って、治験の継続の可否について、治験審査委員会の意見を求め、病院長の指示及び決定を治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。異議申し立ての手続きについては、第5条第4項及び第6項に準じるものとする。
(重大な安全性に関する情報の入手)
第9条 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から安全性情報等に関する報告書(書式 16 又は(医)書式 16)を入手した場合は、治験責任医師の見解(様式 A)を添えて、治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め、病院長の指示及び決定を治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)又は治験に関する指示・決定通知書(参考書式1又は
(医)参考書式1)により、医師主導による治験の場合には自ら治験を実施する者に、治験依頼者による治験の場合には治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。異議申し立ての手続きについては、第5条第4項及び第6項に準じるものとする。
なお、被験者の安全又は当該治験の実施に影響を及ぼす可能性のある重大な情報には、次のものが含まれる。
(1) 他施設で発生した重篤で予測できない不具合
(2) 重篤な不具合又は当該治験使用製品等の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験製品概要書及び治験使用製品
(被験製品を除く。)に係る科学的知見を記載した文書から予測できないもの
(3) 死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、不具合によるもの又は当該治験使用製品等の使用による感染症によるもの
(4) 不具合又は当該治験使用製品等の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
(5) 治験の対象となる疾患に対し効能又は効果を有しないことを示す研究報告
(6) 不具合又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
(7) 当該治験使用製品等に係わる製造販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
(治験の中止、中断及び終了)
第10条 病院長は、実施中の治験において治験依頼者又は自ら治験を実施する者が治験の中止又は中断、若しくは被験製品の開発中止を決定し、その旨を開発の中止等に関する報告書(書式 18 又は(医)書式 18)で報告してきた場合は、速やかに治験責任医師及び治験審査委員会又は治験審査委員会に開発の中止等に関する報告書(書式 18 又は(医)書式 18)により通知するものとする。なお、治験依頼者からの報告書(書式 18)には、中止又は中断についての詳細が説明されていなければならない。
また、治験依頼者からの当該通知書に治験責任医師が作成した治験終了
(中止・中断)報告書(書式 17)を添付して治験審査委員会に提出し、通知するものとする。
2 病院長は、治験責任医師が治験を中止又は中断し、その旨を治験終了(中止・中断)報告書(書式 17 又は(医)書式 17)で報告してきた場合は、速やかに治験審査委員会に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17 又は
(医)書式 17)により通知するものとする。さらに、治験依頼者による治験の場合には治験依頼者にも治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)により通知するものとする。
3 病院長は、治験責任医師が治験の終了を治験終了(中止・中断)報告書
(書式 17 又は(医)書式 17)で報告してきた場合には、xxxに治験審
査委員会に治験終了(中止・中断)報告書(書式 17 又は(医)書式 17)により通知するものとする。さらに、治験依頼者による治験の場合には治験依頼者にも治験終了(中止・中断)報告書(書式 17)により通知するものとする。
(直接閲覧)
第11条 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れるものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
第3章 治験審査委員会
(治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置)
第12条 病院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、治験審査委員会を院内に設置する。
また、必要に応じ、病院長は、治験を行うことの適否その他治験に関する事項について、院外の治験審査委員会の意見を聴くことができるものとする。その場合には、当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿をあらかじめ入手しておかなければならない。
2 病院長は、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会の運営の手続き及び記録の保存に関する業務手順を定めるものとする。なお、治験依頼者から治験審査委員会の業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応ずるものとする。
3 病院長は、自らが設置した治験審査委員会委員となることはできない。
4 病院長は、治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、臨床研究センター事務室内に治験審査委員会事務局を設置するものとする。
第4章 治験責任医師の業務
(治験責任医師の要件)
第13条 治験責任医師は、次の要件を満たさなくてはならない。
(1) 治験責任医師は、GCP省令等に関する研修の受講、教育及び訓練並 びに経験によって治験を適正に実施しうる者でなければならない。また、治験責任医師は、このことを証明する最新の履歴書(書式1又は(医)
書式1)を治験依頼者による治験の場合は病院長及び治験依頼者に、また医師主導による治験の場合には病院長に提出するものとする。
(2) 治験責任医師は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律 145 号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びにGCP省令等を熟知し、これを遵守しなければならない。
(3) 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験製品概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験使用製品の適切な使用方法に十分精通していなければならない。
(4) 治験責任医師は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が指名した者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。また、治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(5) 治験責任医師は、治験依頼者の協力を得て治験への参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂しなければならない。
(6) 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
(7) 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
(8) 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(治験責任医師の責務)
第14条 治験責任医師は、次の事項を行う。
(1) 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験分担医師・治験協力者リスト(書
式2又は(医)書式2)を作成し、予め病院長に提出し、その了承を得なければならない。
(2) 治験責任医師は、治験実施計画書並びに治験使用製品に関する情報、また治験依頼者が収集した被験製品の品質、有効性及び安全性に関する事項など治験を適正に行うために必要な事項について治験分担医師及び治験協力者(以下「治験分担医師等」という。)に十分な情報を与え、各人の業務に対し指導及び監督をしなければならない。
(3) 治験責任医師は、被験者となるべき者の選定に当たって人権保護の観点及び治験実施計画書に定められた被験者の選択及び除外基準に基づき、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師及び治験分担医師との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討しなければならない。
(4) 治験責任医師は、同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないものとする。
(5) 治験責任医師は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払うものとする。
(6) 治験責任医師は、治験依頼者による治験において治験依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書の様式案及び最新の治験製品概要書又は治験使用製品に係る科学的知見を記載した文書その他必要な資料及び情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討した後、治験依頼者と合意しなければならない。なお、治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合も同様である。また、医師主導による治験においては第 25 条に従い、治験責任医師は、自ら治験実施計画書を作成しなければならない。
(7) 治験責任医師は、治験実施の申請をする前に被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる説明文書を作成しなければならない。
なお、説明文書の作成に当たっては、治験依頼者による治験においては治験依頼者から、医師主導による治験においては必要に応じ治験製品提供者から予め作成に必要な資料の提供を受けるものとする。
(8) 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。また、当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出しなければならない。
(9) 治験責任医師は、治験審査委員会が治験の実施又は継続を承認し、これに基づく病院長の指示及び決定が文書(書式5若しくは(医)書式5又は参考書式1若しくは(医)参考書式1)で通知された後に、その指示及び決定に従って治験を開始又は継続しなければならない。
また、治験責任医師は、治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む。)、これに基づく病院長の指示及び決定が文書(書式5若しくは(医)書式5又は参考書式1若しくは(医)参考書式1)で通知された場合には、その指示及び決定に従わなくてはならない。
(10) 治験責任医師は、治験審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示及び決定が文書(書式5若しくは(医)書式5又は参考書式1若しくは(医)参考書式1)で通知され、契約が締結されるまで被験者を治験に参加させてはならない。
(11) 治験責任医師は、第17条で規定する場合を除いて、治験実施計画書を遵守して治験を実施しなければならない。
(12) 治験責任医師は、治験使用製品は承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用しなければならない。
(13) 治験責任医師は、治験使用製品の正しい使用法を各被験者に説明又は指示し、その遵守状況を当該治験において適切な間隔で確認しなければならない。
(14) 治験責任医師は、実施中の治験において、少なくとも年 1 回、病院長に治験実施状況報告書(書式 11 又は(医)書式 11)を提出しなければならない。
(15) 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者による治験においては予め治験依頼者と協議の上、病院長に速やかに治験に関する変更申請書(書式 10)を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示を受けなければならない。また、医師主導による治験の場合であっても速やかに病院長に治験に関する変更申請書((医)書式 10)を提出するとともに、変更の可否について病院長の指示を受けなければならない。
(16) 治験責任医師は、治験実施中に重篤な有害事象及び不具合が発生した場合、治験依頼者による治験の場合にあっては、速やかに病院長及び治験依頼者に、重篤な有害事象及び不具合に関する報告書(書式 19 又は書式 20 及び詳細記載用書式)で報告するとともに、因果関係を特定しなければならない。なお、重篤な有害事象及び不具合については治験の継続の可否について病院長の指示を受けなければならない。また、医師主導による治験の場合にあっても、速やかに病院長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の医療機関の責任医師も含む。)に同様の報告((医)書式 19 及び
(医)詳細記載用書式)をするとともに、治験製品提供者に通知しなければならない。
(17) 治験責任医師は、治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、氏名を記載の上、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともに、その写しを保存し、医師主導による治験においては自ら治験を実施する者が適切に保管する。また治験分担医師が作成した症例報告書については、その内容を点検し問題がないことを確認した上で氏名を記載し、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともに、その写しを保存し、医師主導による治験においては自ら治験を実施する者が適切に保管する。症例報告書のデータが原資料と何らかの矛盾がある場合、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成して、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともにその写しを保管し、医師主導による治験においては自ら治験を実施する者が保管しなければならない。治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書の変更又は修正に当たり治験依頼者から提供された、又は自ら治験を実施する者が作成した手引きに従わなければならない。症例報告書のいかなる変更又は修正にも、日付及び氏名の記載がなされ、重大な変更又は修正については説明が記されなければならない。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない。
(18) 治験責任医師は、治験終了後、速やかに病院長に治験の治験終了(中止・中断)報告書(書式 17 又は(医)書式 17)を提出しなければならない。なお、治験が中止又は中断された場合においても同様の手続きを行わなければならない。
(19) 治験責任医師は、治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、事後処 理、その他必要な措置を講じなければならない。
(被験者の同意の取得)
第15条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師並びに被験者が署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も署名し、日付を記入するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って署名と日付が記入された同意文書の写しを被験者に渡さなければならない。
4 治験責任医師及び治験分担医師等は、治験への参加又は継続に関し、被験者に強制や不当な影響を及ぼしてはならない。
5 説明文書及び説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、附属病院等若しくは治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 文書及び口頭による説明には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師又は自ら治験を実施する者は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、病院長に治験に関する変更申請書(書式 10 又は(医)書式 10)を提出するとともに、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても当該情報を速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、治験審査委員会により承認された改訂後の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かに
ついて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、治験責任医師又は治験分担医師は当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合は、治験責任医師又は治験分担医師は、GCP省令第 70 条第2項及び第
3項、第 72 条第3項及び第4項並びに第 75 条を遵守しなければならない。
(被験者に対する医療)
第16条 治験責任医師は、治験に関する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 病院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関した臨床上問題となる全ての有害事象又は不具合に対して、十分 な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任 医師又は治験分担医師は、有害事象又は不具合に対する医療が必要となっ たことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第17条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、また、治験依頼者による治験においては治験依頼者との事前の文書による合意なく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。
3 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由による治験実施計画書からの逸脱以外の逸脱については、医
師主導による治験の場合には病院長に、治験依頼者による治験の場合には病院長及び治験依頼者に報告しなければならない。また治験の実施に重大な影響を与える逸脱についても速やかに報告しなければならない。
4 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由等を記した緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(書式8又は(医)書式8)並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を可能な限り早急に治験依頼者並びに病院長及び病院長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、病院長の了承及び病院長を経由して治験依頼者の同意を緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する通知書(書式9)で得なければならない。
第5章 治験使用製品の管理
(治験使用製品の管理)
第 18 条 治験使用製品の管理責任は、病院長が負うものとする。
2 病院長は、治験使用製品を保管及び管理させるため薬剤部長を治験製品管理者とし、附属病院等で実施される全ての治験の治験使用製品を管理させるものとする。なお、治験製品管理者は必要に応じて治験製品管理補助者を指名し、治験使用製品の保管及び管理を行わせることができる。
3 治験製品管理者は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した治験使用製品の取扱い、保管及び管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従い、GCP省令等を遵守して適正に治験使用製品を保管及び管理する。
4 治験製品管理者は、次の業務を行う。
(1) 治験製品管理者は、治験依頼者又は治験製品提供者から治験使用製品を受領し、治験使用製品受領書を発行する。
(2) 治験製品管理者は、治験使用製品の保管、管理及び払い出しを行う。
(3) 治験製品管理者は、治験使用製品管理表及び必要に応じて治験使用製品出納表を作成し、治験使用製品の使用状況及び治験進捗状況を把握する。
(4) 治験製品管理者は、被験者からの未使用治験使用製品の返却記録を作成する。
(5) 治験使用製品管理者は、治験依頼者による治験においては未使用治験使用製品(被験者からの未使用返却治験使用製品、使用期限切れ治験使用製品及び欠陥品を含む。)を治験依頼者に返却し、未使用治験使用製品返却書を発行する。
(6) 治験製品管理者は、その他、本条第3項の治験依頼者又は自ら治験を実施する者が作成した手順書に従う。
5 治験製品管理者は、治験使用製品管理xxを作成することにより、治験実施計画書に規定された量の治験製使用品が被験者に使用されていることを確認する。
6 治験製品管理者は、原則として救命治療の治験等の場合、病棟等で治験責任医師の下に治験使用製品を管理させることができる。
第6章 治験事務局
(治験事務局の設置及び業務)
第 19 条 病院長は、治験の実施に関する事務及び支援を行うために、臨床研究センター事務室内に治験事務局を設けるものとする。なお、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねるものとする。
2 治験事務局長には臨床研究センター事務室長を充てるものとする。
3 治験事務局は、病院長の指示により、次の業務を行う。
(1) 治験審査委員会の委員の指名に関する業務(委員名簿の作成を含む。)
(2) 治験依頼者(医師主導による治験の場合には治験責任医師)に対する必要書類の交付と治験依頼手続きの説明
(3) 治験依頼書(書式3)(医師主導による治験の場合には治験実施申請書((医)書式3))及び治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付
(4) 治験審査結果通知書(書式5又は(医)書式5)に基づく病院長の指示及び決定通知書の作成と治験依頼者及び治験責任医師又は自ら治験を実施する者への通知書の交付
(5) 治験契約に係る手続き等の業務
(6) 治験終了(中止・中断)報告書(書式 17 又は(医)書式 17)及び開発の中止等に関する報告書(書式 18 又は(医)書式 18)の受領及び通知書の交付
(7) 記録の保存
(8) 治験の実施に必要な手続きの作成
(9) モニタリング及び監査の受入に係る業務
(10) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援第7章 業務の委託
(業務委託の契約)
第 20 条 自ら治験を実施する者又は附属病院等が治験の実施に係る業務の全部又は一部を委託する場合には、文書により当該業務を受託する者との契約を締結するものとする。
2 契約書に定める内容は、次のものとする。
(1) 当該委託に係る業務の範囲
(2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項
(3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施する者又は附属病院等が確認することができる旨
(4) 当該受託者に対する指示に関する事項
(5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施する者又は附属病院等が確認することができる旨
(6) 当該受託者が自ら治験を実施する者又は附属病院等に対して行う報告に関する事項
(7) 治験の実施の準備及び管理に係る業務を委託する場合には当該委託する業務に係る被験者に対する補償措置に関する事項
(8) その他当該委託に係る業務について必要な事項第8章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第 21 条 病院長は、次の者を保存責任者とし、附属病院等において保存すべき文書又は記録を保存させるものとする。
(1) 診療録、検査データ、同意文書等の記録は、治験責任医師
(2) 契約書、治験に関する文書は、治験事務局長
(3) 治験使用製品に関する文書は、治験製品管理者
(4) 治験審査委員会に関する文書は、治験審査委員会事務局長
2 病院長又は治験の記録の保存責任者は、附属病院等において保存すべき 文書又は記録が第 22 条第 1 項に定める期間中に紛失又は廃棄されること がないように、また求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
(記録の保存期間)
第 22 条 病院長は、附属病院等において保存すべき文書又は記録を、(1)又は(2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者又は自ら治験を実施する者と協議するものとする。なお、製造販売後臨床試験においては被験製品の再審査又は再評価が終了する日までとする。
(1) 当該被験製品に係る製造販売承認日(開発が中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には開発中止が決定された若しくは申請書に添付されない旨の通知を受けた日から3年が経過した日)
(2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 病院長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者より前項にいう承認取得又は開発中止の連絡を受けるものとする。
第9章 自ら治験を実施しようとする者の業務(治験の準備)
(治験実施体制)
第23条 自ら治験を実施しようとする者は、治験の実施の準備及び管理に関して必要とされる下記に掲げる業務手順書等を作成しなければならない。
(1) 治験実施計画書及び症例報告書の様式作成に関する手順書 (2) 治験製品概要書の作成に関する手順書
(3) 説明文書・同意文書の作成に関する手順書 (4) 被験者の健康被害補償方策に関する手順書 (5) 治験使用製品の管理に関する手順書
(6) モニタリングに関する手順書
(7) 安全性情報の取扱いに関する手順書
(8) 監査に関する計画書及び業務に関する手順書
(9) 多施設共同治験において実施医療機関間の調整を行う医師若しくは歯科医師(以下「治験調整医師」という。)又は複数の医師若しくは歯科医師(以下「治験調整委員会」という。)への業務の委嘱の手順書
(10) 効果安全性評価委員会審議の手順書 (11) 記録の保存に関する手順書
(12) 総括報告書作成に関する手順書
(13) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要とされる手順書
2 自ら治験を実施しようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の実施の準備及び管理にかかわる業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保し、医師主導治験の実施体制を整える。治験の実施の準備及び管理にかかわる業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者として治験に関する医学的又は歯学的な問題について適切な助言を行う医学専門家、並びに治験実施計画書、治験製品概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等、治験の全過
程を通じて活用されるべき者を附属病院等内だけでなく外部の専門家(生物統計学者、臨床薬理学者等)も含めて組織する。
(非臨床試験成績等の入手)
第24条 自ら治験を実施しようとする者は、被験製品提供者と協議の上、治験実施時点における科学的水準に照らし適正な被験製品の品質、有効性及び安全性に関する情報等、必要な資料を入手する。 入手に当たっては、自ら治験を実施する者は必要に応じ、必要な資料又は情報の提供が受けられるよう、被験製品提供者と契約を締結する。
(治験実施計画書の作成及び改訂)
第25条 自ら治験を実施しようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成するものとする。
(1) 自ら治験を実施しようとする者の氏名及び住所
(2) 治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
(3) 実施医療機関の名称及び所在地
(4) 治験の目的
(5) 被験使用製品の概要
(6) 治験製品提供者の氏名及び住所
(7) 治験の方法
(8) 被験者の選定に関する事項
(9) 原資料の閲覧に関する事項
(10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
(11) 治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名
(12) 治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は
歯科医師の氏名
(13) GCP省令等に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
2 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が被験者に対して治験製品の効果を有しないこと及び同意を得ることが困難な者(同意能力を欠く者)を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載するものとする。
(1) 当該治験が同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
(2) 当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
3 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が緊急状況下における救命的治験であって、被験者となるべき者から事前の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載するものとする。
(1) 当該被験製品が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される再生医療等製品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
(2) 現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
(3) 被験製品の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
(4) GCP省令等に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
4 自ら治験を実施しようとする者は、治験使用製品の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂する。
(治験製品概要書の作成及び改訂)
第26条 自ら治験を実施しようとする者は、第 24 条で規定した情報に基づいて次に掲げる事項を記載した治験製品概要書を作成する。
(1) 被験製品の構成細胞、導入遺伝子又は識別記号
(2) 品質、安全性、効能、効果又は性能その他の被験製品に関する事項 (3) 臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事
項
2 自ら治験を実施しようとする者は、被験製品の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験製品概要書を改訂する。
(被験者に対する補償措置)
第27条 自ら治験を実施しようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験の実施の準備、管理又は実施に係る業務の全部又は一部を委託した場合に生じたものを含む。)に対する補償措置として、有害事象等の治療に関する医療体制の提供その他必要な措置を講ずる。
(病院長への事前提出文書)
第28条 自ら治験を実施しようとする者は、第2条第2項の手順に基づき必要文書を病院長に提出し、治験の実施の承認を得なければならない。
(治験計画等の届出)
第29条 自ら治験を実施しようとする者は、医薬品医療機器等法第 80 条の
2第2項及び医薬品医療機器等法施行規則第269 条の規定により人若しくは動物の細胞に培養その他の加工を施したもの又は人若しくは動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有するもの(以下「加工細胞等」という。)に係る治験を実施するに当たっては、その計画を厚生労働大臣に届け出る。
2 自ら治験を実施しようとする者は、前項の届出後に医薬品医療機器等法施行規則第270 条の規定により当該届出に係る事項を変更したとき又は当該届出に係る治験を中止し、若しくは終了したときは、その内容及び理由等を厚生労働大臣に届け出る。
3 治験計画等の届出については、「加工細胞等に係る治験の計画等の届出の取扱い等について」(平成 26 年8月 12 日付け薬食機参発 0812 第1号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療用製品審査管理担当)通知)に従い届け出る。なお、当該通知が改訂等された場合には、その改訂等に従う。
4 本条第1項及び第2項の治験実施計画書に基づく治験計画等の届出は、治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる。
第 10 章 自ら治験を実施する者の業務(治験の管理)
(治験使用製品の入手・管理等)
第30条 自ら治験を実施する者は、自ら治験製品を製造しない場合、治験製品提供者からGCP省令の要件を満たす治験製品を入手すべく、治験製品の品質確保に関して治験製品提供者との間で文書等により明確な取り決め等を行うものとする。明確に取り決めておく事項には、次項以降に掲げた内容を含め、次の項目があげられる。
(1) 治験製品の提供時期、提供手段、必要数量 (2) 治験製品製造記録の提供
(3) 治験終了時までの治験製品ロットサンプルの保存 (4) 治験製品ロットサンプルの経時的分析記録の提供
2 自ら治験を実施する者は、次の事項を自ら遵守するとともに治験製品提供者から治験製品の提供を受ける場合は治験製品提供者にその遵守を求める。
(1) 治験製品の容器又は被包に次に掲げる事項(拡大治験を実施する場合にあっては、①及び②に掲げる事項に限る。)を邦文で記載しなければならない。なお、国際共同治験において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験製品を用いる場合又は欧米等で承認のある未承認再生医療等製品を用いた治験の場合は、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文記載でよい。
① 治験用である旨
② 自ら治験を実施する者の氏名及び住所(多施設共同治験において治験審査委員会の承認を得たものについては、治験調整医師の氏名及び住所を記載してもよい。)
③ 構成細胞、導入遺伝子又は識別記号
④ 製造番号又は製造記号
⑤ 貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容
(2) 治験製品に添付する文書、その治験製品又はその容器若しくは被包
(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。ただし、被験者、治験責任医師若しくは治験分担医師等が被験製品及び対照製品の識別をできない状態にしていない治験製品を用いる治験又は拡大治験を実施する場合にあっては、この限りではない。
① 予定される販売名
② 予定される効能、効果又は性能
③ 予定される用法、用量又は使用方法
3 自ら治験を実施する者は、厚生労働大臣に治験計画届出書を提出し、受理されたことを確認した後に治験製品提供者から治験製品を入手する。ただし、当該届出に係る治験の対象とされる加工細胞等にあっては、治験計画の届出提出後 30 日を経過した後に入手するものとする。
4 自ら治験を実施する者は、被験者、治験分担医師等が被験製品及び対照製品の識別をできない状態で入手した治験製品について、緊急時に、治験分担医師が被験製品及び対照製品の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておく。また、盲検下の治験では盲検が破られたことを検知できるよう必要な措置を講ずる。
5 自ら治験を実施する者は、治験製品提供者から治験製品を入手する場合の輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておく。ただし、輸送及び保存中の汚染や劣化のおそれのない場合においてはこの限りではない。
6 自ら治験を実施する者は、治験使用製品に関する次に掲げる記録を作成し、又は入手するものとする。
(1) 治験製品の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験製品の安定性等の品質に関する試験の記録
(2) 治験使用製品を入手し、又は治験製品提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録
(3) 治験使用製品の処分の記録
7 自ら治験を実施する者は、治験の実施の承認後遅滞なく、附属病院等における治験使用製品の管理に関する手順書を作成し、これを附属病院等に交付する。また、必要に応じ、治験製品の使用方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師等及び第 18 条第2項に規定する治験製品管理者に交付する。
(治験調整医師及び治験調整委員会)
第31条 自ら治験を実施する者は、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合には、当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる。
2 自ら治験を実施する者が、治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱できる業務としては、次の業務があげられる。
(1) 治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整 (2) 治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整 (3) 多施設共同治験における実施医療機関間の調整
(4) 治験の計画の届出
(5) 複数医療機関間の不具合情報の通知に関する業務 (6) 厚生労働大臣への不具合等報告の業務
3 自ら治験を実施する者は、治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を当該治験ごとに作成しなければならない。
(効果安全性評価委員会の設置)
第32条 自ら治験を実施する者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2 効果安全性評価委員会は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議するための委員会であり、自ら治験を実施する者、治験責任医師、治験分担医師、治験調整医師、治験審査委員会の委員、治験製品提供者及び病院長は効果安全性評価委員会の委員になることはできない。
3 自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会を設置した場合には委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。また、審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
4 効果安全性評価委員会の設置が必要とされる治験は、当該治験の中間段階において治験の継続等の評価を行うための具体的な基準(症例数、対照群との有意水準・p値等、設定根拠等)を明確化し、予め治験実施計画書に記載する。
(治験に関する不具合等の報告)
第33条 自ら治験を実施する者は、治験使用製品の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに病院長に対し、これを提供しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、治験使用製品について医薬品医療機器等法第
80 条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を病院長
(一の実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に通知する。
3 自ら治験を実施する者は、治験使用製品の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験製品概要書を改訂する。治験実施計画書及び治験製品概要書の改訂については第 25 条及び第 26 条に従う。
(モニタリングの実施等)
第34条 自ら治験を実施する者は、当該治験のモニタリングに関する手順書を作成し、治験審査委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従って、モニタリングを実施させなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、モニタリングに必要な科学的及び臨床的知識を有する者をモニターとして指名する。モニターの要件及び氏名はモニタリングの手順書に明記する。なお、xxxxは当該モニタリングの対象となる附属病院等において当該治験に従事してはならない。
3 本条第1項の規定によりモニタリングを実施する場合には、附属病院等において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
4 モニターは、モニタリングを実施したときはその都度モニタリング報告書を作成し、自ら治験を実施する者及び当該モニタリングに係る病院長に提出しなければならない。モニタリング報告書には、日付、場所、モニターの氏名、治験責任医師又はその他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項又は事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師及び治験分担医師に告げた事項並びに講じられた又は講じられる予定の措置及びGCP省令等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等が記載されていなければならない。
5 自ら治験を実施する者は、モニターから提出されたモニタリング報告書の内容を点検し、フォローアップを行う。モニタリング報告書に対し行った点検とフォローアップ事項について特記事項や指示事項があれば追記を行い、モニターへ通知する。
(監査)
第35条 自ら治験を実施する者は、当該治験の監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、治験審査委員会の意見を踏まえて、当該計画書及び手順書に従って、監査を実施させなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、教育及び訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名する。監査担当者の要件及び氏名は監査に関する手順書に明記する。なお、監査担当者は当該監査に係る附属病院等において当該治験の実施(その準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事してはならない。
3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを自ら治験を実施する者及び病院長に提出しなければならない。監査報告書には監査担当者の氏名、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当該報告書の提出先を記載する。
(治験の中止等)
第36条 自ら治験を実施する者は、附属病院等がGCP省令等又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合には、附属病院等における治験を中止しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、治験を中止又は中断する場合には、速やかにその旨及びその理由を病院長に治験終了(中止・中断)報告書((医)書式 17)により通知しなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験成績に関する資料が承認申請書に添付されないことを知り得た場合にも、その旨及びその理由を病院長に開発の中止等に関する報告書((医)書式 18)により通知しなければならない。
(治験総括報告書の作成)
第37条 自ら治験を実施する者は、治験の終了又は中止にかかわらず、医薬品医療機器等法、GCP省令等に従って、治験総括報告書を作成する。なお、多施設共同治験にあっては各治験責任医師が共同で作成することができる。
2 自ら治験を実施する者は、治験総括報告書に監査証明書を添付して保存する。
(記録の保存等)
第3 8条 自ら治験を実施する者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を適切に保存しなければならない。なお、治験終了後の当該記録の保存については病院長にその業務を依頼することができるものとする。
(1) 治験実施計画書、承認書、総括報告書その他GCP省令等の規定により自ら治験を実施する者が作成した文書又はその写し
(2) 症例報告書、その他GCP省令等の規定により病院長又は治験分担医師から入手した記録
(3) モニタリング、監査その他の治験の実施の基準及び管理に係る業務の記録
(4) 治験を行うことにより得られたデータ
(5) GCP省令等に規定する治験使用製品に関する記録
2 自ら治験を実施する者は、前項に定める記録を、(1)又は(2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存するものとする。
(1) 当該被験製品に係る製造販売承認日(承認申請に添付されないことを知り得た場合にはその旨の通知がなされた日後3年を経過した日)
(2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日第 11 章 手順書の改訂
(手順書の改訂)
第39条 本手順書を改正する必要が生じた場合には、治験事務局が起案し、治験審査委員会で協議の上、病院長の承認を得るものとする。
附 則
1 この手順書は、平成28年7月1日から施行する。
2 この手順書の施行前に行った手続きその他の行為は、この手順書の相当規定によってしたものとみなす。
附 則
この手順書は、平成30年1月12日から施行する。附 則
この手順書は、平成30年4月1日から施行する。附 則
この手順書は、平成30年11月2日から施行する。
附 則
この手順書は、平成31年4月1日から施行する。附 則
この手順書は、令和3年4月1日から施行する。附 則
この手順書は、令和3年11月1日から施行する。