Contract
土木工事請負契約における設計変更ガイドライン
平成 27 年 4 月
首都高速道路株式会社
目次
1.策定の背景 1
2.用語の定義 3
3.設計変更等の手続き 5
4.設計図書照査及び設計図書変更等に係る業務 7
5.設計図書の訂正又は変更の実施者 11
6.設計変更の対象となるケース 12
7.設計変更の対象とならないケース 15
8.入札・契約時の設計図書等の疑義の解決 16
9. 仮設・施工方法における「指定」・「任意」の使い分け 17
【巻末資料】
Ⅰ設計図書の照査項目一覧表 20
Ⅱ当社での工事契約方式 28
Ⅲ設計変更することの妥当性に迷った事例 30
Ⅳ工事変更合意書(様式) 42
1.策定の背景
(1)土木請負工事の特徴
当社は高度に市街化された首都圏で建設、改築、維持管理事業を行っていることから、それらに係る工事では地形・地質などの自然条件だけでなく、周辺環境、地下鉄や種々のライフライン、交通規制などの様々な制約条件に対応を求められる都市内土木工事となっている。
首都高速道路は、現在供用している延長約 310km のうち、高架やトンネルなど構造物によってつ くられている割合が約 95%を占めており、特に近年、環境保全の観点から中央環状新宿線、中央環状品川線、横浜環状北線、横浜環状北西線などにおいては、トンネル構造が主体に採用されている。また、供用30 年以上経過している路線は、全体の約 5 割となっており、大型車の利用交通が多いこ ともあり、構造物の疲労や老朽化が大きな問題となっている。特に、それらの損傷が顕著な箇所については大規模更新・大規模修繕が今後進められることとなっている。
以上のように、当社の工事は都市内高速道路という特殊性や様々な制約から、当初予見できない事態(例えば地元対応、関係機関との調整、ライフライン等の支障物による対応)により、当初設計を変更せざるを得ない状況が発生し、受注者との変更の協議に多くの時間と労力を費やし対応してきた。今回、「土木工事請負契約における設計変更ガイドライン」を策定することにより、あらかじめ設計変更の前提条件を整理し、設計変更となる場合、ならない場合について例示し、今後の発注者と受注者との円滑な設計変更に備えることとしたものである。
(2)設計変更の現状と課題
契約書類に明示されている内容と実際の現場条件が一致しない場合、または関係機関との協議や地元対応の理由から当初設計を変更せざるを得ない場合には契約書類の関連条項に基づき、設計図書に明示した内容を変更し、本来ならば併せて金額変更が必要である。但し、下記のようなケ-スのときに設計変更にあたるかが問題とされ、発注者と受注者間で設計変更の適否について主張が異なり、問題となる場合がある。
契約書類において、本来なされるべき条件明示をしておらず、そのために設計変更の対象となる事象を明確に特定できないために、設計変更として判断できない。
事前に発注者と受注者間で必要な「協議」がなされずに現場の施工が行われ、設計変更として認められない。
「任意仮設」であるため、発注者側での当初設定内容が現地条件と大きく乖離しているにもかかわらず、受注者から設計の変更を求められても変更しない。
契約書類の内容に不整合があり、受注者が行う設計書照査について、受注者の責任を越える過度の負担が求められる場合があり、発注者と受注者との間の認識の相違があっても変更しない。
様々な理由により、契約書類の条件を見直す必要があり、設計図書の変更を行う必要が生じたにも関わらず、発注者と受注者との間の認識の相違により変更しない。
(3)適切な設計変更の必要性
「公共工事の品質確保の促進に関する法律」第 3 条「基本理念」に「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事における請負契約の当事者が各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結し、xxに従って誠実にこれを履行するように配慮されなければならない」が示されており、設計変更においても、より良い社会資本の整備のために、発注者・受注者それぞれの役割分担を適切に行ったうえで、設計変更内容について両者が合意し契約を締結することが不可欠と考える。
また、建設工事や補修補強工事の施工に関しては、各種の条件変更等に伴い当初設計の変更を余儀なくされるものであることから、適切な契約変更手続きを行うとともに、受発注者の業務(費用)分担を明確化し、適正な工事履行体制を確保する必要がある。
工事管理における受発注者間の信頼関係を取り戻し、より良い工事目的物の構築を推し進めるため、「設計図書の照査」、「設計図書変更等に係わる業務」、「設計変更が可能なケ-ス」及び「設計変更の手続き」等について、発注者と受注者の双方が十分理解しておく必要がある。
2.用語の定義
(1)設計変更の定義
本ガイドラインにおける「設計変更」とは、工事請負契約書第 18 条、又は第 19 条に基づき設計図書を変更する手続きを行うことを言う。
(2)契約変更の定義
本ガイドラインにおける「契約変更」とは、設計変更の手続きを行った後に契約書類の内容を変更する手続きを行うことを言う。
(3)契約書類の体系
工事の請負契約において発注者と受注者を拘束する契約書類の体系は次のとおり。 (工事請負契約書第 1 条)
契約書類 工事請負契約書
設計図書 図面
設計図
設計計算書
仕様書
工事請負現場説明書
現場説明に対する質問回答書金額を記載していない設計書
特記仕様書共通仕様書
適用すべき諸基準
※共通仕様書又は特記仕様書に定められているもの
上記を補足する書類
(4)契約書類の用語の定義 土木工事共通仕様書 1.1.2)契約書類 工事請負契約書及び設計図書をいう。
設計図書 図面、仕様書、工事請負現場説明書、現場説明に対する質問回答書及び金額を記載しない設計書をいう。
図面 入札等に際して、当社が示した設計図、当社から変更又は追加された設計図、設計図の基となる設計計算書等をいう。ただし、実施設計を含む工事にあっては、契約書類及び監督職員の指示に従って作成され、当該監督職員が認めた実施設計の成果品の設計図を含むものとする。
仕様書 各工事に規定される特記仕様書と各工事に共通する共通仕様書を総称していう。
特記仕様書 共通仕様書を補足し、工事の施工に関する明細又は工事に固有の技術的要求を定める書類をいう。
共通仕様書 各建設作業の順序、使用材料の品質、数量、仕上げの程度、施工方法等工事を施工する上で必要な技術的要求、工事内容を説明したもののうち、あらかじめ定型的な内容を盛り込み作成した書類をいう。
工事請負現場説明書 工事の入札に参加するものに対して、当社が当該工事の契約条件等を説明するための書類をいう。
現場説明に対する質問回答書 工事請負現場説明書及び現場説明に関する入札参加者等からの質問書に対して、当社が回答する書面をいう。
金額を記載しない設計書 設計書において、数量及び条件のみを明示した書類をいう。
その他、工事契約方式によって、以下の書類を契約書類として工事請負現場説明書に定める場合がある。工事を契約する際には、工事請負現場説明書の記載を確認して、適切に工事の履行を進めることが必要である。
基本条件図書 工事目的物の線形や必要幅員などの仕様や、工事の施工に関して制約される条件を記載した書類
技術提案書 工事の受注に際して受注を希望するものが施工する際に品質の向上や施工金額を低減させるために行う工夫をまとめた書類
3.設計変更等の手続き
(1)設計変更の手続きフロー(全般)
契約書第18条第1項
「条件変更等」
契約書第20条
「工事の中止」
必要な場合
設計図書の精査(受注者)
【土木工事共通仕様書】第1章第2節
工事設計積算基準の
「変更設計の積算」に基づく設計変更金額の算定
照査結果の報告(受注者)
一時中止の増加費用に関する請負代金額の変更
内容の確認(発注者)
・工事目的物の変更を行うもの
・指定仮設の変更
工事変更合意書による
設計図書変更内容の合意(発注者・受注者)※1・2
※1
工事変更合意書は追加工事等が発生し、当初の請負契約書に掲げる事項を変更するときに、工事状況によりその着手前の時点で設計図書の内容が確定できない場合、またはその都度・変更契約を締結することが不合理な場合に、発注者、受注者で作成する書類である
※ただし、任意であっても設計図書に示した施工条件と現場が一致しない場合は変更可
※2
工事変更合意書に記載する金額は工事変更合意書作成時点の数量等を元にした概算金額であり、その後行う設計変更時の金額を双方縛るものではない
「設計図書の変更」
工事設計積算基準の
「変更設計の積算」に基づく設計変更金額の算定
契約書第24条「請負代金額の協議・決定」
契約変更
設計図書の 変更は行わない
発注者が設計図書の変更を必要と認めた場合
契約書第19条
「設計図書の変更」
任意仮設の変更
工事請負契約の締結
発注者(監督員)
受注者
(2)設計図書の照査
調査の実施
【第18条第2項】
依頼
提出
意見【第18条3項】
14 日以内
受領
工事変更合意書による工事変更内容の合意
協議・指示
作成・確認
工期、請負代金額の変更の協議・決定【第23条、第24条】
変更
契約
設計図書の訂正又は変更
【第18条第4項】
変更図面の作成、変更設計数量算出等
【土木工事共通仕様書】第1章第1節1.1.23
調査結果の通知【第18条第3項】
図面、数量算出等の資料
【土木工事共通仕様書】第1章第2節1.2.3
調査結果のとりまとめ【第18条第3項】
工期、請負代金額の変更【第18条第5項】
設計変更申請書による内部決裁
監督職員へ通知し確認を請求
【第18条第1項】
工事請負契約書第18条第1項に該当する事実を発見
工事請負契約書第18条第1項に係る
「設計図書の照査」の実施
【土木工事共通仕様書】第1章第2節
4.設計図書照査及び設計図書変更等に係る業務
4.1 設計図書の照査
(1) 設計図書の照査に関する規定
工事請負契約書及び土木工事共通仕様書において、以下の通り受注者には自らの負担による
「設計図書の照査」が義務付けられている。
➀ 工事請負契約書における記載内容
【工事請負契約書第 18 条第 1 項(条件変更等)】
受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督職員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一. 図面、仕様書が一致しないこと。(これらの優先順位が定められている場合を除く。)二. 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三. 設計図書の表示が明確でないこと。
四. 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五. 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態が生じたこ
と。
➁ 土木工事共通仕様書における記載内容
【土木工事共通仕様書】第 1 章第 2 節 照査 1.2.1 計算書等の照査
1 受注者は、工事の着工前に、線形座標計算書、工事目的物の応力計算書、材料計算書及び図面(以下、「計算書等」という。) の照査を行わなければならない。ただし、実施設計付き工事における
実施設計の照査は、調査・設計共通仕様書 8.3.5(照査)によるものとする。
【土木工事共通仕様書】第 1 章第 2 節 照査 1.2.3 計算書等照査報告書及び照査表
受注者は、計算書等の照査について作業内容等の結果をまとめ、「計算書等照査報告書」
及び「計算書等照査表」を提出し、監督職員の確認を求めなければならない。また、受注者は、監督職員から更に詳細な説明又は書面の追加の要求があった場合は、これに従わなければならない。
なお、監督職員が求めることができる資料の範囲は土木工事共通仕様書 1.1.23 条件変更等の
処理に示されるものであり、新たな比較設計や構造計算等を監督員監督職員が指示した場合に発生する費用は、発注者の負担において実施するものとする。
【土木工事共通仕様書】第 1 章第 1 節 1.1.23 条件変更等の処理
1 受注者は、契約書第 18 条第1項に規定する事実を発見し、当社に確認を請求するときは、「工事打合せ簿」にその内容を記載して、提出しなければならない。
2 受注者は、監督職員の指示に従い、自らの費用により次に掲げる作業を行わなければならない。
(1) 契約書第 18 条第4項各号に規定する工事内容の変更又は設計図書の変更を行うために必要な図面の作成(測量図を含む。)、数量算出、試験結果等の資料作成及び整理
(2) 前号の資料作成に必要な簡易な構造物の設計
(3) その他必要資料及び前2号に準ずる資料の作成
【土木工事共通仕様書】第 1 章第 2 節 照査 1.2.3 計算書等照査報告書及び照査表における更なる追加資料には、新たに行う比較設計や構造計算が伴うものは含まれていない。ただし、軽微な比較検討等は、設計図書の照査に含まれる。
受注者が作成する更なる追加資料において、新たな比較設計や構造計算等を監督職員が指示した場合に発生する費用は、発注者の負担において実施するものとする。
受注者が実施する設計図書の照査については、巻末「設計図書の照査項目一覧表」の該当する工種の照査の項目について実施するものとする。
また、照査項目一覧表の対象工種以外についても、本ガイドラインに準拠できるものであれば、発注者と受注者で協議のうえ、運用できるものとする。
4.2 設計変更に係る業務
(1)受注者の負担で実施する設計変更に係る業務
監督職員からの指示に基づき、受注者の負担で実施すべき設計変更に係る業務は以下のとおりである。
下記の内容以外の業務は、受注者本来の業務の範囲を超えるものとし、次項(2)の取扱いとなるため、業務実施段階に受発注者間で取扱いについて確認するものとする。
➀工事材料に関する調査試験
品質管理基準に含まれる試験で共通仮設費の技術管理費に含まれるものを示す。
➁測量等現地状況の調査
共通仕様書 1.3.1 現場測量に基づく現場地形図を作成するための測量調査等で共通仮設費の準備費に含まれるものを示す。
③設計、図面作成及び数量の算出
監督職員より条件変更に該当する調査結果の通知と設計図書の変更または訂正に係る通知を受けた場合の作業で共通仮設費の技術管理費に含まれるものを示す。なお、技術管理費に含まれる
範囲は、現地取り合いに係る軽微な図面等の変更程度とする。
④観測業務
軟弱地盤等での動態観測における施工計画書の作成、周辺地盤変動観測、報告書の作成で共通仮設費の技術管理費に含まれるものを示す。
⑤施工方法の検討
条件変更に伴い施工方法の変更が生ずる場合に行う概略の工法比較資料の作成で、工法選定の基礎となる作業で共通仮設費の技術管理費に含まれるものを示す。
⑥変更設計図面の作成
工事目的物の変更を反映した変更設計図面の作成で共通仮設費の技術管理費に含まれるものを示す。
⑦施工計画書の立案、工事の安全対策等に関わる調査(土木工事共通仕様書 1.3.3 工事に伴う調査)
⑧仮設施工方法等その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段に関わること(仮設構造計算、関係官庁等届出に必要となる資料の作成費用)(土木工事共通仕様書 1.4.12 工事用仮設構造物等)
⑨その他資料の作成及び上記に準ずる作業その他共通仮設費に含まれるものを示す。
(2)受注者の費用で行う設計変更に係る業務の範囲を超えるもの
受注者の費用で行う設計変更に係る業務の範囲を超える作業の内容は以下のとおりで、発注者が費用を負担するものとする【土木共通仕様書 1.1.23 条件変更等の処理】
➀ ボーリングを必要とする地質調査
➁ 応力計算又は比較検討等を必要とする高度な設計
③ 応力変位計測、地下水位等の動態観測等の特別な費用を要するもの
4.3 受注者負担を超える設計変更に係る業務の事例 (1)設計図書照査と設計変更の位置付け
「設計図書照査」及び「受注者の費用で行う設計変更に係る業務」それぞれの位置付けは下図のとおりである。
受 注 者 が 実 施 す る設 計 照 査 の x x
A 「 受 注 者 が 実 施 す る設 計 照 査 」 以 外 の x x
【 土 木 工 事 共 通 仕 様 書 】
【 土 木 工 事 共 通 仕 様 書 】 第 1 章 第 1 節 1 . 1 . 2 3
第 1 章 第 1 節 1 . 1 . 2 3
受 注 者 が 実 施 す る 場 合 は 、 発 注 者受 注 者 が 自 ら の 費 用 で 実 施 す る が 費 用 を 負 担 す る
x 査 後
設 計 図 書 の 訂 正 、 変 更 、 追 加 調 査
受 注 者 が 実 施 す る 工 事 x x の 変 更 等 の 資 料 x x
受 注 者 が 自 ら の 費 用 で 実 施 す る
B
B 設 計 図 書 の 照 査 を 行 っ た 結 果 生 じ た 計 画 の 見 直 し 、図 面 の 再 x x 、 構 造 計 算 の 再 計 算 追 加 調 査 の 実 x x
発 注 者 の 責 任 で 行 う 。 受 注 者 が 実 施 す る 場 合 は 、 発 注 者 が 費 用を 負 担 す る
設 計 図 書 の 照 査
なお、受注者が自らの負担で行う「設計図書の照査」、資料作成の範囲を超えると考えられるもの (上図の点線枠内のA、B)の具体事例を、以下に示す。
(2)受注者の費用負担を超えると考えられる事例
Aに該当するもの
➀ 「設計要領」や「各種示方書」等との対比設計。
➁ 構造物の応力計算書の計算入力条件の確認や構造物の応力計算を伴う照査。
③ 発注後に構造物などの設計根拠まで遡る見直し、必要とする工事費の算出。
④ 指定仮設構造物の代替案の比較設計資料と変更図、数量計算書の作成に該当するもの。
Bに該当するもの
➀ 現地測量や関係機関との協議の結果、大幅な図面の変更が生じ、横断図等を新たに作成する必要があるもの。ただし、受注者の技術提案等により施工方法の変更を行った場合などによるものは除く
➁ 現地測量の結果、構造物のタイプが変更となるもの。
③ 構造物の構造計算書の計算結果が設計図と違う場合の構造計算の再計算及び図面作成が必要となるもの。
④ 現位置での土質調査等により変更となる場合の構造計算及び図面作成
⑤ 土留め等の指定仮設物の構造計算において、現地条件や施工条件が異なる場合の構造計算及び図面作成。ただし、受注者が提案し監督職員が承諾して変更するものは除く。
⑥ 新たな工種追加や設計変更による構造計算及び図面作成。
⑦ 概算・概略設計成果に基づく発注工事における実施設計の構造計算及び図面作成。
⑧ 要領等の変更にともなう構造計算及び図面作成。
⑨ 照査の結果必要となった追加調査の実施。
<例>
ボーリング調査 (上記⑨)
杭打・大型重機による施工を行う際の近隣の家屋調査 (上記⑨)
地盤改良の薬液注入工の施工に係る周辺地域への影響調査 (上記⑨)路床安定処理工における散布及び混合を行う際の粉塵対策(上記⑥) 移設不可能な埋設物対策(上記➀)
5.設計図書の訂正又は変更の実施者
設計図書の訂正又は変更は、契約書第 18 条第 4 項のとおり、発注者が行わなければならない。
なお、第 1 項第 4 号又は 5 号に該当し、設計図書を変更する場合、工事目的物の変更を伴わないものについては、発注者と受注者とが協議のうえ、発注者が行うものとする。
【工事請負契約書第 18 条第 4 項】
4 前項の調査の結果において第 1 項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、発注者は設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
【工事請負契約書第 18 条第 1 項】
一 図面、仕様書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別の状態が生じたこ
と。
6.設計変更の対象となるケ-ス
以下のような場合については、設計変更の対象とする。
➀ 図面と仕様書が一致しない場合(契約書第 18 条第 1 項一)
ただし、本項に記載しているケースは、当初契約において技術提案を求める工事範囲には適用しない。
設計図書は、特記仕様書、工事請負現場説明書、現場説明に対する質問回答書、図面、共通仕様書、金額を記載しない設計書の順に優先適用する。(土木工事共通仕様書 1.1.3)
【事例】
イ) 設計書と図面で材料の規格が一致しない。
ロ) 図面と設計書(金抜き)の材料の寸法、規格、数量等の記載が一致しない。ハ) 平面図と縦断図の延長、材料名称、仕様等の記載が一致しない。
➁ 設計図書に誤謬又は脱漏がある場合(契約書第 18 条 1 項二)
設計図書の誤り、設計図書に表示すべきことについて表示されていない場合
【事例】
イ) 条件明示する必要があるにも係わらず、土質や地下水位に関する一切の条件明示がない。ロ) 設計図書に示されている施工方法では、条件明示されている土質に対応できない。
ハ) 設計図書に記載されている材料の規格が間違っている。ニ) 設計図書に使用材料の規格が記載されていない。
ホ) 一式工事について、図面、仕様書又は現場説明書に設計条件又は施工方法に係る必要事項が記載されていない。
ヘ) 条件明示する必要があるにも係わらず、交通誘導警備員についての条件明示がない。ト) 図面に設計寸法の明示がない。
③ 設計図書の表示が明確でない場合(契約書第 18 条 1 項三)
設計図書の表示が抽象的な表示で、実際の工事の施工に当って判断し得ない場合
【事例】
イ) 土質柱状図は明示されているが、地下水位が不明確な場合。ロ) 使用する材料の規格(種類、強度等)が不明確な場合
ハ) 用地買収が未了との記載はあるが、着工見込み時期の記載がない。ニ) 図面と工事数量総括表の記載事項が合致しない。
ホ) 仮橋の参考図は明示されているが、荷重条件や制約条件等の設計条件の明示がない。
④ 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人
為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合(契約書第 18 条第 1 項四)
自然的条件とは、一般的には地質、湧水等の状態、地下水の水位などがあり、人為的条件には、地下埋設物、地下工作物、工事用道路の指定等がある。
【事例】
イ) 設計図書に明示された土質(地形)や地下水位が現地条件(現場)と一致しない。ロ) 設計図書に明示された地盤高が工事現場(の地盤高)と一致しない。
ハ) 設計図書に明示された地下埋設物の位置が工事現場と一致しない。
ニ) 設計図書に明示された交通誘導警備員の人数等が規制図と一致ない。ホ) 関係機関等による制約が課せられた場合。
ヘ) 設計図書の訂正・変更で、現場条件と一致しない場合。
⑤ 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた
場合(契約書第 18 条第 1 項五)
上記④に示した自然的条件について設計図書に明示しておらず、しかも周辺の状況からして特に予想し得なかった場合である。
同様に、人為的条件としては、予期し得なかった騒音規制、交通規制等のほか、埋蔵文化財の発見等がある。
【事例】
イ) (施工中に)埋蔵文化財が発見され、調整が必要となった。 ロ) 工事範囲の一部に埋設物があり、地盤改良が必要となった。
⑥ 発注者が変更の必要があると認め、設計図書の内容を変更する場合(契約書第 19 条)
現契約の内容を極端に逸脱しなければ、発注者の意思で変更できることを認めたもの。
【事例】
イ) 地元調整、関係機関協議の結果、施工範囲、施工内容、施工日・時間の変更を行う場合。ロ) 新たに(同時に)施工する必要がある工種が判明し、その工種を追加する場合。
ハ) 警察・河川・鉄道等の管理者、電力・ガス等の事業者、消防署等との協議により施工内容の変更、工事の追加を指示する場合。
ニ) 関係機関等による制約が課せられた場合。
ホ) 当初設計で指定していた建設副産物の処分先を変更する場合。ヘ) 使用材料を変更する場合。
ト) 関連する工事の影響により施工条件が変わったため、施工内容を変更する場合。チ) 隣接工事との調整で、交通誘導警備員の人数を変更する場合。
リ) 工事現場の安全管理上、フェンス等の防護施設(共通仮設費の率計上分以外)を必要と判断し追加する場合。
⑦ 「設計図書の照査」が照査の範囲を超える場合
受注者が行うべき「設計図書の照査」の範囲を超える作業を実施する場合。
土木工事共通仕様書1-5-2「設計図書の照査」には応力計算を伴う照査まで求めるものではない。
※本ガイドライン『4.1.(2)「設計図書の照査の範囲を超えるもの」参照。
⑧ 受注者の都合により材料承諾又は施工承諾が提出された場合
受注者の都合により材料承諾願又は施工承諾願が提出された場合、設計図書(設計図面・仕様書)に示す工事目的物の形状寸法や材料規格が同等以上と判断されるものについて、しかるべき理由があり、特段支障が無い時は、承諾を与え工事目的物の変更を行うケ-スがある。この場合、設計図書と工事目的物は同一のものでなければならないことから、工法変更により設計図面や仕様書を変更する。
材料(施工)承諾は、受注者の都合に配慮した行為であるが、設計承認図は、しゅん功図に反映され管理段階の維持修繕業務や改良工事、将来の拡幅工事等に使用される重要なものであり、適切かつ正確に記載しなければならないため、記載漏れ防止のためにも工法変更手続きが必要となる。なお、コンクリートにおける混和剤量の一部変更など、将来、管理上影響がないと認められるものは、この限りではない。
⑨ 工事の全部又は一部の施工について総括監督員が一時中止を指示した場合(契約書第 20
条)
受注者の責に帰することができないものにより工事目的物等に損害が生じ若しくは工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められるときは、監督職員は「契約書第 20 条」の規定により工事の全部又は一部の施工を中止させなければならない。
監督職員は、工事の全部又は一部の施工を一時中止させた場合において、受注者から中止期間中の増加費用の負担について発注者に協議があり、かつ必要があると認められるときは、増加費用の負担を行う。
⑩ 賃金又は物価の変動により請負代金が不適当となった場合(契約書第 25 条)
発注者又は受注者は、工期内で請負締結の日から 12 カ月を経過した後に賃金水準又は物価水準の変動により請負金額が不適当と認めた場合、相手方に対して請負金額の変更を請求できる。
➃ 第三者等への災害防止のため受注者判断で緊急やむを得えずその対応をした場合(契約書第
26 条)
受注者は、災害防止のため「臨機の措置」をとった場合、その対応内容を発注者に直ちに通知する。
発注者は、受注者が要した費用のうち、必要と認めた部分について負担を行う。
7.設計変更の対象とならないケ-ス
以下のような場合においては、原則として設計変更できない。
(ただし、契約書第26 条「臨機の措置」で対応するような災害時等の緊急性を要する場合はこの限りではない)
➀ 契約書類に条件明示のない事項において、発注者からの「協議」又は「指示」等の通知がなく、
受注者が独自に判断して施工を実施した場合。
なお、本項に記載しているケースは、当初契約において技術提案を求める工事範囲には適用しない。
受注者は、契約書第 18 条第 1 項に該当する事項等を発見したときは、その事実が確認できる資料を書面により発注者(監督職員)に提出し、確認を求める。
➁ 発注者との協議が整う前に施工を実施した場合
契約書第 18 条第 3 項の規定により、発注者は調査の終了後 14 日以内に、その結果を受注者に通知することになっており、速やかな通知は発注者の責務である。しかしながら、協議内容によっては各種検討・関係機関との調整等により、やむを得ず受注者の意見を聴いた上で通知を延期する場合もある。その為、受注者はその事実が判明次第、出来るだけ早い段階で協議を行うことが重要である。
③ 工事請負契約書・土木工事共通仕様書に定められた所定の手続きを経ていない場合(契約書
18 条~24 条、共通仕様書 1.1.23~1.1.25)
発注者及び受注者は、協議・指示、工事の変更、一時中止、請負代金額の変更など所定の手続きを行う。
④ 書面によらない場合(口頭のみの指示等)
受注者は、書面による指示があるまで施工を実施しない。ただし、緊急を要する場合その他の理由により発注者(監督職員)口頭による指示等を行った場合はこの限りではない。発注者は、口頭指示をした施工内容について後日書面による指示を行う。
8.入札・契約時の設計図書等の疑義の解決
設計図書等係る疑義ついては、下記より、入札前の段階、設計図書の照査段階で解決しておくことが、スムーズな設計変更繋がることなる。
【入札前】
工事の入札あたっては、図面、仕様書、工事請負契約書(案)、その他工事請負現場説明書定める契約書類等をよく確認の上、入札書を提出するものとする。
入札参加者は、仕様書、図面、契約書(案)、現場説明書等を熟覧のうえ、入札しなければならない。この場合おいて設計図書等ついて疑義があるときは、担当部署へ質問書を提出し、その回答を求めることができる。
【契約後】
受注者は、施工前及び施工途中おいて、受注者の負担より契約書第 18 条第 1 項一から五 係わる設計図書の照査を行い、該当する事実がある場合は、監督職員その事実が確認できる資料を書面より提出し、確認を求めなければならない。また、受注者は監督職員から更詳細な説明又は書面の追加の要求があった場合は従わなければならない。(xx共通仕様書第 1 章第 2節照査 1.2.3」)
9.仮設・施工方法おける「指定」・「任意」の使い分け
(1)「指定」・「任意」の定義
【工事請負契約書第 1 条第 3 項】
3 仮設、施工方法その他工事目的物を完成させるため 必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。) ついては、この契約書及び設計図書 特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任
と費用おいて定める。
仮設・施工方法の指定・任意ついては、工事請負契約書第 1 条第 3 項の定めを踏まえ、その取扱いついては適切対応していく必要がある。
仮設、施工方法の「指定」とは、上記の記載おける「契約書及び設計図書特別の定めがある」場合を指し、これは発注者が構造・施工法を指定していることを意味している。
また、仮設、施工方法の「任意」とは、その「定めがある場合を除」いた場合を指し、受注者が自らの責任で施工法を決め、施工することである。
任意の仮設・施工方法等ついては、その仮設、施工方法の一切の手段の選択は受注者の責任で行うものであり、その仮設、施工方法変更があっても原則として設計変更の対象とならない。
ただし、設計図書示された施工条件と実際の現場が一致しない場合は設計変更の対象となる。
(2)仮設・施工方法おける「指定」・「任意」の適用
【公共工事の発注おける工事安全対策要綱】
5 適正な仮設工及び施工方法の選定
(1)工事の発注あたって、次示すような施工条件の仮設工 ついては、設計図書おいて指定仮設とすること。
イ 河川堤防と同等の機能を有する仮締切の場合ロ 仮設構造物を一般交通供する場合
ハ 特許工法又は特殊工法を採用する場合
ニ 関係官公署等との協議等より制約条件のある場合ホ その他、第三者特配慮する必要がある場合
「公共工事の発注おける工事安全対策要綱」(平成 4 年 7 月 1 日、建設省技術審議官通達)以下の記載がある。
上記該当する施工条件での工事は、指定仮設とする必要がある。また、指定仮設とする場合は、金抜き設計書おいては、仮設を一式計上することなく、内訳書・代価表おいて仮設材料、方法
を明示する必要がある。
反対、仮設を任意とする場合は、仮設を一式計上とし、必要応じて特記仕様書その旨を記載する必要がある。
ただし、施工方法の変更も含めた技術提案を求めている場合は、首都高からの指定行為ではなくなるため承認行為の対象外となり、任意仮設と判断できる。ただし、契約後施工計画書の一部として受領する場合は、構造計算等も含めて安全性の確認は発注者の責務として必要である。
【巻末資料】
Ⅰ 設計図書の照査項目一覧表
Ⅱ 当社で施行中の契約方式
Ⅲ 設計変更することの妥当性迷った事例
Ⅳ 工事変更合意書(様式)
Ⅰ 設計図書の照査項目一覧表
受注者が自らの負担で実施する具体的な照査項目・内容を以下示す。下記内容は仕様書等規定されている事項及び工事管理上必要な一般的事項全般を網羅すべく記載したものであり、工事の特色応じて必要な照査項目等を適切判断し適用されたい。
なお、照査項目等を追加する場合は、受注者の過度な負担となることのないよう留意するものとする。
受注者は、施工前及び施工途中おいて、下記資料を活用し適切な照査業務努めるものとす
る。
設計図書照査項目一覧表
番号 | 項目 | 項番 | 主な内容 |
1 | 当該工事の条件明示内容の照査 (1)工事工程 | 1-1 | 他の工事の開始又は完了の時期より、当該工事の施工時期、全体工期等影響がある場合は、影響箇所及び他の工事の内容、開始又は完了の時期等が明示されているか(隣接工 事、関連工事) |
1-2 | 施工時期、施工時間及び施工方法が制限される場合は、制限 される施工内容、施工時期、施工時間及び施工方法が明示されているか(夜間工事、集中工事、交通規制工事) | ||
1-3 | 当該工事の関係機関等との協議未成立のものがある場合は、制約を受ける内容及びその協議内容、成立見込み時期が 明示されているか | ||
1-4 | 関係機関、自治体等との協議結果、特定された条件が付され 当該工事の工程影響がある場合は、その項目及び影響範囲が明示されているか(河川協議、道路占用協議) | ||
1-5 | 余裕工期を設定して発注する工事ついては、工事の着手時 期が明示されているか(xxx工事、舗装工事、施設工事) | ||
1-6 | 工事着手前地下埋設物及び埋蔵文化財等の事前調査を必要とする場合は、その項目及び調査期間。又、地下埋設物等の移設が予定されている場合は、その移設期間が明示されて いるか(光通信ケ-ブル、電話線、ガス管、水道管) | ||
(2)用地関係 | 1-7 | 工事用地等未処理部分がある場合は、その場所、範囲及び処理の見込み時期が明示されているか (用地買収、物件の移設、文化財調査) |
1-8 | 受注者に、桁製作等の工事ヤ-ドとして所有地を使用させる場 合は、その場所、範囲、時期、期間、使用条件、復旧方法等が明示されているか(工事ヤ-ド提供) | ||
(3) 環境保全対策 | 1-9 | 工事に伴う周辺環境保全(騒音、振動、粉塵、排出ガス等)のため、施工方法、建設機械・設備、作業時間等に制限がある場合は、その内容が明示されているか(仮設工法、架設工法、 掘削工事、保全対策など) | |
1-10 | 水替・流入防止施設が必要な場合は、その内容が明示されて いるか | ||
1-11 | 濁水、湧水等の処理で特別の対策を必要とする場合は、処理施設や処理条件等が明示されているか(汚濁水処理工、仮設 沈殿池) | ||
1-12 | 工事の施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の枯渇等、電波障害等に起因する事業損失が懸念される場合は、事前・事後調査の区分とその調査時期、未然に防止するために必要な調査方法、範囲が明示されているか(家屋事前調 査、地下水調査) | ||
(4)保安対策 | 1-13 | 交通安全施設等を指定する場合は、その内容、期間が明示さ れているか(交通保安員配置、標識設置) | |
1-14 | 鉄道、電気、ガス、電話、水道等の施設と近接工事で施工方 法、作業時間等に制限がある場合は、その内容が明示されているか(鉄道、各種埋設管) | ||
1-15 | 有毒ガス及び酸素欠乏等の対策として、換気設備等が必要な 場合は、その内容が明示されているか | ||
(5) 工事用道路 | 1-16 | 一般道を搬入路として使用する場合 ➀工事用資機材等の搬入経路、使用期間等に制限がある場合は、その経路、期間、時間帯等が明示されているか(土運搬、桁運搬) ➁搬入路の使用中及び使用後の処置が必要である場合は、そ の処置内容が明示されているか | |
1-17 | 仮道路を設置する場合 ➀ 仮道路に関する安全施設等が必要である場合は、その内容、期間が明示されているか ➁ 仮道路の工事終了後の処置(存置又は撤去)が明示されているか ③ 仮道路の維持及び補修が必要である場合は、その内容が |
明示されているか(迂回路) | |||
1-18 | 工事のため、一般道路を占用する場合は、その期間及び範囲 が明示されているか(桁架設、取付道路) | ||
1-19 | 工事用道路を共同使用する場合の維持、終了後の処置の取 扱が明示されているか | ||
(6) 仮設備関係 | 1-20 | 仮土留、仮橋、足場等の仮設物を、他の工事に引渡す場合及 び引継いで使用する場合は、その内容、期間及び維持、終了後の処置の取扱が明示されているか(仮橋、構台) | |
1-21 | 仮設備の構造及びその施工方法を指定する場合は、その構造 及び施工方法が明示されているか(濁水処理工) | ||
1-22 | 仮設備の設計条件を明示する場合は、その内容が明示されて いるか(仮土留、仮橋) | ||
(7) 建設副産物関係 | 1-23 | 建設発生土が発生する場合は、残土の受入れ場所及び仮置き場所までの距離、時間等の処分及び保管条件が明示されて いるか | |
1-24 | 建設副産物の現場内での再利用及び減量化が必要な場合 は、その内容が明示されているか | ||
1-25 | 建設副産物及び建設廃棄物が発生する場合は、その処理方法、処理場所等の処理条件。なお、再資源化処理施設又は最終処分場を指定する場合は、その受入れ場所、距離、時間等の条件が明示されているか(コンクリ-ト魂、アスファルトコンクリ-ト魂、 基礎くい残土) | ||
(8) 工事支障物件 | 1-26 | 地上、地下等の占用物件の有無及び占用物件等で工事支障物が存在する場合は、支障物件名、管理者、位置、移設時期、工事方法、防護等が明示されているか(電柱、ガス管、上 下水道) | |
1-27 | 地上、地下等に占用物件工事と重複して施工する場合は、そ の内容が明示されているか(光通信ケ-ブル) | ||
(9) 薬液注入関係 | 1-28 | 薬液注入を行う場合は、施工条件、施工方法、材料種別、x x範囲、削孔数量、削孔延長及び注入量、注入圧等が明示されているか | |
1-29 | 周辺環境への調査が必要な場合は、その内容が明示されてい るか | ||
1-30 | 指定された地盤改良の工法が現地の地質にあったものであるか。 また、目的を達成されるものとなっているか。 |
1-31 | 改良材の材料、配合が明示されているか。また、それは適切な ものか。 | ||
(10)その他 | 1-32 | 土砂処分場を指定する場合は、その場所、有償又は無償の区分、仮設物又は付帯工について施工条件がある場合は、その 内容が明示されているか | |
1-33 | 転用土を用いる場合は、時期、場所が明示されているか。ま た、土質材料として適切なものか。 | ||
1-34 | 工事用資機材の保管及び仮置きが必要である場合は、その保管及び仮置き場所、期間、保管方法等が明示されているか(舗 装改良工事用機械) | ||
1-35 | 工事現場発生品がある場合は、その品名、数量、現場内での再使用の有無、引渡場所等が明示されているか(交通事故復 旧工、防護柵改良工) | ||
1-36 | 支給材料及び貸与品がある場合は、その品名、数量、品質、規格又は性能、引渡場所、引渡時期等が明示されているか (標識者、交通規制器具、凍結防止剤) | ||
1-37 | 工事用電力等を指定する場合は、その内容が明示されている か(トンネル工事用電力、深礎工事用電力) | ||
1-38 | 架設工法を指定する場合は、その施工方法及び施工条件が 明示されているか | ||
1-39 | 土工、法面工事において、現状の地盤高、形状等が明示され ているか。また、それらが現地とあっているか。 | ||
1-40 | 現状の施工基盤高が明示されているか。また、それらが現地と あっているか。 | ||
1-41 | 工事規制について、範囲、時間、内容等が明示されているか。 | ||
1-39 | 交通誘導警備員は適切に配置されているか。 | ||
1-40 | 新技術・新工法・特許工法を指定する場合は、その内容が明 示されているか | ||
1-41 | 部分しゅん功、部分使用を行う必要がある場合は、その箇所及 び使用時期が明示されているか | ||
1-42 | 給水施設を設置する必要がある場合は、取水箇所・方法等が 明示されているか | ||
2 | 関連資料・貸与資料の確認 | 2-1 | ポンプ排水を行うにあたり、土質の確認によって、クイックサン ド、ボイリングが起きない事を検討し確認したか |
2-2 | ウェルポイントあるいはディ―プウェルを行うにあたり、工事着手 前に土質の確認を行い、地下水位、透水係数、湧水量等を確 |
認したか | |||
2-3 | 浚渫工の施工において、渇水位、平水位、最高水位、潮位及 び流速・風浪等の水象・気象の施工に必要な資料を施工前に調査・確認したか | ||
2-4 | 地質調査報告書は整理されているか・追加ボ-リングは必要な いかの確認 | ||
2-5 | 軟弱地盤の施工に必要な資料はあるかの確認(圧密沈下、液 状化、地盤支持力、法面安定、側方流動等) | ||
2-6 | 測量成果報告書(平面、横断、縦断)は整理されているかの確 認 | ||
2-7 | 共通仕様書及び特記仕様書に示される資料はあるかの確認 | ||
2-8 | 設計計算書等(構造物(指定仮設含む)、隣接工区等含む)は あるかの確認 | ||
2-9 | 特記仕様書等に明示してある支障物件移設予定時期及び占 用者に関する資料はあるかの確認 | ||
2-10 | 地盤沈下、振動等による影響が第三者におよばないか、関連 資料はあるかの確認 | ||
2-11 | 地下占用物件である電線、電話線、水道、道路管理者用光ケ -ブル、その他の地下埋設物を示した図面(平面、横断、深さ等)等関連資料があるか | ||
2-12 | 設計成果物等(報告書等)の貸与資料(電子デ-タを含む)に不 足がないか、追加事項があるかの確認- | ||
3 | 現地踏査 | 3-1 | 工事着手後直ちに測量を実施し、測量標(仮BM)、工事用多角点の設置及び用地境界、中心線、縦断、横断等を確認した か |
3-2 | 建設発生土の受入地への搬入に先立ち、容量が十分か確認 したか | ||
3-3 | 周辺地域の地下水利用状況等から作業に伴い水質水量等に 影響を及ぼす恐れがないか確認したか | ||
3-4 | 土留・仮締切工の仮設H鋼杭、仮設鋼xxの打込みに先行し、支障となる埋設物の確認のため、溝掘り等を行い、埋設物 を確認したか | ||
3-5 | 仮囲いまたは立入防止柵の設置にあたり、交通に支障をきたす 場合あるいは苦情が発生すると予想される場合には、工事前に対策を検討し、確認したか | ||
3-6 | 施肥、灌水、薬剤散布の施工にあたり、施工前に施工箇所の |
状況を調査するものとし、設計図書示す使用材料の種類、 使用量等を確認したか | |||
3-7 | トンネルの施工あたって、工事着手前測量を行い、両坑口 間の基準点との相互関係を確認したか | ||
3-8 | 道路管理台帳及び占用者との現地確認をしたか | ||
3-9 | 鋼xxx、仮設杭の施工先立ち、明らか埋設物がないことが確認されている場合を除き、建設工事公衆災害防止対策要 綱従って埋設物の存在の有無を確認したか | ||
3-10 | 電線共同溝設置の位置・線形ついては、事前地下埋設物 及び工事区間の現状ついて測量及び調査を行い確認したか | ||
3-11 | 工事先立ち、現地を詳細把握するため現地調査を行い、補強を実施しようとする橋脚および基礎ついて、形状や鉄筋の位置、添架物や近接する地下構造物等の状況を把握するととも、海水または鋼材の腐食を促進させる工場排水等の影響や、鋼材の位置する土中部が常時乾湿を繰り返す環境 あるかどうか等を事前確認したか | ||
3-12 | 漏水補修工の施工箇所は、設計図書と現地の漏水個所と不 整合がないか施工前確認したか | ||
3-13 | 使用する材料や重機の運搬・搬入路を確認したか | ||
3-14 | アンカ-工の施工際しては、工事着手前法面の安定、地盤 の状況、地中障害物、湧水を調査したか | ||
3-15 | 周囲の地盤や構造物変状を与えないよう、締切盛土着手 前現状地盤を確認したか | ||
4 | 設計図 | 4-1 | 桁の製作着手する前原寸図を作成し、図面の不備や製作 上支障がないかどうかを確認したか |
4-2 | 施工前、配筋図、鉄筋組立図、及びかぶり詳細図より組立可能か、また配力鉄筋および組立筋を考慮したかぶりとなって いるかを照査したか | ||
4-3 | 一般図は必要な項目が記載されているかの確認(水位、設 計条件、地質条件、建築限界等) | ||
4-4 | 平面図は必要な工事内容が明示されているかの確認(法 線、築堤護岸、付属構造物等) | ||
4-5 | 構造図の基本寸法、座標値、高さ関係は照合されているかの 確認 | ||
4-6 | 構造図地質条件(推定支持層、柱状図、地下水位等)を明 記してあるかの確認 |
4-7 | 図面が明瞭描かれているかの確認(構造物と寸法線の使い 分けがなされているか) | ||
4-8 | 構造詳細は適用基準及び打合せ事項と整合しているかの確認 | ||
4-9 | 各設計図がお互い整合されているかの確認 ・一般平面図と縦断図(構造一般図と線形図) ・構造図と配筋図・構造図と仮設図 ・下部工箱抜き図と付属物図(支承配置図、落橋防止図等) ・本体と付属物の取り合い等 | ||
4-10 | 設計計算書の結果が正しく図面反映されているかの確認(特 応力計算、安定計算等の結果が適用範囲も含めて整合しているか) ・壁厚 ・鉄筋(径、ピッチ、使用材料、ラップ位置、ラップ長、主鉄筋の定着長、段落し位置、ガス圧接位置) ・使用材料 ・その他 | ||
4-11 | 形状寸法、使用材料及びその配置は計算書と一致しているか の確認 | ||
4-12 | 地質調査報告書と設計図書の整合(調査箇所と柱状図、地質 縦断面図・地質横断面図)はとれているかの確認 | ||
4-13 | 隣接工区等との整合はとれているかの確認 | ||
4-14 | 構造物の施工性問題はないか。設計図等基づいた適正な施工が可能かの確認(架設条件が設計図反映されているか) ※橋梁xxxのみ対象 | ||
4-15 | 工場製品ついては、品質性能等の規格値が示されているか | ||
5 | 数量計算 | 5-1 | 数量計算は、数量算出要領と整合しているか。また、数量計算 用いた数量は図面の寸法と一致するかの確認 |
5-2 | 数量とりまとめは種類毎、材料毎の打合せ区分合わせてまと められているかの確認 | ||
5-3 | 図面よる面積計算の縮尺は図面整合しているかの確認 | ||
6 | 設計計算書 | 6-1 | 使用されている設計基準等は適切かの確認 |
6-2 | 設計基本条件は適切かの確認(荷重条件、施工条件、使用材 料と規格、許容応力度等)※橋梁上部工事のみ対象 | ||
6-3 | 構造・線形条件は妥当かの確認(橋長、支間長、幅員構成、平 面・横断線形、座標系等)※橋梁上部工事のみ対象 |
Ⅱ 当社での工事契約方式
契約方法 | 契約方式 | 内容 |
一般競争 | 一般競争入札(標準タイプ) | 公募して参加表明書及び技術資料の提出を求め、入札参加希望者から提出のあった資料より当該競争係る競争参加資格を確認後、競争入札よ り落札者を決定するもの |
一般競争入札(入札後技術審査タイプ) | 公募して参加表明書の提出を求め、入札参加希望者から提出のあった資料より当該競争係る競争参加資格を確認後、競争入札を行い、入札後落札予定者から技術資料の提出を求め、技術審査 合格した者を落札者として決定するもの | |
技術提案価格交渉方式 (複数者交渉タイプ) | 公募して参加表明書、技術資料及び工事費内訳書の提出を求め、入札参加希望者から提出のあった資料より当該競争係る競争参加資格を確認し、技術資料及び工事費内訳書を総合的評価して入札参加者を選定し、次入札参加者から詳細な技術提案を受け付け、交渉を行った後、競争入札より価格と価格以外の要素を総合評価して落 札者を決定するもの | |
技術提案価格交渉方式 (簡易提案・見積審査タイプ) | 公募して参加表明書、簡易な技術資料及び工事費内訳書の提出を求め、入札参加希望者から提出のあった資料より当該競争係る競争参加資格を確認し、簡易な技術資料及び工事費内訳書を総合的評価して入札参加者を選定し、次入札参加者の簡易な技術資料及び工事費内訳書ついて妥当性の確認及び交渉を行い、入札参加者の工事費内訳書を反映した標準価格基づき予定価格を設定した上で、競争入札より価格と価格以外の 要素を総合評価して落札者を決定するもの | |
技術提案交渉方式【試行中】 | 参加表明書及び技術資料の提出を行った者と技術提案書の内容係るヒアリング(技術交渉)を実施し、競争参加資格が確認された者のうちから、競争入札より、価格と価格以外の要素を総合評価して 落札者を決定するもの |
施工能力確認方式【試行中】 | 参加表明書及び技術資料の提出を受け、競争参加資格が確認されたもののうちから、競争入札より、価格と施工実績等の要素を総合評価して落札 者を決定するもの | |
指名競争 | 指名競争入札 | 規定より定めた競争参加資格を有する者の中から入札参加者を指名して、競争入札より落札者 を決定するもの |
競争参加要請方式(簡易提案・見積審査タイプ) | 有資格業者のうち当該競争係る競争参加資格の要件を満たす者を対象競争参加要請を行い、簡易な技術資料及び工事費内訳書の提出を求め、その者から提出のあった簡易な技術資料及び工事費内訳書を総合的評価して入札参加者を選定し、次入札参加者の簡易な技術資料及び工事費内訳書ついて妥当性の確認及び交渉を行い、入札参加者の工事費内訳書を反映した標準価格基づき予定価格を設定した上で、競争入札より価格と価格以外の要素を総合評価して落札者を決定 するもの | |
交渉合意契約 | 技術提案価格交渉方式 (一者交渉タイプ) | 一者特定した交渉者工事費算出係る会社の施工方法、条件等を説明した後、交渉者が提示した価格ついて技術提案を受けつつ交渉を行い、 合意の上、契約の相手方を決定するもの |
価格交渉方式 | 一者特定した交渉者会社が設定した仕様等を説明した後、交渉者が提示した価格ついて交渉 を行い、合意の上、契約の相手方を決定するもの | |
単価提示方式【試行中】 | 契約の相手方となるべき者提示単価表を提示 し、合意を得て契約の相手方とするもの | |
随意契約 | 特命随意契約 | 一者特定した見積者から見積書を提出させ、契 約の相手方を決定するもの |
Ⅲ 設計変更することの妥当性迷った事例
下表示す事例は、当社発注の工事おいて設計変更の妥当性迷った事例を収集し、その変更際しての考え方ついて整理したものである。ただし、各工事おいては、事例示される内容と条件も相違するため、事例示された内容類似しているからといって変更して良いということではなく、条件変更合致していることを確認のうえ、設計変更の判断が必要となる。
(1)技術提案価格交渉方式(複数者交渉タイプ)の設計変更事例
番号 | 適 否 | 変更項目 | 変更の概要 | 設計変更の適否の考え方 |
1 | 適 | 工程短縮係る費用 | ・当該工事では、工事用地から検出された PCB 処理伴う作業中断等よる工程遅延を回復するため、当該工事おいて半年程度の工程短縮が必要となった。 ・このため、工事工程のクリティカルとなっている鉄道交差部ついて、当初設計の架設工法・順序を変更し、さら鋼床版現場接合を溶接接合からボルト接合変更すること よって、工程短縮を図ることが可 能となった。 | ・当該工事は当初想定していなかった工事用地からの PCB 検出より、作業中断が余儀なくされ、工事工程のクリティカルとなっている鉄道交差部の施工方法を見直したものである。 ・実施された工程短縮策は、目標の工程短縮を達成するため行うものであることから、設計変更より発注者が費用を負担することが適当だと判断した。 |
2 | 適 | 設計費の追加計上 | ・当該工事おいて、当初想定していなかった新規工種伴う図面作成等が必要なったものである。 ・図面等の作成当たっては、地元との調整・対応より、何度も図面修正作業が必要となり、このため受注者より作成図面枚数基づく設計費の計上が求められた。 | ・当該工事では、設計図等の作成業務は発注者の指示よるものではあることから、設計費の追加計上は妥当と判断した。 ・但し、設計費の計上方法ついては、設計図面の作成の実状を考慮すると、図面枚数よる変更は妥当でないと判断。 ・設計費の計上当たっては、施工工種ごと設計費の積算基準を準用し行うこととし、同様箇所での軽微な変更図面ついては、基準従い同種低減よる軽減係 数を設け処理を行った。 |
3 | 否 | 桁架設工法の変更 | ・当該工事の桁架設でのトラス桁降下方法おいて、当初設計ではサンドルよる降下を想定して積算し、工事契約を行っている。 ・しかしながら、工事契約後受注者から、当初設計の降下方法だと、 ➀降下量が標準を超えること ➁反力が標準より大きくなること ③回転降下を必要とすること などの問題が提起され、受注者より降下工法検討より、降下門構を使用した降下工法変更し架設を行った。 ・以上の架設工法の変更ついて、受注者から設計変更協議として求められたものである。 | ・当該工事の当初設計図書おいける架設計画の参考図は、降下設備関する記載はないももの、金抜き設計書おいてサンドル降下が計上されており、これよる降下工であることが判断できる。 ・また、契約時おける「質問書」 おいて、トラス降下設備工関する質問がなされており、サンドル よる降下工の図面及び仕様等の説明を行っている。 ・したがって、受注者は架設工法 ついて十分理解し契約したものであり、契約後の条件変更も無かったことから施工承諾として施工は行い、設計変更は行わないこと とした。 |
4 | 否 | 場所打杭工での杭頭処理量の変更 | ・当初設計ではオールケーシング工法よる場所打杭工を想定した積算より工事契約を行った。 ・工事先立つ地質調査より、地盤が当初想定以上軟弱であることが分かり、杭細り対策として杭頭余盛りコンクリートを増大した。 ・これ伴い杭頭処理費用が増大したとして、受注者から杭頭処理係る歩掛変更ついて協議が求め られた。 | ・杭頭処理費の積算ついては国土交通省土木工事積算基準を準用し行っており、同基準おいて杭頭処理費用の歩掛は1本当りであることや、杭頭処理量は契約書類上の記載事項でないため、杭頭処理量の変更は設計変更当らないとの判断を行った。 |
5 | 適 | 地質調査結果 よる基礎杭工の変更 | ・当初設計では工事周辺で実施された既存のボーリングデータをもと 支持層を推測し、設計を行っていた。 ・これ対し工事契約時受注者からの「技術提案」として、追加ボー リング調査が提案された。 | ・追加ボーリングは「技術提案」であることから設計変更の対象とはならないが、この調査より変更が必要となった場所打ち杭の追加工事ついては、条件変更と判断し、設計変更の対象とした。 ・なお、場所打ち杭の追加工事費 |
・これに基づき追加ボーリング調査を実施し、その結果から支持層に変更が生じ、基礎工事の設計見直し により、場所打ち杭が追加となった | については、当初設計にもあることから、類似工事として受注率を考慮した変更をおこなった。 | |||
6 | 適 | 関係機関協議による基礎施工法の変更 | ・当該工事のケーソン基礎は、当初設計では通常の沈下掘削を想定して工事費の積算を行ったが、その後、関係機関等との協議により、振動に対する周辺環境への配慮が求められた。 ・このため、振動を抑えるためにケーソン基礎を通常施工方法から圧入工法を併用するよう変更すること とした。 | ・当初設計図書の特記仕様書に、「現場条件または関係機関との協議により条件が変更となった場合は、設計変更の対象とする」との記載がある。 ・工法の変更は、関係機関との協議により、周辺環境対策として行うものであり、受注者の責に拠らないことから、設計変更が妥当と判 断した。 |
7 | 適 | 関係機関協議による仮設工法の変更 | ・当該工事の締切鋼xxの引抜きは、当初設計では油圧圧入引抜き機による引抜きを想定して工事費の積算を行ったが、関係機関等との協議において、周辺への影響を極力小さくするよう要請があった。 ・このことから、受注者から鋼xx引抜時の補助工法としての同時注入併用工法の提案を受け、受注者との協議の結果、これに基づく工事 の変更指示を行った。 | ・当初設計図書の特記仕様書に、「現場条件または関係機関との協議により条件が変更となった場合は、設計変更の対象とする」との記載がある。 ・工法の変更は、関係機関との協議により、周辺環境対策として行うものであり、受注者の責に拠らないことから、設計変更が妥当と判断した。 |
8 | 否 | 軟弱地盤による基礎工法の変更 | ・当初設計では、ケーソン基礎工事の沈設に伴う軟弱地盤対策は無く、工事契約後に、受注者から軟弱地盤でのケーソン沈下時の傾斜が懸念され、補助工法としてのケーソン室内のサンドル組立の追加変更の協議が出された。 ・なお、追加実施されたボーリング 調査結果では、当初条件の土質と大きな違いは無かった。 | ・当初設計図書では土質条件が図面により明記されている。 ・受注者は、ケーソン基礎の傾斜を予め予想できたものと考え、基本条件に変更はないことから、設計変更は行わないと判断した。 ・なお、追加の補助工法については、施工承諾として処理した。 |
9 | 否 | 沈設を考慮した基礎施工方法の変更 | ・当初設計では、土質条件よる沈下関係図から、ケーソン刃口のフリクションカット厚を 22mm として積算し工事契約をおこなった。 ・工事契約後、受注者より沈設不能回避のため上記のフリクションカット厚を 41mm 変更したいとの協議があった。 ・なお、当初契約おけるフリクションカット厚は任意仮設扱いとしており、追加ボーリング調査での土質調査結果は当初設計のものと大きな 変更はなく、杭長変更もなかった。 | ・当初設計から土質条件や杭長の変更がないことから、設計変更 該当しないとした。 ・但し、受注者からの沈設不能の恐れがあるとの要請を受け、施工承諾として受注者提案よる施工を実施した。 |
10 | 否 | 品質向上となる RC 床版はつり工法 | ・橋梁拡幅工事おいて、既設床板部と新設床版との接続部は、既設床版切断後鉄筋を 10cm 程度はつり出し、新設部の鉄筋と突き合わせアーク溶接で接合する工法としていた。 ・当初設計では、この鉄筋はつり出しこれを手はつりよるよる積算で工事契約をしていたが、受注者から当初設計よる方法だとマイクロクラック問題があるとして、ウォータージェット工法よるはつり変更する べきとの協議があった。 | ・当初設計での手はつりよる方法が品質上問題となると考えられなかったため、設計変更しないこととした。 ・但し、受注者の提案したウォータージェット工法よるはつりは、品質向上資する創意工夫案件扱いであるとして、施工承諾より施工することとした。 |
11 | 適 | 床版補修工 | ・当該工事は RC 床版xx部のコンクリート剥落防止工を行うものであったが、現場調査を実施したところ、当初設計で想定されたものより、非常多くの損傷が確認された。 ・当初設計は、断面修復材よる整形を行う小規模の断面修復工が計上されていたが、実際は床版状況を確認しながら脆弱部を取除き 断面修復を行っていく必要があり、 | ・当初設計では基準基づく断面修復工より積算を行っていたが、今回の施工条件と合わないことから、実態合わせて設計変更するのが妥当と判断した。 |
施工実態は異なる方法より行うこととなった。 ・これついて、受注者から施工実態を調査のうえ、その結果基づく 見積もりよる変更が求められた。 | ||||
12 | 適 | 現地調査や関係機関協議 よる桁連結工法の変更 | ・橋梁拡幅工事での PC ケーブルよる主桁連結おいて、当初設計では既存桁のケーブル用穿孔をコア穿孔より施工することとしていた。 ・現場調査(鉄筋探査)した結果、図面と異なる位置鉄筋や PC 鋼材が入っていることや、横桁のコンクリート被りが鉄筋探査能力を超える厚さがあり、すべての鉄筋が探査できないことが分かった。 ・これついて、当初設計の方法よると構造上問題となる鉄筋を切断する危険性があることから、工法検討の結果、ウォータージェットよる穿孔変更することとした。 ・また、当初設計の施工ではベント設置を想定していたが、道路管理者協議より設置が出来なくなり、施工方法を検討した結果、それ代わるものとして、一部ケーブルの先行緊張よる主桁の仮連結と段階施工よる方法変更することと した。 | ・当初設計では特記仕様書 「実施設計の結果、追加の補修等が必要となった場合は設計変更協議の対象とする」との記載があった。 ・これ基づき、現場調査結果よる所定の品質確保のための穿孔方法の変更や、関係機関協議 よる安全確保のための施工方法の変更は、受注者の責拠らないと考えられることから、設計変更 より処理することが妥当と判断した。 |
13 | 適 | 床版剥落防止工法の変更 | ・当該工事は、吊足場の設置伴う構造物点検を実施したところ、床版ハンチ部多数の損傷が確認され、剥落防止工より補修を行うものである。 ・当該箇所では、既床版補強工 事がなされており、床版ハンチ部の | ・当初設計は、当社積算基準より一般的な剥落防止工として積算を行っていたが、現地状況がこれ よることが出来ない施工条件であるため、実態調査を行い、それ 基づき設計変更を行うことが妥 当と判断した。 |
剥落防止は床版補強後の施工となるため、当初設計で想定していたグラインダーよるコンクリートの素地調整出来ず、サンドペーパー等よる手作業となった。 ・このため、受注者から実態合わ せた施工能率よる変更の協議があったものである。 | ||||
14 | 適 | 計測工の追加 | ・当該工事箇所は重交通街路が直近であることや隣接地商業ビルや地下駐車場があることから、周辺地盤への影響を監視する必要が生じた。 ・このため、基礎工事の仮締切の施工当たって、当初設計では無かった仮設材への計測機器( 傾斜計、ひずみ計等)を設置し、常時変位等を観測できるよう追加変更した。 | ・当初設計の特記仕様書では計測工関する記載は無かった。 ・当該箇所の状況から周辺地盤への影響を常時観測する必要があると発注者が判断したものであることから、それ係る計測器の設置や常時観測の費用は、設計変更より処理するのが妥当と判断した。 ・なお、今回の計測工の追加は、 当初契約の工種無いことから、請負率を考慮しない変更とした。 |
15 | 適 | 現場条件よる仮設工の変更 | ・当該工事では、橋脚補強工事を行うあたって、当初設計ではオープン掘削よる方法としていた。 ・これが工事施工時の掘削おいて地下水が出たため、受注者より鋼xxよる締切よる変更の協議があった。 ・なお、当初設計図書は地下水 位を明示する資料がなかった。 | ・当初設計の特記仕様書は「仮設工法変更があった場合は設計変更協議の対象とする」ことが明記されていた。 ・当初設計では地下水位関する資料がなく、本件ついては現場条件の変更があったと判断されることから、設計変更よる処理を 行なった。 |
16 | 適 | 関係機関協議 よる仮設工の変更 | ・当該工事では、橋脚補強工事を行うあたって、当初設計ではオープン掘削よる方法としていた。 ・そのうち一部の箇所ついて、関係機関協議より工事借地面積の縮小が求められ、ライナープレートを 用いた掘削方法 変更を行なった | ・関係機関との協議よる変更であることから、設計変更が妥当と判断した。 |
(2)技術提案価格交渉方式(一者交渉タイプ)の設計変更事例
番号 | 適 否 | 変更項目 | 変更の概要 | 設計変更の適否の考え方 |
1 | 適 | 基礎杭工 | ・当初設計では鋼管杭はxx圧入工法、場所打ち杭はオールケーシング工法を想定して工事契約を行っている。 ・当該工事箇所は交差点部であり施工ヤードが狭いことから、関係機関との協議より、施工方法の変更や施工時間の短縮が求められた。 ・工法検討の結果、施工方法をロ ータリーボーリング工法変更することとした。 | ・当該工事の施工方法の変更は、関係機関協議よる結果であることから、受注者の責よらないため設計変更より処理することとした。 |
(3)技術提案価格交渉方式(複数者交渉タイプ)高度提案型の設計変更事例
番号 | 適 否 | 変更項目 | 変更の概要 | 設計変更の適否の考え方 |
1 | 否 | セグメント製作工の変更 | ・当該工事のシールドセグメントおいて、当初設計からのシールド線形、土質条件の変更伴う実施設計の結果、鋼殻セグメント構造が変更し、受注者から設計変更協議がだされた。 ・当初設計書でのセグメント単価はメーカー見積り単価が採用されており、受注者から提示された構造変更後のセグメント単価は当初設計単価対し高額となっていた。 ・受注者対して、セグメント単価の増額根拠を求めるものの、明確な内訳が受注者から提示されな かった。 | ・セグメント単価の増額内訳の提示がなければ、当初設計対する変更後の単価の妥当性が判断できないため、設計変更しないこととした。 |
2 | 適 | 耐震設計よる躯体構造変更 | ・当該工事では、当初設計で行われていない耐震設計を実施したことより、非開削トンネル切開き部 おいて構造変更が生じたものである。 ・対象箇所はN 値50 以上の安定した基盤層あり、当初設計の技術提案では耐震設計を考慮しなくても「地震時おいても安全な構造」と考えていた。 ・これ対し、工事契約後の実施設計おいて、当該箇所は大断面の非開削開削よる拡幅という特殊構造であることから、安定した基盤内であっても耐震設計を行い安全性の確認を行う必要があるとして、これ基づく構造変更 を行うこととした。 | ・当初設計での特記仕様書では 「実施設計成果の数量変更基づき設計変更を行う。ただし、技術提案内容の変更は設計変更の対象としない」と記載していた。 ・更当初設計図書の設計条件 は「地震時おいても安全な構造とすること」との記載していた。 ・したがって、今回の構造変更は地震時おける安全な構造となるべく行われた耐震設計よるものであり、当社からの追加指示であるため設計変更を行う。 |
3 | 否 | シールド( 防水シール) 施工場所の変更 | ・当初設計の受注者からの技術提案では、シールドセグメントの防水シール貼付けを、工事作業帯内設けられた防音ハウス内で行うこととしていた。 ・しかし、地元対応より当初計画の防音ハウスが縮小し、防音ハウス内でのシール貼付が出来なくなり、他の場所を借地してシール貼付けと、そのためのセグメント仮置きスペースを確保することとなった。 ・この借地代は地元対応よる防音ハウス縮小が原因で発生したことであるとして、受注者から設計変更の協議がなされたものであ る。 | ・受注者は当初設計から防音ハウス内での防水シール貼付け及びそのためのセグメント仮置きを想定していたと主張した。 ・しかしながら、以下の理由から本件ついて設計変更は妥当でないと判断した。 ➀技術提案書では防音ハウス内でシール貼付けを行うことが明記されておらず、受注者の主張が確認できないこと。 ➁本工事は高度技術提案型の契約であることから、シール貼付け場所は技術提案時から受注者が想定していなくてはならないと考えること。 |
4 | 適 | 工程短縮のためのシールド設備追加 | ・当初設計の受注者からの技術提案では、工費削減のため 1 台のシールド機を転用し、4本のトンネル掘削を行うこととして工事契約した。 ・しかしながら、埋蔵文化財調査等よる工事着手が遅れ、工程短縮を行う必要が生じた。 ・これついて工法検討を行った結果、シールド機を 2 台製作し、複数のシールドを同時掘進することより、設備転用よる解体・設置手間の省略や、シールド掘進の 工程短縮を図ることとした。 | ・当初設計では、工費削減のため 1 台のシールド設備を転用する計画となっていたが、特記仕様書 「工事着手が遅れた場合等おいて、設計変更協議を行うこととする」と記載されていた。 ・今回のシールド設備の追加変更は、工程短縮のため行う必要のものであり、受注者の責拠らないことから、設計変更より処理することが妥当であると判断した。 |
5 | 適 | 連続壁の逸泥防止対策 | ・当初設計の受注者からの技術提案では、換気所工事の山留めを泥水固化壁工法よる施工として工事契約を行ったが、山留め施工時泥水が地上流出する事象が発生し、周辺地元への影響配慮する必要が生じた。 ・原因調査の結果、施工地盤中の亀裂から逸泥していることが判明し、地盤の亀裂を塞ぐため地盤改良の追加変更を行った。 | ・当初設計の特記仕様書は、 「基本条件図書と一致しない場合は設計変更協議の対象とする」、 「施工関して疑義が生じた場合はxx監督員と協議する」と記載されている。 ・基本条件図書では、土質の一部亀裂の存在が明記されておらず、これが原因で山留め施工時の泥水流出事象が発生したものであるので、この逸泥防止対策としての地盤改良は受注者の責拠らないことから、設計変更より処理することが妥当であると判断 した。 |
(4)一般競争入札(入札後技術審査タイプ)の設計変更事例
番号 | 適 否 | 変更項目 | 変更の概要 | 設計変更の適否の考え方 |
1 | 否 | 安全を考慮した工事規制の変更 | ・高速上の舗装工事を行うための工事規制をついて、当初設計ではVA規制として工事契約を行っていたが、工事契約後受注者から、工事の安全性等を考慮し WA規制て施工したいとの変更 協議があった。 | ・当初設計おいて、設計書及び特記仕様書VA規制て行うことが記載されていた。 ・工事契約後の現場条件等変更がないことから、設計変更の対象としなかった。 |
2 | 適 | 薄層舗装工の変更 | ・当該工事はカーブ箇所の安全対策として、視認性向上のための薄層舗装を施工するものである。 ・当初設計での薄層舗装は、舗装補修後 1 週間程度の時間を空けて施工する必要があるうえ一時的黒舗装色となる問題がある。 ・これ対して、試験施工として当社が指示したカラーポーラスアスコン舗装は、舗装打換えと視認性向上が同時可能となり、全体の工程短縮が実現するメリットもあることから、これよる舗装打換 変更した。 | ・今回の薄層舗装の工法変更は、当社からの指示事項であることから、設計変更より処理することは妥当と判断した。 |
3 | 適 | 工程延伸伴う足場損料 | ・当該工事は床板補強工事で、当初の契約期間は 1 年程度であり、これ基づき足場損料を算定していた。 ・ところが、床版補強工事の事前 行った足場内点検結果より、関連工事である桁補修・塗装等の工程延伸が発生し、当該工事の足場設置期間が大幅延伸することとなった。 ・これ対し、受注者へ確認したと | ・本件は、受注者の責依らない理由のため足場設置期間が当初設計から大きく変更されたものである。 ・足場損料は、設置期間が長くなると単価は安くなるが、足場の設置時点での単価がリース会社と受注者との契約制約を受ける事例である。 ・今回の工期延伸は受注者の 責よらないため、工程延伸分の |
ころ、足場延伸期間おいても、受注者は当初単価でリース会社 足場損料を支払う必要があり、受注者から当初の足場単価基 づく変更を求められたものである。 | 足場損料ついても当初設計の単価より変更処理することが適切であると判断した。 |
(5)施工能力確認方式(試行中)の設計変更事例
番号 | 適 否 | 変更項目 | 変更の概要 | 設計変更の適否の考え方 |
1 | 適 | 鋼殻研掃工 | ・シールドトンネルおける鋼殻セグメントの現場塗装工事を行う あたり、当初設計ではウォータージェット よる錆研掃を行うこととしていた。 ・工事契約後の現場調査の結果、想定を超える浮錆があり、これを撤去しなければウォータージェットよる鋼殻研掃ができないことが判明し、グラインダー等よる浮錆撤去工を追加することとし た。 | ・現場調査の結果、当初設計で想定していなかった現場条件の変更よる施工方法の追加変更であるため、設計変更よる処理を行うこととした。 |
様式
平成 年 月 日
工 事 変 更 合 意 書
工 事 名
〔施工依頼及び契約変更の実施〕 標記の請負工事契約は、本変更工事合意書を以て、以下の通り変更されるものとします。なお、本件に関しては別途変更契約書を締結します。 変更契約書の締結予定時期: 年 月 | |
〔工事変更内容〕 1.工事変更概要 ※ 工事変更数量等については、別紙参照 2.工事変更概算金額 ( 増額 ・ 減額 ) ¥ (税抜) | |
上記工事変更による工期の変更 | 有 ( 日 延期) ・ 無 |
本工事変更合意書を以て、上記変更内容については、発注者・受注者ともに確認した。 (発注者) 首都高速道株式会社 ○○局長 ˏˏ ˏˏ 印 (受注者) ○○○株式会社
現場代理人 △△ △△ 印 収 入 収 入印 紙 印 紙 (受注者) (発注者) |