Contract
教職員給与に関する諸制度等について
地方公務員の給与制度について
○地方公務員法24条1項
職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
給与額は、職務内容の難易あるいは複雑さの程度に応じて差をつけ、また、責任の軽重によって差を設けて、決定される。
1.職務給の原則
○地方公務員法24条3項
職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
地方公務員の給与額の決定に当たっては、
①生計費・・・個々の職員の生計費ではなく、国民全体の標準的な生計費を指す。
②国家公務員の給与・・・類似の職種の標準的な給与
③地方公務員の給与・・・同上
④民間企業の給与・・・職務の内容と責任とがおおむね相似しているものとの比較を行う。実際は人事院が行っている調査の手法が用いられる。
⑤その他の事情・・・地場産業の景況等を考慮して定められる。
2.均衡の原則
○地方公務員法24条6項
職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
○地方自治法204条3項
給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。
地方公務員の給与は、住民自治の原則に基づいて住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によってこの同意が与えられている。
また、一定の労働基本権の制約を受ける地方公務員の勤務条件を保障するため、条例等により勤務条件を定めることとされている。
3.条例主義
① 市町村立小・中学校等の教職員は市町村の職員であるが、その給与については、義務的経費であり、かつ、多額であるため、例外的に、市町村より広く財政力が安定している都道府県の負担とし、給与水準の確保と一定水準の教職員の確保を図り、教育水準の維持向上を図る。
② 都道府県が人事を行うこととし、任命権と給与負担の調整を図ることとあわせて、身分は市町村の職員として地域との関係を保たせながら、広く市町村をこえて人事を行うことにより、教職員の適正配置と人事交流を図る。
1.趣旨・目的
2.概要
都
教職員の給与(都道府県が全額負担※)
道
市町村
府
公立小中学
県
校設置者
服務監督
市町村立小中学校、特殊教育諸学校等の教職員
任命(任免、分限、懲戒、給与の決定等)
※都道府県が負担する給与費の3分の1を国が負担
《給与の設定》
○ 平成15年度以前
・公立学校教員の給与の種類及び額は、国立学校教員の給与の種類及び額を基準として各都道府県等が決定=国立学校準拠 制(旧教育公務員特例法第25条の5)
○ 平成16年度以降
・国立学校の法人化に伴い、国立学校準拠制を廃止し、各都道府県等が職務と責任の特殊性に基づき条例で決定。各都道府県等は、地域の実情等に応じ、主体的に給与を決定(教育公務員特例法第13条)
《国の関与》
○ 国は、教職員給与の決定に際し、人材確保法に基づき一般公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講じることをxx 府県等に義務付け(人材確保法第3条)
○ また、文部科学大臣は、必要に応じ都道府県等に対し指導・助 言又は援助を行うことができる(地xx法第48条)
更に是正要求も可能(地方自治法第245条の5)
1.意 義
人材確保法は、教員の給与を一般の公務員より優遇することを定め、教員に優れた人材を確保し、もって義務教育水準の維持向上を図ることを目的とする
2.経 緯
昭和46年6月 中央教育審議会答申
「教職への人材誘致の見地から優遇措置が必要」との指摘
47年7月 自民党文教制度調査会、文教部会による提言
「教員の養成・再教育ならびに身分・待遇について抜本的改革を断行し、今後行われるあらゆる教育改革の出発点としたい」との提言
48年2月 人材確保法の国会提出(翌年2月公布施行)
3.現 状
○ 三次にわたる計画的改善より合計25%引上げの予算措置
(S48年度~53年度)
○ 現在、教員給与の優遇措置が次第に低下
一般行政職と教育職員の平均給与月額の比較(平成 13 ~ 17 年度における平均)
平均給与月額 | 指数 | |
一般行政職 | 399,128 円 | 97.24(△ 2.76) |
小・中学校教育職 | 410,451 円 | 100 |
※ 平均年齢、学歴を同一条件にして比較
給与水準の比較に適さない通勤手当、住居手当、地域手当等を除く
給 料 | の x x 額 | 特殊学級担当教員及び特殊教育諸学校の教員が対象 | ||
教 職 | x x 額 | 校長、教頭を除く教員が対象 勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当は支給しない代わりに、給料月額の4%を本給として支給。 | ||
x x 教 育 等教 員 特 別 手 当 (新設) | 教育職給料表(二),(三)適用者の教育職員が対象(定額) | |||
教員特殊業務手当 | 非常災害時等の緊急業務(児童生徒の保護又は防災・復旧業務)3,200円(支給要件:8時間程度) 〃 ( 〃 救急業務) 3,000円( 〃 : 〃 ) 〃 ( 〃 補導業務) 3,000円( 〃 : 〃 )修学旅行等指導業務 1,700円( 〃 : 〃 ) 対外運動競技等引率指導業務 1,700円( 〃 : 〃 ) | |||
部活動指導業務(新設) | 1,200円( | 〃 | :4時間程度) | |
入学試験業務 900円( 〃 :8時間程度) ※ 甚大災害時においては,非常災害時等の緊急業務(児童生徒の保護又は防災・復旧業務)に従事した場合の2倍の額(6,400円)を支給 | ||||
多学年学級担当手当 | 2個学年で編制されている学級の担当教員が対象(日額290円) | |||
教育業務連絡指導手当 (新設) | いわゆるxx手当(日額200円) | |||
x x 職 手 当 (引き上げ) | 支給率 校長16%(一部),14%(大規模校),12%,教頭12%(大規模校),10%,部主事8% | |||
管理職員特別勤務手当 | 休日等に勤務した校長・教頭・部主事が対象(3種 8,000円,4種 6,000円,5種 4,000円) | |||
へ き | 地 手 当 | 支給率 級の別に応じて25%を超えない範囲内 |
の網掛けは、人材確保法による手当。
(人材確保法による給与改善により、義務教育等教員特別手当、教育業務連絡指導手当、部活動指導業務手当は新設。管理職手当は支給割合の引き上げ。)
○ 戦後の公務員の給与制度改革により、教員の給与については、勤務の実態等を踏まえ、一般公務員より一割程度増額されたことに伴い、教員に対しては超 過勤務手当は支給されないこととされた。
○ しかしながら、毎年の給与改定の結果、教員給与の優位性が失われたことか ら、当時の文部省からの超過勤務を命じないとの指示にもかかわらず、超過勤務が行われている実態が多くなり、多くの都道府県で時間外勤務手当の支給を求める訴訟が提起され、いわゆる「超勤問題」として大きな問題となった。
このため、文部省は教育界の混乱を収集するとともに、勤務の実態を把握する ため、昭和41年度において全国的な勤務状況調査を行った。
昭和46年5月 「給特法」制定
(国立及び)公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
教員は、一般行政職と同じような勤務時間の管理はなじまない。
・修学旅行や遠足など、学校外の教育活動
・夏休み等の長期の学校休業期間
このような教員特有の勤務態様により、勤務時間の管理が困難。
〈教員の勤務態様の特殊性〉
本給とはxxの勤務時間の勤務に対する報酬であるが、教員の職務はその勤務の特殊性から、勤務時間の内外を切り分けることが適当ではない。
そのため、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、
① 時間外勤務手当は支給しない代わりに
② 教職調整額を本給として支給。 給料月額 × 4% = 教職調整額
〈勤務態様の特殊性を踏まえた処遇〉
② 教職調整額を本給とみなす。
※本給とみなすため、本給を基礎として一定割合を乗じて算出する手当等については、その算定の基礎となる。
(期末・勤勉手当、退職手当、地域手当、へき地手当、年金、等)
① 原則、時間外勤務を命じないこととする。
仮に、命じる場合でも次の場合に限定。(いわゆる「超勤4項目」)
1.生徒の実習に関する業務
2.学校行事に関する業務
3.教職員会議に関する業務
4.非常災害等のやむを得ない場合の業務
6
(平成13~17年度における5年間平均ベース)
11,323円
2.76%
員
給与月額 410,451円
教職調整 義務教育等教
額 員特別手当
14,322円
13,692円
能率給的手当 11円
職務給的手当
7,931円
本 給 374,495円
29,788円
7.26%
能率給的手当
893円
職務給的手当
10,892円
時間外勤務手当 28,944円
本 給 358,399円
(16,096円)
一般行政職 給与月額 399,128円
教
教員の優遇分
平成17年12月24日 「行政改革の重要方針」 閣議決定
○ 義務教育教職員の人材確保の観点から給与の優位性を定めた学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法(人材確保法)について、教職員を巡 る雇用情勢の変化等を踏まえ、廃止を含めた見直しを行う。具体的には、教職員給与関係の法令を含め、教職員給与の在り方について検討を行い、平成18年度中に結論を得て、平成20xxに所要の制度改正を行う。
平成18年6月2日 「簡素で効率的な政府を実現するため
の行政改革の推進に関する法律
(行革推進法)」公布・施行
○ 政府は、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の
教育職員の人材確保に関する特別措置法の廃止を含めた見直しそ の他公立学校の教職員の給与の在り方に関する検討を行い、平成 18年度中に結論を得て、平成20年4月を目途に必要な措置を講ずる
ものとする。(第56条第3項)
平成18年6月26日 自民党歳出歳入改革PT
(「経済・財政一体改革」の今後の進め方)
○ 義務教育費国庫負担金について以下の見直しを行う。
・地方公務員の給与構造改革や地方における民間給与水準への準拠を徹底させる。
・人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリを つけた教員給与体系を検討する。その結果を退職手当等にも反映させる。
平成18年7月7日 「骨太の方針2006」 閣議決定
○ヒト:「人財立国」の実現
・学習指導要領改訂、全国的な学力調査、習熟度別・少人数指導、 能力・実績に見合った教員の処遇等により教育の質の向上を図り、 2010年までに国際学力調査における世界トップレベルを目指す。
○各分野における歳出改革の具体的内容文教
義務教育費国庫負担金について以下の見直しを行う。
・地方公務員の給与構造改革が地方における民間給与水準への準 拠を徹底させる。
・人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリを つけた教員給与体系を検討する。その結果を退職手当等にも反映させる。