Contract
各 位 株式会社 三十三銀行
三共食品株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、三共食品株式会社(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) 契約日 | 2022年10月3日 |
(2) 融資金額 | 300百万円 |
(3) 期間 | 7年 |
(4) 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名 | 三共食品株式会社 |
(2) 所在地 | xxxxxxxxxxxx00-0 |
(3) 事業内容 | 食品製造業 |
当社は1975年に愛知県豊橋市にて創業。「食べる“わくわく”を世界中に」をキャッチコピーに、食品に欠かせないうまみ成分の素である「エキス」や、本格的な味を再現した「スープ」、インスタント食品などに使う「乾燥野菜」、そして食材としての「乾燥食品」などを製造、販売する「調味料事業」と、外食、中食、給食産業向けの「業務用食品」などを製造、販売する「外食事業」を包括的に展開している食品製造業者である。
( ヘッドオフィス ) (レストスペース) | |
(4) 従業員数 | 132名(2022年9月現在) |
(5) 資本金 | 44百万円 |
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・ 社会面 | 包摂的で健全な経済(ポジティブ) 雇用(ポジティブ) |
|
① 女性活躍推進法に基づく取り組み ・2027年3月までに女性従業員の平均勤続年数を2022年3月比1年以上引き上げる (2022年3月時点:6.3年) | ||
(2) 社会面 | 保健・衛生(ネガティブ) |
|
① 食品安全方針の策定と認証取得 ・各種認証取得を維持する (2022年3月現在:ISO22000、FSSC22000、HACCPの認証取得) | ||
(3) 社会面 | 保健・衛生(ネガティブ) | |
① 労働災害発生を抑制する取り組み ・休業を要する労働災害0件を毎年達成 (過去実績:2017年度1件、2018年度3件、2019年度0件、2020年度0件、2021年度0件) | ||
(4) 環境面 | 廃棄物(ポジティブ) | |
① 食品ロス削減 ・毎年、食品ロスを年間2,200トン以上削減 ※豊橋市内の農家数、耕地面積が減少傾向にあることや、残渣は既に肥料化が可能な範囲内で全て肥料化していることも踏まえて、現在の水準を維持していく。 <過去実績> 2018年度実績:約2,335トン 2019年度実績:約2,431トン 2020年度実績:約2,445トン 2021年度実績:約2,260トン |
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
担当部署 | ソリューション営業部 |
担当者 | xx・xx |
連絡先 | 059-354-7144 |
(2) 三十三総研
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以 上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022 年 10 月3日株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、三共食品株式会社に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、三共食品株式会社の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※1に対するファイナンスに適用しています。
※1 IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.三共食品株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 19
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPIと SDGsとの関連性 24
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.社会面(ネガティブ)
4-3.環境面(ネガティブ)
4-4.その他 KPI を設定しないインパクトについて SDGs との関連性
5.サスティナビリティ管理体制 29
6.モニタリング 29
7.総合評価 29
1.評価対象の概要
企業名 | 三共食品株式会社 |
借入金額 | 300,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2022 年 10 月3日 ~ 2029 年9月 10 日 |
2.三共食品株式会社の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx 00-0 |
従業員数 | 132 名(2022 年9月現在) |
資本金 | 44 百万円 |
業種 | 食品製造業 |
沿革 | 1964 年 創業者xxxx、天然調味料業務に従事 1975 年 豊橋市xx町に乾燥野菜、天然調味料エキス製造工場を建設、生産開始 資本金5百万円で法人組織に改組 1976 年 資本金 40 百万円に増資 1982 年 食用油脂製造業の認可を受けオイルフレーバー(香味油脂)の製造を開始 1983 年 首都圏を対象に業務用外食産業材料としてホウレン草リーフ、ローストオニオンなどを販売開始 1987 年 資本金 44 百万円に増資 1994 年 新型乾燥機“ジェット・ゾーン”を導入し新製品の開発に備える 1999 年 技術研究所を新設。開発室、品質管理室をxxし厨房設備を完備した調理試験室を新たに設置。 2000 年 男子社員寮新築 2002 年 国際標準基準ISO9001 認証取得 2003 年 常圧抽出エキス製造のための設備導入 2004 年 X線異物除去装置の導入 2008 年 冷凍食品製造の許可を受ける 粉砕工場を建設し、新設備を導入 2010 年 外食、中食、企業向けの専門工場としてxx工場を建設 |
2010 年 xx工場生産開始 2015 年 代表取締役にxxxx就任 2019 年 xx工場、JFS-B認証取得 豊橋市長より食品衛生の優良施設として表彰を受ける本社工場、JFS-B認証取得 愛知県知事より食品衛生の優良施設として表彰を受ける 2020 年 福岡オフィス開設 国際規格ISO22000、FSSC22000 認証取得 TOKYO BASE 開設 2021 年 豊橋本社リニューアル オリジナルキャラクター「リッキー」と「ルイ」誕生 ビーチクリーン活動「KEEP THE BEACH」始動斜軸工場 改装&増設 キッチンカー事業始動 本社工場ISO22000、FSSC22000 適合取得 | |
事業拠点 | ・本社・工場 xxxxxxxxxxxx 00-0 ・xx工場 愛知県豊橋市xx町字xx 1121-1 ・TOKYO BASE xxx品川区東xx5丁目 1-2 ・FUKUOKA OFFICE 福岡県福岡市博多区博多駅東1丁目 11-15 博多駅東口ビル 705 |
本社・工場
xx工場
TOKYO BASE
FUKUOKA OFFICE
2-2.事業内容
三共食品株式会社(以下、三共食品)は 1964 年に愛知県豊橋市で創業し、現在ではエキス製品、オイルフレーバー、乾燥食材製品等を開発・製造する調味料事業と、外食産業や中食産業、学校、事業所向けに商品を開発・製造・販売する外食事業を営む食料品製造業者である。
『食を通じて世界中の人たちがわくわくできないだろうか』という課題に対して、三共食品では同社と関わる全てのもの(従業員、取引先、サービス、商品、企画、イベント、空間、技術、オリジナルキャラクター、キッチンカー等)を総称して「食のテーマパーク」と名付け、「おいしさ」を提供し、 人々をハッピーにすることを目標に掲げている。メイン事業である調味料事業と外食事業では、仕入先・販売先から消費者へ「おいしさ」を提供し、多くの方々から賛同をもらうことで収益が上がり、それを従業員へ還元することでモチベーション向上と個人の成長につながり、より良い製品を作り出せると考えている。これらが、結果的に会社の成長につながり、「正」のスパイラルを巻き起こすことで同社に関わる全ての人が「しあわせ」になる仕組みを実現させている。同社の主な事業は以下の通り。
調味料事業
調味料事業においては、同社が設立される前の 1964 年 10 月に創業者であるxxxxxが天然調味料業務を開始した。その後、現在は、①エキス製品、②オイルフレーバー製品、③乾燥食材製品において事業を展開している。
① エキス製品 ~厳選された素材から作り出される高品質の調味料~大量の原材料を長時間煮込み、原材料の成分を抽出
し、濾過、殺菌、濃縮などの過程を経て、同社の主力製
品であるエキス類は誕生する。原材料はキャベツ、白菜などの野菜類から、魚介類、畜肉までと幅広く、多様なエキス類を製造している。エキス類は様々な食品メーカーや各種外食産業全般、学校・病院・事業所の給食向け、弁当・惣菜等の中食向けなどへ納入され、中華系や
イタリアン系の食品、カレーのルー、練り製品、ラーメンスープ等、用途に合わせて様々なメニューに利用されている。
② オイルフレーバー製品 ~“香り”という微妙な世界を高度なノウハウで形作る~ポーク、チキン、オニオン、ガーリック等の様々な食材
を原材料として、それらから抽出した香りをサラダ油、ラ
ード、大豆油、パーム油等の食用油脂に添付したのが
「オイルフレーバー」である。オイルフレーバー製品は様々な食品メーカーや各種外食産業全般へ納入され、
様々な食品の香り付けとして使用されている。またスナック菓子等の香り付けにもオイルフレーバーは多数使用さ
れている。また、食品メーカー、菓子メーカー等からの要望に応え、新しいオイルフレーバーの開発も行っている。
③ 乾燥食材製品 ~幅広い種類の乾燥食材を食品メーカーに納入~
「乾燥野菜」は原材料である野菜類をカットし、ブランチング(※)等の過程を経て乾燥し、製品として完成す る。これらは、様々な食品メーカー、各種外食産業全般へ納入され様々な用途で使用されている。乾燥食品は粒状、フレーク状等、顧客企業の要望に応じて加工している。
※ブランチングとは、野菜を冷凍する前に熱湯に漬ける、蒸気をあてるなど必要最低限の加熱処理を行うこと。ブランチングを行うことで、野菜が持つ酵素を不活性化させ、冷凍保存中の変質や変色を防ぐ。また、食品表面に付着している微生物の殺菌も行うことができる。
外食事業
同社は商品開発から製造・販売まで一貫した事業を行っている。40 年以上培ってきた味や風味を作り出す高い技術を基盤に、同社の天然調味料を多種多様に使用し、美味しさを追求した安全・安心な製品作りを行っている。このように作られた製品は、外食産業、弁当・惣菜等の中食産業、学校・事業所の給食などのニーズに応え、幅広く提供されている。外食事業の主な製品は次の通り。
① トッピング
フライドガーリック(フレーク、あら挽き)、フライドオニオン、にんにくファイアー、おろしにんにく、おろししょうが
② 食べるシリーズ
食べるラー油、食べるオリーブオイル、食べる麻辣油
③ レトルト食品
豊橋チキンカレー、コラボカレー、どて煮
④ 加工冷凍食品
大葉ソース・ペースト、バジルソース・ペースト、カポナータ
<輸入品事業>
ミナトハワイ5種、トマトソース7種、ベジタブルチップス8種、ガーリックホットソース
【売上高構成比】
同社の 2021 年9月期における製品別の売上高構成を見ると、エキス・オイル製品が国際標準産業分類における『他に分類されないその他の食料品製造業』として 41%と一番高い比率となっており、次いで乾燥食材製品が『果実及び野菜加工・保存業』として 33%、外食事業が『調理食品製造業』として 26%の構成比となっている。
製品別売上高構成比
26%
41%
33%
エキス・オイル製品
乾燥食材製品
外食事業
【経営理念】
本当に価値ある食品を創造するためには作り手である社員が真に充実した生活を送ることが大切である。
そこで当社では、“しあわせ作戦”という基本方針に基づき、
第一段階 個人の幸せ
第二段階 社会人としての幸せ第三段階 人間としての幸せ
をテーマに事業を展開している。
【行動憲章】
〇コンプライアンス宣言
私たち三共食品は、従業員が自らの行動を厳しく律し、あらゆる法令や社会規範を遵守した事業活動を通じて、企業の社会的責任を果たすとともに、お客様・取引先・株主・地域の皆様および従業員の発展と幸福の実現のため、全社xxとなってコンプライアンス経営を推進することを宣言します。
行動規範 |
私たちは、「コンプライアンス宣言」の精神に基づき、行動規範を遵守し誠実に行動します。 |
1. お客様からの信頼獲得 私たちは、絶えずお客様の立場に立ち、安全・安心な製品・サービスや適切な情報の提供を通 じて、お客様の信頼の獲得に努めます。 |
2. 取引先との相互発展 私たちは、仕入先等全ての取引先と誠実で透明性の高い取引を行い、健全な関係を維持する ことにより相互信頼関係を確立し、相互の発展を図ります。 |
3. 株主の皆様の理解と支持 私たちは、企業価値の向上と継続的な発展を図り、株主の皆様の信頼の獲得に努めます。 |
4. 地域社会との共存 私たちは、地域の方々に支えていただいていることを認識し、その歴史・文化・習慣を尊重した 事業展開と地域活動への自主的な参加を心掛け、社会貢献に努めます。 |
5. 従業員の就業環境整備 私たちは、従業員の多様性や人格・個性を尊重し、十分なコミュニケーションを心掛ける事で、安全で快適な働きやすい職場環境を作るとともに、従業員の経済的・精神的豊かさの実現を目 指します。 |
6. 人権尊重 私たちは人権を尊重し、「ハラスメント」および「国籍・人種・宗教及び障害の有無等を理由とす る差別」を許容いたしません。 |
7. 社会の一員として 私たちは、企業活動にあたって以下の行動をとり、社会への責任を果たします。 ・各国・地域の法令遵守はもとより、文化や習慣を尊重した企業活動を行います。 ・従業員及びお客様などに関する個人情報の厳正な管理を行います。 ・知的財産権の重要性を理解し、この保護に努めるとともに、不当な侵害・使用の排除を徹底します。 ・社会的な腐敗につながる不正行為には関与しません。 ・政治・行政との健全かつ正常な関係を保ちます。 ・市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的な団体・個人に対しては断固たる態度で臨みます。 |
【安全・安心への取り組み】
~HACCPの管理手法を導入して、安全・安心な商品を製造~
HACCPとは、食品の製造において安全性を確保するための国際的に認められた管理手法である。HACCPは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称であり、日本語訳すると「危害要因分析重要管理点」となる。
食品製造の「危害要因」としては、「生物的(微生物など)」、「化学的(残留農薬、洗剤など)」、
「物理的(金属片、ガラス片)」の3つの要因があり、危害要因が製造から出荷までの工程に存在していると、食中毒やケガなど健康被害を引き起こす可能性が高くなる。同社では、これらの危害因子を除去するために製造工程を整理し、重要管理点を設定し、それを適切に管理しモニタリングしている。
【食品安全方針】
私たち三共食品は、基本方針である「しあわせ作戦」の実現を目的に、全ての従業員がフードチェーンの一員として果たすべき責務を自覚し、「食べる“わくわく”を世界中に」提供し続けます。
<食品安全方針>
1. 私たちは、食品安全マネジメントシステムのもと食品安全目標を設定し、期末にマネジメン
トレビューによる評価を実施します。
2. 私たちは、食品安全に関連する法令、規制要求事項、同意するお客様からの要求事項を
尊守します。
3. 私たちは、外部コミュニケーション及び内部コミュニケーションを円滑に行います。
4. 私たちは、食品安全マネジメントシステムを構築、維持し、食品安全マネジメントシステム
の適切性・妥当性・有効性を評価し、継続的に改善します。
5. 私たちは、全ての従業員に食品安全に関する必要な力量を確保するため、食品安全教育
を実施します。
【認証取得】
同社では、本社工場・xx工場ともに食品安全マネジメントシステムISO22000 と食品安全システム認証FSSC22000、HACCP(JFS-B)適合を取得している。世界基準の食品安全マネジメントシステムに則り、作業の標準化や品質検証などを徹底し、誰もが安心して口にできる食品を提 供している。
JFS-B 適合証明書 本社工場・xx工場
ISO22000 認証登録証 本社工場
ISO22000 認証登録証 xx工場
FSSC22000 認証登録証 本社工場
FSSC22000 認証登録証 xx工場
【FSSC22000、ISO22000、HACCPの関係図】
2-3. サスティナビリティに関連する活動
【「食のテーマパーク」による食料品の提供】
⑴ 開発部門
~すべての食品に関わる顧客の要望に対応できる技術力~
開発部門では、すべての食品に関わる顧客からの要望に対応するものと、同社独自の製品を追求するオリジナル製品の開発を行っている。
同社の最大の特徴は、製造から販売まで一貫して行うシステムである。一次原料である、畜
肉、野菜、魚介からエキスを抽出できることや、350 種類もの自社調味料を駆使して様々な味を作ることができる。顧客の要望に迅速に対応できるシステムも同社の原動力となっている。
また、顧客からの依頼でレシピや味の要望がある場合、求められる品質に合致すること、現状のコストよりアドバンテージのある製品にする必要がある。その他、安定した品質を維持するよう製造部門をバックアップする業務も開発部門の役割となっている。
~製品追求のため、話題の店舗もチェック~
営業部門と連携して行うのが、三共食品オリジナルな味を持った製品の開発である。
どのような味、風味にして顧客に提案していくのか、定期的に営業、経営トップを交えて会議を行っている。そこで、味や風味等の方向性を決めて開発に進む。更には、開発部門のスタッフが話題の店舗をチェックし、味や香りを参考にするなど社外の調査も行っている。
また、プロに教えを請うなど外部の知識や技術を取り入れ、安全・安心でコストの抑制はもちろん品質の高い製品の追求を目指している。
⑵ 製造部門
~様々な形状にして納入~
製造部門では各種エキスやオイルフレーバー、野菜ペーストなどを大量生産している。これらの製品の基本であるエキスの製造工程は、原材料を加熱して、エキスの素となる成分を抽出することから始まり、その後圧搾機、殺菌工程を経て、濃縮されたエキス製品の製造を行う。その他、乾燥食品や業務用食品は顧客の要望により、形を作り上げるための工程管理を行っている。製造部門として日々改善を繰り返し、顧客に満足してもらえる製品作りをしている。
~豊富なノウハウとレシピで顧客のニーズに応える~
天然調味料から業務用食品まで、40 年以上築き上げたノウハウを蓄積している。豊富なレシピは、顧客のどの様な要望も解決することができ、さらには顧客への新しい提案のベースになって いる。
⑶ 品質管理部門
~安全・安心のために、あらゆる角度から徹底チェック~
食品メーカーにとって何よりも重要視されるのは、常に「安全・安心」な食材を提供することであり、そのことが顧客の信頼獲得、販売量増加につながると考えている。同社ではこうした理念を実現するために品質保証部を設け、言葉だけの「安全・安心」ではなく社内全体的な体制としての組織作りを行っている。その他、専門スタッフによる理化学検査、微生物検査、官能検査などを行っている。
~高い品質レベルの向上のために~
メインとなる原料検査、工程検査、製品検査の他、従業員の健康チェック、工場の衛生確認なども行っている。食品メーカーである同社にとって、消費者に安心して食べてもらえるよう、常に安全・安心な生産体制を維持し、更に進化することを目指して取り組んでいる。
⑷ 営業部門
~業務用商品を中心に営業~
同社は創業以来、食品メーカーに自社で開発した調味料や乾燥食材などの提供を行ってきた。食のマーケットとしては、外食チェーンに代表される「外食」、そしてコンビニ弁当や惣菜などに代表される「中食」、事務所・学校などで提供される「給食」に大きく分けられる。営業部門ではこうした取引先を中心に、オリジナリティの高い味の提供により新たなニーズを創出している。
~求められる味を迅速に提供~
外食分野に対しては、外食企業のチェーン店の本部に対して営業部門が直接アプローチし、同社の製品の紹介や顧客企業の要望を伺っている。日々新しいメニュー、風味を求める外食産業では、「こんな感じのフレーバーを持った食材が欲しい」、「現状よりマイルドなテイストを」など様々なニーズを聞き、今まで蓄積したノウハウに営業活動でリサーチした情報を活用することで、顧客企業である外食産業が求める味、風味を提供している。
また、「中食」、「給食」分野も同様に対応することができ、両分野とも新しい味の開発依頼に対して、依頼があってから4~5日でサンプルを提供し、顧客の要望に迅速に対応しているのも同社の営業部門の特徴のひとつである。
【食品ロス削減】
『自然から受けた恩恵を自然へ返す循環型製造システム』
国際連合の掲げる「SDGs」の課題の一つに「食品ロス」が掲げられる。日本の年間食品ロスの数量は 522 万トン(農林水産省公表、2020 年度推計値)であり、一人あたりにすると年間で約 41 kg(毎日お茶碗1杯分相当)となる。同社では、食品メーカーとしてこの課題解決に貢献すべく以下の取り組みを行っている。
帰還
製造
仕入
≪循環型製造システム≫
生産農家では、農作物の見た目によって市場で販売ができず廃棄するものが出る。同社ではそれらをエキスやスープにするため、品質に問題がない農作物を豊橋市の農家から積極的に仕入れるなど、「食品ロス」を抑制する取り組みを行っている。また、工場で使った原料の残渣は豊橋市の生産農家へ帰還し、肥料の原料として使用されている。このように、自然から受けた恩恵を自然へ返す「循環型製造システム」を構築しており、製造するにあたり無駄な「食品ロス」を軽減している。
※2021 年度の年間食品ロス削減量
〇はくさい:年間仕入量約 600 トン(豊橋産:80%、茨城産・長野産など:20%)のうち、見た目 の問題で廃棄される予定のはくさい約 480 トンを仕入れている。 〇キャベツ:年間仕入量約 300 トン(豊橋産:50%、群馬産・茨城産・長野産・北海道産など: 50%)のうち、見た目の問題で廃棄される予定のキャベツ約 150 トンを仕入れている。 〇野菜加工の工場とも連携して、コンビニやスーパー用などの加工で出た廃棄する野菜の芯を「食品ロス」削減のためにあえて仕入れ、エキスを抽出している。年間約 100 トンを仕入れている。 〇通常、工場での製造による残渣は大量に破棄され、その多くは焼却処理される。同社で は、食品リサイクル業者(株式会社xxクリーナー、xxx鶉農業協同組合)と連携し豊橋市の生産農家へ残渣を帰還し、肥料として再利用している。同社の 2021 年度に発生した 残渣量は年間約 1,700 トンであり、そのうち肥料化が可能な範囲内で全て肥料化し、再利 用しており、その量は年間約 1,530 トンになる。 上記を合わせると、同社の 2021 年度の年間食品ロス削減総数量は約 2,260 トンとなっている。 <豊橋市の農家数と経営耕地面積の減少> 豊橋市の「農業の推移」によると、総農家数は年々減少傾向にあり、平成 22 年の総農家数 は 5,514 戸であるのに対し、令和2年は 4,234 戸(平成 22 年比▲1,280 戸)と 10 年間で 20% 以上減少している。また、経営耕地面積(農業経営体における経営耕地面積)も平成 22 年は 5,858ha であるのに対し、令和2年は 4,163ha(同▲1,695ha)と同様に 20%以上の減少率である。今後も、豊橋市の総農家数と経営耕地面積は減少していくことが予想され、同社の仕入先における豊橋市の割合も減少することが想定されるため、現状の食品ロス削減量程度を今後も維持していくことを目標に掲げている。 |
【排水処理設備の導入】
同社工場の排水処理設備(上面)
同社工場の排水処理設備(側面)
排水処理設備を完備し、工場で発生する汚水を浄化後に排水することで、水質汚染への問題に対応している。同社に設置する排水処理設備は1日あたり 70 トンの排水処理が可能である。
【資源の消費量の削減】
社内管理システムの導入によりデータの共有化をクラウド上で行い、印刷物の削減に取り組んでいる。また、社員全員分の名刺作成に、廃棄するバナナの茎を再利用した素材「バナナペーパー」を活用することで資源の削減に貢献している。
【バイオマスインキの使用】
同社の製品梱包において一部、パッケージのインキにバイオマスインキ(植物由来の資源を原料としたインキ)を使用するなど、CO₂削減に努めている。バイオマスインキは、原料の植物が成長する過程でCO₂を吸収するため、梱包資材を廃棄する際に燃焼した場合でも全体としては地球温暖化の原因となるCO₂の量と相殺され、CO₂排出量が増加しない「カーボンニュートラル」につながるとされている。また、一般のインキに用いられる原料は石油由来のものが多く、その量には限りがあり、バイオマスインキは持続可能な植物由来の原料により製造されるため、石油資源の使用を削減することができる。
【ビーチクリーン活動】
「地域社会との共存」のために地域貢献の一環として、アオウミガメを守ることを目的とした表浜海岸の清掃活動を毎月実施している。xxを募り、社員約 25 名と一般の参加者
で、2021 年3月から 2022 年6月現在までに計 16 回実施し、約1トンものごみを回収してきた。地元・豊橋の自然豊かできれいな海をそのままに、xxに残す活動を今後も積極的に行っていく予定である。
【地産地消「豊橋チキンカレー」】
地元愛知県豊橋産の食材(鶏肉、トマト、キャベツ、うずらの卵※)を使ったチキンカレーを豊橋の食品工場で製造してい る。豊橋市は自然に囲まれ、美味しい食材がたくさん採れる街である。また、一年中サーフィンやサイクリングが楽しめる街であり、「食」を通じて豊橋を世の中に発信することができないだろうかと考え、xxxxxが誕生した。楽天市場でのネット販 売、オリジナルキッチンカーによる移動販売を行っている。
※愛知県によると 2017 年の農林水産物の産出額において、
キャベツ(270 億円、21.7%)、うずらの卵(32 億円、69.6%)は全国 1 位の産出額、シェアを有している。トマト(173 億円、7.1%)についても全国 3 位の産出額である。
【オリジナルキッチンカー ~食べる“わくわく”をキッチンカーでお届け~】
「食」の楽しさを直接消費者へ伝えるため、オリジナルキッチンカーの運営を行っている。地元豊橋を中心に「豊橋チキンカレー」を提供し、豊橋の魅力と食べる“わくわく”を地域の方へ発信している。主な出店場所は、道の駅とよはしや豊橋総合動植物公園、愛知大学豊橋キャンパス、近隣の駅などで日替わりに各地へ出店している。また、2022 年6月に開催された
「第 17 回食育推進全国大会 in あいち」へオリジナルキッチン
カーを出店、PRブースの設置により、豊橋チキンカレーの知名度向上や食育の推進活動を実施した。同社では今後も、同様のイベント等に積極的に参加し、より「食」の楽しさを消費者に伝えていく予定である。
【出前授業の実施】
地元・豊橋市内の小学校の児童たちに、「地産地消」について関心を持ってもらうことを目的とした食育推進活動の出 前授業を行っている。豊橋産の食材にこだわって製造している「豊橋チキンカレー」の地産地消の取り組みや、持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標「SDGs」をテーマにした授業を行っている。xxを担う子供たちに豊橋の魅力や、「SDGs」に興味を持ってもらうために活動している。
【FMxxのラジオスポンサード】
豊橋のコミュニティ放送局「やxx実 FM」にて『KEEP THE BEACH』内のコーナー『GOO D FOOD』をスポンサーとして提供している。同社のxx社長が自ら出演し、同社の製品の魅力や食品関する情報などを世の中へ発信している。
【女性プロサーファーのスポンサード】
地元・愛知県で活躍している女性プロサーファーxxxx選手の活動をスポンサーとして支援している。
【福利厚生の充実と事務所リニューアル】
同社では、福利厚生の充実と社員のモチベーションの向上を図るべく、社員食堂と事務所を大胆にリニューアルした。会社の内外装をお洒落で明るい空間へリニューアルすることで社員への還元に加え、一人ひとりのモチベーション向上を図る狙いがある。モチベーションの向上により仕事への意欲が湧き、従業員自らが新しいことにチャレンジする自発性が生まれ、より良い製品やサービスが生まれる効果が得られると考えている。
【オフィスカジュアルの導入とクールビズの実施】
同社では、事務服とスーツを撤廃し、事務員と営業担当者の服装をオフィスカジュアルへ変更することで働きやすい職場環境を実現している。社員一人ひとりが温度調整しやすいオフィスカジュアルな服を着用することでエアコンの室内温度を 28℃にキープし、CO₂排出量の軽減を実践している。
また、三共食品オリジナルアパレルを企画・作成することで、仕事のモチベーション向上を図り、従業員同士の連帯感を高めている。
【工場のLED化】
同社では、本社工場及びxx工場の両工場とも工場内の照明をLED照明に切り替えており、省エネルギー化を図ることで、CO₂排出量の削減に貢献している。
【従業員の資格取得支援】
同社は、総合的な食料品製造業者であり、各部門の業務において様々な資格や免許が必要となる。従業員は各部門の責任者となるなど職位が上がるにつれて様々な資格が必要となることから、従業員の昇格を手助けするために資格取得費用の全額を補助している。対象の資格、免許は以下の通りである。
<資格・免許種類> |
・フォークリフト運転者 ・乾燥設備作業xx者 ・普通第一種圧力容器取扱作業xx者 ・有機溶剤作業xx者 ・特定化学物質及び四アルキル鉛等作業xx者 ・安全管理者 ・第一種衛生管理者 ・食品衛生責任者 ・食品衛生管理者 ・大気関係第4種公害防止管理者 |
【食品安全方針の策定と認証取得】
同社において食品安全方針を策定し、世界基準の食品安全マネジメントシステムの構築を進め ISO22000、FSSC22000、HACCPの認証を取得するなど、安全・安心な食料品の提供を実施している。一部の工場のみ認証を取得している企業もあるなかで、同社は本社工場及びxx工場の両工場ともにISO22000、FSSC22000、HACCPのそれぞれの認証取得を行っており、本質的に安全・安心な食料品の提供に取り組んでいる。
【女性活躍推進法に基づく取り組み】同社では、女性活躍推進法に基づ き、女性従業員の労働環境整備に向けた取り組みを行っている。2022 年3
6
月、上記の取り組みを開始するにあたり行動計画を策定した。2022 年3月時点の同社の女性従業員(37 人)の平均勤続年数は 6.3 年と、2020 年における全国の女性従業員の平均勤続年数 9.3 年を下回っており、女性従業員が長く働ける環境の整備が必要である
(年)
全国の平均勤続年数
14 13.3 13.4 13.3 13.5 13.4
12.5
12.9
12
12
12
11.9
10
10.9
11.3
12.1
9 . 4
11.9
9 . 3
8 . 8
8 . 7
8 . 9
7 . 9
8
7 . 3
0
1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
男女計 男性 女性
(年)
と考えた。そこで、①育児休業制度の
<資料> 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
社員(男女ともに)への周知、②福利厚生施設の改善と充実、③毎年育児休業制度の取得率を公表し取得しやすい環境の整備を進める、を具体的な施策として女性が長く活躍できるような取り組みを行っている。
【残業時間削減、有給休暇取得推進】
同社では、有給休暇取得日数の増加や残業時間の削減を図るため、2020 年にタイムカードを廃止し、クラウドシステムを導入することで労働時間の見える化を実施。当該年度の残りの取得可能な有給日数や現状の時間外労働時間を日々把握できることが可能となった。また、クラウドシステムの導入により、総務部等の事務面での業務削減に寄与しており、他の業務に費やすことのできる時間が増加した。
【従業員寮及び社宅の提供】
9名が利用することのできる男性社員向けの社員寮を設けており、遠方出身の従業員も安心して勤務することが可能である。また遠方出身の女性従業員向けには、借り上げ社宅を賃貸しており、安価な賃料で居住できる環境も整備している。
【労働災害発生を抑制する取り組み】
同社では、毎月各部署から数名参加し、工場内の危険箇所の周知や情報共有を行う安全衛生委員会を実施しており、注意喚起を行うことで労働災害の抑制に努めている。従業員の4日以上の休業が必要で労働基準監督署に届け出を行った労働災害は、2017 年に1件、2018 年に3件発生していたが、その後 2019 年以降は発生しておらず、安全衛生委員会の取り組みの効果が表れている。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
本ファイナンスでは、三共食品の事業について、国際標準産業分類における「果実及び野菜加工・保存業」、「調理食品製造業」及び「他に分類されないその他の食料品製造業」として整理した。その前提のもとでの UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「包摂的で健全な経済」「食料」「雇用」「文化・伝統」「生物多様性と生態系サービス」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「水(質)」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 包摂的で健全な経済 | 女性活躍推進法に基づく取り組み | ・女性従業員の労働環境の整備に向けた行動計画を策定 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉食料 | 「食のテーマパーク」による食料品の提供 | ・開発、製造、品質管理まで一貫体制システムの構築により安全安心な食料品を提供 |
オリジナルキッチンカー ~食べる“わくわく”をキッチンカーでお届け~ | ・オリジナルキッチンカーの運営により、消費者へ地元豊橋産の食材を使った食料品の提供 | |
雇用 | 女性活躍推進法に基づく取り組み | ・女性従業員の労働環境の整備に向けた行動計画を策定 |
福利厚生の充実と事務所リニューアル | ・福利厚生の充実とモチベーションの向上を図るべく、社員食堂と事務所のリニューアルを実施 | |
オフィスカジュアルの導入とクールビズの実施 | ・事務服とスーツの撤廃を実行。事務員と営業担当の社員の服装をオフィスカジュアルへ変更することで働きやすい環境を実現している。 | |
従業員の資格取得支援 | ・総合的な食料品製造業者であり、各部門の業務において様々な資格や免許が必要となる。従業員は各部門の責任者となるなど職位が上がるにつれて様々な資格が必要となることから、従業員の昇格を手助けするために資格取得費用の全額を補助。 | |
従業員寮及び社宅の提供 | ・9名が利用することのできる男性社員向けの社員寮を設けており、遠方出身の従業員も安心して勤務することが可能。また、遠方出身の女性従業員向けには、借り上げ社宅を賃貸しており、安価な賃料で居住できる環境 も整備。 |
文化・伝統 | 地産地消「豊橋チキンカレー」 | ・地元愛知県豊橋産の食材(鶏肉、トマト、キャベツ、うずらの卵※)を使ったチキンカレーを豊橋の食品工場で製造 |
出前授業の実施 | ・地元・豊橋市内の小学校の児童たちに、「地産地消」について関心を持ってもらうことを目的とした食育推進活動の出前授業を実施 | |
FM豊橋のラジオスポンサード | ・豊橋のコミュニティ放送局「やxx実 FM」にて『KEEP THE BEACH』内のコーナー 『GOOD FOOD』を提供している。同社のxx社長が自ら出演し、同社の製品の魅力や食品に関する情報などを世の中へ発信。 | |
女性プロサーファーのスポンサード | ・地元愛知県で活躍している女性プロサーファーxxxx選手の活動を応援 | |
生物多様性と生態系サービス | ビーチクリーン活動 | ・「地域社会との共存」のために地域貢献の一環として、アオウミガメを守ることを目的とした表浜海岸の清掃活動を毎月実施している。xxを募り、社員約25 名と一般の方を含め、2021 年3月から 2022 年6月現在までに 16 回実施し、約1トンものごみを回収。 |
<ネガティブ>保健・衛生 | 食品安全方針の策定と認証取得 | ・食品安全方針を策定し、世界基準の食品安全マネジメントシステムの構築を進めISO 22000、FSSC22000、HACCPの認証を取 得するなど、安全安心な食料品の提供を実施 |
労働災害発生を抑制する取り組み | ・毎月各部署から数名出席し、工場内の危険箇所の周知や情報共有を行う安全衛生委員会を実施しており、注意喚起を行うことで労働災害を抑制 |
雇用 | 残業時間削減、有給休暇取得推進 | ・有給休暇取得日数の増加や残業時間の削減を図るため、2020 年にタイムカードを廃止しクラウドシステムを導入することで見える化 を実施 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ネガティブ〉水(質) | 排水処理設備の設置 | ・排水処理設備を完備し、工場で発生する汚水を浄化し排水することで、水質汚染への問題に対応 |
資源効率・安全性 | 資源の消費量の削減 | ・社内管理システムの導入によりデータの共有化をクラウド上で行い、印刷物の削減に取り組んでいる。また、社員全員分の名刺作成に、廃棄するバナナの茎を再利用した素材 「バナナペーパー」を活用することで資源の削減に貢献している。 |
気候 | バイオマスインキの使用 | ・同社の製品梱包で一部、パッケージのインキをバイオマスインキ(植物由来の資源を原料としたインキ)を使用することで、CO₂削減に貢献 |
オフィスカジュアルの導入とクールビズの実施 | ・事務服とスーツの撤廃を実行。事務員と営業担当の社員の服装をオフィスカジュアルへ変更することで働きやすい環境を実現している。社員一人ひとりが温度調整しやすいオフィスカジュアルの服を着用することでエアコンの室内温度を 28℃にキープし、CO₂削減を実践。 | |
工場のLED化 | ・本社工場及びxx工場の両工場とも工場内の照明をLED照明に切り替えており、省エネルギー化を図ることで、CO₂削減に貢献 |
廃棄物 | 食品ロス削減 | ・循環型製造システムの構築による食品ロス削減を実施している。農家が見た目等の理由により廃棄していた農産物を同社ではエキスやスープにするため、品質に問題ない農作物を仕入れ積極的に「食品のロス」を抑えている。また、工場で使った原料の残渣は生産農家へ帰還し、肥料の原料として使用。この自然から受けた恩恵を自然へ返す「循環型製造システム」を構築し、製造するにあた り無駄な「食品ロス」を軽減。 |
4.特定インパクトと測定するKPI
三共食品は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 雇用 | |
取組、施策等 | 【女性活躍推進法に基づく取り組み】 同社では、女性活躍推進法に基づき、女性従業員の労働環境整備に向けた取り組みを行っている | |
借入期間におけるKPI | ・2027 年3月までに女性従業員の平均勤続年数を 2022 年3月比1年以上引き上げる (2022 年3月時点:6.3 年) | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、 民族、出自、宗教、あるいは経済的地位そ |
の他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的 な包含を促進する。 |
4-2.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【食品安全方針の策定と認証取得】 食品安全方針を策定し、世界基準の食品安全マネジメントシステムの構築を進めISO22000、FSSC22000、HACCPの認証を取得するなど、安心・安全な食料品の提供を実施し ている | |
借入期間におけるKPI | ・各種認証取得を維持する | |
関連するSDGs | 2.4 2030 年までに生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭 (レジリエント)な農業を実践する。 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減 する。 |
特定インパクト | 保健・衛生 |
取組、施策等 | 【労働災害発生を抑制する取り組み】 同社では、毎月各部署から数名出席し、工場内の危険箇所の周知や情報共有を行う安全衛生委員会を実施してお り、注意喚起を行うことで労働災害の抑制に努めている。 |
借入期間におけるKPI | ・休業を要する労働災害0件を毎年達成 (過去実績:2017 年度1件、2018 年度3件、2019 年度0件、 2020 年度0件、2021 年度0件) |
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-3.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 廃棄物 | |
取組、施策等 | 【食品ロス削減】 循環型製造システムの構築による食品ロス削減を実施している。農家が見た目等の理由により廃棄していた農産物 を同社ではエキスやスープにするため、品質に問題ない農作物を仕入れ積極的に「食品のロス」を抑えている。また、工場で使った原料の残渣は生産農家へ帰還し、肥料の原料として使用。この自然から受けた恩恵を自然へ返す「循環型製造システム」を構築し、製造するにあたり無駄な「食品ロス」 を軽減している。 | |
借入期間におけるKPI | ・毎年、食品ロスを年間 2,200 トン以上削減 ※豊橋市内の農家数、耕地面積が減少傾向にあることや、残渣は既に肥料化が可能な範囲内で全て肥料化していることも踏まえて、現在の水準を維持していく。 <過去実績> 2018 年度:約 2,335 トン 2019 年度:約 2,431 トン 2020 年度:約 2,445 トン 2021 年度:約 2,260 トン | |
関連するSDGs | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物 の発生を大幅に削減する。 |
4-4.その他KPIを設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
〈社会面〉 「食のテーマパーク」による食料品の提供 | 2.1 2030 年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。 | |
オリジナルキッチンカー ~食べる“わくわく”をキッチンカーでお届け~ | 2.1 2030 年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。 | |
福利厚生の充実と事務所リニューアル | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 | |
従業員の資格取得支援 | 8.6 2020 年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。 | |
従業員寮及び社宅の提供 | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利 を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 | |
残業時間削減、有給休暇取得推進 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金 を達成する。 | |
地産地消「豊橋チキンカレー」 | 11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。 | |
出前授業の実施 | 4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。 |
FM豊橋のラジオスポンサード | 4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及 び技能を習得できるようにする。 | |
プロサーファーのスポンサード | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会 的、経済的及び政治的な包含を促進する。 | |
〈環境面〉 排水処理設備の設置 | 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 14.1 2025 年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚 染を防止し、大幅に削減する。 | |
資源の消費量の削減 | 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。 | |
バイオマスインキの使用 | 12.2 2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な使用を達成する。 | |
オフィスカジュアルの導入とクールビズ | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善 する。 | |
工場のLED化 | 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
三共食品では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、xx社長を責任者とし、経理部が中心となって日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGsの 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。 本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、xx社長と経理部を中心にKPIの達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築し、各部署に おいて実行していく。 |
最高責任者 | 代表取締役社長 xx xx |
管理責任者 | 管理本部 経理部次長 xx xx |
担当部 | 経理部 |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、三共食品と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十三 銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。 |
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。三共食品は、 上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。 |
本評価書に関する重要な説明 1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。 2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する三共食品から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。 3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書 の提供を受けています。 |
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 xx xx
〒500-0000
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
XXL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 10 月 3 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 三共食品株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が三共食品株式会社(「三共食品」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、三共食品の持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析 を行った。
この結果、三共食品がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人である三共食品から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
xx xx
担当xxアナリスト 担当アナリスト
xx xx xx xx
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000