Contract
【新C案】
1.制度の概要
(1)制度の枠組み
抵当権(根抵当権を含む。以下同じ。)の設定契約に際して,抵当権の実行を,裁判所による現行の抵当権実行手続によらずに抵当権者が実行主体として進める手続によってできる旨の特約(裁判外実行特約)を締結した場合に,これを抵当権設定登記の中で登記することにより,抵当権者が,抵当権実行の際に,実行方法について,裁判所による現行の抵当権実行手続と裁判外実行特約に基づく抵当権実行手続との間で,選択することができることとする。
裁判外実行特約に基づく手続による売却の場合も,消除主義と剰余主義を採る(基本的に現行民事xxx 59 条 1 項,63 条と同様)。すなわち,先順位担保権は消滅するものとし,ただし,無剰余になる場合には,先順位担保権者が売却に同意していない限り,売却ができないものとする。
(2)抵当権者による実行と裁判所の関与
裁判外実行特約による抵当権実行手続では,抵当権者は,自ら実行主体となって売却(競売)までの手続を進め(なお,自己競落も可能である),裁判所に配当を求める,または,利害関係人の合意ができた場合には自ら配当を行うものとする。
ただし,所有者・債務者・保証人,後順位担保権者,買受人等の保護,制度としての信頼性や実効性と関係者にとっての利便性の両立,裁判所での不動産競売制度との整合性等の観点から,次のように一定の場合に裁判所等の国の機関が関与するものとする。その前提として,実行開始通知を管轄の裁判所にもする(裁判所に実行開始を届け出る)ものとする。
(3)売却基準価額
実行の過程で,裁判所が売却基準価額を定めることとし,競落価額は,その 80 パーセント以上であることを要するものとする。
現行の抵当権実行手続においては裁判所が売却基準価額を定めなければならないとされており,買受申出額(買受可能価額)はその 80 パーセント以上でなければならないとされてい
る(民執 60 条)。この規制の保護の対象には,後順位担保権者,保証人等も含まれるので,それら利害関係人の利益を考慮すると,この規制を抵当権者と抵当権設定者との間での合意である裁判外実行特約によって外すことができるとするのは,制度としての整合性を欠く。
また,この売却基準価額決定の過程で作成される評価書を公告することにより,広く一般に対象不動産について客観的な情報を提供し,情報の格差の少ないxxな条件で買受希望者が競売に参加することを可能にして,実質的な競争原理の働くxxかつ実効的な競売を実施することができるようになる。
さらに,先順位担保権について消除主義を採ることとの関係で無剰余取消しの制度を入れる必要があり,その際の基準価額としての機能を果たすことになる。
裁判所が売却基準価額を定めるこの手続は,一種の非訟事件手続とする(非訟 84 条,民 582
条参照)。
ただし,後順位担保権者等も含めた利害関係人全員が売却基準価額について合意できる場合には,裁判所による手続を経ることを要しないものとする。この場合,実行抵当権者は,債務者・所有者,占有者等の協力を得て,不動産の情報(当該売却基準価額,占有関係に関する事項,宅地建物取引業法 35 条 1 項所定の重要事項等)を記載した書面を作成し,競売のために情報提供をすることとする。
また,裁判所の手続を経るとした場合でも,実行抵当権者が選任する不動産鑑定士が現況調査を含む私的評価を提出したときは,利害関係人の意見聴取を経た上,裁判所がこの私的評価に基づいて売却基準価額を決定することができるものとする。
(4)売却方法
売却方法は,原則として競売の方法によるものとするが,所有者および債務者の同意(いずれも債務不履行時以降の同意に限る)があるときは,相対売買の方法によることができるものとする。この場合においても,売却価額は,売却基準価額の 80 パーセント以上の額でなければならないものとする。相対売買の方法による場合,登記のある他の担保権者は,予定の売却価額の 5 パーセント増し以上の額で自己または第三者が買い受けることができるものとする
(一種の先買権。破産法 188 条参照)。
相対売買の方法による売却を認めるのは,所有者と債務者が実行抵当権者との間で任意売却に合意しているが(裁判所が売却基準価額を決定した後に任意売却に合意した事案をも含む),後順位抵当権者が任意売却に同意しない等の事情で任意売却ができなくなっているような事案について,売却基準価額と先買権によって後順位担保権者の保護を図りつつ,所有者および債務者と実行抵当権者とが希望する任意売却を成立させるのと同様の効果をもたらし,より簡易迅速に債権回収を行うことを可能とするためである。
(5)抵当権実行手続確認決定
裁判所が裁判外実行手続特約に基づく抵当権実行手続の適法性を確認する決定(「抵当権実行手続確認決定」)をすることを要することとする。
これは,裁判所が抵当権実行手続の適法性を確認して公証する趣旨の決定であり,これにより手続がxxに実施されたことが担保されるので,実行抵当権者と買受人のみで登記手続が(所有権移転登記手続について所有者の協力を要せずに,また,他の抵当権の登記の抹消手続について他の抵当権者の協力を要せずに)できることを根拠づけることができる。
(6)買受人の代金支払
買受人の代金の支払は,法務局に供託をする方法によることとし,抵当権実行手続確認決定と代金の供託があれば,実行抵当権者と買受人は共同で所有権移転登記と抵当権登記抹消登記を申請できるものとする。
(7)配当手続
配当手続は,裁判所が実施することとする。その前提として,配当要求や交付要求は裁判所を通じてするものとする。ただし,利害関係人全員が配当の内容について合意した場合には,実行抵当権者がこの合意に従って配当を実施する。
(8)不服申立手続
債務者,所有者,後順位担保権者等の利害関係人は,裁判所に申し立てることにより,簡易な決定手続によって,抵当権の不存在または消滅,実行手続の違法を理由として,実行手続の取消しを求め得るものとする。
2.裁判外実行特約による抵当権実行手続を利用するための要件
(1)裁判外実行特約
抵当権設定契約に際して,債権者(抵当権者)と債務者(債務者と所有者が異なるときは所有者も含む。以下,債務者と所有者とを合わせて「債務者等」という。)との間で,抵当権の
実行を,裁判所による現行の抵当権実行手続によらずに抵当権者が実行主体として進める手続によってできる旨の特約(裁判外実行特約)を締結すること(このような特約を付した契約によって設定された抵当権を「裁判外実行特約付き抵当権」という)。
なお,抵当権設定契約後に,裁判外実行特約を付するには,利害関係人(後順位担保権者)全員の承諾を要するものとする(民法 398 条の 5 の根抵当権の極度額変更と同様)。
(2)登記
裁判外実行特約は抵当権設定登記の中で登記することにより効力を有する(登記がなければ絶対的無効)。
3.主な手続
(1)実行主体
裁判外実行手続を開始し,進行させる主体は,2の要件を満たす抵当権を有する抵当権者(以下「実行抵当権者」という。)とする。
実行抵当権者は,抵当権の実行方法について,裁判所による現行の抵当権実行手続と裁判外実行特約に基づく抵当権実行手続との間で,選択することができることとする。
(2)手続の開始
実行抵当権者は,実行手続開始の登記手続をする。この登記は,実行抵当権者の単独申請によってするものとする。この登記をもって,実行手続開始の公示をするとともに,当事者恒定効が発生するものとする。また,後記(13)のように,司法競売手続との先着手主義の基準時とする。
実行抵当権者は,実行手続開始の登記をしたときは,遅滞なく,管轄地方裁判所に,裁判外実行手続開始の届出をしなければならないものとする。
実行抵当権者は,実行手続開始の登記をした後一定期間内に,債務者等および登記された担保権者(後順位担保権者のみならず先順位担保権者を含む。消除主義を採ることによる)に対し,「実行手続開始通知」を書面で送付しなければならないものとする。(実際上,配達証明付き内容証明郵便ですべきこととなる。)一定の期間制限を置くのは,実行抵当権者がいつまでも手続を進めずに登記だけ残ってしまうような事態が生じないようにするためである(また,以下の手続でも,同様の趣旨から期間制限を置くべき場合がある)。
実行手続開始通知には,①対象不動産,②実行抵当権者と債務者等の住所・氏名,③抵当権設定契約とその登記の各期日(裁判外実行特約の締結日が違う場合は,その期日も),④自己の抵当権によって担保される被担保債権の見積額を記載するものとする。また,後記(3)の利害関係人の合意による売却基準価額の決定を試みようとするときは,「⑤不動産の見積価額」も記載することができるものとし,この場合,「不動産の見積価額について利害関係人全員(債務者等および担保権者)の同意が得られないときは,裁判所に売却基準価額の決定を求める申立てをする」旨の記載をするものとする。
実行抵当権者は,先順位債権者に対して,実行手続開始通知の送付の際に,「一定期間内に,被担保債権の存否ならびにその原因および額を実行抵当権者に届け出ること」を催告しなければならないものとする。これは無剰余取消しの判断をするための資料となる。
実行抵当権者は,租税官庁に対し,裁判所に交付要求をすることができる旨を通知するものとする(現行民事xxx 49 条 2 項 3 号のような催告と届出という手続は省略する)。
(3)利害関係人の合意による売却基準価額の決定
実行手続開始後,利害関係人(債務者等および後順位担保権者)は,実行手続開始通知にお
いて実行抵当権者の示した不動産の見積価額について同意する場合は,実行抵当権者に見積価額に同意する旨を書面で通知するものとする。
利害関係人の全員が不動産の見積価額について同意する旨の通知をした場合には,その金額を,当該手続における不動産の売却基準価額とする。
なお,実行抵当権者が開始通知で示した額と異なる見積価額について,実行抵当権者を含む利害関係人全員の合意ができた場合には,その価額を売却基準価額とする。
実行抵当権者は,債務者等および占有者の協力を得て,不動産の情報を記載した書面(以下
「情報提供書面という」。)を作成するものとする(その記載事項としては,利害関係人全員の合意によって定められた売却基準価額,占有関係に関する事項,宅地建物取引業法 35 条 1項の重要事項等が考えられる)。
(4)裁判所による売却基準価額の決定
実行抵当権者は,(3)の利害関係人全員の合意による売却基準価額の決定がされた場合を除き,実行手続開始通知から一定期間内に,利害関係人全員を相手方として,不動産の所在地を管轄する地方裁判所に,不動産の売却基準価額を定める裁判(決定)を申し立てるものとする。この手続は,一種の非訟事件として位置づけられる。
ア.評価人の評価に基づく売却基準価額決定手続
この申立てがあった場合には,後記イ.の場合を除き,裁判所は,上記(1)(2)の要件の具備について書面審理または審尋により認定したときには,評価人を選任し,評価人の評価に基づいて,決定により,一定の売却基準価額を定めなければならない(民執 60 条,非訟 84条,民 582 条参照)。
※なお,この手続に関しては,シンポジウム「不動産担保制度に関する当面の課題」私法 34 号(1972 年) 11 頁〔変態担保研究会「債権担保のための所有権移転仮登記(仮登記担保)の効力に関する立法試案」〕,
25-26,97-98 頁〔xxx〕,57 頁〔xxx〕,93-97 頁〔xxxx〕,99 頁〔xxxx〕参照。
評価人が評価をする過程では,現況調査に相当することも行うものとする。
(占有者の協力が得られない場合には,評価人は強制権限を有する執行官に援助を求めることができるものとするか,あるいは,現行の裁判所による競売手続と同様に,執行官が現況調査を行い,評価人が評価を行うものとすることなどが考えられる。)
裁判所の売却基準価額の決定については,利害関係人全員(実行抵当権者,債務者等,後順位担保権者)が即時抗告権を有するものとする。
この売却基準価額決定手続の機能として,xxな第三者である裁判所が決定した売却基準価額に基づいて後記(6)のように競売可能価額が定まることで債務者・所有者,後順位担保権者等の利益を保護する機能,ここで対象不動産に関する客観的な情報を収集し,これが後記
(6)のように公告されることで,広く一般に情報を提供し,より多くの買受希望者がxxな条件で競売に参加しやすくし,よりxxかつ実効的な競売を実現する機能等が挙げられる。
イ.私的評価に基づく売却基準価額決定手続
実行抵当権者は,不動産の売却基準価額を定める裁判(決定)の申立てにおいて,実行手続開始登記後,または,実行手続開始登記前の一定期間内に,不動産鑑定士が実施した評価(債務者等及び占有者の協力を得て,現況調査に相当することをも実施したものに限る。以下「私的評価」という。)に基づいて売却基準価額を定めることを求めることができるものとする。この場合,裁判所は,債務者等および登記のある他の担保権者に対し,私的評価書の写しを
送付して意見を求めなければならないものとする。
裁判所は,これらの者の意見に理由がないと認めるときは,私的評価の評価額をもって売却基準価額を定めるものとし,その意見に理由があると認めるときは,評価人を選任して評価を命ずるものとする。
私的評価に基づく売却基準価額決定についても,利害関係人全員が即時抗告権を有するものとする。
(5)交付要求・配当要求
租税官庁は,実行抵当権者からの通知に基づき,一定の期間内に,裁判所に対し,交付要求をすることができるものとする。この場合において,裁判所は,実行手続主宰抵当権者に対し,交付要求の通知をするものとする。
現行民事xxx 51 条 1 項に規定されている者は,裁判所に対し,一定の期間内に,配当要
求をすることができるものとする。この場合において,裁判所は,配当要求を却下する場合を除き,実行抵当権者に対し,配当要求の通知をするものとする。
(6)売却実施の通知・公告と売却ア.競売の方法による売却
(ア) 売却実施の通知・公告
実行抵当権者は,自ら,または,第三者に依頼して(以下,競売を実施する実行抵当権者または第三者を「競売実施者」という。),(3)または(4)の手続により売却基準価額が確定(裁判による場合は決定の確定)した後,すみやかに,競売の方法,一定の法定期間内の売却期間等を定めて,利害関係人に競売の方法による売却の通知をするとともに,公告
(その方法については要検討。)をしなければならないこととする。この通知と公告は,上記の事項のほか,(3)の手続で売却基準価額を定めたときはその価額と対象不動産に関する情報提供書面,(4)の手続で売却基準価額を定めたときは評価書を含めて実施することとする。
(イ) 売却
売却は,競売(競り売りまたは入札)によることとし,競売実施者は,xxかつ誠実に,xxな方法により実施しなければならないこととする。競売は,談合や威迫による不正を防ぐため,買受希望者が一堂に会することのない方法(例えば,期間入札やインターネット競売)に限定することが考えられる。
競売可能価額は,売却基準価額の 80 パーセント以上でなければならないこととする(民
執 60 条 3 項参照)。
優先する担保権の被担保債権および優先する租税債権(以下「優先債権」という。)の総額ならびに手続費用の見積額が売却基準価額の 80 パーセントを超えないときは,優先債権者の同意がない限り,売却することができないものとする。
この要件を満たし,かつ,最高額の買受価額を申し出た者が買受人となるものとする。実行抵当権者が買受の申出をすることも差し支えない。債務者は買受の申出をできない(民執 68 条参照)。
イ.相対売買の方法による売却
実行抵当権者は,相対売買の方法によることおよび売却価額について債務者等の同意(債務不履行時以降の同意に限る)があるときは,相対売買の方法により売却することができるものとする。
売却価額は,売却基準価額の 80 パーセント以上でなければならないこととする。
優先債権の総額および手続費用の見積額が売却価額を超えないときは,優先債権者の同意がない限り,売却することができないこととする。
実行抵当権者は,登記のある他の担保権者に対し,相対売買の方法によって売却することおよび売却価額を通知しなければならないものとする。この場合において,評価書等の写しも合わせて送付しなければならないものとする。
登記のある他の担保権者は,一定の期間内に,実行抵当権者に対し,当該売却価額の 5%
増し以上の額で,自己または第三者(以下「買受希望者」という。)が買い受ける旨を申し出ることができるものとする。
実行抵当権者は,買受けの申出が複数あったときは,最高価の買受希望者に売却しなければならないものとする。
(7)消除主義
現行民事xxx 59 条 1 項と同様に,抵当権,先取特権,質権(最先順位の使用収益の定めのあるものを除く)は,売却により消滅するものとする。
また,同法 59 条 2 項と同様に,消滅する権利に対抗することができない賃借xxの用益権は,売却によりその効力を失うものとする。
(8)抵当権実行手続確認決定
実行抵当権者は,売却を実施したときは,xxxxに,裁判所に対し,抵当権実行手続の適法性を確認する裁判(「抵当権実行手続確認決定」)を求める申立てをするものとする。
これは,非訟事件の一種であり,書面審理または審尋を経て,決定によって裁判がされる。裁判所は,上記(1)から(7)までの抵当権実行手続が適法であると認めるときは,抵当 権実行手続確認決定をする((4)の売却基準価額の決定がされていても,その前の手続につ
いても審理の対象となる)。適法であると認めないときは,申立てを却下する。裁判については,利害関係人が即時抗告をできるものとする。
(9)債権届出の催告
実行抵当権者は,抵当権実行手続確認決定を受けたときは,遅滞なく,他の債権者に対し,債権額を届け出る旨を催告するものとする。
催告を受けた債権者は,一定期間内に,実行抵当権者に対し,債権の存否並びにその原因及び額を届け出るものとする。
(現行民事執行規則 60 条参照。)
(10)代金の支払と所有権移転・登記手続
買受人は,買受人となることが確定した後,2か月以内に,不動産所在地を管轄する法務局または地方法務局に,買受価額の代金を供託しなければならないこととする。実行抵当権者が買受人である場合には,買受価額から自己の被担保債権額および手続に要した費用を控除した金額を代金として供託すれば足りるものとする。
代金の供託により,所有権が移転するものとする(民執 79 条参照)。
抵当権実行手続確認決定を受け,かつ,代金を供託したときは,所有権移転登記および担保xxの登記の抹消は,実行抵当権者と買受人が共同で申請することができるものとする。
買受人は,代金を供託したときは,債務者等に対し,不動産について,引渡しを求めることができるものとする。
なお,前記(4)ア.の評価人の評価に基づく売却基準価額決定手続が行われた場合に,執
行官による現況調査がされることを要件として,裁判所が買受人の申立てにより決定手続で引渡命令を発しうるという引渡命令の制度を導入することが考えられる。(この場合と異なり,前記(3)の利害関係人の合意による売却基準価額の決定がされた場合,および,前記(4)イ.の私的評価に基づく売却基準価額決定手続が行われた場合については,引渡命令の制度を導入することは理論上困難であり,また,所有者および占有者の協力がある場合であるので,引渡命令の制度を導入する必要性にも乏しい。)
(11)配当
実行抵当権者は,配当の内容について利害関係人全員の合意ができた場合には,これに従って配当を実施するものとする。この場合において,配当を受ける者は,配当金額の範囲で供託金還付請求をすることができるものとする。
実行抵当権者は,利害関係人全員の合意ができなかった場合には,裁判所に配当の実施を求めなければならないものとする。
(12)不服申立て
利害関係人は,手続の違法,または,裁判外実行手続特約付き抵当権の不存在もしくは消滅を理由として,裁判所に対し,抵当権実行手続を取り消す裁判を求める申立てをすることができるものとする。
この手続は,決定手続とする。
(抵当権が簡易な手続で実行できることに対応して,その実行により不利益を被る利害関係人からの不服申立て手続も,簡易な決定手続とする。)
(13)裁判所での不動産競売手続(強制競売を含む)との優先関係
実行手続開始の登記(上記(2)参照)と差押登記との先後により,先行する手続が優先するものとする。