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第10章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき
第10章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき
1 仕事を辞めるとき
(1)無期労働契約の場合(退職)
合意退職
ア
労働者(会社)が退職の意思表示をし,会社(労働者)が受理することで労働契約が解除されます。
x 自己都合退職
10
第
労働者が会社に退職を申し出て14日を経過すれば、労働契約が解除されます。ただし、就業規則で「何日前」という規定があれば、規定に従うことが望ましいでしょう。また、やむを得ない理由があるときは、直ちに辞めることができます。
定年退職
章
ウ
労働者が一定の年齢に達した時に労働契約が終了します。
(2)有期労働契約の場合(契約期間満了)
契約期間が満了することに伴い労働契約が終了します。
やむを得ない理由がない限り、契約期間の途中で辞めることはできないが、やむを得ない理由があるときは、直ちに辞めることができます。
ただし、1年を超える有期労働契約を結んだ労働者は、当該労働契約の初日から1年を経過した日以降、使用者に申し出ることにより、いつでも辞めることができます。
(3)無期労働契約および有期労働契約の場合に共通して
明示された労働条件と実際が違う場合は直ちに退職できます。使用者から借りている金品は、速やかに返却しましょう。
また、健康保険には、退職後も一定期間適用を受けることができる制度があります。
(4)使用者の義務
ア 賃金及び積立金、貯蓄金などについて
労働者から請求があれば、7日以内に、賃金を支払い、また、積立金、貯蓄金などの労働者の金品を返還しなければなりません。
第10章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき
イ 退職金について
退職金は、就業規則などに規定があれば支払わなければなりません。その規定に支給日の定めがない場合、労働者から請求があれば
7日以内に支払わなければなりません。
ウ 雇用保険について
雇用保険資格喪失の手続を10日以内に行い、離職票を交付しなければなりません。
(5)労働者が証明を請求できる事項
10
第
労働者が以下の内容について証明書を請求した場合は、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。
章
ア 使用期間 イ 業務の種類
ウ その事業における地位エ 賃金
オ 退職の事由(解雇の場合はその理由)
カ 解雇予告された場合は(予告日から解雇日までの間)その理由
なお、退職時等の証明書に労働者が請求しない事項について記入することは禁じられています。また、その他、労働者の就職の妨げになる行為は禁じられています。
(6)退職に伴う主な社会保険の手続
退職後、社会保険の手続期限に遅れると、不利益が生じるおそれがあります。
種 類 | x x | 手続場所 | 手続期間 | その他注意事項 |
雇用保険 | 失業給付の受給 | xxxxxx | 離職後できるだけ早く | 離職票と雇用保険被保険者証を会社から受領 |
健康保険 | 在職中の健 康保険への継続加入 | 健保組合 又は協会けんぽ※ | 退職日の翌日から20日以内 | 原則として退職後2年間に限られ、保険料は自己負担 |
国民健康保険への新規 加入 | 市区役所又は町村役場 | 退職日の翌日から14日 以内 | 健康保険の被保険者資格の喪失届の写などを会社から受領 | |
公的年金 | 国民年金への新規加入 | 市区役所又は町村役場 | 退職日の翌日から14日以内 | 国保加入者である被扶養者の被保険者種別の変更も行う |
第10章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき
※ 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の加入者は、協会けんぽ福岡支部(郵送可)で手続を行う必要があります。年金事務所(東福岡年金事務所を除く)でも受け付けます。
◆主な関係条文:民法627~628条、労働基準法22~23条
雇用保険法13条、37の2~38条、同法施行規則7条国民健康保険法6~7条、56条、同法施行規則3条 国民年金法7~8 条、同法施行規則1条の2
2 仕事を辞めさせられるとき
会社からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいます。
労働者は、労働の対価として使用者から受け取る賃金によって生活しています。使用者から突然解雇されると、労働者やその家族の生活は成り立ちません。そこで解雇については労働基準法などにより、労働者を保護する立場から一定の制限がされています。
また、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」ことが、労働契約法16条に明記されています。
(1)解雇の種類
普通解雇
ア
使用者側の理由であれ、労働者側の理由であれ、これ以上継続的な契約の履行はできないとして、使用者が一方的に労働契約を解消するものです。
懲戒解雇
イ
労働者に非違行為があるときに、懲戒(制裁)処分として行うもので、通常の懲戒処分の中では最も重いものとなります。
整理解雇
ウ
整理解雇も普通解雇の1つですが、人員整理の目的で労働者を解雇するもので、次の要件を備えていれば解雇権濫用ではないと判断されます(整理解雇の4要件(要素))。
① 整理解雇を行うべき客観的必要性が存在すること
② 使用者が整理解雇を回避する努力を尽くしたこと
③ 対象者選定の基準及びその運用が客観的に合理的であること
④ 労働者や労働組合に対する説明や協議を十分行っていること