Contract
2023 年 12 月 15 日
各位
株式会社 三十三銀行
マルオカ工商株式会社との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、マルオカ工商株式会社(社長:x xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「社会・経済・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) | 契約日 | 2023年12月15日 |
(2) | 融資金額 | 100百万円 |
(3) | 期間 | 5年 |
(4) | 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名
(2) 所在地
(3) 事業内容
マルオカ工商株式会社
xxxxxxxxxxxx000xx
当社は、自立型ソーラー街路灯シリーズをはじめとする各種街路灯やプレハブ(組み立てハウス、ユニットハウス、ソーラーハウス)、仮設トイレ、業務用机などのリース・販売を行う。
取扱商品は大手ゼネコンや土木建設業者の建設現場に供給されるため、全国各地に事業所を置き、幅広く事業展開している。
(ソーラーバイオトイレ)
(ソーラーシステムハウス)
(4) 従業員数
(5) 資本金
(自立型ソーラー街路灯)
20名
20百万円
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面・
社会面
包摂的で健全な経済(ポジティブ)、保健・衛生(ポジティブ)
・バイオトイレを2028年度までに累計40基販売・リースする (2023年度実績:7基)
(2) 経済面 経済収束(ポジティブ)
・ストックコンテナを2028年度までに累計20個販売・リースする (2023年度実績:3個)
(3) 社会面 エネルギー(ポジティブ)
・2028年度において、ソーラー関連商材(xxx発電を付与した商材)の賃貸リース売上高を900百万円以上とする
(2023年度実績:750百万円)保健・衛生(ネガティブ)
・2028年度までに社内防災計画を策定する
・2028年度までに従業員安否確認システムを導入する保健・衛生(ネガティブ)、雇用(ネガティブ)
・2028年度までに健康経営優良法人認定を取得する
雇用(ネガティブ)
・2028年度までに一人当たり年平均有給休暇取得日数を12日に増加させる
(2023年度実績:8.5日)
・2028年度までに一人当たり月平均時間外労働時間を3時間に削減する
(2023年度実績:5時間)
(4) 環境面 大気(ネガティブ)、気候(ネガティブ)
・2028年度までに営業車のHV比率を20%まで引き上げる (2023年8月末時点:5%)
廃棄物(ネガティブ)
・xxxパネルの適切な処理を継続して行う
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行 担当部署担当者 | ソリューション営業部xx | |
連絡先 | 059-354-7144 | |
(2) 三十三総研 | ||
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以上 |
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2023 年 12 月 15 日
株式会社三十三総研
三十三総研は、三十三銀行が、マルオカ工商株式会社に対してポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するにあたって、マルオカ工商株式会社の活動が、環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響およびネガティブな影響)を分析・評価しました。
分析・評価にあたっては、株式会社日本格付研究所の協力を得て、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」及びESGハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブ・インパクト・ファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、中小企業※に対するファイナンスに適用しています。
※IFC(国際金融公社)または中小企業基本法の定義する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業
目次
1.評価対象の概要 2
2.マルオカ工商株式会社の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営理念と事業内容
2-3.サスティナビリティに関連する活動
3.UNEP FIインパクトレーダーとの関連性 9
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.特定インパクトと測定するKPI 12
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
4-2.経済面(ポジティブ)
4-3.社会面(ポジティブ)
4-4.社会面(ネガティブ)
4-5.環境面(ネガティブ)
5.サスティナビリティ管理体制 17
6.モニタリング 17
7.総合評価 17
1.評価対象の概要
企業名 | マルオカ工商株式会社 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2023 年 12 月 15 日 ~ 2028 年 11 月 30 日 |
2.マルオカ工商株式会社の概要
2-1.基本情報
本社所在地 | xxxxxxxxxxxx 000 xx |
従業員数 | 20 名(2023 年 10 月現在) |
資本金 | 20 百万円 |
業種 | リース業、卸売業 |
主要取引先 | 鹿島建設株式会社、xx建設株式会社、株式会社淺沼組 等 |
沿革 | 1975 x xxxx(現社長)が名古屋市西区宝地町にて個人創業 1980 年 現住所に移転し、マルオカ工商株式会社を設立名古屋、関西営業所開設 2003 年 静岡営業所開設 2015 年 福岡営業所開設 2016 年 関東営業所開設 2021 年 四日市営業所開設 |
事業拠点 | ・関東営業所 xxxxxxxxx0-00-00 xxxxx 0x ・静岡営業所 xxxxxxxx0-00-0 ・名古屋営業所 xxxxxxxxxxxx 000 xx ・四日市営業所 xxxxxxxxxx0-0-00 xxxxxx 000 xx ・関西営業所 滋賀県東近江市xx北町 461-7 ・福岡営業所 xxxxxxxxxx0-0-00 xxxxxx0x |
0-0.経営理念と事業内容
【経営理念】
・人と人との輪を大切にする。
・関わっていく様々な人達の立場を考え、寄り添い、助け合い、尊重する。
【事業内容】
マルオカ工商株式会社(以下、マルオカ工商)は、自立型ソーラー街路灯シリーズをはじめとする各種街路灯や各種プレハブ(組み立てハウス、ユニットハウス、ソーラーハウス)、仮設トイレ、業務用机などのリース及び販売を行う業者。取扱商品は大手ゼネコンや土木建設業者の建設現場で使われることが多く、名古屋本社のほか、関東営業所、関西営業所、福岡営業所など全国各地に幅広く事業展開を行っている。
取扱商品の具体的な内容については以下の通り。
取扱商品
主要商品である街路灯をはじめ、ソーラーハウス、仮設トイレ、オフィス備品等を河川、道路工事などの建設現場に供給している。
【主要商品】
(1)街路灯
主要商品である街路灯の中でも、最近では環境への配慮や災害時の使用の観点から自立型ソーラー街路灯シリーズが代表的な商品となっている。ソーラー街路灯のxxxパネルシステム照明器具はマルオカ工商が意匠権を取得しており、xxxにより得られた電力を蓄電し、夜間など必要に際して投光する照明器具である。その照明器具を使用した自立型ソーラー街路灯は、xxxを電気エネルギーに変換して使用することにより配線工事不要で使用できるほか、3日間無日照でも1日当たり 10 時間点灯することができるなど環境に配慮した商品となっている。
自立型ソーラー街路灯
意匠登録証
(2)ユニットハウス
ソーラーシステムハウス
マルオカ工商が提供するユニットハウス※の中でも環境に配慮したソーラーシステムハウスの受注が増加している。ソーラーシステムハウスは、ユニットハウスとxxx・蓄電システムが一体となっており、商用電源、電気工事不要で安全・安心・迅速に設置することが可能である。また、独自のノウハウでソーラーシステムハウスに最適なシステムを構築することに成功し、無日照でも3日間通常の生活ができる高い性能を持つため、自然災害等により燃料・電力・交通手段等が途絶えた環境での利用が可能である。ハウス内には、エアコンや室内照明設備、ブラインド、床カーペットのほか、通信システムが標準装備されており、設置後ただちに生活できることも特徴である。
本ソーラーシステムハウスは非常時のみならず、工事現場においても利用されている。xxx発電を活用してエアコンが使用可能な休憩所をCO2 排出が限りなくゼロで提供できることから、地球環境保全と工事現場環境の改善にも大きく貢献する技術として、国土交通省の「新技術情報提供システム
(NETIS)」に登録されている。
※建物の一部をあらかじめ工場で製造し、現場で組み立てるプレハブ構
造の一種で、軽量鉄骨で建てられた仮設住宅のこと。
ユニットハウス
ソーラーシステムハウス
内部はエアコン・カーペットなど完備
(3)仮設トイレ、ストックコンテナ等
近年ではウォシュレットが使用可能なトイレ一体型のソーラーシステムハウスや、工事現場の進捗に合わせて移動できる
車載型ソーラーシステムハウスなど機能性の高い商品も提供している。
その他、xxx発電・蓄電システムを利用し、バクテリアにより排出物を分解する衛生的で、上下水道が不要なエコ快適トイレ「【ウォータス】ソーラーバイオトイレ」や、庫内温度を-10℃~ 45℃の任意の状態に保つことができる機能的でエコロジー&エコノミーな防災備蓄倉庫「ストックコンテナ」など、様々な商品を
取り揃えている。 ソーラーバイオトイレ
2-3. サスティナビリティに関連する活動
【環境に配慮したソーラー関連商材の普及】
2000 年以降、xxx発電が全国的に普及している。その背景として、世界的に温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーを使用する取り組みが求められていることが挙げられる。2021年 10 月に閣議決定された「第六次エネルギー基本計画」では、2030 年に向けた政策のポイント として、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域共生を図りながら最大限の導入を促すとされており、国を挙げてxxx発電などの再生可能エネルギーを使用する取り組みが進められている。マルオカ工商はソ ーラーシステムハウスや自立型ソーラー街路灯、ソーラーバイオトイレなどxxx発電を利用した商品を多く取り扱っており、再生可能エネルギーの普及に貢献している。
【災害時にも使用可能な衛生施設の普及】
近年ではバイオトイレが国内で注目を集めている。その背景としては、環境問題への意識の高まりや水洗トイレに比べて水の節約ができることに加え、災害時にも使用できることなどが挙げられる。旧来の仮設トイレは設置する際に上下水道工事が必要であるほか、換気扇や照明を使用する際には商用電源が必要であった。マルオカ工商の取り扱うソーラーバイオトイレは、上下水道が不要なため排水ができない場所でも使用可能かつ移動が容易なので設置場所を選ばず使用できるほか、xxx発電、蓄電システムにより商用電源が不要である点や地震などの災害時に活用できる点が優れている。また、浄化槽設備を伴う施設と比較しても設置費用が3分の1程度で設置することができ、初期導入 700 リットルの水があれば使用できる点も強みである。
<マルオカ工商 パンフレットより抜粋>
【防災に備えた施設の普及】
全国的な防災意識の高まりを受け、自治体や企業などが独自に防災倉庫を設置する事案が増加している。旧来の防災倉庫は、商用電源のない場所ではエアコンを利用した貯蔵品の温度管理や災害時に携帯の充電などを行うことができなかった。マルオカ工商の取り扱うストックコンテナは、xxx発電により商用電源不要でエアコンの使用を行うことができ、xxでも 23~25℃に庫内の温度を保つことができるかつ壁にxxコンセントを 15 個取り付けることで携帯電話の充電
を一度に 30 台行うことができるほか、海辺、山間部、広場、屋上など場所を問わず設置することも可能である。また、災害時には応急救護所や対策本部として使用できる点が強みである。
<マルオカ工商 パンフレットより抜粋>
【災害時における従業員の安全確保】
2011 年の東日本大震災以降、社内防災計画の重要性が増している。災害時に事業所や従業員はもちろん、近年は企業の社会的責任の観点から地域住民への支援体制や復興活動を行うことが重要視されている。マルオカ工商では社内防災計画の策定に着手しており、その一環として従業員の安否確認システムの導入や防災計画策定を通じて従業員の安全確保を行っていく方 針。
【xxxパネルの適切な処理】
日本における再生可能エネルギーの主力であるxxx発電は、2012 年に固定価格買取制度
(FIT)が導入されて以降、加速度的に増加しており、xxx発電に使用するxxxパネルの廃棄方法が問題となっている。xxxパネルを使用した商品を取り扱うマルオカ工商ではリユース可能と判断したxxxパネルはリユース業者に、廃棄物として処理するxxxパネルはリサイクル業者や埋立処分業者に処理を委託し、適切な処理を行っている。
<環境省 「xxx発電設備のリサイクル等の推進に向けた ガイドライン」より抜粋>
【労働環境の整備】
(1)健康経営への取組
従業員が長く活躍できる職場環境の整備を推進しており、健康診断の全従業員への実施や健康サポート(特定保健指導)の実施などを行っている。その結果、2022 年 12 月に全国健康保険協会愛知支部より「健康宣言チャレンジ事業所」の認定を取得している。また、経済産業省が顕彰する「健康経営優良法人」の取得に向けた取り組みも行っている。
<健康宣言チャレンジ事業所認定証(全国健康保険協会 愛知支部)>
(2)有給休暇取得日数の増加
ワークライフバランスの観点から、従業員の有給休暇取得日数の増加に取り組んでいる。2023年度の一人当たり平均有給休暇取得日数は 8.5 日であるが、今後は育児休暇などの休暇制度の充実を図るとともに従業員全体への有給休暇の取得促進を行うことで、2028 年度までに一人当たり平均有給休暇取得日数を 12 日まで増加させることを目標としている。
(3)時間外労働時間の削減
ワークライフバランスの観点から、時間外労働時間の削減にも取り組んでいる。2023 年度の一人当たり月平均時間外労働時間は5時間だったが、無駄な業務を洗い出し、業務の効率化を実現することで、2028 年度までに一人当たり月平均時間外労働時間を3時間まで削減させることを目標としている。
【営業車のHV化による環境負荷の低減】
所有する営業車両の約5%がHVであるが、今後車両の入れ替えに際してはHV等の環境に配慮した車両の導入を検討し、2028 年度までに営業車両の約 20%を環境配慮型の車両へ切り替える計画である。
【被災地への支援活動】
企業の社会的責任として、地域住民への支援活動や復興支援活動が求められている。マルオカ工商は東日本大震災発生時にxx県南三陸町向けに、xxxで充電可能かつ配線不要で持ち運び可能なソーラーシステム街路灯を寄付するなど、被災地への支援も行っている。
3.UNEP FIインパクトレーダーとの関連性
本ファイナンスでは、マルオカ工商の事業について、国際標準産業分類における「その他の土木工事業」、「その他の機械器具・有形財賃貸・リース業」として整理した。その前提のもとでのUNEP FIのインパクト分析ツールを用いた結果、「包摂的で健全な経済」「経済収束」
「雇用」「資源効率・安全性」に関するポジティブ・インパクト、「保健・衛生」「雇用」「文化・伝統」「質(水)」「大気」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定されたマルオカ工商のインパクトは以下の通りである。
※色の濃い項目がマルオカ工商のインパクト領域
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 包摂的で健全な経済 | 災害時にも使用可能な衛生施設の普及 | ・衛生的で省資源なバイオトイレを普及させることにより、災害時における被災者への衛生施設の提供に貢献。 |
経済収束 | 防災に備えた施設の 普及 | ・災害に備えた倉庫を販売することにより、災 害時の避難場所、拠点基地の普及に貢献。 |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉保健・衛生 | 災害時にも使用可能な衛生施設の普及 | ・包摂的で健全な経済を参照。 |
エネルギー | 環境に配慮したソーラー関連商材の普及 | ・ソーラー関連商材の取り扱いを増加させることで再生可能エネルギーの普及に貢献。 |
〈ネガティブ〉xx・xx | 健康経営への取組 | ・従業員の健康管理の観点から健康経営優良法人認定の取得を計画。 |
災害時における従業員の安全確保 | ・従業員の安否確認システムの導入や社内防災計画の策定を通じて、災害時における従業員の安全確保を実施。 | |
雇用 | 有給休暇取得日数の増加 | ・ワークライフバランスの観点から有給休暇取得日数の増加を計画。 ・ワークライフバランスの観点から平均時間外労働時間の削減を計画。 ・xx・xxを参照。 |
時間外労働時間の削減 | ||
健康経営への取組 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ネガティブ〉大気 | 営業車のHV化による環境負荷の低減 | ・使用する営業車においてHVラインが販売されている車両についてxx切り替えを実施し、環境負荷の低減に貢献。 |
気候 | 営業車のHV化によ る環境負荷の低減 | ・大気を参照。 |
廃棄物 | xxxパネルの適切 な処理 | ・xxxパネルを適切に分別することにより、 廃棄物処理法に則った処理を確実に遂行。 |
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、インパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
事業活動において、文化・伝統にネガティブなインパクトを与える事象は発生していないこと、質(水)に直接的な影響を与える排水を行っていないこと、土壌、生物多様性と生態系サービスについてはマルオカ工商の商品を設置する場所は自然に影響を与えない場所を選定しており、商品の設置時にネガティブなインパクトを与える事象は発生していないことから、
「文化・伝統」「質(水)」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」についてはネガティブ・インパクトとして特定しない。
4.特定インパクトと測定するKPI
マルオカ工商は本ファイナンス期間において以下の通りKPIを設定する。
4-1.経済面・社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【災害時にも使用可能な衛生施設の普及】 ・衛生的で省資源なバイオトイレを普及させることで環境保全に貢献する。 | |
借入期間におけるKPI | ・バイオトイレを 2028 年度までに累計 40 基販売・リースする。 (2023 年度実績:7基) | |
関連するSDGs | 6.2 2030 年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。 6.3 2030 年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加さ せることにより、水質を改善する。 |
4-2.経済面(ポジティブ)
特定インパクト | 経済収束 | |
取組、施策等 | 【防災に備えた施設の普及】 ・災害に備えた倉庫を設置することで被災者が災害時の避難場所、拠点基地として使用することを可能にする。 | |
借入期間におけるKPI | ・ストックコンテナを 2028 年度までに累計 20 個販売・リースする。 (2023 年度実績:3個) | |
関連するSDGs | 11.3 2030 年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計 画・管理の能力を強化する。 |
4-3.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | エネルギー | |
取組、施策等 | 【環境に配慮したソーラー関連商材の普及】 ・ソーラー関連商材の取り扱いを増加させることで、再生可能エネルギーの普及に貢献する。 | |
借入期間におけるKPI | ・2028 年度において、ソーラー関連商材(xxx発電を付与した商材)の賃貸リース売上高を 900 百万円以上とする。 (2023 年度実績:750 百万円) | |
関連するSDGs | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた 取組を行う。 |
4-4.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 | |
取組、施策等 | 【災害時における従業員の安全確保】 ・従業員の安否確認システムの導入や社内防災計画の策定を通じて、災害時における従業員の安全を確保する。 | |
借入期間におけるKPI | ・2028 年度までに社内防災計画を策定する。 ・2028 年度までに従業員安否確認システムを導入する。 | |
関連するSDGs | 11.b 2020 年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靭さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030 に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 |
特定インパクト | 保健・衛生 雇用 | |
取組、施策等 | 【健康経営への取組】 ・従業員の健康管理を推進していくために、健康経営優良法人の認定を取得する。 | |
借入期間におけるKPI | ・2028 年度までに健康経営優良法人認定を取得する。 | |
関連するSDGs | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 |
特定インパクト | 雇用 |
取組、施策等 | 【有給休暇取得日数の増加】 ・ワークライフバランスの観点から有給休暇取得日数を増加させる。 【時間外労働時間の削減】 ・ワークライフバランスの観点から時間外労働時間を削減する。 |
借入期間におけるKPI | ・2028 年度までに一人当たり年平均有給休暇取得日数を 12日に増加させる。 (2023 年度実績:8.5 日) |
・2028 年度までに一人当たり月平均時間外労働時間を3時間に削減する。 (2023 年度実績:5時間) | ||
関連するSDGs | 3.4 2030 年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて 3 分の 1 減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-5.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 大気 気候 | |
取組、施策等 | 【営業車の HV 化による環境負荷の低減】 ・営業車を環境に配慮したHVにxx切り替えることで環境負荷を低減させる。 | |
借入期間におけるKPI | ・2028 年度までに営業車のHV比率を 20%まで引き上げる。 (2023 年8月末時点:5%) | |
関連するSDGs | 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた 取組を行う。 |
特定インパクト | 廃棄物 | |
取組、施策等 | 【xxxパネルの適切な処理】 ・xxxパネルを適切に分別することにより、廃棄物処理法に則った処理を確実に遂行する。 | |
借入期間におけるKPI | ・xxxパネルの適切な処理を継続して行う。 | |
関連するSDGs | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪 影響を最小化するため、化学物質や廃棄 |
物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物 の発生を大幅に削減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
マルオカ工商では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、岡社長を責任者とし、林経理部長が中心となって日々の業務やその他活動を棚卸し、自社の事業活動とインパクトレーダー、SDGsの 17 のゴール・169 のターゲットとの関連性について検討を行った。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間において、岡社長と林経理部長、経理部を中心にKPIの達成状況を定期的に確認・協議を行うなど、推進体制を構築
し、各部署において実行していく。
最高責任者 | 代表取締役社長 岡 正治 |
管理責任者 | 経理部長 林 明彦 |
担当部 | 経理部 |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、マルオカ工商と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三
十三銀行は、マルオカ工商に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。マルオカ工商は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低
減に努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するマルオカ工商から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書
の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部 研究員 古橋 健司
〒510-0087
三重県四日市市西新地 10 番 16 号第二富士ビル4階
TEL:059-354-7102 FAX:059-351-7066
第三者意見書
2023 年 12 月 15 日
株式会社 日本格付研究所
評価対象: マルオカ工商株式会社に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行がマルオカ工商株式会社(「マルオカ工商」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定した PIF原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項
(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた
「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1 定義
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、マルオカ工商の持ちうるインパクトを、UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析を行った。
この結果、マルオカ工商がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2 フレームワーク
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるマルオカ工商から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
梶原 敦子
担当主任アナリスト
川越 広志
担当アナリスト
菊池 理恵子
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・公平な立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候債イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026