公衆送信利用,二次的利用,商品化及び監修業務等の管理を出版社である丙に委託する旨の契約である。上述のように,著作物のインターネットによるネットワークが発達した 今日,出版社などの著作権管理者が複製権を超えて公衆送信権の一部として漫画の管理を行う必要があり,同時に B to C で配信される公衆送信においてはその利用者 数は極めて大きな数値となる可能性があり,もはや漫画の著作権者が自ら著作権の管理を行うことは困難となる。そこで,出版社やアニメ制作会社が著作権者の代理人として,...
(4)「著作権管理委託契約」の解説及びその留意点
平成 20 年度著作権委員会第 1 部会
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1.はじめに
著作権管理委託契約とは,著作権者が,管理団体(管理会社)に対し,第三者に著作物の利用許諾を与えたり,著作物使用料を徴収する等の業務を委託する旨の契約である。著作権者が自ら利用許諾のための契約を締結したり,使用料を徴収するのは煩雑であり,また,近年のネットワーク化の発達により漫画の著作物の利用形態も広がり,複製権を基礎とする出版権のコントロールだけでは対応できない時代がきている。また,ネットワークを通じて著作物の利用者が多数となると著作権者が対応することは困難である。そこで,著作権の集中管理を行うための団体が必要となり,現在多数の団体がその機能は果たしている。
著作xx管理事業法は,著作xx管理事業を行おうとする者は,文化庁長官の登録を受けなければならない旨規定し(著作xx管理事業法 3 条),権利の移転を前提とする信託契約と権利の移転を前提としない委任契約を規定している。ただし,委託者が使用料額を自ら決めることとする契約の場合や,委託者と受託者が人的関係・資本関係等において密接な関係がある場合には,管理事業法の規制の対象外であり,その登録は不要とされている。
2.著作権管理委託契約の留意点
著作権管理委託契約書
公衆送信利用,二次的利用,商品化及び監修業務等の管理を出版社である丙に委託する旨の契約である。上述のように,著作物のインターネットによるネットワークが発達した今日,出版社などの著作権管理者が複製権を超えて公衆送信権の一部として漫画の管理を行う必要があり,同時に B to C で配信される公衆送信においてはその利用者数は極めて大きな数値となる可能性があり,もはや漫画の著作権者が自ら著作権の管理を行うことは困難となる。そこで,出版社やアニメ制作会社が著作権者の代理人として,作品の公衆送信利用や商品化の窓口となっている場合が多い。
(前文)
著作権者*****を甲,著作権者*****を乙,株式会社*****を丙として,下記の著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化の管理に関し,次の通り契約(以下,本契約という)を締結する。
第 1 条(用語の定義)
本契約において,次の各号に掲げる各用語の定義は当該各号に定めるところによる。
①本作品
(a)題名 「○○○○」(甲発行の雑誌『○○○
○』掲載)
(b)原作 ●●●●(筆名▲▲▲▲)
(c)漫画 ◎◎◎◎(筆名△△△△)
②本デジタル作品
本著作物の全部または一部(キャラクターを含む)をデジタル・データに複製(複製にともなう,やむを得ない改変を含む)したものをいう。
③本著作物
本条①号及び②号を総称して,本著作物という。
④公衆送信利用
ネット配信,プリント・オン・デマンド,ハード及びソフトへのバンドルなど,本著作物をあらゆる公衆送信手段によって利用することをいう。
⑤二次的利用
本著作物を翻訳,脚色・映画化またはその他の翻訳など,著作xx 27 条に定める行為をすること,及びその他の二次的利用をいう。
⑥商品化
本著作物の題名,登場するすべてのキャラクターの名称・容貌・性格・イメージ等を各種商品または宣伝・サービス等に利用することをいう。
重要度:☆☆☆解説
本件契約は,著作権者甲及び乙が,出版権だけでは対応しきれない漫画(そのデジタル作品)の著作権の
第 3 条(契約の目的)
甲乙及び丙は,本作品の著作権の管理を適正に運営して,本著作物の二次的利用及び商品化を推進し,甲乙及び丙の利益の増進をはかるものとする。
⑦監修業務
xが許諾相手(以下,ライセンシーという)に許諾した本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,その中間成果物,最終成果物及び販売促進物の品質保持や適法性について審査を行うことをいう。
重要度:☆☆☆解説
本条では,各用語の定義規定である。
①,②及び③は,本件契約の対象である著作物を規定している。漫画の場合,原作(言語等の著作物)と漫画(美術の著作物)については,別個の著作物である点に留意すべきである。判例は,漫画は,原作の二次的著作物であるため,漫画の絵についてのみの利用であっても,原作者の許諾が必要との立場を採用している(xxxxx・xxxxx事件 最判平成 13・ 10・25)。
④は,「公衆送信利用」,⑤は「二次的利用」,⑥は
「商品化」,⑦は「監修業務」についてそれぞれ定義している。判例は,具体的表現から離れたキャラクター自体の著作物性を否定しているため(ポパイ事件 最判平成 9・7・17),キャラクターの名称については著作権による保護は難しく,キャラクターの名称を使用した商品化については,別途商標登録の必要性を検討すべきである。なお,漫画のタイトルについても同様である。なお,④に記載される「バンドル」とは,例えば PC 機材にデフォルトでインストールされ,または他のプログラムに付加的に組み込まれて流通する状態をいう。
重要度:☆解説
本条は,本件契約の目的を確認的に規定したものであり,具体的な権利・義務を定めた条項ではない。
第 4 条(著作権管理の委託)
甲乙及び丙は,前条記載の目的にそって本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,それらの権利の管理(以下,本件管理という)を丙に委託する。
重要度:☆解説
第 5 条(内容)
1.丙は,本件管理の目的を達成するため,主として次の業務を行う。
①本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,甲及び乙に代わってライセンシーと交渉し,ライセンシーに対しそれらの権利を許諾する契約を丙の名において締結すること。
②本項①号記載の契約にもとづく許諾の対価を徴収するほか,契約の履行状況を把握し,随時甲及び乙に報告すること。
③本著作物の公衆送信利用,二次的利用または商品化の権利を許諾するライセンシーに対し,本著作物に関する著作権表示もしくは原作表示を義務づけること。
④本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,監修業務を行うこと。なお,必要な場合はライセンシーより監修料を徴収することができる。
⑤ライセンシーによる商品化に関連して,商標登録をする必要がある場合には,ライセンシーと協議のうえ,原則として丙の名において丙の費用管理で商標出願手続きをし,登録商標について使用許諾をすること。
⑥ライセンシーまたは他の第三者が違法に本著作物の公衆送信利用,二次的利用または商品化を行っていることが判明した場合には,その違法行為を排除する措置を講じること。
2.丙は,本件管理にあたり,その費用を負担する。但し,特別な出費のある場合,事前に甲乙丙協議のうえその費用の負担を決定する。
本条は,本件契約の本旨を規定してものである。具体的な内容は,第 5 条に規定されている。
第 2 条(権原保証)
乙は,本作品の原作の著作権を原作の著作者○
○○より譲り受け,現在その著作権者であることを保証する。
重要度:☆☆☆解説
xxは,乙が原作者より著作権の譲渡を受け,現在著作権を保有していることの権原保証条項である。著作権は,著作物の創作により発生し,登録を要しないため,誰が権利者であるのかがわかりづらく,このような規定が含まれることが多い。
著作権の移転については,登録が第三者対抗要件であるが,実際には登録が行われていないことが多いため,権利の所在については注意が必要である。
重要度:☆☆☆
解説
本条は,本件契約の本旨である権利の管理の具体的内容を規定している。
第 1 項は,丙の債務を規定している。丙は,甲及び乙に代理人として,ライセンシーと交渉し,丙の名において権利を許諾する旨の契約を行う。本来,xxxxxを与えることができるのは著作権者である甲及び乙であるが,著作権管理業務の実効性をはかるため,丙名義で契約することを認めている。また,丙は,ライセンス料の徴収や履行状況の報告義務を負っている。
③では,xxxxxxに対して著作権表示あるいは原作表示を義務づけることが規定されている。我が国では,著作権表示は権利行使の要件ではないが,クリエーターが制作物に関し,権利と責任を持つということを明確にするものである。
④は,丙の監修義務について規定する。ライセンシーが製作した商品のデザインやサンプルをチェックし,著作権が適正に使用されているかを確認する必要不可欠の業務である。
⑤は,商標登録が必要な場合には,丙の名義で商標出願を行い,登録商標の使用許諾を行うことを規定している。上述のように,漫画のタイトルやキャラクターの名称については著作権による保護が困難であるため,商標登録が利用される場合が多い。ライセンシーにとっても商標登録は権利が明確であり,また,権利行使も容易であるため,キャラクターの図柄についても商標登録されることが多い。商標登録出願に際しては,商標態様を指定しなければならないため,どのような図柄で出願するかについて慎重に検討すべきである。
⑥は侵害排除の規定である。近年デジタル化技術の発達・インターネットの普及により,著作権の侵害行為も巧妙化し,また,侵害者が特定出来ない場合も多い。権利侵害の対応・防御には困難な問題をかかえているため,予め,対応方法,責任者,費用負担等を明確に規定しておく必要がある。但し,丙はあくまで本契約で言及する著作権の管理者であり,著作権者ではないため,侵害排除の主体は著作権者たる甲及び乙となる。
重要度:☆☆解説
著作権の譲渡,あるいは担保設定については,丙の承諾が必要である旨の規定である。契約期間中に著作権が無断で第三者に譲渡されたり,担保が設定された場合には,丙が第 5 条に規定する業務の遂行が困難となるため,手当するものである。
なお,無断譲渡された場合には丙は管理者として地位を譲受人に対抗することはできないため,丙の立場からは,著作権の譲受人は甲及び乙の契約上の権利・義務を承継する旨の規定を加えることが望ましい。
第 7 条(管理者の通知義務と合意事項)
1.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の許諾契約の締結に際しては,その契約内容を事前に甲及び乙に通知し,契約締結後遅滞なく契約書の写しを甲及び乙に送付する。
2.甲及び乙は丙より前項の通知を受けたとき,合理的理由なく許諾拒否を行わない。
3.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の許諾のうち,下記に揚げるものは事前に甲及び乙に通知を要せず,丙の裁量で決定できるものとし,その許諾内容は事後すみやかに甲及び乙に通知するものとする。
記
本著作物の一部(カット等)の放送使用,掲載使用及び公衆送信に際し,その対価が**円未満(消費税別)の場合。
重要度:☆☆解説
本条第 1 項は,許諾契約の内容を締結前に甲及び乙に通知する義務について規定する。許諾契約の内容は,甲及び乙にとって重大な事項であるため,事前通知を原則として義務付けている。
第 8 条(監修義務とその対価)
1.甲及び乙は,本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,第 5 条第 1 項④号の監修業務を行うことができ,丙はそれに協力するものとする。その監修に際し,甲及び乙は,第 3 条記載の目的にそって合理的理由なく許諾拒否を行わない。
他方,第 2 項において,甲及び乙は合理的理由なく許諾拒否をできない旨規定し,丙の管理業務が不当に阻害されないように調整規定をおいている。また,第 3 項も,一定の範囲の小額契約締結については,事後通知で足りるとし,丙に裁量権を与えて円滑な管理業務遂行を図っている。
第 6 条(著作権譲渡の禁止)
甲及び乙は,本契約の有効期間中,丙の承諾なしに,本作品の著作権を他の第三者に譲渡したり,あるいは担保に供してはならない。
4.甲及び乙は丙に対し,海外における出版,公衆送信利用,二次的利用及び商品化について海外のライセンシーとの許諾に関する契約書の閲覧を請求することができる。
2.前項の甲及び乙の監修業務において,特別な作業をともなう場合,丙はライセンシーより監修料を徴収することができる。その監修料は甲乙丙別途協議のうえ決定し,原則として甲及び乙に 100%配分する。
3.丙は,監修業務の一部を第三者に委託することができる。この場合,丙がライセンシーより徴収した監修料は,監修業務の担当割合に応じて甲乙丙別途協議のうえ当該第三者に配分するものとする。
重要度:☆☆解説
本条第 1 項は,著作権者である甲及び乙が監修業務を行う場合の特則を規定したものである。
第 9 条(本件管理の再委託)
1.xは,本著作物の本件管理の一部を第三者に委託することができる。この場合,丙は,丙が当該委託先(以下,エージェントという)と交わした委託契約書の写しを遅滞なく甲及び乙に送付する。
2.xxxxxxが,本著作物の公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,ライセンシーに許諾した場合,甲及び乙はエージェントに対し当該許諾に関する契約書の閲覧を請求できる。
第 3 項は,丙が第三者に監修業務の一部を委託することができる旨の規定である。民法上の委任契約では,受任者は原則として自ら事務を処理しなくてはならないとされているため,再委託を認める場合にはxxで規定することが望ましい。
重要度:☆☆解説
本条は,海外における出版,公衆送信利用等に関する規定である。出版業務に関しては,別途出版契約を結んで対応しているのが普通であるが,この出版契約には翻訳を伴う海外での出版については規定されていない。翻訳を伴うため,その翻訳費用の負担や著作者の監修など別途取り決めることは多い。
第 2 項は,本件契約の前に既に有効な契約が存在する場合に,本契約との適用関係を規定している。
第 3 項は,海外のライセンシーを保護するための規定である。2 項によって従前の覚書が合意解除されてしまうため,海外のライセンシー保護のため,このような規定が必要となる。
第 11 条(著作権者の通知義務)
甲及び乙は,第三者から甲及び乙に対し,第 5 条第 1 項①号記載のごとき許諾契約の申し込みがあった場合には,遅滞なくこれを乙に通知し,これに関する交渉,契約締結等を本契約に基づき丙に委託する。
重要度:☆☆解説
丙の管理業務の一部を第三者に再委託できる旨を明確にした規定である。第 8 条と同様に,再委託を認める場合には,xx規定を入れることが望ましい。
重要度:☆解説
第 12 条(権利侵害の措置)
丙は,第 5 条第 1 項⑦号記載のライセンシーまたは他の第三者の違法行為排除措置またはその他の甲及び乙の権利の保全措置をとるに際しては,事前に甲及び乙と,とるべき措置の内容,費用の負担等について協議し,合理的理由のもとに甲及び乙の承認を得るものとする。
x条は,著作権者である甲及び乙が,第三者から使用許諾等の契約の申し込みを受けた場合の規定である。事後の交渉,契約締結等を丙に委託するため,通知義務を規定している。
第 10 条(海外との契約)
1.甲及び乙は,本著作物の海外における出版,公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関して,その管理を丙の国際業務担当部門(以下国際室という)が担当することを了解する。
2.甲乙と国際室間で既に海外における出版,公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関する覚書を締結している場合,本契約の締結と同時に当該覚書を合意解除するものとし,以後,本契約の各条を適用するものとする。
3.本条第 2 項の覚書に基づき,既に国際室が,海外における出版,公衆送信利用,二次的利用及び商品化に関し,海外のライセンシーに許諾している場合,その許諾は有効であるものとする。
重要度:☆☆解説
ライセンシーの違法行為に対する措置や第三者によ
る権利侵害に対する保全措置については,権利を行使しえる著作権者は甲及び乙であるため,当然に協議が必要となってくる。xは権利行使に際して,その侵害
第 16 条(二次的利用の配分)
1.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の二次的利用契約に基づいて丙が受け取る著作権使用料のうち,日本国内の許諾先による利用については,その
**%を甲及び乙に配分し,残り*%を丙の管理窓口手数料及び編集企画料として取得する。
2.前項に記載の管理窓口手数料には,二次的利用にともなう企画推進活動費等丙が負担する経費を含む。
3.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の二次的利用契約に基づいて丙が受け取る著作権使用料のうち,日本国外の許諾先による利用については,当該国の課税控除後からその*%を甲及び乙に配分し,残り*%を丙の管理窓口手数料及び編集企画料として取得する。
4.本条第 3 項に記載の管理窓口手数料には,翻訳料,通信費,輸送費等丙が負担する海外との契約に伴う全ての経費を含む。
状況,権利行使手続き,費用,リスク等の説明を甲及び乙に行ったうえで,その協力を求めなければならない。
第 13 条(排他保証)
甲及び乙は,本契約の有効期間中,本著作物またはこれに類似する自己の著作物について,その公衆送信利用,二次的利用または商品化を,事前に丙と相談しその了承を得ることなしに,自ら行ったり,丙以外の者を介してライセンシーまたは第三者に許諾してはならない。
重要度:☆☆☆解説
本条は,本件著作権の管理を丙に独占的に委任する旨の契約である。事業を行う丙にとっては,たとえ新たな創作物といっても,本契約の対象となる著作物を甲及び乙が創作し,別途それが第三者の事業となる場合には多大な影響を受ける恐れがある。このため,甲及び乙に対して,本著作物に類似する範囲内の創作物の他者へのライセンスを禁止する必要がある。また,xは,著作権の管理者としても,自己が管理していない類似する真正品が市場に出回ることとなり,侵害行為の確認・排除が困難となる等の不都合があるため,このような規定が必要となる。
重要度:☆解説
著作権の二次的利用料について,甲乙丙間での配分を規定したものである。日本国内と海外においては,税制や費用等が異なるため,海外における利用料については,第 3 項及び 4 項において,別途規定している。
第 14 条(適用地域)
本契約の適用地域は日本国内及び全世界とする。
第 17 条(商品化の配分)
1.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の二次的利用契約に基づいて丙が受け取る著作権使用料のうち,日本国内の許諾先による利用については,その
**%を甲及び乙に配分し,残り**%を丙の管理窓口手数料及び編集企画料として取得する。
2.前項に記載の管理窓口手数料には,二次的利用にともなう企画推進活動費等丙が負担する経費を含む。
3.丙は,第 5 条第 1 項①号記載の二次的利用契約に基づいて丙が受け取る著作権使用料のうち,日本国外の許諾先による利用については,当該国の課税控除後からその*%を甲及び乙に配分し,残り*%を丙の管理窓口手数料及び編集企画料として取得する。
4.本条第 3 項に記載の管理窓口手数料には,翻訳料,通信費,輸送費等丙が負担する海外との契約に伴う全ての経費を含む。
重要度:☆解説
本条は,契約の適用地域を規定した一般的な規定である。
第 15 条(公衆送信利用の配分)
第 5 条第 1 項①号記載の公衆送信利用の配分については,甲乙丙間で別途契約を締結するものとする。
重要度:☆☆解説
著作権の公衆送信によって得られた収益の配分について,甲乙丙間での配分を規定したものである。二次的利用や商品化という第三者への許諾事業と異なり,公衆送信利用は,丙による設備投資や運営費の問題があり,実際の営業状況に基づいてきめ細かい利益配分計算が必要となる場合があるからである。
重要度:☆解説
著作権の商品化利用料について,甲乙丙間での配分を規定したものである。日本国内と海外においては,税制や費用等が異なるため,海外における利用料については,第 3 項及び 4 項において,別途規定している。
第 18 条(甲乙間の配分)
第 7 条第 3 項, 第 8 条第 2 項, 第 16 条, 第 17条における配分に関して,甲と乙間の配分比率は,甲*%・乙*%の割合で配分する。
重要度:☆解説
甲・乙間の配分比率を定めた規定である。
第 19 条(原稿作製料の配分)
丙は,第 5 条第 1 項⑤号記載の原稿(原画)作製についてはその*%を原稿(原画)作製者に配分する。
重要度:☆解説
第 20 条(支払い方法)
第 7 条第 3 項,第 8 条第 2 項,第 16 条,第 17 条,第 19 条に定めた甲及び乙への配分を,エージェント及びライセンシーから入金のあった日から 60 日以内に行う。
原稿(原画)作製は,本件委託管理業務の範囲外であるため,別途規定したものである。
第 22 条(特例)
甲及び乙は,丙自らまたは丙と丙の定めるライセンシーと共同で,本著作物を公衆送信利用,二次的利用または商品化することを承諾する。この場合,事前に甲乙丙協議のうえ,別途契約を締結するものとする。
重要度:☆☆解説
第 23 条(契約違反)
1.甲及び乙または丙のいずれかが,本契約に違反したとき,または本契約を継続することができない重大な背信行為があったときは,相手方に対し相当な期間を定めて催告のうえ,本契約を解除することができる。
2.本条の解除は,損害賠償の請求を妨げない。
本条は,x自ら又は他のライセンシーと共同で,本著作物の公衆送信利用,商品化を行うことを認めるものである。本件契約の本旨は,丙を管理窓口とするものであるため,特例として別途規定している。
重要度:☆解説
第 21 条(収益配分率の変更)
丙は,本件管理に関連して,以下の本条各号の場合は,事前に甲乙丙協議のうえ,第 16 条,第 17条に記載の管理窓口手数料,編集企画料及び収益配分率を変更することができる。
①第 5 条第 1 項①号記載の本著作物の二次的利用及び商品化のうち,特にアニメーション映画・ゲームソフト等特別な事業ならびに甲及び乙の認める特別の事情を伴う許諾を行う場合。
②第 5 条第 1 項①号記載の本著作物の二次的利用及び商品化に際し,別途に画家等の甲及び乙以外の著作権者が加わる場合。
③第 5 条第 1 項⑥号及び⑦号記載の事項等に付随する特別な出費をした場合。
④第 9 条の定めに従い本件管理の一部をエージェントに委託した場合。
丙が徴収した利用料を甲及び乙に配分する方法についての規定である。
重要度:☆☆解説
民法上の委任契約では,原則いつでも解除は可能とされているが(民法 651 条 1 項),本契約では,当事者が契約違反をした場合,あるいは重大な背信行為があった場合に限定している。なお,民法上の委任契約の解除は,遡及効を有しないとされている(民法 652条)。
第 24 条(有効期間)
3.本契約の有効期間は,契約締結の日から 3 年とする。但し,期間満了の 60 日前に,甲乙丙のいずれからも文書による契約終了の意思表示がない場合は,本契約は同一条件で 3 年間自動的に延長されるものとし,以後も同様とする。
重要度:☆解説
一定の場合には,丙の配分(管理費用等)の配分率を変更できる旨の規定である。本著作物の管理に関し,特別な費用がかかる場合を想定しての規定である。
重要度:☆解説
本条は,契約の有効期間について,自動更新を規定している。ライセンス契約や委託管理契約のように,当事者の信頼関係を基礎とする契約においては自動更新が規定されるケースが多い。
第 27 条(協議)
1.本契約に関して疑義または事情変更が生じた場合,あるいは本契約に定めない事項が生じた場合には,甲乙及び丙は,xxxxの原則に従って協議のうえ解決を図る。
2.本契約に関して補足または修正を行う場合,書面をもって実施する。
第 25 条(契約終了後の措置)
1.本契約が終了ないし解除された場合,終了ないし解除後の措置については甲乙丙協議し別途文書で定めるものとする。
2.前項の場合,xが本契約終了ないし解除以前にライセンシーに許諾した契約については,本契約の終了ないし解除の日から日本国内については満 5 年,日本国外(海外)については満 7 年間有効とする。
重要度:☆☆解説
本条は,契約終了後の措置について規定している。甲乙と丙の契約が突然解除されたような場合に,ライセンシーに不足の不利益が及ばないよう配慮した規定である。ライセンシーも商品を作製するために第 3 者と契約していることが想定され,これらの者を保護するための規定である。また,ライセンシーが多数の在庫を有していたり,小売店の市場に商品が存在する場合も多いため,合理的な期間が必要であるためである。
第 26 条(合意管轄)
本契約に関して訴訟の必要が生じた場合には,東京地方裁判所を専属的合意管轄の裁判所とする。
重要度:☆解説
本条は,裁判管轄を定めた一般的な規定である。実際の契約では,合意管轄を規定することが多い。
重要度:☆解説
本条は,一般的な規定である。契約内容の不備や将来の不測の事態を念頭においた規定である。
3.参考文献
本稿の執筆にあたっては,下記の文献を参考にさせていただいた。
( 1 )xxxx『著作xx 第二版』(有斐閣,2004 年)
( 2 )加戸守行著『著作権法逐条講義 五訂新版』(財団法人著作権情報センター,2006 年)
( 3 )作花文雄著『著作権法講座 第二版』(財団法人著作権情報センター,2008 年)
( 4 )著作権法令研究会編著『実務者のための著作権ハンドブック 第六版』(財団法人著作権情報センター,2005年)
( 5 )久保利英明,内田晴康・横山経通編著『著作権ビジネス最前線』(中央経済社,2003 年)
(原稿受領 2009. 5. 13)