【厚生労働省「労働者派遣契約の定めの例」掲載サイト】 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/7.pdf
第6章
第6章
労働者派遣契約
1 労働者派遣契約の内容の規制(要領第5の2) ――――――――――――――労働者派遣契約とは、契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣すること
を約する契約のことをいい、派遣元・派遣先間で結ばれる契約です(法第 26 条第 1項)。
派遣元・派遣先間の労働者派遣契約と、派遣元・派遣労働者間の派遣労働契約とは別の契約ですが、派遣労働契約の内容は事実上、労働者派遣契約の内容に依存します。そのため、派遣法は、派遣労働者の適正な労働条件・待遇の確保、雇用の安定などのために、労働者派遣契約の内容についても規制しています。
実際に、労働者派遣契約の内容として定めなければならないものとしては、業務の内容、就業場所、派遣期間、就業の開始・終了時刻・休憩時間、安全・衛生、苦情の処理、雇用安定措置など、派遣労働者の労働条件・待遇などに直接かかわる事項があります(法第 26 条第 1 項各号)。なお、派遣先は、派遣期間をできる限り長く定める等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めなければなりません(先指針第 2 の 6(1))。
また、派遣先の責任により労働者派遣契約が解除された場合には、派遣元事業主に生じる休業手当・解雇予告手当などの損害についての賠償を派遣先が行う旨の定めをする必要があります(先指針第 2 の 6(1)、元指針第 2 の 2(2) イ)。
さらに、派遣先は、労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければなりません(法第 39 条、先指針第 2 の 5)
【厚生労働省「労働者派遣契約の定めの例」掲載サイト】 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxx/xxxxx/xxxxxxx/xx/0.xxx
2 労働者派遣契約を締結する際の手続き等(要領第5の2) ―――――――――
(1)就業条件の把握・確認
派遣元も派遣先も、労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務内容、必要とされる知識・技術・経験の水準、派遣期間その他就業条件をきめ細かに把握・確認する必要があります(元指針第2の1、先指針第2の1)。
特に、派遣可能期間を延長する場合には、派遣元は、派遣先が過半数で組織する労働組合等に対して意見聴取を実施していること(法 40 条の2第4項)を確認してから派遣契約を締結しなければなりません。
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第6章
(2)抵触日通知義務
労働者派遣契約
派遣先は、労働者派遣契約の締結にあたり、あらかじめ、派遣元に対し、派遣可能期間制限への抵触日を、書面の交付・ファックス・電子メールのいずれかによって通知しなければなりません(法第 26 条第 4 項・規則第 24 条の 2)。派遣元は、通知がない時には、労働者派遣契約を締結してはなりません(法第 26 条第 5 項)。また、派遣元は、派遣先から通知された抵触日を派遣労働者に明示する必要があります。
【厚生労働省「モデル就業条件明示書」掲載サイト】 xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxx/xxxxxxxxxx/xxxxx/xxxxx/xx/xxxxxxxx.xxx
(3)特定目的行為の禁止(要領第 7 の 15)
派遣先は、労働者派遣契約の締結に際して、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければなりません(法第 26 条第 6項)。たとえば、①事前に面接すること、②履歴書を送付させること、③若年者に限ることとする等の行為をいいます(先指針第 2 の 3)。
事業所訪問・履歴書送付を登録者が自らの判断で行う場合には、特定目的行為にあたらないとされていますが、派遣元が派遣労働者に対してこれらの行為を求めないこととするなど、十分に留意しなければなりません。
派遣元は、特定目的行為に協力してはなりません(元指針第 2 の 13)。労働者派遣契約を結ぶ際に、派遣元が派遣先に通知しなければならない情報は、労働者の氏名、性別、社会保険への加入状況など限られています(派遣法第 35 条、規則第 27 条、第 27 条の 2、第 28 条)。
3 労働者派遣契約の解除・終了(要領第5の3~6) ―――――――――――――
派遣先は、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として、労働者派遣契約を解除してはいけません
(法第 27 条)。このような解除は無効となります。
また、派遣元は、派遣先が労働者派遣法や労働基準法などの規定に違反した場合には、当該労働者派遣を停止し、または、労働者派遣契約を解除することができます(法第 28 条)。
派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣を中途解除する場合には、派遣元の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって解除の申し入れを行うこととされています(先指針第 2 の 6(2))。
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第6章
労働者派遣契約
また、派遣元・派遣先は、労働者の帰責事由以外の事由によって労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業機会の確保などの措置をとる必要があります。さらに、派遣元は、労働者派遣契約の中途解除によって休業させ、また、解雇せざるを得ない場合、休業手当・解雇予告手当の支払い等の労働基準法等の責任を果たし、また、派遣先も、派遣元が休業させざるを得なくなったこと等による損害を賠償することとされています(法第 26 条第 1 項第 8 号、第 29 条の 2、元指針第 2 の 2(3)、先指針第 2 の 6(1)(3)(4))。
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